Core utilities
テンプレート:Related articles start (日本語)
この記事では less, ls, grep などの GNU/Linux システムのコアユーティリティを扱っています。この記事の扱う範囲は GNU coreutils パッケージに含まれているユーティリティに留まりません。ユーティリティに関連する様々なヒント・小技、その他便利な情報を載せています。
目次
cat
cat (catenate) はファイルを連結して表示する標準の Unix ユーティリティです。
- cat はシェルにビルトインされていないため、多くの場合でリダイレクションを使ったほうが便利です (例: スクリプト、もしくはパフォーマンスが必要な場合)。実際
< file
はcat file
と全く同じです。
- cat は複数行でも動作しますが、バッドプラクティスとして言われることもあります:
$ cat << EOF >> path/file first line ... last line EOF
代わりに echo コマンドを使うほうが良いでしょう:
$ echo "\ first line ... last line" \ >> path/file
- ファイルの行を逆順で cat する必要がある場合、tac (cat reversed) という名前のユーティリティがあります。
cron
cron は Unix ライクなコンピュータオペレーティングシステムにおける時間基準のジョブスケジューラです。
メインの記事を参照してください。
dd
dd は主にファイルを変換・コピーするために使われる Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムのコマンドです。
実行中に dd の進行度を確認する
デフォルトでは、dd は作業が完了するまで何も出力をしません。kill と USR1
シグナルを使うことでプログラムを終了することなく状態を出力させることが可能です。新しい root のターミナルを開いて次のコマンドを実行してください:
# killall -USR1 dd
もしくは:
# kill -USR1 pid_of_dd_command
例えば:
# kill -USR1 $(pidof dd)
これで dd は当面の進捗をターミナルに出力するようになります。例:
605+0 records in 605+0 records out 634388480 bytes (634 MB) copied, 8.17097 s, 77.6 MB/s
dd 派生
他の dd ライクなプログラムには定期的に状態を出力する (例: シンプルなプログレスバー) 機能があります。
- dcfldd
- dcfldd は dd にフォレンジクスやセキュリティの面で改良を加えたバージョンです。ほとんどの dd のパラメータを扱うことができステータスの出力もできます。dcfldd の最後の安定版は2006年12月19日にリリースされました。[1]
grep
grep (ed の g/re/p, global/regular expression/print から) は Unix のために書かれたコマンドラインの文章検索ユーティリティです。grep コマンドはファイルや標準入力から与えられた正規表現と一致する行を検索し、プログラムの標準出力に表示します。
- Remember that grep はファイルを処理できるので、
cat file | grep pattern
のようなコンストラクトはgrep pattern file
に置き換えられます
- VCS のソースコードを grep する場合、ack や the_silver_searcher などの最適化されたユーティリティが存在します。
出力のカラー化
grep のカラー出力は画面が美しくなるだけでなく regexp や grep の機能を学ぶのにとても便利です。
grep のデフォルトカラーを使うには、以下のエントリをシェルの設定ファイルに書いて下さい。例えば Bash を使っている場合:
~/.bashrc
alias grep='grep --color=auto'
また、GREP_OPTIONS
環境変数を設定することも可能ですが、これを使うと grep を使うスクリプトを壊してしまう可能性があるので注意してください [2]:
export GREP_OPTIONS='--color=auto'
ファイルの行番号を出力に含めたいときは、-n
を追加してください:
alias grep='grep -n --color=auto'
環境変数 GREP_COLORS
を使ってデフォルトとは異なる色を指定することもできます。
iconv
iconv
は文字列のエンコーディングをあるコードセットから他のコードセットへ変換します。
次のコマンドはファイル foo
を ISO-8859-15 から UTF-8 へ変換して foo.utf
として保存します:
$ iconv -f ISO-8859-15 -t UTF-8 foo >foo.utf
詳しくは man iconv
を読んで下さい。
ip
ip を使うことで Linux の IP ソフトウェアスタックにおけるネットワークデバイス・IP アドレス・ルーティングテーブルなどの情報を表示することができます。様々なコマンドを加えることで、オブジェクトの操作や設定をすることも可能です。
オブジェクト | 用途 | man ページ |
---|---|---|
ip addr | プロトコルアドレス管理 | ip-address |
ip addrlabel | プロトコルアドレスラベル管理 | ip-addrlabel |
ip l2tp | tunnel ethernet over IP (L2TPv3) | ip-l2tp |
ip link | ネットワークデバイス設定 | ip-link |
ip maddr | マルチキャストアドレス管理 | ip-maddress |
ip monitor | netlink メッセージの監視 | ip-monitor |
ip mroute | マルチキャストルーティングキャッシュ管理 | ip-mroute |
ip mrule | マルチキャストルーティングポリシー db のルール | |
ip neigh | neighbour/arp テーブル管理 | ip-neighbour |
ip netns | プロセスネットワーク名前空間管理 | ip-netns |
ip ntable | neighbour テーブル設定 | ip-ntable |
ip route | ルーティングテーブル管理 | ip-route |
ip rule | ルーティングポリシーデータベース管理 | ip-rule |
ip tcp_metrics | TCP Metrics の管理 | ip-tcp_metrics |
ip tunnel | トンネル設定 | ip-tunnel |
ip tuntap | TUN/TAP デバイスの管理 | |
ip xfrm | IPsec ポリシーの管理 | ip-xfrm |
全てのオブジェクトで help
コマンドが利用可能です。例えば、ip addr help
と入力すればアドレスオブジェクトで利用できるコマンド構文が表示されます。
Network Configuration (日本語) の記事では実際問題として ip コマンドを様々な作業でどうやって使えばいいのか解説しています。
less
less はテキストファイルの中身を一画面単位で表示するのに使われるターミナルページャプログラムです。more や pg といった他のページャと同じですが、less はより高度なインターフェイスと完全な feature-set を提供します。
環境変数を使った出力のカラー化
以下の行をシェルの設定ファイルに加えて下さい:
~/.bashrc
export LESS=-R export LESS_TERMCAP_me=$(printf '\e[0m') export LESS_TERMCAP_se=$(printf '\e[0m') export LESS_TERMCAP_ue=$(printf '\e[0m') export LESS_TERMCAP_mb=$(printf '\e[1;32m') export LESS_TERMCAP_md=$(printf '\e[1;34m') export LESS_TERMCAP_us=$(printf '\e[1;32m') export LESS_TERMCAP_so=$(printf '\e[1;44;1m')
値は好きなように変更してください。参照: ANSI escape code。
wrappers を使った出力のカラー化
less でシンタックスハイライトを有効にすることができます。まず、source-highlight をインストールし、次に以下の行をシェルの設定ファイルに追加してください:
~/.bashrc
export LESSOPEN="| /usr/bin/source-highlight-esc.sh %s" export LESS='-R '
コマンドラインインターフェイスを頻繁に使う場合 lesspipe をインストールすると良いかもしれません。
ページャを使ってアーカイブの中の圧縮されたファイルを表示することができるようになります:
$ less compressed_file.tar.gz
==> use tar_file:contained_file to view a file in the archive -rw------- username/group 695 2008-01-04 19:24 compressed_file/content1 -rw------- username/group 43 2007-11-07 11:17 compressed_file/content2 compressed_file.tar.gz (END)
lesspipe はファイルタイプに関連付けられたコマンドの代替として (例えば html2text で HTML を回覧する)、アーカイブ以外のファイルも less のインターフェイスに接続します。
lesspipe を有効にするにはログインしなおすか、/etc/profile.d/lesspipe.sh
を実行してください。
もうひとつのページャとしての Vim
Vim (visual editor improved) にはテキストファイル・圧縮ファイル・バイナリ・ディレクトリの中身を表示するスクリプトが含まれています。次の行をシェルの設定ファイルに追加することでページャとして使うことが可能です:
~/.bashrc
alias less='/usr/share/vim/vim74/macros/less.sh'
また、less.sh マクロの代替も存在し、PAGER
環境変数として使えます。vimpager-gitAUR をインストールしてシェルの設定ファイルに以下を加えて下さい:
~/.bashrc
export PAGER='vimpager' alias less=$PAGER
これで PAGER
環境変数を使うプログラム、git などはページャとして vim を使うようになります。
locate
locate はファイルシステム上のファイルを探します。updatedb やデーモンによって生成しインクリメンタルエンコードを使って圧縮した、事前に作ったファイルのデータベースを使って検索を行います。find よりも圧倒的に高速ですが、データベースの定期的な更新が必要です。
メインの記事を参照してください。
ls
ls (list) は Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムで使われる、ファイルを一覧するコマンドです。
- ls はファイルのパーミッションを表示できます。
- カラー出力はシンプルなエイリアスで有効にできます。
~/.bashrc
ファイルには/etc/skel/.bashrc
からコピーされた次のエントリが既に含まれているはずです:
alias ls='ls --color=auto'
- 次のステップはカラーになった ls 出力をさらに向上させることです; 例えば、壊れた (孤立した) シンボリックリンクを赤色で表示するようにします。以下をシェルの設定ファイルに追加してください:
eval $(dircolors -b)
man
man (manual page) はオンラインのソフトウェアドキュメントの一つで基本的に Unix や Unix ライクなオペレーティングシステムで使われます。(ライブラリやシステムコールを含む) コンピュータプログラム、正式の標準・規則、さらに抽象的な概念などをカバーしています。Man Pages を見て下さい。
mkdir
mkdir (make directory) はディレクトリを作成するコマンドです。
- ディレクトリと階層全体を作るには、
-p
スイッチを使って下さい。そうしないとエラーが表示されます。-p
スイッチをデフォルトで使うようにすることもできます。
alias mkdir='mkdir -p -v'
-v
スイッチはメッセージを有効にします。
- 作成したディレクトリのモードを変更するのに chmod を使う必要はありません。
-m
オプションでアクセス権限を定義できます。
mv
mv (move) はファイルやディレクトリを移動したり名前の変更をするコマンドです。危険なコマンドになる可能性があるので範囲に制限をしたほうが賢明です:
alias mv=' timeout 8 mv -iv'
このエイリアスは8秒後に mv を中止し、3つ以上のファイルの削除を確認し、進行中の操作を表示し、(スペースから始まるコマンドを無視するようシェルが設定されている場合) シェルの history ファイルに操作を保存しません。
rm
rm (remove) はファイルやディレクトリを削除するコマンドです。
- 使い方によっては危険性があるので範囲に制限をかけると良いでしょう:
alias rm=' timeout 3 rm -Iv --one-file-system'
- このエイリアスは3秒後に rm を中止し、3つ以上のファイルの削除を確認し、進行中の操作を表示し、複数のファイルシステムに影響を与えず、(スペースから始まるコマンドを無視するようシェルが設定されている場合) シェルの history ファイルに操作を保存しません。たった1つのファイルでも確認が必要ならば
-I
の代わりに-i
を使って下さい。 - Zsh のユーザーは
timeout
の前にnoglob
を記述することで暗示的な拡張を避けることができます。
- 空のディレクトリを削除するときは、rmdir を使ってください。
sed
sed (stream editor) は文章をパース・変換する Unix ユーティリティです。
ここに sed を使ったワンライナーの 一覧 があります。
seq
seq (sequence) は連続する数字を生成するユーティリティです。シェルに内蔵されている代替があるので、Wikipedia で説明されているように使うと良いでしょう。
shred
shred は完全にファイルやディレクトリを削除するコマンドです。使い方によっては大変危険なので範囲は限るべきです:
alias shred=' timeout 3 shred -v'
このエイリアスは3秒後に shred を中止し、進行中の操作を表示し、(スペースから始まるコマンドを無視するようシェルが設定されている場合) シェルの history ファイルに操作を保存しません。
Zsh のユーザーは timeout
の前に noglob
を記述することで暗示的な拡張を避けることができます。
sudo
Sudo (as superuser do) はユーザーが他のユーザー (通常はスーパーユーザー、もしくは root) のセキュリティ特権を使ってプログラムを実行することができる、Unix ライクなコンピュータオペレーティングシステムのためのプログラムです。Sudo (日本語) を見て下さい。
パーミッションに関連するユーティリティ
- chmod (change mode) はファイルシステムオブジェクト (ファイルとディレクトリ) のアクセス権限を変更したり特別なフラグを指定する Unix のシェルコマンドとシステムコールの名前です。
- chown (change owner) はファイルの所有者を変更するために Unix ライクなシステムで使われます。
- chattr (change attributes) は様々な Linux ファイルシステムに入っているファイルに特定の属性を設定する Linux オペレーティングシステムのコマンドです。
- lsattr (list attributes) は Linux の extended file system の属性を表示するコマンドラインプログラムです。
ls -l
はファイルの属性を表示します。
以上のユーティリティは File permissions and attributes の記事で説明しています。もっと高度なパーミッションの使い方は capabilities や ACL を参照してください。
参照
- A sampling of coreutils , part 2 , part 3 - Overview of commands in coreutils
- GNU Coreutils Manpage
- Learn the DD command