「カーネルモード設定」の版間の差分
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{{hc|<nowiki>$ for p in /sys/class/drm/*/status; do con=${p%/status}; echo -n "${con#*/card?-}: "; cat $p; done</nowiki>| |
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+ | DVI-I-1: connected |
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+ | HDMI-A-1: disconnected |
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+ | === 強制モード === |
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+ | {{Warning|以下に説明する方法は、例えば [[Xorg]] が指定された解像度を考慮しないため、どこか不完全であり、ユーザは上記の方法を使用することが推奨されます。しかし、{{ic|1=video=}} コマンドラインで解像度を指定することは、あるシナリオでは有用かもしれません。}} |
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+ | [https://nouveau.freedesktop.org/wiki/KernelModeSetting the nouveau wiki] より。 |
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+ | :カーネルコマンドラインでモードを強制することができます。残念ながら、コマンドラインオプションの video は DRM の場合、ドキュメントが不十分です。使い方の断片は、以下のサイトにあります。 |
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+ | :* https://www.kernel.org/doc/html/latest/fb/modedb.html |
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+ | :* https://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/torvalds/linux.git/tree/drivers/gpu/drm/drm_fb_helper.c |
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+ | フォーマットは |
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+ | video=<conn>:<xres>x<yres>[M][R][-<bpp>][@<refresh>][i][m][eDd] となります。 |
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+ | * {{ic|<conn>}}:コネクタ、例:DVI-I-1、使用可能なコネクタは {{ic|/sys/class/drm/}} を参照 |
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+ | * {{ic|<xres> x <yres>}}: 解像度 |
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+ | * {{ic|M}}: CVT モードを計算 |
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+ | * {{ic|R}}: blanking を減らす |
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+ | * {{ic|-<bpp>}}: 色深度 |
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+ | * {{ic|@<refresh>}}: リフレッシュレート |
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+ | * {{ic|i}}: インターレース (非CVTモード) |
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+ | * {{ic|m}}: 余白 |
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+ | * {{ic|e}}: 出力は強制的にオンにする |
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+ | * {{ic|d}}: 出力は強制的にオフにされる |
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+ | * {{ic|D}}: デジタル出力を強制的にオン (例:DVI-I コネクタ) |
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+ | 例えば、{{ic|<nowiki>video=</nowiki>}} を複数回使って、{{ic|DVI}} を''1024x768''、''85Hz''に、{{ic|TV-out}} をオフに強制する、といったように複数の出力モードをオーバーライドすることが可能です。 |
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+ | video=DVI-I-1:1024x768@85 video=TV-1:d |
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+ | コネクタの名前と現在の状態を取得するには、以下のシェル oneliner を使用します。 |
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+ | {{hc|<nowiki>$ for p in /sys/class/drm/*/status; do con=${p%/status}; echo -n "${con#*/card?-}: "; cat $p; done</nowiki>| |
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DVI-I-1: connected |
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2022年5月24日 (火) 22:48時点における版
関連記事
Kernel Mode Setting (KMS) は、ユーザースペースではなくカーネル空間でディスプレイの解像度・色深度を設定する方法です。
Linux カーネルの KMS 機能ではフレームバッファでのネイティブ解像度や素早いコンソール (tty) 切り替えができるようになります。KMS を使うと、歪みを消去したり 3D パフォーマンスの上昇、カーネル空間の電力節約などをもたらす新しい技術 (DRI2 など) が有効になります。
目次
背景
昔、ビデオカードをセットアップするのは X サーバーの仕事でした。このため、仮想コンソールで派手なグラフィックを使うことは簡単ではありませんでした。また、X から 仮想コンソール へ切り替えると (Ctrl+Alt+F1
)、X サーバーはカーネルにビデオカードのコントロールを移さなくてはならず、動作が重くなりチラツキが生じていました。同じ"痛々しい"挙動はコントロールを X サーバーに戻すときも起こりました (Ctrl+Alt+F7
)。
Kernel Mode Setting (KMS) によって、現在カーネルはビデオカードのモードを設定することができます。これによって、起動時からの派手なグラフィックや、仮想コンソールと X の早い切り替えなどが可能になりました。
インストール
まず、どの方法を使うにせよ、以下を常時無効にする必要があります:
- ブートローダ内のあらゆる
vga=
オプション。KMS によるネイティブ解像度と衝突します。 - フレームバッファを有効にするあらゆる
video=
行。ドライバと衝突します。 - 他のフレームバッファドライバ (uvesafb など)。
Late KMS start
Intel, Nouveau, ATI, AMDGPU ドライバでは既に全てのチップセットで KMS が自動的に有効になっています。そのため手動でインストールする必要はありません。
プロプライエタリの NVIDIA ドライバー (364.12 以上) は KMS をサポートしていますが、手動で有効化する必要があります。
プロプライエタリの AMD Catalyst ドライバはオープンドライバスタックを使いません。KMS を使うにはオープンソースの AMDGPU ドライバ (古いビデオカードなら ATI ドライバ) に変えてください。
Early KMS start
通常 KMS は initramfs ステージよりも後に初期化されます。起動中にできるだけ早く KMS をロードするには、依存するモジュールを /etc/mkinitcpio.conf
の MODULES
行に追加します。
amdgpu
AMDGPU ドライバー向けradeon
ATI ドライバー (古いモデル向け)i915
Intel 内蔵グラフィック向けnouveau
Nouveau オープンソースドライバー向けmgag200
Matrox グラフィック向け- QEMU のグラフィック出力を使う場合:
virtio-gpu
VirtIO 用、qxl
QXL 用、cirrus
Cirrus 用
例えば、Intel 内蔵グラフィックドライバーを利用し、KMS を早期に有効化させるには:
/etc/mkinitcpio.conf
MODULES=(... i915 ...)
(生来の解像度に当てはまらない) カスタム EDID ファイルを使っている場合、同じように initramfs に埋め込む必要があります:
/etc/mkinitcpio.conf
FILES=(/usr/lib/firmware/edid/your_edid.bin)
その後カーネルイメージを再生成してください (詳しくは mkinitcpio を参照して下さい):
# mkinitcpio -p <カーネルプリセットの名前; 例 linux>
mkinitcpio
例えば、Intel のグラフィックドライバで Early KMS を有効にするには
/etc/mkinitcpio.conf
MODULES=(... i915 ...)
となります。
カスタム EDID ファイルを使用している場合 (内蔵解像度には適用されません) それを initramfs にも埋め込む必要があります。
/etc/mkinitcpio.conf
FILES=(/usr/lib/firmware/edid/your_edid.bin)
次に initramfs を再生成 します。
Booster
Booster を使用している場合、以下の設定変更で必要なモジュールをロードすることができます。
/etc/booster.yaml
modules_force_load: i915
イメージにファイルを追加する場合。
/etc/booster.yaml
extra_files: /usr/lib/firmware/edid/your_edid.bin
次にブースターイメージを 再生成 します。
トラブルシューティング
フォントが小さすぎる
デフォルトフォントを変更する方法を見てコンソールフォントを大きなフォントに代えてください。Terminus フォント (terminus-font) には ter-132n
など様々なサイズが含まれています。
もしくはモードセッティングを無効化して解像度を下げることで相対的にフォントは大きくなります。
ブートロードの問題と dmesg
古いシステムでは接続されたディスプレイデバイスのポーリングが重荷になることがあります。ポーリングは定期的に実行されるため、ハードウェアによっては最悪の場合、数百ミリ秒近く時間を取られます。動画を再生するときなど、絵面が止まってしまいます。10秒毎にディスプレイの出力が固まってしまうようなときは、ポーリングを無効化することで解決するかもしれません。
起動中に 0x00000010 (2)
のエラーコードが表示される場合 (10行近く表示され、最後にエラーコードが含まれているでしょう)、/etc/modprobe.d/modprobe.conf
に次の行を加えて下さい:
options drm_kms_helper poll=0
モードの強制と EDID
あなたの使っているモニターや TV が正しい EDID データを送信しない、またはそれに類似した問題が発生している場合、実効解像度が自動的に設定されなかったり全く画面が表示されなかったりすることがあります。カーネルには EDID のバイナリデータをロードする仕組みがあり、最も一般的な4つの解像度を設定するデータも提供しています。
もしあなたが EDID ファイルを持っているならば話は簡単です。持っていない場合、組み込まれている EDID バイナリのどれか一つを使うか自分で EDID を作って下さい。
モニタが Windows で正常に動作しているなら そのドライバから抽出したり read-edid の get-edid
コマンドを使って EDID ファイルを取得するほうが簡単です。
あるいは、カーネルのコンパイル時に様々な解像度・設定の EDID ファイルを作成できます。方法については カーネルのドキュメントや簡易なガイドを参照してください。
さらに、/sys/class/drm/*/edid
以下も探す方法もあります。
EDID ファイルを用意したのち、/usr/lib/firmware
の下に edid
ディレクトリを作成して:
# mkdir /usr/lib/firmware/edid
それからバイナリを /usr/lib/firmware/edid
ディレクトリにコピーしてください。
起動時にロードするために、カーネルコマンドラインで次を指定してください:
drm_kms_helper.edid_firmware=edid/your_edid.bin
Linux 4.15 以降では EDID 情報をヘルパーを使わずに直接設定できます:
drm.edid_firmware=edid/your_edid.bin
特定の接続だけで使うように指定することも可能です:
drm_kms_helper.edid_firmware=VGA-1:edid/your_edid.bin
内蔵の4つの解像度を使うには、下の表を見て名前を指定してください:
解像度 | 指定する名前 |
800x600 | edid/800x600.bin |
1024x768 | edid/1024x768.bin |
1280x1024 | edid/1280x1024.bin |
1600x1200 (カーネル 3.10 以上) | edid/1600x1200.bin |
1680x1050 | edid/1680x1050.bin |
1920x1080 | edid/1920x1080.bin |
KMS を初期に実行するようにしている場合は、カスタム EDID ファイルを initramfs に含めないと起動時に問題が発生します。
the nouveau wiki より:
カーネルコマンドラインから強制的にモードを選ぶこともできます。残念ながら、DRM に関するコマンドラインオプションはあまりドキュメント化されていません。使い方の簡単な説明はここにあります:
- https://cgit.freedesktop.org/nouveau/linux-2.6/tree/Documentation/fb/modedb.txt
- https://cgit.freedesktop.org/nouveau/linux-2.6/tree/drivers/gpu/drm/drm_fb_helper.c
フォーマットは:
video=<conn>:<xres>x<yres>[M][R][-<bpp>][@<refresh>][i][m][eDd]
<conn>
: コネクタ、例: DVI-I-1。利用できる接続は/sys/class/drm/
を見て下さい。<xres> x <yres>
: 解像度M
: compute a CVT mode?R
: reduced blanking?-<bpp>
: 色深度@<refresh>
: リフレッシュレートi
: インターレース化 (non-CVT mode)m
: 余白e
: 出力強制 ONd
: 出力強制 OFFD
: デジタル出力強制 ON (e.g. DVI-I connector)
video=
を使うことでアウトプットのモードを上書きすることができます、例えば、DVI 出力、1024x768、85 Hz、TV 出力オフに強制するには:
video=DVI-I-1:1024x768@85 video=TV-1:d
コネクタの名前・状態を取得するために、次のワンライナーを使うことができます:
$ for p in /sys/class/drm/*/status; do con=${p%/status}; echo -n "${con#*/card?-}: "; cat $p; done
DVI-I-1: connected HDMI-A-1: disconnected VGA-1: disconnected
強制モード
the nouveau wiki より。
- カーネルコマンドラインでモードを強制することができます。残念ながら、コマンドラインオプションの video は DRM の場合、ドキュメントが不十分です。使い方の断片は、以下のサイトにあります。
フォーマットは
video=<conn>:<xres>x<yres>[M][R][-<bpp>][@<refresh>][i][m][eDd] となります。
<conn>
:コネクタ、例:DVI-I-1、使用可能なコネクタは/sys/class/drm/
を参照<xres> x <yres>
: 解像度M
: CVT モードを計算R
: blanking を減らす-<bpp>
: 色深度@<refresh>
: リフレッシュレートi
: インターレース (非CVTモード)m
: 余白e
: 出力は強制的にオンにするd
: 出力は強制的にオフにされるD
: デジタル出力を強制的にオン (例:DVI-I コネクタ)
例えば、video=
を複数回使って、DVI
を1024x768、85Hzに、TV-out
をオフに強制する、といったように複数の出力モードをオーバーライドすることが可能です。
video=DVI-I-1:1024x768@85 video=TV-1:d
コネクタの名前と現在の状態を取得するには、以下のシェル oneliner を使用します。
$ for p in /sys/class/drm/*/status; do con=${p%/status}; echo -n "${con#*/card?-}: "; cat $p; done
DVI-I-1: connected HDMI-A-1: disconnected VGA-1: disconnected
モードセッティングを無効にする
Catalyst ドライバを使っているときなど、ブランクスクリーンになったりディスプレイに "no signal" エラーがでたりするなどの理由で KMS を無効にしたい時があるかもしれません。KMS を無効にするには、カーネルパラメータに nomodeset
を追加します。詳しくはカーネルパラメータを見て下さい。
nomodeset
カーネルパラメータと共に、Intel のグラフィックカードでは i915.modeset=0
を Nvidia のグラフィックカードでは nouveau.modeset=0
をそれぞれ追加する必要があります。Nvidia の Optimus デュアルグラフィック環境では、3つのカーネルパラメータ全てを追加してください (つまり "nomodeset i915.modeset=0 nouveau.modeset=0"
)。