シリアルコンソール
Arch Linux マシンを設定してシリアルコンソールポート (com ポート) でマシンを接続することができます。キーボードやマウス、モニター、ネットワークが接続されていなくても (ヘッドレスサーバー)、マシンを管理することが可能です。
Arch Linux をシリアルコンソールでインストールすることもできます。
シリアルケーブル (9ピンの接続ケーブル) を使ってマシンを接続されていることが基本条件とします。管理用のマシンはターミナルエミュレータプログラム (PuTTY や Minicom など) が動作するのであれば Unix/Linux あるいは Windows のどちらでもかまいません。
以下の設定では GRUB のメニュー選択とブートメッセージを有効にしてシリアルコンソールに端末を転送します。
設定
接続先のマシンのコンソールを設定
GRUB2 と systemd
GRUB2 でシリアルコンソールを設定する場合、systemd によってデフォルトで getty リスナーが同一のシリアルデバイスに作成されます。grub からシリアルコンソールが使えるようにするには /etc/default/grub
をエディタで開いてください。GRUB_CMDLINE_DEFAULT
行を変更して /dev/ttyS0
でコンソールを起動してください。tty0 とシリアルポートでコンソールを立ち上げる例:
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="console=tty0 console=ttyS0,38400n8"
シリアルコンソールを有効にするにはコンソールのコマンドを指定する必要があります (Linux カーネルと同じように、grub ではターミナルの入出力を複数記述できます。例: GRUB_TERMINAL="console serial"
:
## Serial console GRUB_TERMINAL=serial GRUB_SERIAL_COMMAND="serial --speed=38400 --unit=0 --word=8 --parity=no --stop=1"
以下のコマンドで grub.cfg
ファイルを再生成してください:
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
再起動後、getty は /dev/ttyS0
を listen するようになります。38400 ボーで、パリティビットを使わずストップビットを1個使用する、8 データビットで接続します。Arch が起動すると systemd が自動的に getty セッションを同一設定の同一デバイスで起動します。
GRUB2 を使わず systemd だけを使用
GRUB2 を設定してシリアルコンソールを使う場合にはこのセクションは無視してください。起動後に getty だけ listen させたい場合に以下の手順に従ってください。
systemctl を使って getty を /dev/ttyS0
で起動:
# systemctl start getty@ttyS0.service
systemctl を使って getty の速度を確認できます (38400 8N1 になるはずです):
# systemctl status serial-getty@ttyS0.service
起動時に毎回 getty で /dev/ttyS0
を listen するには、サービスを有効化します:
# systemctl enable serial-getty@ttyS0.service
GRUB v1 だけを使って systemd を使用しない
GRUB の設定ファイル /boot/grub/menu.lst
を編集して以下の行を追加してください:
serial --unit=0 --speed=9600 terminal --timeout=5 serial console
kernel 行の末尾に適切なコンソールパラメータを追加 (必要であればシリアルデバイスの名前やボーレートを変更してください):
console=tty0 console=ttyS0,9600
編集すると kernel 行は以下のようになります:
kernel /vmlinuz-linux root=/dev/md0 ro md=0,/dev/sda3,/dev/sdb3 vga=773 console=tty0 console=ttyS0,9600
terminal --timeout=5 serial console
行を menu.lst
に追加すると、起動画面で "Press any key to continue" メッセージが表示されるようになります。何もキーを押さないと、ブートメニューは 'terminal' 行に先に設定したほう (serial または console) に表示されます。以下のようにメッセージが表示されます:
Press any key to continue. Press any key to continue. Press any key to continue. Press any key to continue. Press any key to continue. Press any key to continue. Press any key to continue.
そして /etc/inittab
を編集して末尾に新しく agetty の行を追加します:
c0:2345:respawn:/sbin/agetty 9600 ttyS0 linux
/etc/securetty
を編集して既存のエントリの下にシリアルコンソールのエントリを追加してください:
ttyS0
設定できたら再起動してください。
接続
ターミナルエミュレータプログラムを使って接続
dterm
dtermAUR は小さなシリアル接続プログラムです。パラメータを付けずに起動した場合、デフォルトでは /dev/ttyS0
に 9600 ボーで接続します。以下の例は /dev/ttyS0
に 115200 ボーで、パリティビットを使わずストップビットを1個使用する、8 データビットで接続します:
$ dterm 115200 8 n 1
詳しくは ホームページ を見てください。
Minicom
minicom は公式リポジトリからインストールできます。セットアップモードで Minicom を起動:
$ minicom -s
テキストのナビゲーションメニューを使って、以下のようにシリアルポートの設定を変更:
Serial Device: /dev/ttyS0 Bps/Par/Bits: 9600 8N1
Enter を押してメニューを終了してください (Esc を押した場合、変更が保存されません)。モデムには接続しないため、モデムの Init と Reset の文字列は削除します。Modem and Dialing
メニューで Init と Reset 文字列を削除してください。メインメニューから save setup as dfl
を選択することで設定が保存されます。マシンにシリアルケーブルを接続したまま minicom を再起動してください。セッションを終了するには Ctrl+A
を押してから Ctrl+X
を押します。
picocom
picocom は minicom とよく似ている小さなダム端末エミュレーションプログラムです。以下の例は ttyS0
に 9600 bps で接続します:
$ picocom -b 9600 /dev/ttyS0
詳しい使い方はマニュアルを見てください。
Screen
screen はシリアルポートに接続することができます。デフォルトでは 9600 ボーで接続します:
$ screen /dev/ttyS0
コマンドラインからボーレート (例: 115200) を指定できます:
$ screen /dev/ttyS0 115200
Serialclient
Serialclient は Ruby で書かれたシリアル接続 CLI クライアントです [1]。Gem を使ってインストールしてください。
以下のようにして使うことが可能です:
$ serialclient -p /dev/ttyS0
tinyserial
tinyserial is a minicom replacement for accessing serial ports on Linux inspired by FreeBSD 'tip'.
$ com /dev/ttyS0 9600
グラフィカルフロントエンド
- cutecomAUR は gui で使えるシリアルモニターです。
- putty は Linux からでも使うことができます。
- moserial は gtk ベースのシリアルターミナルです。組み込み環境や試験装置、シリアルコンソールを使う必要がある技術者やハードウェアハッカー用に作られています。
Windows
Windows マシンでは PuTTY や Terminalbpp などのプログラムを使ってシリアルポートに接続してください。
シリアルコンソールを使って Arch Linux をインストール
- 上に書かれている方法でインストールを行うマシンに接続。
- Arch Linux インストール CD を使ってマシンを起動。
- ブートローダーが表示されたら Boot Arch Linux (<arch>) を選択して
Tab
を押してエントリを編集。 console=ttyS0,38400
を追加してEnter
を押す。- systemd によって ttyS0 が認識されシリアル getty が起動します。
root
でログインして通常通りにインストールを行ってください。
トラブルシューティング
Ctrl-C と Minicom
minicom で Control-C コマンドを送ったときに問題が起こる場合、デバイス設定 (minicom -s) でハードウェアフロー制御をオフにしてください。ブレークが有効になります。
ターミナルのサイズ変更
ssh と異なり、シリアル接続にはターミナルのサイズを変更したときに SIGWINCH
を転送する機能がありません。そのため、ターミナルウィンドウのサイズを変更したときにフルスクリーンプログラム (例: less
) で表示が崩れてしまいます。
解決方法として stty
でターミナルのサイズを変えることができます:
$ stty rows lines cols columns
ただし上記の方法ではサイズを手動で入力する必要があります。以下の方法でサイズ変更を簡単にすることができます。
1. xterm に付属している知名度の低いユーティリティ resize
で問題を解決できます。ターミナルエミュレータのウィンドウのサイズを変更した後にパラメータを付けずに起動してください:
$ resize
2. xterm をインストールしたくない場合、シンプルなシェル関数で同じことができます。以下の関数をシェルの設定ファイルに記述して、パラメータを付けずに実行してください:
rsz() { if [[ -t 0 && $# -eq 0 ]];then local IFS='[;' escape geometry x y print -n '\e7\e[r\e[999;999H\e[6n\e8' read -sd R escape geometry x=${geometry##*;} y=${geometry%%;*} if [[ ${COLUMNS} -eq ${x} && ${LINES} -eq ${y} ]];then print "${TERM} ${x}x${y}" else print "${COLUMNS}x${LINES} -> ${x}x${y}" stty cols ${x} rows ${y} fi else [[ -n ${commands[repo-elephant]} ]] && repo-elephant || print 'Usage: rsz' ## Easter egg here :) fi }