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'''fdm''' (''fetch and deliver mail'') はメールを取得・フィルタリングするシンプルなプログラムです。同じ用途で使われる他のプログラムと比べて、[[Mutt]] と同じような設計思想で作られています。
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== インストール ==
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== 設定 ==
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'''fdm''' は設定ファイルを通じて構成できます。
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{{ic|/usr/share/doc/fdm-git/MANUAL}} を見てください。
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=== mbox ===
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Alpine は mbox フォーマットを使用するため、複数のファイルを作成する必要があります:
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$ cd
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$ mkdir mail
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$ touch mail/INBOX .fdm.conf
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$ chmod 600 .fdm.conf mail/INBOX
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=== maildir ===
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Mutt は大文字のメールディレクトリを使用し、maildir フォーマットを使うことができます。Mutt を使う場合は以下のようにセットアップしてください:
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$ touch .fdm.conf; chmod 600 .fdm.conf
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$ mkdir -p Mail/INBOX/{new,cur,tmp}
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=== 最終設定 ===
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{{ic|.fdm.conf}} を編集して、メールアカウントと基本的なフィルタールールを追加してください。mbox か maildir のどちらかを使います。
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## .fdm.conf
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## Accounts and rules for:
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#> foo@example.com
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#> bar@gmail.com
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## Last edit 21-Dec-09
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# Catch-all action (mbox):
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action "inbox" mbox "%h/mail/INBOX"
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account "foo" imaps server "imap.example.com"
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user "foo@example.com" pass "supersecret"
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user "bar@gmail.com" pass "evenmoresecret"
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# Match all mail and deliver using the 'inbox' action.
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match all action "inbox"
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上記の設定で、設定したアカウントからメールが INBOX フォルダに集配されます。他のタイプのメールサーバー (例: POP3) に接続する方法は {{ic|fdm(1)}} の man ページを参照してください。
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{{Tip|{{ic|.netrc}} ファイルでログイン名とパスワードを指定することもできます。}}
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== パスワードマネジメント ==
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メールアカウントのパスワードは、設定ファイルにプレーンテキストで保存するか、シェルコマンドでパスワードマネージャーやキーリングから要求することができます。{{ic|$(cmd ...)}} 方式
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=== パスワードマネージャーの使用 ===
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以下は、'''pass'''を使った例です。
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account "foo" imaps server "imap.example.com"
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user "foo@example.com" pass $(pass foo-email-entry | head -1)
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=== Gmail の OAuth2 認証 ===
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fdm は OAuth2 アクセストークンを使用することができ、'''gmail''' でも使用することができますが、OAuth2 認証情報の更新や認証の機能が欠けています。包括的な解決策としては、[https://github.com/pdobsan/mailctl mailctl] ユーティリティを使用することで、IMAP/SMTP クライアントに OAuth2 認証情報の更新と認証の機能を提供することができます。
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設定例:
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account "foo" imaps server "imap.gmail.com"
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user "foo@gmail.com"
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pass $(mailctl access foo@gmail.com)
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oauthbearer
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アクセストークンの更新はユーザーから見えないようにバックグラウンドで自動的に行われます。
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'''mailctl'' は AUR からバイナリパッケージとして入手できます: {{AUR|mailctl-bin}}
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=== cron からの実行 ===
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上記の例はインタラクティブに使用する分には問題ありませんが、cron ジョブから使用する場合は少し複雑です。
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というのも、呼び出されるプログラムのいくつかは、特定の環境を期待することがあるからです。
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ラッパー・スクリプトを使用し、必要な環境変数をエクスポートすることで、この問題を回避することができます。
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ここでは、そのようなスクリプトのためのいくつかのトリックを紹介します。
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...
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# パス
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export PASSWORD_STORE_DIR=~/.local/var/password-store
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# gnome のキーリングを使用する場合
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# secret-tool はこの2つの envar が必要です
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# そこで、このスクリプトが cron ジョブで実行されるために、それらを偽造します。
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export DISPLAY=${DISPLAY:-:0}
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export DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS=${DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS:-unix:path=/run/user/$UID/bus}
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== テスト ==
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設定が上手くいったら、fdm を手動で実行してメールを取得してみてください:
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$ fdm -kv fetch
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エラーがあった場合、サーバー上のメールには手を付けられません。出力を確認して設定通りに動作することをチェックしてください。お好きなメールリーダー (MUA) を開いて集配されたメールが読めることを確認しましょう。
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== 高度な使用方法 ==
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fdm のユーザビリティを向上させる補助機能。
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=== フィルタリングの追加 ===
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特定のアカウントからのメールを特定のメールボックスに保存したい場合、以下の行を {{ic|fdm.conf}} ファイルに追加します。上記の設定ファイルなら、{{ic|''bar@gmail.com''}} のメールを {{ic|''bar-mail''}} フォルダに振り分けたい場合、既存の "action" 行の下に以下を追加してください:
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action ''bar-deliver'' mbox "%h/mail/''bar-mail''"
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必要に応じて {{ic|mbox}} を {{ic|maildir}} に変更したり、パスを確かめて下さい。
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新しいアクションを有効にするために、既存の "match" 行の前に追加を追加:
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match account ''bar'' action ''bar-deliver''
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これで {{ic|''bar@gmail.com''}} 宛の全てのメールが {{ic|''bar-mail''}} メールフォルダに行くようになります。
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=== 自動化 ===
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fdm はデーモンとして動作しないので、メールの時間指定は [[cron]] や [[systemd/タイマー|systemd タイマー]] のようなジョブスケジューラに任されています。
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このセクションでは、その両方の実装を紹介します。
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==== cron による自動化 ====
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すべてのアカウントから 15 分ごとにメールを取得して並べ替え、一致するすべてのログをローカル ファイルに追加します。:
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{{hc|$ crontab -e|
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...
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*/15 * * * * fdm fetch >> $HOME/[Mm]ail/fdm.log
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}}
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==== systemd タイマー ====
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ローカル ユーザーがすべてのアカウントからメールを取得して並べ替えるように fdm サービスをセットアップします。:
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{{hc|${XDG_CONFIG_HOME:-$HOME/.config}/systemd/user/fdm.service|<nowiki>
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[Unit]
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Description=Fetch mail using fdm
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After=network.target network-online.target dbus.socket
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Documentation=man:fdm(1)
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[Service]
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Type=oneshot
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ExecStart=/usr/bin/fdm fetch
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</nowiki>}}
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次に、15 分ごとにサービスを実行するようにタイマーを設定します。:
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{{hc|${XDG_CONFIG_HOME:-$HOME/.config}/systemd/user/fdm.timer|<nowiki>
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[Unit]
  +
Description=Fetch mail using fdm
  +
  +
[Timer]
  +
# Uncomment to run the service two minutes after booting
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# OnBootSec=2m
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OnUnitActiveSec=15m
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Persistent=true
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  +
[Install]
  +
WantedBy=timers.target
  +
</nowiki>}}
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  +
最後にユーザーユニット {{ic|fdm.timer}} を [[起動/有効化]] します。
  +
  +
== 参照 ==
  +
  +
*[https://github.com/nicm/fdm fdm の公式サイト (github)]
  +
*[https://lists.sourceforge.net/lists/listinfo/fdm-users fdm-users メーリングリスト]

2022年11月18日 (金) 02:49時点における最新版

関連記事

fdm (fetch and deliver mail) はメールを取得・フィルタリングするシンプルなプログラムです。同じ用途で使われる他のプログラムと比べて、Mutt と同じような設計思想で作られています。

インストール

fdm パッケージをインストールしてください。

設定

fdm は設定ファイルを通じて構成できます。 デフォルトは ~/.fdm.conf または /etc/fdm.conf 存在しない場合 詳細については、マニュアル ページ fdm(1)fdm.conf(5)、および /usr/share/doc/fdm-git/MANUAL を見てください。

mbox

Alpine は mbox フォーマットを使用するため、複数のファイルを作成する必要があります:

$ cd
$ mkdir mail
$ touch mail/INBOX .fdm.conf 
$ chmod 600 .fdm.conf mail/INBOX

maildir

Mutt は大文字のメールディレクトリを使用し、maildir フォーマットを使うことができます。Mutt を使う場合は以下のようにセットアップしてください:

$ cd
$ touch .fdm.conf; chmod 600 .fdm.conf
$ mkdir -p Mail/INBOX/{new,cur,tmp}

最終設定

.fdm.conf を編集して、メールアカウントと基本的なフィルタールールを追加してください。mbox か maildir のどちらかを使います。

## .fdm.conf
## Accounts and rules for:
#> foo@example.com
#> bar@gmail.com
## Last edit 21-Dec-09

# Catch-all action (mbox):
action "inbox" mbox "%h/mail/INBOX"
# Catch-all action (maildir):
# action "inbox" maildir "%h/Mail/INBOX"

account "foo" imaps server "imap.example.com"
	user "foo@example.com" pass "supersecret"

account "bar" imaps server "imap.gmail.com"
        user "bar@gmail.com" pass "evenmoresecret"

# Match all mail and deliver using the 'inbox' action.
match all action "inbox"

上記の設定で、設定したアカウントからメールが INBOX フォルダに集配されます。他のタイプのメールサーバー (例: POP3) に接続する方法は fdm(1) の man ページを参照してください。

ヒント: .netrc ファイルでログイン名とパスワードを指定することもできます。

パスワードマネジメント

メールアカウントのパスワードは、設定ファイルにプレーンテキストで保存するか、シェルコマンドでパスワードマネージャーやキーリングから要求することができます。$(cmd ...) 方式

パスワードマネージャーの使用

以下は、passを使った例です。

account "foo" imaps server "imap.example.com"
	user "foo@example.com" pass $(pass foo-email-entry | head -1)

Gmail の OAuth2 認証

fdm は OAuth2 アクセストークンを使用することができ、gmail でも使用することができますが、OAuth2 認証情報の更新や認証の機能が欠けています。包括的な解決策としては、mailctl ユーティリティを使用することで、IMAP/SMTP クライアントに OAuth2 認証情報の更新と認証の機能を提供することができます。

設定例:

account "foo" imaps server "imap.gmail.com"
  user "foo@gmail.com"
  pass $(mailctl access foo@gmail.com)
  oauthbearer

アクセストークンの更新はユーザーから見えないようにバックグラウンドで自動的に行われます。 'mailctl は AUR からバイナリパッケージとして入手できます: mailctl-binAUR

cron からの実行

上記の例はインタラクティブに使用する分には問題ありませんが、cron ジョブから使用する場合は少し複雑です。 というのも、呼び出されるプログラムのいくつかは、特定の環境を期待することがあるからです。 ラッパー・スクリプトを使用し、必要な環境変数をエクスポートすることで、この問題を回避することができます。 ここでは、そのようなスクリプトのためのいくつかのトリックを紹介します。

...
# パス
export PASSWORD_STORE_DIR=~/.local/var/password-store
...
# gnome のキーリングを使用する場合
# secret-tool はこの2つの envar が必要です
# そこで、このスクリプトが cron ジョブで実行されるために、それらを偽造します。
export DISPLAY=${DISPLAY:-:0}
export DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS=${DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS:-unix:path=/run/user/$UID/bus}
...

テスト

設定が上手くいったら、fdm を手動で実行してメールを取得してみてください:

$ fdm -kv fetch

エラーがあった場合、サーバー上のメールには手を付けられません。出力を確認して設定通りに動作することをチェックしてください。お好きなメールリーダー (MUA) を開いて集配されたメールが読めることを確認しましょう。

高度な使用方法

fdm のユーザビリティを向上させる補助機能。

フィルタリングの追加

特定のアカウントからのメールを特定のメールボックスに保存したい場合、以下の行を fdm.conf ファイルに追加します。上記の設定ファイルなら、bar@gmail.com のメールを bar-mail フォルダに振り分けたい場合、既存の "action" 行の下に以下を追加してください:

action bar-deliver mbox "%h/mail/bar-mail"

必要に応じて mboxmaildir に変更したり、パスを確かめて下さい。

新しいアクションを有効にするために、既存の "match" 行の前に追加を追加:

match account bar action bar-deliver

これで bar@gmail.com 宛の全てのメールが bar-mail メールフォルダに行くようになります。

自動化

fdm はデーモンとして動作しないので、メールの時間指定は cronsystemd タイマー のようなジョブスケジューラに任されています。 このセクションでは、その両方の実装を紹介します。

cron による自動化

すべてのアカウントから 15 分ごとにメールを取得して並べ替え、一致するすべてのログをローカル ファイルに追加します。:

$ crontab -e
...
*/15 * * * * fdm fetch >> $HOME/[Mm]ail/fdm.log

systemd タイマー

ローカル ユーザーがすべてのアカウントからメールを取得して並べ替えるように fdm サービスをセットアップします。:

${XDG_CONFIG_HOME:-$HOME/.config}/systemd/user/fdm.service
[Unit]

Description=Fetch mail using fdm
After=network.target network-online.target dbus.socket
Documentation=man:fdm(1)

[Service]
Type=oneshot
ExecStart=/usr/bin/fdm fetch

次に、15 分ごとにサービスを実行するようにタイマーを設定します。:

${XDG_CONFIG_HOME:-$HOME/.config}/systemd/user/fdm.timer
[Unit]
Description=Fetch mail using fdm

[Timer]
# Uncomment to run the service two minutes after booting
# OnBootSec=2m
OnUnitActiveSec=15m
Persistent=true

[Install]
WantedBy=timers.target

最後にユーザーユニット fdm.timer起動/有効化 します。

参照