電源管理/サスペンドとハイバネート

提供: ArchWiki
2024年1月11日 (木) 17:19時点におけるAshMyzk (トーク | 投稿記録)による版 (同期)
ナビゲーションに移動 検索に移動

関連記事

サスペンドの複数の方法を利用できます。とりわけ:

Suspend to idle
Intel は S0ix と呼んでおり、Microsoft は Modern Standby (以前は "Connected Standby") と呼んでいます。Linux カーネルでは S2Idle と呼ばれています。サポートされているシステムにおいて S3 スリープ状態の代わりに使用されるように設計されており、同等の節電機能を提供しますが、復帰に掛かる時間が大幅に短縮されます。
ヒント: WindowsmacOS はネットワーク活動のためにこの状態のデバイスの復帰をサポートしているので、これらの OS においてこの状態はバッテリーの消耗問題の影響を受けます。一方、Linux のソフトウェアエコシステムは現在この機能を使用しないため、影響を受けないはずです。
Suspend to RAM (サスペンド、スリープとも呼ばれます)
ACPI で S3 スリープ状態として定義されています。RAM を除くマシンのほとんど全てのパーツの電源を切ります。RAM への電源はマシンの状態を保存するために必要です。電力を多く節約できるので、ラップトップでは、バッテリーでコンピュータが稼働していてフタが閉じられた時 (もしくはユーザーが長い間操作しなかった時) は自動的にこのモードに移行するのが得策でしょう。
Suspend to disk (ハイバネートとも呼ばれます)
ACPI で S4 スリープ状態として定義されています。マシンの状態をスワップ領域に保存してマシンの電源を完全にオフにします。マシンに電源を入れた時、状態が復元されます。それまでは、電力消費量はゼロです。
Hybrid suspend (ハイブリットスリープとも呼ばれます)
サスペンドとハイバネートのハイブリッドです。Suspend to both と呼ばれることもあります。マシンの状態をスワップ領域に保存しますが、マシンの電源を切りません。代わりに、デフォルトのサスペンドを呼び出します。これによって、バッテリーを使いきっても、システムは即座に復帰できます。バッテリーが枯渇した時は、システムはディスクから復帰し、RAM からの復帰に比べて時間がかかりますが、システムの状態が失われることはありません。

カーネルは、基本的な機能を提供しており、問題のあるハードウェアドライバ/カーネルモジュール (例: ビデオカードの再初期化) に対処する機能を提供する高レベルなインターフェイスもいくつかあります。

カーネルのインターフェイス (swsusp)

ノート: カーネルのインターフェイスを直接使用することは可能です (ユーザー空間で追加の処理が無いので高速です) が、高レベルインターフェイスを使用することが推奨されます。そのようなインターフェイスは、ハードウェアクロックを適切に設定したり、無線ネットワークを回復させたりなどをするための、サスペンド前及び後のフック機構を提供しています。

カーネル内のソフトウェアサスペンドコード (swsusp) にサスペンド状態に入るよう直接伝えることは可能です。実際の方法と状態はハードウェアサポートのレベルによります。最近のカーネルでは、サスペンドにするために /sys/power/state に適切な文字列を書くことが主な方法になっています。

詳しくは カーネルドキュメント を参照してください。

高レベルインターフェイス

これらのパッケージではサスペンド/ハイバネートを行うためのバイナリ/スクリプトを提供します。実際に電源ボタンやメニュークリック、ラップトップのカバーのイベントなどと結びつけるのは他のツールで行うのが通常です。(ラップトップのカバーが閉じられたり、バッテリーが枯渇するなど)特定の電源イベントで自動的にサスペンド/ハイバネートをするには、Acpid の実行について調べて下さい。

systemd

systemd はサスペンド・ハイバネート・ハイブリッドサスペンドを行うためのネイティブのコマンドを提供しています。詳しくは 電源管理#電源管理 を見て下さい。これは Arch Linux で使われているデフォルトのインターフェースです。

サスペンド・ハイバネートのフックの設定に関する情報は電源管理#スリープフックに載っています。systemctl(1)systemd-sleep(8)systemd.special(7) もあわせて参照してください。

サスペンドの方法を変更する

S0ix サスペンドが通常の S3 スリープと同じ節電機能を提供しないシステム、あるいは、電力を節約することが復帰を高速化することよりも優先される場合においては、デフォルトのサスペンド方法を変更することが可能です。

ヒント: S0ix は S3 スリープと同等かより高い節電性能を提供するはずです。意図通りに S0ix を機能させることができるかどうかは、次の Intel のブログ投稿を参照してください: How to achieve S0ix states in LinuxLinux S0ix TroubleshootingIdling Efficiently on Linux: A Case Study。Intel システムでは S0ixSelftestTool を使うことができます。

以下のコマンドは、ハードウェアによってサポートされていると広告されている全てのサスペンド方法を出力します (現在のサスペンド方法は角括弧に囲まれます[1]):

$ cat /sys/power/mem_sleep
[s2idle] shallow deep

ハードウェアが deep スリープ状態を広告していない場合、UEFI にそのような設定がないか確認してください。通常、PowerSleep state などのような項目にあります。S0ix のオプションは Windows 10Windows and LinuxS3/Modern standby support という名前です。S3 スリープのオプションは LegacyLinuxLinux S3S3 enabled という名前です。設定できない場合、s2idle を使い続けることもできます、ハイバネート を使うことを検討するか、DSDT テーブルにパッチを当ててみてください (あるいは、パッチ適用済みのバージョンを見つけてください)。

ノート: 最後の解決策は将来的に問題が発生する可能性があります。Windows を同梱しているシステムではデフォルトで "Modern standby" を使うよう推奨されているため、メーカーは ACPI S3 状態のバグの修正を停止しています。メーカーが自発的にそれを広告していない場合、おそらく、S3 状態は何らかの形で壊れています。

スリープの方法を変更したあと、スリープサイクルを何回かテストして、ハードウェアが S3 スリープで問題を起こさないかテストしてください:

# echo "deep" > /sys/power/mem_sleep

問題が無ければ、mem_sleep_default=deep カーネルパラメータ を使って変更を永続化できます。

いくつかの逆の状況では、問題のあるファームウェアが s2idle しかサポートしていないにも関わらず、deep をサポートしていると広告することがあります。この場合、sleep.conf.d(5) 内で SuspendState を使うことにより、s2idle を使うことができます:

/etc/systemd/sleep.conf.d/freeze.conf
[Sleep]
SuspendState=freeze

ハイバネーション

ハイバネートを行うには、次のことを行う必要があります: スワップパーティションかスワップファイルの作成する。初期ユーザー空間で復帰プロセスを初期化できるようにするために initramfs を設定する。Initramfs から利用できる方法でスワップ領域の場所を指定する (例えば、HibernateLocation EFI 変数を systemd で定義したり、resume= カーネルパラメータを設定したり)。これらの3つの手順は以下で詳細に説明されています。

ノート:
  • ディスク暗号化を利用する場合はDm-crypt/スワップの暗号化#suspend-to-disk を使用するを見てください。
  • linux-hardenedはハイバネーションをサポートしていません。詳しくはFS#63648を見てください。
  • zram 上のスワップへのハイバネートはサポートされていません。たとえ zram が永久記憶装置上のバッキングデバイスを使うように設定されていたとしてもです。logind は、zram 上のスワップ領域へハイバネートしようとする試みから保護します。

スワップパーティション(ファイル)のサイズについて

スワップパーティションが RAM より小さかったとしても、ハイバネートが成功する可能性は高いと思われます。image_size sysfs(5) 疑似ファイルに関する情報は カーネルドキュメントの "image_size" を見てください。

(スワップパーティションを小さくして) /sys/power/image_size の値を減らしてサスペンドのイメージを出来る限り小さくすることも、値を増やしてハイバネーションを高速化することも可能です。大きな容量の RAM を搭載しているシステムでは、より小さい値にするとハイバネートからの復帰が劇的に速くなることがあります。image_size の値を再起動後も保持するために systemd#systemd-tmpfiles - 一時ファイル を使うことができます:

/etc/tmpfiles.d/hibernation_image_size.conf
#    Path                   Mode UID  GID  Age Argument
w    /sys/power/image_size  -    -    -    -   0

サスペンドイメージは複数のスワップパーティション/スワップファイルにまたがって保存することができません。イメージのすべての部分が1つのスワップパーティション/スワップファイルに収まらなければなりません。[2]

initramfs の設定

  • Busybox ベースの initramfs を使用している場合 (Arch ではデフォルトです)、/etc/mkinitcpio.confresume フックを追加する必要があります。ラベルあるいは UUID どちらを使用している場合でもスワップパーティションは udev デバイスノードによって参照されるので、resume フックは必ず filesystems の前に追加してください。デフォルトのフック設定に resume フックを追加すると以下のようになります:
HOOKS=(base udev autodetect modconf kms keyboard keymap consolefont block filesystems resume fsck)
変更を適用するために initramfs の再生成を忘れずに行ってください。
ノート: スワップ領域にスタックされたストレージ (例えば、dm-cryptRAIDLVM) を使用している場合は、最後のマッピングされるデバイスが、初期ユーザー空間内及び復帰プロセスの初期化前に利用できるようにする必要があります。つまり、どうすればよいかというと、resume フックを encryptlvm2 などのフックより後に置く必要があります (そのような環境である場合)。
  • initramfs で systemd フックを使っている場合は、復帰機構が既に提供されているので、フックを追加する必要はありません。

必要なカーネルパラメータ

カーネルパラメータ resume=swap_device を使う必要があります。永続的なブロックデバイスの命名swap_device に使用することができます。例:

  • resume=/dev/sda1
  • resume=UUID=4209c845-f495-4c43-8a03-5363dd433153
  • resume=/dev/mapper/archVolumeGroup-archLogicVolume -- スワップが LVM 論理ボリュームにある場合

カーネルパラメータは再起動後に有効となります。すぐにハイバネートできるようにするには、lsblk を使ってボリュームのメジャーデバイスナンバーとマイナーデバイスナンバーを手に入れて、/sys/power/resumemajor:minor という形式で書き込んでください。スワップファイルを使用している場合は、追加で /sys/power/resume_offset に resume オフセットを書き込んでください。[3]

例えば、スワップデバイスが 8:3 の場合:

# echo 8:3 > /sys/power/resume

スワップファイルにハイバネートする場合で、スワップファイルがボリューム 8:2 にあり、オフセットが 38912 の場合:

# echo 8:2 > /sys/power/resume
# echo 38912 > /sys/power/resume_offset

スワップファイルにハイバネーション

スワップファイルを使うには、カーネルパラメータ resume=UUID=swap_device_uuidresume_offset=swap_file_offset の両方を設定する必要があります。カーネルのドキュメントを参照してください。

swap_device は、スワップファイルの存在するボリュームであり、root パラメータと同じ形式に従います。

Btrfs 以外のファイルシステムでは、swap_file_offset の値は filefrag -v swap_file を実行することで得られます。このコマンドは表を出力します。必要な値は physical_offset 列の最初の行にあります。

例えば:

# filefrag -v /swapfile
Filesystem type is: ef53
File size of /swapfile is 4294967296 (1048576 blocks of 4096 bytes)
 ext:     logical_offset:        physical_offset: length:   expected: flags:
   0:        0..       0:      38912..     38912:      1:
   1:        1..   22527:      38913..     61439:  22527:             unwritten
   2:    22528..   53247:     899072..    929791:  30720:      61440: unwritten
...

この例では、swap_file_offset の値は、2つのピリオドが付いている最初の 38912 であり、カーネルパラメータは resume_offset=38912 となります。

Btrfs の場合、filefrag ツールは使わないでください。filefrag から得られる "physical" オフセットの値は、ディスク上の実際の物理オフセットとは異なるからです。複数のデバイスをサポートするために、仮想的なディスクアドレス空間が存在するのです。[4] 代わりに、btrfs-inspect-internal(8) コマンドを使ってください。例えば:

# btrfs inspect-internal map-swapfile -r /swap/swapfile
198122980

この例では、swap_file_offset198122980 であり、カーネルパラメータは resume_offset=198122980 となります。

ヒント:
  • 次のコマンドは swap_device_uuid を特定するのに利用できます: findmnt -no UUID -T /swapfile
  • 次のコマンドは、Btrfs 以外のファイルシステムで swap_file_offset を特定するのに利用できます: filefrag -v /swapfile | awk '$1=="0:" {print substr($4, 1, length($4)-2)}'
ノート:
  • 暗号化コンテナ (LUKS)、 RAID、 LVM のようなスタックブロックデバイスでは、resume パラメータはスワップファイルのあるファイルシステムを含んでいる、アンロックまたはマップされたデバイスを指していなければなりません。
  • スワップファイルが /home/ に存在する場合、systemd-logind はスワップファイルのサイズを正しく判断することができないため、以下のメッセージによりハイバネートを停止します: Failed to hibernate system via logind: Not enough swap space for hibernation。2つの回避策については systemd issue 15354 をご覧ください。
ヒント: スワップファイルを作成する目的が、仮想メモリの拡張ではなくハイバネートがしたいだけの場合、スワップファイルの Swappiness を減らすとよいでしょう。

ハイバネート用のスワップファイルを zram で保持する

RAM 圧縮 (zram) でのハイバーネートの問題は、複数のスワップ領域を同時に保持することで解決できます。Systemd は、ハイバネートをトリガーする前に zram ブロックデバイスを常に無視するので、特に設定せずに両方の領域 (スワップファイルと zram) を保持できるはずです。

スワップファイルを設定し、zram ページの指示に従って、zram に高いスワップ優先度 (例えば pri=100) を割り当ててください。

ノート:

thinly-provisioned LVM ボリュームへのハイバネーション

thinly-provisioned LVM されたボリュームへの休止状態は可能ですが、ボリュームが完全に割り当てられていることを確認する必要があります。そうしないと、再開に失敗します。FS#50703 を見てください。

LVM ボリュームをゼロで埋めるだけで、 LVM ボリュームを完全に割り当てることができます。 例えば:

# dd if=/dev/zero of=/dev/vg0/swap bs=1M status=progress

ボリュームが完全に割り当てられていることを確認するには、次を使用できます:

# lvs
  LV                   VG  Attr       LSize   Pool Origin    Data%  Meta%  Move Log Cpy%Sync Convert
  swap                 vg0 Vwi-aot--- 10.00g  pool           100

完全に割り当てられたボリュームは、100%のデータ使用量であると表示されます。

警告: 休止状態に使用される thinly-provisioned されたスワップボリュームで TRIM を使用しないでください。つまり、 /etc/fstabdiscard を使用しないでください。 swapon-d/--discard オプション。 そうしないと、使用済みスペースの割り当てが解除されます。

Intel Rapid Start Technology (IRST)

Intel Rapid Start Technology とは、ハイバネートするためのハードウェア上の方法で、あらかじめ設定された時間の後やバッテリー状態に基づいてスリープからハイバネートに移行できるようにします。IRSTは、オペレーティングシステムのレベルではなくファームウェアによって行われるので、通常のハイバネートよりも速く信頼性が高いはずです。一般的に、IRST はファームウェアで有効化する必要があり、またファームウェアで、サスペンド/バッテリイベント後にハイバネートをトリガーするまでの時間を設定できます。しかし、一部のデバイスは IRST をファームウェアでサポートしていますが、Intel の Windows ドライバからでしか設定できません。そのような場合には、以下で説明している intel-rst カーネルモジュールで Linux でもイベントを設定できるはずです。

Intel Rapid Start Technology (IRST) が有効の場合、deep sleep からの再開には "S3から再開するよりも数秒長くなりますが、ハイバネートから再開するよりもはるかに高速です"。

Intel ベースのシステムの多くは、 IRST のファームウェアをサポートしていますが、(HDD ではなく) SSD 上に特別なパーティションを必要とします。 Windows の OEM 展開では、Arch Linux インストールプロセス中に (SSD 全体を消去して再パーティションするのではなく) 保持できる IRST パーティションがすでに存在している場合があります。システムの RAM と同じサイズの未フォーマットパーティションとして表示されます。

警告: Intel Rapid Start パーティションは暗号化されていません。「Intel は、あなたがソフトウェアベースのディスク暗号化を使用している場合、Intel Rapid Start Technology を無効化することを推奨します。」[5]

ドライブ全体を消去してパーティションを切り直すつもりなら (あるいはすでにそうしてしまっているなら) IRST パーティションも再作成しなければなりません。これを行うには、システムの RAM と同じサイズの空のパーティションを作成し、そのパーティションの種類が GPT パーティションの場合は GUID D3BFE2DE-3DAF-11DF-BA40-E3A556D89593 に、 MBR パーティションの場合は ID 0x84 に設定します。また、システムのファームウェア設定で IRST のサポートを有効にする必要がある場合もあります。

ヒント: (サスペンド後に)IRST が開始されるまでの時間は、システムのファームウェア設定で調整できます。

IRST ハイバネートにかかる時間 (つまり、"RAMの内容全体を特殊なパーティションに" コピーする時間) は、システムの RAM サイズと SSD 速度によって異なり、20~60秒かかります。システムによっては、プロセスの完了を(点滅を止めるなどして) LED インジケータで示す場合があります。

Linux カーネルで IRST ハイバネートイベントを設定するには、CONFIG_INTEL_RST オプションでカーネルに組み込むか、カーネルモジュールとして利用可能である必要があります。modprobe intel_rst を実行してモジュールをロードすれば、/sys/bus/acpi/drivers/intel_rapid_start/*/ にファイル wakeup_eventswakeup_time が生成されるはずです。これらを用いて、さらなる設定を行うことができます。このモジュールは簡潔にドキュメント化されています。詳細は drivers/platform/x86/intel/rst.c を見てください。

Intel Rapid Start Technology に関する情報は、general Q&Auser guides も見てください。

トラブルシューティング

ACPI_OS_NAME

DSDT table を動作するように設定することができます。DSDT の記事を参照してください。

サスペンド/ハイバネートが動作しない、あるいはたまに動作しなくなる

ハイバネートやサスペンドから復帰した時に画面が真っ暗になって、明確なエラーは表示されず、何もできなくなるという報告が多数存在します。これらの問題は、ノートパソコンとデスクトップの両方で確認されています。公式の解決方法ではありませんが、古いカーネル、特に LTS カーネルに切り替えることで問題が解決することがあります。

ハードウェアの watchdog タイマーを使用している場合に問題が起こることもあります (デフォルトで無効化されています、systemd-system.conf(5) § OPTIONSRuntimeWatchdogSec= を見てください)。バグのある watchdog タイマーにより、システムがハイバネートイメージの作成を終える前に、コンピュータがリセットされることがあります。

時々、initramfs 内からのデバイスの初期化によって黒画面が発生することがあります。Mkinitcpio#MODULES 内にあるモジュールを削除し、kms フックを削除し、initramfs を再ビルドすると、この問題を解決できる可能性があります (特に、KMS の早期開始が設定されたグラフィックスドライバの場合)。復帰前にそのようなデバイスを初期化すると、整合性がなくなり、システムのハイバネートからの復帰を妨げてしまう可能性があります。これは RAM からの復帰には影響しません。また、ブログ記事 best practices to debug suspend issues も確認してください。

ATI ビデオドライバから新しい AMDGPU ドライバに移行すると、ハイバネートと復帰のプロセスを成功させることができる可能性があります。

NVIDIA ユーザは、nvidiafb モジュールをブラックリスト化すると、問題が解決するかもしれません。[6]

Intel CPU を搭載していて、タッチパッドのために intel_lpss_pci をロードするノート PC では、復帰時にカーネルパニックを引き起こすことがあります(この時、caps lock が点滅する) [7]。このモジュールは、以下のように initramfs に追加する必要があります:

/etc/mkinitcpio.conf
MODULES=(... intel_lpss_pci ...)

そして、initramfs を再生成してください。

Wake-on-LAN

Wake-on-LAN が有効になっている場合、コンピュータがハイバネート状態になっていてもネットワークインターフェイスカードによって電力が消費されます。

サスペンドからすぐに復帰する

電源管理/復帰トリガー#サスペンドからすぐに復帰する を見てください。

AMD CPU 上で Linux カーネル 6.1 以上を使用している場合、これはカーネル内の S3 関連の制御ポリシーの問題が原因である可能性もあります。一時的な解決策は、関連する i2c デバイスの復帰をオフにすることです。関連する i2c デバイスは以下のコマンドで見つけられます:

$ ls /sys/bus/i2c/devices/*/power/wakeup

デバイス名の形式は i2c-ELAN0679:00i2c-MSFT0001:00 であるはずです。次に、以下のコマンドでサスペンドに移行できるかテストします:

# echo disabled > /sys/bus/i2c/devices/device_name/power/wakeup
# systemctl suspend

これでうまく行くならば、udev ルールを追加することで、この設定を永続化できます:

/etc/udev/rules.d/99-avoid-i2c-wakeup.rules
KERNEL=="device_name", SUBSYSTEM=="i2c", ATTR{power/wakeup}="disabled"

ハイバネートした時にシステムの電源が落ちない

システムをハイバネートした時には、(状態をディスク上に保存したあとに)システムの電源が落ちるはずです。時々、ハイバネートした後も電源 LED が光り続けることがあります。これが起こる場合、sleep.conf.d(5)HibernateModeshutdown に設定すると問題が解決するかもしれません。

/etc/systemd/sleep.conf.d/hibernatemode.conf
[Sleep]
HibernateMode=shutdown

上記の設定により、その他の設定が正しく行われていれば、systemctl hibernate を実行するとマシンがシャットダウンし、状態をディスクに保存します。

ハイバネート後に起動するとオペレーティングシステムが見つからない (または、間違った OS が起動する)

これは、ブートディスクが外部ディスクである場合に起こる可能性があります。BIOS/ファームウェアの制限が原因であるようです。ハイバネーションは外部 (あるいは別の) ディスク上の OS から行われたが、BIOS/ファームウェアは内部ディスクから起動を試みてしまっているのです。

#ハイバネートした時にシステムの電源が落ちない で説明したように HibernateMode=shutdown を設定することで、この問題を永久に解決できます。すでにシステムから締め出されてしまっている場合、システムを4回再起動 (毎回、エラーが表示されるまで待ってください) してみることで、一部の BIOS 上では通常のブート手順を強制することができます。

翻訳ステータス: このページは en:Power management/Suspend and hibernate の翻訳バージョンです。最後の翻訳日は 2024-01-11 です。もし英語版に 変更 があれば、翻訳の同期を手伝うことができます。