「HDR モニターのサポート」の版間の差分

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このページは、Linux における HDR モニターサポートの現状を紹介するガイドとなります。どのような課題があるのかをより理解するために、この記事の動画 [https://www.phoronix.com/news/AMD-2022-Linux-HDR-Display-Hard] をご覧ください。
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このページは、Linux における HDR モニターサポートの現状を紹介するガイドとなります。どのような課題があるのかをより理解するために、[https://www.phoronix.com/news/AMD-2022-Linux-HDR-Display-Hard この記事]の動画をご覧ください。
   
 
HDR のサポートはまだ Wayland にマージされておらず、そのため、ほとんどのディスプレイサーバーにもまだ実装されていません。
 
HDR のサポートはまだ Wayland にマージされておらず、そのため、ほとんどのディスプレイサーバーにもまだ実装されていません。
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現在の進捗状況は以下の通り:
 
現在の進捗状況は以下の通り:
   
* [[X.org]] (および Xorg クライアント): ディスプレイに HDR メタデータを渡すためのサポートはありせんhttps://gitlab.freedesktop.org/xorg/xserver/-/issues/1037#note_521100 を参照してください。
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* [[KDE Plasma]] 6.0 では Wayland セッション対する実験的な HDR サポートが導入されしたHDR を使用するために必要な起動オプションについては [[KDE#HDR]] を参照してください。
 
 
* [[Wayland]] (および Wayland クライアント): HDR メタデータをディスプレイに渡すためのサポートはありません。https://gitlab.freedesktop.org/wayland/weston/-/issues/467 と https://gitlab.freedesktop.org/wayland/wayland-protocols/-/merge_requests/14 を参照してください。
 
* [[Wayland]] (および Wayland クライアント): HDR メタデータをディスプレイに渡すためのサポートはありません。https://gitlab.freedesktop.org/wayland/weston/-/issues/467 と https://gitlab.freedesktop.org/wayland/wayland-protocols/-/merge_requests/14 を参照してください。
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* [[Wikipedia:Direct Rendering Manager|DRM]] クライアントは HDR メタデータを直接渡すことができますが、これは通常のユーザースペースクライアントからは利用できず、専用のソフトウェアのみが利用可能です。
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* [[COSMIC]] 開発者たちは、初の安定版リリースで HDR サポートを提供することを[https://blog.system76.com/post/may-flowers-spring-cosmic-showers 約束しました]。
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* Hyprland は、wlroots にマージされた時に HDR をサポートする可能性が高いです [https://github.com/hyprwm/Hyprland/issues/4933]。
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* Wlroots、[https://gitlab.freedesktop.org/wlroots/wlroots/-/merge_requests/4594 "HDR シグナリングを追加" の MR]。
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* [[GNOME]] は HDR サポートが進行中です [https://gitlab.gnome.org/GNOME/mutter/-/merge_requests/2356]
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== 必要条件 ==
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* HDR対応ディスプレイ。
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* HDR対応グラフィックドライバー: [[AMDGPU]] および [[NVIDIA]] (550.54.14 以上) が動作確認済み。
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* 対応カーネル:
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** [[カーネル#公式サポートカーネル|公式サポートカーネル]] - {{Pkg|linux}} または {{Pkg|linux-zen}}。
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** {{AUR|linux-neptune-65}} - [[Wikipedia:SteamOS|SteamOS]] からのカーネル。AMD GPU用のマルチプレーン HDR スキャンアウトをサポートし、HDRコンテンツをコンポジット処理せずに表示することで表示遅延とVRR安定性を大幅に改善します。デスクトップGPUのRX 6000シリーズでの動作が確認されています。
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* 対応するディスプレイサーバー、詳細は [[#設定]]
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* HDR対応のゲーム、ビデオプレイヤー、またはブラウザー
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** ゲーム: [https://www.pcgamingwiki.com/wiki/List_of_games_that_support_high_dynamic_range_display_(HDR) HDR対応ゲームのリスト]。
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** ビデオプレイヤー: {{Pkg|mpv}}、他にもあればこのリストを拡張してください!
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** ウェブブラウザー: 現時点では、Linux上でHDRをサポートするウェブブラウザーはありません。
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* Windowsゲームをプレイする場合に対応する互換層: [[Wine]] または [[Steam#Proton Steam-Play|Steam Proton]]。
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** [[DXVK]] (2.1 以上) または [[Wine#VKD3D-Proton|VKD3D-Proton]] (2.8 以上)、ゲームに使用されるDirectXバージョンによります。 {{Tip|Proton 8.0、Experimental、または Proton GE 44+ のいずれかを使用してください。すべて十分なDXVKとVKD3Dバージョンが同梱されています。}}
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== 設定 ==
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=== KDE Plasma ===
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[[KDE#HDR]] を参照してください。
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=== Gamescope with Steam session ===
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Valve の Steam コンポジター [[gamescope]] は実験的な HDR サポートを提供しています。以下の手順に従うと、HDR対応の gamescope を介して Valve の Steam クライアントを試用することができます。
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{{Tip|gamescope との使用には [[AMDGPU]] が推奨されます - [[NVIDIA]] は画面のちらつきなどの重大な問題が知られています。}}
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* {{Pkg|gamescope}} と {{AUR|gamescope-session-steam-git}} をインストールします。
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* オプションで以下の内容を含む設定ファイル {{ic|~/.config/environment.d/gamescope-session.conf}} を作成できます:
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{{bc|<nowiki>
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if [ "$XDG_SESSION_DESKTOP" = "gamescope" ] ; then
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SCREEN_WIDTH=1920
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SCREEN_HEIGHT=1080
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CONNECTOR=*,eDP-1
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CLIENTCMD="steam -gamepadui -steamos3 -steampal -steamdeck -pipewire-dmabuf"
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GAMESCOPECMD="/usr/bin/gamescope --hdr-enabled --hdr-itm-enable \
  +
--hide-cursor-delay 3000 --fade-out-duration 200 --xwayland-count 2 \
  +
-W $SCREEN_WIDTH -H $SCREEN_HEIGHT -O $CONNECTOR"
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fi
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</nowiki>}}
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** 上記の解像度値を適切なものに更新してください。ディスプレイを一覧表示するには {{ic|xrandr --query}} を実行します。
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** ディスプレイ {{ic|CONNECTOR}} がデフォルトで正しいものを選択しない場合は、設定する必要があります。
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これで、ログインマネージャーやターミナルから以下の手順のいずれかを使用して {{ic|gamescope}} を起動することができます:
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==== ログインマネージャー経由 ====
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ログアウトして、ログインマネージャーで ''Steam Big Picture'' を選択し、ログインします。
   
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==== コマンドライン経由 ====
* DRM クライアントは HDR メタデータを直接渡すことができますが、これは通常のユーザースペースクライアントからは利用できず、専用のソフトウェアのみが利用可能です。https://gitlab.freedesktop.org/mesa/drm/-/blob/main/include/drm/drm_mode.h#L809
 
   
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# {{ic|Ctrl+Alt+F2}} を押して新しい TTY に移動します。
* System76 は、新しい [[Rust]] ベースの Cosmic Desktop [[Wayland#コンポジタ|Wayland コンポジタ]]([https://github.com/Smithay/smithay Smithay] を基にした)を持つと発表しました。これには、HDR、分数スケーリング、および HiDPI のサポートが含まれます。詳細は https://blog.system76.com/post/november-at-system76-products-promos--cosmic-de をご覧ください。
 
  +
# ログインして {{ic|gamescope-session-plus steam}} を実行し、HDR で [https://github.com/ChimeraOS/gamescope-session スタンドアロンの steam セッション] を開始します。
  +
#* ネットワークが機能しない場合は、[[NetworkManager]] をインストールして有効化することで修正できます。
   
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==== Steam の設定 ====
== HDR ゲームサポート ==
 
   
  +
# 一般設定の表示設定で、HDR 設定が見えるはずです。HDR と実験的 HDR サポートを有効にします。
現在、Wayland でも X11 でも HDR を完全にサポートする API を提供していないため、ゲームもそれらで正確な HDR コンテンツを表示することはできません。Valve のスチームコンポジタ gamescope では、実験的な HDR サポートを提供しています。Valve のスチームクライアントが HDR 対応の gamescope を通じて動作する様子を試してみるためには、以下の手順 [https://www.reddit.com/r/linux_gaming/comments/10m2gyx/guide_alpha_test_hdr_on_linux/] を参照してください:
 
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# HDR対応ゲームを選択し、その隣の歯車アイコンをクリックします。
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# 互換性設定で Proton 8.0 または Proton Experimental を強制的に設定します。
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# ゲームの解像度をモニターに合わせて設定しないと、Steam Deck のネイティブ解像度で起動します。
  +
# 「プレイ」をクリックしてゲームを開始します。ゲーム内設定でHDR設定が利用可能か確認し、有効にします。
  +
# 通常のセッションに戻るには、Steam メニューから ''Power'' と ''Switch to desktop mode'' を選択します。
   
  +
== 参照 ==
# HDR 対応ディスプレイを使用します。
 
# AMD の GPU を使用します。現在、HDR は [[AMDGPU]] でのみサポートされています。
 
# [[DXVK]] バージョン 2.1 以降を使用します。
 
# [https://github.com/HansKristian-Work/vkd3d-proton/releases VKD3D-Proton] バージョン 2.8 以降を使用します。
 
# proton experimental または proton GE バージョン 44 以上を使用します。どちらも十分な DXVK と VKD3D のバージョンがパッケージに含まれています。
 
# {{aur|gamescope-git}} をインストールします。
 
# [https://www.reddit.com/r/linux_gaming/comments/10m2gyx/guide_alpha_test_hdr_on_linux/] で説明されているように、{{aur|gamescope-session-git}} のパッチ適用バージョンを使用します。このパッチは、設定ファイル {{ic|/usr/share/gamescope-session/gamescope-session-script}} を変更して、gamescope と dxvk が HDR を有効にするための指示を含めるようにします。DXVK に対しては [[環境変数]] {{ic|<nowiki>DXVK_HDR=1</nowiki>}} を設定し、gamescope に対しては引数 {{ic|--hdr-enabled}} を渡します。設定ファイルの変更を手動で適用したい場合は、[https://github.com/PikaOS-Linux/pkgs-baseos/blob/main/gamescope-session/gamescope-session/debian/patches/0001-update-to-work-on-nobara-with-hdr.patch こちらのパッチ] のすべての変更を複製します。
 
# あなたのスチームライブラリを開き、ツールでフィルタリングし、'''steam linux runtime soldier''' を右クリックしてプロパティを開き、BETAS をクリックし、"client_beta" を選択します。
 
# [https://gitlab.freedesktop.org/JoshuaAshton/linux-hdr/-/tree/josh-hdr-colorimetry/ Josh Ashton Kernel Patches] を含む Linux カーネルを使用します。詳細については [[カーネル/コンパイル/伝統的な方法]]を参照してください。
 
   
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* https://zamundaaa.github.io/wayland/2023/12/18/update-on-hdr-and-colormanagement-in-plasma.html
これで全ての設定が完了しました。新しい tty を開くために Ctrl+Alt+F2 を押し、ログインして {{bc|$ gamescope-session}} を実行します。これにより、HDR での [https://github.com/ChimeraOS/gamescope-session スタンドアロンなスチームセッション] が開始されます。ネットワーキングが機能しない場合は、[[NetworkManager]] をインストールして有効にすることで修正できます。
 
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* https://github.com/ChimeraOS/gamescope-session/tree/main
  +
* https://www.reddit.com/r/linux_gaming/comments/10m2gyx/guide_alpha_test_hdr_on_linux/
  +
* https://forums.developer.nvidia.com/t/plasma-6-0-hdr-success-report/284564
   
{{TranslationStatus|HDR monitor support|2023/05/10|776031}}
+
{{TranslationStatus|HDR monitor support|2024/06/16|810645}}

2024年6月16日 (日) 16:15時点における版

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HDR のサポートはまだ Wayland にマージされておらず、そのため、ほとんどのディスプレイサーバーにもまだ実装されていません。

X.org は HDR をサポートする予定はありません[1]

現在の進捗状況は以下の通り:

必要条件

  • HDR対応ディスプレイ。
  • HDR対応グラフィックドライバー: AMDGPU および NVIDIA (550.54.14 以上) が動作確認済み。
  • 対応カーネル:
    • 公式サポートカーネル - linux または linux-zen
    • linux-neptune-65AUR - SteamOS からのカーネル。AMD GPU用のマルチプレーン HDR スキャンアウトをサポートし、HDRコンテンツをコンポジット処理せずに表示することで表示遅延とVRR安定性を大幅に改善します。デスクトップGPUのRX 6000シリーズでの動作が確認されています。
  • 対応するディスプレイサーバー、詳細は #設定
  • HDR対応のゲーム、ビデオプレイヤー、またはブラウザー
    • ゲーム: HDR対応ゲームのリスト
    • ビデオプレイヤー: mpv、他にもあればこのリストを拡張してください!
    • ウェブブラウザー: 現時点では、Linux上でHDRをサポートするウェブブラウザーはありません。
  • Windowsゲームをプレイする場合に対応する互換層: Wine または Steam Proton
    • DXVK (2.1 以上) または VKD3D-Proton (2.8 以上)、ゲームに使用されるDirectXバージョンによります。
      ヒント: Proton 8.0、Experimental、または Proton GE 44+ のいずれかを使用してください。すべて十分なDXVKとVKD3Dバージョンが同梱されています。

設定

KDE Plasma

KDE#HDR を参照してください。

Gamescope with Steam session

Valve の Steam コンポジター gamescope は実験的な HDR サポートを提供しています。以下の手順に従うと、HDR対応の gamescope を介して Valve の Steam クライアントを試用することができます。

ヒント: gamescope との使用には AMDGPU が推奨されます - NVIDIA は画面のちらつきなどの重大な問題が知られています。
  • gamescopegamescope-session-steam-gitAUR をインストールします。
  • オプションで以下の内容を含む設定ファイル ~/.config/environment.d/gamescope-session.conf を作成できます:
if [ "$XDG_SESSION_DESKTOP" = "gamescope" ] ; then
    SCREEN_WIDTH=1920
    SCREEN_HEIGHT=1080
    CONNECTOR=*,eDP-1
    CLIENTCMD="steam -gamepadui -steamos3 -steampal -steamdeck -pipewire-dmabuf"
    GAMESCOPECMD="/usr/bin/gamescope --hdr-enabled --hdr-itm-enable \
    --hide-cursor-delay 3000 --fade-out-duration 200 --xwayland-count 2 \
    -W $SCREEN_WIDTH -H $SCREEN_HEIGHT -O $CONNECTOR"
fi
    • 上記の解像度値を適切なものに更新してください。ディスプレイを一覧表示するには xrandr --query を実行します。
    • ディスプレイ CONNECTOR がデフォルトで正しいものを選択しない場合は、設定する必要があります。

これで、ログインマネージャーやターミナルから以下の手順のいずれかを使用して gamescope を起動することができます:

ログインマネージャー経由

ログアウトして、ログインマネージャーで Steam Big Picture を選択し、ログインします。

コマンドライン経由

  1. Ctrl+Alt+F2 を押して新しい TTY に移動します。
  2. ログインして gamescope-session-plus steam を実行し、HDR で スタンドアロンの steam セッション を開始します。
    • ネットワークが機能しない場合は、NetworkManager をインストールして有効化することで修正できます。

Steam の設定

  1. 一般設定の表示設定で、HDR 設定が見えるはずです。HDR と実験的 HDR サポートを有効にします。
  2. HDR対応ゲームを選択し、その隣の歯車アイコンをクリックします。
  3. 互換性設定で Proton 8.0 または Proton Experimental を強制的に設定します。
  4. ゲームの解像度をモニターに合わせて設定しないと、Steam Deck のネイティブ解像度で起動します。
  5. 「プレイ」をクリックしてゲームを開始します。ゲーム内設定でHDR設定が利用可能か確認し、有効にします。
  6. 通常のセッションに戻るには、Steam メニューから PowerSwitch to desktop mode を選択します。

参照

翻訳ステータス: このページは en:HDR monitor support の翻訳バージョンです。最後の翻訳日は 2024/06/16 です。もし英語版に 変更 があれば、翻訳の同期を手伝うことができます。