RAR
RAR (と UNRAR) は WinRAR のコマンドライン版の Linux 移植です。i686 と x86-64 の両方で使えます。
目次
主な特徴
- 冗長データ (「リカバリレコード」または「リカバリボリューム」) をアーカイブに追加することで、破損しにくくすることができます。例えばアーカイブの一部が壊れても、リカバリレコードが十分にあれば保存されているデータを全てリカバリすることが可能です。その点、Tar にこのような機能はありません。
- RAR は分割ボリュームを効率的に処理することができます。マルチボリュームファイルのサポートが組み込まれているため、解凍プログラムはユーザーに次の .partXXX RAR ファイルを要求するだけでよく、手動で断片化されたファイルをコピーして結合したり、ひとつのファイルを抽出するのに全てのファイルを集める必要がありません。RAR はテープをサポートしていません。シークを使ってファイルの名前を変更するためです。
- RAR アーカイブにはソリッドフォーマットがあり、圧縮されたファイルをすべてひとつのデータブロックとして扱うことができます。最近の圧縮フォーマットは大抵ソリッド構造を取れるようになっています (旧式の ZIP は除く)。
- 強固な暗号化機能。古いバージョンのファイルフォーマットではプロプライエタリなアルゴリズムが使われていました。新しいバージョンではアメリカ政府によって認証されているブロック暗号である AES 暗号アルゴリズムが使われます。暗号化したファイルを復元する方法は辞書・総当り攻撃しかありません。最新のバージョンでは、任意でファイルの名前もパスワードで保護することができ、アーカイブに含まれているファイルを隠蔽できるようになっています。
インストール
RAR
AUR から rarAUR パッケージをインストールしてください (フルパッケージから UNRAR を除いたパッケージ)。
UNRAR
unrar パッケージは公式リポジトリに入っています。pacman でインストールしてください。
設定ファイル
Linux 版の RAR は (ユーザーのホームディレクトリに存在する) ~/.rarrc
ファイルから設定情報を読み込みます。もしくは /etc
ディレクトリに同じファイルを配置することで全てのユーザーで共通のオプションを定義することもできます。
ファイルの構文は以下のようになっています:
switches=any RAR switches, separated by spaces
例:
switches=-m5 -rr5 -ol -msjpg;mp3;avi;zip;rar;tar;gz;jpg
rar のスイッチの一覧や説明は ユーザーマニュアル を読んでください。
RAR の使用方法
一般的な構文
$ rar command -switch 1 -switch N archive files.rar @listfiles...
コマンドとスイッチの完全なリストは rar
だけで実行することで確認できます。
ディレクトリ全体を再帰的に圧縮
例えばリカバリレコードを 10% に設定して /home/darkhorse
を /media/data/darkhorse-backup.rar
にバックアップするには:
$ rar a -r -rr10 /media/data/darkhorse-backup.rar /home/darkhorse
スイッチ | 意味 |
---|---|
a | ファイルをアーカイブに追加。 |
-r | サブディレクトリを再帰的に追加 (親ディレクトリ下の全てのディレクトリとファイルを追加)。 |
-rr10 | リカバリレコードをアーカイブに追加。圧縮アーカイブの最大で 10% が破損しても、パリティによってデータを復元できるようになります。 |
ミックスモードアーカイブ
特定の種類のファイルは圧縮されないミックスモードアーカイブを作成することもできます。
/home/darkhorse
を /media/data/darkhorse-backup.rar
にバックアップする場合:
$ rar a -r -rr10 -s -m5 -msjpg;mp3;tar /media/data/darkhorse-backup.rar /home/darkhorse
スイッチ | 意味 |
---|---|
a | ファイルをアーカイブに追加。 |
-r | サブディレクトリを再帰的に追加 (親ディレクトリ下の全てのディレクトリとファイルを追加)。 |
-rr10 | リカバリレコードをアーカイブに追加。圧縮アーカイブの最大で 10% が破損しても、パリティによってデータを復元できるようになります。 |
-m5 | 最大レベルの圧縮を使用 (m0 = 非圧縮 ... m3 = デフォルト ... m5 = 最大圧縮率)。 |
-msjpg;mp3;tar | .jpg, .mp3, .tar ファイルは圧縮オプションを適用せずにそのまま保存。 |
リストを使って多数のディレクトリを再帰的に圧縮
例えば /home/darkhorse
, /home/palomino
, /home/seabiscuit
を /media/data/homes-backup.rar
にバックアップする場合、まずは以下のように圧縮元を記述したリスト (テキストファイル) を作成します:
/home/darkhorse /home/palomino /home/seabiscuit
その後、作成したファイルを指定して圧縮を実行:
$ rar a -r -rr10 -s /media/data/homes-backup.rar @/path/to/home-list
UNRAR の使用方法
一般的な構文
$ unrar command -switch 1 -switch N archive files... @listfiles... path_to_extract\
コマンドとスイッチの一覧を表示するには:
$ unrar h
新しいフォルダに抽出するには:
$ unrar x /media/data/homes-backup.rar homes-backup/
マルチパート rar ファイルの場合、以下のように実行:
$ unrar x homes-backup.part1.rar homes-backup/