ベンチマーク
ベンチマークとはパフォーマンスを測定し他のシステムと結果を比較する行為、また手順が統合され広く認められた標準のことです。システムのパフォーマンスを統合的な方法で評価することで以下のような質問に答えることが可能です:
- システムのパフォーマンスが期待通りに出ているか?
- どのドライバーバージョンを使えば最適なパフォーマンスを得られるか?
- ある作業をするのに十分な能力がシステムにあるか?
システムパフォーマンスを調べることができるツールは多数存在します。以下はその利用可能なツールのリストです。
目次
単体のツール
glxgears
glxgears は大衆的な OpenGL テストで、シンプルに OpenGL のパフォーマンスを測ってフレームレートを出力します。グラフィックドライバーのダイレクトレンダリング機能のテストとして glxgears は有用ですが、時代遅れのツールなので、GNU/Linux グラフィックの現況や OpenGL 全体の性能を示すものではありません。glxgears がテストするのはゲームなどに使われる OpenGL の機能の中でも一部だけです。glxgears でパフォーマンスの向上が見られたからといってゲームでもそれが必ずしも反映されるとは限りません。詳しくは ここ を見て下さい。
glxgears は mesa-demos や lib32-mesa-demos (Multilib) パッケージでインストールできます。
UnixBench
unixbench のパッケージは AUR に存在します: unixbenchAUR。ベンチマークを実行するにはターミナルから ubench を実行します。
参照:
- https://code.google.com/p/byte-unixbench/
- https://code.google.com/p/byte-unixbench/source/browse/trunk/UnixBench/USAGE
interbench
interbench はインタラクティブに Linux のベンチマークを行うためのアプリケーションです。CPU や I/O のスケジューラ、ファイルシステムの変更やオプションなど、Linux カーネル内の設計やシステム設定の変更による効果を測定するために作られています。
interbench は AUR から利用可能です: interbenchAUR。
参照:
ttcp
(n)(nu)ttcp は様々なネットワーク接続における二点間の帯域を計測します。帯域を計測するために両方のノードにプログラムをインストールする必要があります。
ttcp には様々な亜種が存在し AUR から利用できます (下のリンクを参照)。
参照:
- ttcpAUR
- nttcpAUR[リンク切れ: アーカイブ: aur-mirror]
- nuttcpAUR
iperf
iperf は使いやすい二点間の帯域幅テストツールです。TCP または UDP のどちらかが使えます。出力を整形して表示したり並列テストが可能です。
iperf は公式リポジトリからインストールできます。また、iperf の別バージョンが iperf3 から利用可能です。
time
time コマンドを使うことでコマンドの実行にかかった時間を求めることができます。起動から終了までの時間を表示します。time はほとんどの Linux システムに標準で含まれています。
$ time tar -zxvf archive.tar.gz
hdparm
ストレージメディアのベンチマークは Hdparm で取ることができます (hdparm)。
参照:
Unigine Engine
Unigine が開発した現代的な OpenGL ベンチマークです。彼らのグラフィックエンジンをベースにしており、以下のような機能が存在します:
- ピクセルあたりの動的光源処理
- 通常・視差遮蔽マッピング
- 64ビットの HDR レンダリング
- ボリュームフォグ・ライト
- パワフルなパーティクルシステム: 炎・煙・爆発
- 拡張性のあるシェーダセット (GLSL / HLSL)
- ポストプロセス: 被写界深度・屈折・グロー・ブラー・色補正など
最近では Unigine ベンチマークはシステムをオーバークロックしようとしているユーザーによって使用されています。特に Heaven はオーバークロックの初期安定性テストに使われています。
ベンチマークは AUR から利用可能です (下のリンクを参照)。
参照:
- unigine-heavenAUR
- unigine-tropicsAUR
- unigine-sanctuaryAUR
- unigine-valleyAUR
ソフトウェアスイート
Bonnie++
オリジナルの Bonnie を C++ で書きなおしたベンチマークスイートです。ハードドライブとファイルシステムのパフォーマンステストを複数行います。
参照:
IOzone
IOzone は製造供給元のコンピュータープラットフォームのファイルシステムを分析するのに役立ちます。
このプログラムは AUR から利用可能です: iozoneAUR。
参照:
HardInfo
HardInfo はシステムのハードウェア・オペレーティングシステムの情報を収集したり、ベンチマークを実行して、印刷可能な HTML やプレーンテキスト形式のレポートを生成することができます。HardInfo は CPU と FPU のベンチマークを行い、とてもキレイな GTK ベースのインターフェイスを持っています。
参照:
Phoronix Test Suite
Phoronix Test Suite は包括的なテスト・ベンチマークのプラットフォームです。拡張性のあるフレームワークを提供することで新しいテストを簡単に追加できるようになっています。クリーンで、再現性があり使いやすいかたちで、質的・量的なベンチマークが効果的に実行できるように設計されているソフトウェアです。
Phoronix Test Suite は2004年から Phoronix.com によって開発されている拡張的なテスト・内部ツールをベースにしており、業界をリードする第一線のコンピューターハードウェア・ソフトウェアメーカーによってサポートを受けています。このソフトウェアはオープンソースであり GNU GPLv3 でライセンスされています。
もともとは Linux のテストを自動化するために開発されましたが、それから Phoronix Test Suite は OpenSolaris, Apple macOS, Microsoft Windows, BSD オペレーティングシステムのサポートも追加されました。Phoronix Test Suite は軽量なプロセッシングコア (pts-core) と XML ベースのプロファイルと関連するリソーススクリプトからなる各ベンチマークによって構成されています。ベンチマークのインストールから、実際のベンチマーク、主要なハードウェア・ソフトウェアのコンポーネントの解析まで、処理はほとんど自動で行われ、繰り返し実行することが可能で、ユーザーが行う必要があるのは実行の確認だけです。
Phoronix Test Suite のインターフェイスは OpenBenchmarking.org を共同のウェブプラットフォームとしており、テストの結果を一箇所に集めることで、テストのプロファイルや結果を共有できるなど、高度な分析機能などが備わっています。Phoromatic は複数のシステムでのテストの実行をリモート管理機能によって管理するエンタープライズのコンポーネントです。
このスイートは公式リポジトリから利用できるパッケージ phoronix-test-suite によってインストールできます。AUR からは開発中のバージョンが利用できます: phoronix-test-suite-gitAUR。
PTS Desktop Live
Phoronix Test Suite をシステムにインストールする代わりとして、Phoronix は Live-CD も提供しています。この Live-CD は Phoronix Test Suite の全ての機能を提供し、最新の ATI と NVIDIA のバイナリドライバーを含んでいます。これを使うことでライブ環境から40以上のベンチマークを走らせることが可能です。ハードドライブにデータを保存する必要はなく、GUI インターフェイスが装備されています。
参照:
フラッシュメディア
フラッシュメディアの性能特性は iozoneAUR を使うことで量的に測定することができます。読み書き速度の値が一定になることは基本的になく、システムアップデートによる大量のファイルの書き込みや展開など、I/O の負担が重い操作と互いに関係があります。そのような場合に考慮する必要がある基準はランダム書き込み速度です。
以下の例では 4k レコードサイズで 10M のファイルをテストしています:
$ iozone -e -I -a -s 10M -r 4k -i 0 -i 1 -i 2 ... random random kB reclen write rewrite read reread read write 10240 4 661 649 5802 5822 3892 624