ダイナミックディスク
ダイナミックディスクは Windows で LVM や mdadm の機能を実現する、Microsoft と (現在は Symantec 傘下の) Veritas Software が開発した技術です。ダイナミックディスクは Windows 2000 で初めて使えるようになりましたが、概念自体は Windows NT Server 4.0 で既に存在していました。ダイナミックディスクが使えるのは Windows 7 までは Windows のプロフェッショナルやエンタープライズ、あるいはサーバー版に限定されていました。ホームプレミアムのユーザーが作成できるのはシンプル (シングルパーティション), スパン (JBOD), ストライプ (RAID0) ボリュームだけです。LVM や mdadm と異なり、ダイナミックディスクは常にディスク全体を使用します。ダイナミックディスクが MBR パーティションを使用する場合、巨大なパーティションがデータを保持してメタデータはディスク終末部のパーティション外に保存されます。ダイナミックディスクが GPT パーティションを使用する場合、2つのパーティションが使われます。小さなパーティションがメタデータを保持して、大きなパーティションがデータを保持し残りのディスク領域全てを使用します。
Arch Linux におけるダイナミックディスクの使用
Arch Linux では LVM や mdadm を使用することを推奨します。しかしながら、Arch Linux を Windows とデュアルブートする場合、Windows は LVM や mdadm の構成を読み込むことができません。通常は dmraid による FakeRAID を使用するかネットワークストレージを使用することになります。ただし、ネットワークストレージは最大 1Gb/s (119MiB/s) までしか速度が出ませんし、Windows OS のパーティションがインストールされているドライブのコントローラを AHCI から RAID に切り替えたい場合、既存の Windows 環境に RAID ドライバーをロードさせるのは (不可能ではないとしても) 困難です。スペアの AHCI コントローラカードを持っていたとしても、オプション ROM を2つ使用するのに十分な領域が存在しないこともあります。
ダイナミックディスクを使えるようにする
ldmtoolAUR パッケージをインストールしてください。インストールしたら ldmtool
を使ってダイナミックディスクを確認・マウントすることができます。
全てのディスクグループを確認するには:
# ldmtool scan
ディスクグループに含まれているボリュームを確認するには:
# ldmtool show diskgroup {diskgroup UUID}
個別のデバイスマッパーを作成するには:
# ldmtool create volume {volume name}
ディスクグループの全てのボリュームに対してデバイスマッパーを作成するには:
# ldmtool create volume {diskgroup UUID}
認識された全てのディスクグループの全てのボリュームに対してデバイスマッパーを作成するには:
# ldmtool create all
システムの統合
ダイナミックディスクを Linux カーネルでネイティブにサポートされているファイルシステムのように扱えるようにするには、以下の systemd ユニットを使ってください:
/etc/systemd/system/ldmtool.service
[Unit] Description=Windows Dynamic Disk Mount Before=local-fs-pre.target DefaultDependencies=no [Service] Type=simple User=root ExecStart=/usr/bin/ldmtool create all [Install] WantedBy=local-fs-pre.target
それから ldmtool.service
を有効化してください。
/etc/fstab
にダイナミックディスクのボリュームのエントリを追加することで他のボリュームと同じようにマウントすることができます。