ICC プロファイル

提供: ArchWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

一般的なデスクトップの利用に関して、ICC プロファイルは入力または出力デバイスの色の属性に関する正確な情報を含んでいるバイナリファイルです。一つ、または複数のプロファイルをシステムとデバイスに適用することで、グラフィックやドキュメントを編集したり出版するために色を再現することができます。完全に正確な色彩が必要なときは三刺激色彩計や分光測色計を使って ICC プロファイルが較正されます。

ユーティリティ

  • ArgyllCMS — ICC 互換カラーマネージメントシステム。スキャナ、カメラ、フィルムレコーダーの正確な ICC プロファイル作成、ディスプレイや RGB & CMYK プリンタのキャリブレーションとプロファイリングをサポートします。
https://argyllcms.com/ || argyllcms
  • ColorHug — Hughski ColorHug 測色計は、スクリーンのキャリブレーションに使用される低価格のオープンソースハードウェアセンサーです。本パッケージには、ユーザがセンサのファームウェアをアップグレードしたり、コマンドラインスクリプトからセンサに問い合わせるためのクライアントツールが含まれます。
https://github.com/hughski/colorhug-client || colorhug-client
  • dcamprof — デジタルカメラのプロファイリングツール。
https://www.ludd.ltu.se/~torger/dcamprof.html || dcamprofAUR
  • DisplayCAL — 精度と汎用性に重点を置いたディスプレイキャリブレーションとプロファイリングソリューション。その中核は ArgyllCMS カラーマネージメントシステムに依存しており、測定、キャリブレーションとプロファイルの作成、その他色に関する様々な高度なタスクを行います。
https://displaycal.net/ || displaycal
  • GNOME Color Manager — GNOME デスクトップで使用する色管理用グラフィカルユーティリティセット
https://gitlab.gnome.org/GNOME/gnome-color-manager || gnome-color-manager
  • xcalib — デスクトップアプリケーション間で共有される ICC モニタープロファイルをロードできる軽量モニターキャリブレーションローダー
https://github.com/OpenICC/xcalib || xcalib

プロファイルの作成

ハードウェアの較正やソフトウェアによるプロファイリング、プロファイルを画像や動画に埋め込む色管理の作業では ICC プロファイルが使われます。

測色計や分光計

ディスプレイやプリンター、スキャナなどの正確な較正には測色計や分光計を使うことを強く推奨します。家庭用として購入可能な測色計も存在しています。他のオペレーティングシステムよりも Linux におけるサポートが充実していることもあります。Linux で問題なく使えるハードウェアとして X-Rite ColorMunki Display, DataColor Spyder5 Express あるいはオープンソースハードウェアの ColorHug などが挙げられます。AgyllCMS のドキュメント には他にも Linux をサポートしているデバイスが載っています。

Argyll CMS

Argyll Color Management System はコマンドラインからプロファイルを作成・ロードできるソフトウェアです。argyllcms パッケージでインストールできます。

デバイスのプロファイルを作成する方法については公式の Argyll CMS ドキュメント を読んでください。

追加のキャリブレーション ハードウェアによるモニターのキャリブレーションとプロファイリング

ArgyllCMS には DisplayCal という GUI フロントエンドがあり、displaycal として利用できます。ほとんどの場合、デフォルト設定を使用することになります。これは、昼光色 6500K およびガンマ 2,2 にキャリブレーションする一般的な方法です。詳細については、DispalGui のドキュメントを参照してください。多くのチュートリアルがネット上で入手可能です。

スキャナーのキャリブレーション

スキャナーのキャリブレーション チュートリアルのスキャナーの部分に従ってください。

プリンターのキャリブレーション

cups-calibrate(8) を参照してください。

ファイルの転送

ICC モニタープロファイルを取得したいときは Windows または macOS 環境でプロファイルを作成することが一番簡単で広く推奨されています。ICC カラープロファイルはオープン標準にあわせて書き出されるので、別のオペレーティングシステムでも問題なく使えます。Linux で特定の分光光度計や測色計が使えない場合、他の OS からプロファイルを転送することで解決できるでしょう: 別の OS でプロファイルを作成して Linux のワークフローに乗せるだけです。プロファイルを作成するシステムにはプロファイルを使う時とまったく同じビデオカードとモニターが必要になります。ICC プロファイルを Windows で作成したら、以下のデフォルトパスからファイルをコピーしてください:

C:\WINDOWS\System32\spool\drivers\color

macOS は通常、一つ、または二つの場所に ICC プロファイルを保存します:

/Library/ColorSync/Profiles
/Users/USER_NAME/Library/ColorSync/Profile

適切な .icc/.icm ファイルをコピーしたら、デバイスプロファイルを使用したいシステムにインストールしてください。Linux におけるデバイスプロファイルのインストールディレクトリは以下の通りです:

/usr/share/color/icc
/usr/local/share/color/icc
/home/USER_NAME/.color/icc
ノート: モニタのキャリブレーションされたコントラスト、輝度、および RGB の設定が、キャリブレーション時と ICC プロファイルの読み込み時で変化しないことを確認します。この方法は、ディスプレイに実際に送られる信号やディスプレイが信号を解釈する方法を変えるようなこと (ビデオドライバまたはベンダーユーティリティ) を、Linux や他の OS が背後で何もしていないことが確実な場合にのみ使用してください。"ブロードキャスト RGB" などの設定に注意してください。Windows と Linux でプロファイルを実行した場合の 結果が大きく異なる 具体的な例としては、Lenovo Ideapad Yoga 2 Proノートパソコンがあります。これは、これらのOSではフラットパネルコントローラのプログラム方法が大きく異なるためです。

Gnome Color Manager

Gnome では、gnome-color-manager を使用して ICC プロファイルを簡単に作成できます。Gnome では、コントロールセンターからアクセスでき、非常に簡単に使用できます。この機能を使用するには、比色計デバイスが必要です。

LPROF ICC Profiler

LPROF はグラフィカルユーザーインターフェースが付属した ICC プロファイラです。Arch User Repository (AUR)lprofAUR パッケージでインストールすることができます。

ノート: 以下のウォークスルーは ArchWiki の Using LPROF to Profile Monitors から修正を加えられています。

モニターのキャリブレーション

コントラスト/明るさ

部屋の照明を作業時に使用するものに調整します。画面に反射防止コーティングが施されている場合でも、光が直接当たらないようにする必要があります。画像が安定するまで、モニターを少なくとも1時間ウォームアップします。キャリブレーションデバイスにアンビエントディフューザーがある場合は、部屋の明るさを調整して、推奨される目標ルクスポイントに到達させます。

  1. モニターのコントラストを最大 (100%) に設定してください。
  2. 次に、小さな黒い PNG 画像(すべてのピクセルのRGB = 0、0、0)を作成し、コントロールなしで全画面モードで画像を表示できる画像ビューアで開くことにより、画面全体に真っ黒を表示します。
  3. モニター画面の垂直サイズ(画像ビューアーで表示されるPNG画像ではなく、画面に表示されるもの全体)を、全高の60%から70%に縮小します。画像の上下に現れるものは非スキャン領域と呼ばれ、その領域は電圧を受けていないため、モニターが表示できる黒の中で最も黒いです。
  4. 輝度コントロール (縁から光線が出ている円) を探し、黒のイメージ がスキャンされていない領域に一致するまで値を下げます。
色温度

色温度の設定は正午に行ってください。固定値の色温度しか設定できない場合、昼間になるまで待つ必要はありません。6500K に設定してください。

ウィンドウと画面の外側が同時に見えるようにモニターを置きます。この手順では、およそ10 x 10センチ(4 x 3インチ)の白い正方形の画像(RGB = 255、255、255)も作成する必要があります。明るさ/コントラストの場合と同じGwenviewテクニックを使用して、真っ黒な背景に白い四角を表示します。

  1. まず、外の世界をじっと見つめて目を覚ます。数分間、日光の観察条件に合わせます。
  2. モニターを見ながら、白い四角形を数秒間見ます(目がすぐに再調整されるため、短くする必要があります)v
  3. 正方形が黄色っぽく見える場合は、色温度を高くする必要があります。青みがかった色の場合は、温度を下げる必要があります。
  4. 正方形が真っ白に見えるまで、ちらっと見て、窓の外を見て、白の温度を調整します。

正確性を得るためには、上記の手順で時間をかけて実行してください。

モニターのプロファイル

lprof を起動してください。右側にタブが複数ある巨大なウィンドウが表示されます。

  1. Monitor Profiler タグをクリックしてください。それから巨大な Enter monitor values >> ボタンをクリックしてください。
  2. 白色点を 6500K (daylight) に設定してください。
  3. プライマリは、SMPTE RP145-1994、EBU Tech.3213-E、またはP22、またはモニターの適切な値に設定する必要があります。モニターの正しい値を見つけたら、ドロップダウンから[ユーザー定義]を選択して値を入力します。疑わしい場合は、トリニトロン CRT(この場合、トリニトロンはソニートリニトロンモニターとテレビとは関係ありません)を備えたすべてのモニターにP22を使用し他の CRT には SMPTE RP145-1994 を使用できます。
  4. Set Gamma and Black Point ボタンをクリックしてください。
  5. 下部にいくつかのコントロールがある2つのグラフの全画面ビューが表示されます。
  6. Link channels チェックボックスをオフにして、スライダーを左または右に移動するか、左の3つのボックスに値を入力して変更することにより、赤、緑、青の各ガンマを調整します。目標は、左側のグラフ(小さい方の正方形)を平らにすることです。外観に満足したら、Link channels チェックボックスをオンにして、ガンマを再度調整します。
  7. 完了したら、OK をクリックします。もう一度 OK をクリックします。

モニター値の入力が終了したら、モニターに関する情報を入力することができます。これは必須ではありませんが、どのプロファイルが何のためにあるかを知ることは常に良いことです。

  1. Profile identification ボタンをクリックしてください。
  2. データを入力してください。
  3. OK をクリックして完了です。

設定が完了したら Output Profile File の隣にある '...' ボタンをクリックしてプロファイルに名前を付けてください。例: somemonitor.iccCreate Profile ボタンをクリックするとプロファイルが作成されます。

ThinkPad

IBM/Lenovo の ThinkPad ノートパソコンの カラープロファイル (generic) をサポートしている カラープロファイル を見てください。

ThinkWiki のインストラクションによると、Monitor INF File for Windows 11 for X1 Carbon Gen 10, X1 Yoga Gen 7, Z13, Z16 など、Lenovo が提供する他の ThinkPad ドライバー実行ファイルを使用できます。

ICC プロファイルのロード

ノート: NVIDIA 独自のドライバーは、colord プロファイル管理と互換性がありません。カラー管理されたアプリケーションを使用すると、一貫性のない結果が得られます。Nouveau または マスク colord.service を使用し、dispwin で ICC プロファイルを手動でロードします。

ICC プロファイルはセッションデーモンあるいは専用の ICC ローダーでロードします。GNOME と KDE には colord から ICC プロファイルをロードすることができるデーモンが付属しています。gnome-settings-daemoncolord-kde と一緒に colord を使用する場合、プロファイルは自動的にロードされます。GNOME や KDE を使っていない場合、独立したデーモンをインストールすることができます。xiccd はデスクトップ環境に依存しないデーモンです。二つの ICC 対応デーモンを同時に起動してはいけません (例: gnome-settiongs-daemon と xiccd)

ICC に対応しているセッションデーモンを使用していない場合、ICC ローダーをどれか一つ使ってください: xcalib, dispwin, dispcalGUI-apply-profiles など。複数のローダーを同時に使用すると環境が制御できなくなります (一番最後に実行されたローダーがキャリブレーションを設定し、それ以前にロードされたキャリブレーションは上書きされます)

特定の ICC ローダーを使う前に、ツールによって設定されるものが違うことに注意してください。例えばキャリブレーションカーブだけを設定したり (例: xcalib)、X.org の _ICC_PROFILE にディスプレイプロファイルを設定したり (例: xicc)、あるいは一度に両方を設定するツールなどが存在します (例: dispwin, dispcalGUI-apply-profiles)

ノート: nvidia-settings を実行するか、-load-config-only 引数を使用すると、.xinitrc サンプルを使用するときに ICC ファイルがオーバーライドされます。

xiccd

xiccdAUR は、colord と X の間の単純なブリッジです。これにより、非 GNOME および非 KDE デスクトップ環境が icc プロファイルをロードして適用できるようになります。

colord がインストールされていることを確認してから、xiccdAUR をインストールします。

icc プロファイルをプロファイルディレクトリにコピーします。

# cp icc_profile /usr/share/color/icc/colord/

colord.service起動/有効化 します。

colord がすでに実行されている場合は、colord.service再起動 する必要があります。そうしないと、新しいプロファイルが表示されません。

端末でバックエンドとして xiccd を実行し、詳細なメッセージを無視します。次のステップの間、xiccd を実行し続けます。

$ xiccd

これにより、ディスプレイが列挙され、colormgr(colord) に登録されます。

別の端末を開いて、colormgr を実行します。画面の デバイス ID をメモします。

$ colormgr get-devices

前に追加して使用する プロファイル ID をメモします。

$ colormgr get-profiles

プロファイルを表示デバイスに追加します。

# colormgr device-add-profile device_id profile_id

プロファイルを表示デバイスのデフォルトとして作成します。

# colormgr device-make-profile-default device_id profile_id

システム起動時に 自動起動 するるように、xiccdAUR/etc/xdg/autostart/xiccd.desktop をインストールしていることを再確認してください。

# cat /etc/xdg/autostart/xiccd.desktop

すべての端末を閉じ、システムを再起動して、icc プロファイルが適用されているかどうかを確認します。 colord がすでに実行されている場合は、colord.service 経由で 再起動 する必要があります。

xcalib

xcalib は軽量なモニターキャリブレーションローダーです。ICC モニタープロファイルをロードしてデスクトップアプリケーションから使うことができます。

Xinitrc の例

X サーバーが起動したときに /usr/share/color/icc にある P221W-sRGB.icc をディスプレイ host:0 にロード:

#!/bin/bash

/usr/bin/xcalib -d :0 /usr/share/color/icc/P221W-sRGB.icc

JWM <StartupCommand> の例

JWM が起動したときに /usr/local/share/color/icc にある P221W-Native.icc プロファイルをディスプレイ host:0 にロード:

<StartupCommand>xcalib -d :0 /usr/local/share/color/icc/P221W-Native.icc</StartupCommand>

dispwin

dispwinargyllcms に含まれています。

Xinitrc の例

X サーバーが起動したときに /home/arch/.color/icc906w-6500K.icc プロファイルをディスプレイ 0 にロード:

#!/bin/bash

/usr/bin/dispwin -d0 /home/arch/.color/icc/906w-6500K.icc

JWM <StartupCommand> の例

JWM が起動したときに /usr/local/share/color/icc にある Argyll のキャリブレーションファイル 906w-7000K.cal をディスプレイ 1 にロード:

<StartupCommand>dispwin -d1 /usr/local/share/color/icc/906w-7000K.cal</StartupCommand>

ICC プロファイルを使用することができるアプリケーション

  • Xsane は ICC プロファイルを使って正しい色によるスキャンを行えます。
  • CUPSColord を使って色補正された印刷のために ICC プロファイルを使うことができますが、実際の実装と使い勝手は 不明確 です。
  • GIMP は編集中の画像の表示に ICC プロファイルを使用できます。ただし、インストールされた ICC プロファイルの使用は、設定ダイアログで明示的に有効にする必要があります。
  • mpv はビデオの再生時に ICC プロファイルを利用できます。コマンドライン引数は: --icc-profile=/path/to/profile.icc または --icc-profile-auto です。カラー管理を行うのは --vo=gpu--vo=gpu-next だけです。互換性/フォールバック VO ドライバーは、ICC プロファイル オプションを黙って無視します。
  • Firefox はデフォルトで、すでに ICC プロファイルでタグ付けされた画像を表示するときのみ、システム全体の ICC プロファイルを使用します。タグ付けされていない画像も sRGB を使うと仮定して色補正を適用するには、gfx.color_management.mode 環境設定を 1 に設定します。Firefox では、設定オプション gfx.color_management.display_profile を使って ICC プロファイルを使うこともできます。
  • eog (Eye of GNOME) と eom (Eye of MATE) はシステムにインストールされた ICC プロファイルを自動的に使います。

参照