ネットワーク設定

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関連記事

この記事では OSI レイヤ 3 (ネットワーク層) 以上のネットワーク設定を行う方法について説明しています。媒体固有の情報は ネットワーク設定/イーサネットネットワーク設定/ワイヤレス で扱っています。

接続の確認

ネットワーク接続のトラブルシューティングを行うには、以下の条件を調べ、満たしていることを確認します。

  1. あなたの ネットワークインターフェイス がリストアップされ、有効になっていること。そうでなければ、デバイスドライバを確認してください - ネットワーク設定/イーサネット#デバイスドライバ または ネットワーク設定/ワイヤレス#デバイスドライバ を参照してください。
  2. ネットワークに接続されている。ケーブルが接続されているか、無線LAN に接続されている。
  3. あなたのネットワークインターフェースには IP アドレスがある。
  4. ルーティングテーブル が正しく設定されている。
  5. ローカル IP アドレス (例えばデフォルトゲートウェイ) を ping することができる。
  6. 公開 IP アドレス(例えば 9.9.9.9 は Quad9 の DNS サーバで、テストに便利なアドレスです) を ping することも可能です。
  7. ドメイン名を解決ができるか確認 (例: archlinux.org)

Ping

ping は、ホストに到達できるかどうかをテストする際に用いられます。

$ ping www.example.com
PING www.example.com (93.184.216.34) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=1 ttl=56 time=11.632 ms
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=2 ttl=56 time=11.726 ms
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=3 ttl=56 time=10.683 ms
...

ホストからの応答を受け取るたびに、ping ユーティリティは上記のような行を出力します。これは、ユーザが実行をインタラクティブに中断(Ctrl+c を押す)するまで続きます。さらなる情報は ping(8) マニュアルを見てください。また、コンピュータは ICMP エコーリクエストに応答しないように設定されている可能性があることに注意してください。[1]

エラーメッセージを受け取った、または応答がなかった場合(ping エラー表示 を見てください)、不完全な設定やデフォルトゲートウェイ、インターネットサービスプロバイダ(ISP)と関連がある場合があります。traceroute を実行することで、ホストまでの経路をさらに診断することができます。

ネットワーク管理

ネットワーク接続の設定を行うには、以下の手順を踏んでください:

  1. ネットワークインターフェイスが表示されている、かつ有効化されていることを確認する。
  2. ネットワークに接続する。Ethernet ケーブルを接続するか、ワイヤレス LAN に接続してください。
  3. ネットワーク接続を設定する:
ノート: インストールイメージでは以下が使用されています:

手動

iproute2

iproute2base メタパッケージの依存パッケージで、ip(8) コマンドラインインターフェイスを提供します。ip(8)ネットワークインターフェイスIP アドレスルーティングテーブルの管理に使用されます。ip を使用して行った設定は再起動すると失われることに注意してください。設定の永続化は、スクリプトや systemd ユニットを使って ip コマンドを自動化したりすることで可能です。また、ip コマンドでは一般に略式記法を使うことができますが、この記事では分かりやすくするために略さずに明記します。

ノート: Arch Linux は net-tools を非推奨としており、代わりに iproute2 を使うことを推奨しています。[2] Deprecated Linux networking commands and their replacements も参照してください。

固定 IP アドレス

固定 IP アドレスはほとんどの標準的なネットワークマネージャdhcpcdを使って設定できます。

手動で固定 IP アドレスを設定するには、#IP アドレスで説明されているように IP アドレスを追加し、ルーティングテーブルをセットアップし、DNS サーバを設定してください。

IP アドレス

IP アドレスip-address(8) を使って管理します。

IP アドレスを一覧表示するには:

$ ip address show

IP アドレスをインターフェイスに追加するには:

# ip address add address/prefix_len broadcast + dev interface
注意:
ノート: 手動で割り当てた IP アドレスが DHCP により割り当てたものと衝突しないことを確認してください。

IP アドレスをインターフェイスから削除するには:

# ip address del address/prefix_len dev interface

条件に一致するすべてのアドレスを削除するには(例: 特定のインターフェイスの IP アドレス):

# ip address flush dev interface
ヒント: IPv4 アドレスは ipcalc(パッケージ: ipcalc) で計算できます。

ルーティングテーブル

ルーティングテーブルは、ある IP アドレスに直接到達できるか、どのゲートウェイ(ルータ)を使用すべきかを判断するのに使用します。IP アドレスと合致するルートが存在しない場合、デフォルトゲートウェイが使用されます。

ルーティングテーブルは ip-route(8) を使用して管理します。

PREFIX は CIDR 表記であるか、デフォルトゲートウェイに対しては default です。

IPv4 ルートを一覧表示するには:

$ ip route show

IPv6 ルートを一覧表示するには:

$ ip -6 route show

ルートを追加するには:

# ip route add PREFIX via address dev interface

ルートを削除するには:

# ip route del PREFIX via address dev interface

自動

自動的なネットワーク設定は、Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP) を用いることで可能になります。ネットワークの DHCP サーバは、IP アドレス、デフォルトゲートウェイの IP アドレスを提供し、さらにオプションで DHCP クライアントからリクエストが送られたときには DNS ネームサーバも提供します。

DHCP サーバの比較表は ルーター#DNS と DHCP を見てください。

ネットワークマネージャ

ネットワークマネージャは、ネットワークプロファイルと呼ばれるものを使ってネットワーク接続の設定を管理して、ネットワークの切り替えを容易にします。

ヒント: DHCPv4 サーバが実行中かどうかは dhcping で確認できます。
ノート: 各ネットワークインターフェイスは、ただ一つの DHCP クライアントかネットワークマネージャのみによって管理されるべきです。なので、システム上でただ一つの DHCP クライアントかネットワークマネージャだけを実行することが推奨されます。
ソフトウェア 接続タイプ ワイヤレス認証 IP アドレス、ルート (route)、そして DNS の管理 インターフェイス
イーサネット PPPoE モバイルブロードバンド WPA/WPA2 WPA3 固定 IP DHCP クライアント ドメイン名前解決 CLI TUI GUI
dhclient1 Yes No No No2 Yes 内蔵 Yes (/etc/resolv.conf に書き込み) No No No
dhcpcd Yes No No wpa_supplicant を起動3 Yes 内蔵 Yes (resolvconf を使用、または /etc/resolv.conf に書き込み) No No dhcpcd-uiAUR
ConnMan Yes [リンク切れ 2023-10-29] No Yes (ofonoAUR によって) Yes (wpa_supplicant または iwd によって) Yes 内蔵 Yes (内蔵のリゾルバを実行し、/etc/resolv.conf に書き込み) connmanctl(1) Yes Yes
netctl Yes Yes (ppp によって) Yes (ppp によって) Yes (wpa_supplicant によって) No Yes dhcpcd または dhclient Yes (resolvconf を使用) netctl(1) wifi-menu(1)4 No
NetworkManager Yes Yes (rp-pppoe によって) Yes (modemmanager によって) Yes (wpa_supplicant または iwd によって) Yes 内蔵、dhclientdhcpcd5 のいずれかによって Yes (systemd-resolvedresolvconf を使用、または /etc/resolv.conf に書き込み) nmcli(1) nmtui(1) Yes
systemd-networkd Yes No No No2 Yes 内蔵 Yes (systemd-resolved を使用) networkctl(1) No No
wpa_supplicant IEEE 802.1X No No Yes Yes No wpa_cli(8) No wpa_supplicant_guiAUR
iwd IEEE 802.1X No No Yes Yes Yes 内蔵 Yes (systemd-resolved または resolvconf を使用) iwctl(1) No iwgtkAUR
  1. 2022 初頭の時点ではもはやメンテナンスされていません。ISC は本番環境で使用することを推奨していません。
  2. ワイヤレス認証は wpa_supplicant または iwd によって別に設定することができます。
  3. ワイヤレス認証は wpa_supplicant によって別に設定しなければなりません。
  4. Wi-Fi 接続のみを管理できます。
  5. NetworkManager は DHCPv6 に dhcpcd を使用しません。NetworkManager#DHCP クライアント を参照してください。

ネットワークインターフェイス

デフォルトでは udevPredictable Network Interface Names を使用してネットワークインターフェイスコントローラに名前を割り当てます。インターフェイス名のプレフィックスは、en (有線/Ethernet)、wl (無線/WLAN)、ww (モバイルブロードバンド/WWAN) となります。systemd.net-naming-scheme(7) を参照してください。

ヒント: インターフェイス名を変更するには、#インターフェイス名の変更#伝統的なインターフェイス名に戻す を見てください。

ネットワークインターフェイスを表示

有線インターフェイスと無線インターフェイスの両方の名前は ls /sys/class/netip link で見つけることができます。lo仮想ループバックインターフェイスであり、ネットワーク接続の際には使用されないことに注意してください。

無線デバイス名は iw dev を使用することでも取得できます。ネットワーク設定/ワイヤレス#インターフェイス名の取得も参照してください。

使用中のネットワークインターフェイスが表示されない場合、デバイスドライバが正しくロードされていることを確認してください。ネットワーク設定/イーサネット#デバイスドライバネットワーク設定/ワイヤレス#デバイスドライバ を参照してください。

ネットワークインターフェイスを有効化/無効化

ネットワークインターフェイスは ip link set interface up|down を使用することで有効化/無効化できます。ip-link(8) を参照してください。

インターフェイス enp2s0 の状態を確認するには:

$ ip link show dev enp2s0
2: enp2s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast master br0 state DOWN mode DEFAULT qlen 1000
...

<BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> の部分の UP はインターフェイスが立ち上がっていることを示しています。後ろにある state DOWN は関係ありません。

ノート: デフォルトルートが enp2s0 インターフェイスを使っている場合、インターフェイスを落とすとルートも削除されます。インターフェイスを再度立ち上げてもデフォルトルートは自動的には再確立されません。再確立する方法は #ルーティングテーブル を参照。

インターフェイス名の変更

ノート: 命名規則を変更した際には、すべてのネットワーク関連の設定ファイルとカスタムの systemd ユニットファイルを更新し、変更を反映させることを忘れないでください。

systemd.link(5) ファイルで名前を手動で定義してデバイス名を変更することができます。例:

/etc/systemd/network/10-net0.link
[Match]
PermanentMACAddress=aa:bb:cc:dd:ee:ff

[Link]
Name=net0

あるいは、udev ルールを使うこともできます:

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTR{address}=="aa:bb:cc:dd:ee:ff", NAME="net0"

上記のルールは起動時に自動的に適用されます。即座に変更を適用するには、net サブシステムの udev ルールを手動でトリガーしてください:

# udevadm trigger --verbose --subsystem-match=net --action=add

加えた変更をテストしたい場合、udevadm --debug test /sys/class/net/* が役立つでしょう。

ノート:
  • Name の優先順位は NamePolicy よりも低いです。なので、後者が設定されていない/空であるようにするか、名前が変更されないようにしてください。99-default.linkNamePolicy を設定するので、これの前にカスタムの設定が来るようにしなければなりません (つまり、数字の接頭辞を持つということ)。
  • ネットワークインターフェイスの名前を変更する前に、そのインターフェイスを落しておかなければなりません。 [3]
  • 各カードの MAC アドレスを得るには、ip link を実行してください。
  • udev ルールでは小文字の16進数を使用してください。大文字ではいけません。

ネットワークカードの MAC アドレスが動的である場合は、Path を使用できます (Pathnetworkctl status interface_name で確認できます):

/etc/systemd/network/10-net1.link
[Match]
Path=pci-0000:01:00.0

[Link]
Name=net1

あるいは、udev で DEVPATH を使用できます:

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
SUBSYSTEM=="net", DEVPATH=="/devices/pci*/*1c.0/*/net/*", NAME="net1"

現在接続されているすべてのデバイスの DEVPATH を取得するには、/sys/class/net/ 内のシンボリックリンクがどこにリンクされているかを見てください。例:

$ file /sys/class/net/*
/sys/class/net/enp0s20f0u4u1: symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:14.0/usb2/2-4/2-4.1/2-4.1:1.0/net/enp0s20f0u4u1
/sys/class/net/enp0s31f6:     symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:1f.6/net/enp0s31f6
/sys/class/net/lo:            symbolic link to ../../devices/virtual/net/lo
/sys/class/net/wlp4s0:        symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:1c.6/0000:04:00.0/net/wlp4s0

ルールは起動時に複数回実行されることがあるので、デバイスのパスは新しいデバイス名と古いデバイス名両方にマッチする必要があります。例えば、与えられたルールで、"/devices/pci*/*1c.0/*/net/en*" と設定すると困ったことになります。名前が net1 に変更されるとマッチしなくなるからです。システムのデフォルトルールだけが再度適用され、名前がに戻ってしまいます。

動的 MAC アドレスのある USB ネットワークデバイス (例: Android phone テザリング) を使用していて、異なる USB ポートを使えるようにしたい場合、ベンダ ID やモデル ID とマッチするルールを代わりに使用することができます:

/etc/systemd/network/20-net2.link
[Match]
Property=ID_VENDOR_ID=12ab ID_MODEL_ID=3cd4

[Link]
Name=net2

または

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTRS{idVendor}=="12ab", ATTRS{idProduct}=="3cd4", NAME="net2"
ノート: 固定の名前を付けるときに "ethX" や "wlanX" というような名前を使ってはいけません、起動時にカーネルと udev で競合状態が発生する可能性があります。代わりに、カーネルではデフォルトで使われないインターフェイス名を使うと良いでしょう、例: net0, net1, wifi0, wifi1。詳細は systemd のドキュメントを参照してください。

伝統的なインターフェイス名に戻す

eth0 のような伝統的なインターフェイス名に戻したい場合、udev の net_setup_link ビルトインの NamePolicy のデフォルトを変更することで Predictable Network Interface Names を無効化できます:

/etc/systemd/network/99-default.link.d/traditional-naming.conf
[Link]
NamePolicy=keep kernel

または、net_setup_link を完全に無効化することもできます。対応する udev ルールをマスクするか:

# ln -s /dev/null /etc/udev/rules.d/80-net-setup-link.rules

あるいは、net.ifnames=0カーネルパラメータに追加してください。

ノート: systemd.link(5)net_setup_link が動作していることに頼っています。あなたが何をしているか理解していない限り、1つ目のやり方を優先してください。

MTU とキューの長さの設定

systemd.link(5) の設定で手動で定義することで、デバイスの MTU とキューの長さを変更することができます。例えば:

/etc/systemd/network/30-mtu.link
[Match]
Type=wlan

[Link]
MTUBytes=1500
TransmitQueueLength=2000

あるいは、udev ルールを使って:

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", KERNEL=="wl*", ATTR{mtu}="1500", ATTR{tx_queue_len}="2000"

MTUBytes: 1500 よりも大きい値を使用することで (ジャンボフレームと呼ばれます)、ネットワークの転送速度を大幅に増加させることができます。すべてのネットワークインターフェイス(ローカルネットワークのスイッチを含む)が、ジャンボフレームを使うために同じ MTU をサポートしなければならないことに注意してください。PPPoE の場合、MTU は 1492 よりも大きくするべきではありません。MTU は systemd.netdev(5) によっても設定することができます。

TransmitQueueLength: モデルリンクや ISDN のような高レイテンシの低速デバイスでは小さい値。インターネット接続が高速で、大量のデータ転送を行うサーバでは大きい値が推奨されます。

ホスト名の設定

ホスト名とは、ネットワーク上でマシンを識別するために作られる唯一の(ユニークな)名前であり、/etc/hostname に設定します (詳しくは hostname(5)hostname(7) を参照)。このファイルにはシステムのドメイン名を含めることもできます。ホストネームを設定するには /etc/hostname編集し、yourhostname の1行を書いてください (実際にはあなたの好きな名前を使ってください):

/etc/hostname
yourhostname
ヒント: hostname の名称の付け方のアドバイスについては、RFC 1178 を見てください。

上記の方法の代わりに、hostnamectl(1) を使うこともできます:

# hostnamectl hostname yourhostname

hostname を一時的に設定するには、inetutilshostname(1) を使います (再起動するまで有効):

# hostname yourhostname

"pretty" hostname や他のマシンのメタデータを設定する方法は、machine-info(5) を参照してください。

ローカルネットワークのホストネーム解決

マシンがホストネームを使って LAN 内でアクセスできるようにするには、以下の方法を取ることができます:

  • LAN 内のすべてのデバイスの /etc/hosts ファイルを編集する、hosts(5) を見てください
  • ホストネームを解決する DNS サーバーをセットアップし、LAN のデバイスにそれを使用させる (例えば、DHCP を使う)
  • または、より簡単な方法を取る: ゼロコンフィグレーションネットワークサービスを使う:
    • NetBIOS によるホストネーム解決。Linux の Samba により提供されています。必要なのは nmb.service だけです。Windows や macOS、nmb が動作している Linux のコンピュータからマシンを見つけられるようになります。
    • mDNS によるホストネーム解決。nss_mdnsAvahi を使う(セットアップの詳細は Avahi#ホスト名の解決で)か、systemd-resolved を使うことにより可能です。macOS や、Avahi や systemd-resolved が動作している Linux のコンピュータがマシンを見つけられるようになります。古い Win32 API は mDNS をサポートしておらず、一部の古い Windows アプリケーションはデバイスにアクセスできない場合があります。

ヒントとテクニック

ボンディングまたは LAG

netctl#ボンディングsystemd-networkd#ワイヤード (有線) インターフェイスとワイヤレスインターフェイスのボンディングワイヤレスボンディング を見てください。

IP アドレスエイリアス

ひとつのネットワークインターフェースに複数の IP アドレスを加えることを IP エイリアスと呼びます。これをすることで、ネットワークのひとつのノードでネットワークに複数接続することができ、それぞれを別々に使うことができます。基本的に Web・FTP サーバーの仮想ホスティングや、サーバーの再構成 (他のマシンを更新しない、ネームサーバで有用) に使われます。

サンプル

iproute2 ツールを使って NIC のエイリアスを手動で設定するには次を実行:

$ ip addr add 192.168.1.10/24 dev enp1s0 label enp1s0:1

設定したエイリアスを削除するには:

$ ip addr del 192.168.1.10/24 dev enp1s0:1

サブネットへ向かうパケットはデフォルトでプライマリエイリアスを使います。送信先 IP がセカンダリエイリアスのサブネット内のものである場合は、送信元 IP がそれぞれに設定されます。複数の NIC が存在する場合を考えた場合、ip route でデフォルトルートを列挙することができます。

プロミスキャスモード

プロミスキャスモードを有効にすると (無線) NIC は受信したトラフィックを全て OS に転送します。反対に"ノーマルモード"では受信されるべきでないとき NIC はフレームをドロップします。プロミスキャスモードは高度なネットワークのトラブルシューティングやパケットスニッフィングなどのために使われます。

/etc/systemd/system/promiscuous@.service
[Unit]
Description=Set %i interface in promiscuous mode
After=network.target

[Service]
Type=oneshot
ExecStart=/usr/bin/ip link set dev %i promisc on
RemainAfterExit=yes

[Install]
WantedBy=multi-user.target

インターフェイス eth0 でプロミスキャスモードを有効にしたい場合、promiscuous@eth0.service有効化してください。

ソケットの調査

ss はネットワークポートを調査するユーティリティで、iproute2 パッケージの一部です。機能的には非推奨の netstat ユーティリティと似ています。

共通の利用方法は以下のようなものです:

すべての TCP ソケットをサービス名と共に表示する:

$ ss -at

すべての TCP ソケットをポート番号と共に表示する:

$ ss -atn

すべての UDP ソケットを表示する:

$ ss -au

さらなる情報は ss(8) を見てください。

トラブルシューティング

TCP ウィンドウスケーリングの問題

TCP パケットのヘッダには"ウィンドウ"値が含まれており、他のホストが返答として送信できるデータの量が示されています。この値は16ビットでしか表現できないので、ウィンドウサイズは最大 64 Kb です。TCP パケットはしばらくの間キャッシュに保存されますが (再度使われます)、メモリの量は(少なくとも昔は)限られているので、すぐに使いきってしまうことがあります。

1992年、利用できるメモリの量が大幅に増えるのにあわせて、この状態を改善するために RFC:1323: ウィンドウスケーリングが書かれました。全てのパケットに含まれている"ウィンドウ"の値を、スケールファクタ (Scale Factor) を定義することで、接続の初期段階で変更します。8ビットのスケールファクタなら、ウィンドウは 64Kb の32倍まで増やすことができます。

壊れたルーターやファイアウォールはスケールファクタを 0 に書き換えてしまうためホスト間での不和が発生します。Linux カーネル 2.6.17 ではスケールファクタを上げるための新しい算出方式が導入されましたが、それによってルーターやファイアウォールが壊れているときの影響が増え、極端に接続が遅かったり、全く接続できない状態が生まれています。

問題の診断方法

まず最初に問題をはっきりさせましょう: この問題は少々厄介です。ある条件下では、TCP 接続 (HTTP, FTP, ...) を全く使えないのに、他の条件では、特定の (ごく少数の) ホストとは通信できるというようなことが起こります。

この問題が発生していても、dmesg の出力に問題はなく、ログに異常は見られず、そして ip addr では通常状態だと報告されます。全てが問題ないように(表面上は)見えるわけです。

ウェブサイトが表示できないのに、ping は通る場合、この問題が発生している可能性は十分あるでしょう: ping は TCP の問題に影響されない ICMP を使っているためです。

Wireshark を使ってみてください。UDP と ICMP の接続は通るのに (ホストが海外の) TCP 接続は通らないはずです。

修復方法

悪い方法

無理やり修正する方法として、スケールファクタの計算に使われている tcp_rmem の値を変更することができます。ほとんどのホストではこれで問題ありませんが、全てのホストで上手く行くとは保証できません。特にホストが遠い場合に問題が起きやすいです。

# echo "4096 87380 174760" > /proc/sys/net/ipv4/tcp_rmem
良い方法

ウィンドウスケーリングを無効化してしまいます。ウィンドウスケーリングは TCP の素晴らしい機能なので、無効化してしまうのは忍びないですが、ルーターを修復できない場合は致し方ありません。ウィンドウスケーリングを無効化する方法は複数存在します。一番安牌の (ほとんどのカーネルで動作する) 方法としては /etc/sysctl.d/99-disable_window_scaling.conf に以下の行を追加してください (sysctl を参照):

net.ipv4.tcp_window_scaling = 0
最良の方法

この問題の原因はルーターやファイアウォールの動作がおかしいせいなので、それらを変えてしまいましょう。専用の DSL ルーターを使っている場合に問題になることがあるという報告もあります。

詳細

このセクションは LWN の記事 TCP window scaling and broken routers と Kernel Trap の記事 Window Scaling on the Internet. を基にしています。

また、LKML に関連するスレッドが複数存在します。

接続された2台目の PC がブリッジ LAN を利用できない

1台目の PC には2つの LAN があります。2台目の PC には1つの LAN があり、1台目の PC に接続されています。2台目の PC が、ブリッジインターフェイスのあとに LAN にアクセスできるようにしましょう:

# sysctl net.bridge.bridge-nf-filter-pppoe-tagged=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-filter-vlan-tagged=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-ip6tables=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-iptables=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-arptables=0

localhost がネットワーク上で解決される

nss-myhostname(8) は、(systemd によって提供され、/etc/nsswitch.conf でデフォルトで有効になっています) NSS モジュール は、localhost および IP アドレスへの localhost 名を解決します。ただし、一部のソフトウェアは代わりに /etc/hosts を直接読み取る場合があります。例については、[4] [5] を参照してください。

このようなソフトウェアがネットワーク経由で localhost を安全でない方法で解決しないようにするには、localhost のエントリを hosts(5) ファイルに追加します:

/etc/hosts
127.0.0.1        localhost
::1              localhost
ノート: FS#56684 で、この問題の影響を受けるソフトウェアを報告してください。これは、localhost エントリをデフォルトの /etc/hosts に追加するのに役立つ場合があります。

localhost を解決できるようにするには、さらに hosts(5) ファイルに追加します:

/etc/hosts
127.0.0.1        localhost
::1              localhost
127.0.1.1        yourhostname

永続的な IP アドレスを持つシステムの場合、127.0.1.1 をその永続的な IP アドレスに置き換えます。Fully Qualified Domain Name を持つシステムの場合、ホスト名の前に Fully Qualified Domain Name を挿入します (次のリンクを参照 理由) 例えば:

/etc/hosts
127.0.0.1        localhost
::1              localhost
203.0.113.45     host1.fqdomain.example host1
ノート: /etc/hosts 内の IP アドレスに続くホスト名/エイリアスの順序は重要です。最初の文字列は正規のホスト名と見なされ、ドメインコンポーネントがドットで区切られた親ドメインが追加される場合があります。同じ行にある次の文字列はすべてエイリアスと見なされます。詳しくは hosts(5) をご覧ください。

その結果、システムは両方のエントリに解決されます:

$ getent hosts
127.0.0.1       localhost
127.0.0.1       localhost
127.0.1.1       yourhostname

参照

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