XFS

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XFS は Silicon Graphics, Inc によって開発された高性能ジャーナリングファイルシステムです。XFS はアロケーショングループを使って設計されているため並列化された IO で特に性能を発揮します。このため複数のストレージデバイスを使用するときは IO スレッド, ファイルシステムの帯域, ファイルとファイルシステムのサイズ全てをスケーリングすることが可能です。

準備

XFS ユーザースペースユーティリティ xfsprogs パッケージを インストール して下さい。 XFS ファイルシステムを管理するために必要なツールが含まれています。

設定

デバイス に新しいファイルシステムを作成するには、次を使用します。

# mkfs.xfs device

一般に、デフォルトのオプションは一般的な使用に最適です。[1] [2]

サンプル出力:

meta-data=/dev/device            isize=256    agcount=4, agsize=3277258 blks
         =                       sectsz=512   attr=2
data     =                       bsize=4096   blocks=13109032, imaxpct=25
         =                       sunit=0      swidth=0 blks
naming   =version 2              bsize=4096   ascii-ci=0
log      =internal log           bsize=4096   blocks=6400, version=2
         =                       sectsz=512   sunit=0 blks, lazy-count=1
realtime =none                   extsz=4096   blocks=0, rtextents=0
ヒント:
  • -L label オプションでファイルシステムにラベルを付けることができます。
  • 既存のファイルシステムを含むブロックデバイス上で mkfs.xfs を使用する場合、 ファイルシステムを上書きするために -f オプションを追加します。[3] 'この操作により、以前のファイルシステムに含まれていたデータは全て破壊されます'
ノート: XFS ファイルシステムの作成後、そのサイズを縮小することはできません。ただし、xfs_growfs コマンドを使用して拡大することはできます [4] 参照 #リサイズ

チェックサム

xfsprogs 3.2.0 では、新しいディスクフォーマット (v5) が導入され、Self-Describing Metadata というメタデータのチェックサムスキームが含まれています。 CRC32 に基づいており、例えば予期せぬ停電の際にメタデータが破損しないようにするための追加保護を提供します。チェックサムは xfsprogs を使用している場合、デフォルトで有効になっています。3.2.3以降 古いカーネルで読み書き可能な xfs が必要な場合は、 mkfs.xfs(8) を呼ぶときに -m crc=0 スイッチを使えば、簡単に無効にできます。

# mkfs.xfs -m crc=0 /dev/target_partition
ノート: メタデータ CRC を無効にすると、以下の #Free inode btree, #Reverse mapping btree, #タイムスタンプ 機能、および "参照カウントbtree"(詳細は mkfs.xfs(8) § OPTIONS 参照)も無効になります。

XFS v5 オンディスクフォーマットは Linux Kernel 3.15 以降の実稼働ワークロードでは安定と見なされています。

ノート: BtrfsZFS とは異なり、CRC32 チェックサムはメタデータにのみ適用され、実際のデータには適用されません。

Free inode btree

Linux 3.16 から、XFS には空き inode を追跡する btree が追加されました。これは既存の inode 割り当て btree と同等ですが、free inode btree は少なくとも1つの空き inode を持つ inode チャンクを追跡することは例外です。目的は、inode 割り当てのための空き inode クラスタのルックアップを改善することです。古くなったファイルシステム、つまり、何百万ものファイルをファイルシステムに追加したり、ファイルシステムから削除したりして、何年も経過したファイルシステムでのパフォーマンスを向上させることができます。この機能を使用しても、ファイルシステム全体の信頼性レベルやリカバリ機能には影響がありません。

この機能は、Linux Kernel 3.15 以降の実運用ワークロードで安定したと考えられる新しい v5 オンディスク・フォーマットに依存しています。既存のディスク上の構造は変更されませんが、inode 割り当て btree との一貫性を維持する必要がある新しい構造が追加されます。このため、古いカーネルでは free inode btree 機能を持つ読み取り専用ファイルシステムのみをマウントすることができます。

この機能は xfsprogs 3.2.3 以降を使用している場合、デフォルトで有効になっています。古いカーネルで書き込み可能なファイルシステムが必要な場合、XFS パーティションをフォーマットする際に finobt=0 スイッチで無効にすることができます。このとき、crc=0が一緒に必要になります。

# mkfs.xfs -m crc=0,finobt=0 /dev/target_partition

または(finobtcrc に依存するため)

# mkfs.xfs -m crc=0 /dev/target_partition

Reverse mapping btree

リバースマッピング btree は、そのコアで、ストレージスペース使用量のセカンダリインデックスであり、プライマリスペース使用量メタデータの冗長コピーを効果的に提供します。これにより、ファイルシステム操作にいくらかのオーバーヘッドが追加されますが、ファイルシステムに含まれるため、相互参照が非常に高速になります。破損したプライマリメタデータをセカンダリコピーから再構築できるため、オンラインでファイルシステムを修復するために不可欠な機能です [5]

この機能は、Linux 4.16 の実験的ステータスを卒業し、本番環境に対応しています。ただし、オンラインファイルシステムのチェックと修復は(これまでのところ)この機能の唯一のユースケースであるため、少なくともオンラインチェックが本番環境に移行するまではオプトインのままです。

mkfs.xfs(8) § OPTIONS より:

Reverse mapping btree は、ファイルシステムブロックをファイルシステムブロックの所有者にマップします。ほとんどのマッピングは i ノード番号とオフセットになりますが、ファイルシステムメタデータへのマッピングもあります。このセカンダリメタデータを使用して、プライマリメタデータを検証したり、ディスクエラーが発生したときに失われたデータを正確に特定したりできます。

詳しくは [6][7] も参照してください。

この機能または将来を見据えた新しいファイルシステムを試すには、ファイルシステムの作成中に -m rmapbt=1 パラメータを渡します。

# mkfs.xfs -m rmapbt=1 device

タイムスタンプ

Linux 5.10 以降、XFS は、リファクタリングされたタイムスタンプおよび i ノードエンコーディング関数を使用して、タイムスタンプを 64ビットナノ秒カウンターとして処理し、ビットシフトして有効サイズを増やすことをサポートしています。これにより、XFS は 2038年問題 を回避して 2486 年まで実行できるようになります。bigtime を有効にして新しい XFS ファイルシステムを作成すると、1901年12月から2038年1月までではなく、2486年7月まで。下位互換性を維持するために、ビッグタイムスタンプ機能は現在デフォルトで有効になっていません。-5.10

この機能では、1970年1月から2106年2月ではなく、1970年1月から2486年7月までのクォータタイマーの有効期限も許可されます。

この機能または将来を見据えた新しいファイルシステムを試すには、ファイルシステムの作成中に-m bigtime=1 パラメータを渡します。

# mkfs.xfs -m bigtime=1 device

xfsprogs 5.11 以降、これは xfs_admin(8) を使用して既存の(マウントされていない)ファイルシステムでも有効にできます。

# xfs_admin -O bigtime=1 device

または xfs_repair(8) を使用:

# xfs_repair -c bigtime=1 device

パフォーマンス

速度を最適化するには、XFS ファイルシステムを次のコマンドで作成します:

# mkfs.xfs /dev/target_partition

はい、とてもシンプルです。なぜなら "ブースト機能" は全てデフォルトで "オン" になっている からです。

警告: パフォーマンスを上げるためにバリアや atime などの無効化を施すとデータの破損が頻繁に起こるようになる可能性があります。

XFS wiki によれば、XFS を最大限活用したい場合は、デフォルトの CFQ I/O スケジューラーを (Deadline, Noop, BFQ などに) 変更したほうが良いようです (特に SSD を使っている場合)。

ストライプサイズと幅

ファイルシステムをストライプする RAID 上に作成する場合は mkfs.xfs コマンドでストライプサイズを指定することで著しい速度の向上が望めます。

How to calculate the correct sunit,swidth values for optimal performance を見て下さい。

バリアの無効化

/etc/fstab ファイルに nobarrier マウントオプションを追加してファイルシステムのバリアの使用を無効化することでパフォーマンスを上げることができます。

アクセス日時

/etc/fstab ファイルに noatime マウントオプションを追加することでファイルシステムのパフォーマンスが向上することがあります。XFS ファイルシステムではデフォルトの atime の扱い方は relatime になっており、noatime と比べてオーバーヘッドをかなり減らしつつも atime の値を正常に保ちます。現在 Linux の全てのファイルシステムが (2.6.30 あたりから) デフォルトで relatime を使うようになっていますが、XFS が relatime を使うようになったのは2006年からです。そのため、パフォーマンスを理由に XFS で noatime を使う必要はほとんどありません。

また、noatime には nodiratime が含まれているため、noatime を指定したら nodiratime を指定する必要はなくなります。

デフラグ

XFS はエクステントベースであり遅延アロケーションを利用しているため断片化の問題はなかなか発生しないようになっていますが、マウントされたアクティブな XFS ファイルシステム上のファイルをデフラグできる、ファイルシステムデフラグユーティリティ (xfs_fsr, XFS filesystem reorganizer の略) が用意されています。定期的に XFS の断片化を監視するのにも使えます。

xfs_fsr(8) はマウントされたファイルシステムの編成を改善します。再編成アルゴリズムによって一度に一つのファイルが操作され、コンパクトになる、つまりファイルのエクステント (ファイルデータの連続ブロック) のレイアウトが改善されます。

フラグメンテーションレベルの確認

ファイルシステムにどれくらい断片化が発生しているのか確認するには:

# xfs_db -c frag -r /dev/sda3

デフラグの実行

デフラグを開始するには、xfsprogs パッケージに含まれている xfs_fsr コマンドを使います:

# xfs_fsr /dev/sda3

重複を排除

reflink 機能はカーネルバージョン 4.9 から利用可能で、バージョン 5.1.0 からはデフォルトで有効になっており、btrfs と同じようにファイルの高速 reflink コピーと事後重複排除が可能です。

既存のファイルシステムは、duperemove などのツールを使用して重複排除できます。

Reflink コピー

Reflink コピーは、最初は追加のスペースを使用しません。

$ cp --reflink bigfile1 bigfile2

いずれかのファイルが編集され、コピーオンライトが実行されるまで。これは、(大きな)ファイルのスナップショットを作成するのに非常に役立ちます。

外部XFSジャーナル

たとえば、SSD で外部ログ(メタデータジャーナル)を使用すると、パフォーマンスを向上させるのに役立つ場合があります main.html#extjnl-xfs logdev パラメータの詳細については、mkfs.xfs(8) を参照してください。

警告: フラッシュメモリを使用すると、ドライブが消耗する可能性があることに注意してください SSDの摩耗の詳細について。パフォーマンスの最大化#ディスクの読み書きを減らす を参照して下さい。

XFS ファイルシステムを作成する際に、指定したサイズの外部ジャーナルを予約するには、 -l logdev=device,size=size オプションを mkfs.xfs コマンドに指定します。size パラメータを省略した場合、ファイルシステムのサイズに基づいたジャーナルサイズが使用されます。外部ジャーナルを使用するように XFS ファイルシステムをマウントするには、 マウント コマンドに -o logdev=device オプションを指定します。

同期間隔

XFS には専用の sysctl 変数があり、書き込み間隔とバッファサイズ をデフォルト値 3000 で設定することができます。

警告: より大きな値を設定するとパフォーマンスが向上しますが、停電によるデータ消失の深刻度も上がります。
/etc/sysctl.d/20-xfs-sync-interval.conf
fs.xfs.xfssyncd_centisecs = 10000

管理

リサイズ

ノート: 現在、XFS の縮小は 出来ません

XFS はパーティションが変更された後、オンラインでサイズを変更することができます。マウントポイントを最初のパラメータとして xfs_growfs を実行すれば、XFS ファイルシステムを最大サイズに拡大できます。

# xfs_growfs /path/to/mnt/point

オンラインメタデータチェック (スクラブ)

警告: このプログラムは 実験的 であり、その動作やインターフェースはいつでも変更できることを意味します。xfs_scrub(8) を参照してください。

xfs_scrub はカーネルに XFS ファイルシステム内の全てのメタデータオブジェクトをスクラブするように要求します。メタデータレコードは明らかに悪い値をスキャンされ、他のメタデータと相互参照されます。その目的は、ファイルシステム内の他のメタデータに対する個々のメタデータレコードの一貫性を調べることで、ファイルシステム全体の一貫性に対する妥当な信頼性を確立することです。破損したメタデータは、無傷の冗長なデータ構造が存在すれば、他のメタデータから再構築することができる。

xfs_scrub_all.timer有効化/起動 します、すべての XFS ファイルシステムのオンライン メタデータを定期的にチェックします。

ノート: 編集xfs_scrub_all.timer:タイマーは毎週日曜日の午前3時10分に実行され、失敗した場合は すぐにトリガー されます。最後の開始時間、つまりシステムの電源がオフになっているため。

Repair

ノート: Unlike other Linux file systems, xfs_repair does not run at boot time, even when an XFS file system was not cleanly unmounted. In the event of an unclean unmount, xfs_repair simply replays the log at mount time, ensuring a consistent file system.[8]

From Checking and Repairing an XFS File System:

If you cannot mount an XFS file system, you can use the xfs_repair -n command to check its consistency. Usually, you would only run this command on the device file of an unmounted file system that you believe has a problem. The xfs_repair -n command displays output to indicate changes that would be made to the file system in the case where it would need to complete a repair operation, but will not modify the file system directly.

If you can mount the file system and you do not have a suitable backup, you can use xfsdump to attempt to back up the existing file system data, However, the command might fail if the file system's metadata has become too corrupted.

You can use the xfs_repair command to attempt to repair an XFS file system specified by its device file. The command replays the journal log to fix any inconsistencies that might have resulted from the file system not being cleanly unmounted. Unless the file system has an inconsistency, it is usually not necessary to use the command, as the journal is replayed every time that you mount an XFS file system.

First unmount the filesystem, then run the xfs_repair(8) tool:

# xfs_repair device

If the journal log has become corrupted, you can reset the log by specifying the -L option to xfs_repair.

警告: The xfs_repair utility cannot repair an XFS file system with a dirty log. To clear the log, mount and unmount the XFS file system. If the log is corrupt and cannot be replayed, use the -L option ("force log zeroing") to clear the log, that is, xfs_repair -L /dev/device. Be aware that this may result in further corruption or data loss.[9]
警告: Resetting the log can leave the file system in an inconsistent state, resulting in data loss and data corruption. Unless you are experienced in debugging and repairing XFS file systems using xfs_db, it is recommended that you instead recreate the file system and restore its contents from a backup.[10]

If you cannot mount the file system or you do not have a suitable backup, running xfs_repair is the only viable option unless you are experienced in using xfs_db.

xfs_db provides an internal command set that allows you to debug and repair an XFS file system manually. The commands allow you to perform scans on the file system, and to navigate and display its data structures. If you specify the -x option to enable expert mode, you can modify the data structures.

# xfs_db [-x] device

For more information, see the xfs_db(8) and xfs_repair(8), and the help command within xfs_db.

See also Which factors influence the memory usage of xfs_repair? and XFS Repair.

Data rescue

Even when being mounted read-only with mount -o ro an XFS file system's log will be replayed if it has not been unmounted cleanly.

There may be situations where a compromised XFS file system on a damaged storage device should be mounted read-only, so that files may be copied off it hopefully without causing further damage, yet it cannot be mounted because it has not been unmounted cleanly and is damaged to such an extent that the log cannot be replayed. Also, consider that replaying the log means writing to the compromised file system, which might be a bad idea in itself.

To mount an XFS file system without writing to it in any way and without replaying the log, use mount -o ro,norecovery.

Undelete

xfs_undeleteAUR can recover (under certain conditions) deleted files on an unmounted or read-only mounted XFS filesystem. See https://github.com/ianka/xfs_undelete for more information.

トラブルシューティング

ルートファイルシステムクォータ

XFS quota マウントオプション (uquota, gquota, prjquota, etc) はファイルシステムの再マウントの際に失敗します。ルートファイルシステムでクォータを有効にするには、マウントオプションは initramfs に カーネルパラメータ として渡されなければなりません。rootflags= です。その後、ルート (/etc/fstab) ファイルシステムのマウントオプションの中にリストされてはいけません。

ノート: 標準的な Linux ディスククォータ と比べて XFS Quota にはいくつかの違いがあります。この記事 https://inai.de/linux/adm_quota は読む価値があるかもしれません。

xfs_scrub_all は、ユーザ "nobody" がマウントポイントにアクセスできない場合、失敗します

xfs_scrub_all を実行すると、マウントされた各 XFS ファイルシステムに対して xfs_scrub@.service が起動します。このサービスはユーザ nobody として実行されるので、nobody がディレクトリに移動できない場合、エラーで失敗します。

xfs_scrub@mountpoint.service: Changing to the requested working directory failed: Permission denied
xfs_scrub@mountpoint.service: Failed at step CHDIR spawning /usr/bin/xfs_scrub: Permission denied
xfs_scrub@mountpoint.service: Main process exited, code=exited, status=200/CHDIR

サービスの実行を許可するには、ユーザー nobody に実行権限があるようにマウントポイントの パーミッション を変更します。

参照