「Core utilities」の版間の差分

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(Pkg/AUR テンプレートの更新)
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[[Category:システム管理]]
+
[[Category:コマンドライン]]
[[Category:コマンドシェル]]
 
 
[[fa:Core utilities]]
 
[[fa:Core utilities]]
 
[[en:Core utilities]]
 
[[en:Core utilities]]
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[[it:Core utilities]]
 
[[it:Core utilities]]
 
[[ko:Core utilities]]
 
[[ko:Core utilities]]
  +
[[pt:Core utilities]]
 
[[ru:Core utilities]]
 
[[ru:Core utilities]]
[[zh-CN:Core utilities]]
+
[[zh-hans:Core utilities]]
[[zh-TW:Core utilities]]
+
[[zh-hant:Core utilities]]
 
{{Related articles start}}
 
{{Related articles start}}
 
{{Related|Bash}}
 
{{Related|Bash}}
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* ファイルの行を逆順で cat する必要がある場合、[[Wikipedia:tac (Unix)|tac]] (''cat'' reversed) という名前のユーティリティがあります。
 
* ファイルの行を逆順で cat する必要がある場合、[[Wikipedia:tac (Unix)|tac]] (''cat'' reversed) という名前のユーティリティがあります。
   
== dd ==
+
== chmod ==
   
  +
[[ファイルのパーミッションと属性#パーミッションを変更]]を見てください。
[[Wikipedia:ja:dd (UNIX)|dd]] は主にファイルを変換・コピーするために使われる Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムのコマンドです。
 
   
  +
== chown ==
{{Note|''cp'' はいくつかのオペランドを除いて ''dd'' と同じですが、多目的のディスク消去作業向きには作られてはいません。}}
 
   
  +
[[ファイルのパーミッションと属性#所有者を変更]]を見てください。
=== 実行中に dd の進行度を確認する ===
 
   
  +
== dd ==
デフォルトでは、''dd'' は作業が完了するまで何も出力をしません。''kill'' と {{ic|USR1}} シグナルを使うことでプログラムを終了することなく状態を出力させることが可能です。新しい root のターミナルを開いて次のコマンドを実行してください:
 
# killall -USR1 dd
 
   
  +
[[Wikipedia:ja:dd (UNIX)|dd]] は主にファイルを変換・コピーするために使われる Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムのコマンドです。
{{Note|これは動作中の全ての ''dd'' プロセスに影響を与えます。}}
 
   
  +
''cp'' はいくつかのオペランドを除いて ''dd'' と同じですが、多目的のディスク消去作業向きには作られてはいません。
もしくは:
 
# kill -USR1 ''pid_of_dd_command''
 
   
  +
{{Tip|デフォルトでは、''dd'' は作業が完了するまで何も出力しません。操作の進捗を監視したい場合、コマンドに {{ic|1=status=progress}} オプションを追加してください。このオプションは古いバージョン (8.24 以前) の {{Pkg|coreutils}} では使えません。}}
例えば:
 
# kill -USR1 $(pidof dd)
 
   
これで ''dd'' は当面進捗をターミナルに出力するようます。例:
+
'dd' は以下のような作業ができます:
  +
* [[ディスクのクローン#dd を使う|ドライブ関連]]の作業:
605+0 records in
 
  +
** イメージの作成。
605+0 records out
 
  +
** イメージの書き込み。
634388480 bytes (634 MB) copied, 8.17097 s, 77.6 MB/s
 
  +
** ドライブやパーティションの複製。
  +
** ドライブやパーティションの消去。
  +
** パーティションテーブルやブートセクタの消去。
  +
** ブートセクタのバックアップ。
  +
** システムの復元。
  +
* デバイスや {{ic|dd /dev/random}}、あるいは入力デバイスからストリームを取得
  +
* CPU に負担をかける (例: {{ic|1=dd if=/dev/zero of=/dev/null}}).
  +
* ディスクに負担をかける (例: {{ic|1=dd if=/dev/zero of=/''path''/''testfile'' bs=''number_of''G count=''times'' oflag=''fdatasync''}})
  +
* バックアップユーティリティとして使用
  +
* ファイルを大文字・小文字に変換
   
  +
詳しくは {{man|1|dd}} や [https://www.gnu.org/software/coreutils/dd ドキュメント] を読んでください。
==== パイプビューアを使う ====
 
 
{{Pkg|pv}} を使って dd のパイプラインを監視することもできます:
 
# dd if=''/source/filestream'' | pv -''monitor_options'' -s ''size_of_file'' | dd of=''/destination/filestream''
 
 
パイプビューアを使う場合は以下を bashrc や zshrc に追記すると楽です:
 
copy() {
 
size=$(stat -c%s $1)
 
dd if=$1 &> /dev/null | pv -petrb -s $size | dd of=$2
 
}
 
 
そして次のコマンドを使用して下さい:
 
# copy ''/source/file'' ''/destination/file''
 
   
 
=== dd 派生 ===
 
=== dd 派生 ===
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; dcfldd : {{Pkg|dcfldd}} は dd にフォレンジクスやセキュリティの面で改良を加えたバージョンです。ほとんどの dd のパラメータを扱うことができステータスの出力もできます。dcfldd の最後の安定版は2006年12月19日にリリースされました。<sup>[http://dcfldd.sourceforge.net/]</sup>
 
; dcfldd : {{Pkg|dcfldd}} は dd にフォレンジクスやセキュリティの面で改良を加えたバージョンです。ほとんどの dd のパラメータを扱うことができステータスの出力もできます。dcfldd の最後の安定版は2006年12月19日にリリースされました。<sup>[http://dcfldd.sourceforge.net/]</sup>
   
; ddrescue : GNU {{Pkg|ddrescue}} はデータ復旧ツールです。ディスク消去でほとんどの場合無用な機能である読み込みエラーを無視できます。詳しくは [http://www.gnu.org/software/ddrescue/manual/ddrescue_manual.html 公式マニュアル] を見て下さい。
+
; ddrescue : GNU {{Pkg|ddrescue}} はデータ復旧ツールです。ディスク消去でほとんどの場合無用な機能である読み込みエラーを無視できます。詳しくは [https://www.gnu.org/software/ddrescue/manual/ddrescue_manual.html 公式マニュアル] を見て下さい。
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== find ==
  +
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''find'' は {{Pkg|findutils}} パッケージに含まれており、{{Pkg|base}} パッケージグループのひとつとしてインストールされます。
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{{Tip|{{Pkg|fd}} はシンプルかつ高速でユーザーフレンドリーな {{ic|find}} の代替です。デフォルト設定がわかりやすいものになっています (例: 隠しファイル・ディレクトリや {{ic|.gitignore}} で指定されたファイルは無視する、{{ic|find -iname '*PATTERN*'}} ではなく {{ic|fd PATTERN}} で検索できる)。特徴として ([[#ls|ls]] と同じような) カラー出力や Unicode 対応、正規表現が使用できます。}}
  +
  +
''find'' コマンドはファイル名を引数としてファイルシステムの中に名前が一致するファイルがないか検索するコマンドではありません。下の [[#locate]] を見てください。
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  +
find はディレクトリのセットとマッチするファイルの正規表現を引数として取ります。非常に強力なワンライナーを作ることができますが、直感的な検索コマンドとしては使えません。詳しい使用方法は [http://mywiki.wooledge.org/UsingFind UsingFind] を見てください。
   
 
== grep ==
 
== grep ==
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[[Wikipedia:ja:grep|grep]] ([[Wikipedia:ja:ed|ed]] の ''g/re/p'', ''global/regular expression/print'' から) は Unix のために書かれたコマンドラインの文章検索ユーティリティです。''grep'' コマンドはファイルや標準入力から与えられた正規表現と一致する行を検索し、プログラムの標準出力に表示します。
 
[[Wikipedia:ja:grep|grep]] ([[Wikipedia:ja:ed|ed]] の ''g/re/p'', ''global/regular expression/print'' から) は Unix のために書かれたコマンドラインの文章検索ユーティリティです。''grep'' コマンドはファイルや標準入力から与えられた正規表現と一致する行を検索し、プログラムの標準出力に表示します。
 
* ''grep'' はファイルを処理できるので、{{ic|cat ''file'' <nowiki>|</nowiki> grep ''pattern''}} のようなコンストラクトは {{ic|grep ''pattern'' ''file''}} に置き換えられます
 
* ''grep'' はファイルを処理できるので、{{ic|cat ''file'' <nowiki>|</nowiki> grep ''pattern''}} のようなコンストラクトは {{ic|grep ''pattern'' ''file''}} に置き換えられます
* VCS のソースコードを ''grep'' する場合、{{Pkg|ack}} や {{Pkg|the_silver_searcher}} などの最適化されたユーティリティが存在します。
+
* VCS のソースコードを ''grep'' する場合、{{Pkg|ripgrep}} や {{Pkg|ack}}、{{Pkg|the_silver_searcher}} などの最適化されたユーティリティが存在します。
 
* {{ic|-n}} オプションを使うことで出力にファイルの行番号が含まれているようになります。
 
* {{ic|-n}} オプションを使うことで出力にファイルの行番号が含まれているようになります。
   
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カラー出力については[[コンソールのカラー出力#grep]] を見てください。
 
カラー出力については[[コンソールのカラー出力#grep]] を見てください。
 
== find ==
 
 
''find'' は {{Pkg|findutils}} パッケージに含まれており、{{Grp|base}} パッケージグループのひとつとしてインストールされます。
 
 
''find'' コマンドはファイル名を引数としてファイルシステムの中に名前が一致するファイルがないか検索するコマンドではありません。下の [[#locate]] を見てください。
 
 
find はディレクトリのセットとマッチするファイルの正規表現を引数として取ります。非常に強力なワンライナーを作ることができますが、直感的な検索コマンドとしては使えません。詳しい使用方法は [http://mywiki.wooledge.org/UsingFind UsingFind] を見てください。
 
   
 
== iconv ==
 
== iconv ==
206行目: 203行目:
 
$ iconv -f ISO-8859-15 -t UTF-8 foo >foo.utf
 
$ iconv -f ISO-8859-15 -t UTF-8 foo >foo.utf
   
詳しくは {{ic|man iconv}} を読んで下さい。
+
詳しくは {{man|1|iconv}} を読んで下さい。
   
 
=== ファイルを変換する ===
 
=== ファイルを変換する ===
214行目: 211行目:
 
$ iconv -f WINDOWS-1251 -t UTF-8 foobar.txt | sponge foobar.txt
 
$ iconv -f WINDOWS-1251 -t UTF-8 foobar.txt | sponge foobar.txt
   
詳しくは {{ic|man sponge}} を参照。
+
詳しくは {{man|1|sponge}} を参照。
   
 
== ip ==
 
== ip ==
 
[[wikipedia:Iproute2|ip]] を使うことで Linux の [[Wikipedia:ja:Internet Protocol|IP]] ソフトウェアスタックにおけるネットワークデバイス・IP アドレス・ルーティングテーブルなどの情報を表示することができます。様々なコマンドを加えることで、オブジェクトの操作や設定をすることも可能です。
 
[[wikipedia:Iproute2|ip]] を使うことで Linux の [[Wikipedia:ja:Internet Protocol|IP]] ソフトウェアスタックにおけるネットワークデバイス・IP アドレス・ルーティングテーブルなどの情報を表示することができます。様々なコマンドを加えることで、オブジェクトの操作や設定をすることも可能です。
   
{{Note|''ip'' ユーティリティは {{Pkg|iproute2}} パッケージに含まれており、このパッケージは {{Grp|base}} グループに入っています。}}
+
{{Note|''ip'' ユーティリティは {{Pkg|iproute2}} パッケージに含まれており、このパッケージは {{Pkg|base}} グループに入っています。}}
   
 
{| class="wikitable"
 
{| class="wikitable"
 
! オブジェクト !! 用途 !! man ページ
 
! オブジェクト !! 用途 !! man ページ
 
|-
 
|-
| ip addr || プロトコルアドレス管理 || ip-address
+
| ip addr || プロトコルアドレス管理 || {{man|8|ip-address}}
 
|-
 
|-
| ip addrlabel || プロトコルアドレスラベル管理 || ip-addrlabel
+
| ip addrlabel || プロトコルアドレスラベル管理 || {{man|8|ip-addrlabel}}
 
|-
 
|-
| ip l2tp || tunnel ethernet over IP (L2TPv3) || ip-l2tp
+
| ip l2tp || tunnel ethernet over IP (L2TPv3) || {{man|8|ip-l2tp}}
 
|-
 
|-
| ip link || ネットワークデバイス設定 || ip-link
+
| ip link || ネットワークデバイス設定 || {{man|8|ip-link}}
 
|-
 
|-
| ip maddr || マルチキャストアドレス管理 || ip-maddress
+
| ip maddr || マルチキャストアドレス管理 || {{man|8|ip-maddress}}
 
|-
 
|-
| ip monitor || netlink メッセージの監視 || ip-monitor
+
| ip monitor || netlink メッセージの監視 || {{man|8|ip-monitor}}
 
|-
 
|-
| ip mroute || マルチキャストルーティングキャッシュ管理 || ip-mroute
+
| ip mroute || マルチキャストルーティングキャッシュ管理 || {{man|8|ip-mroute}}
 
|-
 
|-
| ip mrule || マルチキャストルーティングポリシー db のルール
+
| ip mrule || マルチキャストルーティングポリシー db のルール ||
 
|-
 
|-
| ip neigh || neighbour/arp テーブル管理 || ip-neighbour
+
| ip neigh || neighbour/arp テーブル管理 || {{man|8|ip-neighbour}}
 
|-
 
|-
| ip netns || プロセスネットワーク名前空間管理 || ip-netns
+
| ip netns || プロセスネットワーク名前空間管理 || {{man|8|ip-netns}}
 
|-
 
|-
| ip ntable || neighbour テーブル設定 || ip-ntable
+
| ip ntable || neighbour テーブル設定 || {{man|8|ip-ntable}}
 
|-
 
|-
| ip route || ルーティングテーブル管理 || ip-route
+
| ip route || ルーティングテーブル管理 || {{man|8|ip-route}}
 
|-
 
|-
| ip rule || ルーティングポリシーデータベース管理 || ip-rule
+
| ip rule || ルーティングポリシーデータベース管理 || {{man|8|ip-rule}}
 
|-
 
|-
| ip tcp_metrics || TCP Metrics の管理 || ip-tcp_metrics
+
| ip tcp_metrics || TCP Metrics の管理 || {{man|8|ip-tcp_metrics}}
 
|-
 
|-
| ip tunnel || トンネル設定 || ip-tunnel
+
| ip tunnel || トンネル設定 || {{man|8|ip-tunnel}}
 
|-
 
|-
| ip tuntap || TUN/TAP デバイスの管理
+
| ip tuntap || TUN/TAP デバイスの管理 ||
 
|-
 
|-
| ip xfrm || IPsec ポリシーの管理 || ip-xfrm
+
| ip xfrm || IPsec ポリシーの管理 || {{man|8|ip-xfrm}}
 
|}
 
|}
   
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{{Note|もしかしたら [[Wikipedia:ifconfig|ifconfig]] コマンドの方が親しみがあるかもしれません。このコマンドは Linux の旧バージョンでインターフェイス設定に使われていました。現在 Arch Linux では廃止されているため、代わりに ''ip'' を使って下さい。}}
 
{{Note|もしかしたら [[Wikipedia:ifconfig|ifconfig]] コマンドの方が親しみがあるかもしれません。このコマンドは Linux の旧バージョンでインターフェイス設定に使われていました。現在 Arch Linux では廃止されているため、代わりに ''ip'' を使って下さい。}}
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== less ==
  +
  +
[[Wikipedia:ja:less|less]] はテキストファイルの中身を一画面単位で表示するのに使われるターミナルページャプログラムです。[[Wikipedia:ja:more (UNIX)|more]] や [[Wikipedia:pg (Unix)|pg]] といった他のページャと同じですが、''less'' はより高度なインターフェイスと完全な [http://www.greenwoodsoftware.com/less/faq.html feature-set] を提供します。
  +
  +
less の代替プログラムについては[[アプリケーション一覧#ターミナルページャ]]を見て下さい。
   
 
== locate ==
 
== locate ==
   
{{Pkg|mlocate}} パッケージを[[インストール]]してください。インストール後、自動的にデータベースを更新するスクリプトが毎日実行されるようになります。手動で root で ''updatedb'' を実行することでいつでもデータベースは更新できます。デフォルトでは {{ic|/media}} や {{ic|/mnt}} などのパスは無視されるので ''locate'' は外部デバイスのファイルを検索できません。詳しくは {{man|1|updatedb}} を見てください。
+
{{Pkg|mlocate}} パッケージを[[インストール]]してください。インストール後、自動的にデータベースを更新するスクリプトが毎日実行されるようになります。手動で root で ''updatedb'' を実行することでいつでもデータベースは更新できます。デフォルトでは {{ic|/media}} や {{ic|/mnt}} などのパスは無視されるので ''locate'' は外部デバイスのファイルを検索できません。詳しくは {{man|8|updatedb}} を見てください。
   
 
''locate'' コマンドはファイルを名前で検索する一般的な Unix ツールです。あらかじめ作成しておいたデータベースファイルを使って検索するためファイルシステムを直接検索する [[wikipedia:Find|find]] ツールよりも高速に検索できます。欠点としてデータベースが作成された後に作られたファイルは ''locate'' で検索できません。データベースを更新する ''updatedb'' コマンドを定期的に実行することで問題は抑えられます。
 
''locate'' コマンドはファイルを名前で検索する一般的な Unix ツールです。あらかじめ作成しておいたデータベースファイルを使って検索するためファイルシステムを直接検索する [[wikipedia:Find|find]] ツールよりも高速に検索できます。欠点としてデータベースが作成された後に作られたファイルは ''locate'' で検索できません。データベースを更新する ''updatedb'' コマンドを定期的に実行することで問題は抑えられます。
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[http://jvns.ca/blog/2015/03/05/how-the-locate-command-works-and-lets-rewrite-it-in-one-minute/ How locate works and rewrite it in one minute] も参照。
 
[http://jvns.ca/blog/2015/03/05/how-the-locate-command-works-and-lets-rewrite-it-in-one-minute/ How locate works and rewrite it in one minute] も参照。
 
== less ==
 
 
[[Wikipedia:ja:less|less]] はテキストファイルの中身を一画面単位で表示するのに使われるターミナルページャプログラムです。[[Wikipedia:ja:more (UNIX)|more]] や [[Wikipedia:pg (Unix)|pg]] といった他のページャと同じですが、''less'' はより高度なインターフェイスと完全な [http://www.greenwoodsoftware.com/less/faq.html feature-set] を提供します。
 
 
less の代替プログラムについては[[アプリケーション一覧#ターミナルページャ]]を見て下さい。
 
   
 
=== もうひとつのページャとしての Vim ===
 
=== もうひとつのページャとしての Vim ===
   
 
[[Vim]] (''visual editor improved'') にはテキストファイル・圧縮ファイル・バイナリ・ディレクトリの中身を表示するスクリプトが含まれています。次の行をシェルの設定ファイルに追加することでページャとして使うことが可能です:
 
[[Vim]] (''visual editor improved'') にはテキストファイル・圧縮ファイル・バイナリ・ディレクトリの中身を表示するスクリプトが含まれています。次の行をシェルの設定ファイルに追加することでページャとして使うことが可能です:
{{hc|~/.bashrc|2=alias less='/usr/share/vim/vim74/macros/less.sh'}}
+
{{hc|~/.bashrc|2=alias less='/usr/share/vim/vim80/macros/less.sh'}}
   
 
また、''less.sh'' マクロの代替も存在し、{{ic|PAGER}} 環境変数として使えます。{{Pkg|vimpager}} をインストールしてシェルの設定ファイルに以下を加えて下さい:
 
また、''less.sh'' マクロの代替も存在し、{{ic|PAGER}} 環境変数として使えます。{{Pkg|vimpager}} をインストールしてシェルの設定ファイルに以下を加えて下さい:
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[[Wikipedia:ja:ls|ls]] (''list'') は Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムで使われる、ファイルを一覧するコマンドです。
 
[[Wikipedia:ja:ls|ls]] (''list'') は Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムで使われる、ファイルを一覧するコマンドです。
   
  +
詳しい情報は {{ic|info ls}} や [https://www.gnu.org/software/coreutils/manual/html_node/ls-invocation.html#ls-invocation オンラインマニュアル] を見てください。
* ''ls'' は[[ファイルのパーミッションと属性#パーミッションの表示|ファイルのパーミッション]]を表示できます。
 
  +
* カラー出力はシンプルなエイリアスで有効にできます。{{ic|~/.bashrc}} ファイルには {{ic|/etc/skel/.bashrc}} からコピーされた次のエントリが既に含まれているはずです:
 
  +
{{Pkg|exa}} は近代的でユーザーフレンドリーな {{ic|ls}} と {{ic|tree}} の代替ユーティリティです。ファイル名と一緒に [[Git]] の変更を表示したり、{{ic|--long}} モードで各カラムをカラー化したり、{{ic|--long}} モードで {{ic|tree}} ビューとメタデータを同時に表示する機能があります。
:{{bc|1=alias ls='ls --color=auto'}}
 
  +
:次のステップはカラーになった ''ls'' 出力をさらに向上させることです; 例えば、壊れた (孤立した) シンボリックリンクを赤色で表示するようにします。以下をシェルの設定ファイルに追加してください:
 
  +
=== 長い出力 ===
:{{bc|1=eval $(dircolors -b)}}
 
  +
  +
{{ic|-l}} オプションはメタデータを表示します。例:
  +
  +
{{hc|$ ls -l /path/to/directory|
  +
total 128
  +
drwxr-xr-x 2 archie users 4096 Jul 5 21:03 Desktop
  +
drwxr-xr-x 6 archie users 4096 Jul 5 17:37 Documents
  +
drwxr-xr-x 2 archie users 4096 Jul 5 13:45 Downloads
  +
-rw-rw-r-- 1 archie users 5120 Jun 27 08:28 customers.ods
  +
-rw-r--r-- 1 archie users 3339 Jun 27 08:28 todo
  +
-rwxr-xr-x 1 archie users 2048 Jul 6 12:56 myscript.sh
  +
}}
  +
  +
{{ic|total}} の値はディレクトリ内のファイルに割り当てられたディスクのブロック数を表します。
  +
  +
ファイルやサブディレクトリの行は7つのメタデータフィールドに分けられます:
  +
  +
* タイプとパーミッション:
  +
** 最初の文字はタイプです。タイプの説明は {{ic|info ls -n "What information is listed"}} を見てください。例:
  +
*** {{ic|-}} は通常のファイルです。
  +
*** {{ic|d}} はディレクトリです。
  +
*** {{ic|p}} は名前付きパイプ (別名 FIFO) です。
  +
*** {{ic|l}} はシンボリックリンクです。
  +
** 他の文字は[[パーミッション]]です。
  +
* [[Wikipedia:Hard link|ハードリンク]]の数。ファイルは最低でも1になります。フォルダは最低でも2になります。
  +
* 所有者の[[ユーザー]]の名前。
  +
* [[グループ]]の名前。
  +
* サイズ。
  +
* 最後に更新されたタイムスタンプ。
  +
* エンティティ名。
  +
  +
=== 空白を含むファイル名がクォートで囲まれる ===
  +
  +
デフォルトで、空白を含むファイル名やディレクトリ名はシングルクォートで囲まれて表示されます。{{ic|-N}} や {{ic|1=--quoting-style=literal}} オプションを使うことでクォートを消せます。また、{{ic|QUOTING_STYLE}} [[環境変数]]を {{ic|literal}} に設定することでも同じ効果があります [https://unix.stackexchange.com/questions/258679/why-is-ls-suddenly-surrounding-items-with-spaces-in-single-quotes]。
  +
  +
== lsblk ==
  +
  +
{{man|8|lsblk}} は利用可能な[[w:Device_file#Block_devices|ブロックデバイス]]とパーティションスキームを表示します。例:
  +
  +
{{hc|$ lsblk -f|
  +
NAME FSTYPE LABEL UUID MOUNTPOINT
  +
sda
  +
├─sda1 vfat C4DA-2C4D /boot
  +
├─sda2 swap 5b1564b2-2e2c-452c-bcfa-d1f572ae99f2 [SWAP]
  +
└─sda3 ext4 56adc99b-a61e-46af-aab7-a6d07e504652 /
  +
}}
  +
  +
デバイスの名前はブロックデバイスのタイプを表します。近代的なストレージデバイス (例: ハードディスク, [[SSD]], USB フラッシュドライブ) は大抵 SCSI ディスク ({{ic|sd}}) と認識されます。タイプの後に付いている小文字は {{ic|a}} なら1番目のデバイス ({{ic|sda}})、{{ic|b}} なら2番目のデバイス ({{ic|sdb}}) を示します。デバイス内に存在するパーティションも同じように1番目のパーティション ({{ic|sda1}}), 2番目のパーティション ({{ic|sda2}}) と {{ic|1}} からの数字が付きます。上記の例の場合、利用できるデバイスはひとつだけ ({{ic|sda}}) で、デバイスには3つのパーティション ({{ic|sda1}} から {{ic|sda3}}) が存在し、それぞれ異なる[[ファイルシステム]]が使われていることが確認できます。
  +
  +
他によく使われるブロックデバイスのタイプとしてはメモリカードの {{ic|mmcblk}} や [[ソリッドステートドライブ/NVMe|NVMe]] デバイスの {{ic|nvme}} などがあります。知らないタイプは [https://www.kernel.org/doc/Documentation/devices.txt カーネルドキュメント] で検索してください。
   
 
== mkdir ==
 
== mkdir ==
314行目: 361行目:
 
* 作成したディレクトリのモードを変更するのに ''chmod'' を使う必要はありません。{{ic|-m}} オプションでアクセス権限を定義できます。
 
* 作成したディレクトリのモードを変更するのに ''chmod'' を使う必要はありません。{{ic|-m}} オプションでアクセス権限を定義できます。
   
{{Tip|一時ディレクトリが欲しいときは代わりに [[Wikipedia:Temporary file|mktemp]] (''make termporary'') を使って下さい: {{ic|mktemp -p}}。}}
+
{{Tip|一時ディレクトリが欲しいときは代わりに [[Wikipedia:Temporary file|mktemp]] (''make termporary'') を使って下さい: {{ic|mktemp -d}}。}}
   
 
== mv ==
 
== mv ==
326行目: 373行目:
 
== od ==
 
== od ==
   
[[Wikipedia:od (Unix)|od]] (''o''ctal ''d''ump) コマンドは人間が読める形式になっていないデータ (プログラムの実行形式のコードやフォーマットされていないデバイスの中身など) を可視化するのに役立ちます。詳しくは [http://www.gnu.org/software/coreutils/manual/html_node/od-invocation.html#od-invocation マニュアル] を参照してください。
+
[[Wikipedia:od (Unix)|od]] (''o''ctal ''d''ump) コマンドは人間が読める形式になっていないデータ (プログラムの実行形式のコードやフォーマットされていないデバイスの中身など) を可視化するのに役立ちます。詳しくは [https://www.gnu.org/software/coreutils/manual/html_node/od-invocation.html#od-invocation マニュアル] を参照してください。
  +
  +
== pv ==
  +
  +
{{Pkg|pv}} (''pipe viewer'') を使うことでデータ操作の進捗をパイプラインで監視できます。例:
  +
  +
# dd if=''/source/filestream'' | pv -''monitor_options'' -s ''size_of_file'' | dd of=''/destination/filestream''
  +
  +
大抵の場合 {{ic|pv}} は {{ic|cat}} の代替として機能します。
   
 
== rm ==
 
== rm ==
345行目: 400行目:
 
[http://sed.sourceforge.net/sed1line.txt ここに] ''sed'' を使ったワンライナーのリストがあります。
 
[http://sed.sourceforge.net/sed1line.txt ここに] ''sed'' を使ったワンライナーのリストがあります。
   
{{Tip|より強力に sed を置き換えるものとして [[Wikipedia:ja:AWK|AWK]] や [[Wikipedia:ja:Perl|Perl]] 言語があります。}}
+
{{Tip|より強力に sed を置き換えるものとして [[Wikipedia:ja:AWK|AWK]] や [[Perl]] 言語があります。}}
   
 
== seq ==
 
== seq ==
   
 
'''seq''' (''sequence'') は連続する数字を生成するユーティリティです。シェルに内蔵されている代替があるので、[[Wikipedia:seq|Wikipedia]] で説明されているように使うと良いでしょう。
 
'''seq''' (''sequence'') は連続する数字を生成するユーティリティです。シェルに内蔵されている代替があるので、[[Wikipedia:seq|Wikipedia]] で説明されているように使うと良いでしょう。
  +
  +
== ss ==
  +
  +
''ss'' はネットワークポートを確認するユーティリティです。{{Pkg|iproute2}} パッケージに含まれており {{Pkg|base}} グループのひとつとしてインストールされます。[https://www.archlinux.jp/news/deprecation-of-net-tools/ 非推奨] となった netstat ユーティリティと同じような機能を持っています。
  +
  +
一般的な使用方法:
  +
  +
全ての TCP ソケットとサービス名を表示:
  +
$ ss -at
  +
  +
全ての TCP ソケットとポート番号を表示:
  +
$ ss -atn
  +
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全ての UDP ソケットを表示:
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$ ss -au
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詳しくは {{man|8|ss}} や {{Pkg|iproute2}} パッケージの {{ic|ss.html}} を見てください。
   
 
== tar ==
 
== tar ==
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|{{ic|file.tar.xz}} || {{Ic|tar xvJf file.tar.xz}}<br> {{Ic|<nowiki> xz -cd file.xz | tar xvf -</nowiki>}}
 
|{{ic|file.tar.xz}} || {{Ic|tar xvJf file.tar.xz}}<br> {{Ic|<nowiki> xz -cd file.xz | tar xvf -</nowiki>}}
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|{{ic|''file''.tar.zst}} || {{Ic|tar -I zstd xvf ''file''.tar.zst}}
 
|}
 
|}
   
上記の {{Ic|tar}} 引数の中にはレガシーなものもありますが、特定の操作をするときは未だに有用です。詳しい説明は {{Ic|tar}} の [[man ページ]]の ''Compatibility'' セクションを見て下さい。
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上記の {{Ic|tar}} 引数の中にはレガシーなものもありますが、特定の操作をするときは未だに有用です。詳しい説明は {{man|1|tar}} の [[man ページ]]の ''Compatibility'' セクションを見て下さい。
   
 
== which ==
 
== which ==
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== 参照 ==
 
== 参照 ==
   
* [http://www.reddit.com/r/commandline/comments/19garq/a_sampling_of_coreutils_120/ A sampling of coreutils] [http://www.reddit.com/r/commandline/comments/19ge6v/a_sampling_of_coreutils_2040/ , part 2] [http://www.reddit.com/r/commandline/comments/19j1w3/a_sampling_of_coreutils_4060/ , part 3] - coreutils のコマンドの概要
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* [https://www.reddit.com/r/commandline/comments/19garq/a_sampling_of_coreutils_120/ A sampling of coreutils] [https://www.reddit.com/r/commandline/comments/19ge6v/a_sampling_of_coreutils_2040/ , part 2] [https://www.reddit.com/r/commandline/comments/19j1w3/a_sampling_of_coreutils_4060/ , part 3] - coreutils のコマンドの概要
* [http://www.gnu.org/software/coreutils/manual/coreutils.html GNU Coreutils オンラインドキュメント]
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* [https://www.gnu.org/software/coreutils/manual/coreutils.html GNU Coreutils オンラインドキュメント]
* [http://www.linuxquestions.org/questions/linux-newbie-8/learn-the-dd-command-362506/ Learn the DD command]
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* [https://www.linuxquestions.org/questions/linux-newbie-8/learn-the-dd-command-362506/ Learn the DD command]

2019年11月21日 (木) 18:48時点における版

関連記事

この記事では less, ls, grep などの GNU/Linux システムのコアユーティリティを扱っています。この記事の扱う範囲は GNU coreutils パッケージに含まれているユーティリティに留まりません。ユーティリティに関連する様々なヒント・小技、その他便利な情報を載せています。

基本コマンド

以下の表には全ての Linux ユーザーが知っておくべき基本的なシェルコマンドを載せています。太字のコマンドはシェルに含まれており、その他のコマンドはシェルとは別個のプログラムです。詳しくは下のセクションや関連記事を見て下さい。

コマンド 説明
man コマンドのマニュアルページを表示 man ed
cd ディレクトリを変更 cd /etc/pacman.d
mkdir ディレクトリを作成 mkdir ~/newfolder
rmdir 空のディレクトリを削除 rmdir ~/emptyfolder
rm ファイルを削除 rm ~/file.txt
rm -r ディレクトリとその中身を削除 rm -r ~/.cache
ls ファイルを一覧表示 ls *.mkv
ls -a 隠しファイルを一覧表示 ls -a /home/archie
ls -al 隠しファイルとファイルのプロパティを一覧表示
mv ファイルを移動 mv ~/compressed.zip ~/archive/compressed2.zip
cp ファイルをコピー cp ~/.bashrc ~/.bashrc.bak
chmod +x ファイルに実行可能属性を付与 chmod +x ~/.local/bin/myscript.sh
cat ファイルの中身を表示 cat /etc/hostname
strings バイナリファイル内の出力可能文字を表示 strings /usr/bin/free
find ファイルを検索 find ~ -name myfile
mount パーティションをマウント mount /dev/sdc1 /media/usb
df -h パーティションの残り容量を表示
ps -A 実行中のプロセスを表示
killall プロセスの実行中のインスタンスを終了
ss -at 開かれている TCP ソケットのリストを表示

cat

cat (catenate) はファイルを連結して表示する標準の Unix ユーティリティです。

  • cat はシェルにビルトインされていないため、多くの場合でリダイレクションを使ったほうが便利です (例: スクリプト、もしくはパフォーマンスが必要な場合)。実際 < filecat file と全く同じです。
  • cat は複数行でも動作します:
$ cat << EOF >> path/file
first line
...
last line
EOF

代わりに printf コマンドを使用:

$ printf '%s\n' 'first line' ... 'last line'
  • ファイルの行を逆順で cat する必要がある場合、tac (cat reversed) という名前のユーティリティがあります。

chmod

ファイルのパーミッションと属性#パーミッションを変更を見てください。

chown

ファイルのパーミッションと属性#所有者を変更を見てください。

dd

dd は主にファイルを変換・コピーするために使われる Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムのコマンドです。

cp はいくつかのオペランドを除いて dd と同じですが、多目的のディスク消去作業向きには作られてはいません。

ヒント: デフォルトでは、dd は作業が完了するまで何も出力しません。操作の進捗を監視したい場合、コマンドに status=progress オプションを追加してください。このオプションは古いバージョン (8.24 以前) の coreutils では使えません。

'dd' は以下のような作業ができます:

  • ドライブ関連の作業:
    • イメージの作成。
    • イメージの書き込み。
    • ドライブやパーティションの複製。
    • ドライブやパーティションの消去。
    • パーティションテーブルやブートセクタの消去。
    • ブートセクタのバックアップ。
    • システムの復元。
  • デバイスや dd /dev/random、あるいは入力デバイスからストリームを取得
  • CPU に負担をかける (例: dd if=/dev/zero of=/dev/null).
  • ディスクに負担をかける (例: dd if=/dev/zero of=/path/testfile bs=number_ofG count=times oflag=fdatasync)
  • バックアップユーティリティとして使用
  • ファイルを大文字・小文字に変換

詳しくは dd(1)ドキュメント を読んでください。

dd 派生

他の dd ライクなプログラムには定期的に状態を出力する (例: シンプルなプログレスバー) 機能があります。

dcfldd 
dcfldd は dd にフォレンジクスやセキュリティの面で改良を加えたバージョンです。ほとんどの dd のパラメータを扱うことができステータスの出力もできます。dcfldd の最後の安定版は2006年12月19日にリリースされました。[1]
ddrescue 
GNU ddrescue はデータ復旧ツールです。ディスク消去でほとんどの場合無用な機能である読み込みエラーを無視できます。詳しくは 公式マニュアル を見て下さい。

find

findfindutils パッケージに含まれており、base パッケージグループのひとつとしてインストールされます。

ヒント: fd はシンプルかつ高速でユーザーフレンドリーな find の代替です。デフォルト設定がわかりやすいものになっています (例: 隠しファイル・ディレクトリや .gitignore で指定されたファイルは無視する、find -iname '*PATTERN*' ではなく fd PATTERN で検索できる)。特徴として (ls と同じような) カラー出力や Unicode 対応、正規表現が使用できます。

find コマンドはファイル名を引数としてファイルシステムの中に名前が一致するファイルがないか検索するコマンドではありません。下の #locate を見てください。

find はディレクトリのセットとマッチするファイルの正規表現を引数として取ります。非常に強力なワンライナーを作ることができますが、直感的な検索コマンドとしては使えません。詳しい使用方法は UsingFind を見てください。

grep

grep (edg/re/p, global/regular expression/print から) は Unix のために書かれたコマンドラインの文章検索ユーティリティです。grep コマンドはファイルや標準入力から与えられた正規表現と一致する行を検索し、プログラムの標準出力に表示します。

  • grep はファイルを処理できるので、cat file | grep pattern のようなコンストラクトは grep pattern file に置き換えられます
  • VCS のソースコードを grep する場合、ripgrepackthe_silver_searcher などの最適化されたユーティリティが存在します。
  • -n オプションを使うことで出力にファイルの行番号が含まれているようになります。
ノート: コマンドによっては標準エラー出力の方に出力が送信されることもありますが、grep は標準エラー出力を解釈しません。このような場合、標準エラー出力を標準出力にリダイレクトする必要があります: command 2>&1 | grep args または (Bash 4 の場合) command |& grep argsI/O Redirection を参照してください。

カラー出力についてはコンソールのカラー出力#grep を見てください。

iconv

iconv は文字列のエンコーディングをあるコードセットから他のコードセットへ変換します。

次のコマンドはファイル foo を ISO-8859-15 から UTF-8 へ変換して foo.utf として保存します:

$ iconv -f ISO-8859-15 -t UTF-8 foo >foo.utf

詳しくは iconv(1) を読んで下さい。

ファイルを変換する

ヒント: mtime を変えてほしくない場合 iconv の代わりに recode を使うことができます。

sed とは異なり、iconv にはファイルを変換するオプションはありません。しかしながら、(moreutils に含まれている) sponge を使うことでファイルを変換することもできます:

$ iconv -f WINDOWS-1251 -t UTF-8 foobar.txt | sponge foobar.txt

詳しくは sponge(1) を参照。

ip

ip を使うことで Linux の IP ソフトウェアスタックにおけるネットワークデバイス・IP アドレス・ルーティングテーブルなどの情報を表示することができます。様々なコマンドを加えることで、オブジェクトの操作や設定をすることも可能です。

ノート: ip ユーティリティは iproute2 パッケージに含まれており、このパッケージは base グループに入っています。
オブジェクト 用途 man ページ
ip addr プロトコルアドレス管理 ip-address(8)
ip addrlabel プロトコルアドレスラベル管理 ip-addrlabel(8)
ip l2tp tunnel ethernet over IP (L2TPv3) ip-l2tp(8)
ip link ネットワークデバイス設定 ip-link(8)
ip maddr マルチキャストアドレス管理 ip-maddress(8)
ip monitor netlink メッセージの監視 ip-monitor(8)
ip mroute マルチキャストルーティングキャッシュ管理 ip-mroute(8)
ip mrule マルチキャストルーティングポリシー db のルール
ip neigh neighbour/arp テーブル管理 ip-neighbour(8)
ip netns プロセスネットワーク名前空間管理 ip-netns(8)
ip ntable neighbour テーブル設定 ip-ntable(8)
ip route ルーティングテーブル管理 ip-route(8)
ip rule ルーティングポリシーデータベース管理 ip-rule(8)
ip tcp_metrics TCP Metrics の管理 ip-tcp_metrics(8)
ip tunnel トンネル設定 ip-tunnel(8)
ip tuntap TUN/TAP デバイスの管理
ip xfrm IPsec ポリシーの管理 ip-xfrm(8)

全てのオブジェクトで help コマンドが利用可能です。例えば、ip addr help と入力すればアドレスオブジェクトで利用できるコマンド構文が表示されます。高度な利用方法は iproute2 documentation を見て下さい。

ネットワーク設定の記事では実際問題として ip コマンドを様々な作業でどうやって使えばいいのか解説しています。

ノート: もしかしたら ifconfig コマンドの方が親しみがあるかもしれません。このコマンドは Linux の旧バージョンでインターフェイス設定に使われていました。現在 Arch Linux では廃止されているため、代わりに ip を使って下さい。

less

less はテキストファイルの中身を一画面単位で表示するのに使われるターミナルページャプログラムです。morepg といった他のページャと同じですが、less はより高度なインターフェイスと完全な feature-set を提供します。

less の代替プログラムについてはアプリケーション一覧#ターミナルページャを見て下さい。

locate

mlocate パッケージをインストールしてください。インストール後、自動的にデータベースを更新するスクリプトが毎日実行されるようになります。手動で root で updatedb を実行することでいつでもデータベースは更新できます。デフォルトでは /media/mnt などのパスは無視されるので locate は外部デバイスのファイルを検索できません。詳しくは updatedb(8) を見てください。

locate コマンドはファイルを名前で検索する一般的な Unix ツールです。あらかじめ作成しておいたデータベースファイルを使って検索するためファイルシステムを直接検索する find ツールよりも高速に検索できます。欠点としてデータベースが作成された後に作られたファイルは locate で検索できません。データベースを更新する updatedb コマンドを定期的に実行することで問題は抑えられます。

locate は使う前にデータベースの作成が必要です。root で updatedb を実行してください。

How locate works and rewrite it in one minute も参照。

もうひとつのページャとしての Vim

Vim (visual editor improved) にはテキストファイル・圧縮ファイル・バイナリ・ディレクトリの中身を表示するスクリプトが含まれています。次の行をシェルの設定ファイルに追加することでページャとして使うことが可能です:

~/.bashrc
alias less='/usr/share/vim/vim80/macros/less.sh'

また、less.sh マクロの代替も存在し、PAGER 環境変数として使えます。vimpager をインストールしてシェルの設定ファイルに以下を加えて下さい:

~/.bashrc
export PAGER='vimpager'
alias less=$PAGER

これで PAGER 環境変数を使うプログラム、git などはページャとして vim を使うようになります。

ls

ls (list) は Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムで使われる、ファイルを一覧するコマンドです。

詳しい情報は info lsオンラインマニュアル を見てください。

exa は近代的でユーザーフレンドリーな lstree の代替ユーティリティです。ファイル名と一緒に Git の変更を表示したり、--long モードで各カラムをカラー化したり、--long モードで tree ビューとメタデータを同時に表示する機能があります。

長い出力

-l オプションはメタデータを表示します。例:

$ ls -l /path/to/directory
total 128
drwxr-xr-x 2 archie users  4096 Jul  5 21:03 Desktop
drwxr-xr-x 6 archie users  4096 Jul  5 17:37 Documents
drwxr-xr-x 2 archie users  4096 Jul  5 13:45 Downloads
-rw-rw-r-- 1 archie users  5120 Jun 27 08:28 customers.ods
-rw-r--r-- 1 archie users  3339 Jun 27 08:28 todo
-rwxr-xr-x 1 archie users  2048 Jul  6 12:56 myscript.sh

total の値はディレクトリ内のファイルに割り当てられたディスクのブロック数を表します。

ファイルやサブディレクトリの行は7つのメタデータフィールドに分けられます:

  • タイプとパーミッション:
    • 最初の文字はタイプです。タイプの説明は info ls -n "What information is listed" を見てください。例:
      • - は通常のファイルです。
      • d はディレクトリです。
      • p は名前付きパイプ (別名 FIFO) です。
      • l はシンボリックリンクです。
    • 他の文字はパーミッションです。
  • ハードリンクの数。ファイルは最低でも1になります。フォルダは最低でも2になります。
  • 所有者のユーザーの名前。
  • グループの名前。
  • サイズ。
  • 最後に更新されたタイムスタンプ。
  • エンティティ名。

空白を含むファイル名がクォートで囲まれる

デフォルトで、空白を含むファイル名やディレクトリ名はシングルクォートで囲まれて表示されます。-N--quoting-style=literal オプションを使うことでクォートを消せます。また、QUOTING_STYLE 環境変数literal に設定することでも同じ効果があります [2]

lsblk

lsblk(8) は利用可能なブロックデバイスとパーティションスキームを表示します。例:

$ lsblk -f
NAME   FSTYPE   LABEL       UUID                                 MOUNTPOINT
sda
├─sda1 vfat                 C4DA-2C4D                            /boot
├─sda2 swap                 5b1564b2-2e2c-452c-bcfa-d1f572ae99f2 [SWAP]
└─sda3 ext4                 56adc99b-a61e-46af-aab7-a6d07e504652 /

デバイスの名前はブロックデバイスのタイプを表します。近代的なストレージデバイス (例: ハードディスク, SSD, USB フラッシュドライブ) は大抵 SCSI ディスク (sd) と認識されます。タイプの後に付いている小文字は a なら1番目のデバイス (sda)、b なら2番目のデバイス (sdb) を示します。デバイス内に存在するパーティションも同じように1番目のパーティション (sda1), 2番目のパーティション (sda2) と 1 からの数字が付きます。上記の例の場合、利用できるデバイスはひとつだけ (sda) で、デバイスには3つのパーティション (sda1 から sda3) が存在し、それぞれ異なるファイルシステムが使われていることが確認できます。

他によく使われるブロックデバイスのタイプとしてはメモリカードの mmcblkNVMe デバイスの nvme などがあります。知らないタイプは カーネルドキュメント で検索してください。

mkdir

mkdir (make directory) はディレクトリを作成するコマンドです。

  • ディレクトリと階層全体を作るには、-p スイッチを使って下さい。そうしないとエラーが表示されます。-p スイッチをデフォルトで使うようにすることもできます:
alias mkdir='mkdir -p -v'
-v スイッチはメッセージを有効にします。
  • 作成したディレクトリのモードを変更するのに chmod を使う必要はありません。-m オプションでアクセス権限を定義できます。
ヒント: 一時ディレクトリが欲しいときは代わりに mktemp (make termporary) を使って下さい: mktemp -d

mv

mv (move) はファイルやディレクトリを移動したり名前の変更をするコマンドです。

  • 危険なコマンドになる可能性があるので範囲に制限をかけたほうが賢明です:
alias mv=' timeout 8 mv -iv'
このエイリアスは8秒後に mv を中止し、3つ以上のファイルの削除を確認し、進行中の操作を表示し、(スペースから始まるコマンドを無視するようシェルが設定されている場合) シェルの history ファイルに操作を保存しません。

od

od (octal dump) コマンドは人間が読める形式になっていないデータ (プログラムの実行形式のコードやフォーマットされていないデバイスの中身など) を可視化するのに役立ちます。詳しくは マニュアル を参照してください。

pv

pv (pipe viewer) を使うことでデータ操作の進捗をパイプラインで監視できます。例:

# dd if=/source/filestream | pv -monitor_options -s size_of_file | dd of=/destination/filestream

大抵の場合 pvcat の代替として機能します。

rm

rm (remove) はファイルやディレクトリを削除するコマンドです。

  • 使い方によっては危険性があるので範囲に制限をかけると良いでしょう:
alias rm=' timeout 3 rm -Iv --one-file-system'
このエイリアスは3秒後に rm を中止し、3つ以上のファイルの削除を確認し、進行中の操作を表示し、複数のファイルシステムに影響を与えず、(スペースから始まるコマンドを無視するようシェルが設定されている場合) シェルの history ファイルに操作を保存しません。たった1つのファイルでも確認が必要ならば -I の代わりに -i を使って下さい。
Zsh のユーザーは timeout の前に noglob を記述することで暗示的な拡張を避けることができます。
  • 空のディレクトリを削除するときは、rmdir を使ってください。

sed

sed (stream editor) は文章をパース・変換する Unix ユーティリティです。

ここに sed を使ったワンライナーのリストがあります。

ヒント: より強力に sed を置き換えるものとして AWKPerl 言語があります。

seq

seq (sequence) は連続する数字を生成するユーティリティです。シェルに内蔵されている代替があるので、Wikipedia で説明されているように使うと良いでしょう。

ss

ss はネットワークポートを確認するユーティリティです。iproute2 パッケージに含まれており base グループのひとつとしてインストールされます。非推奨 となった netstat ユーティリティと同じような機能を持っています。

一般的な使用方法:

全ての TCP ソケットとサービス名を表示:

$ ss -at

全ての TCP ソケットとポート番号を表示:

$ ss -atn

全ての UDP ソケットを表示:

$ ss -au

詳しくは ss(8)iproute2 パッケージの ss.html を見てください。

tar

初期の Unix の圧縮形式として、tar ファイル (別名 tarball) は Unix ライクなオペレーティングシステムでパッケージの作成に広く使われています。pacmanAUR のパッケージはどちらも tarball であり、Arch はデフォルトで GNUTar プログラムを使います。

tar アーカイブを扱うとき、tar はデフォルトで拡張子にあわせてファイルを展開します:

$ tar xvf file.EXTENSION

特定の形式を指定する場合:

ファイルタイプ 解凍コマンド
file.tar tar xvf file.tar
file.tgz tar xvzf file.tgz
file.tar.gz tar xvzf file.tar.gz
file.tar.bz bzip -cd file.bz | tar xvf -
file.tar.bz2 tar xvjf file.tar.bz2
bzip2 -cd file.bz2 | tar xvf -
file.tar.xz tar xvJf file.tar.xz
xz -cd file.xz | tar xvf -
file.tar.zst tar -I zstd xvf file.tar.zst

上記の tar 引数の中にはレガシーなものもありますが、特定の操作をするときは未だに有用です。詳しい説明は tar(1)man ページCompatibility セクションを見て下さい。

which

which コマンドは実行可能ファイルのパスを確認したいときに便利です。例:

# journalctl $(which sshd)

wipefs

wipefs は指定したデバイスのファイルシステム, RAID, パーティションテーブルのシグネチャ (マジック文字列) を確認・消去することができます。ファイルシステム自体は消去せず、デバイスの他のデータが消去されることもありません。

詳しくは wipefs(8) を参照してください。

例えば、/dev/sdb デバイスのシグネチャを全て消去してシグネチャのバックアップファイル ~/wipefs-sdb-offset.bak を作成するには:

# wipefs --all --backup /dev/sdb

参照