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2022年3月5日 (土) 07:56時点における版
Mailman は電子メーリングリストを管理するためのアプリケーションです。基本的にメールサーバーやウェブサーバーと合わせて使うことになるため、最初にメールサーバーを Postfix, Exim, Sendmail, Qmail などから選択して (どれが良いかわからないときは、Postfix を選ぶことを推奨します)、それから Apache, Lighttpd, Nginx などのウェブサーバーを決めて下さい (どのウェブサーバーでもかまいません)。Mailman とメールサーバー、ウェブサーバーは必ずしも同一のコンピュータで実行する必要はありません。
この記事では Mailman のインストールだけを扱います。メールサーバーやウェブサーバーのインストールについてはそれぞれの wiki ページを参照してください。
このガイドでは "arch" という名前のマシンを使って "a", "b", "c" という名前の組織のメーリングリストをセットアップすることにします。それぞれサンプルドメイン "a.org", "b.org", "c.org" が存在して "arch" にアクセスできるようになっているとします。各ドメインで以下のように設定します:
- Mailman のウェブインターフェイスに
lists.example.org
からアクセスできるようにする。 lists.example.org/archives
にリストのアーカイブを配置する。- リストのアドレスは
list@example.org
などとする。
注意事項: Mailman を使うことで複数のドメインのリストを管理することはできますが、たとえドメインが違っていても同じ名前のリストを作ることはできません。
目次
Mailman のインストール
Mailman の設定
デフォルト設定は /usr/lib/mailman/Mailman/Defaults.py
ファイルに全て記述されています。ただしこのファイルを修正してはいけません。代わりに、mm_cfg.py (/etc/mailman/mm_cfg.py
) ファイルに変更を加えて下さい。Defaults.py のデフォルト設定と異なる値だけを mm_cfg.py に追加してください。Mailman をアップグレードしても mm_cfg.py に勝手に手が加えられることはありません。
ウェブサーバーの統合
DEFAULT_URL_HOST = 'lists.a.org' VIRTUAL_HOSTS.clear() add_virtualhost(DEFAULT_URL_HOST, DEFAULT_EMAIL_HOST) add_virtualhost('lists.b.org', 'b.org') add_virtualhost('lists.c.org', 'c.org') POSTFIX_STYLE_VIRTUAL_DOMAINS = ['a.org', 'b.org', 'c.org'] DEFAULT_URL_PATTERN = 'http://%s/' PUBLIC_ARCHIVE_URL = 'http://%(hostname)s/archives/%(listname)s'
Apache の場合を以下のように変更してください:
DEFAULT_URL_PATTERN = 'http://%s/lists/'
MTA の統合
選択したメールサーバーに合わせて /etc/mailman/mm_cfg.py
の中身を変更します。
Postfix の統合
DEFAULT_EMAIL_HOST = 'a.org' MTA = 'Postfix'
mm_cfg.py
を編集したら、以下を実行して Postfix が必要とする aliases ファイルを作成してください:
# /usr/lib/mailman/bin/genaliases
Exim の統合
DEFAULT_EMAIL_HOST = 'a.org' MTA = None
メールサーバーの設定
Postfix
Postfix のインストールと設定については、Postfix を見て下さい (Mailman 用にのみ Postfix を使う場合は設定はとてもシンプルです: mailbox や database などは無視してかまいません)。
/etc/postfix/main.cf
に以下のフィールドと値を記述してください:
myhostname = arch.a.org mydomain = a.org myorigin = $mydomain mydestination = localhost, a.org, b.org, c.org mynetworks_style = host alias_maps = hash:/etc/postfix/aliases, hash:/var/lib/mailman/data/aliases alias_database = $alias_maps virtual_alias_maps = hash:/etc/postfix/virtual, hash:/var/lib/mailman/data/virtual-mailman recipient_delimiter = +
Exim
/etc/mail/exim.conf
を編集して以下のセクションにエントリを追加してください:
routers
セクション:
local_mailman_list: driver = accept require_files = /var/lib/mailman/lists/${lc::$local_part}/config.pck local_part_suffix = -admin : -bounces : -bounces+* : -confirm : -confirm+* : -join : -leave : -owner : -request : -subscribe : -unsubscribe local_part_suffix_optional transport = mailman_transport
transports
セクション:
mailman_transport: driver = pipe user = mailman group = mailman home_directory = /usr/lib/mailman current_directory = /usr/lib/mailman command = /usr/lib/mailman/mail/mailman '${if def:local_part_suffix {${sg{$local_part_suffix}{-(\\w+)(\\+.*)?}{\$1}}}{post}}' $local_part
ウェブサーバーの設定
Nginx
Nginx のインストールと設定については、Nginx を見て下さい。Mailman のウェブインターフェイスは CGI を使います。以下の設定では Nginx と fcgiwrap
を使います。詳しくは Nginx#CGI を動かす を参照。
ドメインごとに /etc/nginx/nginx.conf
に以下の設定を記述 (例: a.org):
server { server_name lists.a.org; root /usr/lib/mailman/cgi-bin; location = / { rewrite ^ /listinfo permanent; } location / { fastcgi_split_path_info ^(/[^/]*)(.*)$; fastcgi_pass unix:/run/fcgiwrap.sock; include fastcgi.conf; fastcgi_param PATH_INFO $fastcgi_path_info; fastcgi_param PATH_TRANSLATED $document_root$fastcgi_path_info; } location /icons { alias /usr/lib/mailman/icons; } location /archives { alias /var/lib/mailman/archives/public; autoindex on; } }
Lighttpd
server.modules = ("mod_rewrite", "mod_cgi") url.rewrite = ( "^/$" => "/listinfo" ) alias.url = ( "/icons" => "/usr/lib/mailman/icons", "/archives" => "/var/lib/mailman/archives/public" ) cgi.assign = ( "/usr/lib/mailman/cgi-bin/admin" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/admin/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/admindb" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/admindb/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/confirm" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/confirm/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/create" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/create/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/edithtml" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/edithtml/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/listinfo" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/listinfo/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/options" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/options/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/private" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/private/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/rmlist" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/rmlist/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/roster" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/roster/" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/subscribe" => "", "/usr/lib/mailman/cgi-bin/subscribe/" => "" ) $HTTP["host"] =~ "(^|\.)lists.a.org$" { server.document-root = "/usr/lib/mailman/cgi-bin/" server.errorlog = "/var/log/lighttpd/lists.a.org_error.log" accesslog.filename = "/var/log/lighttpd/lists.a.org_access.log" }
Apache
以下の行を /etc/mailman/mm_cfg.py
に追加してください:
IMAGE_LOGOS = '/mailman-icons/'
lists.a.org の作成にはバーチャルホストの作成も含まれます。httpd.conf
を編集するかわりに以下の設定をバーチャルホストの定義に移動すると良いでしょう。
/etc/httpd/conf/httpd.conf
を編集して以下のスニペットを追加してください:
<IfModule alias_module> Alias /mailman-icons/ "/usr/lib/mailman/icons/" Alias /archives/ "/var/lib/mailman/archives/public/" ScriptAlias /lists/ "/usr/lib/mailman/cgi-bin/" ScriptAlias / "/usr/lib/mailman/cgi-bin/listinfo" </IfModule> <Directory "/usr/lib/mailman/cgi-bin/"> AllowOverride None Options Indexes FollowSymlinks ExecCGI Require all granted </Directory> <Directory "/usr/lib/mailman/icons/"> Require all granted </Directory> <Directory "/var/lib/mailman/archives/public/"> Require all granted </Directory>
httpd systemd サービスを再起動してください。
その後の設定
Site-wide メーリングリスト
Mailman が正しく動作するために必要なリストを作成するために、以下のコマンドを実行 (パスワードリマインダーなどに使われます):
# /usr/lib/mailman/bin/newlist mailman
デフォルトドメインで "mailman" という名前のリストが作成されます (例: mailman@a.org)。他のドメインでも作成する必要はありません (b.org や c.org)。
後でサイトリストを購読するようにしてください。
タイマーの設定
定期的に実行される Mailman の機能があるため、タイマーを設定して適切なプログラムを適切な時に実行させる必要があります:
# cd /usr/lib/systemd/system # for X in mailman-*.timer ; do systemctl enable $X && systemctl start $X ; done
Mailman の起動
systemctl で mailman
が起動されるまで、Mailman は処理を開始してメールを送ることはありません。
何か問題が発生したら、より多くの情報を出力させることでトラブルシューティングに役立ちます:
# /usr/lib/mailman/bin/mailmanctl start
パスワードの作成
コマンドラインから作成できるパスワードは2つ存在します。1番目のパスワードはどこでも使えるパスワードであるジェネラルパスワード (サイトパスワード) です。サイトパスワードは全てのリストの管理者ページに入ることができ、どのユーザーでもログインできます。
2番目のパスワードはリストクリエイターパスワードです。サイトパスワードのような全ての権限を与える代わりに、新しいメーリングリストを作成する権限を与えることができます。サイトパスワードを持っていれば新しいメーリングリストを作ることもできますが、リストクリエイターパスワードはリストの作成だけに権限が制限されています。
ジェネラルパスワードを設定するには、以下のコマンドを実行:
# /usr/lib/mailman/bin/mmsitepass <general-password>
リストクリエイターパスワードを設定するには、以下のコマンドを実行:
# /usr/lib/mailman/bin/mmsitepass -c <list-creator-password>
リストクリエイターパスワードは必ずしも設定する必要はありませんが、ジェネラルパスワードは設定してください。
Mailman を使う
リストを管理 (リストを作成・設定、ユーザーを管理など) するときはウェブインターフェイスを使います。それぞれのドメインごとに別々のインターフェイスが作られます。例えば、組織 "a" の URL は http://lists.a.org という具合です。
コマンドラインから Mailman を管理することもできます。例えばリストを作成するには:
# newlist --urlhost=lists.b.org --emailhost=b.org list_name
Mailman 3
Mailman 3 はモジュール形式で設計されています:
- mailman-coreAUR[リンク切れ: 置換パッケージ: mailman3] (または mailman-core-gitAUR) は Mailman のコアコンポーネントを提供します。
- python2-django-postoriusAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません] (または python2-django-postorius-gitAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません]) は Mailman の管理インターフェイスを提供します。
- python2-django-hyperkittyAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません] (または python2-django-hyperkitty-gitAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません]) はメーリングリストのアーカイブのインターフェイスです。
- python-mailmanclient と python2-mailmanclientAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません] は Mailman の REST API の python バインディングを提供します。
- python-mailman-hyperkitty-pluginAUR[リンク切れ: 置換パッケージ: mailman3-hyperkitty] はメールを hyperkitty に転送するのに使われるプラグインです。
postorius や hyperkitty をデプロイするには django が必要になります。mailman-suite-gitAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません] にデプロイするのに使える django のプロジェクトスケルトンが入っています。付属している README.md を読んで postorius や hyperkitty をデプロイしてください。
mailman-core は /var/lib/mailman/var/etc/mailman.cfg
で設定でき、次のコマンドで起動できます:
# systemctl start mailman.service
詳しくはプロジェクトの公式ドキュメントを参照してください。
トラブルシューティング
check_perms スクリプトを実行してパーミッションがグループの所有権が正しいことを確認してください:
# /usr/lib/mailman/bin/check_perms
何か問題が表示される場合、手動で修正するか、同じプログラムを使用して修正してください (後者のほうが簡単です):
# /usr/lib/mailman/bin/check_perms -f
エラーが全く表示されなくなるまで上のコマンドを繰り返し実行してください。
Postfix
/var/lib/mailman/data/
にある以下のファイルの所有者と所有ユーザーが mailman となっておりグループに書き込み権限が与えられていることを確認してください:
- aliases.db
- aliases
- virtual-mailman
- virtual-mailman.db
UTF-8
http://www.divideandconquer.se/2009/08/17/convert-mailman-translation-to-utf-8.