MATE
MATE のホームページ より:
- MATE デスクトップ環境は GNOME2 のフォークであり、伝統的なやり方を好む Linux ユーザーに魅力的で直感的なデスクトップを提供します。新しい技術をサポートしつつ伝統的なデスクトップを維持するために MATE は活発に開発されています。
目次
- 1 MATE のアプリケーション
- 2 インストール
- 3 起動
- 4 設定
- 5 ヒントとテクニック
- 5.1 コンポジットを有効にする
- 5.2 新規ウィンドウの位置を変更する
- 5.3 ウィンドウのスナップを有効にする
- 5.4 デスクトップアイコンを表示・隠す
- 5.5 MATE で他のウィンドウマネージャを使う
- 5.6 Caja にデスクトップを管理させないようにする
- 5.7 ウィンドウのボタンの順番を変更する
- 5.8 ドライブをマウントしたらファイルマネージャを自動で開くのを止める
- 5.9 スクリーンセーバー
- 5.10 ロック画面 & 既定の壁紙
- 5.11 Caja の空間モード
- 5.12 フォントの DPI 設定を変更
- 5.13 アプリケーションメニューのアイコンを変更
- 5.14 パネルの速度設定
- 5.15 caja-open-terminal で使用するターミナルを設定
- 6 トラブルシューティング
- 7 参照
MATE のアプリケーション
MATE は主に GNOME2 のアプリケーションとユーティリティで構成されており、GNOME 3 のアプリケーションとの衝突を避けるためにフォークされて名前が変更されています。以下は MATE で名前が変更された GNOME のアプリケーションの一覧です。
アプリケーション | GNOME 2 | MATE |
---|---|---|
メニューエディタ | Alacarte | Mozo |
ファイルマネージャ | Nautilus | Caja |
ウィンドウマネージャ | Metacity | Marco |
テキストエディタ | Gedit | Pluma |
画像ビューア | Eye of GNOME | Eye of MATE |
ドキュメントビューア | Evince | Atril |
アーカイブマネージャ | File Roller | Engrampa |
GNOME の名を冠した他のアプリケーションや主要なコンポーネント (GNOME Panel, GNOME Menus など) はそのまま GNOME を MATE に変えられています (MATE Panel, Mate Menus など)。
インストール
MATE は公式リポジトリから使うことができ以下のパッケージからインストールできます:
- mate グループには標準的な MATE を使うのに必要なコアのデスクトップ環境が含まれています。
- mate-extra グループには MATE デスクトップと統合された追加のユーティリティ・アプリケーションが含まれています。mate-extra グループをインストールするだけでは依存として mate グループ全体がインストールされることはありません。全ての MATE パッケージをインストールしたい場合は、両方のパッケージをインストールする必要があります。
基本的なデスクトップは marco, mate-panel, mate-session-manager で構成されます。
追加の MATE パッケージ
以下は MATE コミュニティによって作成・管理されている非公式の MATE アプリケーションで、mate や mate-extra グループには含まれていません。
- Dock Applet — MATE パネルのアプリケーションドック。
- Online Radio Applet — ワンクリックで好きなネットラジオを再生することができる MATE パネルアプレット。
- MATE Menu — MATE パネル用の先進的なメニュー。MintMenu のフォーク。
- MATE Tweak — MATE の設定ツール。mintDesktop のフォーク。
- BriskMenu — SolusOS ディストリビューションの MATE デスクトップ環境用の新しい効率的なメニュー。
また、Caja の高度な機能を活用するためにインストールする必要があるパッケージもあります。ファイルマネージャの機能を参照。
起動
MATE はディスプレイマネージャを使うか手動で起動することができます。
グラフィカルログイン
ディスプレイマネージャを使ってセッションリストから MATE を選んで下さい。
手動ログイン
コンソールから手動で MATE を起動したい場合は、次の行を ~/.xinitrc
ファイルに追加してください:
~/.xinitrc
exec mate-session
これで startx
と入力することで MATE を起動できます。
logind セッションの維持など、詳細については xinitrc を見て下さい。
設定
MATE の設定は Control Center アプリケーション (mate-control-center) から行うことができます。このアプリケーションは mate-control-center パッケージに入っています。ハードウェアを管理したい場合、追加でツールをインストールする必要があります。
- オーディオ
- mate-media パッケージは ALSA と PulseAudio バックエンドをサポートしています。
- Bluetooth
- Bluetooth 端末のサポートが必要な場合、blueman パッケージをインストールしてください。Blueman を参照。
- ネットワーク
- ネットワークを設定したい場合、network-manager-applet パッケージをインストールしてください。NetworkManager を参照。
- 電源管理
- mate-power-manager パッケージは UPower バックエンドをサポートしています。
- プリンター
- プリンターを設定したい場合、system-config-printer パッケージをインストールしてください。
アクセシビリティ
MATE は視覚や身体に障害を持つ人も使用することができます。orca や espeak (目が見えない人のためのスクリーンリーダー)、そして onboard (身体に障害を持つ人のためのオンスクリーンキーボード) をインストールしてください。
そして MATE を起動する前にアクセシビリティ機能が必要なユーザーで次のコマンドを実行してください:
$ gsettings set org.mate.interface accessibility true
変更を適用するために再起動すれば System -> Preferences -> Assistive Technologies
からアクセシビリティアプリケーションを設定できます。
通知
- バッテリーの放電
バッテリー使用時の通知を無効にするには:
$ gsettings set org.mate.power-manager.notify-discharging false
- 輝度
バックライト#カーネルコマンドラインオプションを見てください。
ヒントとテクニック
コンポジットを有効にする
コンポジットはデフォルトでは有効になっていません。有効にするには System -> Preferences -> Windows
から General
タブの Enable software compositing window manager
の横のボックスにチェックを入れて下さい。もしくは、ターミナルから以下を実行することでも有効にできます:
$ gsettings set org.mate.Marco.general compositing-manager true
新規ウィンドウの位置を変更する
デフォルトで、新しいウィンドウが開く位置は左上に決まっています。新しいウィンドウを真ん中に持ってくるには、System -> Preferences -> Windows
から Placement
タブの Center new windows
の横のボックスにチェックを入れて下さい。もしくは、ターミナルから以下を実行することでも変更できます:
$ gsettings set org.mate.Marco.general center-new-windows true
ウィンドウのスナップを有効にする
ウィンドウスナップはデフォルトでは有効になっていません。有効にするには System -> Preferences -> Windows
から Placement
タブの Enable side by side tiling
の横のボックスにチェックを入れて下さい。もしくは、ターミナルから以下を実行:
$ gsettings set org.mate.Marco.general side-by-side-tiling true
デスクトップアイコンを表示・隠す
デフォルトで、MATE はデスクトップに複数のアイコンを表示します: デスクトップディレクトリの中身、コンピュータ、ホーム、ネットワークディレクトリ、ゴミ箱、マウントされたデバイス。gsettings
を使ってアイコンを個別に、もしくはまとめて表示・隠すことができます。
全てのデスクトップアイコンを隠す
$ gsettings set org.mate.background show-desktop-icons false
個々のアイコンを隠す
コンピューターのアイコンを隠す:
$ gsettings set org.mate.caja.desktop computer-icon-visible false
ユーザーディレクトリのアイコンを隠す:
$ gsettings set org.mate.caja.desktop home-icon-visible false
ネットワークのアイコンを隠す:
$ gsettings set org.mate.caja.desktop network-icon-visible false
ゴミ箱のアイコンを隠す:
$ gsettings set org.mate.caja.desktop trash-icon-visible false
マウントボリュームのアイコンを隠す:
$ gsettings set org.mate.caja.desktop volumes-visible false
逆にアイコンを表示させるには false
を true
に置き換えてください。
MATE で他のウィンドウマネージャを使う
MATE のデフォルトのウィンドウマネージャは GNOME 2 のウィンドウマネージャ metacity のフォークである marco です。以下の方法を使って marco を他のウィンドウマネージャに置き換えることが可能です:
- gsettings を使う (推奨)
以下のコマンドを実行して MATE のウィンドウマネージャを指定してください、wm-name は使用したいウィンドウマネージャの名前に置き換えてください (例: openbox, metacity):
$ gsettings set org.mate.session.required-components windowmanager wm-name
- MATE セッションの自動起動を使う
mate-session-properties を使ってウィンドウマネージャを自動起動させることができます。自動起動されたウィンドウマネージャがログイン時にデフォルトになっていたウィンドウマネージャを置き換えます。System メニューを開いて、Preferences メニューまで行き Startup Applications をクリックしてください。ダイアログで Add をクリックして名前とコメントを入力して次のような形式でコマンドを追加してください: wm-name --replace
(例えば、openbox なら次のコマンドを使って下さい: openbox --replace
)。ログアウトしてからログインしなおせば marco は選んだウィンドウマネージャに置き換えられているはずです。macro に戻すには Startup Applications で作ったエントリを削除してください。
marco を置き換えた後もいくつか設定が必要です。例えば、PC スピーカーのビープ音の無効化を見て下さい。
Caja にデスクトップを管理させないようにする
Caja にデスクトップを管理させないようにするには以下を実行してください:
$ gsettings set org.mate.background show-desktop-icons false $ killall caja # Caja will be restarted by session manager
ウィンドウのボタンの順番を変更する
グラフィカルの dconf-editor を使うか gsettings コマンドラインツールを使って変更してください:
$ gsettings set org.mate.Marco.general button-layout 'close,maximize,minimize:'
menu, close, minimize, maximize をお望みの順番でカンマで区切って指定してください。コロンはウィンドウのタイトルになります (変更を適用するのに必要です)。
ドライブをマウントしたらファイルマネージャを自動で開くのを止める
デフォルトで、ドライブがマウントされたとき MATE は新しいファイルマネージャのウィンドウを自動で開きます。これを無効にするには、gsettings で以下のキーを変更してください:
$ gsettings set org.mate.media-handling automount-open false
自動マウントを無効化するには:
$ gsettings set org.mate.media-handling automount false
スクリーンセーバー
MATE は mate-screensaver を使ってセッションをロックします。デフォルトでは限られた数のロック画面しか使うことができません。もっと多くのロック画面を使うには、mate-screensaver-hacksAUR パッケージをインストールしてください。これで mate-screensaver で Xscreensaver のロック画面を使えるようになります。
ロック画面 & 既定の壁紙
次のファイルを作成することでロック画面の壁紙を変更できます:
/usr/share/glib-2.0/schemas/mate-background.gschema.override
[org.mate.background] picture-filename='/path/to/the/background.jpg'
その後、スキーマを再コンパイルします:
# glib-compile-schemas /usr/share/glib-2.0/schemas/
X セッションを再起動して、変更を反映させて下さい。
Caja の空間モード
新しいフォルダは新しいウィンドウで開くようにするには (空間モード)、Caja の設定ダイアログを開いて、behaviour タブをクリックして 'Open each folder in its own window' オプションにチェックを入れて下さい。もしくは、以下のコマンドを実行することでも同じ設定が行われます:
$ gsettings set org.mate.caja.preferences always-use-browser false
フォントの DPI 設定を変更
デスクトップを右クリックして Change desktop background > Fonts > Details > Resolution を選択することで MATE におけるフォントの DPI (dots per inch) を変更することができます。
アプリケーションメニューのアイコンを変更
デフォルトでは、アプリケーションメニューのアイコンは start-here
に設定されています。別のアイコンを使いたい場合、アイコンを /usr/local/share/pixmaps
などのフォルダにコピーして次のコマンドを実行してください:
$ gsettings set org.mate.panel.menubar icon-name icon
icon はアイコンの名前に置き換えて下さい。アイコンの名前にファイルの拡張子を含めてはいけません。最後に、MATE Panel を再起動してください。
パネルの速度設定
- 表示が出たり消えるときの時間
自動的に隠すようにしている場合にパネルが消えたり現れたりするのにかかる時間を調整したい場合、次のコマンドを実行:
$ dconf write /org/mate/panel/toplevels/panel/(un)hide-delay time
panel は top か bottom に、time はミリ秒の値に置き換えて下さい (例: 300)。
- アニメーション速度
パネルのアニメーションの速度を設定したい場合、次を実行:
$ dconf write /org/mate/panel/toplevels/panel/animation-speed value
panel は top か bottom に value は "'fast'"
, "'medium'"
, "'slow'"
のどれかに置き換えて下さい。
caja-open-terminal で使用するターミナルを設定
caja-open-terminal
拡張は GSettings を使って使用するターミナルを決定します。デフォルトは mate-terminal です。使用するターミナルを変更するには、以下のコマンドを実行してください:
$ gsettings set org.mate.applications-terminal exec my-terminal
my-terminal は実行したいターミナルの実行ファイルの名前に置き換えてください。例: xterm。
トラブルシューティング
コンポジットの切り替え
nvidia のプロプライエタリドライバーとコンポジット型ウィンドウマネージャを使用している環境では、ソフトウェアによってグラフィックのレンダリングに問題が発生することがあります。
コンポジット機能を簡単に切り替えられるようにしたい場合、以下のスクリプトをホームディレクトリのどこかに保存してください、例: ~/.scripts/compositing.sh
:
#!/bin/bash if $(gsettings get org.mate.Marco.general compositing-manager) == "true" then gsettings set org.mate.Marco.general compositing-manager false else gsettings set org.mate.Marco.general compositing-manager true fi
そしてこのファイルを実行するカスタムキーボードショートカットを作成してください。例: Ctrl+Alt+C
で sh ~/.scripts/compositing.sh
を実行。
コンポジットの垂直同期
Mate のウィンドウマネージャである marco は DRI3/Xpresent によってちらつきを抑えるソフトウェアコンポジットをサポートしています [1]。
グラフィックドライバーが DRI3 をサポートしていない場合 (例: NVIDIA のプロプライエタリドライバー)、marco は OpenGL による垂直同期をサポートしていません。そのためコンポジットを有効にするとティアリングが発生することがあります [2]。その場合は Picom など OpenGL をサポートしている別のコンポジットマネージャを使用してみてください。
カーソルテーマの修正
カーソルテーマを修正するには、~/.icons/default/index.theme
を編集して以下を含めて下さい:
[Icon Theme] Inherits=mate
LightDM でグラデーション背景を使う
LightDM から MATE にシームレスな移行ができるように、デフォルトの MATE (1.8) の Stripes 壁紙を LightDM の背景としても使いたい場合、MATE がグレイスケール PNG から動的に作成することがわかり、それを LightDM がサポートしていないということが判明するでしょう。どうしても使いたい場合、/org/mate/desktop/background/show-desktop-icons
を一時的に false
を設定して、System Tools
メニューの dconf-editor
ツールを使うか、Alt-F2 を押して出る Run Application
から以下を実行してください:
$ gsettings set org.mate.background show-desktop-icons false
そしてダイアログから killall mate-panel
を実行してパネルが再度表示される前に Print Screen
を押します。LightDM にピッタリ合う画面サイズの PNG を保存する Save As
ダイアログが表示されます。その後、もう一度デスクトップアイコンを表示させるために次を実行してください:
$ gsettings set org.mate.background show-desktop-icons true
パネルの影の有効化
競合状態があるために、コンポジットを有効にしても、MATE デスクトップにログインした後にパネルの影は表示されません [3]。
/usr/share/applications/marco.desktop
をコピーして遅延時間を追加してください:
~/.local/share/applications/marco.desktop
X-MATE-Autostart-Phase=Applications X-MATE-Autostart-Delay=2 X-MATE-Provides=windowmanager X-MATE-Autostart-Notify=true
効果がない場合は、遅延時間を増やしてください。
タスクバーのスクロールを無効化
MATE のパネルのウィンドウリストでは、マウスやタッチパッドを使ってウィンドウをスクロールすることができます。この機能は時には迷惑であったり、あるいは誤ってウィンドウをスクロールしてしまう可能性もあります。
MATE の設定からこの機能を無効化することはできませんが、Arch Build System を使って libwnck3 にパッチをあてることで無効化することが可能です。その場合、こちらの パッチ を使って libwnck3 をリビルドしてください。パッチを適用してパッケージをリビルドする方法の詳細は ABS でパッチを適用#パッチの適用を参照。
at-spi-registryd によってログアウトやシャットダウンが遅くなる
ログアウトやシャットダウン時に、A program is still running: at-spi-registryd.desktop
というポップアップが表示されることがあります。at-spi-registryd を起動しないようにすることでポップアップを回避できます。GTK+#accessibility bus に関する警告を表示させないを見てください。ただしアクセシビリティの機能に影響があるかもしれません。
参照
- MATE ホームページ
- MATE wiki の Arch Linux
- MATE デスクトップスクリーンショット
- The MATE Desktop Environment - MATE に関する Arch Linux フォーラムの議論