ロジクール トラックマン マーブル
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Logitech Marble Mouse は4つのボタンとトラックボールを搭載したポインティングデバイスです。Trackman Marble とも呼ばれます。Marble Mouse は左右対称なので、どちらの手にも馴染みます。画像。始めはスクロールが効きませんが、設定することで有効にできます。
目次
インストール
ドライバーのインストールは不要です。システムの起動時や接続したときに"ホットプラグ"で Logitech Marble Mouse と検出します。
Marble Mouse は通常のマウスと同じように扱われます。設定する必要はありません。ただし、スクロールの有効化やボタンアクションのカスタマイズなどはしたほうが良いでしょう。
基本機能
デバイスの設定と関係なく、Marble Mouse ボタンの Hardware ID は一定です。
特に設定をしていない場合、ボタンは以下の機能にマッピングされます:
ID | ハードウェアアクション | 結果 |
---|---|---|
1 | 左の大きいボタン | 通常クリック |
2 | 両方の大きいボタン | 中クリック † |
3 | 右の大きいボタン | 右クリック |
4 | (not a button) | - |
5 | (not a button) | - |
6 | (not a button) | - |
7 | (not a button) | - |
8 | 左の小さいボタン | ブラウザの戻る |
9 | 右の小さいボタン | ブラウザの進む |
ID | ハードウェアアクション | 結果 |
---|---|---|
4 | ボールを下に回す | カーソルが下に移動 |
5 | ボールを上に回す | カーソルが上に移動 |
6 | ボールを左に回す | カーソルが左に移動 |
7 | ボールを右に回す | カーソルが右に移動 |
"ホイールモード"でトラックボールを使う場合、変わったジェスチャーが必要になることがあります。例えば、ホイールマウスでは、Ctrl + wheel_roll という操作でウェブブラウザのフォントの大きさを変更できます。トラックボールでは、必要な操作は Ctrl + hold_button + ball_roll になります。
設定
おそらくサンプル設定が役に立ちます。使ってみて下さい。
設定セクションの情報はあまり興味を引かないかもしれません。ほとんどの Arch ユーザーは udev のホットプラグに必要な新しいバージョンの X サーバーを使っているはずです。
ボタンとトラックボール
サンプル設定ファイルを記述したら自由に修正してください。編集する行は3つか4つだけです。反復性過労障害になりかけの場合など、設定ファイルを編集して X サーバーを起動することで割り当てを左右反対にすることができます。
ボタンの割り当て
ボタンが押されたときの新しいアクションを割り当てることができます。パラメータの順番を設定することで割り当てます。
ボタン 1, 2, 3, 8, 9 の値を変更できます (ボタン 2 は両方の大きいボタンを押した時のイベントです)。パラメータ 4, 5, 6, 7 は変更しないでください。デフォルトの設定:
Option "ButtonMapping" "1 2 3 4 5 6 7 8 9"
左利き用にボタンアクションを調整する (左と右の大きいボタンを入れ替えます):
Option "ButtonMapping" "3 2 1 4 5 6 7 8 9"
下の設定はボタン 2 のアクションをブラウザの進むにします。2番目のパラメータ (両方の大きいボタンのクリック) の値である 9 がブラウザの進むです。また、小さいボタンの割り当ても両方変えています。8番目と9番目のパラメータの値である 2 は中クリックです。
Option "ButtonMapping" "1 9 3 4 5 6 7 2 2"
パラメータは番号順に並んでいます。変更できるパラメータは 1, 2, 3, 8, 9 です。パラメータ 4, 5, 6, 7 はトラックボールの移動に対応するパラメータなので変更しないほうが良いでしょう。
両方の大きいボタンのクリック
上述のとおり、ボタン 2 は両方の大きいボタンを同時に押したときのイベントです。設定ディレクティブが存在しない場合、何が起こるかわかりません。何らかのコマンドは発行されますが、結果は定かではありません。同時クリックを有効にしてください:
Option "Emulate3Buttons" "true"
2012年5月現在、GNOME 3 と中クリックのエミュレーションには問題が存在します [1]。GNOME が Xorg の設定を上書きするために、エミュレーションが無効化されます。次のコマンドで GNOME の設定を変えられます:
$ gsettings set org.gnome.settings-daemon.peripherals.mouse middle-button-enabled true
スクロール修飾
Marble Mouse にはスクロールホイールやスクロールリングが存在しません。スクロール修飾を割り当てることでそれを補うことができます: マウスボタンを使ってトラックボールでスクロールを可能にします。スクロール修飾ボタンが押されているときは、トラックボールはスクロールするようにします。スクロール修飾はデフォルトで割り当てられていますが (基本機能を参照)、デフォルトではスクロール修飾は有効になっていません。スクロール修飾を有効にするだけでなく、別のボタンに割り当てることも可能です。
以下を設定することで、ボタンをスクロール修飾に指定できます:
Option "EmulateWheel" "true" Option "EmulateWheelButton" "8"
以下の行をコメントアウトすることで縦スクロールを無効化できます:
# Option "XAxisMapping" "6 7"
Xorg のホットプラグを使う
以下のエントリを /etc/X11/xorg.conf
に追加:
Section "InputClass" Identifier "Logitech Trackball" MatchProduct "Trackball" Option "ButtonMapping" "1 8 3 4 5 6 7 2 9" Option "EmulateWheel" "True" Option "EmulateWheelButton" "9" Option "XAxisMapping" "6 7" EndSection
使用されているパラメータについては evdev の man ページを見て下さい。
Xorg のホットプラグを使わない
/etc/X11/xorg.conf
のマウスデバイスエントリは以下のようになります:
Section "InputDevice" Identifier "Mouse0" Driver "mouse" Option "CorePointer" Option "Device" "/dev/input/mice" Option "Protocol" "ExplorerPS/2" Option "Buttons" "9" Option "ZAxisMapping" "4 5" Option "XAxisMapping" "6 7" Option "EmulateWheelButton" "9" Option "EmulateWheel" "true" EndSection
"Protocol"
は "Auto"
オプションでも動作します。Identifier
には好きな名前を付けられますが、Section "ServerLayout"
の InputDevice
と同一である必要があります。
サンプル設定
サンプル設定は Marble Mouse の基本機能を修正・拡張します。
サンプルでは、小さいボタンのどちらかをクリックすることでホイールクリックができます。ホイールクリックは中クリックと同じです。さらに、小さいボタンのどちらかとトラックボールを組み合わせてスクロールができます。スクロールができるのは小さいボタンのどちらかだけですが、ホイールクリックはどっちでもかまいません。両方の大きいボタンを押すとブラウザの戻るイベントになります。進むイベントのボタンはありません。
ID | ハードウェアアクション | 結果 (サンプル設定) | 新しい割り当て |
---|---|---|---|
1 | 左の大きいボタン | 通常クリック | 1 |
2 | 両方の大きいボタン | ブラウザの戻る | 8 |
3 | 右の大きいボタン | 右クリック | 3 |
8 | 左の小さいボタン † | ホイールクリック | 2 |
9 | 右の小さいボタン ‡ | ホイールクリック | 2 |
設定ファイル
以下の行を /etc/X11/xorg.conf.d/10-evdev.conf
に追加してください (横スクロールを無効にした右利き向けの設定):
# - - - Logitech Marble Mouse Settings - - - # # The Logitech Marble Mouse buttons are mapped [A-D] from left to right: # A (large); B (small) | C (small); D (large). # # Preferred options for right-handed usage: # A = normal click [1] # B = middle-click [2] # C = middle-click [2] # D = right-click [3] # Hold button B while rolling trackball to emulate wheel-scrolling. # # Preferred options for left-handed usage: # A = right-click [3] # B = middle-click [2] # C = middle-click [2] # D = normal click [1] # Hold button C while rolling trackball to emulate wheel-scrolling. # Pressing both large buttons simultaneously (b) produces a "back" action. Section "InputClass" Identifier "Marble Mouse" MatchProduct "Logitech USB Trackball" MatchIsPointer "on" MatchDevicePath "/dev/input/event*" Driver "evdev" # Physical button #s: A b D - - - - B C # Option "ButtonMapping" "1 8 3 4 5 6 7 2 2" right-hand placement # Option "ButtonMapping" "3 8 1 4 5 6 7 2 2" left-hand placement # b = A & D Option "ButtonMapping" "1 8 3 4 5 6 7 2 2" # EmulateWheel: Use Marble Mouse trackball as mouse wheel # Factory Default: 8; Use 9 for right side small button Option "EmulateWheel" "true" Option "EmulateWheelButton" "8" # EmulateWheelInertia: How far (in pixels) the pointer must move to # generate button press/release events in wheel emulation mode. # Factory Default: 50 Option "EmulateWheelInertia" "10" # Axis Mapping: Enable vertical [ZAxis] and horizontal [XAxis] scrolling Option "ZAxisMapping" "4 5" # Option "XAxisMapping" "6 7" # Emulate3Buttons: Required to interpret simultaneous press of two large # buttons, A & D, as a seperate command, b. # Factory Default: true Option "Emulate3Buttons" "true" EndSection
X の再起動
Xorg の設定ファイルに変更を加えても X セッションを再起動しないと反映されません。X セッションを再起動するには、ウィンドウマネージャからログアウトしてからログインし直して下さい。
最小設定
evdev を使う
以下が (Arch Way に則った) 最小設定です。全ての設定を外しても Marble Mouse で基本的なポインティングとクリックはできますが、スクロールはできません。また、両方の大きいボタンを同時クリックしたときに何が起こるかは定かでありません。/etc/X11/xorg.conf.d/10-evdev.conf
に追加してください:
Section "InputClass" Identifier "Marble Mouse" MatchProduct "Logitech USB Trackball" Option "EmulateWheel" "true" Option "EmulateWheelButton" "8" Option "XAxisMapping" "6 7" Option "Emulate3Buttons" "true" EndSection
libinput を使う
バージョン 3.16 から GDM/Gnome は libinput を使います。上記のセクションで書かれているようにデバイスを動作させるには xf86-input-libinput をインストールして /etc/X11/xorg.conf.d/10-libinput.conf
に以下を追記してください (libinput ではホイールクリックのエミュレーションはまだサポートされていません):
/etc/X11/xorg.conf.d/10-libinput.conf
Section "InputClass" Identifier "Marble Mouse" MatchProduct "Logitech USB Trackball" Driver "libinput" Option "ScrollMethod" "button" Option "ScrollButton" "8" EndSection
その他の設定
コンソール (gpm)
詳しくはコンソールマウスサポートを見て下さい。コンソールで type オプションを imps2 に設定することで gpm
を使うことができます。以下のように /etc/conf.d/gpm
を編集してください:
GPM_ARGS="-m /dev/input/mice -t imps2"
左の大きいボタンでテキストを選択して右のボタンで選択範囲を大きくできます。左の小さいボタンは中クリック (セレクションの貼り付け) として機能します。
Chromium ブラウザ
デフォルトでは、Chromium は中クリックを貼り付けコマンドとして扱います。これは Linux の伝統であり、開発者の気まぐれではありません。Windows と同じように、中ボタンで (貼り付けではなく) 自動スクロールを発動させることができます:
- ブラウザ拡張 AutoScroll で中クリックを自動スクロールにできます。
- この拡張はホイールマウスを使っている Linux ユーザー用で、Marble Mouse のユーザーは対象ではありません。
- ウェブページの何もない部分をクリックしたときに自動スクロールが始まります。
- 小さなボタンのどちらかにスクロール修飾を割り当てた場合、手動でウェブページをスクロールできます。プレスアンドホールド機能です。動作が少し異なります。
AutoScroll をインストールしてください。同じような名前の Auto Scroll 拡張が実装しているのは別の機能です。
このセクションの情報は Google Chrome にも当てはまります。
Firefox ブラウザ
古いバージョンの Firefox ではハードウェアの横スクロールが戻ると進むにマッピングされていますが、そのようにマッピングされているとトラックボールで縦スクロールするのが不可能になります。少しでも横の動きをすると URL が移動してしまうからです。修正するには:
- ロケーションバーに
about:config
と入力 mousewheel.horizscroll.withnokey.action
という名前の変数を検索して 0 に設定mousewheel.horizscroll.withnokey.numlines
という変数を 1 に設定
参照
- Marble mouse scroll wheel: Replacement for SetPoint driver
- Joe Shaw のブログ記事: Linux input ecosystem
- Ubuntu コミュニティ: Logitech Marble Mouse
- Chrome ウェブストア: AutoScroll extension