「Certbot」の版間の差分
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[[Category:ネットワーク]] |
[[Category:ネットワーク]] |
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− | [[Category: |
+ | [[Category:暗号化]] |
+ | [[Category:コマンド]] |
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− | [[en:Let’s Encrypt]] |
||
+ | [[Category:電子フロンティア財団]] |
||
− | [https://letsencrypt.org/ Let’s Encrypt] はフリーかつ自動化されたオープンな認証局です。[[Wikipedia:ja:Automated Certificate Management Environment|ACME]] プロトコルを利用しています。 |
||
+ | [[en:Certbot]] |
||
+ | [[ru:Certbot]] |
||
+ | [https://github.com/certbot/certbot Certbot] は Python で書かれた [https://www.eff.org/ Electronic Frontier Foundation] の [[ACME]] クライアントで、Python で記述されており、ウェブサーバの自動設定や HTTP チャレンジのためのビルトイン Web サーバといった便利な機能を持ちます。 Certbot は [https://letsencrypt.org/ Let's Encrypt] に推奨されています。 |
||
+ | == インストール == |
||
− | 公式クライアントは '''Certbot''' という名前で、コマンドラインから有効な X.509 証明書を取得できます。また、手動で CSR 作成を行うミニマルなクライアントを {{AUR|acme-tiny}} でインストールすることができます。スクリプトで使用するのに適したクライアントとして {{AUR|simp_le-git}} や {{AUR|letsencrypt-cli}} も存在します。 |
||
+ | {{Pkg|certbot}} パッケージを[[インストール]]してください。 |
||
− | {{Note|以前 ''Let’s Encrypt クライアント''と呼ばれていた公式クライアントは、現在 ''Certbot'' と呼ばれています。}} |
||
+ | 発行された証明書はプラグインを使ってウェブサーバーに自動的に設定・インストールできます: |
||
− | == Certbot == |
||
+ | * [[Nginx]] 用のプラグインは {{Pkg|certbot-nginx}} パッケージに入っています。 |
||
+ | * [[Apache HTTP Server]] 用のプラグインは {{Pkg|certbot-apache}} パッケージで使えます。 |
||
+ | == 設定 == |
||
− | ''Certbot'' は公式のリファレンスクライアントです。Python で書かれており、証明書を取得するためのコマンドラインツールを提供します。 |
||
+ | 証明を作成と使用方法についての詳細は [https://certbot.eff.org/docs/ Certbot のドキュメント] を参照してください。 |
||
− | === インストール === |
||
+ | === プラグイン === |
||
− | {{Pkg|certbot}} パッケージを[[インストール]]してください。 |
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+ | {{Warning|プラグインを使用すると設定ファイルが上書きされ、Certbot 証明書の設定とパスが追加される場合があります。先に設定ファイルの'''バックアップ'''を作成することを推奨します。}} |
||
+ | ==== Nginx ==== |
||
− | 公式クライアントを用いて発行された証明書はプラグインを使ってウェブサーバーに自動的に設定・インストールできます: |
||
− | * [[Nginx]] 用の実験的なプラグインは {{Pkg|certbot-nginx}} パッケージに入っています。 |
||
− | * {{Pkg|certbot-apache}} パッケージも存在していますが、[[Apache HTTP Server]] を使っている場合の自動インストールは現在 Debian の派生ディストリビューションでしかサポートされていません。 |
||
+ | {{pkg|certbot-nginx}} プラグインは [[nginx]] の自動設定を提供します。このプラグインは、各ドメインの設定を検出しようとします。このプラグインは、セキュリティのために推奨される追加の設定および Certbot 証明書へのパスを追加します。例として、[[#サーバーブロックの管理]] を参照してください。 |
||
− | === 設定 === |
||
+ | [[nginx#サーバーブロック|サーバーブロック]]を初めて設定する場合: |
||
− | 証明を作成・インストールする方法は [https://certbot.eff.org/docs/ Certbot のドキュメント] を参照してください。 |
||
+ | # certbot --nginx |
||
− | ==== 手動 ==== |
||
+ | 証明書を更新するには: |
||
− | {{Note| |
||
− | * この方法では、一時的にウェブサーバーを停止する必要があります。[[#Webroot]] の方法ではウェブサーバーを実行しながらでも認証が行えます。 |
||
− | * この方法では、自動的に証明書を更新することはできません。自動更新を行いたい場合には、[[#Webroot]] メソッドを使用してください。}} |
||
+ | # certbot renew |
||
− | ウェブサーバーのプラグインが存在しない場合、次のコマンドを使って下さい: |
||
− | # certbot certonly --manual |
||
+ | nginx の設定ファイルに手を加えずに証明書を変更するには: |
||
− | DNS の TXT レコードを利用した認証を行う場合、次のコマンドを使って下さい: |
||
− | # certbot certonly --manual --preferred-challenges dns |
||
+ | # certbot --nginx certonly |
||
− | 上記のコマンドで自動的にドメインが認証されて秘密鍵と証明書のペアが作成されます。秘密鍵と証明書は {{ic|/etc/letsencrypt/live/''your.domain''/}} に保存されます。 |
||
+ | 詳しい情報は [https://certbot.eff.org/#arch-nginx Nginx on Arch Linux] を見てください。インストールされた証明書の状態を有効に保つ方法は[[#自動更新]]を見てください。 |
||
− | 上記のディレクトリに入っている秘密鍵と証明書を使用するように手動でウェブサーバーを設定します。 |
||
+ | ===== Nginx サーバーブロックの管理 ===== |
||
− | {{Note|コマンドを複数回実行すると {{ic|/etc/letsencrypt/live/''your.domain''/}} に作られるファイルの名前には末尾に数字が付加されます。作成されたファイル名かウェブサーバーの設定を書き換える必要があります。}} |
||
+ | サーバーブロックを手動で管理する場合、以下のように[[nginx#サーバーブロック|サーバーブロック]]で使うことができます: |
||
+ | {{hc|/etc/nginx/sites-available/example|2= |
||
+ | server { |
||
+ | listen 443 ssl http2; |
||
+ | listen [::]:443 ssl http2; # Listen on IPv6 |
||
+ | ssl_certificate /etc/letsencrypt/live/''domain''/fullchain.pem; # managed by Certbot |
||
+ | ssl_certificate_key /etc/letsencrypt/live/''domain''/privkey.pem; # managed by Certbot |
||
+ | include /etc/letsencrypt/options-ssl-nginx.conf; |
||
+ | ssl_dhparam /etc/letsencrypt/ssl-dhparams.pem; |
||
+ | .. |
||
+ | } }} |
||
+ | 詳しくは [[nginx#TLS/SSL]] を見てください。 |
||
− | ==== Webroot ==== |
||
− | |||
− | webroot の方法では、{{ic|yourdomain.tld/.well-known/acme-challenge/}} でチャレンジ/レスポンス認証が行われます。ウェブサーバーを止めることなく証明書を取得・更新できます: |
||
+ | 別の設定ファイルを作成してサーバーブロックから include して使用することも可能です: |
||
− | # certbot certonly --email ''email@example.com'' --webroot -w ''/path/to/html/'' -d ''your.domain'' |
||
+ | {{hc|/etc/nginx/conf/001-cerbot.conf|2= |
||
− | サーバーの設定で {{ic|/etc/letsencrypt/live/''your.domain''/}} の証明書を使うようにしてください。 |
||
+ | ssl_certificate /etc/letsencrypt/live/''domain''/fullchain.pem; # managed by Certbot |
||
+ | ssl_certificate_key /etc/letsencrypt/live/''domain''/privkey.pem; # managed by Certbot |
||
+ | include /etc/letsencrypt/options-ssl-nginx.conf; |
||
+ | ssl_dhparam /etc/letsencrypt/ssl-dhparams.pem; |
||
+ | }} |
||
+ | {{hc|/etc/nginx/sites-available/example|<nowiki> |
||
− | {{Note|Apache または nginx の場合、{{ic|--webbroot}} ではなく {{ic|--apache}} または {{ic|--nginx}} をそれぞれ使用します。ポート443の代わりにポート80を使用して検証する必要がある場合は {{ic|--webroot}} を使用してください。}} |
||
+ | server { |
||
+ | listen 443 ssl http2; |
||
+ | listen [::]:443 ssl http2; # Listen on IPv6 |
||
+ | include conf/001-certbot.conf; |
||
+ | .. |
||
+ | } |
||
+ | </nowiki>}} |
||
− | + | ==== Apache ==== |
|
+ | {{pkg|certbot-apache}} プラグインは、[[Apache HTTP Server]] の自動設定を提供します。このプラグインは、各ドメインの設定を検出しようとします。このプラグインは、セキュリティのために推奨される追加設定、証明書を使用するための設定、certbot 証明書へのパスを追加します。サンプルについては、[[#Apache バーチャルホストの管理]] を参照してください。 |
||
− | 複数のドメインあるいはサブドメインを使用する場合、全てのドメインに対して webroot を指定する必要があります。別の webroot を指定しないと、既存の webroot が使われます。 |
||
+ | [[Apache_HTTP_Server#バーチャルホスト|バーチャルホスト]] の初回セットアップ: |
||
− | {{ic|/.well-known/acme-challenge/}} への http リクエストを全て一つのフォルダ (例: {{ic|/var/lib/letsencrypt}}) にまとめることで、マルチドメインの管理がとても楽になります。nginx ならば、以下のようなファイルを作成: |
||
+ | |||
− | {{hc|/etc/nginx/letsencrypt.conf|<nowiki> |
||
+ | # certbot --apache |
||
− | location ^~ /.well-known/acme-challenge { |
||
+ | |||
− | alias /var/lib/letsencrypt/.well-known/acme-challenge; |
||
+ | 証明書の更新: |
||
− | default_type "text/plain"; |
||
+ | |||
− | try_files $uri =404; |
||
+ | # certbot renew |
||
+ | |||
+ | Apache 設定ファイルを変更せずに証明書の変更: |
||
+ | |||
+ | # certbot --apache certonly |
||
+ | |||
+ | 詳細は [https://certbot.eff.org/#arch-apache Certbot-Apache on Arch Linux] と [[#自動更新]] を参照してください。 |
||
+ | |||
+ | ===== Apache バーチャルホストの管理 ===== |
||
+ | |||
+ | これらのファイルを手動で管理する場合は、以下の例をすべての [[Apache HTTP Server#バーチャルホスト|バーチャルホスト]] で使用することができます: |
||
+ | |||
+ | {{hc|/etc/httpd/conf/extra/001-certbot.conf|2= |
||
+ | <IfModule mod_ssl.c> |
||
+ | <VirtualHost *:443> |
||
+ | |||
+ | Include /etc/letsencrypt/options-ssl-apache.conf |
||
+ | SSLCertificateFile /etc/letsencrypt/live/'domain'/fullchain.pem |
||
+ | SSLCertificateKeyFile /etc/letsencrypt/live/'domain'/privkey.pem |
||
+ | |||
+ | </VirtualHost> |
||
+ | </IfModule> |
||
+ | }} |
||
+ | |||
+ | {{hc|/etc/httpd/conf/httpd.conf|<nowiki> |
||
+ | <IfModule mod_ssl.c> |
||
+ | Listen 443 |
||
+ | </IfModule> |
||
+ | |||
+ | Include conf/extra/001-certbot.conf |
||
+ | .. |
||
+ | </nowiki>}} |
||
+ | |||
+ | 詳細については、[[Apache HTTP Server#TLS]] を参照してください。 |
||
+ | |||
+ | === Webroot === |
||
+ | {{Note| |
||
+ | * Webroot 方式では Certbot で認証するために'''ポート 80 で HTTP 接続'''できるようにする必要があります。 |
||
+ | * サーバーの名前は DNS と一致している必要があります。 |
||
+ | * {{ic|http://domain.tld/.well-known}} の読み取りを許可するためにホストのパーミッションを修正する必要がある場合があります。 |
||
+ | }} |
||
+ | |||
+ | webroot 方式を使う場合、Certbot クライアントは {{ic|/path/to/domain.tld/html/.well-known/acme-challenge/}} の中でチャレンジ・レスポンス認証を行います。 |
||
+ | |||
+ | 手動でインストールする場合と比べて、自動で証明書を更新したり楽に管理することができます。ただし、[[#プラグイン]]を使う時のように自動設定・自動インストールはできません。 |
||
+ | |||
+ | ==== ACME チャレンジリクエストのマッピング ==== |
||
+ | |||
+ | {{ic|.well-known/acme-challenge}} に対する HTTP リクエストを全てひとつのディレクトリ (例: {{ic|/var/lib/letsencrypt}}) にマッピングすることで管理が簡単になります。 |
||
+ | |||
+ | Certbot やウェブサーバー (''http'' ユーザーで動作する [[nginx]] や [[Apache]] など) が書き込みできるパスを使用してください: |
||
+ | # mkdir -p /var/lib/letsencrypt/.well-known |
||
+ | # chgrp http /var/lib/letsencrypt |
||
+ | # chmod g+s /var/lib/letsencrypt |
||
+ | |||
+ | ===== nginx ===== |
||
+ | |||
+ | location ブロックを記述したファイルを作成してサーバーブロックから読み込むようにしてください: |
||
+ | {{hc|/etc/nginx/conf.d/letsencrypt.conf|<nowiki> |
||
+ | location ^~ /.well-known/acme-challenge/ { |
||
+ | allow all; |
||
+ | root /var/lib/letsencrypt/; |
||
+ | default_type "text/plain"; |
||
+ | try_files $uri =404; |
||
} |
} |
||
</nowiki>}} |
</nowiki>}} |
||
− | そして証明書を作成したいサイトの server ブロックの中に以下のように記述します: |
||
− | {{hc|/etc/nginx/servers/example.com.conf|<nowiki> |
||
− | server { |
||
− | ... |
||
+ | サーバー設定の例: |
||
− | include letsencrypt.conf; |
||
+ | {{hc|/etc/nginx/servers-available/domain.conf|<nowiki> |
||
+ | server { |
||
+ | server_name domain.tld |
||
+ | .. |
||
+ | include conf.d/letsencrypt.conf; |
||
} |
} |
||
</nowiki>}} |
</nowiki>}} |
||
+ | ===== Apache ===== |
||
− | Apache の場合、{{ic|httpd-acme.conf}} ファイルを作成してください: |
||
+ | {{ic|/etc/httpd/conf/extra/httpd-acme.conf}} ファイルを作成してください: |
||
{{hc|/etc/httpd/conf/extra/httpd-acme.conf|<nowiki> |
{{hc|/etc/httpd/conf/extra/httpd-acme.conf|<nowiki> |
||
Alias /.well-known/acme-challenge/ "/var/lib/letsencrypt/.well-known/acme-challenge/" |
Alias /.well-known/acme-challenge/ "/var/lib/letsencrypt/.well-known/acme-challenge/" |
||
82行目: | 169行目: | ||
</Directory> |
</Directory> |
||
</nowiki>}} |
</nowiki>}} |
||
+ | |||
− | そして {{ic|httpd.conf}} で上記ファイルをインクルードします: |
||
+ | {{ic|/etc/httpd/conf/httpd.conf}} で上記ファイルを読み込んでください: |
||
{{hc|/etc/httpd/conf/httpd.conf|<nowiki> |
{{hc|/etc/httpd/conf/httpd.conf|<nowiki> |
||
Include conf/extra/httpd-acme.conf |
Include conf/extra/httpd-acme.conf |
||
</nowiki>}} |
</nowiki>}} |
||
− | letsencrypt クライアントのパスから設定したパスに書き込めるように、また、ウェブサーバーから読み込めるようにする必要があります。次のコマンドを実行してください: {{ic|# chgrp http /var/lib/letsencrypt && chmod g+s /var/lib/letsencrypt}}。 |
||
− | + | ==== 証明書の取得 ==== |
|
− | + | 公開パスとして {{ic|/var/lib/letsencrypt/}} を使用して {{ic|domain.tld}} の証明書を取得するには: |
|
+ | # certbot certonly --email '''email@example.com''' --webroot -w '''/var/lib/letsencrypt/''' -d '''domain.tld''' |
||
+ | (サブ)ドメインを追加するときは、登録済みの全てのドメインを一緒に指定します: |
||
− | ====== サービス ====== |
||
+ | # certbot certonly --email '''email@example.com''' --webroot -w '''/var/lib/letsencrypt/''' -d '''domain.tld,sub.domain.tld''' |
||
− | 以下の {{ic|.service}} ファイルを作成することで完全に自動化することが可能です: |
||
+ | 登録している証明書を(全て)更新するには: |
||
− | {{hc|1=/etc/systemd/system/certbot.service| |
||
+ | # certbot renew |
||
− | 2=[Unit] |
||
− | Description=Let's Encrypt renewal |
||
+ | {{Note|Do not forget to include the Let's Encrypt configuration file inside all related server blocks, those handling HTTP traffic as well as those handling HTTPS traffic, especially when using - as recommended - HSTS (HTPP Strict Transport Security). This can lead one to obtain certificate(s) smoothly, and once the setup is done, to be blocked for the renewal.}} |
||
− | [Service] |
||
− | Type=oneshot |
||
− | ExecStart=/usr/bin/certbot renew --quiet --agree-tos}} |
||
+ | 証明書の更新方法については[[#自動更新]]も参照。 |
||
− | ====== Standalone サービス ====== |
||
− | Standalone プラグインを使用する場合は更新リクエストを実行する前にウェブサーバーを停止させて、更新が完了してからウェブサーバーを再起動するようにします。Certbot のフックを使ってください。 |
||
+ | === 手動 === |
||
− | '''Nginx''' |
||
− | {{hc|1=/etc/systemd/system/certbot.service| |
||
− | 2=[Unit] |
||
− | Description=Let's Encrypt renewal |
||
+ | ウェブサーバーのプラグインが存在しない場合、以下のコマンドを使ってください: |
||
− | [Service] |
||
+ | # certbot certonly --manual |
||
− | Type=oneshot |
||
+ | |||
− | ExecStart=/usr/bin/certbot renew --pre-hook "/usr/bin/systemctl stop nginx.service" --post-hook "/usr/bin/systemctl start nginx.service" --quiet --agree-tos}} |
||
+ | DNS の TXT レコードを利用して認証したい場合、以下のコマンドを使ってください: |
||
+ | # certbot certonly --manual --preferred-challenges dns |
||
+ | |||
+ | 上記のコマンドで自動的にドメインが認証されて秘密鍵と証明書のペアが作成されます。秘密鍵と証明書は {{ic|/etc/letsencrypt/archive/''your.domain''/}} に保存され、{{ic|/etc/letsencrypt/live/''your.domain''/}} からリンクが張られます。 |
||
+ | |||
+ | 証明書が取得できたら手動でウェブサーバーを設定して、シンボリックリンクが存在するディレクトリの秘密鍵・証明書・証明書チェーンを参照してください。 |
||
+ | |||
+ | {{Note|上のコマンドを複数回実行したり証明書を更新したりするとファイル名の末尾に数字が付加されたファイルが {{ic|/etc/letsencrypt/archive/''your.domain''/}} に作られます。Certbot は {{ic|/etc/letsencrypt/live/''your.domain''/}} のシンボリックリンクを自動的に最新のファイルに更新するため、証明書を更新するたびに手動でウェブサーバーの設定を更新する必要はありません。}} |
||
+ | |||
+ | == 高度な設定 == |
||
+ | |||
+ | === 自動更新 === |
||
+ | |||
+ | ==== systemd ==== |
||
+ | {{ic|certbot.service}} ユニットを作成: |
||
− | '''Apache''' |
||
{{hc|1=/etc/systemd/system/certbot.service| |
{{hc|1=/etc/systemd/system/certbot.service| |
||
2=[Unit] |
2=[Unit] |
||
122行目: | 217行目: | ||
[Service] |
[Service] |
||
Type=oneshot |
Type=oneshot |
||
− | ExecStart=/usr/bin/certbot renew |
+ | ExecStart=/usr/bin/certbot renew --quiet --agree-tos}} |
+ | プラグインを使わずにウェブサーバーの設定を自動で管理する場合、ウェブサーバーを手動でリロードして証明書が更新されるたびにリロードが必要です。{{ic|ExecStart}} コマンドに {{ic|--post-hook "systemctl reload nginx.service"}} を追加することでリロードさせることができます [https://certbot.eff.org/docs/using.html#renewing-certificates]。適宜 {{ic|nginx.service}} のかわりに {{ic|httpd.service}} を使ってください。 |
||
− | ====== 自動更新タイマー ====== |
||
− | [[systemd/タイマー|タイマー]]を追加する前に、サービスが正しく動作すること、何も入力が要求されないことを確認してください。 |
+ | {{Note|[[systemd/タイマー|タイマー]]を追加する前に、サービスが正しく動作すること、何も入力が要求されないことを確認してください。サービスは遅延があるため、[https://github.com/certbot/certbot/blob/master/certbot/CHANGELOG.md#0290---2018-12-05 v0.29.0] 以降、certbot を非対話的に呼び出す際に遅延が追加されているため、サービスが完了するまでに最大480秒かかることがありますので、ご注意ください。}} |
+ | 1 日 2 回のランダムな遅延時間を設定された証明書の更新をチェックするタイマーの追加により、全員の更新要求が分散され、Let's Encrypt サーバーの負荷が軽減されます。 |
||
− | それから、タイマーを追加することで証明書を更新できます (更新の必要がない証明書は自動的にスキップされます)。 |
||
{{hc|1=/etc/systemd/system/certbot.timer| |
{{hc|1=/etc/systemd/system/certbot.timer| |
||
135行目: | 230行目: | ||
[Timer] |
[Timer] |
||
− | OnCalendar= |
+ | OnCalendar=0/12:00:00 |
− | RandomizedDelaySec= |
+ | RandomizedDelaySec=1h |
Persistent=true |
Persistent=true |
||
144行目: | 239行目: | ||
{{ic|certbot.timer}} を[[起動]]・[[有効化]]してください。 |
{{ic|certbot.timer}} を[[起動]]・[[有効化]]してください。 |
||
+ | === ワイルドカード証明書の自動更新 === |
||
− | 証明書を更新するたびにウェブサーバーを再起動させると良いでしょう。{{ic|certbot.service}} ファイルに以下のどちらかの行を追加してください: |
||
+ | 手順はかなり簡単です。ワイルドカード証明書を発行するには、[https://community.letsencrypt.org/t/acme-v2-and-wildcard-certificate-support-is-live/55579 ACMEv2 protocol を使用]して、DNS チャレンジリクエストを経由しなければなりません。 |
||
− | * Apache: {{ic|1=ExecStartPost=/bin/systemctl reload httpd.service}} |
||
+ | |||
− | * nginx: {{ic|1=ExecStartPost=/bin/systemctl reload nginx.service}} |
||
+ | 証明書を手動で発行するのは簡単ですが、自動化は簡単ではありません。DNS チャレンジは、certbot によって与えられた TXT レコードを表し、ドメインゾーンファイルに手動で設定する必要があります。 |
||
+ | |||
+ | 更新のたびにゾーンファイルを更新する必要があります。これを手動で行わないようにするには、certbot のプラグインが含まれている certbot-dns-rfc2136 により、rfc2136を使用できます。また、TXT レコードの動的更新を許可するように DNS サーバーを設定する必要があります。 |
||
+ | |||
+ | ==== rfc2136 用に BIND を設定 ==== |
||
+ | |||
+ | TSIG 秘密鍵を生成します: |
||
+ | |||
+ | $ tsig-keygen -a HMAC-SHA512 '''example-key''' |
||
+ | |||
+ | 設定ファイルに追加します: |
||
+ | |||
+ | {{hc|1=/etc/named.conf| |
||
+ | 2=... |
||
+ | zone "'''domain.ltd'''" IN { |
||
+ | ... |
||
+ | // this is for certbot |
||
+ | update-policy { |
||
+ | grant '''example-key''' name _acme-challenge.'''domain.ltd'''. txt; |
||
+ | }; |
||
+ | ... |
||
+ | }; |
||
+ | |||
+ | key "'''example-key'''" { |
||
+ | algorithm hmac-sha512; |
||
+ | secret "'''a_secret_key'''"; |
||
+ | }; |
||
+ | ...}} |
||
+ | |||
+ | {{ic|named.service}} を [[systemd#ユニットを使う|再起動]] します。 |
||
+ | |||
+ | ==== certbot rfc2136 のための設定 ==== |
||
+ | |||
+ | rfc2136 プラグインの設定ファイルを作成します。 |
||
+ | |||
+ | {{hc|1=/etc/letsencrypt/rfc2136.ini| |
||
+ | 2=dns_rfc2136_server = '''IP.ADD.RE.SS''' |
||
+ | dns_rfc2136_name = '''example-key''' |
||
+ | dns_rfc2136_secret = '''INSERT_KEY_WITHOUT_QUOTES''' |
||
+ | dns_rfc2136_algorithm = HMAC-SHA512}} |
||
+ | |||
+ | ファイルには秘密鍵のコピーが含まれているため、[[chmod]] で、グループやその他の権限を削除してファイルを保護します。 |
||
+ | |||
+ | 以下のようにテストします: |
||
+ | # certbot certonly --dns-rfc2136 --force-renewal --dns-rfc2136-credentials /etc/letsencrypt/rfc2136.ini --server https://acme-v02.api.letsencrypt.org/directory --email '''example@domain.ltd''' --agree-tos --no-eff-email -d ''''domain.ltd'''' -d ''''*.domain.ltd'''' |
||
+ | |||
+ | 検証に合格して証明書を受け取った場合は、certbot の自動化を行っても問題ありません。そうでない場合は、問題が発生しているので、設定をデバッグする必要があります。基本的には、{{ic|certbot renew}} を実行することになります。[[#自動更新]] を参照してください。 |
||
== 参照 == |
== 参照 == |
||
+ | * [[Transport Layer Security#ACME クライアント]] |
||
+ | * [[Wikipedia:ja:Let's Encrypt|Wikipedia の記事]] |
||
+ | * [https://certbot.eff.org/ EFF の Certbot ドキュメント] |
||
* [https://letsencrypt.org/docs/client-options/ ACME クライアントの一覧] |
* [https://letsencrypt.org/docs/client-options/ ACME クライアントの一覧] |
||
+ | |||
+ | {{TranslationStatus|Certbot|2021-10-20|694739}} |
2024年8月14日 (水) 21:43時点における最新版
Certbot は Python で書かれた Electronic Frontier Foundation の ACME クライアントで、Python で記述されており、ウェブサーバの自動設定や HTTP チャレンジのためのビルトイン Web サーバといった便利な機能を持ちます。 Certbot は Let's Encrypt に推奨されています。
インストール
発行された証明書はプラグインを使ってウェブサーバーに自動的に設定・インストールできます:
- Nginx 用のプラグインは certbot-nginx パッケージに入っています。
- Apache HTTP Server 用のプラグインは certbot-apache パッケージで使えます。
設定
証明を作成と使用方法についての詳細は Certbot のドキュメント を参照してください。
プラグイン
Nginx
certbot-nginx プラグインは nginx の自動設定を提供します。このプラグインは、各ドメインの設定を検出しようとします。このプラグインは、セキュリティのために推奨される追加の設定および Certbot 証明書へのパスを追加します。例として、#サーバーブロックの管理 を参照してください。
サーバーブロックを初めて設定する場合:
# certbot --nginx
証明書を更新するには:
# certbot renew
nginx の設定ファイルに手を加えずに証明書を変更するには:
# certbot --nginx certonly
詳しい情報は Nginx on Arch Linux を見てください。インストールされた証明書の状態を有効に保つ方法は#自動更新を見てください。
Nginx サーバーブロックの管理
サーバーブロックを手動で管理する場合、以下のようにサーバーブロックで使うことができます:
/etc/nginx/sites-available/example
server { listen 443 ssl http2; listen [::]:443 ssl http2; # Listen on IPv6 ssl_certificate /etc/letsencrypt/live/domain/fullchain.pem; # managed by Certbot ssl_certificate_key /etc/letsencrypt/live/domain/privkey.pem; # managed by Certbot include /etc/letsencrypt/options-ssl-nginx.conf; ssl_dhparam /etc/letsencrypt/ssl-dhparams.pem; .. }
詳しくは nginx#TLS/SSL を見てください。
別の設定ファイルを作成してサーバーブロックから include して使用することも可能です:
/etc/nginx/conf/001-cerbot.conf
ssl_certificate /etc/letsencrypt/live/domain/fullchain.pem; # managed by Certbot ssl_certificate_key /etc/letsencrypt/live/domain/privkey.pem; # managed by Certbot include /etc/letsencrypt/options-ssl-nginx.conf; ssl_dhparam /etc/letsencrypt/ssl-dhparams.pem;
/etc/nginx/sites-available/example
server { listen 443 ssl http2; listen [::]:443 ssl http2; # Listen on IPv6 include conf/001-certbot.conf; .. }
Apache
certbot-apache プラグインは、Apache HTTP Server の自動設定を提供します。このプラグインは、各ドメインの設定を検出しようとします。このプラグインは、セキュリティのために推奨される追加設定、証明書を使用するための設定、certbot 証明書へのパスを追加します。サンプルについては、#Apache バーチャルホストの管理 を参照してください。
バーチャルホスト の初回セットアップ:
# certbot --apache
証明書の更新:
# certbot renew
Apache 設定ファイルを変更せずに証明書の変更:
# certbot --apache certonly
詳細は Certbot-Apache on Arch Linux と #自動更新 を参照してください。
Apache バーチャルホストの管理
これらのファイルを手動で管理する場合は、以下の例をすべての バーチャルホスト で使用することができます:
/etc/httpd/conf/extra/001-certbot.conf
<IfModule mod_ssl.c> <VirtualHost *:443> Include /etc/letsencrypt/options-ssl-apache.conf SSLCertificateFile /etc/letsencrypt/live/'domain'/fullchain.pem SSLCertificateKeyFile /etc/letsencrypt/live/'domain'/privkey.pem </VirtualHost> </IfModule>
/etc/httpd/conf/httpd.conf
<IfModule mod_ssl.c> Listen 443 </IfModule> Include conf/extra/001-certbot.conf ..
詳細については、Apache HTTP Server#TLS を参照してください。
Webroot
webroot 方式を使う場合、Certbot クライアントは /path/to/domain.tld/html/.well-known/acme-challenge/
の中でチャレンジ・レスポンス認証を行います。
手動でインストールする場合と比べて、自動で証明書を更新したり楽に管理することができます。ただし、#プラグインを使う時のように自動設定・自動インストールはできません。
ACME チャレンジリクエストのマッピング
.well-known/acme-challenge
に対する HTTP リクエストを全てひとつのディレクトリ (例: /var/lib/letsencrypt
) にマッピングすることで管理が簡単になります。
Certbot やウェブサーバー (http ユーザーで動作する nginx や Apache など) が書き込みできるパスを使用してください:
# mkdir -p /var/lib/letsencrypt/.well-known # chgrp http /var/lib/letsencrypt # chmod g+s /var/lib/letsencrypt
nginx
location ブロックを記述したファイルを作成してサーバーブロックから読み込むようにしてください:
/etc/nginx/conf.d/letsencrypt.conf
location ^~ /.well-known/acme-challenge/ { allow all; root /var/lib/letsencrypt/; default_type "text/plain"; try_files $uri =404; }
サーバー設定の例:
/etc/nginx/servers-available/domain.conf
server { server_name domain.tld .. include conf.d/letsencrypt.conf; }
Apache
/etc/httpd/conf/extra/httpd-acme.conf
ファイルを作成してください:
/etc/httpd/conf/extra/httpd-acme.conf
Alias /.well-known/acme-challenge/ "/var/lib/letsencrypt/.well-known/acme-challenge/" <Directory "/var/lib/letsencrypt/"> AllowOverride None Options MultiViews Indexes SymLinksIfOwnerMatch IncludesNoExec Require method GET POST OPTIONS </Directory>
/etc/httpd/conf/httpd.conf
で上記ファイルを読み込んでください:
/etc/httpd/conf/httpd.conf
Include conf/extra/httpd-acme.conf
証明書の取得
公開パスとして /var/lib/letsencrypt/
を使用して domain.tld
の証明書を取得するには:
# certbot certonly --email email@example.com --webroot -w /var/lib/letsencrypt/ -d domain.tld
(サブ)ドメインを追加するときは、登録済みの全てのドメインを一緒に指定します:
# certbot certonly --email email@example.com --webroot -w /var/lib/letsencrypt/ -d domain.tld,sub.domain.tld
登録している証明書を(全て)更新するには:
# certbot renew
証明書の更新方法については#自動更新も参照。
手動
ウェブサーバーのプラグインが存在しない場合、以下のコマンドを使ってください:
# certbot certonly --manual
DNS の TXT レコードを利用して認証したい場合、以下のコマンドを使ってください:
# certbot certonly --manual --preferred-challenges dns
上記のコマンドで自動的にドメインが認証されて秘密鍵と証明書のペアが作成されます。秘密鍵と証明書は /etc/letsencrypt/archive/your.domain/
に保存され、/etc/letsencrypt/live/your.domain/
からリンクが張られます。
証明書が取得できたら手動でウェブサーバーを設定して、シンボリックリンクが存在するディレクトリの秘密鍵・証明書・証明書チェーンを参照してください。
高度な設定
自動更新
systemd
certbot.service
ユニットを作成:
/etc/systemd/system/certbot.service
[Unit] Description=Let's Encrypt renewal [Service] Type=oneshot ExecStart=/usr/bin/certbot renew --quiet --agree-tos
プラグインを使わずにウェブサーバーの設定を自動で管理する場合、ウェブサーバーを手動でリロードして証明書が更新されるたびにリロードが必要です。ExecStart
コマンドに --post-hook "systemctl reload nginx.service"
を追加することでリロードさせることができます [1]。適宜 nginx.service
のかわりに httpd.service
を使ってください。
1 日 2 回のランダムな遅延時間を設定された証明書の更新をチェックするタイマーの追加により、全員の更新要求が分散され、Let's Encrypt サーバーの負荷が軽減されます。
/etc/systemd/system/certbot.timer
[Unit] Description=Daily renewal of Let's Encrypt's certificates [Timer] OnCalendar=0/12:00:00 RandomizedDelaySec=1h Persistent=true [Install] WantedBy=timers.target
ワイルドカード証明書の自動更新
手順はかなり簡単です。ワイルドカード証明書を発行するには、ACMEv2 protocol を使用して、DNS チャレンジリクエストを経由しなければなりません。
証明書を手動で発行するのは簡単ですが、自動化は簡単ではありません。DNS チャレンジは、certbot によって与えられた TXT レコードを表し、ドメインゾーンファイルに手動で設定する必要があります。
更新のたびにゾーンファイルを更新する必要があります。これを手動で行わないようにするには、certbot のプラグインが含まれている certbot-dns-rfc2136 により、rfc2136を使用できます。また、TXT レコードの動的更新を許可するように DNS サーバーを設定する必要があります。
rfc2136 用に BIND を設定
TSIG 秘密鍵を生成します:
$ tsig-keygen -a HMAC-SHA512 example-key
設定ファイルに追加します:
/etc/named.conf
... zone "domain.ltd" IN { ... // this is for certbot update-policy { grant example-key name _acme-challenge.domain.ltd. txt; }; ... }; key "example-key" { algorithm hmac-sha512; secret "a_secret_key"; }; ...
named.service
を 再起動 します。
certbot rfc2136 のための設定
rfc2136 プラグインの設定ファイルを作成します。
/etc/letsencrypt/rfc2136.ini
dns_rfc2136_server = IP.ADD.RE.SS dns_rfc2136_name = example-key dns_rfc2136_secret = INSERT_KEY_WITHOUT_QUOTES dns_rfc2136_algorithm = HMAC-SHA512
ファイルには秘密鍵のコピーが含まれているため、chmod で、グループやその他の権限を削除してファイルを保護します。
以下のようにテストします:
# certbot certonly --dns-rfc2136 --force-renewal --dns-rfc2136-credentials /etc/letsencrypt/rfc2136.ini --server https://acme-v02.api.letsencrypt.org/directory --email example@domain.ltd --agree-tos --no-eff-email -d 'domain.ltd' -d '*.domain.ltd'
検証に合格して証明書を受け取った場合は、certbot の自動化を行っても問題ありません。そうでない場合は、問題が発生しているので、設定をデバッグする必要があります。基本的には、certbot renew
を実行することになります。#自動更新 を参照してください。