「スキャンコードをキーコードにマップ」の版間の差分
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+ | [[udev]] には {{ic|/etc/udev/hwdb.bin}} のハードウェアデータベースインデックスを管理するための ''hwdb'' という組み込み関数が存在します。{{ic|/usr/lib/udev/hwdb.d/}}, {{ic|/run/udev/hwdb.d/}}, {{ic|/etc/udev/hwdb.d/}} ディレクトリに存在する拡張子が ''.hwdb'' のファイルからデータベースが作成されます。スキャンコードをキーコードにマッピングするデフォルトのマッピングファイルは {{ic|/usr/lib/udev/hwdb.d/60-keyboard.hwdb}} です。詳しくは {{man|7|hwdb}} を見て下さい。 |
''.hwdb'' ファイルには様々なキーボードに対応する複数のマッピングブロックを記述でき、ひとつのブロックを複数のキーボードに適用することもできます。ハードウェアに対するブロックのマッチには {{ic|evdev:}} プレフィックスが使われます。以下のハードウェアマッチがサポートされています: |
''.hwdb'' ファイルには様々なキーボードに対応する複数のマッピングブロックを記述でき、ひとつのブロックを複数のキーボードに適用することもできます。ハードウェアに対するブロックのマッチには {{ic|evdev:}} プレフィックスが使われます。以下のハードウェアマッチがサポートされています: |
2022年11月18日 (金) 15:09時点における版
スキャンコードからキーコードへのマッピングは Linux コンソールもしくは Xorg に限定されない普遍的なことであり、コンソールと Xorg 両方に影響を与えます。
スキャンコードをキーコードにマップする方法は2つあります:
- udev を使う
- setkeycodes を使う
udev を使用する方法が推奨されます。udev は (情報源として信頼できる) ハードウェア情報を使ってデータベースからキーボードモデルを選択しているからです。あなたの使用しているキーボードモデルがデータベースから見つからなかった場合、あなたのキーは out of the box として認識されます。
目次
スキャンコードの確認
リマップするキーのスキャンコードを知っておく必要があります。詳しくは特別なキーボードキー#スキャンコードを見て下さい。
udev を使う
udev には /etc/udev/hwdb.bin
のハードウェアデータベースインデックスを管理するための hwdb という組み込み関数が存在します。/usr/lib/udev/hwdb.d/
, /run/udev/hwdb.d/
, /etc/udev/hwdb.d/
ディレクトリに存在する拡張子が .hwdb のファイルからデータベースが作成されます。スキャンコードをキーコードにマッピングするデフォルトのマッピングファイルは /usr/lib/udev/hwdb.d/60-keyboard.hwdb
です。詳しくは hwdb(7) を見て下さい。
.hwdb ファイルには様々なキーボードに対応する複数のマッピングブロックを記述でき、ひとつのブロックを複数のキーボードに適用することもできます。ハードウェアに対するブロックのマッチには evdev:
プレフィックスが使われます。以下のハードウェアマッチがサポートされています:
- 一般的な入力デバイス (USB キーボードなど) は usb カーネル modalias によって識別されます:
evdev:input:b<bus_id>v<vendor_id>p<product_id>e<version_id>-<modalias>
<vendor_id>
,<product_id>
,<version_id>
は4桁の大文字の16進数で、それぞれベンダー ID、プロダクト ID、バージョン ID を表します (ID はlsusb
コマンドを実行することで確認できます)。<modalias>
は任意の長さの modalias でデバイスの機能を表します。<bus_id>
は4桁の16進数のバス ID で、USB デバイスの場合は 0003 になります。<bus_id>
に指定できる値は/usr/include/linux/input.h
に定義されています (次のコマンドを使うことでリストとして表示できます:awk '/BUS_/ {print $2, $3}' /usr/include/linux/input.h
)。 - AT キーボードの DMI データは以下の形式でマッチします:
evdev:atkbd:dmi:bvn*:bvr*:bd*:svn<vendor>:pn<product>:pvr*
<vendor>
と<product>
はファームウェアによって供給される文字列でカーネルの DMI modalias を経由して確認できます。 - 入力ドライバーのデバイス名と DMI データは以下の形式でマッチします:
evdev:name:<input device name>:dmi:bvn*:bvr*:bd*:svn<vendor>:pn*
<input_device_name>
はドライバーによって指定されたドライバーの名前、<vendor>
はカーネルの DMI modalias 経由で確認できるファームウェアの文字列です。
ブロックの本体部は各行とも KEYBOARD_KEY_<scancode>=<keycode>
という形式になっています。<scancode>
の値は16進数ですが先頭に 0x
は付けません (0xa0
ではなく a0
と指定します)。<keycode>
は /usr/include/linux/input-event-codes.h
に記載されている小文字のキーコード名になります (KEY_<KEYCODE>
変数を見てください)。ソートされたリストが [1] から確認できます。<keycode>
で10進数の値を指定することはできません。
hwdb のカスタム例
以下の hwdb ファイルは全ての AT キーボードにマッチします:
/etc/udev/hwdb.d/90-custom-keyboard.hwdb
evdev:atkbd:dmi:bvn*:bvr*:bd*:svn*:pn*:pvr* KEYBOARD_KEY_10=suspend KEYBOARD_KEY_a0=search
ノートパソコンと USB キーボードの修飾キーのバインドを変更する例:
/etc/udev/hwdb.d/10-my-modifiers.hwdb
evdev:input:b0003v05AFp8277* # was tested on Kensington Slim Type USB (with old ABI) KEYBOARD_KEY_70039=leftalt # bind capslock to leftalt KEYBOARD_KEY_700e2=leftctrl # bind leftalt to leftctrl evdev:atkbd:dmi:* # built-in keyboard: match all AT keyboards for now KEYBOARD_KEY_3a=leftalt # bind capslock to leftalt KEYBOARD_KEY_38=leftctrl # bind leftalt to leftctrl
Hardware Database Index のアップデート
設定ファイルを変更した後は、ハードウェアデータベースインデックス hwdb.bin
を再構築する必要があります。
- 次を実行して
hwdb.bin
を手動でアップデート:
# udevadm hwdb --update
systemd-hwdb-update.service
のConditionNeedsUpdate
をコメントアウトすると再起動するたびに自動的に更新されます:
/usr/lib/systemd/system/systemd-hwdb-update.service
# This file is part of systemd. . . #ConditionNeedsUpdate=/etc . .
systemd-hwdb-update.service
のロードが完了すると systemd-trigger.service
は hwdb.bin
の変更をリロードします。
- Systemd のアップグレード時には自動的に更新が行われます。
Systemd のアップグレード時、インストールスクリプトが # udevadm hwdb --update
を実行して hwdb.bin
を再構築するため手動の操作は必要ありません。
Hardware Database Index のリロード
カーネルは起動時に hwdb.bin
を読み込むため、システムを再起動することで最新の hwdb.bin
をロードできます。
udevadm
を以下のようなコマンドで使うことで最新の hwdb.bin
から新しいキーマッピングをロードできます:
# udevadm trigger
udevadm
は追加・変更したキーマッピングしかロードしないため注意してください。コンフィグファイルからマッピングを削除した場合、hwdb.bin
を再ビルドして # udevadm trigger
を実行して、さらに再起動を行わないと削除されたマッピングがカーネルに残り続けます。
データベースに問い合わせる
キーを押したり udevadm info
を実行することで設定がロードされているかどうか確認できます。上記の例の USB キーボードの場合、以下のように設定したマッピングが出力されます:
# udevadm info /dev/input/by-path/*-usb-*-kbd | grep KEYBOARD_KEY E: KEYBOARD_KEY_70039=leftalt E: KEYBOARD_KEY_700e2=leftctrl
setkeycodes を使う
setkeycodes は scancodes-to-keycodes マッピングテーブルを Linux カーネルにロードさせるツールです。使用方法は:
# setkeycodes scancode keycode ...
一度に複数のペアを指定することが可能です。スキャンコードは16進数で、キーコードは10進数で記述します。