「Music Player Daemon」の版間の差分

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2020年7月15日 (水) 22:52時点における版

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MPD (music player daemon) はサーバー・クライアントアーキテクチャを持った音声プレイヤーです。ほとんど資源を消費しないで音声ファイルを再生したり、プレイリスト・音楽データベースを管理することができます。インターフェイスで接続するには、クライアントが必要になります。

インストール

mpd の最新の安定版は公式リポジトリにあります。

実験版を動作したい場合は、AUR に複数のパッケージが存在します。例えば、mpd-gitAUR

ノート: Mopidy という名前の Python で書かれたプラグインベースの実装も存在します。mopidymopidy-gitAUR で利用可能です。MPD を完全に置き換えることはできない ので注意してください。MPD に対する Mopidy のメリットとしては Spotify や SoundCloud、Google Play Music などのクラウドサービスから音楽を再生するためのプラグインが存在する点が挙げられます。ただし mopidy プロジェクトの開発は停滞しており古いプラグインは不安定だったりバグが残っていたりします。

設定

MPD はローカル (ユーザーの設定ごと) とグローバル (設定を全てのユーザーに適用) で、かつ複数のインスタンスで動かすことができます。mpd の設定方法はどう使うかによります: 例えば、デスクトップならばおそらくローカル設定が便利でしょう。

MPD で音声を再生するためには ALSAOSS のどちらか (PulseAudio は任意) を動作するように設定する必要があります。

MPD は mpd.conf で設定します。このファイルの場所は MPD を実行する方法によります (下のセクションを見て下さい)。以下は一般的に使われている設定オプションです:

  • pid_file - mpd がプロセス ID を保存するファイル
  • db_file - 音楽データベース
  • state_file - MPD の現在の状態
  • playlist_directory - プレイリストが保存されるフォルダ
  • music_directory - MPD が音楽を探すフォルダ
  • sticker_file - sticker データベース
ノート: これらのファイルには適切なパーミッションが設定されている必要があります (パスは設定ファイルで指定します)。そうしないと MPD が起動に失敗します。

グローバル設定

警告: グローバルな mpd を使う PulseAudio のユーザーは mpd をユーザーで動かすために処置をする必要があります。

デフォルトの /etc/mpd.conf では /var/lib/mpd に設定が保存され mpd をデフォルトグループとして使います。

Music ディレクトリ

/etc/mpd.conf ファイルを編集して music_directory パラメータで音楽を入れているディレクトリのパスを設定してください:

music_directory /path/to/music

MPD は音楽コレクションの全ての親ディレクトリに +x パーミッションが設定されていることを必要としますが、これは多くのユーザーが音楽を保存しているユーザーディレクトリのデフォルト設定と衝突します。

この問題を解決する方法はいくつかありますが、以下のどれかの方法が最も実用的です:

  • ユーザーで MPD を実行
  • ログイングループに mpd ユーザーを追加してユーザーディレクトリにグループパーミッションを付与:
 # gpasswd -a mpd <your login group>
 $ chmod 710 /home/<your home dir>
  • 音楽コレクションを別のパスに配置。(a) 全てを移動する (b) バインドマウントを使う (c) Btrfs のサブボリュームを使う (/etc/fstab にエントリを追加して変更を永続的にする必要があります) のどれかの方法を使用。ディレクトリのパーティションはアクセス制御リストで設定できます。

MPD の設定では音楽ディレクトリを一つしか含めることができません。音楽コレクションが複数のディレクトリにある場合は、/var/lib/mpd のメインの音楽ディレクトリにシンボリックリンクを作成してください。リンクしたディレクトリにパーティションを設定することを忘れないで下さい。

MPD の起動

MPD は mpd デーモンを使うことで操作できます。最初の起動では MPD があなたの音楽ディレクトリをスキャンするので多少時間がかかります。

クライアントアプリケーション (ncmpc は軽量で使いやすいクライアントです) を起動していろいろなことをテストして、音楽を再生してください!

ソケットアクティベーション

(mpd に入っている) mpd.socket ファイルを有効にすることで mpd.service が無効になっているとき、systemd は mpd をすぐには起動しないで、適当なソケットで待機します。mpd クライアントがそのソケットのどれかに接続しようとしたら、systemd は mpd.service を起動して透過的にポートのコントロールを mpd プロセスに引き渡します。

他の UNIX ソケットやネットワークポートを使いたい場合や、ネットワークポートで全く待機して欲しくない場合は、mpd.socket[Socket] セクションにある適切な "ListenStream=" 行を追加・編集・削除して、/etc/mpd.conf の適切な行を修正してください (詳しくは man 5 mpd.conf を参照)。

音声の設定

ALSA ユーザーは以下のデバイス定義を使うことで、MPD クライアントで他のアプリケーションとは独立してボリュームを操作することができます:

/etc/mpd.conf
audio_output {
        type            "alsa"
        name            "My Sound Card"
        mixer_type      "software"      # optional
}

My Sound Card はサウンドカードや pcm の名前に置き換えてください (aplay --list-pcms で確認できます)。

PulseAudio ユーザーは以下の修正をする必要があるかもしれません:

/etc/mpd.conf
audio_output {
        type            "pulse"
        name            "pulse audio"
}

PulseAudio は複数の高度な操作 (例: 音声を他のマシンへ転送する) をサポートしています。MPD で高度な設定を使うには Music Player Daemon Community Wiki を見て下さい。

ユーザーの変更

MPD を動かすグループを変更すると次のようなエラーが起こります: output: Failed to open "My ALSA Device", [alsa]: Failed to open ALSA device "default": No such file or directory, player_thread: problems opening audio device while playing "Song Name.mp3"

これは MPD ユーザーが /dev/snd/ 下のサウンドデバイスにアクセスできる audio グループに含まれていることを必要とするのが原因です。問題を解決するには、MPD ユーザーを audio グループに追加してください:

# gpasswd -a mpd audio

MPD の起動タイムライン

MPD がいつスーパーユーザー特権を落とし設定されたユーザーを使うのか説明するために、通常の MPD の起動順序をここに記載します:

  1. MPD が systemd によって root で起動されると、まず /etc/mpd.conf ファイルを読みに行きます。
  2. MPD は /etc/mpd.conf ファイル内の user 変数を読んで、root からこのユーザーに変更します。
  3. 次に MPD は /etc/mpd.conf ファイルの中身を読み、それに従って設定を行います。

MPD は実行ユーザーを root から /etc/mpd.conf ファイルに記されたユーザーに変更することに注意してください。 このため、設定ファイルで ~ を使うと、root のディレクトリではなくユーザーのホームディレクトリを示すことになります。 ~ を全て /home/username に置き換えることで MPD の挙動に対して混乱することを避けることができます。

ローカル設定 (ユーザーごと)

MPD はユーザーごとに設定することが可能です (基本的に MPD はグローバルに設定します)。通常ユーザーとして MPD を実行するメリットは:

  • ひとつのディレクトリ ~/.config/mpd/ (もしくは $HOME 下の他のディレクトリ) に MPD の設定ファイル全てが入ります。
  • 予期できない読み書きのパーミッションエラーを避けやすくなります。

必要なファイルとプレイリストを集めた一つのディレクトリを作成すると良いでしょう。読み書きができるディレクトリならどれでも結構です (例: ~/.config/mpd/ もしくは ~/.mpd/)。このセクションでは ~/.config/mpd/ を使うことを前提にしています。これは $XDG_CONFIG_HOME のデフォルトの値に一致しています (XDG Base Directory Specification)。

MPD は $XDG_CONFIG_HOME/mpd/mpd.conf~/.mpdconf で設定ファイルを検索します。他のパスをコマンドラインの引数で指定することも可能です。

設定ファイルのサンプルを好きな場所にコピーしてください、例えば:

$ mkdir -p ~/.config/mpd
$ cp /usr/share/doc/mpd/mpdconf.example ~/.config/mpd/mpd.conf

~/.config/mpd/mpd.conf を編集して必要なファイルを指定してください:

~/.config/mpd/mpd.conf
# Required files
db_file            "~/.config/mpd/database"
log_file           "~/.config/mpd/log"

# Optional
music_directory    "~/Music"
playlist_directory "~/.config/mpd/playlists"
pid_file           "~/.config/mpd/pid"
state_file         "~/.config/mpd/state"
sticker_file       "~/.config/mpd/sticker.sql"

上で設定したプレイリストディレクトリを作成してください:

$ mkdir ~/.config/mpd/playlists

必要なファイルのパスを設定したら、MPD を起動できます。設定ファイルの場所を指定するには:

$ mpd config_file

tty ログイン時に自動起動

ログイン時に MPD を起動するには ~/.profile (もしくは他の Autostart ファイル) に以下を追加してください:

# MPD daemon start (if no other user instance exists)
[ ! -s ~/.config/mpd/pid ] && mpd

X で自動起動

デスクトップ環境を使っている場合は、以下のファイルを ~/.config/autostart/ に配置してください:

~/.config/autostart/mpd.desktop
[Desktop Entry]
Encoding=UTF-8
Type=Application
Name=Music Player Daemon
Comment=Server for playing audio files
Exec=mpd
StartupNotify=false
Terminal=false
Hidden=false
X-GNOME-Autostart-enabled=false

DE を使っていない場合は、#tty ログイン時に自動起動 の行を autostart ファイルに追加してください。

systemd による自動起動

mpd パッケージはユーザーサービスファイルが付属しており /usr/lib/systemd/user/mpd.service にインストールします。設定ファイルは ~/.mpdconf~/.config/mpd/mpd.conf のどちらかにあるとして想定されています。他のパスを使う場合は systemd#ユニットファイルの編集を見てください。プロセスは root で実行されないため、MPD の設定ファイルで usergroup 変数は使ってはいけません。ユーザー権限は既にプロセスに付与されており、変更する必要がありません。

必要なことは mpdユーザーサービスを有効にして起動するだけです。

ノート:
  • mpd/usr/lib/systemd/system/mpd.service にもシステムサービスファイルを提供しますが、プロセスは root として実行されるので、ユーザー設定ファイルは読み込まれず /etc/mpd.conf が使われます。グローバル設定で説明しています。
  • mpd を起動する他の方法はすべて無効にしてください。

スクリプトによる設定

こちら に正しいディレクトリ構造・設定ファイルを作成してユーザーの音楽ディレクトリをたずねるスクリプトが存在します。

バイナリ一致再生のスクリプト設定

bash スクリプト を使うことでビットパーフェクト再生 (バイナリ一致再生) に重点を置いた mpd 設定ファイルを作成することができます。ビットパーフェクトとはリサンプリングやフォーマット変換を全く発生させない再生です。音声出力パラメータを設定して直接 ALSA のハードウェアアドレス (hw:0,0 など) を使うことでビットパーフェクト再生が可能になります。スクリプトは ALSA がサポートしている再生インターフェイスを自動で検出し、ひとつしかない場合は自動的に設定し、複数ある場合はユーザーにどれを使用するか質問します。コマンドラインに何も指定しなかった場合、music_directory や mpd のホームディレクトリなどは freedesktop.org の XDG にあわせて自動で設定されます。

mpd のマルチ設定

icecast サーバーを実行

二番目の MPD (例: ネットワークを介して音楽を共有するための icecast 出力) で上で示しているのと同じ音楽・プレイリストを使うには、上記の設定ファイルをコピーして新しいファイルを作って下さい (例: /home/username/.mpd/config-icecast) そして log_file, error_file, pid_file, state_file パラメータを変更してください (例: mpd-icecast.log, mpd-icecast.error など); 音楽やプレイリストのディレクトリに同じディレクトリのパスを使うことで二番目の mpd も一番目の mpd と同じ音楽コレクションを使うようになります。例えば、一番目のデーモンがでプレイリストを作成・編集すれば二番目のデーモンにも同じく影響を与えます。ユーザーは二番目のデーモンのために同じプレイリストを作る必要はありません。二番目のデーモンは ~/.xinitrc から同じ方法で呼び出して下さい (ポート番号は変えておく必要があります、そうしないと一番目の mpd デーモンと衝突がおこります)。

Satellite セットアップ

上記の方法でも動作しますが、理論的に、両方の mpd インスタンスが同じデータベースファイルに書き込みを行おうとしたときに、データベースに問題が発生する可能性があります。MPD には satellite モード があり、動作中の mpd インスタンスから他のインスタンスにデータベースを受け渡すことができます。

config-icecast に以下を追加してください、host と port はプライマリの mpd サーバーに合わせて置き換えてください:

database {
    plugin "proxy"
    host "localhost"
    port "6600"
}

クライアント

mpd を操作するには別にクライアントが必要です。mpd wiki にあるクライアントのリストを見て下さい。人気のあるクライアントは以下の通りです:

コンソール

  • mpc — MPD サーバーのコマンドラインインターフェイス。
http://www.musicpd.org/clients/mpc/ || mpc
  • ncmpc — mpd の ncurses クライアント。
http://www.musicpd.org/clients/ncmpc/ || ncmpc
  • ncmpcpp — 新しい機能が加わった C++ で書かれている ncmpc の正確なクローン (タグエディタ、検索エンジン)。
http://ncmpcpp.rybczak.net/ || ncmpcpp
  • pms — 細かく設定・アクセスができる ncurses クライアント。
https://ambientsound.github.io/pms/ || pmus-gitAUR
  • vimpc — ncurses ベースの MPD クライアント、vi ライクなキーバインド。
https://github.com/boysetsfrog/vimpc || vimpc-gitAUR
  • vimusHaskell で書かれた vim ライクなキーバインドを備えた MPD クライアント。
https://github.com/vimus/vimus || vimus-gitAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません]

グラフィカル

  • Ario — Rhythmbox にインスパイアされた、mpd 用の機能豊富な GTK2 の GUI クライアント。
http://ario-player.sourceforge.net/ || ario
  • QmpdClient — Qt 4.x で書かれた GUI クライアント。
http://bitcheese.net/wiki/QMPDClient || qmpdclientAUR
  • Sonata — エレガントな Python GTK+ クライアント。
https://www.nongnu.org/sonata/ || sonata
  • gmpc — Music Player Daemon の GTK2 フロントエンド。軽量で使いやすいように設計されており、MPD の機能全てに完全にアクセスすることが可能。ユーザーは複数の方法で音楽をブラウズできるようになっています。多数のプラグインで拡張もできます。
http://gmpclient.org/ || gmpcAUR
  • Cantata — 多数の機能があり、インターフェイスが細かく設定できる MPD の Qt4/Qt5/KDE クライアント。
https://github.com/CDrummond/cantata || cantata
  • Xfmpc — リソースの消費力が少ないグラフィカルな GTK+ の MPD クライアント。
https://goodies.xfce.org/projects/applications/xfmpc || xfmpc
  • pymp'd — MPD の GTK+ フロントエンドクライアント。
http://pympd.sourceforge.net || pympdAUR
  • Quimup — C++ と Qt3 で書かれた MPD のクライアント。
https://goodies.xfce.org/projects/applications/xfmpc || quimupAUR
  • SkyMPC — Qt5 ベースのシンプルな MPD クライアント。
https://github.com/soramimi/SkyMPC || skympc-gitAUR

参照