libinput
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libinput プロジェクトより:
- libinput は Wayland コンポジタで入力デバイスを処理するためのライブラリで、汎用的な X.Org 入力ドライバーでもあります。デバイスの検出・管理、入力デバイスのイベントの処理・抽象化を担当し、ユーザーが期待する一般的な機能セットを提供することでコンポジタを改造する必要があるコードの量を減らします。
libinput ドライバーは標準的な入力デバイスはほとんどサポートしています。特にプロジェクトが力を入れてるのは、タッチパッドやタッチスクリーンのタッチ機能 (マルチタッチやジェスチャー) の先進的なサポートです。詳しくは ドキュメント を見て下さい。
目次
インストール
Wayland で libinput を使用する場合、特にインストールする必要があるものはありません。あなたが使用しているグラフィカル環境の依存パッケージとして libinput パッケージは既にインストールされているはずです。他に必要なドライバーはありません。
Xorg で libinput を使用する場合、xf86-input-libinput パッケージをインストールしてください。xf86-input-libinput は libinput のラッパーで、X でも libinput で入力デバイスを扱えるようになります。evdev や synaptics の代わりのドライバーとしても使うことが可能です [1]。つまり、xf86-input-
で始まる X 用のドライバーパッケージを置換できます。
また、xorg-xinput をインストールすることで実行中に設定を変更することができます。
設定
Xorg 用のデフォルト設定ファイルは /usr/share/X11/xorg.conf.d/60-libinput.conf
にインストールされます。キーボードやタッチパッド、トラックポイントやサポートされているタッチスクリーンなら特別な設定をしなくても自動で検出されます。
まず、次を実行してください:
# libinput-list-devices
上記のコマンドは接続されているデバイスと、libinput によってサポートされている機能を出力します。
グラフィカル環境を再起動すれば、他のドライバーが優先的に使用されるように設定されていないかぎり、デフォルト設定によって libinput によってデバイスが管理されるようになるはずです。
設定できるオプションは libinput(4) man ページを参照してください。xinput ツールを使うことで使用している特定のデバイスのオプションを確認・変更することができます。例えばオプションを確認するには:
$ xinput list-props device-number
オプションを設定するには:
$ xinput set-prop device-number option-number setting
オプションの永続的な設定については Xorg#.conf ファイルを使う を見て下さい。Logitech Marble Mouse#libinput を使うや下の#ボタンの再マッピングに設定例が載っています。
通常、入力デバイス用に別のドライバーを同時にインストールすることができます。デバイスのドライバーを libinput を使うように切り替えたいときは、/etc/X11/xorg.conf.d/
にある昔の設定ファイルによって他のドライバーが優先されるようになっていないことを確認してください。
どのデバイスが libinput によって管理されているか xorg のログファイルで確認できます。例えば、/etc/X11/xorg.conf.d/
に何も設定ファイルを置いていない (デバイスを自動で検出させている) ノートパソコンの場合、以下のようになります:
$ grep -e "Using input driver 'libinput'" /path/to/Xorg.0.log
[ 28.799] (II) Using input driver 'libinput' for 'Power Button' [ 28.847] (II) Using input driver 'libinput' for 'Video Bus' [ 28.853] (II) Using input driver 'libinput' for 'Power Button' [ 28.860] (II) Using input driver 'libinput' for 'Sleep Button' [ 28.872] (II) Using input driver 'libinput' for 'AT Translated Set 2 keyboard' [ 28.878] (II) Using input driver 'libinput' for 'SynPS/2 Synaptics TouchPad' [ 28.886] (II) Using input driver 'libinput' for 'TPPS/2 IBM TrackPoint' [ 28.895] (II) Using input driver 'libinput' for 'ThinkPad Extra Buttons'
もちろん、あるデバイスでは他のドライバーを使用して、他のデバイスでは libinput を使うようにすることもできます。使用するドライバーを決める要因は様々です。例えば、Touchpad Synaptics と比べて、libinput ドライバーにはタッチパッドの挙動をカスタマイズするためのオプションが少ないですが、マルチタッチイベントをよりプログラマティックに処理することができます (例: 手のひら検出)。従って、あるドライバーでハードウェアの問題を抱えるような場合、別のドライバーを試してみると良いでしょう。
一般的なオプション
カスタム設定ファイルは /etc/X11/xorg.conf.d/
に配置します。よく使われるファイル名は 30-touchpad.conf
です。
基本的な設定は以下のようになります:
/etc/X11/xorg.conf.d/30-touchpad.conf
Section "InputClass" Identifier "devname" Driver "libinput" Option "Device" "devpath" ... EndSection
単体の設定ファイルでお好きな数だけセクションを定義することができます。MatchIsPointer "on"
, MatchIsKeyboard "on"
, MatchIsTouchpad "on"
, MatchIsTouchscreen "on"
などを使って設定したいデバイスをフィルタリングしてください。一般的な設定オプションは以下の通りです:
"Tapping" "on"
: タップでクリック。"NaturalScrolling" "true"
: ナチュラルスクロール (逆スクロール)。"ScrollMethod" "edge"
: エッジスクロール (縦スクロール)。
デバイスによっては上記の一部オプションが使えないこともあるので注意してください。
グラフィカルツール
複数の GUI ツールが存在します:
- GNOME:
- コントロールセンターの 'Mouse & Touchpad' に基本的な設定 UI が存在します。
- Cinnamon:
- GNOME UI と同じように設定することができます。
- KDE Plasma 5:
- システム設定のタッチパッドセクション (kcm_touchpad) に基本的なオプションが存在します。
- pointing-devices-kcm (kcm-pointing-devices-gitAUR) は新しい書き直された KCM で libinput によってサポートされている全ての入力デバイスに対応しています。
Tips and tricks
ボタンの再マッピング
例としてタッチパッドの2本指タップと3本指タップを置き換えるとします。デフォルトでは3本指タップでテキストを貼り付けることができますが、ボタンマップの 1 3 2 のボタンを置き換えることで2本指タップで貼り付けを行うように設定できます。新しいボタンマップを永続的に保存するには、Xorg 設定ファイルで ButtonMapping
オプションを設定してください。2本指タップと3本指タップを置き換える場合は設定ファイルは以下のようになります:
/etc/X11/xorg.conf.d/30-touchpad.conf
Section "InputClass" Identifier "touchpad" Driver "libinput" MatchIsTouchpad "on" Option "Tapping" "on" Option "ButtonMapping" "1 3 2 4 5 6" EndSection
デバイスがタッチパッドではない場合は MatchIsTouchpad "on"
を削除して Identifier
も変えてください。
ボタンの手動再マッピング
デバイスによってはボタンのマッピングを変えたいというときもあるでしょう。例えば、中ボタンがマウスホイールと一体となっている場合、マウスの親指ボタンを中ボタン (X11 では貼り付けに使われています) の代わりに使いたいと思うかもしれません。現在のボタンマッピングは次のコマンドで確認できます:
$ xinput get-button-map device
ボタン番号の順番は自由に変更することができます。例:
$ xinput set-button-map device 1 6 3 4 5 0 7
上記の例では、6番目のボタンを中ボタンにマッピングして、元々の中ボタンは0を指定して無効にしています。Wayland でも上記の設定は使えますが、device の番号とボタンのマップの両方が異なっているので注意してください。Xorg と Wayland で設定を直接相互利用することはできません。
デバイスによっては同じデバイス名で複数回、それぞれ異なる量のボタンが存在します。以下は xinitrc で Logitech Revolution MX マウスのボタンマッピングを変更する例です:
~/.xinitrc
... for i in $(xinput list | grep "Logitech USB Receiver" | perl -n -e'/id=(\d+)/ && print "$1\n"') do if xinput get-button-map "$i" 2>/dev/null| grep -q 20; then xinput set-button-map "$i" 1 17 3 4 5 8 7 6 9 10 11 12 13 14 15 16 2 18 19 20 fi done ...
ジェスチャー
libinput ドライバーにはスワイプやピンチなどの高度なマルチタッチイベントを処理できるロジックが含まれていますが [2]、デスクトップ環境やウィンドウマネージャがまだそれらのアクションを実装していない可能性があります。
EWMH (wm-spec を参照) 互換のウィンドウマネージャでは、代わりに libinput-gestures ユーティリティを使うことができます。このプログラムは libinput のジェスチャーを (libinput-debug-events
を使って) タッチパッドから読み込んで設定ファイルにあわせてジェスチャーをマッピングします。libinput に組み込まれている認識機能の範囲内で柔軟な設定が可能です。
libinput-gestures を使用するには、libinput-gesturesAUR パッケージをインストールしてください。デフォルト設定では、スワイプやピンチのジェスチャーが使えます。また、個人設定ファイルで自由にジェスチャーを定義できます。詳しくは README を見てください。
デバッグ
まず、パッケージに含まれている libinput-debug-events ツールで問題をデバッグできないか確認してください。libinput-debug-events --help
を実行すればオプションが表示されます。
入力デバイスによってはカーネルのサポートが必要なことがありますが、それを確認するには evemu パッケージに含まれている evemu-describe を使います:
software supported input trackpad driver の出力を a supported trackpad と比較して下さい (ABS_, ABS_MT, REL_X/Y)。クリックパッドの場合 INPUT_PROP_BUTTONPAD
プロパティも設定されます。
タッチパッドが GNOME で動作しない
以下のコマンドを実行してタッチパッドのイベントを GNOME デスクトップに送信してください:
$ gsettings set org.gnome.desktop.peripherals.touchpad send-events enabled
参照
- libinput Wayland ドキュメント
- FOSDEM 2015 - libinput - Hans de Goede on goals and plans of the project
- Peter Hutterer's Blog - numerous posts on libinput from one of the project's hackers.