Linux コンソール/キーボード設定
Linux コンソールにおけるキーボードマッピング (keymaps)、コンソールフォント、コンソールマップは、kbd パッケージ (systemd の依存パッケージ) によって提供されています。このパッケージは、テキストコンソールを管理するための低レベルなツールも多く提供しています。加えて、systemd は localectl ツールも提供しています。このツールは、システムのロケールとキーボードレイアウトの両方の設定をコンソールと Xorg の両方で制御できます。
目次
キーボード設定の表示
localectl status
を使って、キーボード設定を表示することができます。
キーマップ
キーマップファイルは、/usr/share/kbd/keymaps/
ディレクトリツリーに格納されています。通常、一つのキーマップファイルは、一つのキーボードレイアウトに対応しています。(include
文を使用して共通部分を共有したり、キーマップファイルに複数のレイアウトと切り替え用のキーの組み合せを含めることができます)。詳細は、keymaps(5) を参照してください。
キーマップの一覧表示
コンソールキーマップの命名規則は多少恣意的ですが、通常以下がベースとなっています:
- 言語コード: 言語コードが国名コードと同じ場合 (例: ドイツ語は
de
、フランス語はfr
)。 - 国名コード: 同じ言語のバリエーションが異なる国々で使用されている場合 (例: 英国では
uk
、米国ではus
)。国名コードのリストは wikipedia:ISO 3166-1#Officially assigned code elements でも見られます。 - キーボードレイアウト: レイアウトが、特定の国や言語に関連していない場合 (例: Dvorak 配列 は
dvorak
)。
利用可能なすべてのキーマップを一覧表示するには、以下のコマンドを使用してください:
$ localectl list-keymaps
キーマップを検索するには、以下のコマンドを使用してください。search_term
はあなたの言語、国、レイアウトのどれかのコードに置き換えてください:
$ localectl list-keymaps | grep -i search_term
あるいは、find を使ってください:
$ find /usr/share/kbd/keymaps/ -type f -name "*search_term*"
Loadkeys
現在のセッションでのみ有効なキーマップを設定することもできます。異なるキーマップを試したり、問題を解決したりするときに有用です。
一時的な設定を行うには loadkeys ツールを使います。このツールは、/etc/vconsole.conf
に設定されたキーマップをロードするために systemd によって内部的に使用されています。とても簡単に使えます:
# loadkeys keymap
詳しくは loadkeys(1) を参照してください。
永続的な設定
永続的なキーマップは /etc/vconsole.conf
で設定することができ、起動時に systemd によって読み込まれます。KEYMAP
変数がキーマップの指定に使用されます。この変数が空だったり設定されていない場合、デフォルトの値として us
キーマップが使われます。全てのオプションは vconsole.conf(5) を見て下さい。例:
/etc/vconsole.conf
KEYMAP=uk ...
localectl を使ってコンソールのキーマップを設定することも可能です。コマンドを実行することで /etc/vconsole.conf
内の KEYMAP
変数が変更され現在のセッションのキーマップが設定されます:
# localectl set-keymap --no-convert keymap
--no-convert
オプションを使用することで、localectl
が自動的に Xorg のキーマップを最も近いものに変更してしまうのを防ぐことができます。詳細は localectl(1) を見てください。
必要であれば、keymap
mkinitcpio フック を使って /etc/vconsole.conf
のキーマップを初期ユーザ空間で読み込むことができます。
カスタムキーマップの作成
コンソールを使用する場合、ホットキーを使用して特定の文字を表示できます。 さらに、文字のシーケンスといくつかのエスケープシーケンスを表示することもできます。 したがって、コマンドを構成する文字のシーケンスを出力し、その後に改行のエスケープ文字を出力すると、そのコマンドが実行されます。
これを行う1つの方法は、キーマップファイルを編集することです。 ただし、それが属するパッケージが更新されるたびに書き換えられるため、このファイルを編集することはお勧めしません。 既存のキーマップを個人のキーマップと統合することをお勧めします。 loadkeys
ユーティリティはこれを行うことができます。
まず、キーマップファイルを作成します。 このキーマップファイルはどこにあってもかまいませんが、1つの方法は、/usr/local
のディレクトリ階層を模倣することです。/usr/local/share/kbd/keymaps
ディレクトリを作成し、/usr/local/share/kbd/keymaps/personal.map
を編集してください。
ちなみに、このような個人用キーマップは、デフォルトのキーマップですでに扱われているキーの動作を再定義する場合にも役立ちます。loadkeys
をロードすると、それらが新しい命令と競合する場合はデフォルトキーマップの命令が置き換えら 、それ以外の場合はそのまま保持されます。 このように、そのキーマップへの変更のみをパーソナルキーマップで指定する必要があります。
命令を追加する
このパーソナルキーマップには、2種類の命令が必要です。 まず、keycode命令、これは、デフォルトのキーマップに表示される形式と一致します。 これらの命令は、キーコードを keysym に関連付けます。 Keysym はキーボードアクションを表します。 使用可能なアクションには、文字コードまたは文字シーケンスの出力、コンソールまたはキーマップの切り替え、マシンの起動、およびその他の多くのアクションが含まれます。 現在アクティブな完全なキーマップは、次のコマンドで取得できます:
# dumpkeys -l
ほとんどの keysym は直感的です。 たとえば、キー112でもって 'e' を出力するように設定するには、命令は次のようになります:
keycode 112 = e
キー112でもってユーロ記号を出力するように設定するには、ディレクティブは次のようになります:
keycode 112 = euro
一部の keysym は、キーボードアクションにすぐには接続されません。 特に、大文字のFと30より大きい数からなる1〜3桁の数字(F1〜F246)が前に付いたキー記号は、常にフリーです。 これは、一連の文字やその他のアクションを出力するようにホットキーに指示するのに便利です:
keycode 112 = F70
次に、F70をバインドして特定の文字列を出力できます:
string F70 = "Hello"
キー112を押すと、F70の内容が出力されます。 ターミナルに表示されたコマンドを実行するには、コマンド文字列の最後に改行エスケープ文字を追加する必要があります。 たとえば、システムを休止状態にするためには、次のキーマップを追加します:
string F70 = "sudo systemctl hibernate\n"
その他の例
- (Emacs用に)右Altキーを左Altキーと同じにするには、キーマップで次の行を使用します。 これはファイル
/usr/share/kbd/keymaps/i386/include/linux-with-two-alt-keys.inc
をインクルードします。詳細については、チェックしてください。
include "linux-with-two-alt-keys"
- (Vim用に)CapsLockをEscapeと交換するには、それぞれのキーコードを再マップします。
keycode 1 = Caps_Lock keycode 58 = Escape
- CapsLockをもうひとつののコントロールキーにするには、それぞれのキーコードを再マップします。
keycode 58 = Control
- CapsLock と左コントロールを交換するには、それぞれのキーコードをリマップします。
keycode 29 = Caps_Lock keycode 58 = Control
変更を保存する
これらのパーソナルキーマップを使用するには、loadkeys によってロードする必要があります。
# loadkeys /usr/local/share/kbd/keymaps/personal.map
ただし、このキーマップは現在のセッションでのみアクティブになります。起動時にキーマップをロードするには、/etc/vconsole.confの KEYMAP
変数でファイルへのフルパスを指定します。 kbd が提供する公式キーマップにようにファイルを gzip で圧縮する必要はありません。
typematic delay と rate の調整
typematic delay はキーリピートを始めるのにキーを押し続ける必要がある時間 (ミリ秒) を表します。キーリピートが開始されると、typematic rate によって指定された頻度 (Hz) で文字が繰り返されます。これらの値は kbdrate コマンドを使うことで変更できます:
# kbdrate [-d delay] [-r rate]
例えば typematic delay を 200ms に typematic rate を 30Hz に設定するには、次のコマンドを実行します:
# kbdrate -d 200 -r 30
delay や rate の値を指定しないでコマンドを実行することで typematic の値をデフォルト (delay は 250ms で rate は 11Hz) に戻すことができます:
# kbdrate
Xorg で設定したい場合は Xorg でのキーボード設定#typematic delay と rate の調整を見てください。
Systemd サービス
systemd サービスを使ってキーボードレートを設定することもできます。例:
/etc/systemd/system/kbdrate.service
[Unit] Description=Keyboard repeat rate in tty. [Service] Type=oneshot RemainAfterExit=yes StandardInput=tty StandardOutput=tty ExecStart=/usr/bin/kbdrate -s -d 450 -r 60 [Install] WantedBy=multi-user.target