「ネットワーク設定」の版間の差分

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[[Category:ネットワーク]]
 
[[Category:ネットワーク]]
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[[en:Network configuration]]
 
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[[es:Network configuration]]
 
[[es:Network configuration]]
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[[fi:Network configuration]]
[[fr:Connexions reseau]]
 
 
[[it:Network configuration]]
 
[[it:Network configuration]]
[[nl:Network configuration]]
 
 
[[pt:Network configuration]]
 
[[pt:Network configuration]]
[[ro:Configurare retea]]
 
 
[[ru:Network configuration]]
 
[[ru:Network configuration]]
[[sk:Network configuration]]
 
[[tr:Ağ Yapılandırması]]
 
 
[[zh-hans:Network configuration]]
 
[[zh-hans:Network configuration]]
[[zh-hant:Network configuration]]
 
 
{{Related articles start}}
 
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{{Related|ファイアウォール}}
 
{{Related|ファイアウォール}}
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このページではネットワークの'''有線'''接続を設定する方法説明しています。'''無線'''ネットワーク設定する必要がある場合は[[ワイヤレス設定]]のページを見ください。
+
この記事では [[Wikipedia:ja:ネットワーク層|OSI レイヤ 3 (ネットワーク層)]] 以上ネットワーク設定を行う方法について説明しています。媒体固有の情報は [[ネットワーク設定/イーサネット]] と [[ネットワーク設定/ワイヤレス]] で扱っています
   
 
== 接続の確認 ==
 
== 接続の確認 ==
   
  +
ネットワーク接続のトラブルシューティングを行うには、以下の条件を調べ、満たしていることを確認します。
=== Ping ===
 
多くの場合、インストールするだけで動作するネットワーク設定がすでに作られています。接続を確認するには、{{man|8|ping}} を使います:
 
   
  +
# あなたの [[#ネットワークインターフェイス|ネットワークインターフェイス]] がリストアップされ、有効になっていること。そうでなければ、デバイスドライバを確認してください - [[ネットワーク設定/イーサネット#デバイスドライバ]] または [[ネットワーク設定/ワイヤレス#デバイスドライバ]] を参照してください。
{{hc|$ ping www.google.com|2=
 
  +
# ネットワークに接続されている。ケーブルが接続されているか、[[ネットワーク設定/ワイヤレス|無線LAN]] に接続されている。
PING www.l.google.com (74.125.132.105) 56(84) bytes of data.
 
  +
# あなたのネットワークインターフェースには [[#IP アドレス|IP アドレス]]がある。
64 bytes from wb-in-f105.1e100.net (74.125.132.105): icmp_req=1 ttl=50 time=17.0 ms
 
  +
# [[#ルーティングテーブル|ルーティングテーブル]] が正しく設定されている。
...
 
  +
#ローカル IP アドレス (例えばデフォルトゲートウェイ) を [[#Ping|ping]] することができる。
}}
 
  +
# 公開 IP アドレス(例えば {{ic|9.9.9.9}} は Quad9 の DNS サーバで、テストに便利なアドレスです) を [[#Ping|ping]] することも可能です。
  +
# [[ドメイン名前解決#NSS を使用してドメイン名を解決する|ドメイン名を解決ができるか確認]] (例: {{ic|archlinux.org}})
   
  +
=== Ping ===
ping が成功したことが確認できたら (上記の 64 bytes メッセージでわかります)、ネットワークは設定されています。{{ic|Control-C}} を押して ping を停止してください。
 
   
  +
[[Wikipedia:Ping (networking utility)|ping]] は、ホストに到達できるかどうかをテストする際に用いられます。
''Unknown hosts'' エラーで ping が失敗する場合、そのメッセージはあなたのマシンではドメインの解決ができなかったことを意味しています。おそらくあなたのサービスプロバイダやルーター・ゲートウェイに関連しています。マシンがインターネットにアクセスできることを証明するために固定 IP アドレスに ping して見てください:
 
   
{{hc|$ ping 8.8.8.8|<nowiki>
+
{{hc|$ ping www.example.com|2=
PING 8.8.8.8 (8.8.8.8) 56(84) bytes of data.
+
PING www.example.com (93.184.216.34) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_req=1 ttl=53 time=52.9 ms
+
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=1 ttl=56 time=11.632 ms
  +
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=2 ttl=56 time=11.726 ms
  +
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=3 ttl=56 time=10.683 ms
 
...
 
...
  +
}}
</nowiki>}}
 
   
  +
ホストからの応答を受け取るたびに、''ping'' ユーティリティは上記のような行を出力します。これは、ユーザが実行をインタラクティブに中断({{ic|Ctrl+c}} を押す)するまで続きます。さらなる情報は {{man|8|ping}} マニュアルを見てください。また、コンピュータは ICMP エコーリクエストに応答しないように設定されている可能性があることに注意してください。[https://unix.stackexchange.com/questions/412446/how-to-disable-ping-response-icmp-echo-in-linux-all-the-time]
{{ic|8.8.8.8}} に ping することができても {{ic|www.google.com}} に ping できない場合は、DNS の設定を確認してください。詳しくは [[resolv.conf]] を見てください。また、{{ic|/etc/nsswitch.conf}} の {{ic|hosts}} 行も確認してください。
 
   
  +
エラーメッセージを受け取った、または応答がなかった場合([[Wikipedia:Ping (networking utility)#Error indications|ping エラー表示]] を見てください)、不完全な設定やデフォルトゲートウェイ、インターネットサービスプロバイダ(ISP)と関連がある場合があります。[[traceroute]] を実行することで、ホストまでの経路をさらに診断することができます。
上記どちらの ping も失敗する場合、まずケーブルに問題がないか確認してから更に詳しい診断を行なってください。
 
   
  +
== ネットワーク管理 ==
{{Note|
 
* ''ping'' を実行した時に {{ic|ping: icmp open socket: Operation not permitted}} のようなエラーが表示される場合、{{Pkg|iputils}} パッケージを再インストールしてみてください。
 
* {{ic|-c ''num''}} オプションを使うことで ping する回数を {{ic|''num''}} で指定できます。オプションを指定しなかった場合、永遠に ping し続けるため手動で終了する必要があります。詳しくは {{ic|man ping}} を参照。
 
* {{ic|8.8.8.8}} は覚えやすい固定アドレスです。このアドレスは Google のプライマリ DNS サーバーのアドレスで、信頼でき、コンテンツフィルタリングやプロキシによってブロックされることは通常ありえません。
 
}}
 
   
  +
ネットワーク接続の設定を行うには、以下の手順を踏んでください:
== ホストネームの設定 ==
 
   
  +
# [[#ネットワークインターフェイス|ネットワークインターフェイス]]が表示されている、かつ有効化されていることを確認する。
[[Wikipedia:ja:ホスト名|hostname]] とは、ネットワーク上でマシンを識別するために作られる唯一の(ユニークな)名前であり、{{ic|/etc/hostname}} に設定します (詳しくは {{man|5|hostname}} と {{man|7|hostname}} を参照)。このファイルにはシステムのドメイン名を含めることもできます。ホストネームを設定するには {{ic|/etc/hostname}} を[[ヘルプ:読み方#追加, 作成, 編集 そして source|編集]]し、{{ic|''myhostname''}} の1行を書いてください (実際にはあなたの好きな名前を使ってください):
 
  +
# ネットワークに接続する。Ethernet ケーブルを接続するか、[[ネットワーク設定/ワイヤレス|ワイヤレス LAN に接続]]してください。
  +
# ネットワーク接続を設定する:
  +
#* ほとんどのネットワークではネットワークの設定に [[Wikipedia:ja:Dynamic Host Configuration Protocol|Dynamic Host Configuration Protocol]] が使用されています。クライアントは、[[#ネットワークマネージャ|スタンドアローンな DHCP クライアントによって、あるいはネットワークマネージャを使用することで]]、DHCP サーバから動的 IP アドレスや固定 IP アドレスを自動的に取得することができます。
  +
#* ネットワークに DHCP サーバが存在しない場合は、それぞれのクライアントに対して固定 IP アドレス、ルーティングテーブル、DNS サーバを手動で設定できます。詳細は [[#固定 IP アドレス]] を参照してください。
   
  +
{{Note|インストールイメージでは以下が使用されています:
{{hc|/etc/hostname|
 
  +
* [https://gitlab.archlinux.org/archlinux/archiso/-/blob/master/configs/releng/airootfs/etc/systemd/network/20-ethernet.network Ethernet]、[https://gitlab.archlinux.org/archlinux/archiso/-/blob/master/configs/releng/airootfs/etc/systemd/network/20-wlan.network WLAN]、[https://gitlab.archlinux.org/archlinux/archiso/-/blob/master/configs/releng/airootfs/etc/systemd/network/20-wwan.network WWAN] ネットワークインターフェイス用の DHCP クライアントとして設定された [[systemd-networkd]]
''myhostname''
 
  +
* システム全体の [[DNS]] 用に設定された [[systemd-resolved]] ([[systemd-resolved#DNS]])
 
}}
 
}}
   
  +
=== 手動 ===
{{Tip|hostname の名称の付け方のアドバイスについては、[https://tools.ietf.org/html/rfc1178 RFC 1178] を見てください。}}
 
   
  +
==== iproute2 ====
上記の方法の代わりに、{{man|1|hostnamectl}} を使うこともできます:
 
   
  +
[[Wikipedia:iproute2|iproute2]] は {{Pkg|base}} [[メタパッケージ]]の依存パッケージで、{{man|8|ip}} コマンドラインインターフェイスを提供します。{{man|8|ip}} は[[#ネットワークインターフェイス|ネットワークインターフェイス]]や[[#IP アドレス|IP アドレス]]、[[#ルーティングテーブル|ルーティングテーブル]]の管理に使用されます。{{ic|ip}} を使用して行った設定は再起動すると失われることに注意してください。設定の永続化は、スクリプトや [[systemd#ユニットファイル|systemd ユニット]]を使って ''ip'' コマンドを自動化したりすることで可能です。また、{{ic|ip}} コマンドでは一般に略式記法を使うことができますが、この記事では分かりやすくするために略さずに明記します。
# hostnamectl set-hostname ''myhostname''
 
   
  +
{{Note|Arch Linux は {{Pkg|net-tools}} を非推奨としており、代わりに {{Pkg|iproute2}} を使うことを推奨しています。[https://archlinux.org/news/deprecation-of-net-tools/] [https://dougvitale.wordpress.com/2011/12/21/deprecated-linux-networking-commands-and-their-replacements/ Deprecated Linux networking commands and their replacements] も参照してください。}}
hostname を一時的に設定するには、{{Pkg|inetutils}} の {{man|1|hostname}} を使います (再起動するまで有効):
 
   
  +
==== 固定 IP アドレス ====
# hostname ''myhostname''
 
   
  +
固定 IP アドレスはほとんどの標準的な[[#ネットワークマネージャ|ネットワークマネージャ]]や[[dhcpcd]]を使って設定できます。
"pretty" hostname や他のマシンのメタデータを設定する方法は、{{man|5|machine-info|https://www.freedesktop.org/software/systemd/man/machine-info.html}} を参照してください。
 
   
  +
手動で固定 IP アドレスを設定するには、[[#IP アドレス]]で説明されているように IP アドレスを追加し、[[#ルーティングテーブル|ルーティングテーブル]]をセットアップし、[[ドメイン名前解決|DNS サーバを設定]]してください。
=== ローカルネットワークのホストネーム解決 ===
 
   
  +
==== IP アドレス ====
先に[[#ホストネームの設定|ホストネームの設定]]が必須です。設定後は、自分のホストネームを使って自分自身を解決することができます:
 
   
  +
[[Wikipedia:IP address|IP アドレス]]は {{man|8|ip-address}} を使って管理します。
{{hc|$ ping ''myhostname''|2=
 
PING myhostname (192.168.1.2) 56(84) bytes of data.
 
64 bytes from myhostname (192.168.1.2): icmp_seq=1 ttl=64 time=0.043 ms}}
 
   
  +
IP アドレスを一覧表示するには:
他のマシンにも名前によってホストを割り当てるには、次のどちらかの操作が必要です:
 
   
  +
$ ip address show
* {{man|5|hosts}} ファイルを編集する。
 
* ホストネームを解決するサービスを有効化する。
 
   
  +
IP アドレスをインターフェイスに追加するには:
{{Note|1={{Pkg|systemd}} は {{ic|myhostname}} nss モジュールによるホストネーム解決を提供しています ({{ic|/etc/nsswitch.conf}} でデフォルトで有効になっています)。そのため基本的に {{ic|/etc/hosts}} のホストネームを変更する必要はありません。しかしながら、クライアントが現在でも {{ic|/etc/hosts}}に依存していることがあります。その例は [https://lists.debian.org/debian-devel/2013/07/msg00809.html] [https://bugzilla.mozilla.org/show_bug.cgi?id=87717#c55] を見てください。}}
 
   
  +
# ip address add ''address/prefix_len'' broadcast + dev ''interface''
hosts ファイルを設定する場合、以下のような行を {{ic|/etc/hosts}} に追記します:
 
   
  +
:注意:
127.0.1.1 ''myhostname''.localdomain ''myhostname''
 
  +
:* アドレスは [[Wikipedia:Classless Inter-Domain Routing#CIDR notation|CIDR 表記]]を使用し、[[Wikipedia:Subnetwork|サブネットマスク]]も与えます。
  +
:* {{ic|+}} は、IP アドレスとサブネットマスクから[[Wikipedia:Broadcast address|ブロードキャストアドレス]]を {{ic|ip}} に導出させる特殊な記号です。
   
  +
:{{Note|手動で割り当てた IP アドレスが DHCP により割り当てたものと衝突しないことを確認してください。}}
上記の操作により、システムは両方のエントリのホストネームを解決するようになります:
 
   
  +
IP アドレスをインターフェイスから削除するには:
$ getent hosts
 
127.0.0.1 localhost
 
127.0.1.1 myhostname.localdomain myhostname
 
   
  +
# ip address del ''address/prefix_len'' dev ''interface''
永続的な IP アドレスが割り当てられたコンピュータを追加する場合、{{ic|127.0.1.1}} ではなく永続的なアドレスを使うべきです。
 
   
  +
条件に一致するすべてのアドレスを削除するには(例: 特定のインターフェイスの IP アドレス):
{{Note|1=もう一つの選択肢として、[[BIND]] や [[Unbound]] のような完全な DNS サーバーをセットアップすることが挙げられますが、ほとんどのシステムにとってこれはやりすぎであり、複雑すぎます。小さなネットワークと、ホストのネットワーク参加と離脱を伴う動的な柔軟性を求める環境には、[[Wikipedia:ja:Zeroconf|ゼロコンフィグレーションネットワーク]]のサービスがより適切であるといえるでしょう:
 
*[[Samba]] は Microsoft の '''NetBIOS''' によるホストネーム解決を提供しています。ホストネーム解決に必要なのは {{Pkg|samba}} のインストールと {{ic|nmbd.service}} サービスの有効化です。Windows、macOS または {{ic|nmbd}} が動作している Linux コンピュータからマシンを見つけられるようになります。
 
*[[Avahi]] は '''zeroconf''' によるホストネーム解決を提供しており、Avahi または Bonjour として知られています。これは Samba よりも少しだけ複雑な設定が必要です (詳しくは [[Avahi#ホスト名の解決]] を参照)。macOS または Avahi デーモンが動作している Linux コンピュータからマシンを見つけられるようになります。Windows には Avahi クライアントやデーモンが組み込まれていません。
 
}}
 
   
  +
# ip address flush dev ''interface''
== デバイスドライバ ==
 
   
  +
{{Tip|IPv4 アドレスは [http://jodies.de/ipcalc ipcalc](パッケージ: {{Pkg|ipcalc}}) で計算できます。}}
=== ドライバの状態の確認 ===
 
   
  +
==== ルーティングテーブル ====
[[udev]] があなたのネットワークインタフェースカード ([[Wikipedia:ja:ネットワークカード|NIC]] を参照) を検知し、必要なモジュールを起動時に自動でロードします。{{ic|lspci -v}} のアウトプットから "Ethernet controller" エントリ(かそれに類似したもの)をチェックしてください。どのカーネルモジュールがネットワークデバイスのためのドライバを含んでいるかわかります。例:
 
   
  +
[[Wikipedia:Routing table|ルーティングテーブル]]は、ある IP アドレスに直接到達できるか、どのゲートウェイ(ルータ)を使用すべきかを判断するのに使用します。IP アドレスと合致するルートが存在しない場合、[[Wikipedia:Default gateway|デフォルトゲートウェイ]]が使用されます。
{{hc|$ lspci -v|
 
02:00.0 Ethernet controller: Attansic Technology Corp. L1 Gigabit Ethernet Adapter (rev b0)
 
...
 
Kernel driver in use: atl1
 
Kernel modules: atl1}}
 
   
  +
ルーティングテーブルは {{man|8|ip-route}} を使用して管理します。
次に、{{ic|dmesg <nowiki>|</nowiki> grep ''module_name''}} でドライバがロードされたかチェックします。例:
 
   
  +
''PREFIX'' は CIDR 表記であるか、デフォルトゲートウェイに対しては {{ic|default}} です。
$ dmesg | grep atl1
 
...
 
atl1 0000:02:00.0: eth0 link is up 100 Mbps full duplex
 
   
  +
IPv4 ルートを一覧表示するには:
ドライバがきちんとロードされている場合は次のセクションはスキップしてください。そうでないならば、あなたの使っているモデルのために必要なモジュールを知る必要があります。
 
   
  +
$ ip route show
=== デバイスモジュールのロード ===
 
   
  +
IPv6 ルートを一覧表示するには:
チップセットに必要なモジュール・ドライバをインターネットで検索してください。Realtek のチップセットを使っているカードには {{ic|8139too}} が、SiS のチップセットを使っているカードには {{ic|sis900}} が一般的に使われるモジュールです。どのモジュールを使うべきかがわかったら、[[カーネルモジュール#手動でモジュールを扱う|手動でモジュールをロード]]してみてください。モジュールが見つからないというエラーが表示される場合、Arch カーネルにドライバーが含まれていないのかもしれません。モジュールの名前で [[Arch User Repository|AUR]] を検索できます。
 
   
  +
$ ip -6 route show
起動時に udev が自動で正しいモジュールを検知・ロードしない場合、[[カーネルモジュール#ロード]]を見てください。
 
   
  +
ルートを追加するには:
== ネットワークインターフェース ==
 
   
  +
# ip route add ''PREFIX'' via ''address'' dev ''interface''
=== デバイス名 ===
 
   
  +
ルートを削除するには:
NIC が統合されたマザーボードでは、デバイス名を固定することが重要です。設定の問題の多くはインターフェイスの名前が変わってしまうことが原因です。
 
   
  +
# ip route del ''PREFIX'' via ''address'' dev ''interface''
どのデバイスがどの名前になるかは [[udev]] によって決まります。Systemd v197 から [https://www.freedesktop.org/wiki/Software/systemd/PredictableNetworkInterfaceNames Predictable Network Interface Names] が導入され、ネットワークデバイスに固定された名前を自動的に割り当てるようになりました。現在、インターフェースの名前は {{ic|enp0s25}} のように、先頭に {{ic|en}} (イーサネット) {{ic|wl}} (WLAN) {{ic|ww}} (WWAN) が付き、後ろに自動生成された識別子が付くようになっています。この名前の付け方を止めさせるにはカーネルコマンドラインに {{ic|1=net.ifnames=0}} を追加してください。
 
   
  +
=== 自動 ===
{{Note|インターフェイスの命名方法を変更する時は、ネットワークに関する全ての設定ファイルや、systemd のカスタムユニットファイルなども変更することを忘れないでください。特に、[[netctl#基本的な方法|netctl の固定プロファイル]]を有効にしている場合は、{{ic|netctl reenable ''profile''}} を実行してサービスファイルを更新してください。}}
 
   
  +
自動的なネットワーク設定は、[[Wikipedia:ja:Dynamic Host Configuration Protocol|Dynamic Host Configuration Protocol]] (DHCP) を用いることで可能になります。ネットワークの DHCP サーバは、IP アドレス、デフォルトゲートウェイの IP アドレスを提供し、さらにオプションで DHCP クライアントからリクエストが送られたときには DNS ネームサーバも提供します。
==== 現在のデバイス名を取得 ====
 
   
  +
DHCP サーバの比較表は [[ルーター#DNS と DHCP]] を見てください。
現在の NIC の名前は {{ic|sysfs}} や {{ic|ip link}} で確認できます。例:
 
   
  +
==== ネットワークマネージャ ====
{{hc|$ ls /sys/class/net|
 
lo enp0s3
 
}}
 
   
  +
ネットワークマネージャは、ネットワークプロファイルと呼ばれるものを使ってネットワーク接続の設定を管理して、ネットワークの切り替えを容易にします。
{{hc|$ ip link|
 
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN mode DEFAULT group default
 
link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
 
2: enp0s3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000
 
link/ether 08:00:27:23:6f:3a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
 
}}
 
   
  +
{{Tip|DHCPv4 サーバが実行中かどうかは {{Pkg|dhcping}} で確認できます。}}
無線デバイスの名前は {{ic|iw dev}} で取得できます。詳しくは[[ワイヤレス設定#情報を取得する]]を参照。
 
   
  +
{{Note|各ネットワークインターフェイスは、ただ一つの DHCP クライアントかネットワークマネージャのみによって管理されるべきです。なので、システム上でただ一つの DHCP クライアントかネットワークマネージャだけを実行することが推奨されます。}}
==== デバイス名の変更 ====
 
   
  +
{| class="wikitable sortable"
udev ルールを作ることで名前を手動で定義してデバイス名を変更することができます。例:
 
  +
! rowspan="2"| ソフトウェア
  +
! colspan="3"| 接続タイプ
  +
! colspan="2"| [[ネットワーク設定/ワイヤレス#認証|ワイヤレス認証]]
  +
! colspan="3"| IP アドレス、ルート (route)、そして DNS の管理
  +
! colspan="3"| インターフェイス
  +
|-
  +
! イーサネット
  +
! PPPoE
  +
! [[USB 3G モデム|モバイルブロードバンド]]
  +
! WPA/WPA2
  +
! WPA3
  +
! 固定 IP
  +
! DHCP クライアント
  +
! [[ドメイン名前解決]]
  +
! CLI
  +
! TUI
  +
! GUI
  +
|-
  +
! {{Pkg|dhclient}}<sup>1</sup>
  +
| {{Yes}} || {{No}} || {{No}} || colspan="2" {{No}}<sup>2</sup> || {{Yes}} || {{G|内蔵}} || {{Yes}} ({{ic|/etc/resolv.conf}} に書き込み) || {{No}} || {{No}} || {{No}}
  +
|-
  +
! [[dhcpcd]]
  +
| {{Yes}} || {{No}} || {{No}} || colspan="2" {{Y|[[dhcpcd#10-wpa supplicant|wpa_supplicant を起動]]<sup>3</sup>}} || {{Yes}} || {{G|内蔵}} || {{G|[[dhcpcd#/etc/resolv.conf|Yes]] ([[resolvconf]] を使用、または {{ic|/etc/resolv.conf}} に書き込み)}} || {{No}} || {{No}} || {{G|{{AUR|dhcpcd-ui}}}}
  +
|-
  +
! [[ConnMan]]
  +
| {{Yes}} || {{No|https://01.org/jira/browse/CM-63{{Dead link|2023|10|29|status=404}}}} || {{Yes}} ({{aur|ofono}} によって) || colspan="2" {{Yes}} ({{Pkg|wpa_supplicant}} または {{Pkg|iwd}} によって) || {{Yes}} || {{G|内蔵}} || {{G|[[ConnMan#DNS 管理|Yes]]}} (内蔵のリゾルバを実行し、{{ic|/etc/resolv.conf}} に書き込み) || {{G|{{man|1|connmanctl}}}} || {{G|[[ConnMan#フロントエンド|Yes]]}} || {{G|[[ConnMan#フロントエンド|Yes]]}}
  +
|-
  +
! [[netctl]]
  +
| {{Yes}} || {{G|[[Netctl#インストール|Yes]] ({{Pkg|ppp}} によって)}} || {{Yes}} ({{Pkg|ppp}} によって) || {{Yes}} ({{Pkg|wpa_supplicant}} によって) || {{No}} || {{Yes}} || {{G|{{Pkg|dhcpcd}} または {{Pkg|dhclient}}}} || {{G|[[netctl#/etc/resolv.conf|Yes]] ([[resolvconf]] を使用)}} || {{G|{{man|1|netctl}}}} || {{Y|{{man|1|wifi-menu}}<sup>4</sup>}} || {{No}}
  +
|-
  +
! [[NetworkManager]]
  +
| {{Yes}} || {{G|[[NetworkManager#PPPoE / DSL サポート|Yes]] ({{Pkg|rp-pppoe}} によって)}} || {{G|[[NetworkManager#モバイルブロードバンドサポート|Yes]] ({{Pkg|modemmanager}} によって)}} || colspan="2" {{Yes}} ({{Pkg|wpa_supplicant}} [[NetworkManager#Wi-Fi バックエンドとして iwd を使用する|または iwd]] によって) || {{Yes}} || {{G|内蔵、{{Pkg|dhclient}}、{{Pkg|dhcpcd}}<sup>5</sup> のいずれかによって}} || {{G|[[NetworkManager#DNS の管理|Yes]] ([[systemd-resolved]]、[[resolvconf]] を使用、または {{ic|/etc/resolv.conf}} に書き込み)}} || {{G|{{man|1|nmcli}}}} || {{G|{{man|1|nmtui}}}} || {{G|[[NetworkManager#フロントエンド|Yes]]}}
  +
|-
  +
! [[systemd-networkd]]
  +
| {{Yes}} || {{No|https://github.com/systemd/systemd/issues/481}} || {{No|https://github.com/systemd/systemd/issues/20370}} || colspan="2" {{No}}<sup>2</sup> || {{Yes}} || {{G|内蔵}} || {{Yes}} ([[systemd-resolved]] を使用) || {{G|{{man|1|networkctl}}}} || {{No}} || {{No}}
  +
|-
  +
! [[wpa_supplicant]]
  +
| {{G|[[Wikipedia:ja:IEEE 802.1X|IEEE 802.1X]]}} || {{No}} || {{No}} || {{Yes}} || {{Yes}} || colspan="3" {{No}} || {{G|{{man|8|wpa_cli}}}} || {{No}} || {{G|{{AUR|wpa_supplicant_gui}}}}
  +
|-
  +
! [[iwd]]
  +
| {{G|[[Wikipedia:ja:IEEE 802.1X|IEEE 802.1X]]}} || {{No}} || {{No}} || {{Yes}} || {{Yes}} || {{G|[[iwd#内蔵ネットワーク設定の有効化|Yes]]}} || {{G|[[iwd#内蔵ネットワーク設定の有効化|内蔵]]}} || {{G|[[iwd#DNS マネージャーの選択|Yes]] ([[systemd-resolved]] または [[resolvconf]] を使用)}} || {{G|{{man|1|iwctl}}}} || {{No}} || {{G|{{AUR|iwgtk}}}}
  +
|}
   
  +
# 2022 初頭の時点ではもはやメンテナンスされていません。ISC は本番環境で使用することを推奨していません。
{{hc|/etc/udev/rules.d/10-network.rules|2=
 
  +
# ワイヤレス認証は [[wpa_supplicant]] または [[iwd]] によって別に設定することができます。
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTR{address}=="aa:bb:cc:dd:ee:ff", NAME="net1"
 
  +
# ワイヤレス認証は [[wpa_supplicant]] によって別に設定しなければなりません。
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTR{address}=="ff:ee:dd:cc:bb:aa", NAME="net0"}}
 
  +
# Wi-Fi 接続のみを管理できます。
  +
# NetworkManager は DHCPv6 に dhcpcd を使用しません。[[NetworkManager#DHCP クライアント]] を参照してください。
   
  +
== ネットワークインターフェイス ==
上記のルールは起動時に自動的に適用されます。
 
   
  +
デフォルトでは [[udev]] が [https://systemd.io/PREDICTABLE_INTERFACE_NAMES/ Predictable Network Interface Names] を使用して[[Wikipedia:Network interface controller|ネットワークインターフェイスコントローラ]]に名前を割り当てます。インターフェイス名のプレフィックスは、{{ic|en}} (有線/[[Wikipedia:Ethernet|Ethernet]])、{{ic|wl}} (無線/[[Wikipedia:Wireless LAN|WLAN]])、{{ic|ww}} (モバイルブロードバンド/[[Wikipedia:Wireless WAN|WWAN]]) となります。{{man|7|systemd.net-naming-scheme}} を参照してください。
注意事項:
 
   
* カドの MAC アドレスを取得するには、コマ使ってください: {{ic|cat /sys/class/net/''device-name''/address}}
+
{{Tip|インタフェイ変更するには、[[#インターフェイス名変更]] と [[#伝統的なイターフェイス名に戻す]] てください}}
* udev ルールでは小文字の16進数を使うようにしてください。大文字は使ってはいけません。
 
   
  +
=== ネットワークインターフェイスを表示 ===
ネットワークカードに MAC が動的に割り当てられている場合は、{{ic|DEVPATH}} を使うことができます。例:
 
   
  +
有線インターフェイスと無線インターフェイスの両方の名前は {{ic|ls /sys/class/net}} や {{ic|ip link}} で見つけることができます。{{ic|lo}} は [[Wikipedia:Loopback#Virtual loopback interface|仮想ループバックインターフェイス]]であり、ネットワーク接続の際には使用されないことに注意してください。
{{hc|/etc/udev/rules.d/10-network.rules|<nowiki>
 
SUBSYSTEM=="net", DEVPATH=="/devices/platform/wemac.*", NAME="int"
 
SUBSYSTEM=="net", DEVPATH=="/devices/pci*/*1c.0/*/net/*", NAME="en"
 
</nowiki>}}
 
   
  +
無線デバイス名は {{ic|iw dev}} を使用することでも取得できます。[[ネットワーク設定/ワイヤレス#インターフェイス名の取得]]も参照してください。
ルールは起動時に複数回実行されることがあるので、デバイスのパスは新しいデバイス名と古いデバイス名両方にマッチする必要があります。例えば、2番目のルールで、{{ic|"/devices/pci*/*1c.0/*/net/enp*"}} と設定すると困ったことになります。名前が {{ic|en}} に変更されるとマッチしなくなるからです。システムのデフォルトルールだけが再度適用され、名前が {{ic|enp1s0}} などに戻ります。
 
   
  +
使用中のネットワークインターフェイスが表示されない場合、デバイスドライバが正しくロードされていることを確認してください。[[ネットワーク設定/イーサネット#デバイスドライバ]] や [[ネットワーク設定/ワイヤレス#デバイスドライバ]] を参照してください。
ルールを[[Udev#ロードする前にルールをテストする|テスト]]したい場合、ユーザー空間から直接テストすることができます (例: {{ic|udevadm --debug test /sys/''DEVPATH''}})。名前を変更する前にインターフェイスは落としておいてください (例: {{ic|ip link set down enp1s0}})。
 
   
  +
=== ネットワークインターフェイスを有効化/無効化 ===
{{Note|固定の名前を付けるときに "eth''X''" や "wlan''X''" というような名前を使ってはいけません、起動時にカーネルと udev で競合状態が発生する可能性があります。代わりに、カーネルではデフォルトで使われないインターフェイス名を使うと良いでしょう、例: {{ic|net0}}, {{ic|net1}}, {{ic|wifi0}}, {{ic|wifi1}}。詳細は [https://www.freedesktop.org/wiki/Software/systemd/PredictableNetworkInterfaceNames systemd] のドキュメントを参照してください。}}
 
   
  +
ネットワークインターフェイスは {{ic|ip link set ''interface'' up{{!}}down}} を使用することで有効化/無効化できます。{{man|8|ip-link}} を参照してください。
==== 伝統的なデバイス名に戻す ====
 
   
  +
インターフェイス {{ic|enp2s0}} の状態を確認するには:
eth0 などの伝統的なインターフェイス名に戻したい場合、次のコマンドで [https://www.freedesktop.org/wiki/Software/systemd/PredictableNetworkInterfaceNames Predictable Network Interface Names] を無効にできます:
 
   
  +
{{hc|$ ip link show dev enp2s0|
# ln -s /dev/null /etc/udev/rules.d/80-net-setup-link.rules
 
  +
2: enp2s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast master br0 state DOWN mode DEFAULT qlen 1000
  +
...
  +
}}
   
  +
{{ic|<BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP>}} の部分の {{ic|UP}} はインターフェイスが立ち上がっていることを示しています。後ろにある {{ic|state DOWN}} は関係ありません。
=== MTU とキューの長さの設定 ===
 
udev ルールを使って手動で定義することでデバイスの MTU とキューの長さを変更することができます。例:
 
   
  +
{{Note|デフォルトルートが {{ic|enp2s0}} インターフェイスを使っている場合、インターフェイスを落とすとルートも削除されます。インターフェイスを再度立ち上げてもデフォルトルートは自動的には再確立されません。再確立する方法は [[#ルーティングテーブル]] を参照。}}
{{hc|/etc/udev/rules.d/10-network.rules|2=
 
ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", KERNEL=="wl*", ATTR{mtu}="1480", ATTR{tx_queue_len}="2000"}}
 
   
  +
=== インターフェイス名の変更 ===
{{ic|mtu}}: 1500より大きな値(いわゆる [[Wikipedia:ja:ジャンボフレーム|ジャンボフレーム]])を使用すると、ネットワーク転送を大幅に高速化することができます。ジャンボフレームを使用するには、ローカルネットワーク内のスイッチを含むすべてのネットワークインターフェースが同じMTUをサポートしている必要があることに注意してください。PPPoE では、MTU を 1492 より大きくしてはいけません。{{man|5|systemd.netdev}} を使って MTU を設定することもできます。
 
   
  +
{{Note|命名規則を変更した際には、すべてのネットワーク関連の設定ファイルとカスタムの systemd ユニットファイルを更新し、変更を反映させることを忘れないでください。}}
{{ic|tx_queue_len}}: モデム回線や ISDN など、遅延の大きい低速なデバイスでは小さな値になります。高速インターネット接続で接続され、大きなデータ転送を行うサーバーには高い値を推奨します。
 
   
  +
{{man|5|systemd.link}} ファイルで名前を手動で定義してデバイス名を変更することができます。例:
=== ネットワークインターフェースの有効化・無効化 ===
 
   
  +
{{hc|/etc/systemd/network/10-net0.link|2=
ネットワークインターフェースを有効化・無効化するには以下のコマンドを使います:
 
  +
[Match]
  +
PermanentMACAddress=aa:bb:cc:dd:ee:ff
   
  +
[Link]
# ip link set ''インターフェイス名'' up
 
  +
Name=net0
# ip link set ''インターフェイス名'' down
 
  +
}}
   
  +
あるいは、udev ルールを使うこともできます:
{{ic|eth0}} インターフェイスの状態を確認するには:
 
   
  +
{{hc|/etc/udev/rules.d/10-network.rules|2=
{{hc|$ ip link show dev eth0|
 
  +
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTR{address}=="aa:bb:cc:dd:ee:ff", NAME="net0"
2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,PROMISC,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast master br0 state UP mode DEFAULT qlen 1000
 
...
 
 
}}
 
}}
   
  +
上記のルールは起動時に自動的に適用されます。即座に変更を適用するには、{{ic|net}} サブシステムの udev ルールを手動でトリガーしてください:
{{Note|デフォルトルートが {{ic|eth0}} インターフェイスを使っている場合、インターフェイスを落とすとルートも削除されます。インターフェイスを再度立ち上げてもデフォルトルートは自動的には再確立されません。再確立する方法は [[#手動で割り当てる]] を参照。}}
 
   
  +
# udevadm trigger --verbose --subsystem-match=net --action=add
== IP アドレスの設定 ==
 
   
  +
加えた変更を[[udev#ロードする前にルールをテストする|テスト]]したい場合、{{ic|udevadm --debug test /sys/class/net/*}} が役立つでしょう。
{{Warning|ネットワークを管理する方法はひとつにしぼってください。複数の方法を同時に使うと競合する恐れがあります。}}
 
   
  +
{{Note|
2つ選択肢があります: [[Wikipedia:ja:Dynamic Host Configuration Protocol|DHCP]] を使った動的に割り当てられるアドレスか、不変の"固定"アドレスです。[[アプリケーション一覧#ネットワーク管理]]も参照してください。
 
  +
* {{ic|Name}} の優先順位は {{ic|NamePolicy}} よりも低いです。なので、後者が設定されていない/空であるようにするか、名前が変更されないようにしてください。{{ic|99-default.link}} は {{ic|NamePolicy}} を設定するので、これの前にカスタムの設定が来るようにしなければなりません (つまり、数字の接頭辞を持つということ)。
  +
* ネットワークインターフェイスの名前を変更する前に、そのインターフェイスを落しておかなければなりません。 [https://github.com/systemd/systemd/issues/26601]
  +
* 各カードの MAC アドレスを得るには、{{ic|ip link}} を実行してください。
  +
* udev ルールでは小文字の16進数を使用してください。大文字ではいけません。
  +
}}
   
  +
ネットワークカードの MAC アドレスが動的である場合は、{{ic|Path}} を使用できます ({{ic|Path}} は {{ic|networkctl status ''interface_name''}} で確認できます):
=== 動的 IP アドレス ===
 
   
==== systemd-networkd ====
+
{{hc|/etc/systemd/network/10-net1.link|2=
  +
[Match]
  +
Path=pci-0000:01:00.0
   
  +
[Link]
systemd による [[systemd-networkd]] を使って DHCP を簡単に設定することができます。[[systemd-networkd#基本的な DHCP ネットワーク]] を見てください。
 
  +
Name=net1
  +
}}
   
  +
あるいは、udev で {{ic|DEVPATH}} を使用できます:
==== dhcpcd ====
 
   
  +
{{hc|/etc/udev/rules.d/10-network.rules|2=
[[dhcpcd]] は Arch Linux の ISO で DHCP を設定するのに使われているデフォルトのクライアントです。これは様々な DHCP クライアントオプションの設定が可能な強力なツールです。特定のインターフェースを指定して起動する方法は [[dhcpcd#実行]] を見てください。
 
  +
SUBSYSTEM=="net", DEVPATH=="/devices/pci*/*1c.0/*/net/*", NAME="net1"
  +
}}
   
  +
現在接続されているすべてのデバイスの {{ic|DEVPATH}} を取得するには、{{ic|/sys/class/net/}} 内のシンボリックリンクがどこにリンクされているかを見てください。例:
==== dhclient ====
 
   
  +
{{hc|$ file /sys/class/net/*|
{{Pkg|dhclient}} は Internet Systems Consortium の DHCP クライアントです。{{ic|dhclient@''interface''.service}} を[[有効化]]してください。{{ic|''interface''}} は有線の[[#デバイス名|デバイス名]]に置き換えてください。詳しくは dhclient や dhclient.conf を見てください。
 
  +
/sys/class/net/enp0s20f0u4u1: symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:14.0/usb2/2-4/2-4.1/2-4.1:1.0/net/enp0s20f0u4u1
  +
/sys/class/net/enp0s31f6: symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:1f.6/net/enp0s31f6
  +
/sys/class/net/lo: symbolic link to ../../devices/virtual/net/lo
  +
/sys/class/net/wlp4s0: symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:1c.6/0000:04:00.0/net/wlp4s0
  +
}}
   
  +
ルールは起動時に複数回実行されることがあるので、デバイスのパスは新しいデバイス名と古いデバイス名両方にマッチする必要があります。例えば、与えられたルールで、{{ic|"/devices/pci*/*1c.0/*/net/en*"}} と設定すると困ったことになります。名前が {{ic|net1}} に変更されるとマッチしなくなるからです。システムのデフォルトルールだけが再度適用され、名前がに戻ってしまいます。
==== netctl ====
 
   
  +
動的 MAC アドレスのある USB ネットワークデバイス (例: Android phone テザリング) を使用していて、異なる USB ポートを使えるようにしたい場合、ベンダ ID やモデル ID とマッチするルールを代わりに使用することができます:
[[netctl]] は、ユーザーが作成したプロファイルを通してネットワークの接続を設定・管理する CLI ベースのツールです。[[netctl#サンプルプロファイル]] で示されている例のようにプロファイルを作成し、[[netctl#基本的な方法]]で述べられているようにして有効化してください。
 
   
  +
{{hc|/etc/systemd/network/20-net2.link|2=
=== 固定 IP アドレス ===
 
  +
[Match]
  +
Property=ID_VENDOR_ID=12ab ID_MODEL_ID=3cd4
   
  +
[Link]
Arch Linux に存在するネットワークツールのほとんどで固定アドレスを設定することができます。どのツールを選ぶかに関わらず、おそらく以下の情報が準備に必要になるでしょう:
 
  +
Name=net2
 
  +
}}
* 固定 IP アドレス
 
* サブネットマスク、または場合によっては [[Wikipedia:Classless Inter-Domain Routing#CIDR notation|CIDR の表記]]。例えば {{ic|/24}} は {{ic|255.255.255.0}} の CIDR 表記です。
 
* [[Wikipedia:Broadcast_address|ブロードキャストアドレス]]
 
* [[Wikipedia:Default_gateway|ゲートウェイ]]の IP アドレス
 
* ネームサーバ (DNS) の IP アドレス。[[resolv.conf]] を参照。
 
   
  +
または
プライベートネットワークを使っている場合、IP アドレスには {{ic|192.168.*.*}} を、サブネットマスクには {{ic|255.255.255.0}} を、ブロードキャストアドレスには {{ic|192.168.*.255}} を使う方が安全です。ゲートウェイは通例 {{ic|192.168.*.1}} か {{ic|192.168.*.254}} です。
 
   
  +
{{hc|/etc/udev/rules.d/10-network.rules|2=
{{Warning|
 
  +
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTRS{idVendor}=="12ab", ATTRS{idProduct}=="3cd4", NAME="net2"
* 手動で割り当てた IP アドレスと DHCP によるアドレスが衝突しないように注意してください。[http://www.raspberrypi.org/forums/viewtopic.php?f&#61;28&t&#61;16797 このフォーラムスレッド] を参照。
 
* ルーターを使わずに Windows マシンとインターネット接続を共有する場合、LAN の問題を避けるために両方のコンピュータで固定 IP アドレスを使うようにしてください。
 
 
}}
 
}}
   
  +
{{Note|固定の名前を付けるときに '''"eth''X''" や "wlan''X''" というような名前を使ってはいけません'''、起動時にカーネルと udev で競合状態が発生する可能性があります。代わりに、カーネルではデフォルトで使われないインターフェイス名を使うと良いでしょう、例: {{ic|net0}}, {{ic|net1}}, {{ic|wifi0}}, {{ic|wifi1}}。詳細は [https://systemd.io/PREDICTABLE_INTERFACE_NAMES/ systemd] のドキュメントを参照してください。}}
{{Tip|アドレスは {{Pkg|ipcalc}} を用いて計算することができます。[[#アドレス計算]]を参照。}}
 
   
  +
=== 伝統的なインターフェイス名に戻す ===
==== netctl ====
 
   
  +
{{ic|eth0}} のような伝統的なインターフェイス名に戻したい場合、udev の {{ic|net_setup_link}} ビルトインの {{ic|NamePolicy}} のデフォルトを変更することで [https://systemd.io/PREDICTABLE_INTERFACE_NAMES/ Predictable Network Interface Names] を無効化できます:
固定 IP の {{Pkg|netctl}} プロファイルを作成するには、{{ic|1=IP=static}} オプションを設定し、{{ic|Address}}、{{ic|Gateway}}、{{ic|DNS}} も同様に設定してください。 [[netctl#有線]]を見てください。
 
   
  +
{{hc|/etc/systemd/network/99-default.link.d/traditional-naming.conf|2=
==== systemd-networkd ====
 
  +
[Link]
  +
NamePolicy=keep kernel
  +
}}
   
  +
または、{{ic|net_setup_link}} を完全に無効化することもできます。対応する udev ルールをマスクするか:
systemd により提供される [[systemd-networkd]] サービスは、シンプルな設定ファイルを使って固定 IP をセットアップすることができます。 [[systemd-networkd#有線アダプタで固定 IP を使用]]を見てください。
 
   
  +
# ln -s /dev/null /etc/udev/rules.d/80-net-setup-link.rules
==== dhcpcd ====
 
   
[[dhcpcd#固定プロファイル]]を見てください。
+
あるいは、{{ic|1=net.ifnames=0}} を[[カーネパラメータ]]に追加してください。
   
  +
{{Note|{{man|5|systemd.link}} は {{ic|net_setup_link}} が動作していることに頼っています。あなたが何をしているか理解していない限り、1つ目のやり方を優先してください。}}
==== 手動で割り当てる ====
 
   
  +
=== MTU とキューの長さの設定 ===
{{Pkg|iproute2}} のみを使って固定 IP を手動でセットアップすることができます。この方法では再起動すると設定が消えるので、接続設定をテストするときに使ってみると良いでしょう。まず[[#ネットワークインターフェース|ネットワークインターフェース]]を有効化します:
 
   
  +
{{man|5|systemd.link}} の設定で手動で定義することで、デバイスの [[wikipedia:Maximum transmission unit|MTU]] とキューの長さを変更することができます。例えば:
# ip link set ''interface'' up
 
   
  +
{{hc|/etc/systemd/network/30-mtu.link|2=
コンソールから固定 IP アドレスを割り当てます:
 
  +
[Match]
  +
Type=wlan
   
  +
[Link]
# ip addr add ''IP_address''/''subnet_mask'' broadcast ''broadcast_address'' dev ''interface''
 
  +
MTUBytes=1500
  +
TransmitQueueLength=2000
  +
}}
   
  +
あるいは、udev ルールを使って:
そしてゲートウェイ IP アドレスを追加します:
 
# ip route add default via ''default_gateway''
 
   
  +
{{hc|/etc/udev/rules.d/10-network.rules|2=
例:
 
  +
ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", KERNEL=="wl*", ATTR{mtu}="1500", ATTR{tx_queue_len}="2000"
  +
}}
   
  +
{{ic|MTUBytes}}: 1500 よりも大きい値を使用することで ([[Wikipedia:ja:ジャンボフレーム|ジャンボフレーム]]と呼ばれます)、ネットワークの転送速度を大幅に増加させることができます。すべてのネットワークインターフェイス(ローカルネットワークのスイッチを含む)が、ジャンボフレームを使うために同じ MTU をサポートしなければならないことに注意してください。PPPoE の場合、MTU は 1492 よりも大きくするべきではありません。MTU は {{man|5|systemd.netdev}} によっても設定することができます。
# ip link set eth0 up
 
# ip addr add 192.168.1.2/24 broadcast 192.168.1.255 dev eth0
 
# ip route add default via 192.168.1.1
 
   
  +
{{ic|TransmitQueueLength}}: モデルリンクや ISDN のような高レイテンシの低速デバイスでは小さい値。インターネット接続が高速で、大量のデータ転送を行うサーバでは大きい値が推奨されます。
{{Note|{{ic|RTNETLINK answers: Network is unreachable}} というメッセージが表示された場合、ルートの生成を以下のように分けてみてください:
 
   
  +
== ホスト名の設定 ==
# ip route add 192.168.1.1 dev eth0
 
# ip route add default via 192.168.1.1 dev eth0
 
}}
 
   
  +
[[Wikipedia:ja:ホスト名|ホスト名]]とは、ネットワーク上でマシンを識別するために作られる唯一の(ユニークな)名前であり、{{ic|/etc/hostname}} に設定します (詳しくは {{man|5|hostname}} と {{man|7|hostname}} を参照)。このファイルにはシステムのドメイン名を含めることもできます。ホストネームを設定するには {{ic|/etc/hostname}} を[[ヘルプ:読み方#追加, 作成, 編集 そして source|編集]]し、{{ic|''yourhostname''}} の1行を書いてください (実際にはあなたの好きな名前を使ってください):
上記の手順を取り消すには (例えば動的 IP に切り替える前に)、まず割り当てた IP アドレスをすべて削除します:
 
   
  +
{{hc|/etc/hostname|
# ip addr flush dev ''interface''
 
  +
''yourhostname''
  +
}}
   
  +
{{Tip|hostname の名称の付け方のアドバイスについては、[https://tools.ietf.org/html/rfc1178 RFC 1178] を見てください。}}
次に割り当てたゲートウェイをすべて削除します:
 
   
  +
上記の方法の代わりに、{{man|1|hostnamectl}} を使うこともできます:
# ip route flush dev ''interface''
 
   
  +
# hostnamectl hostname ''yourhostname''
最後にインターフェイスを無効化します:
 
   
  +
hostname を一時的に設定するには、{{Pkg|inetutils}} の {{man|1|hostname}} を使います (再起動するまで有効):
# ip link set ''interface'' down
 
   
  +
# hostname ''yourhostname''
オプションについての詳細は {{ic|ip(8)}} の man ページを見てください。上記のコマンドはスクリプトと [[systemd#ユニットファイル|systemd ユニット]]を使って自動化できます。
 
   
  +
"pretty" hostname や他のマシンのメタデータを設定する方法は、{{man|5|machine-info}} を参照してください。
==== アドレス計算 ====
 
   
  +
=== ローカルネットワークのホストネーム解決 ===
{{Pkg|ipcalc}} パッケージによって提供される {{ic|ipcalc}} を使うことで、より高度な設定のために、IP ブロードキャスト、ネットワーク、ネットマスク、ホストの範囲を計算することができます。例えば、firewire ごしのイーサネットを使って Windows マシンと Arch を接続している場合、セキュリティやネットワークの管理のために、ネットマスクとブロードキャストが設定されたネットワークに置くことでその2つのマシンだけがネットワークが使えるようになります。
 
   
  +
マシンがホストネームを使って LAN 内でアクセスできるようにするには、以下の方法を取ることができます:
このためにネットマスクとブロードキャストアドレスを計算するには、{{ic|ipcalc}} を使って、arch の firewire nic の IP {{ic|10.66.66.1}} で計算して、ホストが2つだけのネットワークを作成させます。
 
   
  +
* LAN 内のすべてのデバイスの {{ic|/etc/hosts}} ファイルを編集する、{{man|5|hosts}} を見てください
{{hc|$ ipcalc -nb 10.66.66.1 -s 1|<nowiki>
 
  +
* ホストネームを解決する [[DNS|DNS サーバー]]をセットアップし、LAN のデバイスにそれを使用させる (例えば、[[ルーター#DNS と DHCP|DHCP]] を使う)
Address: 10.66.66.1
 
  +
* または、より簡単な方法を取る: [[Wikipedia:Zero-configuration networking|ゼロコンフィグレーションネットワーク]]サービスを使う:
 
  +
** [[Wikipedia:NetBIOS#Name service|NetBIOS]] によるホストネーム解決。Linux の [[Samba]] により提供されています。必要なのは {{ic|nmb.service}} だけです。Windows や macOS、{{ic|nmb}} が動作している Linux のコンピュータからマシンを見つけられるようになります。
Netmask: 255.255.255.252 = 30
 
  +
** [[Wikipedia:Multicast DNS|mDNS]] によるホストネーム解決。{{ic|nss_mdns}} と [[Avahi]] を使う(セットアップの詳細は [[Avahi#ホスト名の解決]]で)か、[[systemd-resolved]] を使うことにより可能です。macOS や、Avahi や systemd-resolved が動作している Linux のコンピュータがマシンを見つけられるようになります。古い Win32 API は mDNS をサポートしておらず、一部の古い Windows アプリケーションはデバイスにアクセスできない場合があります。
Network: 10.66.66.0/30
 
HostMin: 10.66.66.1
 
HostMax: 10.66.66.2
 
Broadcast: 10.66.66.3
 
Hosts/Net: 2 Class A, Private Internet
 
</nowiki>}}
 
   
 
== ヒントとテクニック ==
 
== ヒントとテクニック ==
   
=== ラップトップのめの ifplugd ===
+
=== ボンディングま LAG ===
 
{{Tip|[[dhcpcd]] は同じ機能を設定不要で提供します。}}
 
 
[[公式リポジトリ]]にある {{Pkg|ifplugd}} は、ケーブルが接続された時にイーサネットデバイスを自動で設定し、ケーブルが抜かれた時に自動で設定を解除するデーモンを提供します。これはオンボードのネットワークアダプタを持っているラップトップで役に立ちます。なぜならケーブルが実際に接続されているときだけインターフェースを設定するからです。他にも、ネットワークをリスタートしたいがコンピュータの再起動をしたりシェルを使いたくないときに役に立ちます。
 
 
デフォルトでは ifplugd は {{ic|eth0}} デバイスで動作するように設定されています。デバイスや遅延時間などは {{ic|/etc/ifplugd/ifplugd.conf}} で設定することができます。
 
 
{{Note|[[netctl]] パッケージに {{ic|netctl-ifplugd@.service}} が含まれています、もしくは {{Pkg|ifplugd}} パッケージの {{ic|ifplugd@.service}} を使うことができます。使用例: {{ic|# systemctl enable ifplugd@eth0.service}}。}}
 
 
=== ボンディングと LAG ===
 
   
[[netctl#ボンディング]]や[[ワイヤレスボンディング]]を見てください。
+
[[netctl#ボンディング]] [[systemd-networkd#ワイヤード (有線) インターフェイスとワイヤレスインターフェイスのボンディング]]、[[ワイヤレスボンディング]] を見てください。
   
 
=== IP アドレスエイリアス ===
 
=== IP アドレスエイリアス ===
361行目: 387行目:
   
 
サブネットへ向かうパケットはデフォルトでプライマリエイリアスを使います。送信先 IP がセカンダリエイリアスのサブネット内のものである場合は、送信元 IP がそれぞれに設定されます。複数の NIC が存在する場合を考えた場合、{{ic|ip route}} でデフォルトルートを列挙することができます。
 
サブネットへ向かうパケットはデフォルトでプライマリエイリアスを使います。送信先 IP がセカンダリエイリアスのサブネット内のものである場合は、送信元 IP がそれぞれに設定されます。複数の NIC が存在する場合を考えた場合、{{ic|ip route}} でデフォルトルートを列挙することができます。
 
=== MAC/ハードウェアアドレスを変更する ===
 
 
[[MAC アドレス偽装]]を見てください。
 
 
=== インターネット共有 ===
 
 
[[インターネット共有]]を見てください。
 
 
=== ルーター設定 ===
 
 
[[ルーター]]を見てください。
 
   
 
=== プロミスキャスモード ===
 
=== プロミスキャスモード ===
394行目: 408行目:
 
インターフェイス {{ic|eth0}} でプロミスキャスモードを有効にしたい場合、{{ic|promiscuous@eth0.service}} を[[有効化]]してください。
 
インターフェイス {{ic|eth0}} でプロミスキャスモードを有効にしたい場合、{{ic|promiscuous@eth0.service}} を[[有効化]]してください。
   
  +
=== ソケットの調査 ===
== トラブルシューティング ==
 
  +
  +
''ss'' はネットワークポートを調査するユーティリティで、{{Pkg|iproute2}} パッケージの一部です。機能的には[https://archlinux.org/news/deprecation-of-net-tools/ 非推奨の] netstat ユーティリティと似ています。
  +
  +
共通の利用方法は以下のようなものです:
   
  +
すべての TCP ソケットをサービス名と共に表示する:
=== ケーブルモデムのコンピュータを交換 ===
 
  +
$ ss -at
   
  +
すべての TCP ソケットをポート番号と共に表示する:
ほとんどの国内 ISP (videotron など) はネットワークインターフェイスの MAC アドレスを使って、認識するクライアント PC を一つだけに絞るようにケーブルモデムを設定しています。ケーブルモデムが初めて PC (やケーブルモデムに接続された機器) の MAC アドレスを認識すると、それ以外の MAC アドレスには頑として返答しなくなります。その PC を別の PC (またはルーター) に交換すると、新しい PC (やルーター) ではケーブルモデムを使うことができません。新しい PC (やルーター) の MAC アドレスは昔の PC の MAC アドレスと異なるからです。新しい PC を認識させるためにケーブルモデムをリセットするには、ケーブルモデムの電源を一度切ってから再度入れる必要があります。ケーブルモデムが再起動してオンラインになったら (通知ランプがおとなしくなるのでわかります)、新しく接続した PC を再起動して DHCP のリクエストを行ったり、手動で新しい DHCP リースをリクエストしてください。
 
  +
$ ss -atn
   
  +
すべての UDP ソケットを表示する:
この方法が上手くいかない場合、元のマシンの MAC アドレスをクローンする必要があります。[[#MAC/ハードウェアアドレスを変更する|MAC/ハードウェアアドレスを変更する]]を参照。
 
  +
$ ss -au
  +
  +
さらなる情報は {{man|8|ss}} を見てください。
  +
  +
== トラブルシューティング ==
   
 
=== TCP ウィンドウスケーリングの問題 ===
 
=== TCP ウィンドウスケーリングの問題 ===
   
TCP パケットのヘッダには"ウィンドウ"値が含まれており、他のホストが返答として送信できるデータの量が示されています。この値は16ビットでしか表現できないので、ウィンドウサイズは最大 64 Kb です。TCP パケットはしばらくの間キャッシュに保存されますが (再度使われます)、メモリの量は少なくとも昔は限られているので、すぐに使いきってしまうことがあります。
+
TCP パケットのヘッダには"ウィンドウ"値が含まれており、他のホストが返答として送信できるデータの量が示されています。この値は16ビットでしか表現できないので、ウィンドウサイズは最大 64 Kb です。TCP パケットはしばらくの間キャッシュに保存されますが (再度使われます)、メモリの量は(少なくとも昔は)限られているので、すぐに使いきってしまうことがあります。
   
1992年、利用できるメモリの量が大幅に増えるのにあわせて、この状態を改善するために [http://www.faqs.org/rfcs/rfc1323.html RFC 1323]: ウィンドウスケーリングが書かれました。全てのパケットに含まれている"ウィンドウ"の値を、スケールファクタ (Scale Factor) を定義することで、接続の初期段階で変更します。8ビットのスケールファクタなら、ウィンドウは 64Kb の32倍まで増やすことができます。
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1992年、利用できるメモリの量が大幅に増えるのにあわせて、この状態を改善するために [[RFC:1323]]: ウィンドウスケーリングが書かれました。全てのパケットに含まれている"ウィンドウ"の値を、スケールファクタ (Scale Factor) を定義することで、接続の初期段階で変更します。8ビットのスケールファクタなら、ウィンドウは 64Kb の32倍まで増やすことができます。
   
 
壊れたルーターやファイアウォールはスケールファクタを 0 に書き換えてしまうためホスト間での不和が発生します。Linux カーネル 2.6.17 ではスケールファクタを上げるための新しい算出方式が導入されましたが、それによってルーターやファイアウォールが壊れているときの影響が増え、極端に接続が遅かったり、全く接続できない状態が生まれています。
 
壊れたルーターやファイアウォールはスケールファクタを 0 に書き換えてしまうためホスト間での不和が発生します。Linux カーネル 2.6.17 ではスケールファクタを上げるための新しい算出方式が導入されましたが、それによってルーターやファイアウォールが壊れているときの影響が増え、極端に接続が遅かったり、全く接続できない状態が生まれています。
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まず最初に問題をはっきりさせましょう: この問題は少々厄介です。ある条件下では、TCP 接続 (HTTP, FTP, ...) を全く使えないのに、他の条件では、特定の (ごく少数の) ホストとは通信できるというようなことが起こります。
 
まず最初に問題をはっきりさせましょう: この問題は少々厄介です。ある条件下では、TCP 接続 (HTTP, FTP, ...) を全く使えないのに、他の条件では、特定の (ごく少数の) ホストとは通信できるというようなことが起こります。
   
この問題が発生していても、{{ic|dmesg}} の出力に問題はなく、ログに異常は見られず、そして {{ic|ip addr}} では通常状態だと報告されます。全てが問題ないように表面上は見えるわけです。
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この問題が発生していても、[[dmesg]] の出力に問題はなく、ログに異常は見られず、そして {{ic|ip addr}} では通常状態だと報告されます。全てが問題ないように(表面上は)見えるわけです。
   
 
ウェブサイトが表示できないのに、ping は通る場合、この問題が発生している可能性は十分あるでしょう: ping は TCP の問題に影響されない ICMP を使っているためです。
 
ウェブサイトが表示できないのに、ping は通る場合、この問題が発生している可能性は十分あるでしょう: ping は TCP の問題に影響されない ICMP を使っているためです。
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[[Wireshark]] を使ってみてください。UDP と ICMP の接続は通るのに (ホストが海外の) TCP 接続は通らないはずです。
 
[[Wireshark]] を使ってみてください。UDP と ICMP の接続は通るのに (ホストが海外の) TCP 接続は通らないはずです。
   
==== 修復方法 (悪い方法) ====
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==== 修復方法 ====
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===== 悪い方法 =====
   
 
無理やり修正する方法として、スケールファクタの計算に使われている {{ic|tcp_rmem}} の値を変更することができます。ほとんどのホストではこれで問題ありませんが、全てのホストで上手く行くとは保証できません。特にホストが遠い場合に問題が起きやすいです。
 
無理やり修正する方法として、スケールファクタの計算に使われている {{ic|tcp_rmem}} の値を変更することができます。ほとんどのホストではこれで問題ありませんが、全てのホストで上手く行くとは保証できません。特にホストが遠い場合に問題が起きやすいです。
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# echo "4096 87380 174760" > /proc/sys/net/ipv4/tcp_rmem
 
# echo "4096 87380 174760" > /proc/sys/net/ipv4/tcp_rmem
   
==== 修復方法 (良い方法) ====
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===== 良い方法 =====
   
 
ウィンドウスケーリングを無効化してしまいます。ウィンドウスケーリングは TCP の素晴らしい機能なので、無効化してしまうのは忍びないですが、ルーターを修復できない場合は致し方ありません。ウィンドウスケーリングを無効化する方法は複数存在します。一番安牌の (ほとんどのカーネルで動作する) 方法としては {{ic|/etc/sysctl.d/99-disable_window_scaling.conf}} に以下の行を追加してください ([[sysctl]] を参照):
 
ウィンドウスケーリングを無効化してしまいます。ウィンドウスケーリングは TCP の素晴らしい機能なので、無効化してしまうのは忍びないですが、ルーターを修復できない場合は致し方ありません。ウィンドウスケーリングを無効化する方法は複数存在します。一番安牌の (ほとんどのカーネルで動作する) 方法としては {{ic|/etc/sysctl.d/99-disable_window_scaling.conf}} に以下の行を追加してください ([[sysctl]] を参照):
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net.ipv4.tcp_window_scaling = 0
 
net.ipv4.tcp_window_scaling = 0
   
==== 修復方法 (最良の方法) ====
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===== 最良の方法 =====
   
 
この問題の原因はルーターやファイアウォールの動作がおかしいせいなので、それらを変えてしまいましょう。専用の DSL ルーターを使っている場合に問題になることがあるという報告もあります。
 
この問題の原因はルーターやファイアウォールの動作がおかしいせいなので、それらを変えてしまいましょう。専用の DSL ルーターを使っている場合に問題になることがあるという報告もあります。
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==== 詳細 ====
 
==== 詳細 ====
   
このセクションは LWN の記事 [https://lwn.net/Articles/92727/ TCP window scaling and broken routers] と Kernel Trap の記事 [http://kerneltrap.org/node/6723 Window Scaling on the Internet] を基にしています。
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このセクションは LWN の記事 [https://lwn.net/Articles/92727/ TCP window scaling and broken routers] と Kernel Trap の記事 [https://web.archive.org/web/20120426135627/http://kerneltrap.org:80/node/6723 Window Scaling on the Internet]. を基にしています。
   
 
また、LKML に関連するスレッドが複数存在します。
 
また、LKML に関連するスレッドが複数存在します。
   
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=== 接続された2台目の PC がブリッジ LAN を利用できない ===
=== Realtek が使えない / WOL の問題 ===
 
   
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1台目の PC には2つの LAN があります。2台目の PC には1つの LAN があり、1台目の PC に接続されています。2台目の PC が、ブリッジインターフェイスのあとに LAN にアクセスできるようにしましょう:
Realtek 8168 8169 8101 8111(C) が搭載されている NIC (カード/オンボード) を使っている場合、起動時に NIC が無効化され、接続ランプが付かないという問題が発生することがあります。この問題は基本的に Windows をインストールしていると起こります (デュアルブート環境)。Windows における公式の Realtek ドライバー (2007年5月以降) の使用が問題の原因です。新しいドライバーでは Windows のシャットダウン時に NIC を無効化することによって Wake-On-LAN 機能を無効化しているのですが、これはつまり、Windows を起動するまでは NIC が無効のままになってしまうということです。Windows が起動するときに接続ランプが付いて、シャットダウン時に消えるようであれば、ずばりです。通常、システムの電源が入っていれば、(POST の間でも) 接続ランプは点きっぱなしになっています。この問題は新しいドライバーが入っていない他のオペレーティングシステムでも顔を出します (例: Live CD)。問題の解決方法は以下の通りです:
 
   
  +
# sysctl net.bridge.bridge-nf-filter-pppoe-tagged=0
==== 方法 1 - Linux で NIC を直接有効にする ====
 
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# sysctl net.bridge.bridge-nf-filter-vlan-tagged=0
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# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-ip6tables=0
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# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-iptables=0
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# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-arptables=0
   
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=== localhost がネットワーク上で解決される ===
[[#ネットワークインターフェースの有効化・無効化]]に従ってインターフェイスを有効化してください。
 
   
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{{man|8|nss-myhostname}} は、([[systemd]] によって提供され、{{ic|/etc/nsswitch.conf}} でデフォルトで有効になっています) [[Name Service Switch|NSS]] モジュール は、{{ic|localhost}} および IP アドレスへの localhost 名を解決します。ただし、一部のソフトウェアは代わりに {{ic|/etc/hosts}} を直接読み取る場合があります。例については、[https://lists.debian.org/debian-devel/2013/07/msg00809.html] [https://bugzilla.mozilla.org/show_bug.cgi?id=87717#c55] を参照してください。
==== 方法 2 - Windows ドライバをロールバック/変更する ====
 
   
  +
このようなソフトウェアがネットワーク経由で localhost を安全でない方法で解決しないようにするには、{{ic|localhost}} のエントリを {{man|5|hosts}} ファイルに追加します:
Windows の NIC ドライバーを Microsoft が提供しているドライバーに戻したり、2007年5月以前の Realtek 公式ドライバーに戻すことができます (ハードウェアに付属している CD を使用)。
 
   
  +
{{hc|/etc/hosts|
==== 方法 3 - Windows ドライバで WOL を有効にする ====
 
  +
127.0.0.1 localhost
  +
::1 localhost
  +
}}
   
  +
{{Note|{{Bug|56684}} で、この問題の影響を受けるソフトウェアを報告してください。これは、{{ic|localhost}} エントリをデフォルトの {{ic|/etc/hosts}} に追加するのに役立つ場合があります。}}
一番簡単な方法はおそらく Windows ドライバーで WOL の設定を変更することです。この方法はシステム全体で適用され、Arch 以外でも問題が解決します (例: ライブ CD や他のオペレーティングシステム)。Windows で、デバイスマネージャを開いて、Realtek ネットワークアダプタを探してダブルクリックしてください。"Advanced" タブ下、"Wake-on-LAN after shutdown" を "Enable" に変更してください。
 
   
  +
localhost を解決できるようにするには、さらに {{man|5|hosts}} ファイルに追加します:
Windows XP の場合
 
マイコンピュータを右クリックして"プロパティ"を選択
 
--> Hardware tab
 
--> Device Manager
 
--> Network Adapters
 
--> "double click" Realtek ...
 
--> Advanced tab
 
--> Wake-On-Lan After Shutdown
 
--> Enable
 
   
  +
{{hc|/etc/hosts|
{{Note|新しい Realtek の Windows ドライバー (''Realtek 8111/8169 LAN Driver v5.708.1030.2008'' で確認。GIGABYTE のサイトから入手できる 2009/01/22 のドライバー) だとオプションが多少変わっていることがあります。例: ''Shutdown Wake-On-LAN --> Enable''。このオプションを {{ic|Disable}} にしても効果はないようです (Windows のシャットダウン時にリンクの光が消えることで確認できます)。あまり綺麗な方法ではありませんが、Windows を起動してからシステムをリセットする (無理やり再起動あるいはシャットダウンさせる) ことで Windows ドライバーに LAN を無効化する暇を与えないことで対処できます。Windows をまた起動してシャットダウンするまでは、リンクの光は消えないで POST 後も LAN アダプタにアクセスできるようになります。}}
 
  +
127.0.0.1 localhost
  +
::1 localhost
  +
127.0.1.1 ''yourhostname''
  +
}}
   
  +
永続的な IP アドレスを持つシステムの場合、{{ic|127.0.1.1}} をその永続的な IP アドレスに置き換えます。[[Wikipedia:ja:Fully Qualified Domain Name|Fully Qualified Domain Name]] を持つシステムの場合、ホスト名の前に Fully Qualified Domain Name を挿入します (次のリンクを参照 [https://www.debian.org/doc/manuals/debian-reference/ch05.en.html#_the_hostname_resolution 理由]) 例えば:
==== 方法 4 - 新しい Realtek Linux ドライバを使う ====
 
   
  +
{{hc|/etc/hosts|
Realtek のサイトに Linux 用の Realtek カードの新しいドライバーが存在します (テストしていませんがおそらく問題が解決されるはずです)。
 
  +
127.0.0.1 localhost
  +
::1 localhost
  +
203.0.113.45 host1.fqdomain.example host1
  +
}}
   
  +
{{Note|{{ic|/etc/hosts}} 内の IP アドレスに続くホスト名/エイリアスの順序は重要です。最初の文字列は正規のホスト名と見なされ、ドメインコンポーネントがドットで区切られた親ドメインが追加される場合があります。同じ行にある次の文字列はすべてエイリアスと見なされます。詳しくは {{man|5|hosts}} をご覧ください。}}
==== 方法 5 - BIOS/CMOS で ''LAN Boot ROM'' を有効にする ====
 
   
  +
その結果、システムは両方のエントリに解決されます:
BIOS/CMOS で ''Integrated Peripherals --> Onboard LAN Boot ROM --> Enabled'' を設定することで、Windows のドライバーが OS のシャットダウン時に無効化するのとは関係なく、システムの起動時に Realtek の LAN チップが有効化されます。
 
   
  +
{{hc|$ getent hosts|
{{Note|上記の方法は GIGABYTE GA-G31M-ES2L マザーボードの BIOS バージョン F8 (2009/02/05 に公開) で何回か確認済みです。}}
 
  +
127.0.0.1 localhost
 
  +
127.0.0.1 localhost
=== Atheros チップセットで eth0 がない ===
 
  +
127.0.1.1 ''yourhostname''
 
Atheros のイーサネットチップセットは設定をしないと動作しないことがあります (2014年2月のインストールメディアを使う場合)。この問題を解決するには AUR から {{AUR|backports-patched}} パッケージをインストールしてください。
 
 
=== Broadcom BCM57780 ===
 
 
この Broadcom チップセットはモジュールをロードする順番を指定しないと上手く動作しないことが時々あります。モジュールは {{ic|broadcom}} と {{ic|tg3}} であり、前者を最初にロードする必要があります。
 
 
コンピューターにこのチップセットが載っている場合、以下の手順に従ってください:
 
 
* ''lspci'' の出力で NIC を確認:
 
$ lspci | grep Ethernet
 
02:00.0 Ethernet controller: Broadcom Corporation NetLink BCM57780 Gigabit Ethernet PCIe (rev 01)
 
 
* 有線ネットワークが機能しない場合、ケーブルを切断して以下を (root で) 実行:
 
# modprobe -r tg3
 
# modprobe broadcom
 
# modprobe tg3
 
 
* ネットワークケーブルを接続。これで問題が解決する場合 {{ic|broadcom}} と {{ic|tg3}} を (この順番で) {{ic|/etc/mkinitcpio.conf}} の {{ic|MODULES}} 行に追加することで設定を永続化できます:
 
MODULES=".. broadcom tg3 .."
 
 
* initramfs を再生成:
 
# mkinitcpio -p linux
 
 
* もしくは、{{ic|/etc/modprobe.d/broadcom.conf}} を作成:
 
softdep tg3 pre: broadcom
 
 
{{Note|以上の方法は、BCM57760 など、他のチップセットでも使えることがあります。}}
 
 
=== Realtek RTL8111/8168B ===
 
 
{{hc|<nowiki># lspci | grep Ethernet</nowiki>|
 
03:00.0 Ethernet controller: Realtek Semiconductor Co., Ltd. RTL8111/8168B PCI Express Gigabit Ethernet controller (rev 02)
 
 
}}
 
}}
 
このアダプタは {{ic|r8169}} モジュールによって認識されます。しかしながら、使われているチップによって、接続が出来たりできなかったりすることがあります。そのような場合は、[[公式リポジトリ]]にある {{Pkg|r8168}} を使うことで安定した接続をすることができます。{{ic|r8169}} を[[ブラックリスト]]に入れて、{{Pkg|r8168}} が [[udev]] によって自動でロードされない場合、[[カーネルモジュール#ロード]]を見てください。
 
 
このアダプタのいくつかのリビジョンのドライバにおけるもう1つの欠陥は IPv6 サポートが貧弱であることです。Web ページがハングしたり、回線が遅くなったりした場合は、[[IPv6#機能を無効にする]]が参考になります。
 
 
=== Gigabyte マザーボードと Realtek 8111/8168/8411 ===
 
 
Gigabyte GA-990FXA-UD3 などのマザーボードでは IOMMU をオフにして (デフォルトでオフになっていることもあります) 起動を行うと、ネットワークインターフェイスが不安定になって、接続が出来なかったり、通信速度が遅くなったりします。オンボードの NIC だけでなく、コンピュータに接続した他の PCI NIC でも起こりえます。IOMMU の設定はマザーボードに接続された全てのネットワークインターフェイスに影響を与えるからです。IOMMU を有効にしてインストールメディアで起動すると AMD I-10/xhci のページフォールトが数秒だけ表示されますが、その後通常通り起動して、オンボードの NIC が (r8169 モジュールを使用する場合でも) 完全に機能するようになるはずです。
 
 
インストール時にブートプロセスを設定する場合、起動時のエラーメッセージを排除して USB 3.0 を機能させるために[[カーネルパラメータ]]に {{ic|1=iommu=soft}} を追加してください。
 
   
 
== 参照 ==
 
== 参照 ==
533行目: 525行目:
 
* [https://blog.packagecloud.io/eng/2016/06/22/monitoring-tuning-linux-networking-stack-receiving-data/ Monitoring and tuning the Linux Networking Stack: Receiving data]
 
* [https://blog.packagecloud.io/eng/2016/06/22/monitoring-tuning-linux-networking-stack-receiving-data/ Monitoring and tuning the Linux Networking Stack: Receiving data]
 
* [https://blog.packagecloud.io/eng/2017/02/06/monitoring-tuning-linux-networking-stack-sending-data/ Monitoring and tuning the Linux Networking Stack: Sending data]
 
* [https://blog.packagecloud.io/eng/2017/02/06/monitoring-tuning-linux-networking-stack-sending-data/ Monitoring and tuning the Linux Networking Stack: Sending data]
* [http://blog.yadutaf.fr/2017/07/28/tracing-a-packet-journey-using-linux-tracepoints-perf-ebpf/ Tracing a packet journey using tracepoints, perf and eBPF]
+
* [https://blog.yadutaf.fr/2017/07/28/tracing-a-packet-journey-using-linux-tracepoints-perf-ebpf/ Tracing a packet journey using tracepoints, perf and eBPF]
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  +
{{TranslationStatus|Network configuration|2024-02-03|799039}}

2024年2月3日 (土) 23:20時点における最新版

関連記事

この記事では OSI レイヤ 3 (ネットワーク層) 以上のネットワーク設定を行う方法について説明しています。媒体固有の情報は ネットワーク設定/イーサネットネットワーク設定/ワイヤレス で扱っています。

接続の確認

ネットワーク接続のトラブルシューティングを行うには、以下の条件を調べ、満たしていることを確認します。

  1. あなたの ネットワークインターフェイス がリストアップされ、有効になっていること。そうでなければ、デバイスドライバを確認してください - ネットワーク設定/イーサネット#デバイスドライバ または ネットワーク設定/ワイヤレス#デバイスドライバ を参照してください。
  2. ネットワークに接続されている。ケーブルが接続されているか、無線LAN に接続されている。
  3. あなたのネットワークインターフェースには IP アドレスがある。
  4. ルーティングテーブル が正しく設定されている。
  5. ローカル IP アドレス (例えばデフォルトゲートウェイ) を ping することができる。
  6. 公開 IP アドレス(例えば 9.9.9.9 は Quad9 の DNS サーバで、テストに便利なアドレスです) を ping することも可能です。
  7. ドメイン名を解決ができるか確認 (例: archlinux.org)

Ping

ping は、ホストに到達できるかどうかをテストする際に用いられます。

$ ping www.example.com
PING www.example.com (93.184.216.34) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=1 ttl=56 time=11.632 ms
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=2 ttl=56 time=11.726 ms
64 bytes from 93.184.216.34 (93.184.216.34): icmp_seq=3 ttl=56 time=10.683 ms
...

ホストからの応答を受け取るたびに、ping ユーティリティは上記のような行を出力します。これは、ユーザが実行をインタラクティブに中断(Ctrl+c を押す)するまで続きます。さらなる情報は ping(8) マニュアルを見てください。また、コンピュータは ICMP エコーリクエストに応答しないように設定されている可能性があることに注意してください。[1]

エラーメッセージを受け取った、または応答がなかった場合(ping エラー表示 を見てください)、不完全な設定やデフォルトゲートウェイ、インターネットサービスプロバイダ(ISP)と関連がある場合があります。traceroute を実行することで、ホストまでの経路をさらに診断することができます。

ネットワーク管理

ネットワーク接続の設定を行うには、以下の手順を踏んでください:

  1. ネットワークインターフェイスが表示されている、かつ有効化されていることを確認する。
  2. ネットワークに接続する。Ethernet ケーブルを接続するか、ワイヤレス LAN に接続してください。
  3. ネットワーク接続を設定する:
ノート: インストールイメージでは以下が使用されています:

手動

iproute2

iproute2base メタパッケージの依存パッケージで、ip(8) コマンドラインインターフェイスを提供します。ip(8)ネットワークインターフェイスIP アドレスルーティングテーブルの管理に使用されます。ip を使用して行った設定は再起動すると失われることに注意してください。設定の永続化は、スクリプトや systemd ユニットを使って ip コマンドを自動化したりすることで可能です。また、ip コマンドでは一般に略式記法を使うことができますが、この記事では分かりやすくするために略さずに明記します。

ノート: Arch Linux は net-tools を非推奨としており、代わりに iproute2 を使うことを推奨しています。[2] Deprecated Linux networking commands and their replacements も参照してください。

固定 IP アドレス

固定 IP アドレスはほとんどの標準的なネットワークマネージャdhcpcdを使って設定できます。

手動で固定 IP アドレスを設定するには、#IP アドレスで説明されているように IP アドレスを追加し、ルーティングテーブルをセットアップし、DNS サーバを設定してください。

IP アドレス

IP アドレスip-address(8) を使って管理します。

IP アドレスを一覧表示するには:

$ ip address show

IP アドレスをインターフェイスに追加するには:

# ip address add address/prefix_len broadcast + dev interface
注意:
ノート: 手動で割り当てた IP アドレスが DHCP により割り当てたものと衝突しないことを確認してください。

IP アドレスをインターフェイスから削除するには:

# ip address del address/prefix_len dev interface

条件に一致するすべてのアドレスを削除するには(例: 特定のインターフェイスの IP アドレス):

# ip address flush dev interface
ヒント: IPv4 アドレスは ipcalc(パッケージ: ipcalc) で計算できます。

ルーティングテーブル

ルーティングテーブルは、ある IP アドレスに直接到達できるか、どのゲートウェイ(ルータ)を使用すべきかを判断するのに使用します。IP アドレスと合致するルートが存在しない場合、デフォルトゲートウェイが使用されます。

ルーティングテーブルは ip-route(8) を使用して管理します。

PREFIX は CIDR 表記であるか、デフォルトゲートウェイに対しては default です。

IPv4 ルートを一覧表示するには:

$ ip route show

IPv6 ルートを一覧表示するには:

$ ip -6 route show

ルートを追加するには:

# ip route add PREFIX via address dev interface

ルートを削除するには:

# ip route del PREFIX via address dev interface

自動

自動的なネットワーク設定は、Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP) を用いることで可能になります。ネットワークの DHCP サーバは、IP アドレス、デフォルトゲートウェイの IP アドレスを提供し、さらにオプションで DHCP クライアントからリクエストが送られたときには DNS ネームサーバも提供します。

DHCP サーバの比較表は ルーター#DNS と DHCP を見てください。

ネットワークマネージャ

ネットワークマネージャは、ネットワークプロファイルと呼ばれるものを使ってネットワーク接続の設定を管理して、ネットワークの切り替えを容易にします。

ヒント: DHCPv4 サーバが実行中かどうかは dhcping で確認できます。
ノート: 各ネットワークインターフェイスは、ただ一つの DHCP クライアントかネットワークマネージャのみによって管理されるべきです。なので、システム上でただ一つの DHCP クライアントかネットワークマネージャだけを実行することが推奨されます。
ソフトウェア 接続タイプ ワイヤレス認証 IP アドレス、ルート (route)、そして DNS の管理 インターフェイス
イーサネット PPPoE モバイルブロードバンド WPA/WPA2 WPA3 固定 IP DHCP クライアント ドメイン名前解決 CLI TUI GUI
dhclient1 Yes No No No2 Yes 内蔵 Yes (/etc/resolv.conf に書き込み) No No No
dhcpcd Yes No No wpa_supplicant を起動3 Yes 内蔵 Yes (resolvconf を使用、または /etc/resolv.conf に書き込み) No No dhcpcd-uiAUR
ConnMan Yes [リンク切れ 2023-10-29] No Yes (ofonoAUR によって) Yes (wpa_supplicant または iwd によって) Yes 内蔵 Yes (内蔵のリゾルバを実行し、/etc/resolv.conf に書き込み) connmanctl(1) Yes Yes
netctl Yes Yes (ppp によって) Yes (ppp によって) Yes (wpa_supplicant によって) No Yes dhcpcd または dhclient Yes (resolvconf を使用) netctl(1) wifi-menu(1)4 No
NetworkManager Yes Yes (rp-pppoe によって) Yes (modemmanager によって) Yes (wpa_supplicant または iwd によって) Yes 内蔵、dhclientdhcpcd5 のいずれかによって Yes (systemd-resolvedresolvconf を使用、または /etc/resolv.conf に書き込み) nmcli(1) nmtui(1) Yes
systemd-networkd Yes No No No2 Yes 内蔵 Yes (systemd-resolved を使用) networkctl(1) No No
wpa_supplicant IEEE 802.1X No No Yes Yes No wpa_cli(8) No wpa_supplicant_guiAUR
iwd IEEE 802.1X No No Yes Yes Yes 内蔵 Yes (systemd-resolved または resolvconf を使用) iwctl(1) No iwgtkAUR
  1. 2022 初頭の時点ではもはやメンテナンスされていません。ISC は本番環境で使用することを推奨していません。
  2. ワイヤレス認証は wpa_supplicant または iwd によって別に設定することができます。
  3. ワイヤレス認証は wpa_supplicant によって別に設定しなければなりません。
  4. Wi-Fi 接続のみを管理できます。
  5. NetworkManager は DHCPv6 に dhcpcd を使用しません。NetworkManager#DHCP クライアント を参照してください。

ネットワークインターフェイス

デフォルトでは udevPredictable Network Interface Names を使用してネットワークインターフェイスコントローラに名前を割り当てます。インターフェイス名のプレフィックスは、en (有線/Ethernet)、wl (無線/WLAN)、ww (モバイルブロードバンド/WWAN) となります。systemd.net-naming-scheme(7) を参照してください。

ヒント: インターフェイス名を変更するには、#インターフェイス名の変更#伝統的なインターフェイス名に戻す を見てください。

ネットワークインターフェイスを表示

有線インターフェイスと無線インターフェイスの両方の名前は ls /sys/class/netip link で見つけることができます。lo仮想ループバックインターフェイスであり、ネットワーク接続の際には使用されないことに注意してください。

無線デバイス名は iw dev を使用することでも取得できます。ネットワーク設定/ワイヤレス#インターフェイス名の取得も参照してください。

使用中のネットワークインターフェイスが表示されない場合、デバイスドライバが正しくロードされていることを確認してください。ネットワーク設定/イーサネット#デバイスドライバネットワーク設定/ワイヤレス#デバイスドライバ を参照してください。

ネットワークインターフェイスを有効化/無効化

ネットワークインターフェイスは ip link set interface up|down を使用することで有効化/無効化できます。ip-link(8) を参照してください。

インターフェイス enp2s0 の状態を確認するには:

$ ip link show dev enp2s0
2: enp2s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast master br0 state DOWN mode DEFAULT qlen 1000
...

<BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> の部分の UP はインターフェイスが立ち上がっていることを示しています。後ろにある state DOWN は関係ありません。

ノート: デフォルトルートが enp2s0 インターフェイスを使っている場合、インターフェイスを落とすとルートも削除されます。インターフェイスを再度立ち上げてもデフォルトルートは自動的には再確立されません。再確立する方法は #ルーティングテーブル を参照。

インターフェイス名の変更

ノート: 命名規則を変更した際には、すべてのネットワーク関連の設定ファイルとカスタムの systemd ユニットファイルを更新し、変更を反映させることを忘れないでください。

systemd.link(5) ファイルで名前を手動で定義してデバイス名を変更することができます。例:

/etc/systemd/network/10-net0.link
[Match]
PermanentMACAddress=aa:bb:cc:dd:ee:ff

[Link]
Name=net0

あるいは、udev ルールを使うこともできます:

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTR{address}=="aa:bb:cc:dd:ee:ff", NAME="net0"

上記のルールは起動時に自動的に適用されます。即座に変更を適用するには、net サブシステムの udev ルールを手動でトリガーしてください:

# udevadm trigger --verbose --subsystem-match=net --action=add

加えた変更をテストしたい場合、udevadm --debug test /sys/class/net/* が役立つでしょう。

ノート:
  • Name の優先順位は NamePolicy よりも低いです。なので、後者が設定されていない/空であるようにするか、名前が変更されないようにしてください。99-default.linkNamePolicy を設定するので、これの前にカスタムの設定が来るようにしなければなりません (つまり、数字の接頭辞を持つということ)。
  • ネットワークインターフェイスの名前を変更する前に、そのインターフェイスを落しておかなければなりません。 [3]
  • 各カードの MAC アドレスを得るには、ip link を実行してください。
  • udev ルールでは小文字の16進数を使用してください。大文字ではいけません。

ネットワークカードの MAC アドレスが動的である場合は、Path を使用できます (Pathnetworkctl status interface_name で確認できます):

/etc/systemd/network/10-net1.link
[Match]
Path=pci-0000:01:00.0

[Link]
Name=net1

あるいは、udev で DEVPATH を使用できます:

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
SUBSYSTEM=="net", DEVPATH=="/devices/pci*/*1c.0/*/net/*", NAME="net1"

現在接続されているすべてのデバイスの DEVPATH を取得するには、/sys/class/net/ 内のシンボリックリンクがどこにリンクされているかを見てください。例:

$ file /sys/class/net/*
/sys/class/net/enp0s20f0u4u1: symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:14.0/usb2/2-4/2-4.1/2-4.1:1.0/net/enp0s20f0u4u1
/sys/class/net/enp0s31f6:     symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:1f.6/net/enp0s31f6
/sys/class/net/lo:            symbolic link to ../../devices/virtual/net/lo
/sys/class/net/wlp4s0:        symbolic link to ../../devices/pci0000:00/0000:00:1c.6/0000:04:00.0/net/wlp4s0

ルールは起動時に複数回実行されることがあるので、デバイスのパスは新しいデバイス名と古いデバイス名両方にマッチする必要があります。例えば、与えられたルールで、"/devices/pci*/*1c.0/*/net/en*" と設定すると困ったことになります。名前が net1 に変更されるとマッチしなくなるからです。システムのデフォルトルールだけが再度適用され、名前がに戻ってしまいます。

動的 MAC アドレスのある USB ネットワークデバイス (例: Android phone テザリング) を使用していて、異なる USB ポートを使えるようにしたい場合、ベンダ ID やモデル ID とマッチするルールを代わりに使用することができます:

/etc/systemd/network/20-net2.link
[Match]
Property=ID_VENDOR_ID=12ab ID_MODEL_ID=3cd4

[Link]
Name=net2

または

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
SUBSYSTEM=="net", ACTION=="add", ATTRS{idVendor}=="12ab", ATTRS{idProduct}=="3cd4", NAME="net2"
ノート: 固定の名前を付けるときに "ethX" や "wlanX" というような名前を使ってはいけません、起動時にカーネルと udev で競合状態が発生する可能性があります。代わりに、カーネルではデフォルトで使われないインターフェイス名を使うと良いでしょう、例: net0, net1, wifi0, wifi1。詳細は systemd のドキュメントを参照してください。

伝統的なインターフェイス名に戻す

eth0 のような伝統的なインターフェイス名に戻したい場合、udev の net_setup_link ビルトインの NamePolicy のデフォルトを変更することで Predictable Network Interface Names を無効化できます:

/etc/systemd/network/99-default.link.d/traditional-naming.conf
[Link]
NamePolicy=keep kernel

または、net_setup_link を完全に無効化することもできます。対応する udev ルールをマスクするか:

# ln -s /dev/null /etc/udev/rules.d/80-net-setup-link.rules

あるいは、net.ifnames=0カーネルパラメータに追加してください。

ノート: systemd.link(5)net_setup_link が動作していることに頼っています。あなたが何をしているか理解していない限り、1つ目のやり方を優先してください。

MTU とキューの長さの設定

systemd.link(5) の設定で手動で定義することで、デバイスの MTU とキューの長さを変更することができます。例えば:

/etc/systemd/network/30-mtu.link
[Match]
Type=wlan

[Link]
MTUBytes=1500
TransmitQueueLength=2000

あるいは、udev ルールを使って:

/etc/udev/rules.d/10-network.rules
ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", KERNEL=="wl*", ATTR{mtu}="1500", ATTR{tx_queue_len}="2000"

MTUBytes: 1500 よりも大きい値を使用することで (ジャンボフレームと呼ばれます)、ネットワークの転送速度を大幅に増加させることができます。すべてのネットワークインターフェイス(ローカルネットワークのスイッチを含む)が、ジャンボフレームを使うために同じ MTU をサポートしなければならないことに注意してください。PPPoE の場合、MTU は 1492 よりも大きくするべきではありません。MTU は systemd.netdev(5) によっても設定することができます。

TransmitQueueLength: モデルリンクや ISDN のような高レイテンシの低速デバイスでは小さい値。インターネット接続が高速で、大量のデータ転送を行うサーバでは大きい値が推奨されます。

ホスト名の設定

ホスト名とは、ネットワーク上でマシンを識別するために作られる唯一の(ユニークな)名前であり、/etc/hostname に設定します (詳しくは hostname(5)hostname(7) を参照)。このファイルにはシステムのドメイン名を含めることもできます。ホストネームを設定するには /etc/hostname編集し、yourhostname の1行を書いてください (実際にはあなたの好きな名前を使ってください):

/etc/hostname
yourhostname
ヒント: hostname の名称の付け方のアドバイスについては、RFC 1178 を見てください。

上記の方法の代わりに、hostnamectl(1) を使うこともできます:

# hostnamectl hostname yourhostname

hostname を一時的に設定するには、inetutilshostname(1) を使います (再起動するまで有効):

# hostname yourhostname

"pretty" hostname や他のマシンのメタデータを設定する方法は、machine-info(5) を参照してください。

ローカルネットワークのホストネーム解決

マシンがホストネームを使って LAN 内でアクセスできるようにするには、以下の方法を取ることができます:

  • LAN 内のすべてのデバイスの /etc/hosts ファイルを編集する、hosts(5) を見てください
  • ホストネームを解決する DNS サーバーをセットアップし、LAN のデバイスにそれを使用させる (例えば、DHCP を使う)
  • または、より簡単な方法を取る: ゼロコンフィグレーションネットワークサービスを使う:
    • NetBIOS によるホストネーム解決。Linux の Samba により提供されています。必要なのは nmb.service だけです。Windows や macOS、nmb が動作している Linux のコンピュータからマシンを見つけられるようになります。
    • mDNS によるホストネーム解決。nss_mdnsAvahi を使う(セットアップの詳細は Avahi#ホスト名の解決で)か、systemd-resolved を使うことにより可能です。macOS や、Avahi や systemd-resolved が動作している Linux のコンピュータがマシンを見つけられるようになります。古い Win32 API は mDNS をサポートしておらず、一部の古い Windows アプリケーションはデバイスにアクセスできない場合があります。

ヒントとテクニック

ボンディングまたは LAG

netctl#ボンディングsystemd-networkd#ワイヤード (有線) インターフェイスとワイヤレスインターフェイスのボンディングワイヤレスボンディング を見てください。

IP アドレスエイリアス

ひとつのネットワークインターフェースに複数の IP アドレスを加えることを IP エイリアスと呼びます。これをすることで、ネットワークのひとつのノードでネットワークに複数接続することができ、それぞれを別々に使うことができます。基本的に Web・FTP サーバーの仮想ホスティングや、サーバーの再構成 (他のマシンを更新しない、ネームサーバで有用) に使われます。

サンプル

iproute2 ツールを使って NIC のエイリアスを手動で設定するには次を実行:

$ ip addr add 192.168.1.10/24 dev enp1s0 label enp1s0:1

設定したエイリアスを削除するには:

$ ip addr del 192.168.1.10/24 dev enp1s0:1

サブネットへ向かうパケットはデフォルトでプライマリエイリアスを使います。送信先 IP がセカンダリエイリアスのサブネット内のものである場合は、送信元 IP がそれぞれに設定されます。複数の NIC が存在する場合を考えた場合、ip route でデフォルトルートを列挙することができます。

プロミスキャスモード

プロミスキャスモードを有効にすると (無線) NIC は受信したトラフィックを全て OS に転送します。反対に"ノーマルモード"では受信されるべきでないとき NIC はフレームをドロップします。プロミスキャスモードは高度なネットワークのトラブルシューティングやパケットスニッフィングなどのために使われます。

/etc/systemd/system/promiscuous@.service
[Unit]
Description=Set %i interface in promiscuous mode
After=network.target

[Service]
Type=oneshot
ExecStart=/usr/bin/ip link set dev %i promisc on
RemainAfterExit=yes

[Install]
WantedBy=multi-user.target

インターフェイス eth0 でプロミスキャスモードを有効にしたい場合、promiscuous@eth0.service有効化してください。

ソケットの調査

ss はネットワークポートを調査するユーティリティで、iproute2 パッケージの一部です。機能的には非推奨の netstat ユーティリティと似ています。

共通の利用方法は以下のようなものです:

すべての TCP ソケットをサービス名と共に表示する:

$ ss -at

すべての TCP ソケットをポート番号と共に表示する:

$ ss -atn

すべての UDP ソケットを表示する:

$ ss -au

さらなる情報は ss(8) を見てください。

トラブルシューティング

TCP ウィンドウスケーリングの問題

TCP パケットのヘッダには"ウィンドウ"値が含まれており、他のホストが返答として送信できるデータの量が示されています。この値は16ビットでしか表現できないので、ウィンドウサイズは最大 64 Kb です。TCP パケットはしばらくの間キャッシュに保存されますが (再度使われます)、メモリの量は(少なくとも昔は)限られているので、すぐに使いきってしまうことがあります。

1992年、利用できるメモリの量が大幅に増えるのにあわせて、この状態を改善するために RFC:1323: ウィンドウスケーリングが書かれました。全てのパケットに含まれている"ウィンドウ"の値を、スケールファクタ (Scale Factor) を定義することで、接続の初期段階で変更します。8ビットのスケールファクタなら、ウィンドウは 64Kb の32倍まで増やすことができます。

壊れたルーターやファイアウォールはスケールファクタを 0 に書き換えてしまうためホスト間での不和が発生します。Linux カーネル 2.6.17 ではスケールファクタを上げるための新しい算出方式が導入されましたが、それによってルーターやファイアウォールが壊れているときの影響が増え、極端に接続が遅かったり、全く接続できない状態が生まれています。

問題の診断方法

まず最初に問題をはっきりさせましょう: この問題は少々厄介です。ある条件下では、TCP 接続 (HTTP, FTP, ...) を全く使えないのに、他の条件では、特定の (ごく少数の) ホストとは通信できるというようなことが起こります。

この問題が発生していても、dmesg の出力に問題はなく、ログに異常は見られず、そして ip addr では通常状態だと報告されます。全てが問題ないように(表面上は)見えるわけです。

ウェブサイトが表示できないのに、ping は通る場合、この問題が発生している可能性は十分あるでしょう: ping は TCP の問題に影響されない ICMP を使っているためです。

Wireshark を使ってみてください。UDP と ICMP の接続は通るのに (ホストが海外の) TCP 接続は通らないはずです。

修復方法

悪い方法

無理やり修正する方法として、スケールファクタの計算に使われている tcp_rmem の値を変更することができます。ほとんどのホストではこれで問題ありませんが、全てのホストで上手く行くとは保証できません。特にホストが遠い場合に問題が起きやすいです。

# echo "4096 87380 174760" > /proc/sys/net/ipv4/tcp_rmem
良い方法

ウィンドウスケーリングを無効化してしまいます。ウィンドウスケーリングは TCP の素晴らしい機能なので、無効化してしまうのは忍びないですが、ルーターを修復できない場合は致し方ありません。ウィンドウスケーリングを無効化する方法は複数存在します。一番安牌の (ほとんどのカーネルで動作する) 方法としては /etc/sysctl.d/99-disable_window_scaling.conf に以下の行を追加してください (sysctl を参照):

net.ipv4.tcp_window_scaling = 0
最良の方法

この問題の原因はルーターやファイアウォールの動作がおかしいせいなので、それらを変えてしまいましょう。専用の DSL ルーターを使っている場合に問題になることがあるという報告もあります。

詳細

このセクションは LWN の記事 TCP window scaling and broken routers と Kernel Trap の記事 Window Scaling on the Internet. を基にしています。

また、LKML に関連するスレッドが複数存在します。

接続された2台目の PC がブリッジ LAN を利用できない

1台目の PC には2つの LAN があります。2台目の PC には1つの LAN があり、1台目の PC に接続されています。2台目の PC が、ブリッジインターフェイスのあとに LAN にアクセスできるようにしましょう:

# sysctl net.bridge.bridge-nf-filter-pppoe-tagged=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-filter-vlan-tagged=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-ip6tables=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-iptables=0
# sysctl net.bridge.bridge-nf-call-arptables=0

localhost がネットワーク上で解決される

nss-myhostname(8) は、(systemd によって提供され、/etc/nsswitch.conf でデフォルトで有効になっています) NSS モジュール は、localhost および IP アドレスへの localhost 名を解決します。ただし、一部のソフトウェアは代わりに /etc/hosts を直接読み取る場合があります。例については、[4] [5] を参照してください。

このようなソフトウェアがネットワーク経由で localhost を安全でない方法で解決しないようにするには、localhost のエントリを hosts(5) ファイルに追加します:

/etc/hosts
127.0.0.1        localhost
::1              localhost
ノート: FS#56684 で、この問題の影響を受けるソフトウェアを報告してください。これは、localhost エントリをデフォルトの /etc/hosts に追加するのに役立つ場合があります。

localhost を解決できるようにするには、さらに hosts(5) ファイルに追加します:

/etc/hosts
127.0.0.1        localhost
::1              localhost
127.0.1.1        yourhostname

永続的な IP アドレスを持つシステムの場合、127.0.1.1 をその永続的な IP アドレスに置き換えます。Fully Qualified Domain Name を持つシステムの場合、ホスト名の前に Fully Qualified Domain Name を挿入します (次のリンクを参照 理由) 例えば:

/etc/hosts
127.0.0.1        localhost
::1              localhost
203.0.113.45     host1.fqdomain.example host1
ノート: /etc/hosts 内の IP アドレスに続くホスト名/エイリアスの順序は重要です。最初の文字列は正規のホスト名と見なされ、ドメインコンポーネントがドットで区切られた親ドメインが追加される場合があります。同じ行にある次の文字列はすべてエイリアスと見なされます。詳しくは hosts(5) をご覧ください。

その結果、システムは両方のエントリに解決されます:

$ getent hosts
127.0.0.1       localhost
127.0.0.1       localhost
127.0.1.1       yourhostname

参照

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