OpenRC
OpenRC は Gentoo の開発者によってメンテナンスされている init システムです。OpenRC は依存関係を前提とした init システムで、sysvinit などの init プログラムが動いているシステムで動作します。OpenRC は sysvinit を置き換えるものではありません。
目次
インストール
OpenRC は AUR から利用可能です。openrcAUR または openrc-gitAUR パッケージを選んでインストールできます。また、openrc-arch-services-gitAUR (arch で openrc を使うために必要なサービスファイルを提供します) と openrc-sysvinitAUR (伝統的な sysvinit に多少のパッチがあてられたバージョン) もインストールする必要があります。initscripts と互換性を保つために、openrc-sysvinitAUR は sysvinit の init バイナリを /usr/bin/init-openrc
としてインストールします。
パッケージはデフォルトの位置である /etc
ではなく /etc/openrc
の元にインストールされるので、ユーザーは必要に応じて initscripts や systemd に切り替えることが可能です。
設定
OpenRC を使って起動するには init=/usr/bin/init-openrc
を使用しているブートローダーの設定のカーネル行に追加してください。systemd に戻したい場合は、設定したところを init=/usr/lib/systemd/systemd
に変えて下さい。
OpenRC の設定に関する詳細な資料は、man ページ を見たり、gentoo wiki を参照してください。
udev サービスはデフォルトでは有効になっていないので注意してください。有効にするには、次を実行してください:
# rc-update add udev sysinit
サービス
OpenRC のサービスは root で rc-update add service_name runlevel
を実行することで有効にできます。最低でも以下のサービスを有効化することが推奨されます:
サービス名 | ランレベル | 説明 |
---|---|---|
udev | sysinit | デバイスのホットプラグ |
alsa | default | ALSA の状態 |
acpid | default | ACPI イベント |
dbus | default | メッセージバス |
dcron | default | スケジュール |
syslog-ng | default | システムログ |
Native services やデーモンも参照してください。
ネットワーク
ネットワークを立ち上げて動かす方法は複数存在します。一つは /etc/openrc/conf.d/network
ファイルを設定することです。ip
(iproute2) と ifconfig
(net-tools) 両方のコマンドがサポートされています。
以下は ip
を使った設定の例です。
ip_eth0="192.168.1.2/24" defaultiproute="via 192.168.1.1" ifup_eth0="ip link set \$int mtu 1500"
network サービスはデフォルトで起動時のランレベルに追加されるため、これ以外の設定は必要ありません。
また、NetworkManager や dhcpcd、さらに netcfgAUR などを使うことも可能です。それぞれのサービスを有効にしてください。
一般的な、ネットワークの設定の詳細においてはネットワーク設定を見て下さい。
ログ
syslog-ng
syslog-ng を使う場合、/etc/syslog-ng/syslog-ng.conf
内の次の行をコメントアウトしてください:
unix-dgram("/run/systemd/journal/syslog")
そして、代わりに次の行を追加してください:
unix-dgram("/dev/log");
起動時のログ
OpenRC の起動時のログはデフォルトで無効になっています。有効にするには、/etc/openrc/rc.conf
内の次の行をアンコメントしてください:
#rc_logger="YES"
ホストネーム
OpenRC は /etc/openrc/conf.d/hostname
からホストネームを設定します。
以下は設定ファイルの例:
/etc/openrc/conf.d/hostname
hostname="myhostname"
モジュールの自動ロード
OpenRC は /etc/modules-load.d/
フォルダを使用せず、そのかわりに /etc/openrc/conf.d/modules
を使います。
このファイルに以下のように行を追加してください:
modules=acpi_cpufreq
ロケール
OpenRC でロケールを設定する方法が備わっていません。しかしながら、/etc/locale.conf
ファイルを使って設定することが可能です。このファイルは /etc/profile.d/locale.sh
で読み込まれます。
ロケールの設定に関する詳細は、ロケールを参照してください。
トラブルシューティング
/tmp のアンマウント時にエラーが起こる
システムをシャットダウンするときに、以下のようなエラーメッセージが表示されることがあります:
* Unmounting /tmp ... * in use but fuser finds nothing [ !! ]
この問題は /etc/openrc/conf.d/localmount
に以下を追加することで修正できます:
no_umounts="/tmp"
IPv6 が無効にできない
OpenRC は /etc/openrc
の sysconf ディレクトリにインストールした場合に起こります。
/etc/openrc/sysctl.d
下のファイル (拡張子は .conf にしてください) に以下を記述することで修正できます:
# Disable ipv6 net.ipv6.conf.all.disable_ipv6 = 1
シャットダウン中に読み込み専用での root の再マウントが失敗する
この問題が発生する場合、/etc/openrc/init.d/mount-ro
を編集して以下を:
telinit u
次の行の後に記述してください:
# Flush all pending disk writes now sync; sync
/etc/sysctl.conf not found
デフォルトで、sysctl の設定をロードするために sysctl --system
が実行されます [1]。Arch では存在しない /etc/sysctl.conf
も読み込まれます [2]。
ファイルが見つからないというエラーを表示させたくない場合、ファイルを作成してください:
# touch /etc/sysctl.conf
OpenRC でデスクトップ環境を使う
OpenRC でデスクトップ環境を使う場合、ConsoleKit が役に立ちます。サービス を /etc/openrc/init.d
にインストールして、有効化してください:
# rc-update add consolekit default
詳しくは ConsoleKit を参照。
systemd との比較
systemd | OpenRC | 説明 |
---|---|---|
systemctl list-units |
rc-status |
動作中のサービスの状態を表示 |
systemctl --failed |
rc-status --crashed |
失敗した、クラッシュしたユニット・サービスの確認 |
systemctl --all |
rc-update -v show |
利用できるユニット・サービスを全て表示 |
systemctl {start,stop,restart,status} xyz |
/etc/openrc/init.d/xyz {start,stop,restart,status} |
ユニット・サービスをすぐに起動・停止・再起動・状態を表示 |
systemctl {enable,disable} xyz |
rc-update {add,del} xyz |
サービス・ユニットを追加もしくは削除 |
この表は この投稿 からの引用です。