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'''getty''' はターミナルのラインと接続されたターミナルを管理するプログラムの総称です。getty の目的は権限のないアクセスからシステムを保護することにあります。通常、getty のプロセスは [[init]] によって起動され、ターミナルのラインを管理します。Arch Linux の標準的な環境では、getty プロセスによって管理されるターミナルは仮想端末として実装されています。デフォルトで6つの仮想端末が用意され、普通は {{ic|Ctrl+Alt+F1}} から {{ic|Ctrl+Alt+F6}} を押すことでアクセスすることができます。
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'''getty''' はターミナルのラインと接続されたターミナルを管理するプログラムの総称です。getty の目的は権限のないアクセスからシステムを保護することにあります。通常、getty のプロセスは [[init]] によって起動され、ターミナルのラインを管理します。
   
== agetty ==
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== インストール ==
   
{{ic|agetty}} プログラムは Arch Linux におけるデフォルトの getty であり、Arch Linux のベース環境に含まれている {{Pkg|util-linux}} パッケージに入っています。ログインを待機している間は改行コード (LF) が CR–LF に変換されないように TTY の設定を変更します。この設定によってコンソールに出力されたメッセージに"階段効果"が発生することがあります (例えば [[Init]] によって起動されたプログラムの出力)。
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Arch Linux におけるデフォルトの getty プログラムは {{ic|agetty}} であり、Arch Linux のベース環境に含まれている {{Pkg|util-linux}} パッケージに入っています。ログインを待機している間は改行コード (LF) が CR–LF に変換されないように TTY の設定を変更します。この設定によってコンソールに出力されたメッセージに"階段効果"が発生することがあります (例えば [[Init]] によって起動されたプログラムの出力)。Arch Linux の標準的な環境では、getty プロセスによって管理されるターミナルは仮想端末として実装されています。デフォルトで6つの仮想端末が用意され、普通は {{ic|Ctrl+Alt+F1}} から {{ic|Ctrl+Alt+F6}} を押すことでアクセスすることができます
   
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他にも以下のような getty が存在します:
== fgetty ==
 
   
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* {{App|mingetty|自動ログインができる最小主義の getty。|https://aur.archlinux.org/packages/mingetty/|{{AUR|mingetty}}}}
mingetty から派生した {{AUR|fgetty}} は [[Arch User Repository]] の非公式パッケージでインストールできます。fgetty は"階段効果"を起こしません。[[Wikipedia:Pluggable authentication module|Pluggable Authentication Module]] (SHA-2 を含む) に対応するにはパッチの適用された {{AUR|fgetty-pam}} が必要になります。
 
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* {{App|fbgetty|フレームバッファをサポートしている mingetty のような getty コンソール。|http://projects.meuh.org/fbgetty/|{{AUR|fbgetty}}}}
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* {{App|mgetty|Unix でモデムを使うのに適した汎用プログラム。|http://mgetty.greenie.net/|{{AUR|mgetty}}}}
   
== ==
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== 仮想端末追加 ==
   
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{{ic|/etc/systemd/logind.conf}} ファイルを開いて {{ic|1=NAutoVTs=6}} オプションを使って好きな数の仮想端末を起動できます。
* '''mingetty''' AUR {{AUR|mingetty}}
 
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* '''[[qingy]]''' AUR パッケージ: {{AUR|qingy}}
 
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一時的に起動したい場合、以下を入力することで適当な TTY で getty サービスが起動します:
* '''fbgetty''' 公式パッケージ: {{Pkg|fbgetty}}
 
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* '''ngetty''' AUR: {{AUR|ngetty}}
 
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$ systemctl start getty@ttyN.service
* '''rungetty''' AUR: {{AUR|rungetty}}
 
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* '''mgetty''' AUR: {{AUR|mgetty}}
 
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== 仮想端末に自動ログイン ==
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''agetty'' に渡されるデフォルトパラメータを上書きする systemd の[[Systemd#ユニットファイルの編集|ドロップインファイル]]を使って設定を行います。
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設定は仮想コンソールとシリアルコンソールで異なります。ほとんどの場合、設定するのは仮想コンソールの自動ログインでしょう。デバイス名は {{ic|tty''N''}} で、{{ic|''N''}} が数字です。シリアルコンソールのデバイス名は {{ic|ttyS''N''}} のようになり、{{ic|''N''}} は同じく数字になります。
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=== 仮想コンソール ===
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手動で以下のドロップインファイルを作成して[[systemd#ユニットファイルの編集|ユニットファイルを編集]]するか、{{ic|systemctl edit getty@tty1}} を実行して以下の内容を記述してください:
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{{hc|/etc/systemd/system/getty@tty1.service.d/override.conf|2=
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[Service]
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ExecStart=
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ExecStart=-/usr/bin/agetty --autologin ''username'' --noclear %I $TERM
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}}
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{{Tip|オプション {{ic|1=Type=idle}} は全てのジョブ (ユニットの状態変更リクエスト) が完了するまでサービスの起動を遅らせます。{{ic|1=Type=simple}} を使うと、サービスはすぐに実行されますが、ブートアップメッセージがログインプロンプトに残るかもしれません。このオプションは [[ログイン時に X を起動|X を自動的に起動する]]場合に特に有用です。このオプションを使うには、{{ic|1=Type=simple}} をドロップインファイルに追加してください。init システムと ''startx'' のメッセージはどちらも[[サイレントブート|表示しない]]ようにすることができます。}}
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''tty1'' 以外の ''tty'' を使いたい時は [[Systemd FAQ#デフォルトで動作する getty の数を修正するにはどうすればいいですか?|Systemd FAQ]] を見て下さい。
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=== シリアルコンソール ===
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以下のファイル (とディレクトリ) を作成してください:
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{{hc|/etc/systemd/system/serial-getty@ttyS0.service.d/autologin.conf|2=
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[Service]
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ExecStart=
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ExecStart=-/usr/bin/agetty --autologin ''username'' -s %I 115200,38400,9600 vt102
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}}
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=== Nspawn コンソール ===
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[[systemd-nspawn]] コンテナに自動ログインするには、''console-getty'' サービスを上書きしてください:
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{{hc|/etc/systemd/system/console-getty.service.d/override.conf|2=
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[Service]
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ExecStart=
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ExecStart=-/sbin/agetty --noclear --autologin ''username'' --keep-baud console 115200,38400,9600 $TERM
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}}
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== tty1 にブートメッセージを残す ==
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デフォルトで、Arch では {{ic|getty@tty1}} サービスが有効になっています。サービスファイルは既に {{ic|--noclear}} を使うようになっているので、agetty が画面をクリアすることはありません。しかしながら [[systemd]] が起動する前に画面をクリアしてしまいます。この挙動を無効にするには、ドロップインディレクトリ {{ic|/etc/systemd/system/getty@tty1.service.d/}} を作成して、その中に {{ic|noclear.conf}} ファイルを作ってください:
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{{hc|1=/etc/systemd/system/getty@tty1.service.d/noclear.conf|2=
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[Service]
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TTYVTDisallocate=no
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}}
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上記の設定で TTY1 の agetty の {{ic|TTYVTDisallocate}} だけが上書きされます。グローバルなサービスファイル {{ic|/usr/lib/systemd/system/getty@.service}} に手は加えられません。これは [[Systemd#ユニットファイルの編集|systemd のユニットファイル]]を編集するときに推奨される方法です。
  +
  +
KMS が後から起動すると最初のブートメッセージがクリアされてしまうことがあります。このような場合は、[[KMS#Early KMS start|KMS を先に起動]]するようにしてください。
  +
  +
おそらく、画面にブートメッセージが溢れてしまうほど表示されますが、Shift+PgUp/PgDow でスクロールできます。スクロールしても表示されないほど多くのブートメッセージが出力される場合、[[スクロールバックバッファ]]のサイズを増やしてみて下さい。
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  +
=== /etc/issue のクリアを無効化 ===
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{{ic|/etc/issue}} に "clear TTY" エスケープシーケンスがある場合、削除してください。
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# sed -i $'s/\e\[H//; s/\e\[2J//' /etc/issue
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==参照==
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* [[Systemd#起動時のデフォルトターゲットを変更する]]

2018年1月18日 (木) 22:02時点における版

関連記事

getty はターミナルのラインと接続されたターミナルを管理するプログラムの総称です。getty の目的は権限のないアクセスからシステムを保護することにあります。通常、getty のプロセスは init によって起動され、ターミナルのラインを管理します。

インストール

Arch Linux におけるデフォルトの getty プログラムは agetty であり、Arch Linux のベース環境に含まれている util-linux パッケージに入っています。ログインを待機している間は改行コード (LF) が CR–LF に変換されないように TTY の設定を変更します。この設定によってコンソールに出力されたメッセージに"階段効果"が発生することがあります (例えば Init によって起動されたプログラムの出力)。Arch Linux の標準的な環境では、getty プロセスによって管理されるターミナルは仮想端末として実装されています。デフォルトで6つの仮想端末が用意され、普通は Ctrl+Alt+F1 から Ctrl+Alt+F6 を押すことでアクセスすることができます。

他にも以下のような getty が存在します:

  • mingetty — 自動ログインができる最小主義の getty。
https://aur.archlinux.org/packages/mingetty/ || mingettyAUR
  • fbgetty — フレームバッファをサポートしている mingetty のような getty コンソール。
http://projects.meuh.org/fbgetty/ || fbgettyAUR
  • mgetty — Unix でモデムを使うのに適した汎用プログラム。
http://mgetty.greenie.net/ || mgettyAUR

仮想端末の追加

/etc/systemd/logind.conf ファイルを開いて NAutoVTs=6 オプションを使って好きな数の仮想端末を起動できます。

一時的に起動したい場合、以下を入力することで適当な TTY で getty サービスが起動します:

$ systemctl start getty@ttyN.service

仮想端末に自動ログイン

agetty に渡されるデフォルトパラメータを上書きする systemd のドロップインファイルを使って設定を行います。

設定は仮想コンソールとシリアルコンソールで異なります。ほとんどの場合、設定するのは仮想コンソールの自動ログインでしょう。デバイス名は ttyN で、N が数字です。シリアルコンソールのデバイス名は ttySN のようになり、N は同じく数字になります。

仮想コンソール

手動で以下のドロップインファイルを作成してユニットファイルを編集するか、systemctl edit getty@tty1 を実行して以下の内容を記述してください:

/etc/systemd/system/getty@tty1.service.d/override.conf
[Service]
ExecStart=
ExecStart=-/usr/bin/agetty --autologin username --noclear %I $TERM
ヒント: オプション Type=idle は全てのジョブ (ユニットの状態変更リクエスト) が完了するまでサービスの起動を遅らせます。Type=simple を使うと、サービスはすぐに実行されますが、ブートアップメッセージがログインプロンプトに残るかもしれません。このオプションは X を自動的に起動する場合に特に有用です。このオプションを使うには、Type=simple をドロップインファイルに追加してください。init システムと startx のメッセージはどちらも表示しないようにすることができます。

tty1 以外の tty を使いたい時は Systemd FAQ を見て下さい。

シリアルコンソール

以下のファイル (とディレクトリ) を作成してください:

/etc/systemd/system/serial-getty@ttyS0.service.d/autologin.conf
[Service]
ExecStart=
ExecStart=-/usr/bin/agetty --autologin username -s %I 115200,38400,9600 vt102

Nspawn コンソール

systemd-nspawn コンテナに自動ログインするには、console-getty サービスを上書きしてください:

/etc/systemd/system/console-getty.service.d/override.conf
[Service]
ExecStart=
ExecStart=-/sbin/agetty --noclear --autologin username --keep-baud console 115200,38400,9600 $TERM

tty1 にブートメッセージを残す

デフォルトで、Arch では getty@tty1 サービスが有効になっています。サービスファイルは既に --noclear を使うようになっているので、agetty が画面をクリアすることはありません。しかしながら systemd が起動する前に画面をクリアしてしまいます。この挙動を無効にするには、ドロップインディレクトリ /etc/systemd/system/getty@tty1.service.d/ を作成して、その中に noclear.conf ファイルを作ってください:

/etc/systemd/system/getty@tty1.service.d/noclear.conf
[Service]
TTYVTDisallocate=no

上記の設定で TTY1 の agetty の TTYVTDisallocate だけが上書きされます。グローバルなサービスファイル /usr/lib/systemd/system/getty@.service に手は加えられません。これは systemd のユニットファイルを編集するときに推奨される方法です。

KMS が後から起動すると最初のブートメッセージがクリアされてしまうことがあります。このような場合は、KMS を先に起動するようにしてください。

おそらく、画面にブートメッセージが溢れてしまうほど表示されますが、Shift+PgUp/PgDow でスクロールできます。スクロールしても表示されないほど多くのブートメッセージが出力される場合、スクロールバックバッファのサイズを増やしてみて下さい。

/etc/issue のクリアを無効化

/etc/issue に "clear TTY" エスケープシーケンスがある場合、削除してください。

# sed -i $'s/\e\[H//; s/\e\[2J//' /etc/issue

参照