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[[Wikipedia:ja:zswap|zswap]] は、スワップページ用の圧縮された RAM キャッシュを提供する、カーネルの機能です。ページをディスクにスワップアウトしてしまうのではなく、RAM 内のメモリプールに圧縮して保存します。プールが満タンになったり RAM が枯渇したりすると、最近使用されていない ([[Wikipedia:Cache replacement policies#Least recently_used (LRU)|LRU]]) ページを解凍して (まるでインターセプトされなかったかのように) ディスクに書き込みます。ページがスワップキャッシュへ解凍された後、プール内の圧縮された方を解放できます。 |
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[[Wikipedia:zswap|Wikipedia]] より: |
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:"Zswap はスワップされたページのライトバックキャッシュを圧縮する Linux カーネルの機能です。スワップアウトされたときにメモリページをスワップデバイスに移動する代わりに、zswap は圧縮を行なってシステムの RAM 内のメモリプールに動的に保存します。" |
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[[zram]] と異なる点は、''zram'' が補助スワップデバイスを必要としない RAM 内のスワップデバイスであるのに対し、zswap は[[スワップ]]デバイスと組み合わさって動作することです。 |
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== zswap を切り替える == |
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要するに、zswap を使用するには[[スワップ]]デバイスを設定する必要があるということです。 |
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すべての[[カーネル#公式サポートカーネル|公式にサポートされているカーネル]]で zswap はデフォルトで有効化されています。このことは、{{ic|zgrep CONFIG_ZSWAP_DEFAULT_ON /proc/config.gz}} を実行することで確認できます。 |
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==zswap の有効化== |
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以下のコマンドを root で実行することで zswap を有効化できます: |
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zswap を実行時に無効化するには、以下のコマンドを実行してください: |
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zswap.enabled=1 |
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{{Tip|{{pkg|systemd-swap}} パッケージを使って {{ic|/etc/systemd/swap.conf}} で zswap を有効化・[[#zswap のカスタマイズ|設定]]することもできます。}} |
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zswap を永続的に無効化するには、{{ic|1=zswap.enabled=0}} を[[カーネルパラメータ]]に追加してください。 |
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=== 現在のパラメータ === |
=== 現在のパラメータ === |
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zswap には、カスタマイズ可能なパラメーターがいくつかあります。現在の設定は、次を使用して表示できます: |
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{{hc|$ grep - |
{{hc|$ grep -r . /sys/module/zswap/parameters/| |
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/sys/module/zswap/parameters/same_filled_pages_enabled:Y |
/sys/module/zswap/parameters/same_filled_pages_enabled:Y |
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/sys/module/zswap/parameters/enabled:Y |
/sys/module/zswap/parameters/enabled:Y |
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/sys/module/zswap/parameters/max_pool_percent:20 |
/sys/module/zswap/parameters/max_pool_percent:20 |
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/sys/module/zswap/parameters/compressor: |
/sys/module/zswap/parameters/compressor:zstd |
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/sys/module/zswap/parameters/ |
/sys/module/zswap/parameters/non_same_filled_pages_enabled:Y |
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/sys/module/zswap/parameters/zpool:zsmalloc |
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/sys/module/zswap/parameters/accept_threshold_percent:90 |
/sys/module/zswap/parameters/accept_threshold_percent:90 |
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}} |
}} |
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様々なパラメーターの説明については、[https://docs.kernel.org/admin-guide/mm/zswap.html zswap のドキュメント]を参照してください。 |
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初期構成を示すブート時ロードメッセージは、次の |
初期構成を示すブート時ロードメッセージは、次のコマンドで取得できます: |
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{{hc| |
{{hc|# dmesg {{!}} grep zswap:| |
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[ 0.317569] zswap: loaded using pool |
[ 0.317569] zswap: loaded using pool zstd/zsmalloc |
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}} |
}} |
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=== パラメータ |
=== パラメータの設定 === |
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==== sysfsの使用 ==== |
==== sysfs の使用 ==== |
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# echo lz4 > /sys/module/zswap/parameters/compressor |
# echo lz4 > /sys/module/zswap/parameters/compressor |
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==== カーネルブートパラメータの使用 ==== |
==== カーネルブートパラメータの使用 ==== |
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パラメータの変更を永続化するには、対応するオプション |
パラメータの変更を永続化するには、対応するオプション (例えば {{ic|1=zswap.compressor=lz4}} など) をカーネルブートパラメータに追加する必要があります。したがって、上記のすべての設定を永続的に設定するには、次の[[カーネルパラメータ]]を追加する必要があります: |
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zswap.enabled=1 zswap.compressor=lz4 zswap.max_pool_percent=20 zswap.zpool=z3fold |
zswap.enabled=1 zswap.compressor=lz4 zswap.max_pool_percent=20 zswap.zpool=z3fold |
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ブートパラメータを介して圧縮アルゴリズムを変更する場合、対応する圧縮モジュールがブートの早い段階でロードされていることを確認する必要があります |
ブートパラメータを介して圧縮アルゴリズムを変更する場合、対応する圧縮モジュールがブートの早い段階でロードされていることを確認する必要があります ([[#圧縮アルゴリズム]] を参照)。 |
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==== systemd-swap の使用 ==== |
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''システムスワップ'' スクリプトを使っているものについては、ブートプロセスの後の段階で ''システム'' パラメータを、{{ic|/etc/systemd/swap.conf}} に保存されている [https://github.com/Nefelim4ag/systemd-swap/blob/master/swap-default.conf の設定] に基づいて変更します。 |
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=== 最大プールサイズ === |
=== 最大プールサイズ === |
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メモリプールは事前に割り当てられていません。使用可能な合計メモリのパーセンテージで特定の制限まで、デフォルトでは合計 RAM の最大20%まで拡張できます。 このしきい値に達すると、ページはプールからスワップデバイスに追い出されます。 |
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圧縮されたプールの最大サイズは、パラメーター {{ic|max_pool_percent}} で制御されます。 |
メモリプールは事前に割り当てられません。使用可能な合計メモリのパーセンテージによる特定の制限まで (デフォルトでは合計 RAM の最大20%まで) 拡張できます。このしきい値に達すると、ページはプールからスワップデバイスに追い出されます。圧縮されたプールの最大サイズは、パラメーター {{ic|max_pool_percent}} で制御されます。 |
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=== 圧縮メモリプールアロケータ === |
=== 圧縮メモリプールアロケータ === |
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{{Out of date|{{Pkg|linux}} 6.3.arch1-1+ では {{ic|1=CONFIG_ZSWAP_ZPOOL_DEFAULT="zsmalloc"}} が設定されています。[https://github.com/archlinux/svntogit-packages/commit/b14ac92f4d7fcb63c544efaf809b2c9f681a2c7b]}} |
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''zbud'' データアロケーターを使用すると、2つの圧縮オブジェクトが1ページに格納され、圧縮率が2以下に制限されます。 |
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=== 圧縮アルゴリズム === |
=== 圧縮アルゴリズム === |
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{{Out of date|{{Pkg|linux}} 6.3.arch1-1+ では {{ic|1=CONFIG_ZSWAP_COMPRESSOR_DEFAULT="zstd"}} が設定されています。[https://github.com/archlinux/svntogit-packages/commit/b14ac92f4d7fcb63c544efaf809b2c9f681a2c7b]}} |
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== 参照 == |
== 参照 == |
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* [https:// |
* [https://lore.kernel.org/lkml/1674223.HVFdAhB7u5@merkaba/ zswap: How to determine whether it is compressing swap pages?]。 |
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* [https://www.ibm.com/support/pages/new-linux-zswap-compression-functionality IBM Support 記事 "New Linux zswap compression functionality" (ベンチマーク画像がロードされず)]。 |
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* [https://lkml.org/lkml/2013/7/17/147 zswap: How to determine whether it is compressing swap pages?] |
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* [https://www.ibm.com/developerworks/community/blogs/fe313521-2e95-46f2-817d-44a4f27eba32/entry/new_linux_zswap_compression_functionality7?lang=en IBM Developer Works の記事 (ベンチマーク結果あり)] |
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* [https://lwn.net/Articles/537422/ zswap のメイン開発者による LWN.net 技術記事]。 |
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{{TranslationStatus|Zswap|2023-05-12|777755}} |
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2023年5月12日 (金) 20:47時点における版
関連記事
zswap は、スワップページ用の圧縮された RAM キャッシュを提供する、カーネルの機能です。ページをディスクにスワップアウトしてしまうのではなく、RAM 内のメモリプールに圧縮して保存します。プールが満タンになったり RAM が枯渇したりすると、最近使用されていない (LRU) ページを解凍して (まるでインターセプトされなかったかのように) ディスクに書き込みます。ページがスワップキャッシュへ解凍された後、プール内の圧縮された方を解放できます。
zram と異なる点は、zram が補助スワップデバイスを必要としない RAM 内のスワップデバイスであるのに対し、zswap はスワップデバイスと組み合わさって動作することです。
zswap を切り替える
すべての公式にサポートされているカーネルで zswap はデフォルトで有効化されています。このことは、zgrep CONFIG_ZSWAP_DEFAULT_ON /proc/config.gz を実行することで確認できます。
zswap を実行時に無効化するには、以下のコマンドを実行してください:
# echo 0 > /sys/module/zswap/parameters/enabled
zswap を永続的に無効化するには、zswap.enabled=0 をカーネルパラメータに追加してください。
zswap のカスタマイズ
現在のパラメータ
zswap には、カスタマイズ可能なパラメーターがいくつかあります。現在の設定は、次を使用して表示できます:
$ grep -r . /sys/module/zswap/parameters/
/sys/module/zswap/parameters/same_filled_pages_enabled:Y /sys/module/zswap/parameters/enabled:Y /sys/module/zswap/parameters/max_pool_percent:20 /sys/module/zswap/parameters/compressor:zstd /sys/module/zswap/parameters/non_same_filled_pages_enabled:Y /sys/module/zswap/parameters/zpool:zsmalloc /sys/module/zswap/parameters/accept_threshold_percent:90
様々なパラメーターの説明については、zswap のドキュメントを参照してください。
初期構成を示すブート時ロードメッセージは、次のコマンドで取得できます:
# dmesg | grep zswap:
[ 0.317569] zswap: loaded using pool zstd/zsmalloc
パラメータの設定
sysfs の使用
各設定は、sysfs インターフェースを介して実行中に変更できます。例えば、compressor パラメータを変更するには:
# echo lz4 > /sys/module/zswap/parameters/compressor
カーネルブートパラメータの使用
パラメータの変更を永続化するには、対応するオプション (例えば zswap.compressor=lz4 など) をカーネルブートパラメータに追加する必要があります。したがって、上記のすべての設定を永続的に設定するには、次のカーネルパラメータを追加する必要があります:
zswap.enabled=1 zswap.compressor=lz4 zswap.max_pool_percent=20 zswap.zpool=z3fold
ブートパラメータを介して圧縮アルゴリズムを変更する場合、対応する圧縮モジュールがブートの早い段階でロードされていることを確認する必要があります (#圧縮アルゴリズム を参照)。
最大プールサイズ
メモリプールは事前に割り当てられません。使用可能な合計メモリのパーセンテージによる特定の制限まで (デフォルトでは合計 RAM の最大20%まで) 拡張できます。このしきい値に達すると、ページはプールからスワップデバイスに追い出されます。圧縮されたプールの最大サイズは、パラメーター max_pool_percent で制御されます。
圧縮メモリプールアロケータ
zpool パラメータは圧縮メモリプールの管理を制御します。
zbud データアロケーターを使用すると、2つの圧縮オブジェクトが1ページに格納され、圧縮率が2以下に制限されます。
優れた z3fold アロケーターでは、ページごとに最大3つの圧縮オブジェクトを使用できます。z3fold の圧縮率は通常平均2.7ですが、zbud の圧縮率は1.7です。
タイプ z3fold の zpool がデフォルトで作成されます。カーネルパラメータ zswap.zpool を使用して、起動時に別のメソッドを選択してください。データアロケータは、sysfs インターフェースを介して後の段階で変更することもできます。
圧縮アルゴリズム
ページ圧縮の場合、zswap はカーネルの暗号化 API によって提供されるコンプレッサーモジュールを使用します。デフォルトでは lz4 圧縮アルゴリズムを使用しますが、これは起動時に zswap.compressor で変更できます。その他のオプションには、deflate、lz4hc、lzo、lzo-rle、842、zstd があります。
実行中に sysfs を使用して圧縮を変更することに問題はありませんが、この場合、 zswap は lz4 で開始し、後の段階で定義されたアルゴリズムに切り替わります。別のアルゴリズムで zswap をすぐに開始するには、これをカーネルのブートパラメータを介して設定し、対応するモジュールをカーネルによって早期にロードする必要があります。これは、次の手順に従って実行できます:
- 選んだコンプレッサーに関連するモジュールを mkinitcpio#MODULES 配列に追加する。
- mkinitcpio の設定を変更した後、RAM ディスク環境を再生成する。mkinitcpio#イメージ作成とアクティベーション を参照してください。
- カーネルパラメータ で
zswap.compressorをあなたの選んだアルゴリズムに設定します。
次回の起動時に、#現在のパラメータ を参照して、zswap が要求されたコンプレッサーを使用するかどうかを確認してください。