カーネルモジュールのコンパイル

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2017年4月23日 (日) 21:21時点におけるKusakata (トーク | 投稿記録)による版 (→‎ビルド環境: 同期)
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カーネル全体を再コンパイルするのではなく Linux のカーネルモジュールだけをコンパイルしたいという場合のガイドです。

ノート: 既存のモジュールを置き換えるときは、モジュール (M) としてコンパイルされていて、カーネルに組み込まれてない (y) ことが前提です。

ビルド環境

まずコンパイラ (base-devel) やカーネルヘッダ (linux-headers) などのビルドに必要なパッケージをインストールする必要があります。

そして今使っているバージョンのカーネルのソースコードを取得してください。新しいバージョンのカーネルソースを使ってみることもできますが、大抵の場合、コンパイルしたモジュールはロードされません。

カーネルのバージョンを確認するには:

$ uname -r

確認したらカーネルのソースコードを入手します。カーネル/コンパイル/伝統的な方法#カーネルソースのダウンロードを見てください。Git を使って最新のカーネルを取得する場合、タグを使って必要なバージョンをチェックアウトしてください (例: v4.1)。

ソースの設定

ソースコードを手に入れたら、ディレクトリに移動して次のコマンドを実行してください (.config.old を削除して .config を .config.old に変更します):

$ make mrproper

それから既存のカーネル設定をビルドディレクトリにコピーしてください:

$ cp /usr/lib/modules/`uname -r`/build/.config ./
$ cp /usr/lib/modules/`uname -r`/build/Module.symvers ./

次にカーネルソースにあわせて設定を調整します (現在使っているバージョンのカーネルソースを使う場合は何も訊かれませんが、新しいバージョンのソースを使用する場合、新しいオプションについて設定が問われます)。

また、コンパイルしたいモジュールにデバッグビルドなどのコンパイルオプションが存在する場合、make config/menuconfig/xconfig を利用して設定を変更することができます (README を見てください):

$ make oldconfig

モジュールのコンパイル

次のコマンドでソースのコンパイルを準備:

$ make prepare && make scripts

そしてモジュールのディレクトリを指定してモジュールをコンパイル (モジュールがある場所は modinfo や find で検索できます):

$ make M=fs/btrfs

モジュールのインストール

コンパイルが完了したら gzip で圧縮して、使用しているカーネルのところにコピーする必要があります。

既存のモジュールを置き換える場合、ファイルを上書きしてください (linux を再インストールするとデフォルトのモジュールに置き換わるので注意):

$ gzip fs/btrfs/btrfs.ko
# cp -f fs/btrfs/btrfs.ko.gz /usr/lib/modules/`uname -r`/kernel/fs/btrfs/

もしくは、updates フォルダにモジュールを配置することもできます (フォルダが存在しない場合は作成してください):

$ cp fs/btrfs/btrfs.ko.gz /usr/lib/modules/`uname -r`/updates

新しいモジュールを追加する場合は extramodules にコピーします (以下はあくまで例です。btrfs はこのフォルダからはロードされません):

# cp fs/btrfs/btrfs.ko.gz /usr/lib/modules/`uname -r`/extramodules/

モジュールをコンパイルして (ブートの初期段階でロードされるように) initramfs にコピーする場合は initramfs を再生成するようにしてください (そうしないとコンパイルしたモジュールがロードされません)。さらに、"updates" フォルダを使用するときは、initramfs を再生成する前に "depmod" でモジュールの依存ツリーを再ビルドする必要があります。

# mkinitcpio -p linux

参照