「ICC プロファイル」の版間の差分
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==== Xinitrc の例 ==== |
==== Xinitrc の例 ==== |
2021年10月18日 (月) 11:57時点における版
一般的なデスクトップの利用に関して、ICC プロファイルは入力または出力デバイスの色の属性に関する正確な情報を含んでいるバイナリファイルです。一つ、または複数のプロファイルをシステムとデバイスに適用することで、グラフィックやドキュメントを編集したり出版するために色を再現することができます。完全に正確な色彩が必要なときは三刺激色彩計や分光測色計を使って ICC プロファイルが較正されます。
プロファイルの作成
ハードウェアの較正やソフトウェアによるプロファイリング、プロファイルを画像や動画に埋め込む色管理の作業では ICC プロファイルが使われます。
測色計や分光計
ディスプレイやプリンター、スキャナなどの正確な較正には測色計や分光計を使うことを強く推奨します。家庭用として購入可能な測色計も存在しています。他のオペレーティングシステムよりも Linux におけるサポートが充実していることもあります。Linux で問題なく使えるハードウェアとして X-Rite ColorMunki Display, DataColor Spyder5 Express あるいはオープンソースハードウェアの ColorHug などが挙げられます。AgyllCMS のドキュメント には他にも Linux をサポートしているデバイスが載っています。
Argyll CMS
Argyll Color Management System はコマンドラインからプロファイルを作成・ロードできるソフトウェアです。argyllcms パッケージでインストールできます。
デバイスのプロファイルを作成する方法については公式の Argyll CMS ドキュメント を読んでください。
DisplayCal
ArgyllCMS には DisplayCal という名前の GUI フロントエンドが存在します。displaycal パッケージでインストールできます。大抵の場合はデフォルト設定で足ります。色温度を昼光色 (6500K)、ガンマ値を 2.2 に設定するのが一般的です。詳しくは DispalGui のドキュメントを読んでください。
ファイルの転送
ICC モニタープロファイルを取得したいときは Windows または macOS 環境でプロファイルを作成することが一番簡単で広く推奨されています。ICC カラープロファイルはオープン標準にあわせて書き出されるので、別のオペレーティングシステムでも問題なく使えます。Linux で特定の分光光度計や測色計が使えない場合、他の OS からプロファイルを転送することで解決できるでしょう: 別の OS でプロファイルを作成して Linux のワークフローに乗せるだけです。プロファイルを作成するシステムにはプロファイルを使う時とまったく同じビデオカードとモニターが必要になります。ICC プロファイルを Windows で作成したら、以下のデフォルトパスからファイルをコピーしてください:
C:\WINDOWS\System32\spool\drivers\color
macOS は通常、一つ、または二つの場所に ICC プロファイルを保存します:
/Library/ColorSync/Profiles /Users/USER_NAME/Library/ColorSync/Profile
適切な .icc/.icm
ファイルをコピーしたら、デバイスプロファイルを使用したいシステムにインストールしてください。Linux におけるデバイスプロファイルのインストールディレクトリは以下の通りです:
/usr/share/color/icc /usr/local/share/color/icc /home/USER_NAME/.color/icc
Gnome Color Manager
Gnome では gnome-color-manager を使って簡単に ICC プロファイルを作成できます。コントールセンターからアクセスすることができ、使い方はとても簡単です。この機能を使用するには測色計が必要になります。
手動
gnome-settings-daemon が起動してから、次のコマンドを実行:
$ colormgr get-devices
そして使用しているモニターの Device ID
行を確認してください。例えば xrandr-Lenovo Group Limited
だった場合、次のコマンドでキャリブレーションを開始します:
gcm-calibrate --device "xrandr-Lenovo Group Limited"
LPROF ICC Profiler
LPROF はグラフィカルユーザーインターフェースが付属した ICC プロファイラです。Arch User Repository (AUR) の lprofAUR パッケージでインストールすることができます。
モニターのキャリブレーション
コントラスト/明るさ
部屋の照明を作業時に使用するものに調整します。画面に反射防止コーティングが施されている場合でも、光が直接当たらないようにする必要があります。画像が安定するまで、モニターを少なくとも1時間ウォームアップします。キャリブレーションデバイスにアンビエントディフューザーがある場合は、部屋の明るさを調整して、推奨される目標ルクスポイントに到達させます。
- モニターのコントラストを最大 (100%) に設定してください。
- 次に、小さな黒い PNG 画像(すべてのピクセルのRGB = 0、0、0)を作成し、コントロールなしで全画面モードで画像を表示できる画像ビューアで開くことにより、画面全体に真っ黒を表示します。
- モニター画面の垂直サイズ(画像ビューアーで表示されるPNG画像ではなく、画面に表示されるもの全体)を、全高の60%から70%に縮小します。画像の上下に現れるものは非スキャン領域と呼ばれ、その領域は電圧を受けていないため、モニターが表示できる黒の中で最も黒いです。
- 輝度コントロール (縁から光線が出ている円) を探し、黒のイメージ がスキャンされていない領域に一致するまで値を下げます。
色温度
色温度の設定は正午に行ってください。固定値の色温度しか設定できない場合、昼間になるまで待つ必要はありません。6500K に設定してください。
ウィンドウと画面の外側が同時に見えるようにモニターを置きます。この手順では、およそ10 x 10センチ(4 x 3インチ)の白い正方形の画像(RGB = 255、255、255)も作成する必要があります。明るさ/コントラストの場合と同じGwenviewテクニックを使用して、真っ黒な背景に白い四角を表示します。
- まず、外の世界をじっと見つめて目を覚ます。数分間、日光の観察条件に合わせます。
- モニターを見ながら、白い四角形を数秒間見ます(目がすぐに再調整されるため、短くする必要があります)v
- 正方形が黄色っぽく見える場合は、色温度を高くする必要があります。青みがかった色の場合は、温度を下げる必要があります。
- 正方形が真っ白に見えるまで、ちらっと見て、窓の外を見て、白の温度を調整します。
正確性を得るためには、上記の手順で時間をかけて実行してください。
モニターのプロファイル
lprof を起動してください。右側にタブが複数ある巨大なウィンドウが表示されます。
- Monitor Profiler タグをクリックしてください。それから巨大な Enter monitor values >> ボタンをクリックしてください。
- 白色点を 6500K (daylight) に設定してください。
- プライマリは、SMPTE RP145-1994、EBU Tech.3213-E、またはP22、またはモニターの適切な値に設定する必要があります。モニターの正しい値を見つけたら、ドロップダウンから[ユーザー定義]を選択して値を入力します。疑わしい場合は、トリニトロン CRT(この場合、トリニトロンはソニートリニトロンモニターとテレビとは関係ありません)を備えたすべてのモニターにP22を使用し他の CRT には SMPTE RP145-1994 を使用できます。
- Set Gamma and Black Point ボタンをクリックしてください。
- 下部にいくつかのコントロールがある2つのグラフの全画面ビューが表示されます。
- Link channels チェックボックスをオフにして、スライダーを左または右に移動するか、左の3つのボックスに値を入力して変更することにより、赤、緑、青の各ガンマを調整します。目標は、左側のグラフ(小さい方の正方形)を平らにすることです。外観に満足したら、Link channels チェックボックスをオンにして、ガンマを再度調整します。
- 完了したら、OK をクリックします。もう一度 OK をクリックします。
モニター値の入力が終了したら、モニターに関する情報を入力することができます。これは必須ではありませんが、どのプロファイルが何のためにあるかを知ることは常に良いことです。
- Profile identification ボタンをクリックしてください。
- データを入力してください。
- OK をクリックして完了です。
設定が完了したら Output Profile File の隣にある '...' ボタンをクリックしてプロファイルに名前を付けてください。例: somemonitor.icc。Create Profile ボタンをクリックするとプロファイルが作成されます。
ThinkPad
IBM/Lenovo の ThinkPad ノートパソコンの モニタープロファイル (generic) をサポートしている カラープロファイル を見てください。
ICC プロファイルのロード
ICC プロファイルはセッションデーモンあるいは専用の ICC ローダーでロードします。GNOME と KDE には colord から ICC プロファイルをロードすることができるデーモンが付属しています。gnome-settings-daemon や colord-kde と一緒に colord を使用する場合、プロファイルは自動的にロードされます。GNOME や KDE を使っていない場合、独立したデーモンをインストールすることができます。xiccd はデスクトップ環境に依存しないデーモンです。二つの ICC 対応デーモンを同時に起動してはいけません (例: gnome-settiongs-daemon と xiccd)。
ICC に対応しているセッションデーモンを使用していない場合、ICC ローダーをどれか一つ使ってください: xcalib, dispwin, dispcalGUI-apply-profiles など。複数のローダーを同時に使用すると環境が制御できなくなります (一番最後に実行されたローダーがキャリブレーションを設定し、それ以前にロードされたキャリブレーションは上書きされます)。
特定の ICC ローダーを使う前に、ツールによって設定されるものが違うことに注意してください。例えばキャリブレーションカーブだけを設定したり (例: xcalib)、X.org の _ICC_PROFILE にディスプレイプロファイルを設定したり (例: xicc)、あるいは一度に両方を設定するツールなどが存在します (例: dispwin, dispcalGUI-apply-profiles)。
xcalib
xcalib は軽量なモニターキャリブレーションローダーです。ICC モニタープロファイルをロードしてデスクトップアプリケーションから使うことができます。
Xinitrc の例
X サーバーが起動したときに /usr/share/color/icc
にある P221W-sRGB.icc
をディスプレイ host:0 にロード:
#!/bin/bash /usr/bin/xcalib -d :0 /usr/share/color/icc/P221W-sRGB.icc
JWM <StartupCommand>
の例
JWM が起動したときに /usr/local/share/color/icc
にある P221W-Native.icc
プロファイルをディスプレイ host:0 にロード:
<StartupCommand>xcalib -d :0 /usr/local/share/color/icc/P221W-Native.icc</StartupCommand>
dispwin
Xinitrc の例
X サーバーが起動したときに /home/arch/.color/icc
の 906w-6500K.icc
プロファイルをディスプレイ 0 にロード:
#!/bin/bash /usr/bin/dispwin -d0 /home/arch/.color/icc/906w-6500K.icc
JWM <StartupCommand>
の例
JWM が起動したときに /usr/local/share/color/icc
にある Argyll のキャリブレーションファイル 906w-7000K.cal
をディスプレイ 1 にロード:
<StartupCommand>dispwin -d1 /usr/local/share/color/icc/906w-7000K.cal</StartupCommand>
ICC プロファイルを使用することができるアプリケーション
- Xsane は ICC プロファイルを使って正しい色によるスキャンを行えます。
- CUPS は Colord によって ICC プロファイルによる印刷の色補正ができます。
- GIMP は ICC プロファイルを利用して画像編集で正確な色を使うことが可能です。ただし使用する ICC プロファイルは設定ダイアログで有効にする必要があります。
- mpv は動画を再生するときに ICC プロファイルを利用することができます。コマンドライン引数:
--vo=opengl:icc-profile=/path/to/profile.icc
。 - Firefox はデフォルトで ICC プロファイルのタグが付いている画像を表示するときに ICC プロファイルを使用します。タグが付いていない画像を sRGB として色補正を適用するには
gfx.color_management.mode
を 1 に設定してください。 - eog (Eye of GNOME) と eom (Eye of MATE) はシステムにインストールされた ICC プロファイルを自動的に使います。
参照
- Using LPROF to Profile Monitors - モニターのプロファイルを作成する詳細な方法
- Wikipedia:Linux color management
- Argyll Color Management System - 公式サイト
- LPROF Main Help Window - プリンターやスキャナのプロファイル作成に関する詳細情報
- DisplayCal: Basic concept of display calibration and profiling
- Display color profiling on Linux (XFCE)
- Monitor Hardware Calibration