「Dynamic Kernel Module Support」の版間の差分

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DKMS を使用する''プラス効果''はカーネルがアップグレードされるときにモジュールをリビルドできることです。これはつまり会社・プロジェクト・パッケージメンテナが新しいバージョンのモジュールをリリースするのを待つ必要がないということを意味します。
 
DKMS を使用する''プラス効果''はカーネルがアップグレードされるときにモジュールをリビルドできることです。これはつまり会社・プロジェクト・パッケージメンテナが新しいバージョンのモジュールをリリースするのを待つ必要がないということを意味します。
   
DKMS を使用する''マイナス効果''は DKMS は Pacman のデータベースを破壊することです。作成されたモジュールはパッケージに属さないことになり、Pacman はモジュールを追跡できないという問題があります。ただし理論上は、フックを使ってサポートを追加することができます (参照: {{Bug|2985}})。
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DKMS を使用する''マイナス効果''は DKMS は Pacman のデータベースを破壊することです。作成されたモジュールはパッケージに属さないことになり、Pacman はモジュールを追跡できないという問題があります。ただし理論上は、フックを使ってサポートを追加することができます (参照: {{Bug|2985}})。
   
 
== インストール ==
 
== インストール ==

2016年3月7日 (月) 13:28時点における版

Wikipedia より:

Dynamic Kernel Module Support (DKMS) はカーネルのソースツリーの外にソースが存在する Linux カーネルモジュールの生成を可能にするプログラム/フレームワークです。新しいカーネルがインストールされたときに DKMS モジュールは自動的にリビルドされます。

効果

DKMS を使用するプラス効果はカーネルがアップグレードされるときにモジュールをリビルドできることです。これはつまり会社・プロジェクト・パッケージメンテナが新しいバージョンのモジュールをリリースするのを待つ必要がないということを意味します。

DKMS を使用するマイナス効果は DKMS は Pacman のデータベースを破壊することです。作成されたモジュールはパッケージに属さないことになり、Pacman はモジュールを追跡できないという問題があります。ただし理論上は、フックを使ってサポートを追加することができます (参照: FS#2985)。

インストール

公式リポジトリから dkms をインストールしてください。

dkms systemd サービスを有効にすればカーネルをアップグレードした後の再起動時に DKMS モジュールが自動的にリビルドされるようになります。

カーネルのソースツリーの外にあるモジュールについてはかなりの数の DKMS のパッケージが作られています。いくらかは 公式リポジトリ にも存在しますが、ほとんどのモジュールは AUR にあります。以下のリストは DKMS のモジュールが存在するソフトウェアパッケージのひと握りです (wiki のページに DKMS についてのセクションがある場合はそのリンクを付しています):

アップグレード

大抵はカーネルがアップグレードしてもモジュールをリビルドすることができますが、ときどきパッケージのアップグレードが必要になることがあります。カーネルの変更に対処したり、バグを修正したり、必要な機能を追加するため、再起動する前に DKMS パッケージをアップグレードするようにしてください。

使用方法

DKMS を手動で使用する方法です。

タブ補完は次を実行することで使えます:

# source /usr/share/bash-completion/completions/dkms

モジュールの確認

モジュールの現在の状態、バージョンやツリーのカーネルを確認するには:

$ dkms status

モジュールのリビルド

全てのモジュールをリビルド:

# dkms autoinstall

もしくは特定のカーネルのモジュールをリビルド:

# dkms autoinstall -k 3.16.4-1-ARCH

特定のモジュールをビルド (例: 現在使用しているカーネル):

# dkms install -m nvidia -v 334.21

もしくは:

# dkms install nvidia/334.21

全てのカーネルでモジュールをビルドするには:

# dkms install nvidia/334.21 --all

モジュールの削除

モジュールを削除するには (古いモジュールが勝手に削除されることはありません):

# dkms remove -m nvidia -v 331.49 --all

もしくは:

# dkms remove nvidia/331.49 --all

dkms パッケージを削除した場合、モジュールのビルドファイルに関連する情報が消失します。その場合 /usr/lib/modules/KERNELVERSION-ARCH から使用しないファイルやディレクトリを削除してください。

DKMS パッケージの作成

以下は DKMS パッケージを作成するときのガイドラインです。

パッケージの名前

DKMS パッケージは公式のパッケージ名に "-dkms" を加えた名前を付けます。

"-dkms" を削ったパッケージ名を表すのによく $pkgname の下に $_pkgname 変数が使われます (例: _pkgname=${pkgname%-*})。公式パッケージの PKGBUILD と DKMS パッケージの同じ部分を残しておくのに便利です。

依存パッケージ

依存パッケージは元のパッケージから継承するのに加えて、dkms を追加して linux-headers を削除します (dkms パッケージは任意パッケージとして並べられます)。

ビルドソースの場所

ビルドソースは次の場所に配置します (DKMS のデフォルトビルドディレクトリです):

/usr/src/PACKAGE_NAME-PACKAGE_VERSION

パッケージディレクトリ内の、モジュールのビルド方法を記述した DKMS の設定 (dkms.conf) には PACKAGE_NAMEPACKAGE_VERSION 変数を含めます。

  • PACKAGE_NAME - 実際のプロジェクト名 (通常は $_pkgname または $_pkgbase)。
  • PACKAGE_VERSION - $pkgver にするのが慣例です。

パッチ

PKGBUILD または dkms.conf でソースにパッチを適用できます。

.install でモジュールを自動的にロード

モジュールのロードやアンロードはユーザーが行うようにしてください。モジュールがロードされたときにクラッシュする可能性を考慮します。

namcap の出力

どんなパッケージでも一度は namcap (パッケージ内のよくあるミスや標準にないことをしていないか確認します) を通しておくと良いでしょう。ただし、namcap はまだ DKMS 特有のガイドラインに対応していません。

例えば、DKMS はデフォルトで /usr/src/ を使用しますが、Namcap はこのディレクトリを非標準のディレクトリと判断します。

サンプル

以下はパッケージ名とバージョンにあわせて dkms.conf を編集するサンプルパッケージです。

PKGBUILD

PKGBUILD
# Maintainer: foo <foo(at)gmail(dot)com>
# Contributor: bar <bar(at)gmai(dot)com>

_pkgbase=amazing
pkgname=amazing-dkms
pkgver=1
pkgrel=1
pkgdesc="The Amazing kernel modules (DKMS)"
arch=('i686' 'x86_64')
url="https://www.amazing.com/"
license=('GPL2')
depends=('dkms')
conflicts=("${_pkgbase}")
install=${pkgname}.install
source=("${url}/files/tarball.tar.gz"
        'dkms.conf'
        'linux-3.14.patch')
md5sums=(use 'updpkgsums')

build() {
  cd ${_pkgbase}-${pkgver}

  # Patch
  patch -p1 -i "${srcdir}"/linux-3.14.patch

  # Build
  msg2 "Starting ./configure..."
  ./configure

  msg2 "Starting make..."
  make
}

package() {
  # Install
  msg2 "Starting make install..."
  make DESTDIR="${pkgdir}" install

  # Copy dkms.conf
  install -Dm644 dkms.conf "${pkgdir}"/usr/src/${_pkgbase}-${pkgver}/dkms.conf

  # Set name and version
  sed -e "s/@_PKGBASE@/${_pkgbase}/" \
      -e "s/@PKGVER@/${pkgver}/" \
      -i "${pkgdir}"/usr/src/${_pkgbase}-${pkgver}/dkms.conf

  # Copy sources (including Makefile)
  cp -r ${_pkgbase}/* "${pkgdir}"/usr/src/${_pkgbase}-${pkgver}/
}

dkms.conf

dkms.conf
PACKAGE_NAME="@_PKGBASE@"
PACKAGE_VERSION="@PKGVER@"
MAKE[0]="make --uname_r=$kernelver"
CLEAN="make clean"
BUILT_MODULE_NAME[0]="@_PKGBASE@"
DEST_MODULE_LOCATION[0]="/kernel/drivers/misc"
AUTOINSTALL="yes"

.install

depmod の代わりに dkms install を使うことができます (dkms build に依存しており、さらにそこから dkms add が使われます):

amazing-dkms.install
# old version (without -$pkgrel): ${1%%-*}
# new version (without -$pkgrel): ${2%%-*}

post_install() {
    dkms install amazing/${1%%-*}
}

pre_upgrade() {
    pre_remove ${2%%-*}
}

post_upgrade() {
    post_install ${1%%-*}
}

pre_remove() {
    dkms remove amazing/${1%%-*} --all
}
ヒント: DKMS パッケージはできるだけ元のパッケージに合わせるようにしてください: DKMS 関連のことでパッケージファイルを乱してはいけません (例: アップデートが必要なバージョン番号)。

参照