Readline
Readline は GNU プロジェクトによって開発されているライブラリで、コマンドラインで編集したり対話するために Bash などの CLI インターフェイスプログラムで使われています。このページを読む前にライブラリの ホームページ を参照してください。ここでは簡単な設定だけに触れます。
編集モード
デフォルトでは Readline はコマンドラインと対話するのに Emacs のようなショートカットを使います。ただし、vi スタイルの編集インターフェイスもサポートはされています。
vi あるいは vim を使っている場合、以下の行を ~/.inputrc
に記述することで Readline ベースのアプリケーションで vi ライクなキーバインドを有効にできます:
set editing-mode vi
もしくは、以下の行を ~/.bashrc
に追加すると Bash で vi ライクなキーバインドが設定されます:
set -o vi
高速な単語移動
Xterm は Ctrl+Left
と Ctrl+Right
による単語ごとの移動を デフォルトで サポートしています。他のターミナルエミュレータでもこの機能を使うには、適切な ターミナルコード を確認して、~/.inputrc
で backward-word
と forward-word
にバインドしてください。
例えば urxvt の場合:
~/.inputrc
"\e[1;5D": backward-word "\e[1;5C": forward-word
履歴
通常、上方向キーを押すと、今入力しているコマンドとは関係なく、最後に実行したコマンドが表示されます。しかしながら、今入力した文字列とマッチする過去のコマンドだけを表示するようにすると便利かもしれません。
例えば、ユーザーが以下のコマンドを実行していた場合:
ls /usr/src/linux-2.6.15-ARCH/kernel/power/Kconfig
who
mount
man mount
この場合、ls
と入力して上方向キーを押したときに、入力されている文字が man mount
に置き換わるようなことです。履歴検索を有効にしていれば、(現在入力した) ls
から始まる過去のコマンドだけが表示されます。上記の例なら ls /usr/src/linux-2.6.15-ARCH/kernel/power/Kconfig
です。
以下の行を /etc/inputrc
または ~/.inputrc
に追加することで履歴検索モードを有効にできます:
"\e[A":history-search-backward "\e[B":history-search-forward
vi モードを使っている場合、以下の行を ~/.inputrc
に追加します (この投稿 を参照):
set editing-mode vi $if mode=vi set keymap vi-command # these are for vi-command mode "\e[A": history-search-backward "\e[B": history-search-forward j:history-search-forward k:history-search-backward set keymap vi-insert # these are for vi-insert mode "\e[A": history-search-backward "\e[B": history-search-forward $endif
上記の行を ~/.inputrc
に追加する場合、こちら のような変なことが起こらないようにファイルの最初に以下の行を追加することを推奨します:
$include /etc/inputrc
また、Ctrl+R
を押すことで reverse-search-history (インクリメンタル検索) を使うこともできます。前の入力に基づいて検索する代わりに入力されたコマンドを検索語として履歴バッファを後方に検索します。このモードで Ctrl+R
をもう一度押すと現在の検索語にマッチするバッファの一つ前の行が表示され、Ctrl+G
(abort) を押すと検索がキャンセルされて現在の入力行に戻ります。例えば前に実行した mount
コマンドを検索したい場合、Ctrl+R
を押してから 'mount' と入力して、見つけたい行が出るまで Ctrl+R
を押します。
このモードの前方検索は forward-search-history と呼ばれデフォルトでは Ctrl+S
で呼び出せます。しかしながら、ほとんどのターミナルは Ctrl+S
を上書きしてしまい、Ctrl+Q
が入力されるまで画面出力が一時停止します (XON/XOFF フロー制御と呼ばれます)。forward-search-history を有効にするには、以下のコマンドを実行してフロー制御を無効化:
$ stty -ixon
または inputrc
で別のキーを使って下さい。例えば、デフォルトで何にもバインドされていない Alt+S
を使うには:
"\es":forward-search-history
高速な補完
タブ補完を実行するとき、タブを一回押すと入力している単語が部分的に補完されます。部分補完ができない場合、タブを二回押すと全ての補完候補が表示されます。
タブを一回押した時に二回押したときと同じ補完を実行するには、以下を設定:
~/.inputrc
set show-all-if-unmodified on
もしくは一回のタブで両方の補完を実行するように設定: 部分補完を実行して補完候補を全て表示:
~/.inputrc
set show-all-if-ambiguous on
カラー補完
colored-stats
オプションを使うことでファイル名の補完に色を付けることができます。colored-completion-prefix
で補完リストの一致部分に色を付けることも可能です。例:
~/.inputrc
# Color files by types set colored-stats On # Append char to indicate type set visible-stats On # Mark symlinked directories set mark-symlinked-directories On # Color the common prefix set colored-completion-prefix On # Color the common prefix in menu-complete set menu-complete-display-prefix On
マクロ
Readline ではキーをキーボードマクロにバインドすることができます。例えば、Bash で以下のコマンドを実行します:
bind '"\ew":"\C-e # macro"'
もしくは inputrc に以下を追加します:
"\ew":"\C-e # macro"
そして何か文字を入力して Alt
+W
を押して見て下さい。Readline はまるで Ctrl+E
(end-of-line) が押されたように振る舞い、' # macro
' が追加されます。
Readline マクロで既存のキーバインドを使うことで、頻繁に使用するイディオムを自動的に使うようにできて大変便利です。例えば、以下のマクロは Ctrl+Alt+L
で "| less" を行末に追加して実行します (Ctrl+M
は Enter
と同じです):
"\e\C-l":"\C-e | less\C-m"
以下のマクロは Ctrl+Alt+Y
を押すと行頭に 'yes |' が追加され、yes/no を聞いてくるコマンドに y で答えてくれます:
"\e\C-y":"\C-ayes | \C-m"
以下のマクロは Alt+S
が押されたときに入力した文字列を su -c ''
で囲ってくれます:
"\es":"\C-a su -c '\C-e'\C-m"
以下のマクロは Alt+S
が押されたときに sudo
を行頭に付けます。Enter
キーは入力しないので安全です。
"\es":"\C-asudo \C-e"
最後の例は、Ctrl+Alt+B
でコマンドを バックグラウンドに送って、全ての出力を捨てます:
"\e\C-b":"\C-e > /dev/null 2>&1 &\C-m"
制御エコーを無効にする
readline のアップデートによって、Ctrl+C
を押すとターミナルは ^C
を表示するようになっています。制御文字を表示して欲しくない場合、以下を ~/.inputrc
に追加します:
set echo-control-characters off