「マイクロコード」の版間の差分

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[[ru:Microcode]]
 
[[ru:Microcode]]
 
[[zh-hans:Microcode]]
 
[[zh-hans:Microcode]]
[[Wikipedia:ja:マイクロプログラム方式|プロセッサのマイクロコード]]はプロッサファムウェアと同種のものです。カーネルは BIOS のアップデートことなくプロセサのファーウェアアップデートることできます。[https://downloadcenter.intel.com/Detail_Desc.aspx?DwnldID=23082 Intel] のウェブサイトより:
+
プロセッサの製造者はプロセッサ[[Wikipedia:ja:マイクロプログラム方式|マイクロコード]]に安定性とキュリティアップデトをリリースしています。ようなアップデートには、システムの安定性に深く関わるバグフィックスが含まれていまれがない、追跡困難疑わしいクラシュや予期しないシステ停止引き起こ場合あります。
   
  +
AMD や Intel CPU を持つすべてのユーザは、システムの安定性を確保するためにマイクロコードのアップデートをインストールすべきです。
:''マイクロコードのデータファイルには全ての Intel プロセッサのための最新のマイクロコードが定義されています。Intel はマイクロコードのアップデートをリリースすることで、それぞれのプロセッサの仕様のアプリケーションに文書化されているようにプロセッサの挙動を修正します。一般的に、このマイクロコードの更新を行うのは BIOS のアップデートによりますが、これは管理者を困らせるような羽目になることがあるのを Intel は了解しています。Linux オペレーティングシステムや VMware ESX プロダクトには起動後にマイクロコードを更新する仕組みが備わっています。例えば、Linux システムの {{ic|/etc/firmware}} ディレクトリにファイルが配置されると、オペレーティングシステムの仕組みがこのファイルを使用します。''
 
   
  +
通常、マイクロコードのアップデートはマザーボードのファームウェアに同梱されており、ファームウェアの初期化中に適用されます。しかし、OEM はファームウェアのアップデートをタイムリーにリリースしないかもしれない上、古いシステムでは新しいファームウェアアップデートは全くリリースされないので、起動中に CPU マイクロコードアップデートを適用する機能が Linux カーネルに追加されました。[https://docs.kernel.org/x86/microcode.html Linux マイクロコードローダ]は3つの方法をサポートします:
全てのユーザーがアップデートをインストールすべきですが、Intel Haswell と Broadwell プロセッサファミリーに属する CPU を使っている場合は特に、システムを安定させるためにマイクロコードのアップデートをインストールしてください。
 
   
  +
# '''早期ロード''' は、起動中の非常に早い段階(initramfs ステージよりも前)でマイクロコードをアップデートします。なので、これは推奨される方法です。Intel の Haswell や Broadwell プロセッサファミリのように CPU に深刻なハードウェアバグが存在する場合、これは必須です。
== インストール ==
 
  +
# '''遅延ロード'''('''危険''') は、起動後にマイクロコードをアップデートします。CPU がバグのある命令セットの使用をすでに試みたかもしれないので、これでは遅すぎる可能性があります。「早期ロード」をすでに使用している場合でも、「遅延ロード」を使用して再起動せずに新しいマイクロコードのアップデートを適用できます。
  +
# '''組み込みマイクロコード''' はカーネルにコンパイルされます。早期ローダ(early loader)により適用されます。
   
  +
== 早期ロード ==
Intel のプロセッサの場合、{{Pkg|intel-ucode}} をインストールしてください。
 
   
AMD のプロセッサの場合、{{Pkg|amd-ucode}} をインストールしてください。
+
=== インストール ===
   
Arch 環境を[[USB キー Arch Linux をインストール|リムーバブルドライブ]]上に構築しいて、両方のメーカーのマイクロコードが必要な場合、両方のパッケージをインストールしてください
+
プロセッサ応じ以下のパッケージを[[インストール]]してください:
  +
* {{Pkg|amd-ucode}} AMD プロセッサ向け
  +
* {{Pkg|intel-ucode}} Intel プロセッサ向け
   
  +
マイクロコードは[[ブートローダー]]によって読み込まれなければなりません。初期ブート設定はユーザによって様々なので、マイクロコードのアップデートは Arch のデフォルト設定では自動的にトリガーされない場合があります。この点について AUR カーネルの多くは Arch の公式[[カーネル]]と同じようになっています。
== 起動初期にマイクロコードをアップデート ==
 
   
  +
アップデートを有効にするには、{{ic|/boot/amd-ucode.img}} または {{ic|/boot/intel-ucode.img}} を'''ブートローダーの設定ファイルの 一番目の initrd''' として追加しなければなりません。これは、通常の initrd ファイルよりも前です。一般的なブートローダの場合における手順は以下を見てください。
マイクロコードは[[ブートローダー]]からロードする必要があります。ブートの設定はユーザーによって様々であるため、Arch のデフォルト設定ではマイクロコードのアップデートは自動的に使われないようになっています。この点について AUR カーネルの多くは Arch の公式[[カーネル]]と同じようになっています。
 
   
  +
以下のセクションでは {{ic|''cpu_manufacturer''}} の部分をあなたの CPU の製造業者名に置き換えてください、例: {{ic|amd}} か {{ic|intel}}。
アップデートを有効にするにはブートローダーの設定ファイルに {{ic|/boot/amd-ucode.img}} または {{ic|/boot/intel-ucode.img}} を一番目の initrd として追加する必要があります。通常の initrd ファイルとは別に追加します。
 
   
  +
{{Tip|[[リムーバブルメディアに Arch Linux をインストール|リムーバブルドライブ上の Arch Linux]] をこれらのプロセッサの両方で動かす可能性がある場合、両方のパッケージをインストールし両方のマイクロコードファイルを {{ic|initrd}} としてブートローダの設定に追加してください。initramfs イメージよりも前に指定していればファイルの順番は関係ありません。}}
{{Note|以下のセクションで出てくる {{ic|''cpu_manufacturer''}} はあなたが使っている CPU のメーカー名 ({{ic|amd}} または {{ic|intel}}) に置き換えてください。}}
 
   
  +
=== 設定 ===
{{Tip|[[USB キーに Arch Linux をインストール|リムーバブルドライブ]]に Arch Linux をインストールする場合、ブートローダーの設定にマイクロコードファイルを両方とも {{ic|initrd}} で追加してください。initramfs イメージよりも前に指定していればファイルの順番は関係ありません。}}
 
   
  +
==== カスタムカーネルでマイクロコードの早期ロードを有効化 ====
=== GRUB ===
 
   
  +
カスタムカーネルでロードを行うには、"CPU microcode loading support" をカーネルに組み込む必要があります。モジュールとしてコンパイルしても動作しません。"Early load microcode" プロンプトが有効になるので "Y" に設定してください。
==== 自動ロード ====
 
   
  +
CONFIG_BLK_DEV_INITRD=Y
''grub-mkconfig'' が自動的にマイクロコードのアップデートを処理します。マイクロコードのパッケージをインストールした後に以下のコマンドを実行して、grub の設定を再生成し、マイクロコードのアップデートのロードを有効にしてください:
 
  +
CONFIG_MICROCODE=y
  +
CONFIG_MICROCODE_INTEL=Y
  +
CONFIG_MICROCODE_AMD=y
   
  +
==== GRUB ====
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
 
   
  +
''grub-mkconfig'' はマイクロコードのアップデートを自動的に検出し、[[GRUB]] を適切に設定します。マイクロコードのインストール後に以下を実行して GRUB 設定ファイルを再生成し、マイクロコードアップデートのロードを有効化してください:
==== 手動ロード ====
 
  +
  +
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
   
もしくは、[[GRUB]] 設定ファイルを手動で管理し場合、以下のように {{ic|grub.cfg}} に {{ic|/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img}} ({{ic|/boot}} パーティションを分けている場合は {{ic|/''cpu_manufacturer''-ucode.img}}) を追加します:
+
あるいは、GRUB 設定ファイルを手動で管理しるユーザは、以下のように {{ic|/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img}} を追加できます(別のパーティションに {{ic|/boot}} がある場合は {{ic|/''cpu_manufacturer''-ucode.img}}):
   
 
{{hc|/boot/grub/grub.cfg|
 
{{hc|/boot/grub/grub.cfg|
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}}
 
}}
   
すべてのメニュエントリに追加してください。
+
それぞれのメニュエントリにてこれを行ってください。
   
=== systemd-boot ===
+
==== systemd-boot ====
   
 
以下のように初期 RAM ディスクの前に {{ic|initrd}} オプションを使ってマイクロコードをロード:
 
以下のように初期 RAM ディスクの前に {{ic|initrd}} オプションを使ってマイクロコードをロード:
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}}
 
}}
   
最新のマイクロコード {{ic|''cpu_manufacturer''-ucode.img}} 起動時に [[EFI システムパーティション]]に必要となりま。{{Pkg|amd-ucode}} または {{Pkg|intel-ucode}} を更新したときはマイクロコードが更新されるように {{ic|/boot}} に ESP をマウントしてください。もしくは ESP に {{ic|/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img}} をコピーしてください。
+
最新のマイクロコード {{ic|''cpu_manufacturer''-ucode.img}} 起動時に [[EFI システムパーティション]] (ESP) 存在していなければなりません。{{Pkg|amd-ucode}} または {{Pkg|intel-ucode}} を更新したときはマイクロコードが更新されるように {{ic|/boot}} に ESP をマウントしてください。もしくは、マイクロコードパッケージのアップデートがあるたびに ESP に {{ic|/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img}} をコピーしてください。
   
=== EFI トスタブ===
+
==== Unified ネルイメージ ====
   
  +
[[Unified カーネルイメージ#手動で]] を見てください。
{{ic|1=initrd=}} オプションを2つ追加:
 
   
  +
==== EFISTUB ====
'''initrd=/''cpu_manufacturer''-ucode.img''' initrd=/initramfs-linux.img
 
   
  +
2つの {{ic|1=initrd=}} オプションを末尾に追加してください:
全ての initrd とコマンドライン、カーネルを含む[[systemd-boot#/EFI/Linux のカーネルの準備|ひとつのファイルとしてカーネルを生成した]]場合、まず以下のように新しい initrd を作成して統合してください:
 
   
  +
'''initrd=\''cpu_manufacturer''-ucode.img''' initrd=\initramfs-linux.img
{{bc|1=
 
  +
cat /boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img /boot/initramfs-linux.img > my_new_initrd
 
  +
==== rEFInd ====
objcopy ... --add-section .initrd=my_new_initrd
 
}}
 
   
  +
{{ic|/boot/refind_linux.conf}} のブートオプションを編集し、{{ic|1=initrd=boot\''cpu_manufacturer''-ucode.img}} を最初の initramfs として追加してください( {{ic|/boot}} が別のパーティションに存在する場合は {{ic|1=initrd=''cpu_manufacturer''-ucode.img}})。例えば:
=== rEFInd ===
 
   
  +
"Boot using default options" "root=PARTUUID=''XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX'' rw add_efi_memmap '''initrd=boot\''cpu_manufacturer''-ucode.img''' initrd=boot\initramfs-%v.img"
次のように {{ic|/boot/refind_linux.conf}} のブートオプションを編集します:
 
   
  +
{{Tip|以前に {{ic|initrd}} カーネルパラメータを指定しなかったユーザは、複数の {{ic|initrd}} パラメータを渡すために [[rEFInd#設定]] で説明されている手順に従う必要があります。}}
"Boot using default options" "root=PARTUUID=''XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX'' rw add_efi_memmap '''initrd=/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img''' initrd=/boot/initramfs-%v.img"
 
   
 
[[rEFInd#手動でブートエントリを記述|手動]]で {{ic|''esp''/EFI/refind/refind.conf}} にカーネルを定義している場合はメインの部分ではなく options 行に {{ic|/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img}} ({{ic|/boot}} パーティションを分けている場合は {{ic|/''cpu_manufacturer''-ucode.img}}) を追加してください。例:
 
[[rEFInd#手動でブートエントリを記述|手動]]で {{ic|''esp''/EFI/refind/refind.conf}} にカーネルを定義している場合はメインの部分ではなく options 行に {{ic|/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img}} ({{ic|/boot}} パーティションを分けている場合は {{ic|/''cpu_manufacturer''-ucode.img}}) を追加してください。例:
   
options "root=PARTUUID=''XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX'' rw add_efi_memmap '''initrd=/boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img'''"
+
options "root=PARTUUID=''XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX'' rw add_efi_memmap '''initrd=boot\''cpu_manufacturer''-ucode.img'''"
   
=== Syslinux ===
+
==== Syslinux ====
   
{{Note|initrd ファイルの {{ic|''cpu_manufacturer''-ucode.img}} と {{ic|initramfs-linux}} の間に空白は挟まないで下さい。以下の記述そのままに編集するようにてください。}}
+
{{Note|initrd ファイルの {{ic|''cpu_manufacturer''-ucode.img}} と {{ic|initramfs-linux}} の間に空白は挟まないで下さい。{{ic|INITRD}} の行は以下の記述そのままに編集しなければなりません。}}
   
 
{{ic|/boot/syslinux/syslinux.cfg}} で複数の initrd をカンマで区切って指定できます:
 
{{ic|/boot/syslinux/syslinux.cfg}} で複数の initrd をカンマで区切って指定できます:
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...
 
...
   
=== LILO ===
+
==== LILO ====
   
 
[[LILO]] などの旧式のブートローダーは複数の initrd イメージをサポートしていません。そのような場合 {{ic|''cpu_manufacturer''-ucode.img}} と {{ic|initramfs-linux.img}} をひとつのイメージにまとめる必要があります。
 
[[LILO]] などの旧式のブートローダーは複数の initrd イメージをサポートしていません。そのような場合 {{ic|''cpu_manufacturer''-ucode.img}} と {{ic|initramfs-linux.img}} をひとつのイメージにまとめる必要があります。
109行目: 117行目:
   
 
ふたつのイメージを {{ic|initramfs-merged.img}} という名前のイメージにマージするには、以下のコマンドを使用:
 
ふたつのイメージを {{ic|initramfs-merged.img}} という名前のイメージにマージするには、以下のコマンドを使用:
  +
 
 
# cat /boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img /boot/initramfs-linux.img > /boot/initramfs-merged.img
 
# cat /boot/''cpu_manufacturer''-ucode.img /boot/initramfs-linux.img > /boot/initramfs-merged.img
   
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root で {{ic|lilo}} を実行してください:
 
root で {{ic|lilo}} を実行してください:
  +
 
 
# lilo
 
# lilo
   
== 起動後にマイクードをアップデート ==
+
== 遅延ロード ==
   
  +
{{Warning|1=マイクロコードの遅延ロードは危険であるとみなされています(Linux 5.19 で遅延ロードを行うとカーネルが汚染(taint)されます)。[https://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/torvalds/linux.git/commit/?id=9784edd73a08ea08d0ce5606e1f0f729df688c59]}}
システムを起動した後にマイクロコードのアップデートをロードすることもできます。{{ic|/usr/lib/firmware/amd-ucode/}} と {{ic|/usr/lib/firmware/intel-ucode/}} のファイルを使用します。
 
   
  +
マイクロコードアップデートの遅延ロードはシステムの起動後に行われます。{{ic|/usr/lib/firmware/amd-ucode/}} と {{ic|/usr/lib/firmware/intel-ucode/}} 内のファイルが使用されます。Linux 5.19+ で遅延ロードを行うには、{{ic|1=CONFIG_MICROCODE_LATE_LOADING=y}} でカーネルをビルドする必要があります。
AMD プロセッサの場合、マイクロコードのアップデートファイルは {{Pkg|linux-firmware}} によって提供されます。
 
   
Intel プロセッサの場合、マイクロコードのアップデートファイルが含まれるパッケージありません ({{Bug|59841}})。起動後ロードするには Intel が提供しているアーカイブから手動で {{ic|intel-ucode/}} を抽出する必要があります。
+
AMD プロセッサの場合、マイクロコードのアップデートファイルは {{Pkg|linux-firmware}} より提供されます。
   
  +
Intel プロセッサの場合、マイクロコードのアップデートファイルが含まれるパッケージはありません ({{Bug|59841}})。遅延ロードするには [https://github.com/intel/Intel-Linux-Processor-Microcode-Data-Files/releases Intel が提供しているアーカイブ]から手動で {{ic|intel-ucode/}} を抽出する必要があります。
=== マイクロコードのアップデートを有効にする ===
 
   
  +
=== マイクロコードの遅延アップデートを有効化 ===
起動初期のロードとは異なり、起動後のマイクロコードのアップデートのロードは Arch Linux ではデフォルトで有効になっており {{ic|/usr/lib/tmpfiles.d/linux-firmware.conf}} を使用します。起動後に {{man|8|systemd-tmpfiles-setup.service}} によってファイルが読み込まれて CPU のマイクロコードが更新されます。
 
   
  +
早期ロードとは異なり、マイクロコードアップデートの遅延ロードは Arch Linux ではデフォルトで有効になっており {{ic|/usr/lib/tmpfiles.d/linux-firmware.conf}} を使用します。起動後に {{man|8|systemd-tmpfiles-setup.service}} によってファイルが読み込まれて CPU のマイクロコードが更新されます。
実行中のシステムで手動でマイクロコードをアップデートするには:
 
  +
  +
実行中のシステムで手動でマイクロコードをアップデートするには(例: {{ic|/usr/lib/firmware/amd-ucode/}} か {{ic|/usr/lib/firmware/intel-ucode/}} 内のマイクロコードファイルをアップデートした後):
   
 
# echo 1 > /sys/devices/system/cpu/microcode/reload
 
# echo 1 > /sys/devices/system/cpu/microcode/reload
   
のコマンドを使えば {{Pkg|linux-firmware}} が更新さたときにシステムを再起動することなくマイクロコードのアップデートを適用することができます。[[pacman フック]]を使って自動的にコマンドを実行することも可能です:
+
これにより、システムを再起動せずに新しいマイクロコードのアップデートを適用できます。
   
  +
=== マイクロコードの遅延アップデートを無効化 ===
{{hc|/etc/pacman.d/hooks/microcode_reload.hook|2=
 
[Trigger]
 
Operation = Install
 
Operation = Upgrade
 
Operation = Remove
 
Type = File
 
Target = usr/lib/firmware/amd-ucode/*
 
   
  +
AMD 環境では {{Pkg|amd-ucode}} がインストールされてなくても、{{ic|/usr/lib/firmware/amd-ucode/}} 内のファイルが {{Pkg|linux-firmware}} パッケージにより提供されるため、CPU のマイクロコードはアップデートされてしまいます ({{Bug|59840}})。
[Action]
 
Description = Applying CPU microcode updates...
 
When = PostTransaction
 
Depends = sh
 
Exec = /bin/sh -c 'echo 1 > /sys/devices/system/cpu/microcode/reload'
 
}}
 
   
=== マイクロコードのアップデートを無効にする ===
+
[[仮想マシン]]と[[Wikipedia:Container (virtualization)|コンテナ]]では({{Bug|46591}})、CPU のマイクロコードをアップできません。なので、マイクロコードのアップデートを無効化したほうが良いでしょう。
   
AMD 環境では {{Pkg|amd-ucode}} がインストールされてなくても {{Pkg|linux-firmware}} にファイルが含まれているため CPU のマイクロコードはアップデートされてしまいます ({{Bug|59840}})。起動後のロードを無効にしたい場合 {{ic|/usr/lib/tmpfiles.d/linux-firmware.conf}} を無効にしてください。{{ic|/etc/tmpfiles.d/}} に同名のファイルを作成することで無効化できます:
+
マイクロコードの危険な遅延ロードを無効にしたい場合、{{Pkg|linux-firmware}} により提供される {{ic|/usr/lib/tmpfiles.d/linux-firmware.conf}} [[tmpfiles|tmpfile]]上書きしてください。{{ic|/etc/tmpfiles.d/}} に同名のファイルを作成することで無効化できます:
   
 
# ln -s /dev/null /etc/tmpfiles.d/linux-firmware.conf
 
# ln -s /dev/null /etc/tmpfiles.d/linux-firmware.conf
  +
  +
== initramfs に埋め込まれたマイクロコード ==
  +
  +
使用中の initramfs ジェネレータがすでに [https://docs.kernel.org/x86/microcode.html#early-load-microcode マイクロコード cpio を initramfs に付加しているのであれば]、[[#早期ロード]]と[[#遅延ロード]]は必要ありません。例えば、[[dracut]] はデフォルトでこれを行います。{{man|5|dracut.conf|DESCRIPTION}} を見てください。
  +
  +
{{Expansion|What about mkinitcpio and Booster?}}
  +
{{Accuracy|[[#カスタムカーネルでマイクロコードの早期ロードを有効化]] の場合は?}}
  +
{{Expansion|The [[#top|introduction]] does not cover this section.}}
   
 
== 起動時にマイクロコードのアップデートがされたか確認する ==
 
== 起動時にマイクロコードのアップデートがされたか確認する ==
   
マイクロコードがアップデートされたかどうか確認するには {{ic|/usr/bin/dmesg}}使用ます:
+
マイクロコードがアップデートされたかどうか確認するには ''journalctl'' でカーネルメッセージ確認てください:
$ dmesg | grep microcode
 
   
  +
# journalctl -k --grep=microcode
Intel が載っているシステムでは、マイクロコードのアップデートがされていると以下のような表示がされます:
 
   
  +
Intel が載っているシステムでは、起動時に以下のような表示がされます(以下ではマイクロコードが非常に早い段階でアップデートされていることを示しています):
[ 0.000000] CPU0 microcode updated early to revision 0x1b, date = 2014-05-29
 
  +
[ 0.221951] CPU1 microcode updated early to revision 0x1b, date = 2014-05-29
 
[ 0.242064] CPU2 microcode updated early to revision 0x1b, date = 2014-05-29
+
microcode: microcode updated early to revision 0xde, date = 2020-05-18
[ 0.262349] CPU3 microcode updated early to revision 0x1b, date = 2014-05-29
+
microcode: sig=0x806ec, pf=0x80, revision=0xde
[ 0.507267] microcode: CPU0 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
+
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
[ 0.507272] microcode: CPU1 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
 
[ 0.507276] microcode: CPU2 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
 
[ 0.507281] microcode: CPU3 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
 
[ 0.507286] microcode: CPU4 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
 
[ 0.507292] microcode: CPU5 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
 
[ 0.507296] microcode: CPU6 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
 
[ 0.507300] microcode: CPU7 sig=0x306a9, pf=0x2, revision=0x1b
 
[ 0.507335] microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
 
   
 
{{Note|表示される日付は {{pkg|intel-ucode}} パッケージのバージョンとは対応しません。Intel がマイクロコードのアップデートを行った最後の日付が表示されます。}}
 
{{Note|表示される日付は {{pkg|intel-ucode}} パッケージのバージョンとは対応しません。Intel がマイクロコードのアップデートを行った最後の日付が表示されます。}}
186行目: 184行目:
 
最新のハードウェアの場合、CPU のマイクロコードアップデートが存在しないという可能性も考えられます。そのときは、以下のような出力がなされます:
 
最新のハードウェアの場合、CPU のマイクロコードアップデートが存在しないという可能性も考えられます。そのときは、以下のような出力がなされます:
   
[ 0.292893] microcode: CPU0 sig=0x306c3, pf=0x2, revision=0x1c
+
microcode: sig=0x806ec, pf=0x80, revision=0xde
[ 0.292899] microcode: CPU1 sig=0x306c3, pf=0x2, revision=0x1c
+
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
[ 0.292906] microcode: CPU2 sig=0x306c3, pf=0x2, revision=0x1c
 
[ 0.292912] microcode: CPU3 sig=0x306c3, pf=0x2, revision=0x1c
 
[ 0.292956] microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
 
   
AMD 環境で起動初期にマイクロコードをアップデしている場合、以下のように出力されます:
+
AMD 環境でマイクロコードを早期ロしている場合、以下のように出力されます:
   
[ 2.119089] microcode: microcode updated early to new patch_level=0x0700010f
+
microcode: microcode updated early to new patch_level=0x0700010f
[ 2.119157] microcode: CPU0: patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU0: patch_level=0x0700010f
[ 2.119171] microcode: CPU1: patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU1: patch_level=0x0700010f
[ 2.119183] microcode: CPU2: patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU2: patch_level=0x0700010f
[ 2.119189] microcode: CPU3: patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU3: patch_level=0x0700010f
[ 2.119269] microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
+
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
   
 
AMD 環境で起動後にマイクロコードをアップデートしている場合、古いマイクロコードのバージョンが表示されてからマイクロコードがリロードされ、新しいマイクロコードのバージョンが表示されます。例:
 
AMD 環境で起動後にマイクロコードをアップデートしている場合、古いマイクロコードのバージョンが表示されてからマイクロコードがリロードされ、新しいマイクロコードのバージョンが表示されます。例:
   
[ 2.112919] microcode: CPU0: patch_level=0x0700010b
+
microcode: CPU0: patch_level=0x0700010b
[ 2.112931] microcode: CPU1: patch_level=0x0700010b
+
microcode: CPU1: patch_level=0x0700010b
[ 2.112940] microcode: CPU2: patch_level=0x0700010b
+
microcode: CPU2: patch_level=0x0700010b
[ 2.112951] microcode: CPU3: patch_level=0x0700010b
+
microcode: CPU3: patch_level=0x0700010b
[ 2.113043] microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
+
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
[ 6.429109] microcode: CPU2: new patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU2: new patch_level=0x0700010f
[ 6.430416] microcode: CPU0: new patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU0: new patch_level=0x0700010f
[ 6.431722] microcode: CPU1: new patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU1: new patch_level=0x0700010f
[ 6.433029] microcode: CPU3: new patch_level=0x0700010f
+
microcode: CPU3: new patch_level=0x0700010f
[ 6.433073] x86/CPU: CPU features have changed after loading microcode, but might not take effect.
+
x86/CPU: CPU features have changed after loading microcode, but might not take effect.
   
 
== マイクロコードのアップデートができる CPU ==
 
== マイクロコードのアップデートができる CPU ==
   
特定のモデルがサポートされているのかどうかは以下のリンクから Intel や AMD のサイトで確認することができます:
+
特定のモデルがサポートされているのかどうかは以下のリンクから Intel のサイトや AMD の Gentoo Wiki サイトで確認することができます:
   
  +
* [[Gentoo:AMD microcode#Specific firmware only]]。
* [http://www.amd64.org/microcode.html AMD の Operating System Research Center]。
 
 
* [https://downloadcenter.intel.com/SearchResult.aspx?lang=eng&keyword=processor%20microcode%20data%20file Intel のダウンロードセンター]。
 
* [https://downloadcenter.intel.com/SearchResult.aspx?lang=eng&keyword=processor%20microcode%20data%20file Intel のダウンロードセンター]。
   
 
=== マイクロコードのアップデートが必要かどうか確認する ===
 
=== マイクロコードのアップデートが必要かどうか確認する ===
   
{{Pkg|iucode-tool}} を使って、使用している cpu のマイクロコードイメージが {{ic|intel-ucode.img}} に含まれているかどうか確認できます:
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{{Pkg|iucode-tool}} を使って、使用している CPU のマイクロコードイメージが {{ic|intel-ucode.img}} に含まれているかどうか確認できます
   
* {{Pkg|intel-ucode}} を[[インストール]] (アップデートがあるかどうか確認するのに initrd の変更は必要ありません)
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# {{Pkg|intel-ucode}} を[[インストール]] (アップデートがあるかどうか確認するのに initrd の変更は必要ありません)
* {{Pkg|iucode-tool}} を[[インストール]]
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# {{Pkg|iucode-tool}} を[[インストール]]
* {{ic|# modprobe cpuid}}
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# {{ic|cpuid}} カーネルモジュールをロード: {{bc|# modprobe cpuid}}
* {{ic|<nowiki># bsdtar -Oxf /boot/intel-ucode.img | iucode_tool -tb -lS - </nowiki>}}<br />(マイクロコードイメージを展開して cpuid を検索します)
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# マイクロコードイメージを展開して cpuid で検索:<br/>{{bc|# bsdtar -Oxf /boot/intel-ucode.img {{!}} iucode_tool -tb -lS -}}
* アップデートが存在する場合は、''selected microcodes'' の下に表示されます。
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# アップデートが存在する場合は、''selected microcodes'' の下に表示されます。
* メーカーの BIOS にマイクロコードが既に含まれていてロードされたことが dmesg に表示されていない可能性もあります。{{ic|grep microcode /proc/cpuinfo}} を実行して現在のマイクロコードを比較してください。
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# メーカーの BIOS にマイクロコードが既に含まれていてロードされたことが ''dmesg'' に表示されていない可能性もあります。{{ic|grep microcode /proc/cpuinfo}} を実行して現在のマイクロコードを比較してください。
 
== カスタムカーネルで Intel のマイクロコードのロードを有効にする ==
 
 
カスタムカーネルでロードを行うには、"CPU microcode loading support" をカーネルに組み込む必要があります。モジュールとしてコンパイルしても動作しません。"Early load microcode" プロンプトが有効になるので "Y" に設定してください。
 
 
CONFIG_BLK_DEV_INITRD=Y
 
CONFIG_MICROCODE=y
 
CONFIG_MICROCODE_INTEL=Y
 
CONFIG_MICROCODE_AMD=y
 
   
 
== 参照 ==
 
== 参照 ==
   
* [https://flossexperiences.wordpress.com/2013/11/17/updating-microcodes/ Updating microcodes]
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* [https://flossexperiences.wordpress.com/2013/11/17/updating-microcodes/ Updating microcodes – Experiences in the community]
* [http://inertiawar.com/microcode/ Intel によるマイクロコードアップデートのノート]
+
* [http://inertiawar.com/microcode/ Intel マイクロコードアップデートのノート – Ben Hawkes]
* [https://www.kernel.org/doc/Documentation/x86/microcode.txt マイクロコードカーネルドキュメント]
+
* [https://docs.kernel.org/x86/microcode.html カーネルマイクロコードローダ – カーネルドキュメント]
* [http://www.anandtech.com/show/8376/intel-disables-tsx-instructions-erratum-found-in-haswell-haswelleep-broadwelly Haswell/Broadwell で見つかったエラッタ]
+
* [https://www.anandtech.com/show/8376/intel-disables-tsx-instructions-erratum-found-in-haswell-haswelleep-broadwelly Haswell/Broadwell で見つかったエラッタ – AnandTech]
 
* [https://gitlab.com/iucode-tool/iucode-tool iucode-tool GitLab プロジェクト]
 
* [https://gitlab.com/iucode-tool/iucode-tool iucode-tool GitLab プロジェクト]

2022年7月12日 (火) 06:18時点における版

プロセッサの製造者はプロセッサマイクロコードに安定性とセキュリティのアップデートをリリースしています。そのようなアップデートには、システムの安定性に深く関わるバグフィックスが含まれています。これがないと、追跡困難な疑わしいクラッシュや予期しないシステム停止を引き起こす場合があります。

AMD や Intel CPU を持つすべてのユーザは、システムの安定性を確保するためにマイクロコードのアップデートをインストールすべきです。

通常、マイクロコードのアップデートはマザーボードのファームウェアに同梱されており、ファームウェアの初期化中に適用されます。しかし、OEM はファームウェアのアップデートをタイムリーにリリースしないかもしれない上、古いシステムでは新しいファームウェアアップデートは全くリリースされないので、起動中に CPU マイクロコードアップデートを適用する機能が Linux カーネルに追加されました。Linux マイクロコードローダは3つの方法をサポートします:

  1. 早期ロード は、起動中の非常に早い段階(initramfs ステージよりも前)でマイクロコードをアップデートします。なので、これは推奨される方法です。Intel の Haswell や Broadwell プロセッサファミリのように CPU に深刻なハードウェアバグが存在する場合、これは必須です。
  2. 遅延ロード(危険) は、起動後にマイクロコードをアップデートします。CPU がバグのある命令セットの使用をすでに試みたかもしれないので、これでは遅すぎる可能性があります。「早期ロード」をすでに使用している場合でも、「遅延ロード」を使用して再起動せずに新しいマイクロコードのアップデートを適用できます。
  3. 組み込みマイクロコード はカーネルにコンパイルされます。早期ローダ(early loader)により適用されます。

早期ロード

インストール

プロセッサに応じて以下のパッケージをインストールしてください:

マイクロコードはブートローダーによって読み込まれなければなりません。初期ブート設定はユーザによって様々なので、マイクロコードのアップデートは Arch のデフォルト設定では自動的にトリガーされない場合があります。この点について AUR カーネルの多くは Arch の公式カーネルと同じようになっています。

アップデートを有効にするには、/boot/amd-ucode.img または /boot/intel-ucode.imgブートローダーの設定ファイルの 一番目の initrd として追加しなければなりません。これは、通常の initrd ファイルよりも前です。一般的なブートローダの場合における手順は以下を見てください。

以下のセクションでは cpu_manufacturer の部分をあなたの CPU の製造業者名に置き換えてください、例: amdintel

ヒント: リムーバブルドライブ上の Arch Linux をこれらのプロセッサの両方で動かす可能性がある場合、両方のパッケージをインストールし両方のマイクロコードファイルを initrd としてブートローダの設定に追加してください。initramfs イメージよりも前に指定していればファイルの順番は関係ありません。

設定

カスタムカーネルでマイクロコードの早期ロードを有効化

カスタムカーネルでロードを行うには、"CPU microcode loading support" をカーネルに組み込む必要があります。モジュールとしてコンパイルしても動作しません。"Early load microcode" プロンプトが有効になるので "Y" に設定してください。

CONFIG_BLK_DEV_INITRD=Y
CONFIG_MICROCODE=y
CONFIG_MICROCODE_INTEL=Y
CONFIG_MICROCODE_AMD=y

GRUB

grub-mkconfig はマイクロコードのアップデートを自動的に検出し、GRUB を適切に設定します。マイクロコードのインストール後に以下を実行して GRUB 設定ファイルを再生成し、マイクロコードアップデートのロードを有効化してください:

# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg

あるいは、GRUB 設定ファイルを手動で管理しているユーザは、以下のように /boot/cpu_manufacturer-ucode.img を追加できます(別のパーティションに /boot がある場合は /cpu_manufacturer-ucode.img):

/boot/grub/grub.cfg
...
echo 'Loading initial ramdisk'
initrd	/boot/cpu_manufacturer-ucode.img /boot/initramfs-linux.img
...

それぞれのメニュエントリに対してこれを行ってください。

systemd-boot

以下のように初期 RAM ディスクの前に initrd オプションを使ってマイクロコードをロード:

/boot/loader/entries/entry.conf
title   Arch Linux
linux   /vmlinuz-linux
initrd  /cpu_manufacturer-ucode.img
initrd  /initramfs-linux.img
...

最新のマイクロコード cpu_manufacturer-ucode.img は起動時に EFI システムパーティション (ESP) に存在していなければなりません。amd-ucode または intel-ucode を更新したときはマイクロコードが更新されるように /boot に ESP をマウントしてください。もしくは、マイクロコードパッケージのアップデートがあるたびに ESP に /boot/cpu_manufacturer-ucode.img をコピーしてください。

Unified カーネルイメージ

Unified カーネルイメージ#手動で を見てください。

EFISTUB

2つの initrd= オプションを末尾に追加してください:

initrd=\cpu_manufacturer-ucode.img initrd=\initramfs-linux.img

rEFInd

/boot/refind_linux.conf のブートオプションを編集し、initrd=boot\cpu_manufacturer-ucode.img を最初の initramfs として追加してください( /boot が別のパーティションに存在する場合は initrd=cpu_manufacturer-ucode.img)。例えば:

"Boot using default options"     "root=PARTUUID=XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX rw add_efi_memmap initrd=boot\cpu_manufacturer-ucode.img initrd=boot\initramfs-%v.img"
ヒント: 以前に initrd カーネルパラメータを指定しなかったユーザは、複数の initrd パラメータを渡すために rEFInd#設定 で説明されている手順に従う必要があります。

手動esp/EFI/refind/refind.conf にカーネルを定義している場合はメインの部分ではなく options 行に /boot/cpu_manufacturer-ucode.img (/boot パーティションを分けている場合は /cpu_manufacturer-ucode.img) を追加してください。例:

options  "root=PARTUUID=XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX rw add_efi_memmap initrd=boot\cpu_manufacturer-ucode.img"

Syslinux

ノート: initrd ファイルの cpu_manufacturer-ucode.imginitramfs-linux の間に空白は挟まないで下さい。INITRD の行は以下の記述そのままに編集しなければなりません。

/boot/syslinux/syslinux.cfg で複数の initrd をカンマで区切って指定できます:

LABEL arch
    MENU LABEL Arch Linux
    LINUX ../vmlinuz-linux
    INITRD ../cpu_manufacturer-ucode.img,../initramfs-linux.img
...

LILO

LILO などの旧式のブートローダーは複数の initrd イメージをサポートしていません。そのような場合 cpu_manufacturer-ucode.imginitramfs-linux.img をひとつのイメージにまとめる必要があります。

警告: カーネルをアップデートするたびに毎回イメージをマージして再生成する必要があります。
ノート: イメージの順番は重要です。オリジナルのイメージである initramfs-linuxcpu_manufacturer-ucode.img イメージよりも先に来るように結合する必要があります。

ふたつのイメージを initramfs-merged.img という名前のイメージにマージするには、以下のコマンドを使用:

# cat /boot/cpu_manufacturer-ucode.img /boot/initramfs-linux.img > /boot/initramfs-merged.img

マージできたら /etc/lilo.conf を編集して新しいイメージをロードします:

...
initrd=/boot/initramfs-merged.img
...

root で lilo を実行してください:

# lilo

遅延ロード

警告: マイクロコードの遅延ロードは危険であるとみなされています(Linux 5.19 で遅延ロードを行うとカーネルが汚染(taint)されます)。[1]

マイクロコードアップデートの遅延ロードはシステムの起動後に行われます。/usr/lib/firmware/amd-ucode//usr/lib/firmware/intel-ucode/ 内のファイルが使用されます。Linux 5.19+ で遅延ロードを行うには、CONFIG_MICROCODE_LATE_LOADING=y でカーネルをビルドする必要があります。

AMD プロセッサの場合、マイクロコードのアップデートファイルは linux-firmware により提供されます。

Intel プロセッサの場合、マイクロコードのアップデートファイルが含まれるパッケージはありません (FS#59841)。遅延ロードするには Intel が提供しているアーカイブから手動で intel-ucode/ を抽出する必要があります。

マイクロコードの遅延アップデートを有効化

早期ロードとは異なり、マイクロコードアップデートの遅延ロードは Arch Linux ではデフォルトで有効になっており /usr/lib/tmpfiles.d/linux-firmware.conf を使用します。起動後に systemd-tmpfiles-setup.service(8) によってファイルが読み込まれて CPU のマイクロコードが更新されます。

実行中のシステムで手動でマイクロコードをアップデートするには(例: /usr/lib/firmware/amd-ucode//usr/lib/firmware/intel-ucode/ 内のマイクロコードファイルをアップデートした後):

# echo 1 > /sys/devices/system/cpu/microcode/reload

これにより、システムを再起動せずに新しいマイクロコードのアップデートを適用できます。

マイクロコードの遅延アップデートを無効化

AMD 環境では amd-ucode がインストールされてなくても、/usr/lib/firmware/amd-ucode/ 内のファイルが linux-firmware パッケージにより提供されるため、CPU のマイクロコードはアップデートされてしまいます (FS#59840)。

仮想マシンコンテナでは(FS#46591)、CPU のマイクロコードをアップできません。なので、マイクロコードのアップデートを無効化したほうが良いでしょう。

マイクロコードの危険な遅延ロードを無効にしたい場合、linux-firmware により提供される /usr/lib/tmpfiles.d/linux-firmware.conf tmpfile を上書きしてください。/etc/tmpfiles.d/ に同名のファイルを作成することで無効化できます:

# ln -s /dev/null /etc/tmpfiles.d/linux-firmware.conf

initramfs に埋め込まれたマイクロコード

使用中の initramfs ジェネレータがすでに マイクロコード cpio を initramfs に付加しているのであれば#早期ロード#遅延ロードは必要ありません。例えば、dracut はデフォルトでこれを行います。dracut.conf(5) § DESCRIPTION を見てください。

この記事またはセクションは加筆を必要としています。
理由: What about mkinitcpio and Booster? (議論: トーク:マイクロコード#)
この記事またはセクションの正確性には問題があります。
この記事またはセクションは加筆を必要としています。
理由: The introduction does not cover this section. (議論: トーク:マイクロコード#)

起動時にマイクロコードのアップデートがされたか確認する

マイクロコードがアップデートされたかどうか確認するには journalctl でカーネルメッセージを確認してください:

# journalctl -k --grep=microcode

Intel が載っているシステムでは、起動時に以下のような表示がされます(以下ではマイクロコードが非常に早い段階でアップデートされていることを示しています):

microcode: microcode updated early to revision 0xde, date = 2020-05-18
microcode: sig=0x806ec, pf=0x80, revision=0xde
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
ノート: 表示される日付は intel-ucode パッケージのバージョンとは対応しません。Intel がマイクロコードのアップデートを行った最後の日付が表示されます。

最新のハードウェアの場合、CPU のマイクロコードアップデートが存在しないという可能性も考えられます。そのときは、以下のような出力がなされます:

microcode: sig=0x806ec, pf=0x80, revision=0xde
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.

AMD 環境でマイクロコードを早期ロードしている場合、以下のように出力されます:

microcode: microcode updated early to new patch_level=0x0700010f
microcode: CPU0: patch_level=0x0700010f
microcode: CPU1: patch_level=0x0700010f
microcode: CPU2: patch_level=0x0700010f
microcode: CPU3: patch_level=0x0700010f
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.

AMD 環境で起動後にマイクロコードをアップデートしている場合、古いマイクロコードのバージョンが表示されてからマイクロコードがリロードされ、新しいマイクロコードのバージョンが表示されます。例:

microcode: CPU0: patch_level=0x0700010b
microcode: CPU1: patch_level=0x0700010b
microcode: CPU2: patch_level=0x0700010b
microcode: CPU3: patch_level=0x0700010b
microcode: Microcode Update Driver: v2.2.
microcode: CPU2: new patch_level=0x0700010f
microcode: CPU0: new patch_level=0x0700010f
microcode: CPU1: new patch_level=0x0700010f
microcode: CPU3: new patch_level=0x0700010f
x86/CPU: CPU features have changed after loading microcode, but might not take effect.

マイクロコードのアップデートができる CPU

特定のモデルがサポートされているのかどうかは以下のリンクから Intel のサイトや AMD の Gentoo Wiki サイトで確認することができます:

マイクロコードのアップデートが必要かどうか確認する

iucode-tool を使って、使用している CPU のマイクロコードイメージが intel-ucode.img に含まれているかどうか確認できます。

  1. intel-ucodeインストール (アップデートがあるかどうか確認するのに initrd の変更は必要ありません)
  2. iucode-toolインストール
  3. cpuid カーネルモジュールをロード:
    # modprobe cpuid
  4. マイクロコードイメージを展開して cpuid で検索:
    # bsdtar -Oxf /boot/intel-ucode.img | iucode_tool -tb -lS -
  5. アップデートが存在する場合は、selected microcodes の下に表示されます。
  6. メーカーの BIOS にマイクロコードが既に含まれていてロードされたことが dmesg に表示されていない可能性もあります。grep microcode /proc/cpuinfo を実行して現在のマイクロコードを比較してください。

参照