Clevis
clevis は TPM を使用してキーの作成と暗号化をすることにより、LUKS ボリュームのシステムへのバインディングを可能にします。そして、Clevis の pin を作成したときのシステムの状態を表現する PCR の値を使用してキーを閉じ込めます。
暗号化された LUKS パーティションの解錠に、ユーザーによるパスワードの入力を使うというのは伝統的で広く使われる方法ですが、デメリットも存在します:
- 手動で入力する必要があるため、自動的に起動したい場合には使えません (例: 巨大なサーバーファーム)。
- 普通の人間が覚えられるパスワードの長さには限界があり (エントロピーにして ~20-30 ビット)、近代的なブロック暗号に使う鍵としては弱すぎます (128/256 ビット)。
解決策としては強固な鍵を別のどこかに保持しておくという方法があります。例えば TPM チップや Yubikey、あるいは他のネットワークサービスなどが考えられます。Clevis はこのアイデアを実現するフレームワークです。抜き差し可能な pin を使ってデータを暗号化します (clevis の用語では bind)。現在 clevis には3つの pin が存在します:
- TPM2 データバインディング (コンピュータに Trusted Platform Module チップがある場合にのみ動作します)
- ネットワークサービス (別名 Tang) データバインディング
- シャミア秘密分散で他の pin を組み合わせる
- 外部プラグイン を使った YubiKey バインディング
目次
インストール
clevis を使うには clevis パッケージを インストール します。
データをバインドする
TPM2 のデータバインディングの例です。
$ clevis encrypt tpm2 '{}' <<< 'hello, world'
eyJhbGciOiJkaXIiLCJjbGV2aXMiOnsicGluIjoidHBtMiIsInRwbTIiOnsiaGFzaCI6InNoYTI1NiIsImp3a19wcml2IjoiQU80QUlJQkxxT3FVenVDU1FmWkprNmdDN2wzMW43V3M2Y2FZd0VZS1BSR3Q0OHJEQUJBV2Z4M3pTUUNUTmtHZE9BM2FZd2RTZk9GcXZWdnVlQ3lPamFsWldCT2R4RlJKSzl5ZVRCM0pkNFktcF9HalhhNmlnLWxxNmtmMHZTWWkzOWMxVEpES1RYRVZTdnlXSlpEbGdxQ0JPMVNxeGJBd2tfSnIyRlRNY3hvNGtpSmNtMEVjbWd5dFdyME00QmcySlg4aVo3MEt1MTVjNzFORU5Ra3RjdGMtREhBVGFQcHJ2VzI2Z3d1YmUxckRfX19aV2tHaG9mX053M0M1OHlOcXF2RUpPZUwzNTZHNXJHNVVtYmUtWWV4Ujl2SEppZWlua3ZaNTJoMFVRYWVNSm9LYjJuNjlVTGZHb2J1NElTN20iLCJqd2tfcHViIjoiQUM0QUNBQUxBQUFFMGdBQUFCQUFJQ2poWDBVeTJKZVpSNU9pRU0ySktSeEtnUElYQ3dGNnRNR09NTDZ0ZnE5aiIsImtleSI6ImVjYyJ9fSwiZW5jIjoiQTI1NkdDTSJ9..1P2Emag_4k-GlhyY.MuQQYPa8QHrysZ74uA.0ddDxfZA3R-cCmaKu5yUZA
この長い base64 でエンコードされたメッセージは、内部の TPM キーで暗号化されたテキストです。これは現在のコンピュータのみで復号できます。他のコンピュータから (あるいは他の TPM チップを用いて) 復号しようとするとエラーが返されます。
$ clevis decrypt tpm2 '{}' <<< 'eyJhbGciOiJkaXIiLCJjbGV2aXMiOnsicGluIjoidHBtMiIsInRwbTIiOnsiaGFzaCI6InNoYTI1NiIsImp3a19wcml2IjoiQU80QUlJQkxxT3FVenVDU1FmWkprNmdDN2wzMW43V3M2Y2FZd0VZS1BSR3Q0OHJEQUJBV2Z4M3pTUUNUTmtHZE9BM2FZd2RTZk9GcXZWdnVlQ3lPamFsWldCT2R4RlJKSzl5ZVRCM0pkNFktcF9HalhhNmlnLWxxNmtmMHZTWWkzOWMxVEpES1RYRVZTdnlXSlpEbGdxQ0JPMVNxeGJBd2tfSnIyRlRNY3hvNGtpSmNtMEVjbWd5dFdyME00QmcySlg4aVo3MEt1MTVjNzFORU5Ra3RjdGMtREhBVGFQcHJ2VzI2Z3d1YmUxckRfX19aV2tHaG9mX053M0M1OHlOcXF2RUpPZUwzNTZHNXJHNVVtYmUtWWV4Ujl2SEppZWlua3ZaNTJoMFVRYWVNSm9LYjJuNjlVTGZHb2J1NElTN20iLCJqd2tfcHViIjoiQUM0QUNBQUxBQUFFMGdBQUFCQUFJQ2poWDBVeTJKZVpSNU9pRU0ySktSeEtnUElYQ3dGNnRNR09NTDZ0ZnE5aiIsImtleSI6ImVjYyJ9fSwiZW5jIjoiQTI1NkdDTSJ9..1P2Emag_4k-GlhyY.MuQQYPa8QHrysZ74uA.0ddDxfZA3R-cCmaKu5yUZA'
hello, world
LUKS ボリュームをマウントする
TPM に LUKS ボリュームをバインドするには、以下のコマンドを使用します。
# clevis luks bind -d /dev/sdX tpm2 '{}'
'{}'
には設定が入ります。パラメータがなかったとしても、攻撃者がバックアップパスワードを入手しない限り、他のコンピュータからドライブを復号することはできません。
PCR の値に変更が生じるシステム設定の変更を行った後 (例えば PCR 0 が使用されているときに UEFI の更新を行った場合) に新しい Clevis の pin を生成する場合には、以下のコマンドを実行してください。
# cryptsetup luksDump /dev/sdX
Tokens: token slot: clevis Keyslot: keyslot
Clevis の pin に使用されているスロットを探すには、
# clevis luks regen -d /dev/sdX -s keyslot
Clevis バインディングを削除するには、次のコマンドを実行します。
# clevis luks unbind -d /dev/sdX -s keyslot
TPM にバインドされたボリュームは以下を使用してアンロックできます。
# clevis luks unlock -d /dev/sdX
/etc/crypttab にあるボリュームの自動復号をするには、clevis-luks-askpass.path
を 有効化 してください。
ルートボリュームの自動復号をするには、Initramfs ジェネレータに変更を加える必要があります。
Mkinitcpio hook
Install the mkinitcpio-clevis-hookAUR package. Then enable the clevis hook editing mkinitcpio.conf:
/etc/mkinitcpio.conf
# Edit the hooks and add clevis before the 'encrypt' hook. Eg: HOOKS=(.. clevis encrypt ..)
At the end regenerate the initramfs.
Booster
Luckily Booster automatically decrypts LUKS volumes bound using Clevis out of the box!
Booster is also able to read the LUKS tokens, decode clevis information, reconstruct the password and unlock the partition automatically.
Tang (network binding) pin requires network enabled. Please refer to Booster#Configuration section for more information on network configuration with booster.
Dracut
Dracut needs the following extra packages:
Followed by an initramfs regeneration:
# dracut -f
Tips and tricks
YubiKey binding
Clevis allows binding a LUKS partition using YubiKey's challenge-response mode. To bind a LUKS partition, run
# clevis luks bind -d /dev/sdX yubikey '{"slot":1}'
Install yubikey-personalization. Edit the configuration file and add following option:
/etc/booster.yaml
extra_files: ykchalresp
Regenerate the booster images. Booster will detect this configuration during boot and use the present YubiKey to unlock the drive.