「Arch と他のディストリビューションの比較」の版間の差分

提供: ArchWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
 
(文字列「http://www.freebsd.org/」を「https://www.freebsd.org/」に置換)
(5人の利用者による、間の39版が非表示)
1行目: 1行目:
[[Category:About Arch (日本語)]]
+
[[Category:Arch について]]
[[cs:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[cs:Arch compared to other distributions]]
[[da:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[da:Arch compared to other distributions]]
 
[[de:Arch vs. Distribution X]]
 
[[de:Arch vs. Distribution X]]
[[el:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[el:Arch compared to other distributions]]
[[es:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[en:Arch compared to other distributions]]
  +
[[es:Arch compared to other distributions]]
 
[[fa:آرچ در مقایسه با سایر توزیع‌ها]]
 
[[fa:آرچ در مقایسه با سایر توزیع‌ها]]
  +
[[fi:Arch Compared to Other Distributions]]
 
[[fr:Arch vs autres distributions]]
 
[[fr:Arch vs autres distributions]]
[[hu:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[hu:Arch compared to other distributions]]
[[id:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[id:Arch compared to other distributions]]
[[it:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[it:Arch compared to other distributions]]
[[ko:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[ko:Arch compared to other distributions]]
[[lt:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[lt:Arch compared to other distributions]]
[[nl:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[nl:Arch compared to other distributions]]
[[pl:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[pl:Arch compared to other distributions]]
[[pt:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[pt:Arch compared to other distributions]]
[[ro: Arch în comparație cu alte distribuții]]
+
[[ro:Arch în comparație cu alte distribuții]]
[[ru:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[ru:Arch compared to other distributions]]
[[sk:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[sk:Arch compared to other distributions]]
[[th:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[th:Arch compared to other distributions]]
  +
[[zh-hans:Arch compared to other distributions]]
[[tr:Arch_ile_diğer_dağıtımların_karşılaştırması]]
 
[[uk:Arch Compared to Other Distributions]]
+
[[zh-hant:Arch compared to other distributions]]
  +
{{Related articles start}}
[[zh-CN:Arch Compared to Other Distributions]]
 
  +
{{Related|Arch Linux}}
{{Article summary start}}
 
{{Article summary text|Arch Linuxと他GNU/LinuxディストリビューションやBSDとの簡単な比較。}}
+
{{Related|Arch ベースのディストリビューション}}
  +
{{Related|Pacman 比較表}}
{{Article summary heading|参照}}
 
  +
{{Related articles end}}
{{Article summary wiki|Arch Linux}}
 
  +
このページでは Arch Linux と他の GNU/Linux ディストリビューション、また UNIX ライクな OS との比較をしています。Arch Linux を利用するのが適しているかどうか迷っている人のために簡単な説明を加えていきます。ある程度は役に立つとは思いますが、実際にディストリビューションを試してみることが比較する最善の方法だということを忘れないで下さい。
{{Article summary wiki|The Arch Way}}
 
  +
{{Article summary heading|外部リンク}}
 
  +
もっと詳しい比較は [[w:Comparison of operating systems]] や [[w:ja:Linuxディストリビューションの比較]]を見てください。
{{Article summary link|DistroWatch.com|http://distrowatch.com/}}
 
{{Article summary end}}
 
このページではArch Linuxと他のGNU/Linuxディストリビューション、またUNIXライクなOSとの比較をしています。Arch Linuxを利用するのが適しているかどうか迷っている人のために簡単な説明を加えていきます。お役に立てれば光栄ですが、実際にディストリビューションを試してみることが比べる最善の方法だということを忘れないで下さい。
 
   
 
== ソースベース ==
 
== ソースベース ==
   
ソースベースのディストリビューションは移植性が高く、OSとアプリケーションをコントロールしコンパイルするのに優位な点(特に特定のCPUアーキテクチャに最適化場合)がありますが、そのかわりソースをコンパイルするのに時間を費やさなくてはならないという欠点があります。Arch Linuxではすべてのパッケージはi686・x86_64アーキテクチャに最適化されており、i386/i486/i586のバイナリを提供するディストリビューションよりパフォーマンスの面で優れています。
+
ソースベースのディストリビューションは移植性が高く、OS とアプリケーションをコントロールしコンパイルするのに優位な点(特定の CPU アーキテクチャに最適化できる)がありますが、そのかわりソースをコンパイルするのに時間を費やさなくてはならないという欠点があります。Arch Linux ではすべてのパッケージは x86_64 アーキテクチャに最適化されており (i686 のサポートは2017年11月まで [https://www.archlinux.jp/news/phasing-out-i686-support/])、i486/i586 のバイナリを提供するディストリビューションよりパフォーマンスの面で優れています。
   
=== Gentoo Linux ===
+
=== CRUX ===
   
  +
* Arch Linux の創始者、Judd Vinet は Arch を作る前、CRUX に感銘を受け、愛用していました。CRUX は Per Lidén によって作られたミニマリストディストリビューションです。Judd Vinet は CRUX や BSD の思想にインスパイアされ、Arch をスクラッチから作り、[[pacman]] を C でコーディングしました。
Gentoo LinuxはArch Linuxと同じローリングリリースを採用しています。これによってパッケージは比較的最新に保たれています。ユーザーが設定する「USEフラグ」によってソースコードから直接コンパイルすることでGentooのシステムは成り立っています。Arch Linuxはコンパイル済みのi686/x86_64バイナリを入れるシステムですが、Portsライクなシステムを使ってソースコードからパッケージをインストールすることも可能です。一般にArch Linuxはビルドとアップデートが速く、Gentooはより細かくシステムをカスタマイズ可能です。Arch Linuxはi686・x86_64アーキテクチャのみをサポートしていますが、Gentooは公式にx86、PPC、SPARC、Alpha、AMD64、ARM、MIPS、HP/PA、S/390、sh、Itaniumアーキテクチャをサポートしています。OSのインストール時はどちらも最小のベースシステムのみをインストールするので、手動でシステムカスタマイズを行う必要があります。Gentooを使えばArch Linuxと同じ快適を感じることができるでしょう。
 
  +
* Arch Linux と CRUX には共通の指針が複数あります: どちらもアーキテクチャに最適化され、ミニマリストで、K.I.S.S. 原則に沿っています。Ports ライクなシステムを持ち、*BSD のようにビルドを楽にする基盤を持っていることも同じです。Arch Linux では pacman を使って、バイナリのパッケージ管理したり、[[Arch Build System]] をシームレスに動作させます。CRUX はコミュニティによって開発されている prt-get と呼ばれるシステムを使い、Ports システムと連携して依存解決を行いますが、すべてのパッケージはソースからビルドされます (ただし CRUX のインストールにはバイナリを使います)。
 
  +
* Arch Linux と CRUX はどちらも公式に x86_64 のみをサポートしています。
=== Sorcerer/Lunar-Linux/Source Mage ===
 
  +
* Arch Linux はローリングリリースにのっとった大量のバイナリパッケージのレポジトリ、さらに [[Arch User Repository]] を用意しています。CRUX は更に軽量な公式サポートの Ports システムを提供しており、控えめなコミュニティリポジトリがあります。
 
Sorcerer/Lunar-Linux/Source Mage (SLS)は同じ起源をもったソースベースのディストリビューションです。SLSはパッケージを記述するよりシンプルなスクリプトファイルを持ち、コンパイルの設定にグローバルな設定ファイルを使います。([[Arch Build System (日本語)]]に似ています)。SLSのツールは依存性チェックや任意選択、パッケージのトラッキング・削除・アップグレードを行います。SLSファミリーにバイナリパッケージは用意されていませんが、インストールされたパッケージを以前のバージョンに簡単に戻す機能があります。
 
 
インストールする際にはshellとncurses menusによるシンプルなシステムを用い、後から任意でシステムをリコンパイルできます。Arch Linuxのように、デフォルトのWM/DE/DMはありません。またXorgはインストール時に含まれていません。複数のXサーバー代替を利用できます。(Xorg 6.8/7, XFree86)
 
 
SLSには複雑な歴史があります。詳細は[http://wiki.sourcemage.org/SourceMage/History the SourceMage wiki]に書かれています。
 
 
== ミニマリスト ==
 
 
ミニマリストディストリビューションはArch Linuxと多くの類似点があります。技術的視点から見てすべてのディストリビューションは「シンプル」だと考えられています。
 
   
 
=== LFS ===
 
=== LFS ===
   
LFS(Linux From Scratch)は単純にドキュメントとして存在しています。GNU/Linuxシステムを動かすための最小パッケージのソースコードの入手、マニュアルコンパイル、パッチ、コンフィグレーションをスクラッチで行うようユーザーに命じています。LFSは限りなくミニマルで、ベースシステムをビルド・カスタマイズする素敵な経験を得ることができます。Arch Linuxは[[systemd]]や強力な[[pacman (日本語)]]パッケージマネージャーを加えたi686/x86_64に最適コンパイル済みの同じようなパッケージを提供します。LFSにはオンラインリポジトリはありません。ソースを自分で手にいれ、コンパイルしインストールすることになります。(手動のパッケージマネージの方法はLFSヒントの中にあります)。Arch Linuxのベースシステムでは、Archのコミュニティ・デベロッパによる何千のバイナリパッケージをpacmanを使ってインストールでき、[[Arch Build System (日本語)]]用の[[PKGBUILD]]ビルドスクリプトがあります。Archにはまた便宜に{{ic|.pkg.tar.xz}}パッケージをビルド・カスタマイズするための[[makepkg]]ツールがあり、そのままpacmanでインストールできます。Judd VinetはスクラッチからArch Linuxを作り、pacmanをC言語で記述しました。歴史的に、Arch Linuxは時々ユーモアとして「便利なパッケージマネージャ付きLinux」(Linux, with a nice package manager)と表現されます。
+
* LFS (Linux From Scratch) は単純にドキュメントとして存在しています。GNU/Linux システムを動かすための最小パッケージのソースコードの入手、マニュアルコンパイル、パッチ、コンフィグレーションをスクラッチで行うようユーザーに命じています。LFS は限りなくミニマルで、ベースシステムをビルド・カスタマイズする素敵な経験を得ることができます。Arch Linux [[systemd]] や強力な [[pacman]] パッケージマネージャが付いており、x86_64 に最適化してコンパイルされたパッケージを提供します。
  +
* LFS にはオンラインリポジトリがありません。ソースを自分で手にいれ、コンパイルしインストールすることになります (手動のパッケージ管理の方法が LFS ヒントの中にあります)。Arch Linux のベースシステムでは、Arch のコミュニティや開発者による何千ものバイナリパッケージを pacman を使ってインストールでき、[[Arch Build System]] 用の [[PKGBUILD]] ビルドスクリプトもあります。また Arch には {{ic|.pkg.tar.xz}} パッケージを便宜にビルド・カスタマイズするための [[makepkg]] ツールがあり、出来たパッケージはそのまま pacman でインストールできます。
  +
* Judd Vinet はスクラッチから Arch Linux を作り、pacman を C 言語で記述しました。歴史的に、Arch Linux は時々ユーモアとして「便利なパッケージマネージャ付き Linux」 (Linux, with a nice package manager) と表現されることがあります。
   
=== CRUX ===
+
=== Gentoo/Funtoo Linux ===
   
  +
* Gentoo Linux は Arch Linux と同じローリングリリースを採用しています。これによってパッケージは比較的最新に保たれています。
Arch Linxuを作る前、Judd VinetはCRUXに感銘を受け、愛用していました。CRUXはPer Lidénによって作られたミニマリストディストリビューションです。CRUXとBSDに共通の思想にインスパイアされてArch Linuxはスクラッチから作られ[[pacman (日本語)]]をCでコーディングしました。Arch LinuxとCRUXには共通の指針が複数あります: 例えば、どちらもアーキテクチャに最適化され、ミニマリストで、K.I.S.S.原則に沿っています。Portsライクなシステムを持ち、*BSDのようにビルドを楽にするミニマルなベース環境を持つのも共通しています。Arch Linuxはpacmanを使って、バイナリシステムパッケージマネージメントを行い、[[Arch Build System (日本語)]]をシームレスに動かしています。CRUXはコミュニティによるprt-getと呼ばれるシステムを使い、Portsシステムと連携して、依存解決を行います。しかしすべてのパッケージはソースからビルドされます。(CRUXのインストールにはバイナリを使いますが)。Arch Linuxは公式にx86_64とi686のみサポートしています。CRUXは公式のi686サポートに而してコミュニティによってx86-64、PPC、64-bit PPC版が開発されています。
 
  +
* ユーザーが設定する「USE フラグ」によってソースコードから直接コンパイルすることで Gentoo のシステムは成り立っています。Arch Linux はコンパイル済みの x86_64 バイナリを入れるシステムですが、Ports ライクなシステムを使ってソースコードからパッケージをインストールすることも可能です。一般に Arch Linux はビルドとアップデートが速く、Gentoo はより細かくシステムをカスタマイズ可能です。
  +
* Arch Linux は x86_64 アーキテクチャのみをサポートしていますが Gentoo は公式に x86 (i486/i686), x86_64, PPC/PPC64, SPARC, Alpha, ARM, MIPS, HPPA, S/390, Itanium アーキテクチャをサポートしています。
  +
* Gentoo の公式パッケージ・システム管理ツールは Arch のものよりも複雑で「パワフル」に出来ています。Gentoo の中核となる機能 ''([https://wiki.gentoo.org/wiki/Handbook:X86/Working/USE USE フラグ], [https://wiki.gentoo.org/wiki/Handbook:X86/Working/Portage#Terminology SLOT] など)'' には同等の機能が Arch Linux に存在しないものがあります。理由の一つとして Arch が主としてバイナリを使うディストリであるというのもありますが、作りをシンプルにして"オーバースペック"にならないようにするという Arch の[[Arch Linux#原則|設計思想]]の違いも大きいでしょう。
  +
* OS のインストール時はどちらも最小のベースシステムのみをインストールするので、手動でシステムカスタマイズを行う必要があります。Gentoo ユーザーは Arch Linux の様々なところを快適だと感じることができるでしょう。
   
  +
== 一般向け ==
Arch Linuxはローリングリリースシステムにのっとった大量のバイナリパッケージのレポジトリ、さらに[[Arch User Repository]]を用意しています。CRUXはよりスリムダウンしたPortsシステムをサポートし、それに加え控えめなコミュニティリポジトリがあります。
 
   
  +
これらのディストリビューションは広い範囲での使用をみこんでいて、利用方法を選ばない汎用性があります。
=== Slackware ===
 
   
  +
=== Debian ===
* SlackwareとArchはエレガンスとミニマリズムにフォーカスしたシンプルなディストリビューションという点でとても似ています。
 
   
  +
* [https://www.debian.org/ Debian] は Linux ディストリビューションで一番巨大なプロジェクトであり、コミュニティであり、stable・testing・unstable のそれぞれのブランチをあわせると4万3千以上にもなるバイナリパッケージを提供しています。Arch で利用できるバイナリパッケージの数はそれに及びませんが、AUR も含めれば、その数は拮抗します。
* Slackwareは謙虚で完全にvanillaなことで有名です。Archは破損を避けたりパッケージをよりクリーンにコンパイルするためにパッチをあてています。
 
   
  +
* Debian はフリーソフトウェアの思想にとても熱情を持っています。Arch はそれに比べると甘く、GNU によって「フリーでない」と判断されたパッケージも含みます。
* SlackwareはBSDスタイルのinitスクリプトが標準です。Archは[[systemd]]を採用しています。
 
   
  +
* Debian のデザイン・アプローチは安定性と厳重なテストに焦点をおいています。そして有名な "Debian 社会契約" に基づいて作られています。Arch の焦点はシンプル・ミニマリズムそして最前線です。Arch のパッケージは Debian の Stable や Testing よりも新しく、Unstable ブランチに相当します。
* Archは[[pacman (日本語)]]パッケージマネージャを供給し、Slackwareの標準ツールとは異なり、オートマティックな依存解決とシステムアップデートを行います。Slackwareにはインストール済みのライブラリと依存を供給しますが、Slackwareのユーザーは典型的に手動で依存解決を行なっています。
 
   
  +
* Debian と Arch はどちらも名の通ったパッケージ管理システムを提供します。
* Archはローリングリリースを採用しています。Slackwareのリリースサイクルはより保守的で、安全でstableなパッケージを好みます。Archはこの点で「最前線」です。
 
   
  +
* Arch はローリングリリースです。Debian の Stable は「凍った」パッケージです。最大で [https://wiki.debian.org/LTS 5年間] のサポートが約束されています。
* Arch Linuxはオフィシャルレポジトリに沢山のバイナリパッケージがありますが、Slackwareのそれはより質素です。
 
   
  +
* Debian は多くのアーキテクチャに対応しています: alpha、arm、hppa、i386、x86_64、ia64、m68k、mips、powerpc、s390、sparc。Arch は公式対応は x86_64 のみ、コミュニティの移植として i686 版 ([https://archlinux32.org/ Arch Linux 32]) と arm 版 ([https://archlinuxarm.org/ Arch Linux ARM]) だけです。
* ArchにはPortsライクな[[Arch Build System (日本語)]]とユーザーのPKGBUILDの巨大な集合の[[AUR]]があります。大きさはArchには及びませんが、SlackwareにはArchのPKGBUILDに似たSlackbuilds [http://www.slackbuilds.org slackbuilds.org]というセミオフィシャルレポジトリがあります。Slackwareを使えばArch Linuxと同じ快適を感じることができるでしょう。
 
   
  +
* Arch はカスタマイズビルド・外部ソース由来のパッケージのインストールを Ports ライクなシステムを有することでサポートしています。Debian にはそれがなく、おおむねその巨大なバイナリリポジトリに頼っています。
== 一般向け ==
 
   
  +
* Arch のインストールによって作られるのは最小限のベース環境だけで、システムコンフィグレーションが透明化されています。Debian にもいくつかインストールの方法がありますが、自動的な設定の方に重きを置いています。
これらのディストリビューションは広い範囲での使用をみこんでいて、ほとんどのOS利用に使える汎用性があります。
 
   
  +
* Debian はデフォルトでは [[SysVinit]] を使っています、ユーザーが systemd や upstart を設定することも可能です。Arch は [[systemd]] を採用しており、全体的に優れたパフォーマンスを発揮します。Debian の次の安定版リリースでは、[[systemd]] がデフォルトになります。
=== Debian GNU/Linux ===
 
   
  +
* Arch は基本的にソフトウェアライブラリにヘッダーファイルも入っていますが、Debian はヘッダーファイルは個別にダウンロードする必要があります。
* Debianは非常に巨大なプロジェクトであり、コミュニティであり、stable・testing・unstableのそれぞれのブランチは2万を超えるバイナリパッケージを提供しています。Archの利用できるバイナリパッケージの数はそれに及びませんが、AURも含めれば、その数は拮抗します。
 
   
  +
* Arch はパッチを最小限に抑えており、そうすることで上流のレビューが困難になる問題を避けています。Debian はおうようにパッチを行います。
* Debianはフリーソフトウェアの思想にとても熱情を持っています。Archはそれに比べると甘く、GNUによって「フリーでない」と判断されたパッケージも含みます。
 
   
  +
=== Fedora ===
* Debianのデザイン・アプローチは安定性と厳重なテストに焦点をおいています。Archの焦点はシンプル・ミニマリズムそしてブリーディングエッジです。ArchのパッケージはDebianのStableやTestingよりも新しく、Unstableブランチに相当します。
 
   
  +
* Fedora はコミュニティによって開発されていますが、Red Hat による法的なサポートを受けています。しばしばブリーディングエッジテストベッドリリースシステムと称されます。Fedora のパッケージとプロジェクトは RHEL に (たまに他のディストリビューションにも) 取り込まれます。Arch もブリーディングエッジですが、その意味するところはローリングリリースであり、他のディストリビューションのようなテストブランチはありません。
* DebianとArchは主となるパッケージマネージメントを提供します。
 
   
  +
* Fedora のパッケージは RPM です。管理には DNF パッケージマネージャを使い、オフィシャルなグラフィカルパッケージ管理ツールも用意されています。Arch は tar.xz パッケージを管理するために [[pacman]] を使い、グラフィカルフロントエンドは公式には用意していません。
* Archはローリングリリースです。DebianのStableは「凍った」パッケージです。
 
   
  +
* Fedora は公式リポジトリに MP3 メディアサポートや他のノンフリーなソフトウェアを用意していません。フリーソフトウェアの思想のためですが、サードパーティのレポジトリにはそれらのパッケージが存在します。Arch はそうしたことに厳格ではないので、ユーザーに選択を委ねています。
* Debianは多くのアーキテクチャに対応しています。alpha、arm、hppa、i386、x86_64、ia64、m68k、mips、powerpc、s390、sparc。Archは公式対応はi686とx86_64のみ、コミュニティの移植としてarm版(例えばRaspberry Pi向け)のみです。
 
   
* Archはカスタマイズビド・外部ソー由来のパッケインストールをPortsライクなステムを有ことでサポーています。Debianにそれがなく、おおむねそ巨大なバナリリポジトリに頼っています。
+
* Fedora 最小構成だけでなくグラフィカルインラーを含めた多くのインストールオプョンがありま。Fedora にはユーザーが選ぶこときるデスクップ環境を選りすぐっています。一方 Arch 最小構成のインスールをするためのスクプトだけを提供しています。
   
  +
* Fedora は定期的なリリースサイクルを持っています。個別のバージョンで FedUp ツールを使ってアップデートすることをサポートしています。Arch はローリングリリースを採用しています。
* Archのインストール時のシステムはミニマルベースのみです。システムコンフィグレーションが透明化されています。Debianにもいくつかインストールの方法がありますが、自動的な設定の方に重きを置いています。
 
   
  +
* Arch には Ports システムがあります、Fedora にはありません。
* DebianはSysVinitを使っています。Archは[[systemd]]を採用しています。
 
   
  +
* Arch と Fedora は中級・上級ユーザーや開発者をターゲットにしています。どちらもユーザーがプロジェクトに貢献することを求めています。
* Archはパッチを最小に押さえています、そうすることでレビューが困難になる問題を避けています。Debianはおうようにパッチを行います。
 
   
  +
* Fedora は SELinux、GCJ コンパイルパッケージ (Sun の JRE 代替) の統合やアップストリームへの多くの貢献についてコミュニティーの承認を得ています。他のプロジェクトと比べてレッドハットや Fedora の外部開発者は Linux のカーネルコードに一番貢献しています。
=== Fedora ===
 
   
  +
* Arch Linux はユーザーのための様々な記事がある wiki を持っています。Fedora の wiki は「wiki」の言葉通りに、開発者・テスター・ユーザーたちのすばやい情報の交換のために使われています。エンドユーザーのための wiki を意味しません。Fedora の wiki はトラッカーやコーポレート wiki に似ています。
* Fedoraはコミュニティによって開発されていますが、Red Hatによる法的なサポートを受けています。それはしばしばブリーディングエッジテストベッドリリースシステムと称されます。FedoraのパッケージとプロジェクトはRHELに(たまに他のディストリビューションにも)取り込まれます。Archもブリーディングエッジですが、その意味するところはローリングリリースであり、他のディストリビューションのようなテストブランチはありません。
 
   
  +
=== Slackware ===
* FedoraのパッケージはRPMです。管理にはYUMパッケージマネージャを使い、オフィシャルなグラフィカルパッケージ管理ツールも用意されています。Archはtar.xzパッケージを管理するために[[pacman (日本語)]]を使い、グラフィカルフロントエンドは公式には用意していません。
 
   
  +
* Slackware と Arch はエレガンスとミニマリズムにフォーカスしたシンプルなディストリビューションという点でとても似ています。
* Fedoraは公式リポジトリにMP3メディアサポートや他のノンフリーなソフトウェアを用意していません。フリーソフトウェアの思想のためですが、サードパーティのレポジトリにはそれらのパッケージが存在します。Archはそのことに厳格ではないので、ユーザーに選択を委ねています。
 
   
  +
* Slackware は完全に vanilla(カーネルに何もパッチをあてていない状態)なことで有名です。Arch は破損を避けたりパッケージをクリーンにコンパイルするためにパッチをあてています。
* Fedoraは最小構成だけでなくグラフィカルインストーラーを含めた多くのインストールオプションがあります。Fedoraにはユーザーが選ぶことができるデスクトップ環境を選りすぐっています。一方Archは最小構成のインストールはほんのすこしのスクリプトのみです。
 
   
* Fedora定期的なリリーを持っています。個別バージョンはPreUpgradeツールを使ってアッデーすることをサポートしています。Archはローリングリリースを採用しています。
+
* Slackware BSD イルの init スクリプトが標準です。Arch [[systemd]] を採用しています。
   
  +
* Arch は [[pacman]] パッケージマネージャを供給しているので、Slackware の標準ツールとは異なり、オートマティックな依存解決とシステムアップデートを行います。Slackware のユーザーは基本的に手動で依存解決を行なっています。
* '''The Arch Way'''はシンプル・軽量・エレガンスそしてユーザーの利便性を重視しています。対して'''Fedora Core Values'''はフリーソフトウェア・コミュニティ開発・ブリーディングエッジシステムイノベーションを重視しています。
 
   
  +
* Arch はローリングリリースを採用しています。Slackware のリリースサイクルはより保守的で、安定したパッケージを好みます。Arch はこの点「最前線」です。
* ArchにはPortsシステムがあります、Fedoraはありません。
 
   
  +
* Arch Linux では公式リポジトリに沢山のバイナリパッケージがありますが、Slackware の公式リポジトリはそれよりも質素です。
* ArchとFedoraは中級・上級ユーザーや開発者をターゲットにしています。どちらもユーザーがプロジェクトに貢献することを求めています。
 
   
  +
* Arch には Ports ライクな [[Arch Build System]] とユーザーの PKGBUILD の巨大な集合である [[AUR]] があります。大きさは Arch には及びませんが、Slackware には Arch の PKGBUILD に似た Slackbuilds [http://www.slackbuilds.org slackbuilds.org] という半公式のリポジトリがあります。Slackware ユーザーは Arch Linux の様々なところを快適だと感じることができるでしょう。
* FedoraはSELinux、GCJコンパイルパッケージ(SunのJRE代替)の統合やアップストリームへの多くの貢献についてコミュニティーの承認を得ています。レッドハットやFedoraの外部開発者はLinuxのカーネルコードについて他のプロジェクトと比べて一番貢献しています。
 
 
* Arch Linuxは雑多なことに触れたユーザーに役立つwikiを持っています。Fedoraのwikiは「wiki」の言葉通りに、開発者・テスター・ユーザーたちのすばやい情報の交換のために使われています。エンドユーザーのためのwikiを意味しません。Fedoraのwikiはトラッカーやコーポレートwikiに似ています。
 
   
 
=== Frugalware ===
 
=== Frugalware ===
   
* Archはコマンドラインをよく使います。
+
* Arch はコマンドラインをよく使います。
 
* FrugalwareはJFSファイルシステムをデフォルトでサポートしません。
 
   
* ArchとFrugalwareはどちらもi686に最適化されていま
+
* Frugalware [[JFS]] ファイルシステムをデフォルトでサポートしていません
   
* Archは初めに最小構成をインストールして、それからpacmanを使ってユーザーのニーズにあわせて拡張していきます。Frugalwareはすでにソフトウェアやデスクトップ環境が選ばれたDVDからインストールします。
+
* Arch は初めに最小構成をインストールして、それから pacman を使ってユーザーのニーズにあわせて拡張していきます。Frugalware はすでにソフトウェアやデスクトップ環境が選ばれた DVD からインストールします。
   
* Frugalwareは定期的なリリースサイクルを持っています。もう一度言うと、Archはシンプル・ミニマリズム・コードの正確性そしてローリングリリースによる最前線のパッケージに焦点をあてています。
+
* Frugalware は定期的なリリースサイクルを持っています。もう一度言うと、Arch はシンプル・ミニマリズム・コードの正確性そしてローリングリリースによる最前線のパッケージに焦点をあてています。
   
 
== 初心者向け ==
 
== 初心者向け ==
   
ときどきnewbieディスト」と呼ばれ、似た思想で構築されている初心者向けのディストリビューションは数多くありますが、Archはそれらとは全く異なります。できるだけミニマルなところから構成することでGNU/Linuxを勉強しようと思っている人にはArchはベターかもしれません。Archのインストールは比較的パッケージ少ないで。ディストリビューションの特徴の差異を以下に記述します。
+
初心者用(newbie)ディスト」と呼ばれ、似た思想で構築されている初心者向けのディストリビューションは数多くありますが、Arch はそれらとは全く異なります。できるだけミニマルなところから構成することで GNU/Linux を勉強しようと思っている人には Arch はベターかもしれません。Arch のインストールでインストールされるパッケージは比較的少ないから。ディストリビューションの特徴の差異を以下に記述します。
   
 
=== Ubuntu ===
 
=== Ubuntu ===
   
* Ubuntuは広く人気を集めているDebianベースのディストリビューションでCanonical Ltd.によって商業的にサポートされています。Archはインディペンデントにスクラッチから作られたシステムです。
+
* Ubuntu は広く人気を集めている Debian ベースのディストリビューションでCanonical Ltd. によって商業的にサポートされています。Arch 独立系の、スクラッチから作られたシステムです。
   
* 2つのプロジェクトは全く違うゴールターゲットユーザーを持っていると言えます。Archはdo-it-yourselfアプローチを好むユーザーのために作られているのに対し、Ubuntuはユーザーフレンドリーな全自動構成のシステムを提供します。Archはベースからインストールするミニマリストデザインをとっており、ユーザーそれぞれの目的のためにカスタマイズすることに頼っています。一般的に、開発者や鋳掛師(機械とその部品を修理し実験することを楽しむ人)はUbuntuよりもArchが好でしょう。しかしUbuntuからキャリアを初めてArchに移行したユーザーがいること事実です。
+
* Arch と Ubuntu にそれぞれ全く違うゴール、そしてターゲットユーザーがあります。Arch do-it-yourself アプローチを好むユーザーのために作られているのに対し、Ubuntu はユーザーフレンドリーな全自動のシステムを提供します。Arch はベース状態からインストールするミニマリストデザインをとっており、ユーザーそれぞれの目的のためにカスタマイズすることが求められています。一般的に、開発者や鋳掛師(機械とその部品を修理し実験することを楽しむ人)は Ubuntu よりも Arch が好みに合うでしょう。しかしながら Ubuntu からキャリアを開始しArch に移行したユーザーもたくさんいます。
   
* 最近のUbuntuの開発はタッチスクリーンデバイスに重きをおいている感じがあります。Archはユーザーコミュニティと連携して開発することでユーザーの目的に沿ったモデルをつくることに集中しています。
+
* 最近の Ubuntu の開発はタッチスクリーンデバイスに重きをおいている感じがあります。Arch はユーザーコミュニティと連携して開発することでユーザーの目的に沿ったモデルをつくることを優先しています。
  +
** また、Canonical の商業的な性質から論争を招くような決定が行われることもあります。例えば Unity の ''Dash'' メニューに広告を含めたりユーザーデータを収集したりすることが挙げられます。Arch は独立した、コミュニティによるプロジェクトであり、商業的な議題があがったりディストリビューションにブロートウェアを入れるようなことはありません。
   
* Ubuntuは6ヶ月ごとにリリースします。Archはローリングリリースで、毎月新しいスナップショットが作られます。
+
* Ubuntu は6ヶ月ごとにリリースします。Arch はローリングリリースで、毎月新しいスナップショットが作られます。
   
* ArchにはPortsライクなシステムがあります。Ubuntuにはないす。
+
* Arch には Ports ライクなシステムがあります。Ubuntu にはありません。[https://launchpad.net/ubuntu/+ppas Personal Package Archives] によってバイナリパッケージが配布できるようにってす。
   
* コミュニティにも違いが見受けられます。ArchのコミュニティはUbuntuのコミュニティと比べるとその規模は小さく、ディストリビューションに貢献することをすすています。反対に、Ubuntuのコミュニティは巨大で、開発・パッケージング・ポジトリのメンテナンスにかかわらないユーザーにも寛容です。
+
* コミュニティにも違いが見受けられます。Arch のコミュニティは Ubuntu のコミュニティと比べるとその規模は小さく、Arch への貢献が求られます。反対に、Ubuntu のコミュニティは巨大で、開発・パッケージング・ポジトリのメンテナンスにかかわらないユーザーにも寛容です。
   
=== Mandriva ===
+
=== Linux Mint ===
   
  +
* [http://www.linuxmint.com/ Linux Mint] は [[#Ubuntu|Ubuntu]] の派生として誕生し、後に [[#Debian GNU/Linux|Debian]] をベースとする LMDE (Linux Mint Debian Edition) が追加されています。他方、Arch は独立したディストリビューションであり独自の[[ABS|ビルドシステム]]と[[公式リポジトリ|リポジトリ]]を使っています。
Mandriva Linux(旧名:Mandrake Linux)は1998年にすべての人がGNU/Linuxを使いやすくすることをゴールに作られました。RPMベースでurpmiパッケージマネージャを装備しています。アゲイン、Archはシンプルなアプローチを取っています、テキストベースかつ手動の設定が必要で、中級・上級ユーザーを対象にしています。
 
  +
* Ubuntu と同じように、Mint も"パワフルで使いやすく、最新で洗練されたオペレーティングシステム"を謳っており対象とするユーザーベースも同じです。ディストリビューションのパッケージに関するアプローチやターゲットは Arch の[[The Arch Way|ミニマリズム]]とは明らかに対極に位置しています。
  +
* Mint には ''MintTools'' という簡易なメンテナンス用のグラフィカルツールが含まれています。Arch が提供するのは [[pacman]] などのシンプルなコマンドラインツールだけであり、システムの管理はユーザーに一任されます。
  +
* Mint はメインの GUI として [[Cinnamon]] または [[MATE]] が搭載されており、他に [[KDE]] と [[Xfce|Xfce4]] が選べます。コーデックや flash、DVD の再生や MP3 のサポートが含まれており、中にはプロプライエタリなソフトウェアもあります。さらにバラエティ豊かな人気ソフトウェア [[Firefox]], [[GIMP]], [[LibreOffice]], [[pidgin]] などが入っています。Arch のベースインストールには [[Xorg]] すら含まれておらず、ウィンドウマネージャやデスクトップ環境といったものは、後で必要な場合にインストールすることができます。また、Arch のデフォルトディストリビューションにはプロプライエタリソフトウェアは含まれていません。
  +
* Mint の新しいバージョンは、Ubuntu の約1ヶ月後、6ヶ月ごとにリリースされますが、サポートサイクルは少々異なっています。LTS 版は5年間のサポートがあり、LTS 版の間にはさまる3つのリリースは6ヶ月 (つまり次のリリースまで) しかサポートされません。LMDE 版は Debian Testing のリリースサイクルに従っており、Mint のウェブサイトでは"セミローリング"と解説されるように Debian Testing のテスト済みスナップショットを "Update Packs" として使うことで安定したシステムを実現しています。もっと頻繁にアップデートをして欲しい場合は、Testing や Unstable からアップデートをダウンロードするように切り替えることも可能です。一方、Arch はフルローリングリリースのディストリビューションです。
  +
* Mint はパッケージマネージャとして APT を使用します。Arch は [[pacman]] を使います。
   
 
=== openSUSE ===
 
=== openSUSE ===
   
openSUSEはRPMパッケージを使っていてYaST2というGUI設定ツールを持っています。パッケージマネージを含めてユーザーが必要な設定を一度に行えます。Archはそのようなことは[[The Arch Way (日本語)]]に反するので用意していません。つまり、openSUSEは、GUI環境が必要で、自動で設定してくれることを求める初心者に向いています。
+
openSUSE RPM パッケージフォーマット利用しおり、YaST2 という GUI 設定ツールを持っています。これによってパッケージ管理などユーザーが必要な設定を一度に行えます。Archはそのようなもの [[The Arch Way]] に反するので用意していません。つまり、openSUSE は、GUI 環境が必要で、自動で設定してくれることを求める初心者に向いています。
   
=== PCLinuxOS ===
+
=== Mandriva/Mageia ===
   
  +
Mandriva Linux (旧名: Mandrake Linux) は、すべての人にとって使いやすい GNU/Linux を作ることを目標に、1998年に作られました。RPM ベースの urpmi パッケージマネージャを装備しています。Arch はもっとシンプルなアプローチを取っており、テキストベースかつ手動の設定が必要で、中級・上級ユーザーを対象にしています。
* PCLinuxOSは人気のMandrivaベースのディストリビューションで、完全なデスクトップ環境を持っています。そのユーザーフレンドリーなデザインは「シンプル」と呼ばれますが、Archの定義でいうシンプルとは意味が違います。Archは根っこからカスタマイズできるシンプルなシステムを目指していて、経験あるユーザーに向いています。
 
   
  +
== *BSD ==
* PCLOSはRPMのラッパーであるaptパッケージマネージャを使います。Archは独立して開発された[[pacman (日本語)]]を使い{{ic|.pkg.tar.xz}}パッケージを扱います。
 
   
  +
<nowiki>*</nowiki>BSD は同じ起源を持ち、カリフォルニア大学バークレー校の成果から直接作られ、フリーの再配布可能な、コストのかからない、{{ic|UNIX}} システムを形成しています。*BSD は GNU/Linux ディストリビューションではありませんが、{{ic|UNIX}} ライクな OS ではあります。Arch と *BSD は緊密に調和した基盤と Ports システムのコンセプトを共有していますが、コード上は全く関係していません。例外は Arch の {{ic|vi}} はオリジナルの BSD の {{ic|vi}} だということです (ほとんどの *BSD はオリジナルの BSD の {{ic|vi}} を使っていません)。*BSD は AT&T の {{ic|UNIX}} コードに由来しており、真の意味で {{ic|UNIX}} の遺産です。*BSD の派生についてより詳しく知るには、ベンダーのサイトを見て下さい。
* PCLOSはGUIが整っています。GUIハードウェアコンフィグレーションツールやSynapticパッケージマネージフロントエンドがあり、シェルを使う必要はほとんどありません。Archはコマンドラインが必須でシステム設定や管理・メンテナンスをシンプルにするように作られています。
 
 
* PCLOSは256&nbsp;MB RAMを最小必要環境としています。もっと軽量なArchは、さらに少ないシステムメモリ環境でも動作可能です。i686インストールには64&nbsp;MB RAMでも十分であり、もちろん最新のシステムでも器用に動くでしょう。
 
 
== The *BSDs ==
 
 
<nowiki>*</nowiki>BSDは同じ起源を持ち、カリフォルニア大学バークレー校で作られたものから直接作られ、フリーの再配布可能な、コストのかからない、{{ic|UNIX}}システムを形成しています。それらはGNU/Linuxディストリビューションではありませんが、{{ic|UNIX}}ライクなOSです。なので、Archと*BSDは緊密に調和した基盤とPortsシステムのコンセプトを共有しています。initフレームワークは似ていますが、それらのコードは全く関係していません。例外はArchの{{ic|vi}}はオリジナルのBSDの{{ic|vi}}だということです。(ほとんどの*BSDはオリジナルのBSDの{{ic|vi}}をもう使っていませんが)。*BSDはAT&Tの{{ic|UNIX}}コードに由来していたことがあり、真の意味で{{ic|UNIX}}の遺産です。*BSDの派生についてより詳しく知るには、ベンダーのサイトを見て下さい。
 
   
 
=== FreeBSD ===
 
=== FreeBSD ===
   
* Archと[http://www.freebsd.org/about.html FreeBSD]はどちらも'Ports'システムでコンパイルされたソフトウェアを提供しています。
+
* Arch [https://www.freebsd.org/about.html FreeBSD] はどちらも 'Ports' システムでコンパイルされたソフトウェアを提供しています。
   
* 他の*BSDのように、FreeBSDのベースは本来それぞれのアプリケーションがFreeBSDに'port'され動作するシステムとして作られました。反対に、(Archのような)GNU/Linuxディストリビューションは多くの離れたソースから集められた混合物です。
+
* 他の *BSD のように、FreeBSD のベースは本来それぞれのアプリケーションが FreeBSD 'port' され動作するシステムとして作られました。反対に、(Arch のような) GNU/Linux ディストリビューションはソースから集められた混合物です。
   
* FreeBSDのライセンスは一般に''coder''をより保護します。反対にGPLでは、''code''が保護されます。ArchはGPLライセンスでリリースされています。
+
* FreeBSD のライセンスは一般に ''coder'' を保護します。 GPL では、''code'' が保護されます。Arch GPL ライセンスでリリースされています。
   
* FreeBSDではArchのように、決定はパワーユーザーであるあなたに委ねられます。Archと比較して一番おもしろいOSかもしれません。パッケージの新しさは同等であり、大きくて、スマートで、活動的・現実的なコミュニティがあります。
+
* FreeBSD では Arch と同じく、決定はパワーユーザーであるあなたに委ねられます。Arch と比較して一番おもしろい OS かもしれません。パッケージの新しさは同等であり、大きくて、スマートで、活動的・現実的なコミュニティがあります。
   
* システムは大変似ており、FreeBSDを使うことでArchと同じ快適を得られるでしょう。
+
* システムは大変似ており、FreeBSD ユーザーは Arch の様々なころに快適を得られるでしょう。
   
 
=== NetBSD ===
 
=== NetBSD ===
   
* NetBSDはフリーで、セキュアかつ高い移植性をもった{{ic|UNIX}}ライクなオープンソースのOSであり、64-bit Opteronマシンのデスクトップから携帯デバイスまで50以上のプラットフォームで動作します。クリーンなデザインと先進的な機能は生産研究において有効であり完全にユーザーサポートしています。多くのアプリケーションがpkgsrc(NetBSD Packages Collection)を通して簡単に動作します。
+
* NetBSD はフリーで、セキュアかつ高い移植性をもった {{ic|UNIX}} ライクなオープンソースの OS であり、64ビットの Opteron マシンのデスクトップから携帯デバイスまで50以上のプラットフォームで動作します。クリーンなデザインと先進的な機能は生産研究両方において有効で、ユーザーサポートも充実しています。多くのアプリケーションが pkgsrc (NetBSD Packages Collection) を通して簡単に動作します。
   
  +
* NetBSD の pkgsrc は Arch の ABS に似たソースベースのインストール方法です。pkg_tools を使うことでバイナリパッケージを得られます。
* ArchはNetBSDほどのデバイス汎用性はもっていませんが、i686には自信があります。
 
   
  +
* Arch はいくつか NetBSD と類似点があります: 手動の設定が必要な点、ミニマリストで軽量な点、Ports システムもバイナリパッケージも使えて実動的な開発者とコミュニティがある点。
* NetBSDのpkgsrcはArchのABSに似たソースベースのインストール方法です。pkg_toolsを使うことでバイナリパッケージを得られます。
 
 
* ArchはいくつかNetBSDと類似点があります: 手動の設定が必要な点、ミニマリストでライトウェイトな点、Portsシステムもバイナリパッケージも使えて実動的な開発者とコミュニティがある点。
 
   
 
=== OpenBSD ===
 
=== OpenBSD ===
   
OpenBSDプロジェクトはフリーかつマルチプラットフォームな4.4BSDベースの{{ic|UNIX}}ライクなOSを作っています。
+
OpenBSD プロジェクトはフリーかつマルチプラットフォームな 4.4BSD ベースの {{ic|UNIX}} ライクな OS を作っています。
  +
  +
* OpenBSD は可搬性・標準化・コードの正確性・高度なセキュリティ・暗号に焦点をあてています。一方、Arch の焦点はシンプル・エレガンス・ミニマリズム・最前線のソフトウェアです。OpenBSD は''"おそらくナンバーワンのセキュリティ OS"''を自称しています。
   
  +
* OpenBSD は Arch と同じように小さくてエレガントなインストールを行います。
* OpenBSDは可搬性・標準化・コードの正確性・プロアクティブセキュリティ・暗号統一に焦点をあてています。一方、Archはシンプル・エレガンス・ミニマリズム・最前線のソフトウェアが焦点です。OpenBSDは''"おそらくナンバーワンのセキュリティOS"''を自称しています。
 
   
  +
* 簡単なインストールやプログラムの管理のための Ports パッケージシステムはありますが、OS の一部ではありません。
* ArchとOpenBSDは小さくてエレガントなベースインストールを行います。
 
   
  +
* Arch のような GNU/Linux システムに比べ、OpenBSD のカーネルとユーザーランドのプログラム、シェルやコモンツール ({{ic|ls}}, {{ic|cp}}, {{ic|cat}}, {{ic|ps}}) は同じリポジトリで一緒に開発されています。これはほかの BSD ベースの OS も同じです。
* 簡単なインストールやプログラムの管理のためのPortsパッケージシステムはありますが、OSの一部ではありません。
 
   
  +
== 参照 ==
* ArchのようなGNU/Linuxシステムにくらべ、OpenBSDのカーネルとユーザーランドのプログラム、シェルやコモンツール({{ic|ls}}, {{ic|cp}}, {{ic|cat}} and {{ic|ps}})はおなじリポジトリで一緒に開発されています。これはほかのBSDベースのOSも同じです。
 
  +
* [https://distrowatch.com/ DistroWatch] - Linux ディストリビューションのニュースとレビュー
  +
* [http://www.livecdlist.com The Live CD List] - ライブオペレーティングシステムイメージの一覧

2018年2月7日 (水) 00:17時点における版

関連記事

このページでは Arch Linux と他の GNU/Linux ディストリビューション、また UNIX ライクな OS との比較をしています。Arch Linux を利用するのが適しているかどうか迷っている人のために簡単な説明を加えていきます。ある程度は役に立つとは思いますが、実際にディストリビューションを試してみることが比較する最善の方法だということを忘れないで下さい。

もっと詳しい比較は w:Comparison of operating systemsw:ja:Linuxディストリビューションの比較を見てください。

ソースベース

ソースベースのディストリビューションは移植性が高く、OS とアプリケーションをコントロールしコンパイルするのに優位な点(特定の CPU アーキテクチャに最適化できる)がありますが、そのかわりソースをコンパイルするのに時間を費やさなくてはならないという欠点があります。Arch Linux ではすべてのパッケージは x86_64 アーキテクチャに最適化されており (i686 のサポートは2017年11月まで [1])、i486/i586 のバイナリを提供するディストリビューションよりパフォーマンスの面で優れています。

CRUX

  • Arch Linux の創始者、Judd Vinet は Arch を作る前、CRUX に感銘を受け、愛用していました。CRUX は Per Lidén によって作られたミニマリストディストリビューションです。Judd Vinet は CRUX や BSD の思想にインスパイアされ、Arch をスクラッチから作り、pacman を C でコーディングしました。
  • Arch Linux と CRUX には共通の指針が複数あります: どちらもアーキテクチャに最適化され、ミニマリストで、K.I.S.S. 原則に沿っています。Ports ライクなシステムを持ち、*BSD のようにビルドを楽にする基盤を持っていることも同じです。Arch Linux では pacman を使って、バイナリのパッケージ管理したり、Arch Build System をシームレスに動作させます。CRUX はコミュニティによって開発されている prt-get と呼ばれるシステムを使い、Ports システムと連携して依存解決を行いますが、すべてのパッケージはソースからビルドされます (ただし CRUX のインストールにはバイナリを使います)。
  • Arch Linux と CRUX はどちらも公式に x86_64 のみをサポートしています。
  • Arch Linux はローリングリリースにのっとった大量のバイナリパッケージのレポジトリ、さらに Arch User Repository を用意しています。CRUX は更に軽量な公式サポートの Ports システムを提供しており、控えめなコミュニティリポジトリがあります。

LFS

  • LFS (Linux From Scratch) は単純にドキュメントとして存在しています。GNU/Linux システムを動かすための最小パッケージのソースコードの入手、マニュアルコンパイル、パッチ、コンフィグレーションをスクラッチで行うようユーザーに命じています。LFS は限りなくミニマルで、ベースシステムをビルド・カスタマイズする素敵な経験を得ることができます。Arch Linux には systemd や強力な pacman パッケージマネージャが付いており、x86_64 に最適化してコンパイルされたパッケージを提供します。
  • LFS にはオンラインリポジトリがありません。ソースを自分で手にいれ、コンパイルしインストールすることになります (手動のパッケージ管理の方法が LFS ヒントの中にあります)。Arch Linux のベースシステムでは、Arch のコミュニティや開発者による何千ものバイナリパッケージを pacman を使ってインストールでき、Arch Build System 用の PKGBUILD ビルドスクリプトもあります。また Arch には .pkg.tar.xz パッケージを便宜にビルド・カスタマイズするための makepkg ツールがあり、出来たパッケージはそのまま pacman でインストールできます。
  • Judd Vinet はスクラッチから Arch Linux を作り、pacman を C 言語で記述しました。歴史的に、Arch Linux は時々ユーモアとして「便利なパッケージマネージャ付き Linux」 (Linux, with a nice package manager) と表現されることがあります。

Gentoo/Funtoo Linux

  • Gentoo Linux は Arch Linux と同じローリングリリースを採用しています。これによってパッケージは比較的最新に保たれています。
  • ユーザーが設定する「USE フラグ」によってソースコードから直接コンパイルすることで Gentoo のシステムは成り立っています。Arch Linux はコンパイル済みの x86_64 バイナリを入れるシステムですが、Ports ライクなシステムを使ってソースコードからパッケージをインストールすることも可能です。一般に Arch Linux はビルドとアップデートが速く、Gentoo はより細かくシステムをカスタマイズ可能です。
  • Arch Linux は x86_64 アーキテクチャのみをサポートしていますが Gentoo は公式に x86 (i486/i686), x86_64, PPC/PPC64, SPARC, Alpha, ARM, MIPS, HPPA, S/390, Itanium アーキテクチャをサポートしています。
  • Gentoo の公式パッケージ・システム管理ツールは Arch のものよりも複雑で「パワフル」に出来ています。Gentoo の中核となる機能 (USE フラグ, SLOT など) には同等の機能が Arch Linux に存在しないものがあります。理由の一つとして Arch が主としてバイナリを使うディストリであるというのもありますが、作りをシンプルにして"オーバースペック"にならないようにするという Arch の設計思想の違いも大きいでしょう。
  • OS のインストール時はどちらも最小のベースシステムのみをインストールするので、手動でシステムカスタマイズを行う必要があります。Gentoo ユーザーは Arch Linux の様々なところを快適だと感じることができるでしょう。

一般向け

これらのディストリビューションは広い範囲での使用をみこんでいて、利用方法を選ばない汎用性があります。

Debian

  • Debian は Linux ディストリビューションで一番巨大なプロジェクトであり、コミュニティであり、stable・testing・unstable のそれぞれのブランチをあわせると4万3千以上にもなるバイナリパッケージを提供しています。Arch で利用できるバイナリパッケージの数はそれに及びませんが、AUR も含めれば、その数は拮抗します。
  • Debian はフリーソフトウェアの思想にとても熱情を持っています。Arch はそれに比べると甘く、GNU によって「フリーでない」と判断されたパッケージも含みます。
  • Debian のデザイン・アプローチは安定性と厳重なテストに焦点をおいています。そして有名な "Debian 社会契約" に基づいて作られています。Arch の焦点はシンプル・ミニマリズムそして最前線です。Arch のパッケージは Debian の Stable や Testing よりも新しく、Unstable ブランチに相当します。
  • Debian と Arch はどちらも名の通ったパッケージ管理システムを提供します。
  • Arch はローリングリリースです。Debian の Stable は「凍った」パッケージです。最大で 5年間 のサポートが約束されています。
  • Debian は多くのアーキテクチャに対応しています: alpha、arm、hppa、i386、x86_64、ia64、m68k、mips、powerpc、s390、sparc。Arch は公式対応は x86_64 のみ、コミュニティの移植として i686 版 (Arch Linux 32) と arm 版 (Arch Linux ARM) だけです。
  • Arch はカスタマイズビルド・外部ソース由来のパッケージのインストールを Ports ライクなシステムを有することでサポートしています。Debian にはそれがなく、おおむねその巨大なバイナリリポジトリに頼っています。
  • Arch のインストールによって作られるのは最小限のベース環境だけで、システムコンフィグレーションが透明化されています。Debian にもいくつかインストールの方法がありますが、自動的な設定の方に重きを置いています。
  • Debian はデフォルトでは SysVinit を使っています、ユーザーが systemd や upstart を設定することも可能です。Arch は systemd を採用しており、全体的に優れたパフォーマンスを発揮します。Debian の次の安定版リリースでは、systemd がデフォルトになります。
  • Arch は基本的にソフトウェアライブラリにヘッダーファイルも入っていますが、Debian はヘッダーファイルは個別にダウンロードする必要があります。
  • Arch はパッチを最小限に抑えており、そうすることで上流のレビューが困難になる問題を避けています。Debian はおうようにパッチを行います。

Fedora

  • Fedora はコミュニティによって開発されていますが、Red Hat による法的なサポートを受けています。しばしばブリーディングエッジテストベッドリリースシステムと称されます。Fedora のパッケージとプロジェクトは RHEL に (たまに他のディストリビューションにも) 取り込まれます。Arch もブリーディングエッジですが、その意味するところはローリングリリースであり、他のディストリビューションのようなテストブランチはありません。
  • Fedora のパッケージは RPM です。管理には DNF パッケージマネージャを使い、オフィシャルなグラフィカルパッケージ管理ツールも用意されています。Arch は tar.xz パッケージを管理するために pacman を使い、グラフィカルフロントエンドは公式には用意していません。
  • Fedora は公式リポジトリに MP3 メディアサポートや他のノンフリーなソフトウェアを用意していません。フリーソフトウェアの思想のためですが、サードパーティのレポジトリにはそれらのパッケージが存在します。Arch はそうしたことに厳格ではないので、ユーザーに選択を委ねています。
  • Fedora は最小構成だけでなくグラフィカルインストーラーを含めた多くのインストールオプションがあります。Fedora にはユーザーが選ぶことができるデスクトップ環境を選りすぐっています。一方 Arch は最小構成のインストールをするためのスクリプトだけを提供しています。
  • Fedora は定期的なリリースサイクルを持っています。個別のバージョンで FedUp ツールを使ってアップデートすることをサポートしています。Arch はローリングリリースを採用しています。
  • Arch には Ports システムがあります、Fedora にはありません。
  • Arch と Fedora は中級・上級ユーザーや開発者をターゲットにしています。どちらもユーザーがプロジェクトに貢献することを求めています。
  • Fedora は SELinux、GCJ コンパイルパッケージ (Sun の JRE 代替) の統合やアップストリームへの多くの貢献についてコミュニティーの承認を得ています。他のプロジェクトと比べてレッドハットや Fedora の外部開発者は Linux のカーネルコードに一番貢献しています。
  • Arch Linux はユーザーのための様々な記事がある wiki を持っています。Fedora の wiki は「wiki」の言葉通りに、開発者・テスター・ユーザーたちのすばやい情報の交換のために使われています。エンドユーザーのための wiki を意味しません。Fedora の wiki はトラッカーやコーポレート wiki に似ています。

Slackware

  • Slackware と Arch はエレガンスとミニマリズムにフォーカスしたシンプルなディストリビューションという点でとても似ています。
  • Slackware は完全に vanilla(カーネルに何もパッチをあてていない状態)なことで有名です。Arch は破損を避けたりパッケージをクリーンにコンパイルするためにパッチをあてています。
  • Slackware は BSD スタイルの init スクリプトが標準です。Arch は systemd を採用しています。
  • Arch は pacman パッケージマネージャを供給しているので、Slackware の標準ツールとは異なり、オートマティックな依存解決とシステムアップデートを行います。Slackware のユーザーは基本的に手動で依存解決を行なっています。
  • Arch はローリングリリースを採用しています。Slackware のリリースサイクルはより保守的で、安定したパッケージを好みます。Arch はこの点「最前線」です。
  • Arch Linux では公式リポジトリに沢山のバイナリパッケージがありますが、Slackware の公式リポジトリはそれよりも質素です。
  • Arch には Ports ライクな Arch Build System とユーザーの PKGBUILD の巨大な集合である AUR があります。大きさは Arch には及びませんが、Slackware には Arch の PKGBUILD に似た Slackbuilds slackbuilds.org という半公式のリポジトリがあります。Slackware ユーザーは Arch Linux の様々なところを快適だと感じることができるでしょう。

Frugalware

  • Arch はコマンドラインをよく使います。
  • Frugalware は JFS ファイルシステムをデフォルトでサポートしていません。
  • Arch は初めに最小構成をインストールして、それから pacman を使ってユーザーのニーズにあわせて拡張していきます。Frugalware はすでにソフトウェアやデスクトップ環境が選ばれた DVD からインストールします。
  • Frugalware は定期的なリリースサイクルを持っています。もう一度言うと、Arch はシンプル・ミニマリズム・コードの正確性そしてローリングリリースによる最前線のパッケージに焦点をあてています。

初心者向け

「初心者用(newbie)ディストリ」と呼ばれる、似た思想で構築されている初心者向けのディストリビューションは数多くありますが、Arch はそれらとは全く異なります。できるだけミニマルなところから構成することで GNU/Linux を勉強しようと思っている人には Arch はベターかもしれません。Arch のインストールでインストールされるパッケージは比較的少ないからです。ディストリビューションの特徴の差異を以下に記述します。

Ubuntu

  • Ubuntu は広く人気を集めている Debian ベースのディストリビューションで、Canonical Ltd. によって商業的にサポートされています。Arch は独立系の、スクラッチから作られたシステムです。
  • Arch と Ubuntu にはそれぞれ全く違うゴール、そしてターゲットユーザーがあります。Arch は do-it-yourself アプローチを好むユーザーのために作られているのに対し、Ubuntu はユーザーフレンドリーな全自動のシステムを提供します。Arch はベース状態からインストールするミニマリストデザインをとっており、ユーザーはそれぞれの目的のためにカスタマイズすることが求められています。一般的に、開発者や鋳掛師(機械とその部品を修理し実験することを楽しむ人)は Ubuntu よりも Arch が好みに合うでしょう。しかしながら Ubuntu からキャリアを開始して、Arch に移行したユーザーもたくさんいます。
  • 最近の Ubuntu の開発はタッチスクリーンデバイスに重きをおいている感じがあります。Arch はユーザーコミュニティと連携して開発することで、ユーザーの目的に沿ったモデルをつくることを優先しています。
    • また、Canonical の商業的な性質から論争を招くような決定が行われることもあります。例えば Unity の Dash メニューに広告を含めたりユーザーデータを収集したりすることが挙げられます。Arch は独立した、コミュニティによるプロジェクトであり、商業的な議題があがったりディストリビューションにブロートウェアを入れるようなことはありません。
  • Ubuntu は6ヶ月ごとにリリースします。Arch はローリングリリースで、毎月新しいスナップショットが作られます。
  • Arch には Ports ライクなシステムがあります。Ubuntu にはありません。Personal Package Archives によってバイナリパッケージが配布できるようになっています。
  • コミュニティにも違いが見受けられます。Arch のコミュニティは Ubuntu のコミュニティと比べるとその規模は小さく、Arch への貢献が求められます。反対に、Ubuntu のコミュニティは巨大で、開発・パッケージング・リポジトリのメンテナンスにかかわらないユーザーにも寛容です。

Linux Mint

  • Linux MintUbuntu の派生として誕生し、後に Debian をベースとする LMDE (Linux Mint Debian Edition) が追加されています。他方、Arch は独立したディストリビューションであり独自のビルドシステムリポジトリを使っています。
  • Ubuntu と同じように、Mint も"パワフルで使いやすく、最新で洗練されたオペレーティングシステム"を謳っており対象とするユーザーベースも同じです。ディストリビューションのパッケージに関するアプローチやターゲットは Arch のミニマリズムとは明らかに対極に位置しています。
  • Mint には MintTools という簡易なメンテナンス用のグラフィカルツールが含まれています。Arch が提供するのは pacman などのシンプルなコマンドラインツールだけであり、システムの管理はユーザーに一任されます。
  • Mint はメインの GUI として Cinnamon または MATE が搭載されており、他に KDEXfce4 が選べます。コーデックや flash、DVD の再生や MP3 のサポートが含まれており、中にはプロプライエタリなソフトウェアもあります。さらにバラエティ豊かな人気ソフトウェア Firefox, GIMP, LibreOffice, pidgin などが入っています。Arch のベースインストールには Xorg すら含まれておらず、ウィンドウマネージャやデスクトップ環境といったものは、後で必要な場合にインストールすることができます。また、Arch のデフォルトディストリビューションにはプロプライエタリソフトウェアは含まれていません。
  • Mint の新しいバージョンは、Ubuntu の約1ヶ月後、6ヶ月ごとにリリースされますが、サポートサイクルは少々異なっています。LTS 版は5年間のサポートがあり、LTS 版の間にはさまる3つのリリースは6ヶ月 (つまり次のリリースまで) しかサポートされません。LMDE 版は Debian Testing のリリースサイクルに従っており、Mint のウェブサイトでは"セミローリング"と解説されるように Debian Testing のテスト済みスナップショットを "Update Packs" として使うことで安定したシステムを実現しています。もっと頻繁にアップデートをして欲しい場合は、Testing や Unstable からアップデートをダウンロードするように切り替えることも可能です。一方、Arch はフルローリングリリースのディストリビューションです。
  • Mint はパッケージマネージャとして APT を使用します。Arch は pacman を使います。

openSUSE

openSUSE は RPM パッケージフォーマットを利用しており、YaST2 という GUI 設定ツールを持っています。これによってパッケージ管理などユーザーが必要な設定を一度に行えます。Arch ではそのようなものは The Arch Way に反するので用意していません。つまり、openSUSE は、GUI 環境が必要で、自動で設定してくれることを求める初心者に向いています。

Mandriva/Mageia

Mandriva Linux (旧名: Mandrake Linux) は、すべての人にとって使いやすい GNU/Linux を作ることを目標に、1998年に作られました。RPM ベースの urpmi パッケージマネージャを装備しています。Arch はもっとシンプルなアプローチを取っており、テキストベースかつ手動の設定が必要で、中級・上級ユーザーを対象にしています。

*BSD

*BSD は同じ起源を持ち、カリフォルニア大学バークレー校の成果から直接作られ、フリーの再配布可能な、コストのかからない、UNIX システムを形成しています。*BSD は GNU/Linux ディストリビューションではありませんが、UNIX ライクな OS ではあります。Arch と *BSD は緊密に調和した基盤と Ports システムのコンセプトを共有していますが、コード上は全く関係していません。例外は Arch の vi はオリジナルの BSD の vi だということです (ほとんどの *BSD はオリジナルの BSD の vi を使っていません)。*BSD は AT&T の UNIX コードに由来しており、真の意味で UNIX の遺産です。*BSD の派生についてより詳しく知るには、ベンダーのサイトを見て下さい。

FreeBSD

  • Arch と FreeBSD はどちらも 'Ports' システムでコンパイルされたソフトウェアを提供しています。
  • 他の *BSD のように、FreeBSD のベースは本来それぞれのアプリケーションが FreeBSD に 'port' され動作するシステムとして作られました。反対に、(Arch のような) GNU/Linux ディストリビューションは雑多なソースから集められた混合物です。
  • FreeBSD のライセンスは一般に coder を保護します。逆に GPL では、code が保護されます。Arch は GPL ライセンスでリリースされています。
  • FreeBSD では Arch と同じく、決定はパワーユーザーであるあなたに委ねられます。Arch と比較して一番おもしろい OS かもしれません。パッケージの新しさは同等であり、大きくて、スマートで、活動的・現実的なコミュニティがあります。
  • システムは大変似ており、FreeBSD ユーザーは Arch の様々なところに快適を得られるでしょう。

NetBSD

  • NetBSD はフリーで、セキュアかつ高い移植性をもった UNIX ライクなオープンソースの OS であり、64ビットの Opteron マシンのデスクトップから携帯デバイスまで50以上のプラットフォームで動作します。クリーンなデザインと先進的な機能は生産と研究両方において有効で、ユーザーサポートも充実しています。多くのアプリケーションが pkgsrc (NetBSD Packages Collection) を通して簡単に動作します。
  • NetBSD の pkgsrc は Arch の ABS に似たソースベースのインストール方法です。pkg_tools を使うことでバイナリパッケージを得られます。
  • Arch はいくつか NetBSD と類似点があります: 手動の設定が必要な点、ミニマリストで軽量な点、Ports システムもバイナリパッケージも使えて実動的な開発者とコミュニティがある点。

OpenBSD

OpenBSD プロジェクトはフリーかつマルチプラットフォームな 4.4BSD ベースの UNIX ライクな OS を作っています。

  • OpenBSD は可搬性・標準化・コードの正確性・高度なセキュリティ・暗号に焦点をあてています。一方、Arch の焦点はシンプル・エレガンス・ミニマリズム・最前線のソフトウェアです。OpenBSD は"おそらくナンバーワンのセキュリティ OS"を自称しています。
  • OpenBSD は Arch と同じように小さくてエレガントなインストールを行います。
  • 簡単なインストールやプログラムの管理のための Ports パッケージシステムはありますが、OS の一部ではありません。
  • Arch のような GNU/Linux システムに比べ、OpenBSD のカーネルとユーザーランドのプログラム、シェルやコモンツール (ls, cp, cat, ps) は同じリポジトリで一緒に開発されています。これはほかの BSD ベースの OS も同じです。

参照

  • DistroWatch - Linux ディストリビューションのニュースとレビュー
  • The Live CD List - ライブオペレーティングシステムイメージの一覧