Kbuilder
kbuilder は、公式にサポートされている 4 つのカーネルのうちの 1 つを、独自のオプションのパッチや設定を加えて、別のパッケージ名でローカルにビルドすることができる bash スクリプトです。
例えば、linux-lts カーネルのソースを取得し、カーネルをインテルプロセッサに最適化するパッチを適用し、そのカーネルを linux-lts-intel-optimized としてインストールすることができます。
インストール
kbuilder の取得には以下の方法があります:
- kbuilderAUR パッケージをインストールする。
- github リポジトリから最新の開発版をインストールする。
カーネルのビルド
デフォルトのバニラ linux カーネルソースを取得し、デフォルトの名前 linux-kbuilder-custom でパッケージをビルドします:
$ kbuilder build
ビルドの過程で、kbuilder は PKGBUILD に bash シェルを注入します。このシェルは build()
が呼ばれる直前に実行され、パッチの追加やカーネル設定の変更をインタラクティブに行うことができます。シェルから抜けるとビルドは継続されます。
ビルドしたパッケージをインストールする:
$ kbuilder install
ビルド変数
kbuilderには設定ファイルがありませんが、環境変数でビルドプロセスを制御できます。
KBUILDER_SOURCE_PKG
は 'linux'、'linux-lts'、'linux-zen'、または 'linux-hardened' のいずれかで設定する必要があります。kbuilderは、この変数で指定されたカーネルを取得してビルドします。既定値は 'linux' です。公式カーネルについての詳細はカーネルを参照してください。
KBUILDER_PKG_NAME_APPEND
は、任意の文字列で設定することができます。カーネルバージョンとカーネルパッケージの末尾に追加されます。既定値は 'kbuilder-custom' です。
KBUILDER_BUILD_JOBS
は整数で設定する必要があります。kbuilderは、PKGBUILDのmake all
行をmake -jX all
に置換します。ここでXは指定された整数です。
使用例:
$ KBUILDER_BUILD_JOBS=4 KBUILDER_PKG_NAME_APPEND="my-custom-patch" KBUILDER_SOURCE_PKG="linux-zen" kbuilder build
フック
kbuilderは、/etc/kbuilder/hooks/
内のフックを検索し、build()
が呼び出される直前に、run-parts を使用してそれらを実行します。run-parts コマンドは、フラグ--regex "kbuilder-hook-*"
で実行されます。
例えば以下のようなフックがあります:
/etc/kbuilder/hooks/05-kbuilder-hook-cpu-optimize.sh
#!/bin/bash # # kbuilder hook for applying graysky2's kernel compiler patch: # https://github.com/graysky2/kernel_compiler_patch # SOURCE="https://raw.githubusercontent.com/graysky2/kernel_compiler_patch/master" PATCH="more-uarches-for-kernel-5.17+.patch" HOOK_NAME="cpu-optimize-hook" curl -o $PATCH $SOURCE/$PATCH || { echo "$HOOK_NAME failed when fetching $PATCH from $SOURCE" ; exit 1 ; } patch -Np1 -i "$PATCH" || { echo "$HOOK_NAME failed when applying $PATCH" ; exit 1 ; }
フックを作成するには、ファイル名を xx-kbuilder-hook-hookname
の形式に従って作成し、実行可能属性にします。その後、xxの値に従って順次実行されます。