ダイナミック DNS
Dynamic DNS あるいは DDNS はインターネット上の絶えず変化する IP アドレスを指し示す DNS をリアルタイムに更新する手法です。ダイナミック DNS は固定 IP が存在しないリソースに恒久的なドメイン名を割り当てるのに使われます。DDNS を使用するには、DDNS プロバイダで登録を行なって、さらに、IP アドレスが変わったときにプロバイダに新しい IP を通知するように自動更新ツールを設定する必要があります。
目次
ルーター
DDNS を必要とするデバイスがルーターを通している場合、まずルーターだけで DDNS サービスを更新することができないか確認してください。使用できるサービスは限られますが、ルーターを使うことにはメリットが複数存在します: セットアップが簡単であり、メンテナンスの必要がほとんどありません。そしてダウンタイムがなくなります (ルーターが落ちた場合、インターネットに接続自体ができなくなります)。
更新用クライアントツール
いくつかの DDNS プロバイダはクライアントツールを必須とはしておらず、cURL で更新することも可能であることは気に留めておいて下さい。
複数サービスに対応したクライアント
- ddclient — 多くのDDNSサービスのアカウントのDDNSエントリを更新できます。
- ddnsc — Pythonで書かれたシンプルで軽量なクライアント。
- inadyn — SSL/TLSをサポートしたDDNSクライアント。
- inadyn-mt — inadyn が元となったシンプルなDDNSクライアント。
- ndyndns — DynDNS と Namecheapをサポートしています。
特定のサービスの為のクライアント
- duckdns — systemd を用いて DuckDNS.org のエントリを更新するクライアント。
- https://www.duckdns.org/ || duckdnsAUR, duckdns-ipv6AUR
- hetzner_ddns — Hetzner DNS のためのDDNS デーモン。
- noip — no-ip.com サービスのためのDDNS クライアント。
- petrified — freedns.afraid.org を更新するための bash クライアント。
ddclient
ddclient は多数の DDNS サービスに対応しているため、ルーターが使えない場合は DDNS を更新するための推奨ツールとなります。ddclient は systemd にも対応しています。
インストールした後、デフォルトの設定ファイル /etc/ddclient/ddclient.conf
を編集して使用する DDNS プロバイダをセットアップしてください (ファイルには多数の例が記載されています)。設定したら ddclient.service
を起動・有効化してください。
-noquiet
と -debu
オプションを付けて実行することで設定をテストできます:
# ddclient -daemon=0 -noquiet -debug
ddclient 対応のサービスの一部を以下に挙げます。examples や protocols にはさらに多くのプロバイダが載っています。
サービス名 | 費用 | 利用可能なレコード | ホストネーム数 | 設定のノート | 他のツール |
---|---|---|---|---|---|
Now-DNS | 無料 | A, AAAA | 無制限 | dyndns2 プロトコルを使用、サーバー: now-dns.com/update |
|
ChangeIP | 無料あるいは有料 | A, AAAA, CNAME, MX, サブドメイン | 7つまで無料 | ||
Duck DNS | 無料 | duckdnsAUR | |||
Dynu | 無料あるいは有料 | 4つまで無料、有料で500まで | サンプル | ||
FreeDNS | 無料あるいは有料 | CNAME, A, AAAA, MX, NS, TXT, LOC, RP, HINFO, SRV | 5つまで無料 | 例 | afraid-dyndns-uvAUR, petrifiedAUR |
No-IP | 無料あるいは有料 | 3つまで無料、有料で25以上 | noip プロトコル、dynupdate.no-ip.com サーバーを使用 |
noipAUR | |
nsupdate.info | 無料かつオープンソース | A, AAAA | dyndns2 プロトコルを使用 |
inadyn-forkAUR |
外部ウェブサイトから IP アドレスを確認
ddclient が IP アドレスを検出できない場合、checkip.dyndns.org などの外部ウェブサイトから IP アドレスを取得するように ddclient を設定できます。デフォルトでは {{ic|use=web]} を指定した場合にこのアドレスが利用されます。また、IPを確認するサービスへの頻繁なアクセスを避けるために、確認までの期間を延すことが推奨されています:
/etc/ddclient/ddclient.conf
daemon=900 # web status page から IP アドレスを取得 use=web
他の IP 確認サービスを web
オプションで設定する事もできます:
/etc/ddclient/ddclient.conf
daemon=900 # web status page から IP アドレスを取得 use=web, web=myonlineportal.net/checkip
IPv6 アドレスを決めるためにスクリプトを使う
ddclient は時折、IPv6 アドレスの取得を間違えるか失敗します。しかし、外部のウェブサイトの代わりに ローカルに IPv6 を知ることができます。以下のスクリプトが使えます:
/usr/bin/get-ip
#!/bin/bash /sbin/ip -6 addr | grep inet6 | awk -F '[ \t]+|/' '{print $3}' | grep -v ^::1 | grep -v ^fe80
このスクリプトを使うように ddclient を設定するには:
/etc/ddclient/ddclient.conf
# obtain IP address from script use=cmd,cmd='/usr/bin/get-ip'
ネットワークが立ち上がった後に ddclient を起動
ddclient で IP を更新できない場合、おそらくネットワークが立ち上がる前に ddclient のプロセスが起動しているのが原因です。修正するには、ユニットファイルを編集して network-online.target
に依存するようにしてください:
# systemctl edit ddclient.service
[Unit] After=network-online.target Wants=network-online.target
他のプロバイダ
以下の DDNS プロバイダは ddclient に対応していないため、特殊なツールを使ったりカスタムスクリプトで IP を更新する必要があります。コマンドラインで IP を更新できる場合、cron や systemd/タイマーなどのツールを利用して更新を自動化することができます。
duiadns
Duiadns.org は無料のサービスです。duiadnsAUR[リンク切れ: アーカイブ: aur-mirror] で自動化が可能。
FreeDns.io
FreeDns.io は無料で A, AAAA, DNS レコードを提供します。CNAME, TXT, MX レコードはプレミアムメンバーになる必要があります。HTTP API を利用して IP を更新することができます (1時間あたり60回までの制限あり)。複数のサンプルスクリプト が用意されています。
Now-DNS
Now-DNS.com は簡単にセットアップができる無料サービスです。
System-NS
System-NS はコマンドラインによる更新ができる無料サービスです。公式のドキュメント を参照してください。
Loopia.se
ネームサーバーとして loopia.se を使う場合、公式ドキュメント に書かれているように curl で DNS レコードを更新することができます。