「ビデオメモリにスワップ」の版間の差分
Kusanaginoturugi (トーク | 投稿記録) (Template:Translateme を追加) |
(→MTD カーネルサブシステム: セクションに記事の一部分を移動) |
||
12行目: | 12行目: | ||
* グラフィックドライバーが使用するメモリを設定しないと、スワップとして使われてるメモリにテクスチャを保存しようとして Xorg がクラッシュする可能性があります。ビデオメモリを上書きすることで出来るビデオドライバーを使用することで安定性が増します。}} |
* グラフィックドライバーが使用するメモリを設定しないと、スワップとして使われてるメモリにテクスチャを保存しようとして Xorg がクラッシュする可能性があります。ビデオメモリを上書きすることで出来るビデオドライバーを使用することで安定性が増します。}} |
||
+ | ==MTD カーネルサブシステム== |
||
− | ==メリット== |
||
+ | |||
+ | ===メリット=== |
||
グラフィックカードに搭載された GDDR SDRAM や DDR SDRAM はカーネルの MTD サブシステムを使うことでスワップとして利用することができます。専用のグラフィックメモリが 256 MB 以上存在してシステムメモリ (DDR SDRAM) の量が限られている場合、グラフィックメモリにスワップを設定する価値があります。 |
グラフィックカードに搭載された GDDR SDRAM や DDR SDRAM はカーネルの MTD サブシステムを使うことでスワップとして利用することができます。専用のグラフィックメモリが 256 MB 以上存在してシステムメモリ (DDR SDRAM) の量が限られている場合、グラフィックメモリにスワップを設定する価値があります。 |
||
{{Warning|Accelerated Graphics Bus (AGP) はレガシーなバスで帯域幅に制限があります。読み込み速度が 8 MB/s ほどになります。}} |
{{Warning|Accelerated Graphics Bus (AGP) はレガシーなバスで帯域幅に制限があります。読み込み速度が 8 MB/s ほどになります。}} |
||
− | ==カーネルの要件== |
+ | ===カーネルの要件=== |
メインラインカーネルの MTD はバージョン 2.6.23 から利用できます。 |
メインラインカーネルの MTD はバージョン 2.6.23 から利用できます。 |
||
− | ==事前設定== |
+ | ===事前設定=== |
MTD モジュールを有効にしたカーネルを実行している場合、ビデオカードのメモリに対応する PCI アドレスの領域を指定してモジュールをロードしてください。 |
MTD モジュールを有効にしたカーネルを実行している場合、ビデオカードのメモリに対応する PCI アドレスの領域を指定してモジュールをロードしてください。 |
||
55行目: | 57行目: | ||
上の値を使って、差を取ってスワップメモリに使用する容量を決定してください。通常の動作には 2^24 (32M) 残せば十分です。 |
上の値を使って、差を取ってスワップメモリに使用する容量を決定してください。通常の動作には 2^24 (32M) 残せば十分です。 |
||
− | ==セットアップ== |
+ | ===セットアップ=== |
モジュールをロード: |
モジュールをロード: |
||
{{hc|/etc/modules-load.d/vramswap.conf|<nowiki> |
{{hc|/etc/modules-load.d/vramswap.conf|<nowiki> |
||
slram |
slram |
||
mtdblock |
mtdblock |
||
− | </nowiki>}} |
+ | </nowiki>}} |
systemd サービス: |
systemd サービス: |
||
80行目: | 82行目: | ||
{{hc|/etc/modprobe.d/modprobe.conf|<nowiki>options slram map=VRAM,0xStartRange,+0xUsedAmount</nowiki>}} |
{{hc|/etc/modprobe.d/modprobe.conf|<nowiki>options slram map=VRAM,0xStartRange,+0xUsedAmount</nowiki>}} |
||
− | ===Xorg ドライバーの設定=== |
+ | ====Xorg ドライバーの設定==== |
X を安定化させるために、検出されているビデオメモリよりも少ないメモリしか使用しないようにビデオドライバーを設定する必要があります: |
X を安定化させるために、検出されているビデオメモリよりも少ないメモリしか使用しないようにビデオドライバーを設定する必要があります: |
||
93行目: | 95行目: | ||
{{Note|ドライバーによってはビデオメモリの値を MiB で指定します。man ページを参照してください。}} |
{{Note|ドライバーによってはビデオメモリの値を MiB で指定します。man ページを参照してください。}} |
||
− | ==トラブルシューティング== |
+ | ===トラブルシューティング=== |
以下のコマンドを使うことでディスクパーティションやフラッシュディスク、あるいはこのページのビデオメモリのように、様々な領域で使われているスワップを確認できます: |
以下のコマンドを使うことでディスクパーティションやフラッシュディスク、あるいはこのページのビデオメモリのように、様々な領域で使われているスワップを確認できます: |
||
$ swapon -s |
$ swapon -s |
||
− | ==参照== |
+ | ===参照=== |
* [http://www.linux-mtd.infradead.org MTD ウェブサイト] |
* [http://www.linux-mtd.infradead.org MTD ウェブサイト] |
2022年4月10日 (日) 15:14時点における版
関連記事
システムのスワップにビデオメモリを利用する方法の簡単な記事です。
目次
MTD カーネルサブシステム
メリット
グラフィックカードに搭載された GDDR SDRAM や DDR SDRAM はカーネルの MTD サブシステムを使うことでスワップとして利用することができます。専用のグラフィックメモリが 256 MB 以上存在してシステムメモリ (DDR SDRAM) の量が限られている場合、グラフィックメモリにスワップを設定する価値があります。
カーネルの要件
メインラインカーネルの MTD はバージョン 2.6.23 から利用できます。
事前設定
MTD モジュールを有効にしたカーネルを実行している場合、ビデオカードのメモリに対応する PCI アドレスの領域を指定してモジュールをロードしてください。
利用可能なメモリ領域を確認するには、以下のコマンドを実行して VGA compatible controller のセクションをチェックしてください:
$ lspci -vvv
01:00.0 VGA compatible controller: NVIDIA Corporation GK104 [GeForce GTX 670] (rev a1) (prog-if 00 [VGA controller]) Subsystem: ASUSTeK Computer Inc. Device 8405 Control: I/O+ Mem+ BusMaster+ SpecCycle- MemWINV- VGASnoop- ParErr- Stepping- SERR- FastB2B- DisINTx- Status: Cap+ 66MHz- UDF- FastB2B- ParErr- DEVSEL=fast >TAbort- <TAbort- <MAbort- >SERR- <PERR- INTx- Latency: 0 Interrupt: pin A routed to IRQ 57 Region 0: Memory at f5000000 (32-bit, non-prefetchable) [size=16M] Region 1: Memory at e8000000 (64-bit, prefetchable) [size=128M] Region 3: Memory at f0000000 (64-bit, prefetchable) [size=32M] Region 5: I/O ports at e000 [size=128] [virtual] Expansion ROM at f6000000 [disabled] [size=512K] Capabilities: <access denied> Kernel driver in use: nvidia Kernel modules: nouveau, nvidia
最も利用価値が高いのは prefetchable で64ビットで容量が一番大きな region です。
ビデオカードを機能させるにはメモリが多少必要なので、計算が必要です。オフセットは2の累乗で簡単に計算できます。グラフィックカードはアドレス領域の最初の部分をテクスチャなどに使います。この記事の冒頭で書いたように、2つのプログラムが同じセクタに書き込みを行うと、安定性に問題が生じます。
例: グラフィックメモリが合計で 256 MB ある場合、式は 2^28 になります (2の28乗)。グラフィックメモリに約 64 MB 残すとするとグラフィックメモリの中でスワップに使用する領域は 2^26 で計算されます。
上の値を使って、差を取ってスワップメモリに使用する容量を決定してください。通常の動作には 2^24 (32M) 残せば十分です。
セットアップ
モジュールをロード:
/etc/modules-load.d/vramswap.conf
slram mtdblock
systemd サービス:
/usr/lib/systemd/system/vramswap.service
[Unit] Description=Swap on Video RAM [Service] Type=oneshot ExecStart=/usr/bin/bash -c "mkswap /dev/mtdblock0 && swapon /dev/mtdblock0 -p 10" ExecStop=/usr/bin/bash -c "swapoff /dev/mtdblock0" RemainAfterExit=yes [Install] WantedBy=multi-user.target
以下を追加:
/etc/modprobe.d/modprobe.conf
options slram map=VRAM,0xStartRange,+0xUsedAmount
Xorg ドライバーの設定
X を安定化させるために、検出されているビデオメモリよりも少ないメモリしか使用しないようにビデオドライバーを設定する必要があります:
/etc/X11/xorg.conf.d/vramswap.conf
Section "Device" Driver "radeon" # or whichever other driver you use VideoRam 32768 #other stuff EndSection
上記の例ではグラフィックメモリの 32 MB だけを使用するように指定しています。
トラブルシューティング
以下のコマンドを使うことでディスクパーティションやフラッシュディスク、あるいはこのページのビデオメモリのように、様々な領域で使われているスワップを確認できます:
$ swapon -s