「Mozc」の版間の差分

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== インストール ==
 
== インストール ==
   
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=== 分割パッケージと統合パッケージの違い ===
どういうセットアップにしたいかによって、複数の Mozc パッケージから適切なパッケージを選択してください。まず、Mozc のコアパッケージとお好きなインプットメソッドフレームワーク ([[Fcitx]], [[IBus]], [[UIM|uim]] など) のモジュールをインストールする必要があります。ただし一部の Fcitx パッケージにはコアパッケージが同梱されています。
 
   
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1つの IME として、Mozc は2つの部分に分けられます: すべての変換処理を行う'''サーバ'''と、サーバがシステムの[[インプットメソッド#インプットメソッドフレームワーク|インプットメソッドフレームワーク]]と通信できるようにし、結果を画面に出力する一連の'''モジュール'''です。[[IBus]]、[[Fcitx5]]、[[Fcitx]]、そして [[Emacs]] のそれぞれに対して個別のモジュールが必要です。
次に、非公式の辞書がいくつか存在します: Google/Yahoo のヒット件数や Wikipedia などを元に作成された 1代目 UT (開発終了) と UT2 辞書と、mecab-ipadic-NEologd Neologism 辞書を元に作られた NEologd UT 辞書、UT2 と NEologd UT 辞書をまとめた 2代目 UT 辞書があります。現在は 2代目 UT 辞書と NEologd UT 辞書の開発が続けられています。(UT2 辞書の開発は終わっていますが、2代目 UT 辞書の一部として開発が続けられています)
 
   
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一部の Mozc パッケージには IMF 固有のモジュールしか含まれておらず、サーバが {{AUR|mozc}} パッケージに'''分割'''されています。これにより、サーバ自体とは独立に異なるモジュールを同時にインストールすることができます (これは、異なるユーザが異なる IMF を使用するような複数ユーザのセットアップや、Emacs を使用する場合において便利です)。
以下の表ではコンポーネントと辞書の組み合わせに従ってどのパッケージをインストールするべきか示しています。1つのセル内に複数のパッケージがある場合、それらは分割パッケージです。一部のパッケージは [[非公式ユーザーリポジトリ#pnsft-pur|pnsft-pur]] リポジトリからインストールできます。
 
   
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他の Mozc パッケージはこのような分割を行わず、サーバとモジュールを'''統合'''しています。この方法にはメリットがありますが、(複数のパッケージがサーバのファイルを提供しようと競合してしまうため) ファイルの衝突のせいで追加のモジュールがインストールできなくなってしまうという非常に顕著な欠点もあります。
{| class="wikitable"
 
|-
 
!
 
! 標準
 
! UT(1代目)
 
! UT2
 
! NEologd UT
 
! UT(2代目)
 
|-
 
| Fcitx 統合
 
| rowspan="2" | {{Pkg|fcitx-mozc}}
 
| rowspan="3" | {{AUR|fcitx-mozc-ut}}
 
| rowspan="2" | {{AUR|fcitx-mozc-ut2}}
 
| rowspan="3" | {{AUR|fcitx-mozc-neologd-ut}}<br />{{AUR|mozc-neologd-ut}}
 
| rowspan="3" | {{AUR|fcitx-mozc-ut-unified}}<br />{{AUR|mozc-ut-unified}}
 
|-
 
| rowspan="2" | Mozc コア
 
|-
 
| rowspan="3" | {{AUR|mozc}}<br />{{AUR|ibus-mozc}}<br />{{AUR|emacs-mozc}}
 
| rowspan="4" | {{AUR|mozc-ut2}}<br />{{AUR|ibus-mozc-ut2}}<br />{{AUR|emacs-mozc-ut2}}<br />{{AUR|uim-mozc-ut2}}
 
|-
 
| IBus 統合
 
|
 
|
 
|
 
|-
 
| Emacs 統合
 
|
 
|
 
|
 
|-
 
| uim 統合
 
| {{AUR|uim-mozc}}
 
|
 
|
 
|
 
|}
 
   
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何らかの理由で複数の IMF モジュールを同時にインストールする必要がある場合の解決策は、非分割パッケージを自分でビルドしてファイルの衝突を手動で解決するか、モジュールからサーバを分割しているパッケージから選ぶかです。
上記のパッケージでは、PKGBUILD の中に特定の機能を有効化・無効化する定義が含まれていることがあります。特に、emacs パッケージをビルドする場合は {{ic|_emacs_mozc}} 行をアンコメントする必要があります:
 
## If you will be using mozc.el on Emacs, uncomment below.
 
_emacs_mozc="yes"
 
同じように uim-mozc-ut2 もビルドするときは手動で有効にしてください。
 
   
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=== UT 辞書 ===
Mozc をインストールしたら、X やインプットメソッドフレームワークを再起動することで Mozc を使うことができます。
 
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すでに述べたように、Mozc には Google の豊富な単語変換テーブル (いわゆる「辞書」) が含まれていないため、Mozc の変換品質は Google 日本語入力のものほど良くありません。それに対する解決策が [http://linuxplayers.g1.xrea.com/mozc-ut.html UT 辞書]という形で存在します。UT 辞書はサードパーティの辞書で、Mozc の変換品質を強化し、Google 日本語入力に近づけます。これは、いくつかの人気なオンラインのソース (Google、Yahoo、そして Wikipedia のページランクをベースとする) から集められた数千もの追加の単語を含め、さらに [https://github.com/neologd/mecab-ipadic-neologd NEologd 辞書] (作者の言葉を借りるならば、''「ウェブ上の多くの言語リソースから抽出された neologisms (新語)」''が含まれています) などの他の特化したソースを統合することにより達成されます。
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{{Tip|UT 辞書の使用は任意ですが、強く推奨されます。}}
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=== 要約 ===
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{{AUR|fcitx5-mozc-ut}}、{{AUR|fcitx-mozc-ut}}、{{AUR|ibus-mozc}}、そして {{AUR|emacs-mozc}} から1つ或いは複数を[[インストール]]してください。
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Mozc のどのフレーバを使用するか尋ねられたら、バニラな Mozc の {{AUR|mozc}} か UT で強化された Mozc の {{AUR|mozc-ut}} のどちらかを選択してください。
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{{Tip|'''統合パッケージ'''を使用したい場合、代わりに {{Pkg|fcitx5-mozc}} か {{Pkg|fcitx-mozc}} をインストールすることができます (両方ともバニラな Mozc をベースにしています)。}}
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{{Note|Mozc をインストールしたら、使用できるようにするために場合によっては X かインプットメソッドフレームワークを再起動する必要があります。}}
   
 
== 設定 ==
 
== 設定 ==

2023年5月5日 (金) 19:54時点における版

プロジェクトのホームページより:

Mozc は、Android OS、Apple OS X、Chromium OS、GNU/Linux、そして Microsoft Windows などのマルチプラットフォームで動作するよう設計された日本語インプットメソッドエディタ (IME) です。このオープンソースプロジェクトは Google 日本語入力 から派生したものです。

Mozc と Google 日本語入力との差異はプロジェクトの About Branding ページで詳しく説明されていますが、簡単に言うと、Mozc のオープンソースのコードには Google の豊富な単語変換テーブル (いわゆる「辞書」) が含まれておらず、そのため Mozc の変換品質は Google 日本語入力のものほどではありません。ただし、この欠点はカスタム辞書によりほとんど軽減することができます (以下を参照)。

インストール

分割パッケージと統合パッケージの違い

1つの IME として、Mozc は2つの部分に分けられます: すべての変換処理を行うサーバと、サーバがシステムのインプットメソッドフレームワークと通信できるようにし、結果を画面に出力する一連のモジュールです。IBusFcitx5Fcitx、そして Emacs のそれぞれに対して個別のモジュールが必要です。

一部の Mozc パッケージには IMF 固有のモジュールしか含まれておらず、サーバが mozcAUR パッケージに分割されています。これにより、サーバ自体とは独立に異なるモジュールを同時にインストールすることができます (これは、異なるユーザが異なる IMF を使用するような複数ユーザのセットアップや、Emacs を使用する場合において便利です)。

他の Mozc パッケージはこのような分割を行わず、サーバとモジュールを統合しています。この方法にはメリットがありますが、(複数のパッケージがサーバのファイルを提供しようと競合してしまうため) ファイルの衝突のせいで追加のモジュールがインストールできなくなってしまうという非常に顕著な欠点もあります。

何らかの理由で複数の IMF モジュールを同時にインストールする必要がある場合の解決策は、非分割パッケージを自分でビルドしてファイルの衝突を手動で解決するか、モジュールからサーバを分割しているパッケージから選ぶかです。

UT 辞書

すでに述べたように、Mozc には Google の豊富な単語変換テーブル (いわゆる「辞書」) が含まれていないため、Mozc の変換品質は Google 日本語入力のものほど良くありません。それに対する解決策が UT 辞書という形で存在します。UT 辞書はサードパーティの辞書で、Mozc の変換品質を強化し、Google 日本語入力に近づけます。これは、いくつかの人気なオンラインのソース (Google、Yahoo、そして Wikipedia のページランクをベースとする) から集められた数千もの追加の単語を含め、さらに NEologd 辞書 (作者の言葉を借りるならば、「ウェブ上の多くの言語リソースから抽出された neologisms (新語)」が含まれています) などの他の特化したソースを統合することにより達成されます。

ヒント: UT 辞書の使用は任意ですが、強く推奨されます。

要約

fcitx5-mozc-utAURfcitx-mozc-utAURibus-mozcAUR、そして emacs-mozcAUR から1つ或いは複数をインストールしてください。

Mozc のどのフレーバを使用するか尋ねられたら、バニラな Mozc の mozcAUR か UT で強化された Mozc の mozc-utAUR のどちらかを選択してください。

ヒント: 統合パッケージを使用したい場合、代わりに fcitx5-mozcfcitx-mozc をインストールすることができます (両方ともバニラな Mozc をベースにしています)。
ノート: Mozc をインストールしたら、使用できるようにするために場合によっては X かインプットメソッドフレームワークを再起動する必要があります。

設定

IBus

IBus の設定については IBus の記事を参照してください。

Mozc をデフォルトのインプットメソッドにするには、ibus-setup で設定します:

$ ibus-setup

「インプットメソッド」タブを選び、Mozc をインプットメソッドリストの先頭に移動します。

インプットメソッドの切り替えは、Alt + Shift_L (IBus のデフォルト) で行えます。

Fcitx

Fcitx の設定については Fcitx の記事を参照してください。

以下のコマンドを実行して Fcitx の設定ダイアログを開いてください:

$ fcitx-configtool

Input Method タブからプラス記号をクリックしてダイアログのリストから Mozc を選択してください。設定によっては、Mozc を使うために Only Show Current Language オプションを無効化する必要があります。ダイアログの確認後、標準のキーボードショートカットを使って Mozc をインプットメソッドとして有効にできます。

Emacs で Mozc を使う

mozc.el (mozc-mode) を使用して LEIM (Library of Emacs Input Method) 経由で日本語を入力することができます。mozc-mode を使用するには、以下を .emacs.d/init.el あるいはその他の Emacs カスタム設定用ファイルに追加します:

(require 'mozc)  ; or (load-file "/path/to/mozc.el")
(setq default-input-method "japanese-mozc")

mozc.el は変換候補の表示スタイルに、候補のリストを入力中文字列のそばに表示する "overlay" モードを提供しています (Mozc r77以降)。このモードをデフォルトで利用する場合は、以下の設定を追加します:

(setq mozc-candidate-style 'overlay)

C-\ (toggle-input-method) で mozc-mode のオン/オフを切り替えます。

Emacs 上で C-SPC が IM のオン・オフで使われてしまうのを抑止する

デスクトップ環境上で IM のオン・オフのキー割り当てに C-SPC を設定しており、Emacs 上でもそちらが優先されて C-SPC/C-@ で set-mark-command が使えなくて困る、という場合は、~/.Xresources~/.Xdefaults に以下を追加します。

Emacs*UseXIM: false

ヒントとテクニック

現在使用している Mozc のバージョンを表示する

Mozc 起動中に "ばーじょん" と入力し変換すると、変換候補の中に現在の Mozc のバージョン番号が表示されます:

ばーじょん
バージョン
ヴァージョン
ばーじょん
Mozc-1.6.1187.102  ⇐ Mozc のバージョン
...

コマンドラインから Mozc ツールを起動

以下のコマンドで Mozc のツールを起動できます:

  • Mozc 設定: $ /usr/lib/mozc/mozc_tool --mode=config_dialog
  • Mozc 辞書ツール: $ /usr/lib/mozc/mozc_tool --mode=dictionary_tool
  • Mozc 単語登録: $ /usr/lib/mozc/mozc_tool --mode=word_register_dialog
  • Mozc 手書き文字入力: $ /usr/lib/mozc/mozc_tool --mode=hand_writing
  • Mozc 文字パレット: $ /usr/lib/mozc/mozc_tool --mode=character_palette

ASCII キーボードで CapsLock キーを英数キーとして使用する

Mozc のプリセットのキーバインドや多くの日本語入力メソッドでは、変換前入力中の英数入力切り替えは、英数キー、ひらがな/カタカナキー、あるいは無変換キーなどに割り当てられていますが、ASCII キーボードにそれらはありません。CapsLock キーに英数キー (Eisu_toggle) を割り当てることで日本語キーボードと同じように使用できます (Mozc は CapsLock キーを認識しないようです)。

以下の設定では、OADG キーボードと等価な、Eisu_toggle を CapsLock キーに、Caps_Lock を Shift + CapsLock キーに割り当てます。

警告: この設定はデスクトップ全体に作用します。

~/.Xmodmap を以下のように編集します:

keycode 66 = Eisu_toggle Caps_Lock
clear Lock

X 再起動するか、xmodmap コマンドを実行して編集を適用します:

$ xmodmap ~/.Xmodmap

トラブルシューティング

Mozc のビルドに失敗する (プロセスが強制終了される)

ビルドが以下のようなメッセージで異常終了した場合:

...
/bin/sh: 1 行:  xxxx 強制終了
...
make: *** [xxx/xxx ...] エラー 137
...

メモリ不足になっていないか確認してください。

Mozc をアップグレードし、X または IBus を再起動しても (リブートはしていない) 古い Mozc が動いている

古いバージョンの Mozc が終了されずにずっとメモリ上で動作しているのかもしれません。Mozc のプロセスを一度 kill してみてください:

$ killall mozc_server

mozc_server が defunct になる

Mozc の仕様により、root で Mozc を起動することはできません。一般ユーザーで X を起動してください。

mozc_emacs_helper not found in emacs

mozc.el をインストールするときは、mozc_emacs_helper というヘルパープログラムをインストールする必要があります。

このヘルパープログラムには emacs-mozcAUR をインストールする必要があります。

mozc ツールが起動しない

ログをコンソールに直接送信して Mozc ツールを起動することもできます。これはデバッグに役立ちます。これを有効にするには、たとえば次のように --logtostderr を追加するだけです。

$ /usr/lib/mozc/mozc_tool --mode=config_dialog --logtostderr

こちらを参照

参照