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2015年1月11日 (日) 13:38時点における版
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GPGPU は General-purpose computing on graphics processing units の略で GPU による汎目的計算を意味します。Linux では、現在2つの GPGPU フレームワークが存在します: OpenCL と CUDA。
目次
OpenCL
概要
OpenCL (Open Computing Language) は非営利団体である Khronos グループによって開発されている、オープンでロイヤルティフリーの並列プログラミングフレームワークです。
一般的に OpenCL フレームワークは以下から構成されます:
- OpenCL API を提供するライブラリ。libCL や libOpenCL とも (Linux においては
libOpenCL.so
) - OpenCL の実装、以下を含む:
- デバイスドライバー
- OpenCL/C コードコンパイラ
- SDK *
- ヘッダーファイル *
* が付いているものは開発のために必要
OpenCL ライブラリ
libCL には複数の選択肢が存在します。一般的には、公式リポジトリから libcl をインストールします。
しかしながら、他の libCL が適切な場合も考えられます。これについては以下のパラグラフで詳しく説明しています。
OpenCL の ICD モデル
OpenCL ではベンダー固有の実装を同じマシンに同時に複数インストールすることが可能になっています。実際には、Installable Client Driver (ICD) モデルを使って実装されています。このモデルの中心になっているのは ICD ローダーを実装する libCL ライブラリです。ICD ローダーを通して、OpenCL アプリケーションはシステム上に存在する全てのプラットフォーム・全てのデバイスにアクセスすることができます。
ベンダーに依存されないと言えど、ICD ローダーを提供するライブラリが必要なのは変わりません。Arch Linux では、今のところ2つの選択肢が用意されています:
- NVIDIA の libcl。OpenCL バージョン 1.0 を提供し、やや旧式です (最新版でも変わりません)。これまでのところ OpenCL 1.1 のコードにおける挙動はテストされていません。
- AMD の libopenclAUR。OpenCL のバージョン 1.1 までを提供します。目下 AMD によって制限的なライセンスで配布されているため、公式リポジトリに入れることはできません。
(Intel の libCL も存在しますが、これは別の一つのパッケージになっていません。)
基本的な使用においては、インストールとアップデートが簡単なことから libcl を推奨します。高度な使用をする場合は、libopencl が推奨されます。多少の違いがあっても libcl と libopencl はどちらも全ての実装で動作するはずです。
実装
あなたの環境で有効になっている OpenCL 実装を確認するには、次のコマンドを使います:
$ ls /etc/OpenCL/vendors
AMD
AMD の OpenCL 実装は AMD APP SDK として知られています。以前は AMD Stream SDK または ATi Stream とも呼ばれていました。
Arch Linux では、現在 AMD APP SDK は AUR の amdapp-sdkAUR としてインストールすることができます。このパッケージは /opt/AMDAPP
にインストールされ、SDK ファイルとは別に、多数のサンプルコードも含まれています (/opt/AMDAPP/SDK/samples/
)。システム上の OpenCL プラットフォームやデバイスをリストアップして、それぞれの詳しい情報を表示する clinfo
ユーティリティも入っています。
AMD APP SDK 自体にも CPU の OpenCL ドライバーが含まれているため、(ベンダーの如何を問わず) CPU デバイスで OpenCL を実行するのに追加のドライバーは必要ありません。GPU の OpenCL ドライバーは (任意の依存パッケージである) catalystAUR パッケージに入っています。オープンソースドライバー (xf86-video-ati) は OpenCL をサポートしていません。
コードは (依存パッケージになっている) llvm を使ってコンパイルされます。
Mesa (Gallium)
Mesa の OpenCL サポートは開発中です (http://www.x.org/wiki/GalliumStatus/ を参照)。AMD Radeon カードは r600g ドライバーによってサポートされています。
Arch Linux は現在 (2014年4月; Mesa 10.1.0; LLVM 3.4)、OpenCL サポートを有効にして Mesa をビルドしていません。http://dri.freedesktop.org/wiki/GalliumCompute/ のインストール手順を見て下さい (最良の結果を得るには LLVM と Mesa の開発ブランチを使います)。
lordheavy のリポジトリ を使うこともできます。以下のパッケージをインストールしてください:
- mesa-dri-gitAUR
- opencl-mesa-gitAUR
- libclc-gitAUR
驚くべきことに、radeon+r600g を使った場合 Catalyst 13.11 Beta1 と比べて 20% 高速に pyrit が動作します (他の7つの CPU コアでもテスト):
catalyst #1: 'OpenCL-Device 'Barts'': 21840.7 PMKs/s (RTT 2.8) radeon+r600g #1: 'OpenCL-Device 'AMD BARTS'': 26608.1 PMKs/s (RTT 3.0)
執筆時点では (2013年10月30日)、このパフォーマンスを得るためには [1] と [2] のパッチを Mesa のコミット ac81b6f2be8779022e8641984b09118b57263128 上にあてる必要があります。パッチがあたってない最新の LLVM トランクを使用しました (SVN rev 193660)。
NVIDIA
NVIDIA の実装は公式リポジトリの opencl-nvidia からインストールできます。nvidia カーネルモジュールが動作する NVIDIA GPU のみをサポートしています (nouveau はまだ OpenCL をサポートしていません)。
Intel
Intel の実装は、シンプルに Intel OpenCL SDK という名前が付けられており、Intel の CPU (主に Core と Xeon) と GPU だけに最適化された OpenCL パフォーマンスを発揮します。パッケージは AUR からインストールできます: intel-opencl-sdkAUR。ランタイムは別のパッケージとして AUR にあります: intel-opencl-runtimeAUR。Ivy Bridge 以降の新しいハードウェアに搭載されている統合グラフィックハードウェアのための OpenCL は AUR の beignetAUR から入手できます。
開発
OpenCL を利用するアプリケーションを開発するには、実装とドライバー、コンパイラを含む OpenCL フレームワークに加えて opencl-headers パッケージをインストールする必要があります。あなたのコードを libOpenCL
にリンクしてください。
言語バインディング
- C++: Khronos によるバインディングが公式の仕様書に存在します。opencl-headers に含まれています。
- C++/Qt: Qt Labs に QtOpenCL という名前の実験的なバインディングがあります - 詳しくは ブログエントリ を参照
- JavaScript/HTML5: WebCL
- Python: PyOpenCL という同じ名前を持った2つのバインディングが存在します。片方は [extra] に入っています: python2-pyopencl。もう片方については sourceforge を見て下さい。
- D: cl4d
- Haskell: OpenCLRaw パッケージを AUR からインストールできます: haskell-openclraw-gitAUR
- Java: JOCL (JogAmp の一部)
- Mono/.NET: Open Toolkit
- Go: OpenCL bindings for Go
CUDA
CUDA (Compute Unified Device Architecture) は NVIDIA による、プロプライエタリでクローズドソースの並列計算アーキテクチャ・フレームワークです。NVIDIA の GPU を必要とします。CUDA は複数のコンポーネントから構成されます:
- 必須:
- プロプライエタリの NVIDIA カーネルモジュール
- CUDA "driver" と "runtime" ライブラリ
- 任意:
- 追加ライブラリ: CUBLAS, CUFFT, CUSPARSE など。
- CUDA ツールキット。
nvcc
コンパイラが含まれています。 - CUDA SDK。CUDA と OpenCL のプログラムの多数のサンプルやコードが含まれています。
カーネルモジュールと CUDA の "driver" ライブラリは nvidia と opencl-nvidia に入っています。"runtime" ライブラリと CUDA ツールキットは cuda パッケージでインストール可能です。このライブラリは64ビット版だけが存在します。
開発
cuda パッケージは全てのコンポーネントを /opt/cuda
ディレクトリにインストールします。CUDA のコードをコンパイルするときはコンパイラのインクルードパスに /opt/cuda/include
を追加してください。例えばコンパイラのフラグやオプションに -I/opt/cuda/include
を加えることで追加できます。
言語バインディング
- Fortran: FORTRAN CUDA, PGI CUDA Fortran Compiler
- Haskell: accelerate パッケージ に CUDA バックエンドがあります
- Java: jCUDA, JCuda
- Mathematica: CUDAlink
- Mono/.NET: CUDA.NET, CUDAfy.NET
- Perl: Kappa, CUDA-Minimal
- Python: AUR の: pycuda-gitAUR, また Kappa
- Ruby, Lua: Kappa
ドライバーの問題
複数の GPU が載っている環境で CUDA プログラムを実行する場合、パーミッション問題を解決するためにレガシーなドライバー nvidia-304xx または nvidia-304xx-lts を使う必要があるかもしれません。
OpenCL と CUDA のアクセラレーションがあるソフトウェア
- Bitcoin
- GIMP (実験段階 - [3] を参照)
- pyritAUR
- aircrack-ng
- john-openclAUR
- cuda_memtestAUR - GPU memtest。名前とは裏腹に、CUDA と OpenCL の両方をサポートしています。