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2019年3月1日 (金) 01:05時点における版
Rsnapshot は差分バックアップを行うためのオープンソースユーティリティです。
目次
インストール
公式リポジトリから rsnapshot をインストールしてください。
設定
インストール時に、設定ファイルが作成されます。ファイルを再設定するときに備えて、設定ファイルはバックアップを作成することを推奨します。
# cp /etc/rsnapshot.conf /etc/rsnapshot.conf.default
/etc/rsnapshot.conf
ファイルには豊富にコメントが付いており見ればすぐに設定することができます。様々なオプションの完全なリファレンスが見たいときは、rsnapshot の man ページを読んでください。
ルートディレクトリ
ファイルシステムのバックアップを保存したいディレクトリを選択してください。以下の例ではバックアップを /mnt/backups/
に保存しています。
/etc/rsnapshot.conf
# All snapshots will be stored under this root directory. # snapshot_root /mnt/backups/
外部プログラムの依存関係
unix コマンド cp
, du
, ssh
(遠隔バックアップをする場合), rsnapshot-diff
などのパスを指定している行をアンコメントしてください。ファイルのこのセクションは以下のようにします:
/etc/rsnapshot.conf
# LINUX USERS: Be sure to uncomment "cmd_cp". This gives you extra features. # EVERYONE ELSE: Leave "cmd_cp" commented out for compatibility. # # See the README file or the man page for more details. # cmd_cp /usr/bin/cp # uncomment this to use the rm program instead of the built-in perl routine. # cmd_rm /usr/bin/rm # rsync must be enabled for anything to work. This is the only command that # must be enabled. # cmd_rsync /usr/bin/rsync # Uncomment this to enable remote ssh backups over rsync. # cmd_ssh /usr/bin/ssh # Comment this out to disable syslog support. # cmd_logger /usr/bin/logger # Uncomment this to specify the path to "du" for disk usage checks. # If you have an older version of "du", you may also want to check the # "du_args" parameter below. # cmd_du /usr/bin/du # Uncomment this to specify the path to rsnapshot-diff. # cmd_rsnapshot_diff /usr/bin/rsnapshot-diff # Specify the path to a script (and any optional arguments) to run right # before rsnapshot syncs files # #cmd_preexec /path/to/preexec/script # Specify the path to a script (and any optional arguments) to run right # after rsnapshot syncs files # #cmd_postexec /path/to/postexec/script
前のバックアップの保存
Rsnapshot ではバックアップレベルに名前を付けて指定した数だけバックアップを保存することができます。
バックアップの保存を設定した場合、ファイルシステムから実際にファイルがバックアップされるのはリストの一番最初だけで、前のバックアップがローテートされます。後は前のバックアップがローテートされるだけで、リストの前のアイテムから作成された最古のバックアップから最新のバックアップが作成されます。そのため、設定ファイルのリストの順番はとても重要になります。
rsnapshot 設定ファイルのデフォルトの "BACKUP LEVELS / INTERVALS" セクションを置き換えて下さい:
/etc/rsnapshot.conf
retain hourly 24 retain daily 7 retain weekly 4 retain monthly 12
rsnapshot hourly
が呼ばれた時、新しいバックアップがファイルシステムから作成されて、<snapshot_root>/hourly.0/
に保存されます。後のバックアップは全てコマンドが実行される度に差分で作られます。したがって、<snapshot_root>/hourly.0
だったものは<snapshot_root>/hourly.23/
になります。そしてコマンドが次に実行されると、バックアップは削除されます。
rsnapshot daily
が呼ばれた時、<snapshot_root>/hourly.23/
バックアップから<snapshot_root>/daily.0/
が作成されます (バックアップが存在する不場合)。それ以外は、同じようにローテーションが行われます。
- 同じく、
rsnapshot weekly
が呼ばれた時、<snapshot_root>/daily.6/
バックアップから<snapshot_root>/weekly.0/
が作成されます。設定された retain のレベルだけ同じことが繰り返されます。
上記の設定なら、以下のように実行します:
rsnapshot hourly
毎時
rsnapshot daily
毎日
rsnapshot weekly
毎周
rsnapshot monthly
毎月
これにより、古いスナップショットで容量が食われるのを最小限に抑えつつ12ヶ月分ものバックアップを保存することが可能です。
上記と同じ設定で、毎日のバックアップだけを行いたい場合、hourly のバックアップレベルをコメントアウトしてください。リストの最初のアイテムじゃなくなれば rsnapshot daily
を呼び出しても何のファイルもバックアップされなくなります。
バックアップ
バックアップしたいファイルを rsnapshot に指定するセクションです。先に backup
パラメータを記述してから、バックアップしたいディレクトリのフルパスやネットワーク上のパスを続けてください。3番目のカラムにはバックアップを保存するスナップショットのルートからの相対パスを指定します。
/etc/rsnapshot.conf
############################### ### BACKUP POINTS / SCRIPTS ### ############################### # LOCALHOST backup /home/ localhost/
上記の例では、backup でバックアップ地点を指定しています。/home/
がスナップショットを取得するディレクトリのフルパスで、localhost/
が snapshot_root
の中に保存するディレクトリです。保存先ディレクトリに localhost という単語を使っているのはただの例です。localhost の代わりにサーバーの完全修飾ドメイン名を使うこともできます。複数のマシンのスナップショットを単一のバックアップ専用サーバーに保存する場合、ファイルがどのサーバーからのものなのかわかるようにマシンのホスト名をディレクトリ名として使うと良いでしょう。
リモート環境
ローカルのファイルシステムのフルパスを指定するだけでなく、SSH による rsync を使ってリモートマシンをバックアップすることも可能です。cmd_ssh
パラメータで ssh をインストール・有効化している場合、以下のようにパスを指定できます:
/etc/rsnapshot.conf
############################### ### BACKUP POINTS / SCRIPTS ### ############################### # example.com backup root@example.com:/etc/ example.com/
上記の設定で同じようにバックアップが取られますが、特別に考慮するべきことがいくつか存在します:
- example.com で ssh デーモンが動作している必要があります。
- 指定したリモートマシンのアカウントにアクセスできる必要があります。上記の例なら example.com の root ユーザーです。
- example.com の root ユーザー、公開鍵認証を有効にして、パスワードを入力しなくてもログインできるようにする必要があります。他のユーザーでバックアップを実行したい場合、root の代わりに他のユーザーをソースに指定してください (例: user@domain.com)。パスワードを入力しなくてもリモートログインできるようにすることは、場合によってはセキュリティ上のリスクとなり得ます。バックアップサーバーへのアクセスは注意深く守るようにしてください。セットアップ方法の詳しい情報は、ssh の man ページや、ssh の公開鍵・秘密鍵を使用するチュートリアルを読んでください。rsnapshot のためだけというだけなく、セキュリティと利便性を高めることについて大抵は公開鍵認証は良い認証方法です。クライアントマシンに uid と gid を 0 に設定した別のユーザーを作成することでバックアップサーバーからの被害を抑えることができます。scponly などの制限的なシェルも存在します。
- ネットワークを介してバックアップが行われるので、速度は遅くなります。rsnapshot は rsync を使うので、最初のバックアップに最も時間がかかります。その後のバックアップについては、バックアップ元のデータの変更量によって、rsync はファイルの差異だけを送信するので、ずっと高速になるはずです。
特殊スクリプト
backup_script
行は特別な設定です。このパラメータを使う場合、2番目のカラムには実行するバックアップスクリプトのフルパスを、3番目のカラムにはバックアップを保存するローカルパスを指定します (それは backup
パラメータと同じです)。例:
/etc/rsnapshot.conf
backup_script /usr/local/bin/backup_mysql.sh localhost/mysql/
上記の例では、rsnapshot は一時ディレクトリをで /usr/local/bin/backup_mysql.sh
スクリプトを実行して、作成されたファイルをスナップショットルートの localhost/mysql/
ディレクトリに同期します。
バックアップスクリプトからはカレントディレクトリにバックアップするものを何でもダンプするだけです。必要なだけ、いくらでもファイルやディレクトリを作成できますが、あらかじめ定義したパスにバックアップするファイルを置くことはできません。rsnapshot は一時ディレクトリを作成して、そのディレクトリに移動してからバックアップスクリプトを実行し、そして一時ディレクトリの中身を3番目のカラムで指定したローカルパスに同期させるからです。バックアップスクリプトとしてはデータベースの中身をアーカイブ化するスクリプトが典型です。スクリプトは以下のようになります:
backup_mysql.sh
#!/bin/sh /usr/bin/mysqldump -uroot mydatabase > mydatabase.sql /bin/chmod 644 mydatabase.sql
設定のテスト
変更が全て完了したら、設定ファイルで正しく同期が行われるか確認してください。設定ファイルをテストするには、configtest 引数を付けて rsnapshot を実行します:
# rsnapshot configtest
設定が問題なければ、Syntax OK と出力されます。問題がある場合は、何が問題なのか出力します。設定ファイルが空白ではなくタブを使っていることなどを確認してください。
最後に rsnapshot をテストモードで実行して設定をテストします。実際にバックアップを行わないで、どんなことが行われるかの詳細なリストが出力されます。テストランを実行するには、次のコマンドを使用:
# rsnapshot -t hourly
上記のコマンドで rsnapshot は "hourly" バックアップをシミュレートします。実際に rsnapshot が実行されたときに rsnapshot が使用するのと同じコマンドが出力されます。
自動化
設定ファイルを設定したら、自動的に rsnapshot を実行するようにセットアップします。
まずサービスファイルを作成:
/etc/systemd/system/rsnapshot@.service
[Unit] Description=rsnapshot (%I) backup [Service] Type=oneshot Nice=19 IOSchedulingClass=3 ExecStart=/usr/bin/rsnapshot %I
次にサービスのタイマーファイルを作成:
/etc/systemd/system/rsnapshot-daily.timer
[Unit] Description=rsnapshot daily backup [Timer] # 14:30 is the clock time when to start it OnCalendar=14:30 Persistent=true Unit=rsnapshot@daily.service [Install] WantedBy=timers.target
最後にタイマーを有効化して実行:
# systemctl enable rsnapshot-daily.timer # systemctl start rsnapshot-daily.timer
手動でサービスを実行したいときは、以下を実行:
# systemctl start rsnapshot@hourly # or rsnapshot@daily, rsnapshot@weekly, ...
仕組み
スナップショットルートの下に全てのバックアップが保存されます。以下の例ではスナップショットルートは /mnt/backups/
ディレクトリです。このディレクトリの中に、先に定義した様々なインターバルのディレクトリが作成されます。初めは空ですが、rsnapshot を一週間実行し続けると、以下のようになります:
[root@localhost]# ls -l /mnt/backups/ drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 28 00:00 daily.0 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 27 00:00 daily.1 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 26 00:00 daily.2 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 25 00:00 daily.3 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 24 00:00 daily.4 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 23 00:00 daily.5 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 22 00:00 daily.6 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 29 00:00 hourly.0 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 28 20:00 hourly.1 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 28 16:00 hourly.2 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 28 12:00 hourly.3 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 28 08:00 hourly.4 drwxr-xr-x 7 root root 4096 Dec 28 04:00 hourly.5
各ディレクトリの中にはその時点での完全なバックアップが存在します。上記のディレクトリの下には backup
や backup_script
パラメータで指定したバックアップ先ディレクトリのパスが直接スタックします。例:
backup /etc/ localhost/
/etc/
ディレクトリはまず最初に /mnt/backups/hourly.0/localhost/etc/
にバックアップされます。その後 hourly コマンドで rsnapshot が実行されると、hourly.X
ディレクトリがローテートして、hourly.0
ディレクトリの中身は (ハードリンクを使って) hourly.1
にコピーされます。
rsnapshot daily が実行されると、全ての daily.X
ディレクトリがローテートして、hourly.5
の中身は daily.0
にコピーされます。
hourly.0
にはいつでも最新のスナップショットが保存され、daily.6
にはいつでも一週間前のスナップショットが保存されます。スナップショット間でファイルの変更が行わなかった場合、フルバックアップは同一のファイルのハードリンクとなります。従って、/etc/passwd
ファイルを一週間変更しなかったとき、hourly.0/localhost/etc/passwd
と daily.6/localhost/etc/passwd
は文字通り全く同じファイルになります。これによって rsnapshot は容量を節約することを可能にしています。ある時点でファイルが変更されると、次のバックアップでは hourly.0
のハードリンクが削除され、全く新しいファイルに置き換わります。こうなるとディスクの容量を二重に消費することになりますが、ファイルのコピーを13回にわたってそれぞれ別個に作成するよりかはずっと効率的です。
上記の例とは異なるインターバルを使う場合、ファイルシステムから直接更新が取得されるのはリストの最初のインターバルであることを覚えておいてください。後に記述した全てのインターバルは前のインターバルからバックアップを引き継ぎます。例えば、毎週・毎月・毎年のインターバルを (この順番で) 定義した場合、毎週のバックアップは直接ファイルシステムから取得され、毎月のバックアップは毎週のバックアップから更新され、毎年のバックアップは毎月のバックアップから更新されます。