「コアダンプ」の版間の差分
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2023年1月10日 (火) 10:38時点における版
コアダンプとは突然プロセスが終了したときのプロセスのアドレス空間 (メモリ) を記録するファイルです。コアダンプは終了時に自動的に生成されるだけでなく、(デバッガなどによって) 必要に応じて生成される場合もあります。コアダンプはプログラムのクラッシュに対する反応としてカーネルによって引き起こされ、(systemd-coredump などの) ヘルパープログラムに渡されて処理されます。コアダンプは普通のユーザーにとってはあまり意味をなしませんが、開発者がユーザーにコアダンプの提出を要求することがあります。問題を再現することが難しいような場合、クラッシュ時のプログラムの状態を検死する手段としてコアダンプは有用です。
目次
自動的なコアダンプの無効化
コアダンプの自動生成を無効化する理由としては以下のようなことが考えられます:
- パフォーマンス: メモリの消費が激しいプロセスのコアダンプを生成するとき、システムリソースが浪費され、メモリの消去が遅延します。
- ディスク容量: 圧縮されない場合、コアダンプはメモリの使用量と同じ分だけ、あるいはそれ以上のディスク容量を消費します。
- セキュリティ: コアダンプは基本的に root しか読みことができないものですが、クラッシュの後にディスクに書き込まれた機密情報 (パスワードや暗号鍵など) が含まれている可能性があります。
sysctl を使う
sysctl を使って kernel.core_pattern
を設定することでコアダンプを無効化できます。以下のファイルを作成 [1]:
/usr/lib/sysctl.d/51-coredump-disable.conf
kernel.core_pattern=|/bin/false
設定をいますぐ適用するには systctl
を使用:
# sysctl -p /usr/lib/sysctl.d/51-coredump-disable.conf
systemd を使う
systemd はデフォルトで全てのプロセスのコアダンプを /var/lib/systemd/coredump
に生成します。/etc/systemd/coredump.conf.d/
ディレクトリに以下の内容で設定スニペットを作成することで生成しないようにすることが可能です [2][3]:
/etc/systemd/coredump.conf.d/custom.conf
[Coredump] Storage=none
それから systemd の設定をリロードしてください:
# systemctl daemon-reload
システム上にコアダンプを自動的に作成する他のプログラムが存在しなければ、上記の設定だけでユーザー空間のコアダンプを無効化できます。ただしメモリ上にコアダンプが生成され systemd-coredump が実行されるのは止まりません。
PAM limits を使う
PAM でログインしたユーザーの最大コアダンプサイズは limits.conf によって強制されます。これをゼロにすると、コアダンプが完全に無効になります。[4]
/etc/security/limits.conf
* hard core 0
ulimit を使う
コアダンプの上限容量は ulimit によって決まります。ulimit をゼロに設定すればコアダンプは完全に無効化されます [5]:
/etc/security/limits.conf
* hard core 0
コアダンプの作成
任意のプロセスでコアダンプを生成したい場合は、まず gdb パッケージをインストールしてください。そして実行しているプロセスの PID を確認してください。例えば pgrep を使って:
$ pgrep -f firefox
2071 firefox
確認されたプロセスにアタッチ:
$ gdb -p 2071
そして (gdb)
プロンプトで以下を実行:
(gdb) generate-core-file Saved corefile core.2071 (gdb) quit
上記の例では core.2071
という名前のコアダンプファイルが生成されています。
コアダンプの保存場所
sysctl の kernel.core_pattern
は自動的に生成されたコアダンプの保存場所を決定します:
$ cat /proc/sys/kernel/core_pattern |/usr/lib/systemd/systemd-coredump %p %u %g %s %t %e
/usr/lib/sysctl.d/50-coredump.conf
のデフォルト設定では、コアダンプはシステムログとして journald に全て送信されます。
journal からコアダンプを取得する方法は coredumpctl(1) を見てください。
コアダンプの確認
存在するダンプは coredumpctl を使って確認します:
# coredumpctl list
ダンプは一意に識別する必要があります。PID
や実行ファイルの名前、実行ファイルのパスや journalctl の述部で指定することができます (詳しくは coredumpctl(1)
や journalctl(1)
を参照)。コアダンプの詳細を確認するには:
# coredumpctl info match
"Signal" 列を注視することでクラッシュの原因の解明に役立ちます。gdb を使ってバックトレースを確認してさらに細かい解析をすることも可能です:
# coredumpctl gdb match
gdb を起動したら、bt
コマンドを使ってバックトレースを出力してください:
(gdb) bt
Examining a core dump
Use coredumpctl to find the corresponding dump:
# coredumpctl list
You need to uniquely identify the relevant dump. This is possible by specifying a PID
, name of the executable, path to the executable or a journalctl predicate (see coredumpctl(1) and journalctl(1) for details). To see details of the core dumps:
# coredumpctl info match
Pay attention to "Signal" row, that helps to identify crash cause. For deeper analysis you can examine the backtrace using gdb:
# coredumpctl gdb match
When gdb is started, use the bt
command to print the backtrace:
(gdb) bt
See Debugging/Getting traces if debugging symbols are requested, but not found.
参照
- american fuzzy lop - カーネルやプログラムのテストを自動化するツール
- Filesystem fuzzing - ファイルシステムのバグをテストする LWN の記事