「BOINC」の版間の差分

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[[Category:計算と科学]]
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[[zh-hans:BOINC]]
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[http://boinc.berkeley.edu/ BOINC ウェブサイト] より:
== BOINC とは? ==
 
[http://boinc.berkeley.edu/ BOINC]: ''「貴方の計算機(Linux、Mac、或いはWindowsなど)の待機時間を使って、疾病の治療、地球温暖化の研究、[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%BC パルサー]の解析、その他にも沢山の科学的な研究へ寄与しませんか?簡単安全に参加できます」''
+
:あなたのコンピュータ (Windows, Mac, Linux) の待機時間を使って、疾病の治療、地球温暖化の研究、[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%BC パルサー] の解析などの科学的な研究へ寄与しませんか?簡単安全に参加できます。
   
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[http://ja.wikipedia.org/wiki/BOINC Wikipedia] より:
[http://ja.wikipedia.org/wiki/BOINC Wikipedia]: ''「Berkeley Open Infrastructure for Network Computing(バークレー オープン インフラストラクチャ フォー ネットワーク コンピューティング)とは、分散コンピューティングプロジェクトのプラットフォームとして開発されたクライアント・サーバ型のソフトウェアである。開発元はカリフォルニア大学バークレー校。略称は BOINC。」''
 
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:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing (BOINC) とは、分散コンピューティングプロジェクトのプラットフォームとして開発されたクライアント・サーバ型のソフトウェアである。SETI@home プロジェクトを助けるためのソフトウェアとして開発され、現在は数学・医学・分子生物学・気象シミュレーション・天体物理学など様々な分野のプラットフォームとして使われている。世界中のパーソナルコンピュータを集めて研究者に莫大な処理能力を寄与することを目的としている。
   
  +
== インストール ==
Arch Linux では community リポジトリに boinc を収録しているので興味があれば以下の手順によりインストール、及び設定を行うと良い。
 
  +
{{Pkg|boinc}} または {{Pkg|boinc-nox}} パッケージを[[インストール]]してください。後者は [[Xorg]] に依存していないため、ヘッドレスサーバー向けです。
   
  +
どちらのパッケージでも {{ic|boinc-client.service}} という名前の[[systemd#ユニットを使う|ユニット]]ファイルがインストールされます。
== BOINC のインストール ==
 
=== 概要 ===
 
BOINCはデーモンとしてインストールされ、またセキュリティへの配慮からユーザー''boinc''が作成され実行される様になります。通常ログインする一般ユーザーがboincの制御をGUIで簡単に行える様にする為、BOINCのインストール後にそのユーザーをグループ''boinc''へ追加するなどします。
 
   
  +
{{Note|{{Pkg|boinc}} 7.10.3-1 において、ユニット {{ic|boinc.service}} のファイル名は {{ic|bonic-client.service}} に変更されました。}}
=== インストール作業 ===
 
pacmanでBOINCのパッケージを確認しましょう:
 
# pacman -Ss boinc
 
   
  +
マネージャを接続するにはユーザーを {{ic|boinc}} グループに追加する必要があります:
community/boinc 6.12.34-4
 
  +
# usermod -a -G boinc $(whoami)
Berkeley Open Infrastructure for Network Computing for desktop with X
 
community/boinc-nox 6.12.34-4
 
Berkeley Open Infrastructure for Network Computing for server without X
 
   
  +
以下のセクションで必要なファイルを生成するために {{ic|boinc-client.service}} を[[起動]]してください。
通常はboincをインストールします。尚、boinc-noxをインストールする場合でも、インストール後に起動オプションを適切に編集する事で別のGUIを搭載したマシンへ導入したboincのGUIから遠隔操作する事は可能です。ヘッドレスのマシンへBOINCを導入したい場合などに選択すると良いでしょう。
 
   
pacmanでBOINCをインストールしましょ:
+
== BOINC 使 ==
# pacman -S boinc
 
   
  +
=== GUI ===
{{ic|/etc/rc.conf}}のデーモンセクションに追記してBOINCが自動的に稼働する様にしましょう:
 
DAEMONS=(... boinc ...)
 
   
  +
デフォルトでは、デーモンに接続するためのパスワードは {{ic|/var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg}} に作成されます。GUI でデーモンに接続するには、ホームディレクトリから {{ic|/var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg}} へのリンクを作成して、boinc グループのメンバーが読み取れるように権限を変更します:
そのマシンの普段使いのユーザーをグループ''boinc''へ追加して措きましょう。追加した後に一旦ログアウトしてグループへの追加が適用された状態でログインし直すのをお忘れ無く。
 
# gpasswd -a username boinc
 
   
  +
$ cd ~/
念の為、普段使いのユーザーでログインし直した後、グループ''boinc''に追加されているか groups コマンドで確かめて措きましょう:
 
  +
$ ln -s /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg gui_rpc_auth.cfg
$ groups
 
  +
# chmod 640 gui_rpc_auth.cfg
   
BOINCデモン起動して見ましょう({{ic|/etc/rc.conf}}を適切に編集した後でマシンを再起動していれば既に起動しているかもしれません):
+
パスワ変えたい場合、あるいはパスワードを使わない場合 {{ic|/var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg}} を編集して BOINC デーモンを再起動してくださ
# /etc/rc.d/boinc start
 
   
  +
ホームディレクトリにファイルを作成したくない場合、BOINC Manager はカレントディレクトリの {{ic|gui_rpc_auth.cfg}} ファイルも読み込みます。'''boinc''' グループからファイルを読み込めるようにして {{ic|/var/lib/boinc}} をワーキングディレクトリとしてマネージャを起動すれば、クライアントはデーモンに自動的に接続されます。デスクトップ環境のメニューエディタを使うことで設定できます。
BOINCが稼働中かプロセスを確認して見ましょう:
 
$ ps aux | grep boinc
 
   
  +
GUI を起動するときは ''boincmgr'' コマンドを使用:
== BOINC を使う ==
 
=== GUIから BOINC を管理 ===
 
 
''boincmgr''コマンドでBOINCデーモンを制御するGUIが起動するよ。
 
 
$ boincmgr
 
$ boincmgr
   
  +
起動するとプロジェクトへの参加に進みます。プロジェクトによってはアカウントの作成が必須となっており、GUI でアカウントを作成できたり、もしくはウェブサイトでアカウントを作成する必要があったりします。リソースが余っているのであれば複数のプロジェクトに参加することもできます。''Tools / Attach to project'' メニューオプションからプロジェクトを選んでください。
初めて起動すると、BOINCのプロジェクトへ参加する為のウィザードダイアログが出るよ。とりあえずBOINCに参加してみたいだけならそのままプロジェクトへ参加してもいいし、複数のマシンをBOINCに参加させたりBOINCの各種チームに参加してみたいのならばアカウントマネージャーへの登録を先に済ませてしまう事も出来るよ。なお、より詳細な設定や、別のマシンで動作中のBOINCデーモンを制御したい場合には Advanced View に表示を切り替えると良い。勿論、後から複数のプロジェクトを追加したり、参加を中止する事もこのGUIで出来る。
 
   
  +
BOINC がプロジェクトへの接続を要求しない場合、デーモンに接続されていることを確認してください。メニューの ''Advanced / Select computer'' からマシンの名前を選択してパスワードを入力してください。
=== GUIをリモートマシンで稼働するBOINCデーモンへ接続して管理 ===
 
   
  +
==== GPU を使用するプロジェクト ====
BOINCデーモンの初回起動時には{{ic|/var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg}}というデーモンへの接続用パスワードファイルが自動生成される。なお、セキュリティ上の懸念が無ければ、このパスワードファイルの中身を空っぽ(cp /dev/null /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg)にすればパスワードなしにも設定できる。このパスワードファイルは平文であるからパスワードを設定しておく場合にも十分に注意した取り扱いが必要な事に気を付けよう。
 
  +
GPU を使用したい場合、プロプライエタリの NVIDIA あるいは AMD ドライバーが必要な場合があります。ATI/AMD カードの場合は [[Catalyst]] ドライバーが必要です。
  +
Ryzen 5 2400G のような新しめの AMD システムでは、オープンソースの [[AMDGPU]] の動作に OpenCL との互換性を持たせるため、{{AUR|opencl-amd}} をインストールすればよいです。
  +
NVIDIA の場合、{{Pkg|opencl-nvidia}} パッケージが必要です。x86_64 でエラーが発生しないように [[Xorg#ドライバーのインストール]]に書かれている ''OpenGL (Multilib)'' のパッケージをインストールしてください。
   
  +
さらに、boinc ユーザーを video グループに追加してください:
自動生成された(あるいは現在設定されている)リモート管理用パスワードを確認する方法:
 
# cat /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg gui_rpc_auth.cfg
 
   
  +
# gpasswd -a boinc video
また、BOINCデーモンがリモートのGUIからの接続を許容する様に起動スクリプトにオプションを追加する:
 
# vim /etc/rc.d/boinc
 
   
  +
コンピュータを使っているときに GPU 計算を停止したい場合、マウスやキーボードでクライアントと通信できるように boinc ユーザーから X セッションにアクセスできるようにする必要があります。{{Pkg|xorg-xhost}} パッケージをインストールして以下のコマンドを実行することで boinc ユーザーに X セッションへのアクセス権を与えることが可能です:
start)の定義で/usr/bin/boinc_clientを起動するコマンドの最後に -allow_remote_gui_rpc を追加する:
 
su $BOINCUSER -c "nice -n 19 /usr/bin/boinc_client --daemon --dir ${BOINCDIR} --redirectio -allow_remote_gui_rpc"
 
   
  +
$ xhost si:localuser:boinc
起動スクリプトを書き換えたならBOINCデーモンを再起動して措こう:
 
# rc.d restart boinc
 
   
  +
Xorg の起動時に[[自動起動]]させるのもよいでしょう。
後はBOINCの制御GUIを実行したい別のマシンでboincmgrを起動し、 Advanced View のメニューから 高度な操作 の コンピュータの選択 を実行し、先に設定したBOINCデーモンの稼働するホスト名とそのBOINCデーモンへのリモート接続様パスワードを入力すれば良い。
 
   
  +
=== CLI ===
=== GPU を用いるプロジェクトへ参加したい場合には ===
 
  +
もしGPUを使いたい際には、先ずnVIDIAないしAMDのプロプライエタリドライバを導入しなければならない。AMDについては[https://aur.archlinux.org/packages.php?ID=21933 Catalyst driver for stock kernel]を見るなどしてAURを利用して導入すると良い。
 
  +
ヘッドレス環境で BOINC を使うには {{pkg|boinc-nox}} をインストールします。2つのコマンドラインツールが存在します: {{ic|boinccmd}} と {{ic|boinc}}。{{ic|boinccmd}} を使用することが推奨されています:
其の後、ユーザー boinc をグループ video へ追加する:
 
  +
# gpasswd -a boinc video
 
  +
# BOINC サービスを起動してください。
これでユーザー boinc (で実行されるBOINCデーモンプロセス)がXセッションにアクセス出来るようになる。次に以下のコマンドを実行すれば準備完了である:
 
  +
# サービスの RPC API と通信するためのパスワードを {{ic|boinccmd}} に指定してください。
xhost local:boinc
 
  +
必要に応じて起動スクリプト(~/.xinitrc など)に追記して措くと良い。
 
  +
BOINC サービスは {{ic|boinc-client.service}} ユニットファイルで起動できます。BOINC を最初に起動した時、パスワードが生成され {{ic|/var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg}} に保存されます。{{ic|boinccmd}} にパスワードを指定するには:
  +
  +
* コマンドラインフラグを使ってパスワードを直接指定: {{ic|boinccmd --passwd abc123 --get_host_info}}。
  +
* カレントディレクトリに {{ic|gui_rpc_auth.cfg}} ファイルが存在することを確認。
  +
  +
プロジェクトに登録して BOINC から参加してください。
  +
  +
コマンドラインからプロジェクトに登録する場合、[https://boinc.berkeley.edu/wiki/Project_list BOINC Wiki Project List] からプロジェクトを選んで {{ic|boinccmd --passwd abc123 --create_account ${project_url} ${my_email} ${project_password} ${project_username} }} というようなコマンドを実行してください。登録方法によらず、プロジェクトのキーを取得する必要があります。{{ic|boinccmd --passwd abc123 --project_attach ${project_url} ${project_key} }} のようなコマンドを実行してください。
  +
  +
デフォルトでは BOINC は最大でも CPU の 60% しか使わないように設定されています。設定ファイルの CPU 関連のオプションを編集することでもっと CPU を活用することができます:
  +
  +
{{hc|/var/lib/boinc/global_prefs.xml|<global_preferences>
  +
<cpu_usage_limit>100.0</cpu_usage_limit>
  +
...
  +
</global_preferences>}}
  +
  +
== ログファイル ==
   
== ログファイルの在り処 ==
+
BOINC ログファイル {{ic|/var/lib/boinc/}} に作成します:
BOINCのログは{{ic|/var/lib/boinc/}}に生成されます。
 
 
/var/lib/boinc/stderrdae.txt
 
/var/lib/boinc/stderrdae.txt
 
/var/lib/boinc/stdoutdae.txt
 
/var/lib/boinc/stdoutdae.txt
   
 
== 参加するプロジェクトを選ぶ際のヒント ==
 
== 参加するプロジェクトを選ぶ際のヒント ==
プロジェクト毎に要求されるハードウェアの要件(CPUやディスクスペース)や実行環境として対応するOSの種類が異なります。もしも、参加したプロジェクトからBOINCデーモンが引き受けてきた仕事が設定された提出期限に間に合わない様な事が良く起こる場合には、プロジェクトに対するマシンのリソース割り当ての方法や稼働させる時間帯の制限などを観直すと良いかもしれません。
 
   
  +
プロジェクトによって必要なハードウェアの要件は様々、作業ユニットを完了させるのにかかる時間もばらばらです。締め切り前にユニットを完了させられなかった場合、誰かに仕事が割り振られます。あなたのマシンの性能にあったプロジェクトを選ぶと良いでしょう。
もちろん、プロジェクトの公益性などから貴方がリソースを提供してデータの生成に寄与したい!と思えるプロジェクトを見つけて参加する事も大切です。
 
   
  +
また、プロジェクトが計算データや結果を公開するのかどうかという点も(あなたが気にするのであれば)確認すべき点です。
=== Arch64 で実行する場合の注意点 ===
 
幾つかのプロジェクトでは32bitアプリケーションしかサポートできて居ない事があります。その様なプロジェクトへArch64マシンで参加する際には32bit版のライブラリが必要になります。必要に応じて /etc/pacman.conf を編集し、 [multilib] リポジトリを有効化して32bit版のライブラリを導入すると良いでしょう。
 
   
  +
=== Arch64 で実行 ===
;WUsの実行に (例: Climateprediction)
 
  +
  +
一部のプロジェクトでは32ビットアプリケーションしか提供されておらず、ワークユニットを実行したりグラフィックを表示するのに32ビットライブラリを必要とすることがあります。ライブラリは [[multilib]] リポジトリからインストールしてください。
  +
  +
;Climateprediction.net に参加する場合:
 
:{{Pkg|lib32-glibc}}, {{Pkg|lib32-glib2}}
 
:{{Pkg|lib32-glibc}}, {{Pkg|lib32-glib2}}
  +
;WCG や Climateprediction などのプロジェクトでグラフィックを表示したい場合:
;グラフィックの表示に (例: Several projects of WCG, Climateprediction)
 
:{{Pkg|lib32-pango}}, {{Pkg|lib32-libxdamage}}, {{Pkg|lib32-libxi}}, {{Pkg|lib32-libgl}}, {{AUR|lib32-libjpeg6}} (AUR), {{Pkg|lib32-libxmu}}
+
:{{Pkg|lib32-pango}}, {{Pkg|lib32-libxi}}, {{Pkg|lib32-mesa}}, {{Pkg|lib32-libjpeg6-turbo}}, {{Pkg|lib32-libxmu}}, {{Pkg|lib32-glu}}, {{Pkg|lib32-freeglut}}
  +
  +
== トラブルシューティング ==
  +
  +
=== GPU missing ===
  +
  +
以下のようなエラーが表示される場合:
  +
{{bc|GPU Missing}}
  +
Work Unit が起動していません。{{ic|boinc-client.service}} デーモンを[[再起動]]してください。
  +
  +
X セッションが完全に初期化される前に BOINC デーモンが起動してしまうとこの問題が発生します。
  +
  +
=== ノートパソコンが発熱してバッテリーの寿命が縮む ===
  +
  +
ondemand ガバナーを使ってノートパソコンで BOINC を動作させると、CPU が最大周波数で動き続けます。ノートパソコンが過熱状態になってバッテリーが短命になる可能性があります。BOINC で CPU の周波数を上げすぎないように設定することを推奨します:
  +
{{bc|# echo 1 >/sys/devices/system/cpu/cpufreq/ondemand/ignore_nice_load}}
   
  +
起動時に設定したい場合、以下のファイルを作成:
== 問題が起きた場合 ==
 
  +
{{hc|/etc/tmpfiles.d/ondemand-ignore-nice.conf|
もしも次の様なエラーに遭遇したなら:
 
  +
w /sys/devices/system/cpu/cpufreq/ondemand/ignore_nice_load - - - - 1}}
GPU Missing
 
ワークユニットが稼働できていないので、とりあえずBOICデーモンを再起動してみるとよい :
 
# /etc/rc.d/boinc restart
 
   
  +
== 参照 ==
この問題はXセッションの初期化が完了する前にBOINCデーモンが稼働しようとして発生します。デーモンの開始を[[rc.conf]]でバックグランドにしていればこの問題は凡そ発生しません。しかし、ディスプレイマネージャーの初期化がもたつくなどした場合には発生する事があります。もし[[ディスプレイマネージャ]]を起動時にロードしない様にしている場合、デーモンは'''常に''' XがGPUの初期化を終えてから実行されるようにするとよいでしょう。
 
   
  +
* [https://boinc.berkeley.edu/ BOINC ホームページ]
== リンク ==
 
* [http://boinc.berkeley.edu/ BOINC] (日本語環境からの接続に対しては日本語表示となる)
+
* [https://boinc.berkeley.edu/projects.php BOINC プロジェクトリスト]
  +
* [[Wikipedia:BOINC|Wikipedia エントリ]]
* [http://boinc.berkeley.edu/projects.php List of BOINC projects] (en)
 
* [http://ja.wikipedia.org/wiki/BOINC Wikipedia BOINC]]
 

2020年6月14日 (日) 19:34時点における最新版

BOINC ウェブサイト より:

あなたのコンピュータ (Windows, Mac, Linux) の待機時間を使って、疾病の治療、地球温暖化の研究、パルサー の解析などの科学的な研究へ寄与しませんか?簡単・安全に参加できます。

Wikipedia より:

Berkeley Open Infrastructure for Network Computing (BOINC) とは、分散コンピューティングプロジェクトのプラットフォームとして開発されたクライアント・サーバ型のソフトウェアである。SETI@home プロジェクトを助けるためのソフトウェアとして開発され、現在は数学・医学・分子生物学・気象シミュレーション・天体物理学など様々な分野のプラットフォームとして使われている。世界中のパーソナルコンピュータを集めて研究者に莫大な処理能力を寄与することを目的としている。

インストール

boinc または boinc-nox パッケージをインストールしてください。後者は Xorg に依存していないため、ヘッドレスサーバー向けです。

どちらのパッケージでも boinc-client.service という名前のユニットファイルがインストールされます。

ノート: boinc 7.10.3-1 において、ユニット boinc.service のファイル名は bonic-client.service に変更されました。

マネージャを接続するにはユーザーを boinc グループに追加する必要があります:

# usermod -a -G boinc $(whoami)

以下のセクションで必要なファイルを生成するために boinc-client.service起動してください。

BOINC を使う

GUI

デフォルトでは、デーモンに接続するためのパスワードは /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg に作成されます。GUI でデーモンに接続するには、ホームディレクトリから /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg へのリンクを作成して、boinc グループのメンバーが読み取れるように権限を変更します:

$ cd ~/
$ ln -s /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg gui_rpc_auth.cfg
# chmod 640 gui_rpc_auth.cfg

パスワードを変えたい場合、あるいはパスワードを使わない場合 /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg を編集して BOINC デーモンを再起動してください。

ホームディレクトリにファイルを作成したくない場合、BOINC Manager はカレントディレクトリの gui_rpc_auth.cfg ファイルも読み込みます。boinc グループからファイルを読み込めるようにして /var/lib/boinc をワーキングディレクトリとしてマネージャを起動すれば、クライアントはデーモンに自動的に接続されます。デスクトップ環境のメニューエディタを使うことで設定できます。

GUI を起動するときは boincmgr コマンドを使用:

$ boincmgr

起動するとプロジェクトへの参加に進みます。プロジェクトによってはアカウントの作成が必須となっており、GUI でアカウントを作成できたり、もしくはウェブサイトでアカウントを作成する必要があったりします。リソースが余っているのであれば複数のプロジェクトに参加することもできます。Tools / Attach to project メニューオプションからプロジェクトを選んでください。

BOINC がプロジェクトへの接続を要求しない場合、デーモンに接続されていることを確認してください。メニューの Advanced / Select computer からマシンの名前を選択してパスワードを入力してください。

GPU を使用するプロジェクト

GPU を使用したい場合、プロプライエタリの NVIDIA あるいは AMD ドライバーが必要な場合があります。ATI/AMD カードの場合は Catalyst ドライバーが必要です。 Ryzen 5 2400G のような新しめの AMD システムでは、オープンソースの AMDGPU の動作に OpenCL との互換性を持たせるため、opencl-amdAUR をインストールすればよいです。 NVIDIA の場合、opencl-nvidia パッケージが必要です。x86_64 でエラーが発生しないように Xorg#ドライバーのインストールに書かれている OpenGL (Multilib) のパッケージをインストールしてください。

さらに、boinc ユーザーを video グループに追加してください:

# gpasswd -a boinc video

コンピュータを使っているときに GPU 計算を停止したい場合、マウスやキーボードでクライアントと通信できるように boinc ユーザーから X セッションにアクセスできるようにする必要があります。xorg-xhost パッケージをインストールして以下のコマンドを実行することで boinc ユーザーに X セッションへのアクセス権を与えることが可能です:

 $ xhost si:localuser:boinc

Xorg の起動時に自動起動させるのもよいでしょう。

CLI

ヘッドレス環境で BOINC を使うには boinc-nox をインストールします。2つのコマンドラインツールが存在します: boinccmdboincboinccmd を使用することが推奨されています:

  1. BOINC サービスを起動してください。
  2. サービスの RPC API と通信するためのパスワードを boinccmd に指定してください。

BOINC サービスは boinc-client.service ユニットファイルで起動できます。BOINC を最初に起動した時、パスワードが生成され /var/lib/boinc/gui_rpc_auth.cfg に保存されます。boinccmd にパスワードを指定するには:

  • コマンドラインフラグを使ってパスワードを直接指定: boinccmd --passwd abc123 --get_host_info
  • カレントディレクトリに gui_rpc_auth.cfg ファイルが存在することを確認。

プロジェクトに登録して BOINC から参加してください。

コマンドラインからプロジェクトに登録する場合、BOINC Wiki Project List からプロジェクトを選んで boinccmd --passwd abc123 --create_account ${project_url} ${my_email} ${project_password} ${project_username} というようなコマンドを実行してください。登録方法によらず、プロジェクトのキーを取得する必要があります。boinccmd --passwd abc123 --project_attach ${project_url} ${project_key} のようなコマンドを実行してください。

デフォルトでは BOINC は最大でも CPU の 60% しか使わないように設定されています。設定ファイルの CPU 関連のオプションを編集することでもっと CPU を活用することができます:

/var/lib/boinc/global_prefs.xml
<global_preferences>
    <cpu_usage_limit>100.0</cpu_usage_limit>
    ...
</global_preferences>

ログファイル

BOINC はログファイルを /var/lib/boinc/ に作成します:

/var/lib/boinc/stderrdae.txt
/var/lib/boinc/stdoutdae.txt

参加するプロジェクトを選ぶ際のヒント

プロジェクトによって必要なハードウェアの要件は様々、作業ユニットを完了させるのにかかる時間もばらばらです。締め切り前にユニットを完了させられなかった場合、誰かに仕事が割り振られます。あなたのマシンの性能にあったプロジェクトを選ぶと良いでしょう。

また、プロジェクトが計算データや結果を公開するのかどうかという点も(あなたが気にするのであれば)確認すべき点です。

Arch64 で実行

一部のプロジェクトでは32ビットアプリケーションしか提供されておらず、ワークユニットを実行したりグラフィックを表示するのに32ビットライブラリを必要とすることがあります。ライブラリは multilib リポジトリからインストールしてください。

Climateprediction.net に参加する場合
lib32-glibc, lib32-glib2
WCG や Climateprediction などのプロジェクトでグラフィックを表示したい場合
lib32-pango, lib32-libxi, lib32-mesa, lib32-libjpeg6-turbo, lib32-libxmu, lib32-glu, lib32-freeglut

トラブルシューティング

GPU missing

以下のようなエラーが表示される場合:

GPU Missing

Work Unit が起動していません。boinc-client.service デーモンを再起動してください。

X セッションが完全に初期化される前に BOINC デーモンが起動してしまうとこの問題が発生します。

ノートパソコンが発熱してバッテリーの寿命が縮む

ondemand ガバナーを使ってノートパソコンで BOINC を動作させると、CPU が最大周波数で動き続けます。ノートパソコンが過熱状態になってバッテリーが短命になる可能性があります。BOINC で CPU の周波数を上げすぎないように設定することを推奨します:

# echo 1 >/sys/devices/system/cpu/cpufreq/ondemand/ignore_nice_load

起動時に設定したい場合、以下のファイルを作成:

/etc/tmpfiles.d/ondemand-ignore-nice.conf
w /sys/devices/system/cpu/cpufreq/ondemand/ignore_nice_load - - - - 1

参照