tp_smapi

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tp_smapi は ThinkPad ノートパソコンのハードウェアから情報を取得したりコマンドを送信したりするカーネルモジュールのセットです。tp_smapi の情報は /sys/devices/platform/smapi ファイルシステムに存在します。/proc ファイルシステムと同じように、ファイルから情報を読み書きしたりハードウェアにコマンドを送信することが可能です。サポートされている ThinkPad ノートパソコンを使っている場合は、tp_smapi をインストールすることが強く推奨されます。

サポートされているノートパソコン

まず、あなたのノートパソコンがサポートされているかどうか確認してください。Thinkwiki に サポートされている Thinkpad の完全なリスト が載っています。あなたの TP が stop_threshold をサポートしておらず start_threshold しかサポートしていない場合は #部分的にサポートされているノートパソコンの対処方法 を見て下さい。

Ivy Bridge プロセッサあるいはそれよりも新しいプロセッサ (型番が *30, *40, *50 のモデル) が搭載された最新の Thinkpad にインストールしても、tp_smapi は動作しません。tpacpi-battpacpi-bat-gitAUR を使って下さい。

インストール

linux の場合は tp_smapi パッケージ、または linux-lts の場合は tp_smapi-ltsインストール します。他のすべてのカーネル (例:linux-zen) の場合は、tp_smapi-dkmsAUR の使用を検討してください。

tp_smapi (およびそのバリエーション) は、次の カーネルモジュール を提供します。

tp_smapi
ThinkPad SMAPI サポート
hdaps
IBM ハードドライブアクティブ保護システム (HDAPS) ドライバー
thinkpad_ec
ThinkPad 組み込みコントローラーのハードウェアアクセス (tp_smapihdaps は両方ともこれに依存します)

再起動後、tp_smapi とその依存関係が自動ロードされ、/sys/devices/platform/smapi/ の sysfs インターフェイスが完全に機能するようになります。

機能

以下は tp_smapi を使って行えることの一部です。自由に追加してください。

バッテリーの充電の制御

長時間にわたってノートパソコンのバッテリーを満充電の状態にしておくことは良いことではありません 。長時間バッテリーを使わなければならない状況ではないかぎり、できるだけバッテリーは 40-80% ほど残っている状態にしておくべきです。

一般的な方法

tp_smapi を使うことで充電を開始したり停止する閾値を制御することができます。以下のコマンドを実行して適当な値を設定してください:

echo 40 > /sys/devices/platform/smapi/BAT0/start_charge_thresh
echo 80 > /sys/devices/platform/smapi/BAT0/stop_charge_thresh

上記の場合、バッテリーが 40% 以下になると充電が開始され、80% を超えるとそれ以上充電しなくなります。このように設定することでバッテリーの寿命を伸ばすことができます。

バッテリーを一度抜いて、再挿入したりすると、設定した閾値はデフォルトの値にリセットされることがあります。リセットを回避するには、値を設定するスクリプトを作成して、起動時やバッテリーが接続されたときにスクリプトを実行させるようにしてください。より詳しい手順は以下のとおりです。

スクリプト /usr/sbin/set_battery_thresholds を作成:

#!/bin/sh
# set the battery charging thresholds to extend battery lifespan
echo ${2:-40} > /sys/devices/platform/smapi/BAT${1:-0}/start_charge_thresh
echo ${3:-80} > /sys/devices/platform/smapi/BAT${1:-0}/stop_charge_thresh

実行可能 にします。このスクリプトを使用すると、バッテリーのしきい値を設定するのが非常に簡単になります。 次のように入力するだけです (set_battery_thresholds がスクリプトの名前の場合):

set_battery_thresholds 0 96 100

または、引数を指定せずに実行すると、デフォルトで BAT0 になり、しきい値が 40% と 80% になります。

起動時に systemd にスクリプトを実行させます。したがって、tp_smapi_set_battery_thresholds.service ユニットを作成し、その後 起動/有効化 します。

/etc/systemd/system/tp_smapi_set_battery_thresholds.service
[Unit]
Description=Set Battery Charge Thresholds by tp_smapi

[Service]
Type=oneshot
ExecStart=/usr/sbin/set_battery_thresholds
RemainAfterExit=yes

[Install]
WantedBy=multi-user.target

バッテリーで動作させることも可能です。これには、acpid がインストールされ、実行されている必要があります。/etc/acpi/handler.sh を編集します。

#... other ACPI stuff
battery)
  case "$2" in
    BAT0)
      case "$4" in
        00000000)
        ;;
        00000001)
        /usr/sbin/set_battery_thresholds
        ;;
#... more ACPI stuff

設定が反映されているかどうか確認

設定が反映されたかどうか確認するには、以下の出力を確認します:

cat /sys/devices/platform/smapi/BAT0/start_charge_thresh
cat /sys/devices/platform/smapi/BAT0/stop_charge_thresh

ハードディスクを落下から保護

tp_smapi にはノートパソコンの加速度計を読み取って、ハードドライブにダメージを与える落下などの動きを検出できるドライバーが含まれています。この機能に関する情報は HDAPS のページを見て下さい。

部分的にサポートされているノートパソコンの対処方法

部分的にしかサポートされていないノートパソコンでも、バッテリーの制御ができることがあります。まず実際にサポートされている機能を確認してください:

cat /sys/devices/platform/smapi/BAT0/start_charge_thresh
cat /sys/devices/platform/smapi/BAT0/stop_charge_thresh

start-charge_thresh はサポートされているのに stop_charge_thresh はサポートされていない場合でも、コンピュータに充電を止めさせる方法が2つあります。

ノート: 最初の2つのオプションは、T42p では機能しません。3つ目は E540 に対応しています。

1番目のオプション, カスタムスクリプト

  • 上述のようにスクリプト /usr/sbin/set_battery_thresholds を作成
  • オリジナルの /etc/acpi/handler.sh/etc/acpi/handler.sh.start にコピー
  • 上述のように /etc/acpi/handler.sh を編集して /etc/acpi/handler.sh.stop にコピー

次に、以下のスクリプトをコピーして実行可能にし、好みに合わせて値を調整し、root cron として数分ごとに実行します。

#!/bin/bash

CURRENTCHARGE=$(acpitool -b | cut -d, -f2 | cut -d. -f1 | cut -b2-)

if [ $CURRENTCHARGE -gt 80 ]; then
    cp /etc/acpi/handler.sh.stop /etc/acpi/handler.sh
    echo 99 > /sys/devices/platform/smapi/BAT0/start_charge_thresh
    exit 0
fi
if [ $CURRENTCHARGE -lt 60 ]; then
    cp /etc/acpi/handler.sh.start /etc/acpi/handler.sh    
      echo 0 > /sys/devices/platform/smapi/BAT0/start_charge_thresh
    exit 0 
fi

exit 0

2番目のオプション, tpacpi-bat

バッテリーの充電の閾値を制御するには、AUR から Perl スクリプトの tpacpi-bat または tpacpi-bat-gitAUR をインストールします。

手動で閾値を設定するには以下を実行:

tpacpi-bat -v -s startThreshold 0 40
tpacpi-bat -v -s stopThreshold 0 80

上記の例で指定している 40 や 80 はバッテリーの最大容量からのパーセンテージです。必要に応じて調整してください。また、上記の行を /etc/rc.local に追加することで起動時に実行させることができます。上記の値は永続的なはずですが、バッテリーを抜いたときに値がリセットされることがあります。

ノート: コマンドのリストは tpacpi-bat のヘルプを見て下さい: perl /usr/lib/perl5/vendor_perl/tpacpi-bat -h

3番目のオプション, カーネル

カーネル 4.17 には、ThinkPad のバッテリ充電のしきい値を直接調整するオプションが追加されました。

echo 60 > /sys/class/power_supply/BAT0/charge_stop_threshold
echo 40 > /sys/class/power_supply/BAT0/charge_start_threshold

値を表示しようとすると最後のセットのみが表示され、128が追加されます。 これは既知の問題ですが、バッテリの動作からわかるように実際は別の値が設定されています。 他の興味深いパラメータは /sys/class/power_supply/BAT 0/ にあります。

参照

tp_smapi on ThinkWiki