Wake-on-LAN
Wake-on-LAN (WOL) はネットワーク接続 (インターネットまたはイントラネット) からコンピュータの電源を入れる機能です。
目次
ハードウェア設定
Wake-on-LAN を使うにはコンピュータのマザーボードや NIC が Wake-on-LAN をサポートしている必要があります。無線カードは Wake-on-LAN をサポートしていないため、ルーターや他のコンピュータに物理的に (ケーブルで) 接続しなくてはなりません。
また、Wake-on-LAN 機能は PC の BIOS で有効にする必要があります。マザーボードのメーカーによって Wake-on-LAN 機能には様々な名前がつけられています。"PCI Power up" や "Allow PCI wake up event"、あるいは "Boot from PCI/PCI-E" というような単語を追って下さい。
一部のマザーボードには厄介なバグが存在し、特定の状況下でシャットダウンの代わりに再起動を引き起こすことがあります (このスレッド などを参照)。このバグが発現しないように、マシンで以下の設定を行うことを推奨します:
- USB の設定に関する "xHCI" を全て無効化する。
- EuP 2013 がオプションとして存在する場合に無効化する。
- (任意) キーボードによる WOL を有効化する。
ソフトウェア設定
ハードウェアによっては、ネットワークドライバーによって WOL がデフォルトでオフになっていることがあります。WOL の状態を確認したり、設定を変更するために、ethtool をインストールして下さい。
次のコマンドを使ってネットワークデバイスの状態を確認します:
# ethtool net0 | grep Wake-on
Supports Wake-on: pumbag Wake-on: d
上記の値はどのアクティビティが動作するかを定義しています: d
(無効), p
(PHY アクティビティ), u
(ユニキャストアクティビティ), m
(マルチキャストアクティビティ), b
(ブロードキャストアクティビティ), a
(ARP アクティビティ), g
(マジックパケットアクティビティ)。WOL を使うには g
が必要です。
ドライバーの WOL 機能を有効化するには:
# ethtool -s net0 wol g
上記のコマンドは再起動してしまうと効果を失ってしまうため、何らかの方法で自動的に実行されるようにする必要があります。以下のサブセクションに一般的な方法を載せています。
netctl を使う
netctl を使う場合、以下の設定を netctl のプロファイルに追加することで永続化させることができます:
/etc/netctl/profile
ExecUpPost='/usr/bin/ethtool -s net0 wol g'
systemd を使う
systemd-networkd を使ってマシンのネットワークを設定している場合、systemd.link
の設定を使うことで簡単に Wake-On-Lan を有効にできます。WakeOnLan
オプションをネットワークの link ファイルに追加してください:
/etc/systemd/network/wired.link
[Link] WakeOnLan=magic
詳しくは man systemd.link
を参照。
スタンドアロンの systemd サービスを使う
上述の systemd.link
オプションと同じ効果がありますが、スタンドアロンの systemd サービスを使っています。
/etc/systemd/system/wol@.service
[Unit] Description=Wake-on-LAN for %i Requires=network.target After=network.target [Service] ExecStart=/usr/bin/ethtool -s %i wol g Type=oneshot [Install] WantedBy=multi-user.target
もしくは wol-systemdAUR[リンク切れ: アーカイブ: aur-mirror] パッケージをインストールして下さい。
wol@interface.service
を起動することで新しいサービスを有効にして下さい。
udev を使う
udev を使うことでデバイスが認識されたときにコマンドを実行することができます。以下を /etc/udev/rules.d/50-wol.rules
に記述してください (N は使用するインターフェイスの番号に置き換えて下さい):
ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", KERNEL=="netN", RUN+="/usr/bin/ethtool -s %k wol g"
上記の udev ルールによって、netN デバイスが認識されるとすぐに /usr/bin/ethtool -s netN wol g
が実行されます。全てのデバイスで Wake-on-LAN を有効化したいときは、N を '*' に置き換えます:
ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", KERNEL=="net*", RUN+="/usr/bin/ethtool -s %k wol g"
cron を使う
crontab で "@reboot" を使うことでコンピュータを起動するたびにコマンドを実行させることができます。まず、cron をインストールして、それから root ユーザーの crontab を編集して以下の行を記述して下さい:
@reboot /usr/bin/ethtool -s [net-device] wol g
電源の投入
マシンの WOL を実行するには、マシンの MAC アドレスと外部・内部 IP が必要です。
コンピュータの内部 IP アドレスと MAC アドレスを取得するには、次のコマンドを実行:
$ ip addr
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00 inet 127.0.0.1/8 scope host lo valid_lft forever preferred_lft forever inet6 ::1/128 scope host valid_lft forever preferred_lft forever 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,PROMISC,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master br0 state UP group default qlen 1000 link/ether 48:05:ca:09:0e:6a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.168.1.20/24 brd 192.168.1.255 scope global br0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::6a05:caff:fe09:e6a/64 scope link valid_lft forever preferred_lft forever
上記の場合、内部 IP アドレスは 192.168.1.20
で MAC アドレスは 48:05:ca:09:0e:6a
です。
WOL を実行するためにマジックパケットを送信できるプログラムとして wol が存在します。
同一の LAN 上にある場合
ネットワークケーブルによって他のコンピュータと直接接続している場合、または LAN の中の通信がファイアウォールで遮断されていない場合、ポートのリダイレクトについて考える必要がないため簡単に Wake-on-LAN を使うことができます。
一番シンプルなケース、デフォルトのブロードキャストアドレス 255.255.255.255
を使用:
$ wol target_MAC_address
特定のサブネットやホストにだけマジックパケットを送信するには、-i
スイッチを使用:
$ wol -i target_IP target_MAC_address
ポートフォワーディングを使う
送信元と送信先のコンピュータがルーターで区切られている場合、ポートフォワーディングによって Wake-on-LAN を使うことができます。特定のポートを使用する全ての信号を送信先の PC の内部 IP に転送するようにルーターが設定されている必要があります。設定に関する詳細はファイアウォールを見て下さい。
電源を投入するには:
$ wol -p forwarded_port -i router_IP target_MAC_address
ルーターを介して複数のコンピュータが存在する場合、IP ごとに別々のポートフォワードを割り当てることを推奨します。
インターネットを使う
The syntax needed in this case:
$ wol -p target_port -i target_IP_or_hostname target_MAC_address
- Assuming that you know the external IP of the target machine, and that the router ports on both sides have been forwarding correctly, then this should be exactly as the syntax states.
Usually it is necessary to forward your wol port (typically UDP 9) to the broadcast address on your network, not to a particular IP. Most routers do not allow you to forward to broadcast, however if you can get shell access to your router (through telnet, ssh, serial cable, etc) you can implement this workaround:
$ ip neighbor add 192.168.1.254 lladdr FF:FF:FF:FF:FF:FF dev net0
(The above command assumes your network is 192.168.1.0/24 and use net0 as network interface). Now, forward UDP port 9 to 192.168.1.254. This has worked for me on a Linksys WRT54G running Tomato, and on the Verizon FIOS ActionTec router.
For notes on how to do it on DD-WRT routers, see this tutorial.
その他
バッテリーが食われる問題
ノートパソコンによってはシャットダウン後にバッテリーを消費する問題が存在します [1]。WOL が有効になっているのが原因です。問題を解決するには、ethtool を使って無効化して下さい:
# ethtool -s net0 wol d
WOL サンプルスクリプト
Here is a script to automate WOL to several different machines:
#!/bin/bash # definition of MAC addresses monster=01:12:46:82:ab:4f chronic=00:3a:53:21:bc:30 powerless=1a:32:41:02:29:92 ghost=01:1a:d2:56:6b:e6 while [ "$input1" != quit ]; do echo "Which PC to wake?" echo "p) powerless" echo "m) monster" echo "c) chronic" echo "g) ghost" echo "b) wake monster, wait 40sec, then wake chronic" echo "q) quit and take no action" read input1 if [ $input1 == p ]; then /usr/bin/wol $powerless exit 1 fi if [ $input1 == m ]; then /usr/bin/wol $monster exit 1 fi if [ $input1 == c ]; then /usr/bin/wol $chronic exit 1 fi # this line requires an IP address in /etc/hosts for ghost # and should use wol over the internet provided that port 9 # is forwarded to ghost on ghost's router if [ $input1 == g ]; then /usr/bin/wol -v -h -p 9 ghost $ghost exit 1 fi if [ $input1 == b ]; then /usr/bin/wol $monster echo "monster sent, now waiting for 40sec then waking chronic" sleep 40 /usr/bin/wol $chronic exit 1 fi if [ $input1 == Q ] || [ $input1 == q ]; then echo "later!" exit 1 fi done echo "this is the (quit) end!! c-ya!"
トラブルシューティング
Realtek
Realtek 8168 8169 8101 8111(C) が搭載された NIC (カード/オンボード) を使っている場合、起動時に NIC が無効になってしまって接続ランプが灯らないことがあります。ネットワーク設定#Realtek が使えない / WOL の問題を見て下さい。