Lenovo ThinkPad X1 Carbon (Gen 5)

提供: ArchWiki
2018年3月13日 (火) 23:04時点におけるKusakata (トーク | 投稿記録)による版 (同期)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

関連記事

ヒント: ThinkPad の資料は https://www.thinkwiki.org/wiki/ThinkWiki にまとまっています。

モデルの説明

第5世代の Lenovo ThinkPad X1 Carbon です。

dmidecode パッケージをインストールして実行することであなたの使っているノートパソコンのバージョンを確認できます:

# dmidecode -t system | grep Version

Version: ThinkPad X1 Carbon 5th

サポート

デバイス 動作
Intel Graphics Yes
ワイヤレス設定#iwlwifi Yes
ドングル による有線接続 Yes
モバイルブロードバンド Yes
ALSA Yes
タッチパッド Yes
トラックポイント Yes*
カメラ Yes
指紋リーダー No
電源管理 Yes
Bluetooth Yes
microSD カードリーダー Yes
  • Lenovo は第5世代の X1 Carbon で様々な種類のトラックポイントを使っています。Linux でサポートされているのは標準的な ALPS だけです。

指紋リーダー

搭載されている指紋リーダーは `138a:0097 Validity Sensors, Inc` ですが現在のところ Linux 用のドライバーが存在しません。ドライバーのリバースエンジニアリングは上手くいっていません [1]。('Validity Sensors' の親会社である) Synaptics はプロトコルを公開することができないと非公式に発言していますが、バイナリドライバーがリリースされる可能性はあります。

設定

キーボード Fn ショートカット

  • Fn+4 は XF86Sleep を送信します (デフォルトではスリープ状態になります)。
  • Fn+S は Alt_L+Sys_Req を送信します。
  • Fn+P は Pause を送信します。
  • Fn+B は Control_L+Break を送信します。
  • Fn+K は Scroll_Lock を送信します。
  • Fn+Space でキーボードバックライトが切り替わります。
  • Fn 自体は XF86WakeUp を送信します (デフォルトではスリープから復帰します)。

特殊なボタン

キーコード番号の制限が原因で、一部のボタンは X サーバーではサポートされていません:

キーの組み合わせ スキャンコード キーコード
Fn+F11 0x49 374 KEY_KEYBOARD
Fn+F12 0x45 364 KEY_FAVORITES

udev の hwdb を使ってキーを再マッピングすることができます:

/etc/udev/hwdb.d/90-thinkpad-keyboard.hwdb
evdev:name:ThinkPad Extra Buttons:dmi:bvn*:bvr*:bd*:svnLENOVO*:pn*
 KEYBOARD_KEY_45=prog1
 KEYBOARD_KEY_49=prog2

ルールを編集したら hwdb を更新してください:

# udevadm hwdb --update
# udevadm trigger --sysname-match="event*"

ディスプレイ

以下の2種類のディスプレイが存在します:

  • 14" FHD IPS (1920 x 1080): 動作
  • 14" WQHD (2560 x 1440): 動作

バックライト制御

linux-4.12 と linux-4.13 の thinkpad_acpi モジュールには問題があります。以下のように Fn+F5 や Fn+F6 で acpi イベントが生成されない場合:

kernel: thinkpad_acpi: This ThinkPad has standard ACPI backlight brightness control, supported by the ACPI video driver
kernel: thinkpad_acpi: Disabling thinkpad-acpi brightness events by default...
kernel: thinkpad_acpi: Standard ACPI backlight interface available, not loading native one

acpi_brightness=vendor カーネルパラメータを設定することで問題は解決しますが、輝度の保存と復帰に問題が発生します。linux-4.14 では上記の問題は解決しています。

トラックポイントのスクロール

GNOME や MATE では特に設定をしなくても機能します。他のウィンドウマネージャでトラックポイントの中ボタンスクロールを有効にするには、xorg-xinput パッケージをインストールして .xinitrc に以下の行を追加してください:

xinput set-prop "TPPS/2 IBM TrackPoint" "libinput Scroll Method Enabled" 0 0 1

Lenovo ThinkPad Thunderbolt 3 ドッキングステーション

USB-C ドックは Thunderbolt 3 デバイスです。接続すると大量の PCI エントリが発生します:

06:00.0 PCI bridge: Intel Corporation JHL6540 Thunderbolt 3 Bridge (C step) [Alpine Ridge 4C 2016] (rev 02)
07:00.0 PCI bridge: Intel Corporation JHL6540 Thunderbolt 3 Bridge (C step) [Alpine Ridge 4C 2016] (rev 02)
07:01.0 PCI bridge: Intel Corporation JHL6540 Thunderbolt 3 Bridge (C step) [Alpine Ridge 4C 2016] (rev 02)
07:02.0 PCI bridge: Intel Corporation JHL6540 Thunderbolt 3 Bridge (C step) [Alpine Ridge 4C 2016] (rev 02)
07:04.0 PCI bridge: Intel Corporation JHL6540 Thunderbolt 3 Bridge (C step) [Alpine Ridge 4C 2016] (rev 02)
3c:00.0 USB controller: Intel Corporation Device 15d4 (rev 02)

カーネル 4.10.13 では特に設定をしなくてもドックは問題なく機能します。ホットプラグも機能し、ドックの接続を解除すると全てのデバイスが消えます。再び接続すると USB デバイスが自動的に復帰します。ただしディスプレイを表示するには xrandr の実行が必要です。

Ethernet

r8152 ベースの USB イーサネットポートは設定不要で動作します。以下のメッセージが表示される場合:

[    7.574773] r8152 4-1.1:1.0 (unnamed net_device) (uninitialized): Unknown version 0x6010

r8152-dkmsAUR をインストールすることで問題は解決します (DKMS モジュールはバージョン 0x6010 を追加します)。

USB

コンピュータにドックを接続して起動しなくてもドックの内蔵 USB ハブを使用できるようにするには、BIOS の Thuderbolt 設定で "Security Level" を "No Security" に設定してください。また、ドックに接続した USB 周辺機器が全て機能するように "Support in pre boot environment" を有効にしてください。

HP Thunderbolt 3 ドック

HP Thunderbolt 3 ドックは特に設定をしなくても動作します。

トラブルシューティング

復帰後にファンが最大速度になる

サスペンドから復帰したときにファンが最大になるバグが存在します。このバグはカーネル 4.12.4-1 以上では修正されています。

古いカーネルのためのパッチセットは次を参照: https://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=196129#c26

古いバージョンのカーネルを使っている場合、カーネルに手動でパッチを適用するか、ファンが暴走しなくなるまでサスペンド (Fn+4) と復帰 (Fn) を繰り返してください。

トラックポイント/トラックパッドが機能しない

第5世代 X1 Carbon では様々なトラックポイントが使われています。 最低でも3つのトラックポイントが存在します。dmesg でそれぞれ LEN0071, LEN0072, LEN0073 と認識されます。

Synaptics ドライバーにはバグが存在し、トラックポイントが起動時に有効になっているとき、トラックポイントとトラックパッドの両方が使えなくなることがあります。

問題が発生している場合、以下のような表示が dmesg で確認できます:

kernel: psmouse serio1: TouchPad at isa0060/serio1/input0 lost sync at byte 1
kernel: psmouse serio1: TouchPad at isa0060/serio1/input0 lost sync at byte 1
kernel: psmouse serio1: TouchPad at isa0060/serio1/input0 lost sync at byte 1
kernel: psmouse serio1: TouchPad at isa0060/serio1/input0 lost sync at byte 1
kernel: psmouse serio1: TouchPad at isa0060/serio1/input0 lost sync at byte 1
kernel: psmouse serio1: issuing reconnect request

カーネル 4.14 以上を使用している場合はカーネルパラメータpsmouse.synaptics_intertouch=1 を追加することで解決します。

4.14 よりも前のカーネルを使用している場合はパッチを適用してください: https://gist.github.com/ursm/6d1007f44a1d6beeb670b3c3a6a78ea4 。ただし Elantech 製のトラックポイント (LEN0073) にしか効果がないので注意してください。

起動時にときどきシステムがフリーズする

SDDM ログインマネージャを使用する場合、X が起動する前にシステムがフリーズすることがあります。SDDM のバージョン 0.16.0 に存在するバグが原因です [2]

起動する前に SDDM を少し待機させることで解決します。/etc/systemd/system/sddm.service.d/override.conf ファイルを作成:

[Service]
ExecStartPre=/bin/sleep 2

sddm-0.16.0-3 ではバグは修正済みです。