systemd-timesyncd

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systemd メーリングリスト より:

systemd-timesyncd はネットワークを介してシステム時刻を同期させるために追加されたデーモンです。SNTP クライアントが実装されています。chrony や NTP リファレンスサーバーなどの NTP 実装とは対照的に、timesyncd はクライアント側しか実装しておらず、完全な NTP の複雑性に悩むことなく、リモートサーバーに時刻を問い合わせてそれにローカルクロックを同期させることだけに焦点を置いています。NTP をネットワークのクライアントに提供したりローカルのハードウェアクロックに接続したいのでなければ、このシンプルな NTP クライアントだけでほとんどの場合は十二分に間に合います。デーモンは最小権限で動作し、networkd と紐付けられることでネットワーク接続が有効なときだけ同期を行います。Raspberry Pi や組み込みデバイスなどの RTC を載せてないシステムのために、新しい NTP の同期が取得される度にディスクに現在の時刻を保存し、それを使って起動時にシステム時刻を修正することができ、時刻が常に正しいわけではないときでも、それらのシステムで時刻がモノトニックに進むことを保証します。このデーモンを利用するには systemd のインストール時に新しいユーザーとグループ "systemd-timesync" を作る必要があります。

設定

systemd で利用可能な systemd-timesyncd.service起動・有効化 します。 起動すると、systemd-timesyncd/etc/systemd/timesyncd.conf から構成ファイルを読み取ります。これは次のようになります。

/etc/systemd/timesyncd.conf
[Time]
#NTP=
#FallbackNTP=0.arch.pool.ntp.org 1.arch.pool.ntp.org 2.arch.pool.ntp.org 3.arch.pool.ntp.org
#RootDistanceMaxSec=5
#PollIntervalMinSec=32
#PollIntervalMaxSec=2048

時刻サーバーを追加したり変更するには、適当な行をアンコメントして、空白で区切られたホスト名か IP を記述してください。例えば、NTP プールプロジェクト によって提供されているサーバーやデフォルトの Arch のサーバーを使うことができます (こちらも NTP プールプロジェクトによって提供されています):

/etc/systemd/timesyncd.conf
[Time]
NTP=0.arch.pool.ntp.org 1.arch.pool.ntp.org 2.arch.pool.ntp.org 3.arch.pool.ntp.org
FallbackNTP=0.pool.ntp.org 1.pool.ntp.org 0.jp.pool.ntp.org

構成を確認するには、timedatectl show-timesync --all を使用します。

$ timedatectl show-timesync --all
LinkNTPServers=
SystemNTPServers=
FallbackNTPServers=0.arch.pool.ntp.org 1.arch.pool.ntp.org 2.arch.pool.ntp.org 3.arch.pool.ntp.org
ServerName=0.arch.pool.ntp.org
ServerAddress=103.47.76.177
RootDistanceMaxUSec=5s
PollIntervalMinUSec=32s
PollIntervalMaxUSec=34min 8s
PollIntervalUSec=1min 4s
NTPMessage={ Leap=0, Version=4, Mode=4, Stratum=2, Precision=-21, RootDelay=177.398ms, RootDispersion=142.196ms, Reference=C342F10A, OriginateTimestamp=Mon 2018-07-16 13:53:43 +08, ReceiveTimestamp=Mon 2018-07-16 13:53:43 +08, TransmitTimestamp=Mon 2018-07-16 13:53:43 +08, DestinationTimestamp=Mon 2018-07-16 13:53:43 +08, Ignored=no PacketCount=1, Jitter=0 }
Frequency=22520548

デーモンの設定だけでなく、systemd-networkd の設定の NTP= オプションを使ったり、動的に、DHCP サーバーを使うことで提供される NTP サーバーもあります (systemd 216 から)。

使用される NTP サーバーは以下のルールによって決まります:

  • systemd-networkd.service(8) の設定や DHCP によるインターフェイスごとの NTP サーバーが優先されます。
  • /etc/systemd/timesyncd.conf に定義された NTP サーバーは実行時にインターフェイスごとのリストに追加され、デーモンはサーバーのどれかが応答するまで通信を行います。
  • 以上の手順を踏んでも NTP サーバーの情報がまったく得られなかったとき、FallbackNTP= に定義された NTP サーバーのホスト名や IP アドレスが使われます。
警告: サービスによって同期が行われるたびに /var/lib/systemd/clock ファイルに書き込みが行われます。このファイルの場所はハードコードされており変更できません。ルートパーティションを読み込み専用で使用する場合や SD カードへの書き込みを減らしたいときに問題となる可能性があります。

使い方

systemd-timesyncd サービスは systemd 213 から利用することができます。サービスを起動・有効化するには:

# timedatectl set-ntp true

サービスの状態を確認したいときは、timedatectl status を使います:

$ timedatectl status
Local time: Thu 2015-07-09 18:21:33 CEST
Universal time: Thu 2015-07-09 16:21:33 UTC
RTC time: Thu 2015-07-09 16:21:33
Time zone: Europe/Amsterdam (CEST, +0200)
Network time on: yes
NTP synchronized: yes
RTC in local TZ: no

詳細なサービス情報を表示するには、 timedatectl timesync-status を使います:

$ timedatectl timesync-status
       Server: 103.47.76.177 (0.arch.pool.ntp.org)
Poll interval: 2min 8s (min: 32s; max 34min 8s)
         Leap: normal
      Version: 4
      Stratum: 2
    Reference: C342F10A
    Precision: 1us (-21)
Root distance: 231.856ms (max: 5s)
       Offset: -19.428ms
        Delay: 36.717ms
       Jitter: 7.343ms
 Packet count: 2
    Frequency: +267.747ppm
ヒント: systemd 216 以前は systemd-timesyncd を使うにはネットワークの起動・停止イベントを拾うために systemd-networkd を起動させる必要がありました (ただし設定は不要)。現在はこの仕様は変更されており、dhcpcdNetworkManager からのイベントも受信します。ネットワークの設定に依存するかネットワーク管理ツールを使わなくてはならないのは変わっていません。

トラブルシューティング

systemd 242.0-1 に更新後 systemd-timesyncd の起動に失敗する

ログにこのエラーが表示される場合

ExecStart=/usr/lib/systemd/systemd-timesyncd (code=exited, status=238/STATE_DIRECTORY)

次のコマンドを実行して、問題を修正します。

# rm -rf /var/lib/systemd/timesync
# rm -rf /var/lib/private/systemd/timesync

FS#62161 を参照してください。

DHCP 経由で受信した NTP サーバーを動的に設定

前提:

  • システムクロックは、systemd-timesyncd によってNTPサーバーと同期されます。
  • ネットワークは NetworkManager によって設定されます。

異なるネットワーク (会社の LAN、自宅の Wi-Fi、その他のさまざまな Wi-Fi など) 間をローミングする場合は、timesyncd で使用される NTP サーバーを DHCP で提供されるサーバーに設定することをお勧めします。 systemd-networkd とは異なり、NetworkManager は systemd-timesyncd と通信してNTPサーバーを設定することはできません。

NetworkManager dispatcher で解決する場合 (以下のすべてのアクションはrootとして実行する必要があります。したがって、sudo -i を使用してルートシェルを起動するか、すべてのコマンドの前に sudo を追加します。)

まだ存在していない場合は、systemd-timesyncd 構成のオーバーレイディレクトリ /etc/systemd/timesyncd.conf.d を作成します。 また、まだ存在していない場合は、ディレクトリ /etc/NetworkManager/dispatcher.d を作成します。 次の dispatcher スクリプトをそこに配置します

/etc/NetworkManager/dispatcher.d/10-update-timesyncd
#! /usr/bin/bash

[ -n "$CONNECTION_UUID" ] || exit

INTERFACE=$1
ACTION=$2

case $ACTION in
    up | dhcp4-change | dhcp6-change)
        [ -n "$DHCP4_NTP_SERVERS" ] || exit
        exec > /etc/systemd/timesyncd.conf.d/$CONNECTION_UUID.conf
        echo "[Time]"
        echo "NTP=$DHCP4_NTP_SERVERS"
        systemctl restart systemd-timesyncd
        ;;
    down)
        rm -f /etc/systemd/timesyncd.conf.d/$CONNECTION_UUID.conf
        systemctl restart systemd-timesyncd
        ;;
esac

このスクリプトを、 chmod 700 10-update-timesync を使用して root でのみ実行可能にします。最後に、 NetworkManager dispatcher が有効になっていて起動していることを確認してください。

では、ここで何が起こるのでしょうか? NetworkManager が新しいネットワーク接続をセットアップするか (ACTION=up) または既存の接続の更新を取得するたび (ACTION=dhcp4-change または ACTION=dhcp6-change) 提供された接続データにはNTP サーバーに関する情報が含まれます (DHCP4_NTP_SERVERS) 次に、接続固有のオーバーレイ設定ファイルが、提供された NTP サーバーを含む /etc/systemd/timesyncd.conf.d に書き込まれます。接続が切断されると (ACTION=down) 接続固有のオーバーレイファイルが再び削除されます。 systemd-timesyncd の設定を変更するたびに、このサービスが再起動され、更新された設定が取得されます。接続固有の設定ファイルの使用は意図的なものであるため、2つ以上の接続が NetworkManager によって並行して管理されている場合、updhcp4-change, dhcp6-change 、および down アクションが任意の順序で発生する可能性があるため、 config は上書きされません。

参照