「Ente サーバー」の版間の差分
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2024年8月14日 (水) 18:09時点における版
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Ente サーバー は、Ente (モバイル) クライアントに暗号化されたデータの塊を保存・提供するサーバー部分です。クライアントは暗号化されたデータを送受信し、それが Ente サーバーに届き、ローカルの MinIO オブジェクト ストレージ サービスを通じて保存・読み取りが行われます。
例えば、Ente フォトクライアントを使用すると、クライアントは写真を暗号化し、それらはサーバーに保存されます。後に、クライアントは暗号化された写真を検索し、ローカルで復号できます (エンドツーエンド暗号化)。クライアント、もしくはクライアントが写真を共有した相手のみが暗号鍵を持っているため、データを復号して実際に写真を見ることができるのはその人たちだけであり、サーバーはその鍵の情報を持っていないため見ることができません。
目次
インストール
ente-server-gitAUR パッケージは、デフォルトで提供される Docker 化された Ente サーバーとは異なり、セルフホスティング用に設計されています。Docker 化またはホスティングソリューションが必要な場合は、ente.io を参照してください。
まず、ente-server-gitAUR パッケージをインストールしてください。
セルフホストされるサーバースペースは、しばしば限られた容量しか利用できないため、ente-server-gitAUR パッケージでは、古いリンク切れした ente-server MinIO オブジェクトが実際に削除される前のクリーンアップ遅延を変更できる機能が追加されています。これは、ente-server の設定パラメータ internal:delete-object-delay
で構成することができます。デフォルトの Ente サーバーは、これらのオブジェクトをデフォルトで 45日
ごとにクリーンアップしますが、レプリケーションが必要ない場合、この設定を例えば 5分
ごとにクリーンアップするように設定することができます。
Ente サーバーを稼働させるには、PostgreSQL データベース (Ente オブジェクトのメタデータやユーザーデータの保存用) と MinIO バケット (暗号化されたオブジェクトデータの保存用) が必要です。また、Ente サーバーにアクセスするための HTTPS プロキシとして Nginx の使用が推奨されます。最後に、ente-cli ツールを使うと、Ente サーバーのアカウントの容量制限や有効期限の更新が簡単に行えます。
これらの必要なコンポーネントは、オプションの依存関係としてリストされており、依存関係としてインストールすることが推奨されます: Pacman#Installation_reason
設定
MinIO のセットアップ
設定ファイルを以下のように編集してください:
/etc/minio/minio.conf
MINIO_VOLUMES="/srv/minio/data" MINIO_ROOT_USER=minio MINIO_ROOT_PASSWORD='YOUR-STRONG-MINIO-ROOT-PASSWORD' MINIO_OPTS="--address 127.0.0.1:43200 --console-address 127.0.0.1:43201"
minio.service
を有効化/起動します。
mcli コマンドを使って (minio ユーザーとして) MinIO ente-server バケットを作成します:
# cd /srv/minio/data [minio]$ mcli mb -p ente-server
PostgreSQL のセットアップ
postgres ユーザーとしてデータベースを初期化します:
[postgres]$ initdb --locale en_US.UTF-8 -D '/var/lib/postgres/data' --data-checksums --auth=scram-sha-256 --pwprompt
AF_UNIX ソケットのみに接続するように設定してください:
/var/lib/postgres/data/postgresql.conf
listen_addresses = '' # AF_UNIX Socket only
postgresql.service
を編集して、PostgreSQL ユーザーまたはグループにソケットアクセスを制限します:
/etc/systemd/system/postgresql.d/socket-access-restriction.conf
[Service] RuntimeDirectoryMode=750
ente
を postgres
ユーザーグループ に追加し、postgresql.service
を有効化/起動します。
PostgreSQL データベースユーザーと、このユーザーが所有するデータベースを作成します (新しいパスワードを 2 回入力し、次に新しいアカウントを保存するために postgres パスワードを指定します):
[postgres]$ createuser -P ente
次に、新しいデータベースを作成するために postgres パスワードを指定します:
[postgres]$ createdb -T template0 -O ente -E unicode ente-server
ente-server の起動
MinIO バケットの詳細を追加します:
/etc/ente-server/local.yaml
b2-eu-cen: key: minio secret: "YOUR-STRONG-MINIO-ROOT-PASSWORD" endpoint: your_public_domain.tld:3200 region: eu-central-2 bucket: ente-server
PostgreSQL の詳細を追加します:
/etc/ente-server/local.yaml
db: host: /run/postgresql port: 5432 name: ente-server user: ente password: "YOUR-STRONG-ENTE-DATABASE-USER-PASSWORD"
ente-server-gen-random-keys コマンドを使って新しい秘密鍵を生成し、/etc/ente-server/local.yaml
設定ファイルのデフォルト値の代わりにこれらの値を使用してください。
your_public_domain.tld の IP アドレスにアクセスできるように ente-server.service
を編集します (デフォルトでは、サービスは localhost からのアクセスのみを許可しています):
[Service] IPAddressAllow=IP_address_of_your_public_domain.tld
ente-server.service
を有効化/起動します。
Nginx プロキシの設定
サンプルの Nginx 設定ファイルとそれに付随する HTTP(S) セキュリティヘッダーファイルを、Nginx の設定ディレクトリにコピーします:
# cp -v /usr/lib/ente-server/ente-server-nginx.conf /etc/nginx/ # cp -v /usr/lib/ente-server/http*security_headers.conf /etc/nginx/
このサンプル設定ファイルを編集し、your_public_domain.tld を実際のパブリックドメイン名に置き換えてください。
Let's Encrypt の証明書 (または他のプロバイダーからの SSL 証明書) がまだない場合はリクエストしてください:
# certbot certonly --email your_email --agree-tos --preferred-challenge http --webroot -w /var/lib/letsencrypt -d your_public_domain.tld
ente-server 設定を含む include
ステートメントを Nginx の http
構成ファイルに追加します:
/etc/nginx/nginx.conf
http { include /etc/nginx/ente-server-nginx.conf }
パーミッションを修正します:
# chmod 644 /etc/nginx/ente-server-nginx.conf # chmod 644 /etc/nginx/http*security_headers.conf
変更を反映させるために nginx.service
を再起動します。
ente-server と ente-cli の設定
- クライアントに
ente-cli
をインストールします:- ente-cli-binAUR パッケージをインストール
- クライアントに
ente-cli
設定を追加します:
$ mkdir -p ~/.ente/export
~/.ente/config.yaml
endpoint: api: "https://your_public_domain.tld"
- 写真モバイルアプリまたは Web アプリでカスタムエンドポイントを使用してユーザーアカウントを追加します:
- 写真モバイルアプリで:
- 開発者モードを有効にするためにメイン画面を 7 回タップします
- カスタム Ente サーバー API エンドポイントを定義します:
- 写真モバイルアプリで:
URL: https://your_public_domain.tld
- クライアントの Web アプリで:
$ git clone https://github.com/ente-io/ente.git cd ente/web git submodule update --init --recursive yarn install NEXT_PUBLIC_ENTE_ENDPOINT=https://your_public_domain.tld yarn dev:photos
- 写真アプリまたは Web アプリ (http://localhost:3000) の指示に従って新しいユーザーを作成します
- OTP コードを取得します:
- メールで:
/etc/ente-server/local.yaml
のsmtp
セクションを設定します- 設定された SMTP サーバーが動作していることを確認します
- メールが届くのを待ち、OTP コードをコピーします
- ente-server ログから:
# journalctl -u ente-server | grep SendEmailOTT | tail -n 1
- メールで:
- 新規ユーザーのアカウント ID を取得します:
# psql -U ente ente-server -c 'select user_id from users order by user_id desc limit 1;'
- このユーザーを管理者として設定します:
/etc/ente-server/local.yaml
internal: admin: [ADD_USER_ID_HERE]
- 新しい管理者権限を有効にするために
ente-server.service
を再起動します - クライアントで
ente-cli
内のこの管理者を設定します:
$ ente account add photos ~/.ente/export email_address_of_admin_account password_of_admin_account
ユーザーストレージとアカウント有効期限の延長
- ente-cli を使ってストレージ制限を 100 TB、期限を 100 年に増やします:
ente admin update-subscription -u "user@domain.tld"
(オプション) AppArmor プロファイルのコピーと適用
AppArmor プロファイルは、AppArmor を使用して ente-server バイナリのアクセスを制限したい人向けに提供されています。次の手順でプロファイルをコピーして適用します (すでに AppArmor がインストールおよび有効化されているものと仮定):
# install -Dvm600 -o root -g root /usr/lib/ente-server/usr.bin.ente-server -t /etc/apparmor.d/ # aa-enforce /usr/bin/ente-server
(オプション) ファイアウォールの設定
iptables や nftables などのホストファイアウォールが有効化および構成されている場合、次の項目が許可されていることを確認します:
localhost
へのトラフィック- クライアントの Ente (モバイル) クライアントから Nginx への TCP ポート
443
のトラフィック - クライアントの Ente (モバイル) クライアントから MinIO API ポートへの TCP ポート
3200
のトラフィック
- Upstream Repository: ente.io Ente Server Repository
ente-server-gitAUR パッケージには、インストールされるすべてのファイルが記載・説明された ente-server(1) man ページ が含まれています。
参照
- 上流リポジトリ: ente.io Ente サーバーリポジトリ