「PKGBUILD」の版間の差分
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+ | [[zh-hant:PKGBUILD]] |
− | {{Related articles start |
+ | {{Related articles start}} |
+ | {{Related|Arch パッケージングスタンダード}} |
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− | {{Related2|Arch Packaging Standards (日本語)|Arch Packaging Standards}} |
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− | {{ |
+ | {{Related|Arch Build System}} |
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+ | {{Related|パッケージの作成}} |
+ | {{Related|.SRCINFO}} |
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− | {{Related2|:Category:Package development (日本語)|:Category:パッケージ開発}} |
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+ | {{Related|:カテゴリ:パッケージ開発}} |
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− | {{Related2|Custom local repository (日本語)|カスタムローカルリポジトリ}} |
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+ | {{Related|カスタムローカルリポジトリ}} |
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− | {{Related2|pacman Tips (日本語)|pacman Tips}} |
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+ | {{Related|pacman ヒント}} |
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− | {{Related2|Arch User Repository (日本語)|Arch User Repository}} |
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+ | {{Related|Arch User Repository}} |
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− | {{Related2|makepkg (日本語)|makepkg}} |
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+ | {{Related|makepkg}} |
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− | {{Related2|pacman (日本語)|pacman}} |
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+ | {{Related|pacman}} |
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{{Related articles end}} |
{{Related articles end}} |
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− | '''PKGBUILD''' は[[ |
+ | '''PKGBUILD''' は[[パッケージの作成|パッケージを作成]]するときに使われる [[Arch Linux]] のパッケージビルド記述ファイルです (中身はシェルスクリプトです)。 |
− | Arch Linux では [[ |
+ | Arch Linux では [[makepkg]] ユーティリティと PKGBUILD 内の情報を使ってパッケージがビルドされます。'''makepkg''' が実行されると、作業ディレクトリ内で {{Ic|PKGBUILD}} が検索されその中の記述に従ってコンパイルしたりファイルを取得してパッケージファイル ({{ic|''pkgname''.pkg.tar.xz}}) が作成されます。作られたパッケージにはバイナリファイルとインストールの記述が含まれており、[[pacman]] によって読み込まれインストールされます。 |
− | この記事では PKGBUILD で使用する変数について扱っています。PKGBUILD の関数についての情報は、[[ |
+ | この記事では PKGBUILD で使用する変数について扱っています。PKGBUILD の関数についての情報は、[[パッケージの作成#PKGBUILD の関数]]を参照してください。 |
+ | |||
+ | {{Tip|パッケージを作成するときのよくある間違いが {{ic|PKGBUILD}} にないかを [[namcap]] でチェックできます。}} |
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== 変数 == |
== 変数 == |
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PKGBUILD ファイルの中で使うことができる変数は以下の通りです。 |
PKGBUILD ファイルの中で使うことができる変数は以下の通りです。 |
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+ | |||
{{ic|pkgname}}, {{ic|pkgver}}, {{ic|pkgrel}}, {{ic|arch}} は全て必須です。{{ic|license}} はパッケージのビルドには必須ではありませんが、他の人と共有したい PKGBUILD には含めるのが推奨されています。存在しない場合 {{ic|makepkg}} は警告を表示します。 |
{{ic|pkgname}}, {{ic|pkgver}}, {{ic|pkgrel}}, {{ic|arch}} は全て必須です。{{ic|license}} はパッケージのビルドには必須ではありませんが、他の人と共有したい PKGBUILD には含めるのが推奨されています。存在しない場合 {{ic|makepkg}} は警告を表示します。 |
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− | PKGBUILD 内では変数をこのページと同じ順番で定義するのが通例となっています。ただし、それは必須ではなく、[[ |
+ | PKGBUILD 内では変数をこのページと同じ順番で定義するのが通例となっています。ただし、それは必須ではなく、[[Bash]] の構文が正しければ問題ありません。 |
+ | |||
+ | == パッケージ名 == |
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+ | |||
+ | === pkgbase === |
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+ | |||
+ | 分割パッケージを作成するときに使うことができる、任意のグローバルディレクティブ。{{ic|pkgbase}} を使うことで ''makepkg'' の出力とソース tarball の名でパッケージのグループを参照することができます。pkgbase が指定されていない場合、{{ic|pkgname}} 変数の最初のエレメントが使われます。この変数の先頭の文字をハイフンにすることはできません。分割パッケージの全ての値はデフォルトで PKGBUILD に指定されたグローバルな値になります。[[#makedepends]], [[#ソース]], [[#整合性]] の変数を除く、全ての変数を分割パッケージの {{ic|package()}} 関数で上書きすることができます。 |
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=== pkgname === |
=== pkgname === |
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− | パッケージの名前。含めることができる文字は |
+ | パッケージの名前。含めることができる文字は、小文字の英数字と以下の記号です: {{ic|@}}, {{ic|.}}, {{ic|_}}, {{ic|+}}, {{ic|-}} (アットマーク、ドット、アンダーバー、プラス、ハイフン)。全ての文字は''小文字''でなくてはならず''名前の最初をハイフンにすることはできません''。一貫性を保つために、{{ic|pkgname}} はパッケージするソース tarball の名前と一致させてください。例えば、ソフトウェアが {{ic|foobar-2.5.tar.gz}} なら、{{ic|pkgname}} の値は {{Ic|foobar}} にするべきです。PKGBUILD ファイルを入れる作業ディレクトリも {{ic|pkgname}} と一致させる必要があります。 |
+ | |||
+ | 分割パッケージは配列として定義します。例: {{ic|1=pkgname=('foo' 'bar')}}。 |
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+ | |||
+ | == バージョン == |
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=== pkgver === |
=== pkgver === |
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パッケージのバージョン。この値はパッケージの作成者によって公開されたバージョンと同じでなくてはなりません。文字と数字、ピリオドとアンダーバーを使えますがハイフンは使うことができません。パッケージの作成者がバージョンのナンバリングにハイフンを使っている時は、アンダーバーに置き換えてください。例えば、バージョンが ''0.99-10'' の場合、''0.99_10'' に変更してください。{{ic|pkgver}} を後で PKGBUILD で使うときに、ダッシュの代わりにアンダーラインを使うのは簡単にできます 例: |
パッケージのバージョン。この値はパッケージの作成者によって公開されたバージョンと同じでなくてはなりません。文字と数字、ピリオドとアンダーバーを使えますがハイフンは使うことができません。パッケージの作成者がバージョンのナンバリングにハイフンを使っている時は、アンダーバーに置き換えてください。例えば、バージョンが ''0.99-10'' の場合、''0.99_10'' に変更してください。{{ic|pkgver}} を後で PKGBUILD で使うときに、ダッシュの代わりにアンダーラインを使うのは簡単にできます 例: |
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source=($pkgname-${pkgver//_/-}.tar.gz) |
source=($pkgname-${pkgver//_/-}.tar.gz) |
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+ | |||
+ | {{Note|ソフトウェアの開発元が {{ic|30102014}} のようなタイムスタンプによるバージョン付けをしている場合、日付の順序を逆にしてください: {{ic|20141030}} ([[Wikipedia:ISO 8601|ISO 8601]] 形式)。そうしないと新しいバージョンが認識されません。}} |
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+ | |||
+ | {{Tip| |
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+ | * [[pacman]] パッケージに含まれている [https://www.archlinux.org/pacman/vercmp.8.html vercmp] を使うことでバージョンの優先度をテストできます。 |
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+ | * PKGBUILD に {{ic|pkgver()}} 関数を定義することで [[makepkg]] は自動的に pkgver 変数を [http://allanmcrae.com/2013/04/pacman-4-1-released/ 更新] します。詳しくは [[VCS パッケージガイドライン#関数 pkgver()]] を見て下さい。}} |
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=== pkgrel === |
=== pkgrel === |
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Arch Linux におけるパッケージのリリース番号。パッケージの同じバージョンを続けてビルドするときにそれを区別するためにこの値を使います。新しいバージョンのパッケージが始めてリリースされたとき、'''リリース番号は1からスタートします'''。{{ic|PKGBUILD}} ファイルに修正や最適化が加えられるたびに、パッケージは'''再リリース'''され'''リリース番号'''は1づつ増やされます。新しいバージョンのパッケージが出たら、リリース番号は1にリセットします。 |
Arch Linux におけるパッケージのリリース番号。パッケージの同じバージョンを続けてビルドするときにそれを区別するためにこの値を使います。新しいバージョンのパッケージが始めてリリースされたとき、'''リリース番号は1からスタートします'''。{{ic|PKGBUILD}} ファイルに修正や最適化が加えられるたびに、パッケージは'''再リリース'''され'''リリース番号'''は1づつ増やされます。新しいバージョンのパッケージが出たら、リリース番号は1にリセットします。 |
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− | |||
− | === pkgdir === |
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− | この変数はパッケージに入れられるものの root ディレクトリになります。基本的に {{ic|1=make DESTDIR="$pkgdir" install}} のように使われます。 |
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=== epoch === |
=== epoch === |
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+ | {{Warning|{{ic|epoch}} はどうしても必要なときだけ使って下さい。}} |
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− | バージョン番号が更新を引き起こさないときでも、(epoch が低い) 以前のバージョンよりもパッケージを新しいものだと強制的に見せるために使用されます。この変数の値は正の整数でなくてはなりません。指定されていない場合、デフォルトの値は 0 になります。パッケージのナンバリングの規則が変更されたり、バージョンの通常の比較ルールを破壊したいときに有用です。バージョンの比較についての詳細は pacman(8) を見て下さい。 |
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+ | バージョン番号が更新を引き起こさないときでも、(epoch が低い) 以前のバージョンよりもパッケージを新しいものだと強制的に見せるために使用されます。この変数の値は正の整数でなくてはなりません。指定されていない場合、デフォルトの値は 0 になります。パッケージのナンバリングの規則が変更されたり、バージョンの通常の比較ルールを破壊したいときに有用です。例: |
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− | === pkgbase === |
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+ | |||
− | 分割パッケージをビルドするときに包括的な選択の指示ができるときに、makepkg の出力やソースだけの tarball の名前付けで pkgbase がパッケージのグループを参照するために使われます。指定されていない場合、pkgname 行の初めの部分が使われます。分割パッケージでは全てのオプションと指示が PKGBUILD の包括的な値のデフォルトになります。ただし、分割パッケージのパッケージ関数内で次の値は上書き可能です: pkgver, pkgrel, epoch, pkgdesc, arch, url, license, groups, depends, optdepends, provides, conflicts, replaces, backup, options, install, changelog。この変数では最初にハイフンを使うことはできません。 |
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+ | {{hc|1= |
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+ | pkgver=5.13 |
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+ | pkgrel=2 |
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+ | epoch=1 |
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+ | |2= |
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+ | 1:5.13-2 |
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+ | }} |
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+ | |||
+ | バージョンの比較についての詳細は [https://www.archlinux.org/pacman/pacman.8.html pacman(8)] を見て下さい。 |
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+ | |||
+ | == 汎用 == |
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=== pkgdesc === |
=== pkgdesc === |
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パッケージの説明。説明は80文字以下でなくてはならず、また説明の中にパッケージ名を含めて自己参照してはいけません。例えば、"Nedit is a text editor for X11" は "A text editor for X11" に書き換えてください。 |
パッケージの説明。説明は80文字以下でなくてはならず、また説明の中にパッケージ名を含めて自己参照してはいけません。例えば、"Nedit is a text editor for X11" は "A text editor for X11" に書き換えてください。 |
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− | {{Note|[[Arch User Repository |
+ | {{Note|[[Arch User Repository|AUR]] にパッケージを投稿するときは、このルールにむやみに従ってはいけません。何らかの理由でパッケージの名前がアプリケーションの名前と異なる場合、検索でパッケージを表示する唯一の方法はフルネームを説明に入れることです。}} |
=== arch === |
=== arch === |
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− | {{ic|PKGBUILD}} がビルド・動作するアーキテクチャの文字列。現在、{{ic|i686}} と {{ic|x86_64 |
+ | {{ic|PKGBUILD}} がビルド・動作するアーキテクチャの文字列。現在、{{ic|i686}} と {{ic|x86_64}} が使えます。ただし、[https://archlinuxarm.org/ Arch Linux ARM] などのプロジェクトでは他のアーキテクチャもサポートしています: {{ic|arm}} (armv5), {{ic|armv6h}} (armv6 hardfloat), {{ic|armv7h}} (armv7 hardfloat), {{ic|aarch64}} (armv8 64bit)。 |
+ | |||
+ | アーキテクチャに依存しないパッケージ (シェルスクリプト, フォント, テーマなど) には {{ic|any}} を使うことができます。{{ic|-i686}} や {{ic|-x86_64}} とは対照的に、一度ビルドしたら他のアーキテクチャでも使うことができるようなパッケージには {{ic|-any}} を指定してください。全てのアーキテクチャに対応するようにパッケージをコンパイルすることができても、特定のアーキテクチャに向けてコンパイルされる場合は、Arch によって公式にサポートされているアーキテクチャを指定してください: {{ic|1=arch=('i686' 'x86_64')}}。 |
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{{ic|$CARCH}} 変数を使うことで、ビルドや、変数を定義する時にターゲットとするアーキテクチャを知ることができます。{{bug|16352}} を参照してください。例: |
{{ic|$CARCH}} 変数を使うことで、ビルドや、変数を定義する時にターゲットとするアーキテクチャを知ることができます。{{bug|16352}} を参照してください。例: |
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* license が決められていないと、{{ic|PKGBUILD.proto}} は {{ic|unknown}} を使うことを提案します。ただし、ソフトウェアが利用できるかできないかについてはアップストリームに連絡をすべきです。 |
* license が決められていないと、{{ic|PKGBUILD.proto}} は {{ic|unknown}} を使うことを提案します。ただし、ソフトウェアが利用できるかできないかについてはアップストリームに連絡をすべきです。 |
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− | {{Tip|ソフトウェアの作者によってはライセンスファイルを作らずに普通の ReadMe.txt の中に配布ルールについて記述しているかもしれません。{{Ic|build}} フェイズの時に、次のようにすることでファイルにこの情報を展開することが可能です: {{Ic|sed -n '/'''This software'''/,/''' thereof.'''/p' ReadMe.txt > LICENSE}}。}} |
+ | {{Tip|ソフトウェアの作者によってはライセンスファイルを作らずに普通の {{ic|ReadMe.txt}} の中に配布ルールについて記述しているかもしれません。{{Ic|build()}} フェイズの時に、次のようにすることでファイルにこの情報を展開することが可能です: {{Ic|sed -n '/'''This software'''/,/''' thereof.'''/p' ReadMe.txt > LICENSE}}。}} |
=== groups === |
=== groups === |
||
− | パッケージが属するグループ。例えば、{{Grp|kdebase}} パッケージをインストールすると、{{Grp|kde}} グループに含まれる全てのパッケージをインストールします。 |
+ | パッケージが属するグループ。例えば、{{Grp|kdebase}}{{Broken package link|パッケージが存在しません}} パッケージをインストールすると、{{Grp|kde}}{{Broken package link|パッケージが存在しません}} グループに含まれる全てのパッケージをインストールします。 |
+ | |||
+ | == 依存関係 == |
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+ | |||
+ | {{Note|アンダーバーとアーキテクチャの名前を付けることで、特定のアーキテクチャだけの依存パッケージを追加することができます。例: {{ic|1=depends_x86_64=()}}, {{ic|1=optdepends_x86_64=()}}。}} |
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=== depends === |
=== depends === |
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113行目: | 147行目: | ||
=== checkdepends === |
=== checkdepends === |
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− | テストスイートを実行するときに必要だが普通の実行時には必要ないパッケージの文字列。このリストのパッケージは depends と同じフォーマットに従います。[[ |
+ | テストスイートを実行するときに必要だが普通の実行時には必要ないパッケージの文字列。このリストのパッケージは depends と同じフォーマットに従います。[[パッケージの作成#関数 check()|check()]] 関数が makepkg によって実行される時だけこの依存関係が考慮されます。 |
+ | |||
+ | == パッケージの関係性 == |
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+ | |||
+ | {{Note|アンダーバーとアーキテクチャの名前を付けることで、特定のアーキテクチャだけのパッケージの関係性を追加することができます。例: {{ic|1=provides_x86_64=()}}, {{ic|1=conflicts_x86_64=()}}。}} |
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=== provides === |
=== provides === |
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122行目: | 160行目: | ||
=== replaces === |
=== replaces === |
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− | パッケージによって置き換えられる廃止パッケージの名前の文字列、例えば {{pkg|wireshark}} パッケージには {{ic|1=replaces=('ethereal')}}。{{ic|pacman -Sy}} で同期をした後、リポジトリ内の {{ic|replaces}} に一致する他のパッケージが現れるとインストールされたパッケージを置き換えます。既存のパッケージの別バージョンを提供するときは、衝突するパッケージをインストールするときに評価される {{ic|conflicts}} 変数を使って下さい。 |
+ | パッケージによって置き換えられる廃止パッケージの名前の文字列、例えば {{pkg|wireshark}}{{Broken package link|置換パッケージ: {{Pkg|wireshark-qt}}}} パッケージには {{ic|1=replaces=('ethereal')}}。{{ic|pacman -Sy}} で同期をした後、リポジトリ内の {{ic|replaces}} に一致する他のパッケージが現れるとインストールされたパッケージを置き換えます。既存のパッケージの別バージョンを提供するときは、衝突するパッケージをインストールするときに評価される {{ic|conflicts}} 変数を使って下さい。 |
+ | |||
+ | == その他 == |
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=== backup === |
=== backup === |
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129行目: | 169行目: | ||
アップデート時、既存のファイル(ユーザーによって修正されたファイル)を上書きしないために新しいバージョンは {{ic|file.pacnew}} として保存されます。同じく、パッケージの削除時、パッケージを削除するのに {{ic|pacman -Rn}} コマンドを使わなければ、ユーザーが修正したファイルは {{ic|file.pacsave}} として残されます。 |
アップデート時、既存のファイル(ユーザーによって修正されたファイル)を上書きしないために新しいバージョンは {{ic|file.pacnew}} として保存されます。同じく、パッケージの削除時、パッケージを削除するのに {{ic|pacman -Rn}} コマンドを使わなければ、ユーザーが修正したファイルは {{ic|file.pacsave}} として残されます。 |
||
− | この行のファイルパスは絶対パス (例: {{ic|/etc/pacman.conf}}) ではなく相対パス (例: {{ic|etc/pacman.conf}}) にしてください。[[Pacnew |
+ | この行のファイルパスは絶対パス (例: {{ic|/etc/pacman.conf}}) ではなく相対パス (例: {{ic|etc/pacman.conf}}) にしてください。[[Pacnew と Pacsave ファイル]]も参照。 |
=== options === |
=== options === |
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この文字列を使うと {{Ic|/etc/makepkg.conf}} で定義された {{ic|makepkg}} のデフォルトの挙動の一部を上書きできます。オプションをセットするには、文字列にオプションの名前を入れて下さい。デフォルトの挙動を逆にするには、オプションの前に '''{{ic|!}}''' を付けて下さい。options には以下のオプションを置くことが可能です: |
この文字列を使うと {{Ic|/etc/makepkg.conf}} で定義された {{ic|makepkg}} のデフォルトの挙動の一部を上書きできます。オプションをセットするには、文字列にオプションの名前を入れて下さい。デフォルトの挙動を逆にするには、オプションの前に '''{{ic|!}}''' を付けて下さい。options には以下のオプションを置くことが可能です: |
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− | * |
+ | * {{ic|strip}} - バイナリとライブラリからシンボルを除去。プログラムやライブラリでデバッガを頻繁に使う時は、このオプションを無効にすると便利です。 |
− | * |
+ | * {{ic|docs}} - {{ic|/doc}} ディレクトリを保存。 |
− | * |
+ | * {{ic|libtool}} - パッケージに ''libtool'' ({{ic|.la}}) ファイルを残す。 |
− | * |
+ | * {{ic|staticlibs}} - パッケージに静的ライブラリ (.a) のファイルを残す。 |
− | * |
+ | * {{ic|emptydirs}} - パッケージに空のディレクトリを残す。 |
− | * |
+ | * {{ic|zipman}} - ''man'' と ''info'' ページを ''gzip'' で圧縮。 |
− | * |
+ | * {{ic|purge}} - パッケージの {{ic|PURGE_TARGETS}} 変数で指定されたファイルを削除。 |
− | * |
+ | * {{ic|upx}} - UPX を使って実行可能バイナリを圧縮。{{ic|UPXFLAGS}} 変数を指定することで UPX に追加オプションを渡せます。 |
− | * |
+ | * {{ic|ccache}} - ビルド中の {{ic|ccache}} の使用を許可。{{ic|ccache}} を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の {{ic|!ccache}} を使うと便利です。 |
− | * |
+ | * {{ic|distcc}} - ビルド中の {{ic|distcc}} の使用を許可。{{ic|distcc}} を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の {{ic|!distcc}} を使うと便利です。 |
− | * |
+ | * {{ic|buildflags}} - ビルド中にユーザー定義の {{ic|buildflags}} (CFLAGS, CXXFLAGS, LDFLAGS) の使用を許可。カスタムした {{ic|buildflags}} を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の {{ic|!buildflags}} を使うと便利です。 |
− | * |
+ | * {{ic|makeflags}} - ビルド中にユーザー定義の {{ic|makeflags}} の使用を許可。カスタムした {{ic|makeflags}} を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の {{ic|!makeflags}} を使うと便利です。 |
=== install === |
=== install === |
||
− | パッケージに含まれる {{ic|.install}} スクリプトの名前。パッケージのインストール・削除・アップグレードの際に、pacman はパッケージごとにスクリプトを保存・実行する機能があります。スクリプトには実行される |
+ | パッケージに含まれる {{ic|.install}} スクリプトの名前。{{ic|pkgname}} と同じ名前にしてください。パッケージのインストール・削除・アップグレードの際に、pacman はパッケージごとにスクリプトを保存・実行する機能があります。スクリプトには、実行される段階によって以下の関数を含めることができます: |
− | * |
+ | * {{ic|pre_install}} - ファイルが展開される前にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン。 |
− | * |
+ | * {{ic|post_install}} - ファイルが展開された後にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン。 |
− | * |
+ | * {{ic|pre_upgrade}} - ファイルが展開される前にスクリプトを実行。2つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン, 古いパッケージのバージョン。 |
− | * |
+ | * {{ic|post_upgrade}} - ファイルが展開された後にスクリプトを実行。2つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン, 古いパッケージのバージョン。 |
− | * |
+ | * {{ic|pre_remove}} - ファイルが削除される前にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 古いパッケージのバージョン。 |
− | * |
+ | * {{ic|post_remove}} - ファイルが削除された後にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 古いパッケージのバージョン。 |
− | それぞれの関数は pacman のインストールディレクトリの中に chroot されて実行されます。[https://bbs.archlinux.org/viewtopic.php?pid=913891 このスレッド]を見て下さい。 |
+ | それぞれの関数は pacman のインストールディレクトリの中に [[chroot]] されて実行されます。[https://bbs.archlinux.org/viewtopic.php?pid=913891 このスレッド] を見て下さい。 |
{{Tip|{{ic|.install}} のプロトタイプが {{ic|/usr/share/pacman/proto.install}} にあります。}} |
{{Tip|{{ic|.install}} のプロトタイプが {{ic|/usr/share/pacman/proto.install}} にあります。}} |
||
+ | |||
+ | {{Note|スクリプトの中で {{ic|exit}} を実行しないでください。スクリプト内の関数が実行できなくなってしまいます。}} |
||
=== changelog === |
=== changelog === |
||
パッケージの変更履歴の名前。インストールされたパッケージの変更履歴を表示するには: |
パッケージの変更履歴の名前。インストールされたパッケージの変更履歴を表示するには: |
||
− | pacman -Qc ''pkgname'' |
+ | $ pacman -Qc ''pkgname'' |
{{Tip|変更履歴ファイルのプロトタイプが {{ic|/usr/share/pacman/ChangeLog.proto}} にあります。}} |
{{Tip|変更履歴ファイルのプロトタイプが {{ic|/usr/share/pacman/ChangeLog.proto}} にあります。}} |
||
+ | |||
+ | == ソース == |
||
+ | |||
+ | {{Note|アンダーバーとアーキテクチャの名前を追加することで特定のアーキテクチャのソースを追加することができます。例: {{ic|1=source_x86_64=()}}。そのアーキテクチャのソースと対応するチェックサムも指定してください。例: {{ic|1=sha256sums_x86_64=()}}。}} |
||
=== source === |
=== source === |
||
パッケージをビルドするのに必要なファイルの文字列。ソフトウェアのソースの場所を入れる必要があり、多くの場合 HTTP や FTP の URL です。前に設定した {{ic|pkgname}} や {{ic|pkgver}} 変数をここで使うことができます (例: {{ic|<nowiki>source=(http://example.com/$pkgname-$pkgver.tar.gz)</nowiki>}})。 |
パッケージをビルドするのに必要なファイルの文字列。ソフトウェアのソースの場所を入れる必要があり、多くの場合 HTTP や FTP の URL です。前に設定した {{ic|pkgname}} や {{ic|pkgver}} 変数をここで使うことができます (例: {{ic|<nowiki>source=(http://example.com/$pkgname-$pkgver.tar.gz)</nowiki>}})。 |
||
− | + | 自作のパッチなど、オンザフライでダウンロードできないファイルを供給する必要があるときは、{{ic|PKGBUILD}} ファイルがあるところと同じディレクトリにそのファイルを入れて source にファイル名を追加するだけです。ここに追加したパスはすべて {{ic|PKGBUILD}} があるディレクトリから相対的に考えられます。本当のビルドプロセスが始まる前に、この行で参照されている全てのファイルがダウンロードされるか存在を確認します。もしファイルが欠けている場合は {{ic|makepkg}} は次に進みません。 |
|
{{Tip|ダウンロードされるファイルに異なる名前を指定するには - GET パラメータがある URL などが原因でダウンロードされるファイルの名前が異なる場合 - 次の構文を使って下さい: {{Ic|''filename''::''fileuri''}}, 例えば: {{Ic|1=source=("project_name::<nowiki>hg+https://googlefontdirectory.googlecode.com/hg/</nowiki>"}}。}} |
{{Tip|ダウンロードされるファイルに異なる名前を指定するには - GET パラメータがある URL などが原因でダウンロードされるファイルの名前が異なる場合 - 次の構文を使って下さい: {{Ic|''filename''::''fileuri''}}, 例えば: {{Ic|1=source=("project_name::<nowiki>hg+https://googlefontdirectory.googlecode.com/hg/</nowiki>"}}。}} |
||
+ | |||
+ | {{Note|''.install'' ファイルは source に記述してはいけません。}} |
||
+ | |||
+ | 拡張子が ''.sig'', ''.sign'', ''.asc'' のファイルを source 配列に指定した場合、''makepkg'' はそれを PGP 署名として認識して、ソースファイルの整合性を確認するのに自動的に用います。 |
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=== noextract === |
=== noextract === |
||
− | {{ic|source}} 行で {{ic|makepkg}} によって圧縮フォーマットを展開してはいけないファイルの文字列。{{Pkg|libarchive}} は {{Pkg|unzip}} とは違い全てのファイルをランダムアクセスではなくストリームで処理するので、{{ic|/usr/bin/bsdtar}} によって扱えない圧縮ファイルに noextract を使うのがほとんどです。こういった場合には他の解凍ツール (例: {{ic|unzip}}, {{ic|p7zip}} など) を {{ic|makedepends}} に追加して [[ |
+ | {{ic|source}} 行で {{ic|makepkg}} によって圧縮フォーマットを展開してはいけないファイルの文字列。{{Pkg|libarchive}} は {{Pkg|unzip}} とは違い全てのファイルをランダムアクセスではなくストリームで処理するので、{{ic|/usr/bin/bsdtar}} によって扱えない圧縮ファイルに noextract を使うのがほとんどです。こういった場合には他の解凍ツール (例: {{ic|unzip}}, {{ic|p7zip}} など) を {{ic|makedepends}} に追加して [[パッケージの作成#関数 prepare()|prepare()]] 関数の最初の行でソースの圧縮ファイルを手動で展開する必要があります。例えば: |
+ | prepare() { |
||
− | unzip [source].zip |
||
+ | lrzip -d ''source''.tar.lrz |
||
+ | } |
||
{{ic|source}} 行には URL を指定することが可能ですが、{{ic|noextract}} にはファイル名の一部'''だけ'''を指定します。例えば、以下のようにすることができます ([https://projects.archlinux.org/svntogit/packages.git/tree/trunk/PKGBUILD?h=packages/grub grub2 の PKGBUILD] から引用): |
{{ic|source}} 行には URL を指定することが可能ですが、{{ic|noextract}} にはファイル名の一部'''だけ'''を指定します。例えば、以下のようにすることができます ([https://projects.archlinux.org/svntogit/packages.git/tree/trunk/PKGBUILD?h=packages/grub grub2 の PKGBUILD] から引用): |
||
188行目: | 240行目: | ||
noextract=(${source[@]%%::*}) |
noextract=(${source[@]%%::*}) |
||
+ | === validpgpkeys === |
||
− | {{Note|More conservative Bash substitution would include quotes, or possibly even a loop that calls {{ic|basename}}. If you have read this far, you should get the idea.}} |
||
+ | PGP フィンガープリントの配列。validpgpkeys を使用した場合、''makepkg'' は validpgpkeys に記載されている鍵の署名だけを使うようにして鍵束の値は無視します。ソースファイルが副鍵で署名されていた場合、''makepkg'' は主鍵を使って比較します。 |
||
+ | 指定できるのは完全なフィンガープリントだけです。全て大文字で空白を含めてはいけません。 |
||
− | === md5sums === |
||
− | {{ic|source}} 行に含まれるファイルの MD5 チェックサムの文字列。{{ic|source}} 行の全てのファイルが利用できるようになると、それぞれのファイルの MD5 ハッシュが自動で生成され {{ic|source}} 行と同じ順番で md5sums の値と比較されます。ソースファイルの順番自体に意味はありませんが、{{ic|makepkg}} はどのチェックサムがどのソースファイルにあたるか考慮しないので md5sums の順番が一致していることは重要です。{{ic|PKGBUILD}} ファイルが含まれているディレクトリで {{ic|updpkgsums}} や {{ic|makepkg -g}} コマンドを使うことで簡単に素早くこの行を生成することができます。 |
||
+ | {{note|{{ic|gpg --list-keys --fingerprint <KEYID>}} で指定した鍵のフィンガープリントを確認できます。}} |
||
− | {{Note|MD5 アルゴリズムには脆弱性があることが知られています。より強固なアルゴリズムを使うことも考えるべきでしょう。}} |
||
+ | |||
+ | == 整合性 == |
||
+ | |||
+ | 以下の変数はどれもチェックサム文字列を指定するようになっており、[[#source|source]] 配列に書かれたファイルの整合性を確認するのに使われます。{{ic|SKIP}} とすることで特定のファイルのチェックサムを確認しないようにできます。 |
||
+ | |||
+ | チェックサムが確認するのはあくまでダウンロードしたファイルの''整合性''であり、ファイルの''正統性''ではありません。そのため、例えば MD5 アルゴリズムには[[Wikipedia:ja:MD5#安全性|脆弱性]]があることが知られていますが、ファイルの確認だけに使うのであれば、SHA-2 ハッシュよりも高速に確認できるため使用が推奨されます (特にソースファイルのサイズが大きい場合)。ただし、可能であれば、{{ic|source}} 行に署名を追加してファイルの正統性も確認するようにしてください: 上で説明したように、その場合はチェックサムの確認は省くことができます。 |
||
+ | |||
+ | チェックサムの値は [[makepkg]] の {{ic|-g}}/{{ic|--geninteg}} オプションで自動生成することができ、{{ic|makepkg -g >> PKGBUILD}} を使えば PKGBUILD に追加できます。また、{{ic|updpkgsums}} コマンドを使うことで、PKGBUILD のどの部分に変数を書いている場合でもチェックサムを更新することが可能です。どちらのツールも PKGBUILD に既に設定されている変数を使います。何も設定されていなかった場合は {{ic|md5sums}} を使います。 |
||
+ | |||
+ | ファイルの整合性の確認については {{ic|/etc/makepkg.conf}} の {{ic|INTEGRITY_CHECK}} オプションで設定が可能です。[https://www.archlinux.org/pacman/makepkg.conf.5.html makepkg.conf(5)] を参照してください。 |
||
+ | |||
+ | === md5sums === |
||
+ | {{ic|source}} 行に含まれるファイルの MD5 チェックサムの文字列。 |
||
=== sha1sums === |
=== sha1sums === |
||
+ | 160ビットの SHA-1 チェックサムの文字列。 |
||
− | SHA-1 160-bit チェックサムの文字列。上述の {{ic|md5sums}} の代わりになるものですが、これにも脆弱性があることが知られています、より強固なアルゴリズムを使うことも考えるべきでしょう。このチェックサムの使用・生成を有効にするには、{{ic|/etc/makepkg.conf}} に {{ic|INTEGRITY_CHECK}} オプションを設定してください。{{ic|man makepkg.conf}} を参照。 |
||
+ | |||
+ | === sha256sums === |
||
+ | [[Wikipedia:SHA-2|SHA-2]] チェックサムの配列。256ビットのダイジェストサイズ。 |
||
− | === |
+ | === sha224sums, sha384sums, sha512sums === |
− | それぞれ |
+ | それぞれ 224, 384, 512 ビットのダイジェストサイズの SHA-2 チェックサムの文字列。{{ic|sha256sums}} の代替。 |
== 参照 == |
== 参照 == |
||
− | *[https://www.archlinux.org/pacman/PKGBUILD.5.html PKGBUILD(5) |
+ | *[https://www.archlinux.org/pacman/PKGBUILD.5.html PKGBUILD(5) マニュアルページ] |
+ | *[https://projects.archlinux.org/pacman.git/plain/proto/PKGBUILD.proto サンプル PKGBUILD ファイル] |
||
− | *[http://ix.io/66p Example PKGBUILD file] |
||
− | *[http://ix.io/66o Example .install file] |
2020年12月31日 (木) 14:46時点における版
関連記事
PKGBUILD はパッケージを作成するときに使われる Arch Linux のパッケージビルド記述ファイルです (中身はシェルスクリプトです)。
Arch Linux では makepkg ユーティリティと PKGBUILD 内の情報を使ってパッケージがビルドされます。makepkg が実行されると、作業ディレクトリ内で PKGBUILD
が検索されその中の記述に従ってコンパイルしたりファイルを取得してパッケージファイル (pkgname.pkg.tar.xz
) が作成されます。作られたパッケージにはバイナリファイルとインストールの記述が含まれており、pacman によって読み込まれインストールされます。
この記事では PKGBUILD で使用する変数について扱っています。PKGBUILD の関数についての情報は、パッケージの作成#PKGBUILD の関数を参照してください。
変数
PKGBUILD ファイルの中で使うことができる変数は以下の通りです。
pkgname
, pkgver
, pkgrel
, arch
は全て必須です。license
はパッケージのビルドには必須ではありませんが、他の人と共有したい PKGBUILD には含めるのが推奨されています。存在しない場合 makepkg
は警告を表示します。
PKGBUILD 内では変数をこのページと同じ順番で定義するのが通例となっています。ただし、それは必須ではなく、Bash の構文が正しければ問題ありません。
パッケージ名
pkgbase
分割パッケージを作成するときに使うことができる、任意のグローバルディレクティブ。pkgbase
を使うことで makepkg の出力とソース tarball の名でパッケージのグループを参照することができます。pkgbase が指定されていない場合、pkgname
変数の最初のエレメントが使われます。この変数の先頭の文字をハイフンにすることはできません。分割パッケージの全ての値はデフォルトで PKGBUILD に指定されたグローバルな値になります。#makedepends, #ソース, #整合性 の変数を除く、全ての変数を分割パッケージの package()
関数で上書きすることができます。
pkgname
パッケージの名前。含めることができる文字は、小文字の英数字と以下の記号です: @
, .
, _
, +
, -
(アットマーク、ドット、アンダーバー、プラス、ハイフン)。全ての文字は小文字でなくてはならず名前の最初をハイフンにすることはできません。一貫性を保つために、pkgname
はパッケージするソース tarball の名前と一致させてください。例えば、ソフトウェアが foobar-2.5.tar.gz
なら、pkgname
の値は foobar
にするべきです。PKGBUILD ファイルを入れる作業ディレクトリも pkgname
と一致させる必要があります。
分割パッケージは配列として定義します。例: pkgname=('foo' 'bar')
。
バージョン
pkgver
パッケージのバージョン。この値はパッケージの作成者によって公開されたバージョンと同じでなくてはなりません。文字と数字、ピリオドとアンダーバーを使えますがハイフンは使うことができません。パッケージの作成者がバージョンのナンバリングにハイフンを使っている時は、アンダーバーに置き換えてください。例えば、バージョンが 0.99-10 の場合、0.99_10 に変更してください。pkgver
を後で PKGBUILD で使うときに、ダッシュの代わりにアンダーラインを使うのは簡単にできます 例:
source=($pkgname-${pkgver//_/-}.tar.gz)
pkgrel
Arch Linux におけるパッケージのリリース番号。パッケージの同じバージョンを続けてビルドするときにそれを区別するためにこの値を使います。新しいバージョンのパッケージが始めてリリースされたとき、リリース番号は1からスタートします。PKGBUILD
ファイルに修正や最適化が加えられるたびに、パッケージは再リリースされリリース番号は1づつ増やされます。新しいバージョンのパッケージが出たら、リリース番号は1にリセットします。
epoch
バージョン番号が更新を引き起こさないときでも、(epoch が低い) 以前のバージョンよりもパッケージを新しいものだと強制的に見せるために使用されます。この変数の値は正の整数でなくてはなりません。指定されていない場合、デフォルトの値は 0 になります。パッケージのナンバリングの規則が変更されたり、バージョンの通常の比較ルールを破壊したいときに有用です。例:
pkgver=5.13 pkgrel=2 epoch=1
1:5.13-2
バージョンの比較についての詳細は pacman(8) を見て下さい。
汎用
pkgdesc
パッケージの説明。説明は80文字以下でなくてはならず、また説明の中にパッケージ名を含めて自己参照してはいけません。例えば、"Nedit is a text editor for X11" は "A text editor for X11" に書き換えてください。
arch
PKGBUILD
がビルド・動作するアーキテクチャの文字列。現在、i686
と x86_64
が使えます。ただし、Arch Linux ARM などのプロジェクトでは他のアーキテクチャもサポートしています: arm
(armv5), armv6h
(armv6 hardfloat), armv7h
(armv7 hardfloat), aarch64
(armv8 64bit)。
アーキテクチャに依存しないパッケージ (シェルスクリプト, フォント, テーマなど) には any
を使うことができます。-i686
や -x86_64
とは対照的に、一度ビルドしたら他のアーキテクチャでも使うことができるようなパッケージには -any
を指定してください。全てのアーキテクチャに対応するようにパッケージをコンパイルすることができても、特定のアーキテクチャに向けてコンパイルされる場合は、Arch によって公式にサポートされているアーキテクチャを指定してください: arch=('i686' 'x86_64')
。
$CARCH
変数を使うことで、ビルドや、変数を定義する時にターゲットとするアーキテクチャを知ることができます。FS#16352 を参照してください。例:
depends=(foobar) if test "$CARCH" == x86_64; then depends+=(lib32-glibc) fi
url
パッケージされるソフトウェアの公式サイトの URL。
license
ソフトウェアが配布されるライセンス。[core]
の licenses パッケージは /usr/share/licenses/common
によく使われるライセンスを保存しています、例えば /usr/share/licenses/common/GPL
。パッケージのライセンスがここに保存されているライセンスのどれかのときは、ディレクトリの名前を設定してください、例えば license=('GPL')
。適切なライセンスが公式の licenses パッケージに含まれていない場合は、やる必要があることがいくつかあります:
- ライセンスファイルを次のディレクトリに含めなくてはなりません:
/usr/share/licenses/pkgname/
, 例/usr/share/licenses/foobar/LICENSE
。 - ソース tarball にライセンスの詳細が含まれずウェブサイトなど他のところで示されている場合は、ライセンスをファイルにコピーしてそのファイルを含めて下さい。
license
行にcustom
を追加してください。任意で、custom
をcustom:ライセンスの名前
にすることができます。あるライセンスが ([community] を含む
) 公式リポジトリの2つ以上のパッケージで使われると、licenses パッケージに入れられます。
- 特別な事例として BSD, MIT, zlib/png, Python ライセンスは licenses パッケージに含められていません。
license
行の目的のために、一般的なライセンス (license=('BSD')
,license=('MIT')
,license=('ZLIB')
,license=('Python')
) として扱われておきながらそれぞれ固有の copyright 行を持っているために技術的にカスタムライセンスになっています。これら4つのライセンスを使っている全てのパッケージは/usr/share/licenses/pkgname
内にそのライセンスを保存しておく必要があります。パッケージによってはライセンスがひとつだけではないこともあります。そのような場合は、license 行に複数のエントリを書くことができます、例えばlicense=('GPL' 'custom:name of license')
。 - さらに、(L)GPL には多くのバージョンと組み合わせが存在します。(L)GPL ソフトウェアで使えるのは:
- (L)GPL - (L)GPLv2 とそれ以降のバージョン
- (L)GPL2 - (L)GPL2 のみ
- (L)GPL3 - (L)GPL3 とそれ以降のバージョン
- license が決められていないと、
PKGBUILD.proto
はunknown
を使うことを提案します。ただし、ソフトウェアが利用できるかできないかについてはアップストリームに連絡をすべきです。
groups
パッケージが属するグループ。例えば、kdebase[リンク切れ: パッケージが存在しません] パッケージをインストールすると、kde[リンク切れ: パッケージが存在しません] グループに含まれる全てのパッケージをインストールします。
依存関係
depends
ソフトウェアを実行する前にインストールする必要があるパッケージの名前を示す文字列。ソフトウェアが依存パッケージの最低必要バージョンがあるときは、>=
演算子を使ってこれを表して下さい、例 depends=('foobar>=1.8.0')
。あなたのソフトウェアが依存している他のパッケージの依存にすでに含まれているパッケージを depends に加える必要はありません。例えば、gtk2 は glib2 と glibc に依存しています。しかしながら、glibc は glib2 の依存にあるので gtk2 の依存として glibc を含める必要はありません。
optdepends
ソフトウェアを機能させるのには必要ないが機能を追加することができるパッケージの名前の文字列。それぞれのパッケージが提供する機能の説明も短く書いておいて下さい。例えば optdepends
は以下のようになります:
optdepends=('cups: printing support' 'sane: scanners support' 'libgphoto2: digital cameras support' 'alsa-lib: sound support' 'giflib: GIF images support' 'libjpeg: JPEG images support' 'libpng: PNG images support')
makedepends
ソフトウェアをビルドするためにインストールする必要はあるが、インストール後にソフトウェアを使うために残しておく必要はないパッケージの名前。depends
行と同じフォーマットを使ってパッケージの最小必要バージョンを指定できます。
checkdepends
テストスイートを実行するときに必要だが普通の実行時には必要ないパッケージの文字列。このリストのパッケージは depends と同じフォーマットに従います。check() 関数が makepkg によって実行される時だけこの依存関係が考慮されます。
パッケージの関係性
provides
パッケージの機能を提供するパッケージ (もしくは cron
や sh
などの仮想パッケージ) の名前の文字列。同じものを提供するパッケージは互いに衝突しないかぎり同時にインストールすることができます(下を見て下さい)。この変数を使う場合は、バージョンによって影響を受ける依存関係がある場合パッケージが提供するバージョン (pkgver
と恐らく pkgrel
) を追加してください。例えば、qt にモディファイを加えて qt を提供する qt-foobar バージョン 3.3.8 という名前で作成するときは、provides
行は provides=('qt=3.3.8')
のようにしてください。provides=('qt')
とすると qt の特定バージョンを必要とする依存関係が破壊されることになります。provides
行に pkgname
を加えないでください、自動で追加されます。
conflicts
インストールするとパッケージと問題が生じるパッケージの名前の文字列。この名前を持つパッケージとこの名前の仮想パッケージを provides
に入れている全てのパッケージが削除されます。depends
行と同じフォーマットを使って衝突するパッケージのバージョンプロパティを指定することもできます。
replaces
パッケージによって置き換えられる廃止パッケージの名前の文字列、例えば wireshark[リンク切れ: 置換パッケージ: wireshark-qt] パッケージには replaces=('ethereal')
。pacman -Sy
で同期をした後、リポジトリ内の replaces
に一致する他のパッケージが現れるとインストールされたパッケージを置き換えます。既存のパッケージの別バージョンを提供するときは、衝突するパッケージをインストールするときに評価される conflicts
変数を使って下さい。
その他
backup
ユーザーが作成した変更を含んだり、パッケージのアップグレードや削除が行われても維持されるファイルの文字列、主に /etc
内の設定ファイル用。
アップデート時、既存のファイル(ユーザーによって修正されたファイル)を上書きしないために新しいバージョンは file.pacnew
として保存されます。同じく、パッケージの削除時、パッケージを削除するのに pacman -Rn
コマンドを使わなければ、ユーザーが修正したファイルは file.pacsave
として残されます。
この行のファイルパスは絶対パス (例: /etc/pacman.conf
) ではなく相対パス (例: etc/pacman.conf
) にしてください。Pacnew と Pacsave ファイルも参照。
options
この文字列を使うと /etc/makepkg.conf
で定義された makepkg
のデフォルトの挙動の一部を上書きできます。オプションをセットするには、文字列にオプションの名前を入れて下さい。デフォルトの挙動を逆にするには、オプションの前に !
を付けて下さい。options には以下のオプションを置くことが可能です:
strip
- バイナリとライブラリからシンボルを除去。プログラムやライブラリでデバッガを頻繁に使う時は、このオプションを無効にすると便利です。docs
-/doc
ディレクトリを保存。libtool
- パッケージに libtool (.la
) ファイルを残す。staticlibs
- パッケージに静的ライブラリ (.a) のファイルを残す。emptydirs
- パッケージに空のディレクトリを残す。zipman
- man と info ページを gzip で圧縮。purge
- パッケージのPURGE_TARGETS
変数で指定されたファイルを削除。upx
- UPX を使って実行可能バイナリを圧縮。UPXFLAGS
変数を指定することで UPX に追加オプションを渡せます。ccache
- ビルド中のccache
の使用を許可。ccache
を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の!ccache
を使うと便利です。distcc
- ビルド中のdistcc
の使用を許可。distcc
を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の!distcc
を使うと便利です。buildflags
- ビルド中にユーザー定義のbuildflags
(CFLAGS, CXXFLAGS, LDFLAGS) の使用を許可。カスタムしたbuildflags
を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の!buildflags
を使うと便利です。makeflags
- ビルド中にユーザー定義のmakeflags
の使用を許可。カスタムしたmakeflags
を使ってビルドすると問題が起こるパッケージに無効化の!makeflags
を使うと便利です。
install
パッケージに含まれる .install
スクリプトの名前。pkgname
と同じ名前にしてください。パッケージのインストール・削除・アップグレードの際に、pacman はパッケージごとにスクリプトを保存・実行する機能があります。スクリプトには、実行される段階によって以下の関数を含めることができます:
pre_install
- ファイルが展開される前にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン。post_install
- ファイルが展開された後にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン。pre_upgrade
- ファイルが展開される前にスクリプトを実行。2つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン, 古いパッケージのバージョン。post_upgrade
- ファイルが展開された後にスクリプトを実行。2つの引数が渡されます: 新しいパッケージのバージョン, 古いパッケージのバージョン。pre_remove
- ファイルが削除される前にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 古いパッケージのバージョン。post_remove
- ファイルが削除された後にスクリプトを実行。1つの引数が渡されます: 古いパッケージのバージョン。
それぞれの関数は pacman のインストールディレクトリの中に chroot されて実行されます。このスレッド を見て下さい。
changelog
パッケージの変更履歴の名前。インストールされたパッケージの変更履歴を表示するには:
$ pacman -Qc pkgname
ソース
source
パッケージをビルドするのに必要なファイルの文字列。ソフトウェアのソースの場所を入れる必要があり、多くの場合 HTTP や FTP の URL です。前に設定した pkgname
や pkgver
変数をここで使うことができます (例: source=(http://example.com/$pkgname-$pkgver.tar.gz)
)。
自作のパッチなど、オンザフライでダウンロードできないファイルを供給する必要があるときは、PKGBUILD
ファイルがあるところと同じディレクトリにそのファイルを入れて source にファイル名を追加するだけです。ここに追加したパスはすべて PKGBUILD
があるディレクトリから相対的に考えられます。本当のビルドプロセスが始まる前に、この行で参照されている全てのファイルがダウンロードされるか存在を確認します。もしファイルが欠けている場合は makepkg
は次に進みません。
拡張子が .sig, .sign, .asc のファイルを source 配列に指定した場合、makepkg はそれを PGP 署名として認識して、ソースファイルの整合性を確認するのに自動的に用います。
noextract
source
行で makepkg
によって圧縮フォーマットを展開してはいけないファイルの文字列。libarchive は unzip とは違い全てのファイルをランダムアクセスではなくストリームで処理するので、/usr/bin/bsdtar
によって扱えない圧縮ファイルに noextract を使うのがほとんどです。こういった場合には他の解凍ツール (例: unzip
, p7zip
など) を makedepends
に追加して prepare() 関数の最初の行でソースの圧縮ファイルを手動で展開する必要があります。例えば:
prepare() { lrzip -d source.tar.lrz }
source
行には URL を指定することが可能ですが、noextract
にはファイル名の一部だけを指定します。例えば、以下のようにすることができます (grub2 の PKGBUILD から引用):
source=("http://ftp.archlinux.org/other/grub2/grub2_extras_lua_r20.tar.xz") noextract=("grub2_extras_lua_r20.tar.xz")
何も展開しないようにするには、以下のように工夫してください (firefox-i18n から引用):
noextract=(${source[@]%%::*})
validpgpkeys
PGP フィンガープリントの配列。validpgpkeys を使用した場合、makepkg は validpgpkeys に記載されている鍵の署名だけを使うようにして鍵束の値は無視します。ソースファイルが副鍵で署名されていた場合、makepkg は主鍵を使って比較します。
指定できるのは完全なフィンガープリントだけです。全て大文字で空白を含めてはいけません。
整合性
以下の変数はどれもチェックサム文字列を指定するようになっており、source 配列に書かれたファイルの整合性を確認するのに使われます。SKIP
とすることで特定のファイルのチェックサムを確認しないようにできます。
チェックサムが確認するのはあくまでダウンロードしたファイルの整合性であり、ファイルの正統性ではありません。そのため、例えば MD5 アルゴリズムには脆弱性があることが知られていますが、ファイルの確認だけに使うのであれば、SHA-2 ハッシュよりも高速に確認できるため使用が推奨されます (特にソースファイルのサイズが大きい場合)。ただし、可能であれば、source
行に署名を追加してファイルの正統性も確認するようにしてください: 上で説明したように、その場合はチェックサムの確認は省くことができます。
チェックサムの値は makepkg の -g
/--geninteg
オプションで自動生成することができ、makepkg -g >> PKGBUILD
を使えば PKGBUILD に追加できます。また、updpkgsums
コマンドを使うことで、PKGBUILD のどの部分に変数を書いている場合でもチェックサムを更新することが可能です。どちらのツールも PKGBUILD に既に設定されている変数を使います。何も設定されていなかった場合は md5sums
を使います。
ファイルの整合性の確認については /etc/makepkg.conf
の INTEGRITY_CHECK
オプションで設定が可能です。makepkg.conf(5) を参照してください。
md5sums
source
行に含まれるファイルの MD5 チェックサムの文字列。
sha1sums
160ビットの SHA-1 チェックサムの文字列。
sha256sums
SHA-2 チェックサムの配列。256ビットのダイジェストサイズ。
sha224sums, sha384sums, sha512sums
それぞれ 224, 384, 512 ビットのダイジェストサイズの SHA-2 チェックサムの文字列。sha256sums
の代替。