「Mkinitcpio/Initramfs の最小化」の版間の差分
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2023年6月27日 (火) 08:37時点における最新版
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この記事では、特定の既知で静的なハードウェア構成のシステムにおいて initramfs を最小化する方法について説明します。手順は、Falconindy (Dave Reisner) による Optimizing Bootup With mkinitcpio から引用しています。
目次
Udev の要件
initramfs イメージを自分で作成する最大のメリットは udev を排除できるということです。udev フックが initramfs イメージの大部分を占めています (LZ4 や LZOP で圧縮した場合で約 700 から 800 KiB、他の圧縮アルゴリズムの場合はより小さい)。起動時間が長くなる理由として、イメージのサイズが大きい (ので、解凍に時間がかかる) からというのもありますが、udev 自体の初期化に時間がかかるからというのもあります。しかし、udev が必須である場合があります。 例えば、UUID、LABEL、PARTUUID、PARTLABEL 識別子の解決 (回避策 without-udev フック) や、root パーティションを含む LVM と mdadm のデバイスのアセンブリなどです。udev が必要なのかどうかわからない場合は、#初期テストまで読み進めてください。udev がないとうまく行かない場合は、フックを再度有効にしてください。
また、大抵のキーボード (AT, PS/2, USB) は udev フックを必要としませんが、Logitech Unifying Receiver を使用する Logitech の USB デバイスは udev フックを必要とします。この時点で全てのイメージに udev を含めるか fallback イメージを使用するか選択できます。
udev が必要な場合、initramfs を最小化しようといくら努力してもおそらく無駄です。約 600 KiB までイメージの容量を小さくできるかもしれませんが、起動時間はほとんど変わらないでしょう。それでも学習経験としては価値があるかもしれません。
.preset ファイルの編集
Falconidy のチュートリアルでは /etc/mkinitcpio.conf を編集してから mkinitcpio -g を実行してテスト用の initramfs イメージを作成して、システム上の initramfs イメージには手を触れないようにしています。しかしながら、その後になって何も考えずに mkinitcpio -P を実行すると、fallback イメージも縮小化されてしまいます。
initramfs ファイルを自分で作成するときのより安全な方法として /etc/mkinitcpio.d の .preset ファイルを編集するというものがあります。以下の設定例では default を最小限の initramfs イメージとして扱い、新しい normal イメージは Arch のデフォルトと同じように作成します。何か問題が起こっても、normal や fallback イメージを使うことができます。問題がないようだったら、設定から normal_* 行を削除して initramfs-linux*-normal.img ファイルは消してかまいません。
...
PRESETS=('default' 'normal' 'fallback')
...
default_options="-S udev,block,mdadm_udev,filesystems,keyboard,fsck,consolefont"
...
#normal_config="/etc/mkinitcpio.conf"
normal_image="/boot/initramfs-linux-normal.img"
#normal_options=""
...
必要なモジュールの確認
どのモジュールが必要なのか確認する手っ取り早い方法は fallback initramfs イメージでシステムを再起動してブートローダーのカーネルパラメータに break=postmount を追加することです。これでルートファイルシステムがマウントされたときにコマンドラインが開かれるようになります。
システムを再起動できたら、以下のコマンドを実行して必要なモジュールを確認できます:
lsmod | awk 'NF==3{print $1}'
ロードされたモジュールを書き留め、exit と入力してブートを続行します。
または、パッケージ hwdetect をインストールして、このパッケージを使って必要なモジュールを特定します。メンテナンスされていませんが、貴重な情報を提供できます。また、ネイティブツールの使用方法については、カーネルモジュール を参照してください。
mkinitcpio.conf の初期編集
/etc/mkinitcpio.conf を編集して MODULES= 行を変更してください。/etc/mkinitcpio.conf は source されるので、MODULES 行は Bash スクリプトの変数のように書くことができます。
MODULES="" # filesystems MODULES+="" # storage MODULES+="" # keyboard MODULES+="" # miscellaneous
最後の miscellaneous 行に必要な全てのモジュールを追加してください。モジュールを分類したら、適切な行に配置してください。
root デバイスや /etc/fstab に設定されている他のマウントポイントのファイルシステムをチェックするバイナリも必要です。
- ext[2|3|4] デバイスの場合:
BINARIES="fsck fsck.ext[2|3|4] e2fsck"
- vfat (UEFI ブート) パーティションの場合:
BINARIES="fsck fsck.vfat dosfsck"
- btrfs シングルディスクデバイスの場合:
BINARIES="fsck fsck.btrfs btrfsck"
- btrfs マルチディスクデバイスの場合:
BINARIES="fsck fsck.btrfs btrfs btrfsck"
- xfs デバイスの場合:
BINARIES="fsck fsck.xfs xfs_repair"
初期テスト
/etc/mkinitcpio.conf を編集したら mkinitcpio -P を実行して全ての initramfs イメージを再生成してください。それから再起動を行ってください。
udev が必須になっていなければ問題なく起動するはずです。(Arch からルートパーティションが認識されなかったりキーボードが機能しないなど) 何かが問題が発生した場合、前に戻って default_options 行の -S パラメータから udev を削除してください。udev が必要だとわかった場合、起動時間を大幅に短縮することはできません。ここから先はあくまで学習になります。
モジュールの選別
問題なく起動できる initramfs ができたら、さらに initramfs を縮小してみましょう。少しずつモジュールを減らして、initramfs イメージを再生成、再起動して問題がないか確認してください。何か問題があったら、fallback initramfs イメージで再起動して削除したモジュールを戻してみて、ちゃんと起動できることを確認してください。モジュールが必要最低限のものだけになるまで試行錯誤してください。それが退屈な場合、以下のリストをみることで検討をつけることができるはずです。
ファイルシステムモジュール
ext[2,3,4]xfsjfsreiserfs
ストレージデバイスモジュール
sd_mod- SCSI, SATA, PATA (IDE) デバイスahci- 近代的な AHCI コントローラを使用する SATA デバイスnvmeとnvme_core- NVMe (M.2, PCI-E) デバイスsata_*- IDE モードのコントローラを使用する SATA デバイスpata_*- PATA (IDE) デバイスehci_pciとusb_storage- USB ストレージデバイスvirtio_blkとvirtio_pci- ストレージに VirtIO を使用する QEMU/KVM の仮想マシン
キーボードモジュール
atkbd- AT や PS/2 キーボード、QEMU/KVM でエミュレートされるキーボードhid_generic,ohci_pci,usbhid- 通常の USB キーボードhid_logitech_dj,uhci_hcd,usbhid- Logitech Unified Receiver を使用する Logitech USB キーボード (udevフックが必要)。
仕上げ
initramfs をスリム化できたら、.preset ファイルから normal_* 行は削除 (またはコメントアウト) して /boot から initramfs-linux*-normal.img ファイルを削除してください。