「Bash」の版間の差分
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+ | Bash のコマンドラインは [[Readline]] という名前の別のライブラリによって処理されています。Readline は、コマンドラインと対話 (つまり、単語単位で前後に移動したり、単語を削除したりなど) するための [[emacs]] や [[vi]] スタイルのショートカットを提供しています。また、入力したコマンドの[[Readline#履歴|履歴]]を管理するのも Readline の仕事です。最後に、また重要なことですが、Readline は[[Readline#マクロ|マクロ]]の作成も可能にします。 |
=== タブ補完 === |
=== タブ補完 === |
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− | [[Wikipedia:Command-line_completion|タブ補完]]は |
+ | [[Wikipedia:Command-line_completion|タブ補完]]とは、{{ic|Tab}} を押すことによって入力済みのコマンドを自動補完するオプションです (デフォルトで有効)。 |
− | ==== シングルタブ |
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− | コマンドの補完を全て表示するにはタブを最大3回押す必要があります。タブを押す回数を減らしたい場合は |
+ | コマンドの補完候補を全て表示するにはタブを最大で3回押す必要があります。タブを押す回数を減らしたい場合は、[[Readline#高速な補完]] を参照してください。 |
− | ==== プログラムとオプション |
+ | ==== よく使われるプログラムとオプション ==== |
− | デフォルトでは、Bash |
+ | デフォルトでは、Bash によってタブ補完されるのはコマンド、ファイル名、そして変数のみです。{{Pkg|bash-completion}} をインストールすると、よく使われるコマンドとオプションに対するタブ補完も追加されます。この補完は、{{ic|/usr/share/bash-completion/bash_completion}} を [[source]] することで有効化することができます (このファイルは Arch Linux の {{ic|/etc/bash.bashrc}} で既に source されています)。{{Pkg|bash-completion}} を使うと、({{ic|$ ls file.*<tab><tab>}} などの) 通常の補完も挙動が変化しますが、{{ic|$ compopt -o bashdefault ''program''}} によって元に戻すことができます (詳しくは [https://bbs.archlinux.org/viewtopic.php?id=128471] と [https://www.gnu.org/software/bash/manual/html_node/Programmable-Completion-Builtins.html] を参照)。 |
+ | ==== コマンド毎にカスタマイズする ==== |
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− | ==== プログラムとオプションを手動で追加 ==== |
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− | {{Note|{{ic|complete}} を使用すると |
+ | {{Note|{{ic|complete}} 組み込みコマンドを使用すると、{{Pkg|bash-completion}} と競合する場合があります。}} |
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+ | デフォルトでは、Bash はコマンドの後のファイル名しかタブ補完しません。{{ic|complete -c}} を使うことで、コマンド名も補完できるようにできます: |
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− | {{hc|~/.bashrc| |
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− | complete -c man which |
+ | {{hc|~/.bashrc|complete -c man which}} |
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− | + | また、{{ic|-cf}} でコマンド名とファイル名を補完できます: |
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− | {{bc|complete -cf sudo}} |
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+ | complete -cf sudo |
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− | 詳しくは Bash の man ページを見てください。 |
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+ | その他の補完オプションは {{man|1|bash|Programmable Completion}} を見てください。 |
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=== 履歴 === |
=== 履歴 === |
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− | ==== 履歴 |
+ | ==== 履歴による補完 ==== |
− | + | 上下キーを Bash 履歴の検索に割り当てることができます ([[Readline#履歴]] と [https://www.gnu.org/software/bash/manual/html_node/Readline-Init-File-Syntax.html Readline Init File Syntax] を参照): |
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{{hc|~/.bashrc| |
{{hc|~/.bashrc| |
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− | + | bind '"\e[A": history-search-backward' |
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− | + | bind '"\e[B": history-search-forward' |
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− | + | あるいは、全ての readline プログラムに適用するには: |
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{{hc|~/.inputrc| |
{{hc|~/.inputrc| |
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− | ==== 履歴 |
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− | {{ic|HISTCONTROL}} 変数 |
+ | {{ic|HISTCONTROL}} 変数により、特定のコマンドを履歴に残さないようにできます。 |
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+ | 連続する同じコマンドを記録しない: |
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{{hc|~/.bashrc|2=export HISTCONTROL=ignoredups}} |
{{hc|~/.bashrc|2=export HISTCONTROL=ignoredups}} |
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− | {{ic|erasedups}} に設定すると (コマンドが実行された順番と関係なく) Bash の履歴に同じコマンドが含まれないようになります。詳しくは Bash の man ページを見てください。 |
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+ | 同じコマンドは、一番最後を除いて記録しない: |
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+ | {{hc|~/.bashrc|2=export HISTCONTROL=erasedups}} |
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+ | 空白で始まるコマンドは記録しない: |
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+ | {{hc|~/.bashrc|2=export HISTCONTROL=ignorespace}} |
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+ | 連続する同じコマンド、及び空白で始まるコマンドは記録しない: |
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+ | {{hc|~/.bashrc|2=export HISTCONTROL=ignoreboth}} |
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+ | 同じコマンドは、一番最後を除いて記録せず、さらに空白で始まるコマンドも記録しない: |
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+ | {{hc|~/.bashrc|2=export HISTCONTROL="erasedups:ignorespace"}} |
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+ | 詳細は {{man|1|bash|HISTCONTROL}} を参照してください。 |
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==== 履歴を無効にする ==== |
==== 履歴を無効にする ==== |
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− | + | 一時的に Bash の履歴を無効化するには: |
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$ set +o history |
$ set +o history |
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− | + | 以降、入力されたコマンドは {{ic|$HISTFILE}} に記録されません。 |
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− | + | これで、機密情報をディスクに残すことなく、{{ic|printf ''シークレット'' {{!}} sha256sum}} でパスワードのハッシュ値を計算したり、{{ic|gpg -eaF secret-pubkey.asc}} などの GPG の使用履歴を隠蔽したりできるようになります。 |
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− | 秘密はディスクに書き込まれません。 |
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− | 履歴を有効 |
+ | 履歴を有効化するには: |
$ set -o history |
$ set -o history |
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+ | 全ての Bash 履歴を無効化するには: |
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− | {{Tip|{{ic|HISTCONTROL}} 変数に {{ic|ignorespace}} が含まれている場合、スペースで始まるコマンドは履歴ファイルに保存されません。詳しくは {{man|1|bash|Shell Variables}} を参照してください。}} |
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− | bash の履歴を全て無効にするには |
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{{hc|~/.bashrc or /etc/profile|2= |
{{hc|~/.bashrc or /etc/profile|2= |
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}} |
}} |
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− | ...そして、念のため、古い |
+ | ...そして、念のため、古い履歴ファイルを完全に削除してください: |
$ wipe -i -l2 -x4 -p4 "$HISTFILE" |
$ wipe -i -l2 -x4 -p4 "$HISTFILE" |
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=== Zsh の run-help 機能を模倣する === |
=== Zsh の run-help 機能を模倣する === |
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− | Zsh では {{ic|Alt+h}} を押すことで入力したコマンドのマニュアルを呼び出すことができます。[[Readline]] の bind を使うことで Bash でも同じように |
+ | [[Zsh]] では {{ic|Alt+h}} を押すことで、入力したコマンドのマニュアルを呼び出すことができます。[[Readline]] の bind を使うことで Bash でも同じようにできます: |
+ | |||
{{hc|~/.bashrc|<nowiki> |
{{hc|~/.bashrc|<nowiki> |
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run-help() { help "$READLINE_LINE" 2>/dev/null || man "$READLINE_LINE"; } |
run-help() { help "$READLINE_LINE" 2>/dev/null || man "$READLINE_LINE"; } |
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bind -m emacs -x '"\eh": run-help' |
bind -m emacs -x '"\eh": run-help' |
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</nowiki>}} |
</nowiki>}} |
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+ | |||
− | 上記では (デフォルトの) Emacs [[Readline#編集モード|編集モード]] を使用していることを前提としています。 |
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+ | 上記では、(デフォルトの) Emacs [[Readline#編集モード|編集モード]]を使用していることを前提としています。 |
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== エイリアス == |
== エイリアス == |
2023年10月12日 (木) 20:28時点における版
Bash (Bourne-again Shell) は GNU プロジェクトによるコマンドラインシェル/プログラミング言語です。Bash という名前は、長い間非推奨であった Bourne shell という先祖の名前のオマージュから来ています。Bash は GNU/Linux を含むほとんどの UNIX ライクなオペレーティングシステムで動作します。
Bash は、Arch Linux のデフォルトのコマンドラインシェルです。
実行
Bash は、起動の仕方によって動作が変わります。以下、一部のモードについて説明します。
Bash が TTY 内で login
コマンドによって呼び出された場合や、SSH デーモンによって呼び出された場合、その他の似たような方法によって呼び出された場合、ログインシェルとみなされます。また、-l
/--login
コマンドラインオプションを使用した場合も、このモードが有効化されます。
Bash の標準入力、標準出力、そして標準エラー出力がターミナルに接続されていて (例えば、ターミナル内で実行された場合)、かつ、-c
オプションも非オプション引数 (例えば bash スクリプト
) も使用されずに起動された場合、インタラクティブシェルとみなされます。全てのインタラクティブシェルは /etc/bash.bashrc
と ~/.bashrc
を読み込んで実行します。一方、インタラクティブなログインシェルは、これらに加えて /etc/profile
と ~/.bash_profile
も読み込んで実行します。
設定ファイル
Bash は一連のスタートアップファイルを実行しようと試みます。読み込まれるファイルは、Bash がどのように実行されたかに依存します。完全な説明は、GNU Bash マニュアルの Bash Startup Files 章を参照してください。
ファイル | 説明 | ログインシェル (以下のノートを参照) | インタラクティブ (非ログインシェル) |
---|---|---|---|
/etc/profile
|
/etc/profile.d/*.sh と /etc/bash.bashrc のアプリケーションの設定を source します。
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Yes | No |
~/.bash_profile
|
ユーザ毎の設定ファイルです。/etc/profile のあとに読み込まれます。このファイルが存在しない場合、~/.bash_login と ~/.profile がこの順番でチェックされます。スケルトンファイル /etc/skel/.bash_profile は ~/.bashrc も読み込みます。
|
Yes | No |
~/.bash_logout
|
ユーザ毎の設定ファイル。ログインシェルが終了する際に実行されます。 | Yes | No |
/etc/bash.bash_logout
|
このファイルが読み込まれるかどうかは、-DSYS_BASH_LOGOUT="/etc/bash.bash_logout" コンパイルフラグに依存します。ログインシェルの終了時に実行されます。
|
Yes | No |
/etc/bash.bashrc
|
このファイルが読み込まれるかどうかは、-DSYS_BASHRC="/etc/bash.bashrc" コンパイルフラグに依存します。このファイルは /usr/share/bash-completion/bash_completion を読み込みます。
|
No | Yes |
~/.bashrc
|
ユーザ毎の設定ファイル。/etc/bash.bashrc の後に読み込まれます。
|
No | Yes |
シェルと環境変数
Bash、及び Bash によって実行されるプログラムの動作は、様々な環境変数による影響を受ける可能性があります。環境変数は、コマンドが探索されるディレクトリのリストや、どのブラウザを使用するかなど、有用な値を保存するために使用されます。新しいシェルやスクリプトが実行された際、そのプロセスは親プロセスの変数を継承します。つまり、内部のシェル変数を持った状態で起動されるわけです [1]。
Bash 内のシェル変数を環境変数とするには、export する必要があります:
VARIABLE=content export VARIABLE
これは、以下のようにショートカットすることも可能です:
export VARIABLE=content
伝統的に環境変数は、他の Bourne 互換のシェルも使用できるようにするために、~/.profile
や /etc/profile
内で定義されます。
より一般的な情報は 環境変数 を参照してください。
コマンドライン
Bash のコマンドラインは Readline という名前の別のライブラリによって処理されています。Readline は、コマンドラインと対話 (つまり、単語単位で前後に移動したり、単語を削除したりなど) するための emacs や vi スタイルのショートカットを提供しています。また、入力したコマンドの履歴を管理するのも Readline の仕事です。最後に、また重要なことですが、Readline はマクロの作成も可能にします。
タブ補完
タブ補完とは、Tab
を押すことによって入力済みのコマンドを自動補完するオプションです (デフォルトで有効)。
シングルタブ
コマンドの補完候補を全て表示するにはタブを最大で3回押す必要があります。タブを押す回数を減らしたい場合は、Readline#高速な補完 を参照してください。
よく使われるプログラムとオプション
デフォルトでは、Bash によってタブ補完されるのはコマンド、ファイル名、そして変数のみです。bash-completion をインストールすると、よく使われるコマンドとオプションに対するタブ補完も追加されます。この補完は、/usr/share/bash-completion/bash_completion
を source することで有効化することができます (このファイルは Arch Linux の /etc/bash.bashrc
で既に source されています)。bash-completion を使うと、($ ls file.*<tab><tab>
などの) 通常の補完も挙動が変化しますが、$ compopt -o bashdefault program
によって元に戻すことができます (詳しくは [2] と [3] を参照)。
コマンド毎にカスタマイズする
デフォルトでは、Bash はコマンドの後のファイル名しかタブ補完しません。complete -c
を使うことで、コマンド名も補完できるようにできます:
~/.bashrc
complete -c man which
また、-cf
でコマンド名とファイル名を補完できます:
complete -cf sudo
その他の補完オプションは bash(1) § Programmable Completion を見てください。
履歴
履歴による補完
上下キーを Bash 履歴の検索に割り当てることができます (Readline#履歴 と Readline Init File Syntax を参照):
~/.bashrc
bind '"\e[A": history-search-backward' bind '"\e[B": history-search-forward'
あるいは、全ての readline プログラムに適用するには:
~/.inputrc
"\e[A": history-search-backward "\e[B": history-search-forward
履歴のカスタマイズ
HISTCONTROL
変数により、特定のコマンドを履歴に残さないようにできます。
連続する同じコマンドを記録しない:
~/.bashrc
export HISTCONTROL=ignoredups
同じコマンドは、一番最後を除いて記録しない:
~/.bashrc
export HISTCONTROL=erasedups
空白で始まるコマンドは記録しない:
~/.bashrc
export HISTCONTROL=ignorespace
連続する同じコマンド、及び空白で始まるコマンドは記録しない:
~/.bashrc
export HISTCONTROL=ignoreboth
同じコマンドは、一番最後を除いて記録せず、さらに空白で始まるコマンドも記録しない:
~/.bashrc
export HISTCONTROL="erasedups:ignorespace"
詳細は bash(1) § HISTCONTROL を参照してください。
履歴を無効にする
一時的に Bash の履歴を無効化するには:
$ set +o history
以降、入力されたコマンドは $HISTFILE
に記録されません。
これで、機密情報をディスクに残すことなく、printf シークレット | sha256sum
でパスワードのハッシュ値を計算したり、gpg -eaF secret-pubkey.asc
などの GPG の使用履歴を隠蔽したりできるようになります。
履歴を有効化するには:
$ set -o history
全ての Bash 履歴を無効化するには:
~/.bashrc or /etc/profile
export HISTSIZE=0
...そして、念のため、古い履歴ファイルを完全に削除してください:
$ wipe -i -l2 -x4 -p4 "$HISTFILE" $ ln -sv /dev/null "$HISTFILE"
Zsh の run-help 機能を模倣する
Zsh では Alt+h
を押すことで、入力したコマンドのマニュアルを呼び出すことができます。Readline の bind を使うことで Bash でも同じようにできます:
~/.bashrc
run-help() { help "$READLINE_LINE" 2>/dev/null || man "$READLINE_LINE"; } bind -m vi-insert -x '"\eh": run-help' bind -m emacs -x '"\eh": run-help'
上記では、(デフォルトの) Emacs 編集モードを使用していることを前提としています。
エイリアス
alias は、ある単語の別名を定義するコマンドです。システムコマンドを短縮したり、日頃使っているコマンドにデフォルトの引数を追加したりするために使用されます。
ユーザ毎のエイリアスは、~/.bashrc
に定義するか、別のファイルに記述して ~/.bashrc
からそのファイルを source することができます。システム全体で使用される (つまり、全てのユーザに適用される) エイリアスは /etc/bash.bashrc
に記述します。エイリアスの例は [4] を見てください。
関数については、Bash/関数 を参照してください。
ヒントとテクニック
プロンプトのカスタマイズ
Bash/プロンプトのカスタマイズを見てください。
シンタックスハイライトとオートサジェスト機能
ble.sh は Readline を置き換える、純粋な Bash で書かれたコマンドラインエディタです。シンタックスハイライト、オートサジェスト、メニュー補完、略語、Vim 編集モード、フック関数など、多くの拡張機能を備えています。
インストール後、対話型セッションで Source を実行してください。設定は ~/.blerc ファイルと wiki で詳しく説明されています。
command not found
pkgfile には "command not found" フックが含まれており、認識できないコマンドを入力すると、自動的に公式リポジトリを検索します。
このフックを有効にするには、例えば以下のように source する必要があります。
~/.bashrc
source /usr/share/doc/pkgfile/command-not-found.bash
その後、利用できないコマンドを実行しようとすると、次のような情報が表示されます。
$ abiword
abiword may be found in the following packages: extra/abiword 3.0.1-2 /usr/bin/abiword
代替の "command not found" フックは command-not-foundAUR で提供されており、以下のようになります。
$ abiword
The command 'abiword' is provided by the following packages: abiword (2.8.6-7) from extra [ abiword ] abiword (2.8.6-7) from staging [ abiword ] abiword (2.8.6-7) from testing [ abiword ]
ターミナルで Ctrl+z を無効化
コマンドを以下のようにすることで Ctrl+z
機能 (アプリケーションの停止/終了) を無効化できます:
#!/bin/bash trap "" 20 adom
これで adomAUR で Shift+z
の代わりに間違って Ctrl+z
を押してしまっても Ctrl+z
は無視されるため何も起こりません。
ログアウト後に画面をクリア
仮想コンソールでログアウト後に画面を消去するには:
~/.bash_logout
clear reset
パスを入力したら自動で "cd"
シェルにパスだけを入力したとき Bash に cd
を自動で前につけるようにすることができます。例えば通常は以下のようになりますが:
$ /etc
bash: /etc: Is a directory
.bashrc
に以下の設定を追加すると:
~/.bashrc
shopt -s autocd
次の通り:
[user@host ~] $ /etc cd /etc [user@host etc]
Autojump
autojumpAUR を使うことでユーザーが頻繁に使用しているパスが記録されたデータベースを検索してファイルシステムを移動できます。
パッケージをインストールしたら /etc/profile.d/autojump.bash
を Source することで使えるようになります。
代替品としては zoxide があり、オリジナルの autojump
と比べて機能が追加され、性能も向上しています。
ファイルの上書きを防止する
現在のセッションで、シェル出力のリダイレクトによって既存の通常ファイルが上書きされないようにするためです。
$ set -o noclobber
これは set -C
と同じです。
変更をユーザーのために永続的にするためには
~/.bashrc
... set -o noclobber
noclobber
を設定した状態で、手動でファイルを上書きする場合。
$ echo "output" >| file.txt
ディレクトリスタックを使用して移動する
pushd
と popd
を使用すると、ディレクトリに切り替えるときにスタックにディレクトリをプッシュまたはポップできます。これは、ナビゲーション履歴を 再生 するのに役立ちます。
[user@host ~] pushd /tmp/dir1 [user@host /tmp/dir1] pushd /var/lib [user@host/var/lib] popd [user@host/tmp/dir1] popd [user@host ~]
bash(1) § DIRSTACK を参照してください。
トラブルシューティング
ウィンドウをリサイズした時の行の折り返し
ターミナルエミュレータのウィンドウサイズを変更した時、Bash はリサイズシグナルを受け取れないことがあります。そうすると入力したテキストが正しく折り返されずにプロンプトをはみ出してしまいます。checkwinsize
シェルオプションはコマンドごとにウィンドウサイズの確認を行い、必要ならば、LINES
と COLUMNS
の値を更新します。
~/.bashrc
shopt -s checkwinsize
ignoreeof が設定されているのにシェルが終了する
ignoreeof
オプションを設定したのに何度も ctrl-d
を押すとシェルが終了するのは、このオプションではこのキーバインド (正確には EOF 文字列) を押しても10回まではシェルが終了しないようになっているためです。
回数を上げるには、IGNOREEOF 変数を設定してください。例:
export IGNOREEOF=100
スクリプトを解析してエラーをチェックする機能
パッケージ shellcheck は bash (および他のシェル) スクリプトを解析し、考えられるエラーを表示し、よりよいコーディングを提案します。
また、このプログラムをベースにした同じ目的のウェブサイト shellcheck.net も存在します。
参照
- Wikipedia:ja:Bash
- Bash Reference Manual (あるいは
/usr/share/doc/bash/bashref.html
) - Readline Init File Syntax
- The Bourne-Again Shell - The Architecture of Open Source Applications の第3章
- PS1 generator - ドラッグアンドドロップのインターフェイスで .bashrc/PS1 Bash プロンプトを生成してくれます。
- その他の便利な .bashrc コマンド