Dell XPS 13 (9343)

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ノート: このページでは XPS 13 年の2015年前期モデルを扱っています。2015年の後期モデルについては Dell XPS 13 (9350) を見てください。

2015 Dell XPS 13 (9343) は XPS 13 の第二世代モデルで、前機種と同じように、Dell の Project Sputnik チームによって Linux が公式でサポートされています。チームが対象としているのは Ubuntu 14.04 LTS ですが、Sputnik チームによる改善とサポートは全てのディストリビューションに広く適用できます [1]

XPS 13 に Arch をインストールする手順は他の PC の場合と同じです。インストールする方法はインストールガイドUEFI を見てください。このページでは Arch におけるハードウェアの対応状況と、インストール後の設定について扱います。

カーネル 4.1.3 から、カーネルにパッチを適用する必要はなくなりました。ただし、完全に動作させるためにいくつか手動で設定をすることを推奨します。

デバイス 状態 モジュール
ビデオ 動作 i915
ワイヤレス 動作 wl または iwlwifi
Bluetooth 動作 btbcm
オーディオ 動作 snd_hda_intel
タッチパッド 動作 hid_multitouch
ウェブカメラ 動作 linux-uvc
カードリーダー 動作 rtsx_usb
無線スイッチ 動作、ただし Broadcom WiFi には問題 rfkill

モデルの違い

市場では XPS 13 は色々な設定で売られていますが、Linux を動かしたいと思っている場合は、ディスプレイのオプション (FHD/QHD+) と WiFi アダプタ (Dell DW1560 と Intel 7265) の違いに特に注意してください。QHD+ モデルを使用する場合、HiDPI を適切にサポートしている DE/WM を使う必要があります。WiFi アダプタの選択に関しては、どちらのカードも Arch で動作はしますが、Dell DW1560 は (あまりサポートが良くない) プロプライエタリなカーネルモジュールを必要とし、一方 Intel 7265 はメインラインカーネルでサポートされています。

Developer Edition と Windows エディションにハードウェア上の特別な違いは存在しません。どちらのモデルでもこのガイドが等しく適用されます。

設定

BIOS のアップデート

最新の BIOS アップデートは A13 です (2017年8月28日公開)。A02 以降では、何も設定しなくても全てが動作し、昔のバージョンの BIOS で必要だったカーネルブートパラメータはもう不要です。アップデートバイナリは EFI パーティション (/boot/efi) か USB フラッシュドライブに保存して、再起動し、F12 ブートメニューで BIOS Update を選択してください。

バックライト

バックライトの制御は特に何も設定しなくても動作します:

  • systemd-backlight.service は eDP パネルとキーボードの両方のバックライトの状態を監視して、シャットダウン時に状態を保存し、起動時に元の状態に戻します。
  • ハードウェアのファンクションキー (Fn-F10 から Fn-F12) は何も設定しなくても動作します。
ノート: デフォルトでは、キーボードのバックライトは60秒間何も操作しないと自動的にオフになります。sysfs エントリの /sys/devices/platform/dell-laptop/leds/dell\:\:kbd_backlight/stop_timeout を編集することで秒数を変更できます。

SSD

XPS 13 シリーズにはストレージデバイスとして SSD が搭載されています。ソリッドステートドライブを見てください。

WiFi

大抵のモデルで使われている Dell DW1560 802.11ac アダプタ (Broadcom BCM4352) は broadcom-wl または broadcom-wl-dkms をインストールする必要があります (後者の場合 linux-headers も必要です)。詳しくは Broadcom ワイヤレスのページを見て下さい。

ハイエンドモデルでは Dell ブランドのアダプタではなく Intel Wireless 7265 を使っており、そちらはメインラインカーネルでサポートされています。このカードはアフターマーケットで購入することができ、ノートパソコンに搭載された Broadcom ワイヤレスと交換することができます。Broadcom のカードと比較すると、Intel のカードは受信範囲が2-3倍は広く、スループットも高速です。試す価値のあるアップグレードとなるでしょう。Intel 7265 カードには WLAN しかないカードと WLAN/Bluetooth の混載カードが存在します。どちらのカードも使えるので、Bluetooth のサポートに対して追加料金を払う気があるかないかで決めて下さい。

ヒント: Intel を使っている場合、Intel の Linux ドライバーのメンテナである Emmanuel Grumbach が管理している linux-firmware リポジトリのフォーク に最新版のファームウェアが存在します。Intel 7265 カードの通信速度を向上して接続の安定性を増すことができます。linux-firmware-git-iwlwifiAUR[リンク切れ: パッケージが存在しません] を見て下さい。

Bluetooth

ノート: Intel の WiFi を使っている場合、WiFi カードが Bluetooth をサポートしていれば、linux-firmware に必要なファームウェアが含まれているので BT インターフェイスは何も設定しなくても動作します。

Broadcom の Bluetooth ファームウェアはカーネルには含まれていません (ソース)。そのため、Bluetooth を使うには bcm20702a1-firmwareAUR をインストールして再起動する必要があります。

もしくは Windows ドライバー からファームウェアを抜き出すこともできます。cabextract.cab ファイルを展開して bluez-utilshex2hcd.hcd ファイルに変換してください:

$ cabextract 20662520_6c535fbfa9dca0d07ab069e8918896086e2af0a7.cab
$ hex2hcd BCM20702A1_001.002.014.1443.1572.hex
# mv BCM20702A1_001.002.014.1443.1572.hcd /lib/firmware/brcm/BCM20702A1-0a5c-216f.hcd
# ln -rs /lib/firmware/brcm/BCM20702A1-0a5c-216f.hcd /lib/firmware/brcm/BCM20702A0-0a5c-216f.hcd

再起動後、Bluetooth インターフェイスのファームウェアが使えるようになっているはずです。

オーディオ

ノート: 正しいオーディオのサポートは最新の BIOS にアップデートしているかどうかにかかっています。BIOS A02 以降にアップデートしていない場合、先にアップデートしてください。

ノートパソコンに搭載されているサウンドチップは Realtek ALC3263 です。"デュアルモード"と謳われるように HDA standardI2S standard の両方をサポートしています。XPS 13 に搭載されているコントローラは OS によって指定された ACPI の _REV の値を使うため、どちらのモードでサウンドチップセットを初期化するのか起動時に決める必要があります。

HDA モード

BIOS が A02 以上かつカーネルが 4.3 以下あるいは 4.11.5 以上の場合、サウンドカードは HDA モードで初期化されます。

新しいカーネルで HDA モードを使うには、CONFIG_ACPI_REV_OVERRIDE_POSSIBLE=y オプションを使ってカーネルをコンパイルしてください。強制的に HDA モードが有効になります。コンパイルしたカーネルで I2S モードを使うことはできません。

デフォルトサウンドカードの設定

デフォルトでは ALSA は PCH カードではなく HDMI カードに音声を出力します。変更したい場合は ALSA#デフォルトサウンドカードの設定を見てください。適切な順番を設定するために、/etc/modprobe.d/ に以下の .conf を作成してください [2]:

/etc/modprobe.d/alsa-base.conf
options snd_hda_intel index=1,0

Windows とデュアルブートする場合、Linux で HDA で音を出すにはコールドブートを2回する必要があります。逆の場合も同様です。I2S モードではコールドブートは不要になります。

I2S モード

BIOS が A02 以上かつカーネルが 4.4 から 4.11.4 の場合、サウンドカードは I2S モードで初期化されます。I2S のサポートには alsa-lib 1.1.0 以上が必要です [3]

ノート: カーネル 4.5-4.7 では CONFIG_DW_DMAC=ySND_SOC_INTEL_BROADWELL_MACH=m オプションを使って静的にコンパイルする必要があります [4]。そうしないとサウンドカードが認識されません。カーネル 4.5.2 以上では問題は解決しています [5]。カーネル 4.8 ではさらに良いフィックスが含まれています [6]
マイクの有効化
ノート: カーネル 4.5.3 現在、マイクはデフォルトで有効になるため、以下の操作は必要ありません [7]

I2S モードでは、内蔵マイクがデフォルトではミュートになっています。有効にするには Mic アイテムのミュートを解除する必要があります。以下の手順に従ってください:

  • alsamixer を開く (alsa-utils パッケージに含まれているユーティリティです)。
  • F6 を押して broadwell-rt286 サウンドカードを選択。
  • F4 を押して Capture view に切り替えて ADC0CAPTURE ラベルがあることを確認。存在しない場合、方向キーを使って選択しスペースバーを押して CAPTURE をオンにしてください。
  • 最後に、Mic アイテムのボリュームを 100 まで上げる。
ノート: pavucontrol アプリケーションの場合、Input Devices タブの Port を (Main Microphone から Headset Microphone (unplugged) に) 切り替えることで上記と同じ設定ができます。
Jack を使う

デフォルトで Jack は4つの録音ポートを認識しますが断片的にデータが送られるために使うことができません。コマンドラインで -i2 を指定して入力を2チャンネルに制限するか、qjackctl の高度な設定で同じようなオプションを設定してください。

タッチパッド

最新の BIOS のパッチで、タッチパッドのほぼ全ての機能が動作するようになっていますが、i2c モードでは手のひら検出がまだ使えません。xf86-input-synaptics で高度な設定をするときは、先に psmouse カーネルモジュールをブラックリストに入れる必要があります。

パッドに2本指が検出されるとタッチパッドがフリーズすることがあります。この問題は synclient Clickpad=1 を設定することで解決できます。

デスクトップにクリックパッドに関する有用なデフォルト設定が存在しない (例えば右ボタンや中ボタンのエミュレーションがない) ときや、デスクトップ環境の設定よりも細かくタッチパッドを制御したい場合、Synaptics タッチパッドを見て下さい。

手のひら検出が必要な場合、xf86-input-libinput を使います。libinput ドライバーは多少の追加設定で、ほぼ全てのボタンレイアウトに対応することができます。

/etc/X11/xorg.conf.d/50-libinput.conf
Section "InputClass"
	Identifier "touchpad"
	MatchProduct "DLL0665:01 06CB:76AD Touchpad"
	Driver "libinput"
	Option	"Tapping"	"on"
	Option	"AccelSpeed"	"1"
EndSection

設定可能なオプション (ナチュナルスクロールや中ボタンのエミュレーションなど) は libinput(1) を参照してください。

省電力機能

カーネル 4.6.5 と tlp を使用する場合、pcie_aspm=force カーネルパラメータを有効にすることでアイドル時の消費電力を 2.3 W 以下まで下げられます。

powertop または powerstat-gitAUR を使って再現できるか確認できます。

ノート:  
  • カーネル 4.6 以上では、フレームバッファ圧縮 (FBC) とパネルセルフリフレッシュ (PSR) がデフォルトで有効になるため、i915.enable_fbci915.enable_psr パラメータは不要です。古いカーネルではディスプレイがちらつくことがあるためカーネル 4.6.2 以上を使用することを推奨します。
  • パネルセルフリフレッシュ (PSR) はまた無効になる予定です [8]。2016年12月14日に作成されたコミット (2ee7dc497e348eecbb82adbb1ea9e9a7e29fe921) で Haswell や Broadwell の PSR が無効になり、カーネル 4.9 から影響を受けます。詳しくは [9] を見てください。
  • LVDS のダウンクロックを使うのに i915.lvds_downclock=1 は必要ありません。IRC の #intel-gfx によれば、最近のカーネルで使われている新しい eDP パネルの自動ダウンクロックはデフォルトで有効になります。
  • i915.enable_rc6=7 は Broadwell (Gen8) システムでは意味がありません。このオプションによって有効になる深い GPU の電源状態 (RC6p と RC6pp) は Gen7 以上のハードウェアには存在しません [10][11]

ICC プロファイルの設定

QHD+ モデル

警告: 以下のプロファイルは QHD+ モデル用です。FHD モデルの場合は使用しないでください。

ICC プロファイルはモニターの色属性に関する正確なデータを含んだバイナリファイルです。ICC プロファイルを使うことでグラフィックやドキュメントを正確に表示することができます。以下の ICC プロファイルは dispcalGUI (displaycal) や ArgyllCMS (argyllcms) と色の正確性を計測する分光測色計を使って作成されました。自分でモニターを調整することで良い結果を得られる場合もありますが、一般的には以下のプロファイルを使うことで標準プロファイルよりも良い結果が得られます。

トラブルシューティング

ビデオやウェブカメラの出力にピンクや緑の砂嵐が表示される

xf86-video-intel をアップデートすることで問題は解決するはずです。

S3 復帰後、グラフィックに乱れが発生したり安定しない

サスペンドから復帰したときにグラフィカル環境が安定しなかったり乱れが発生するような場合、Intel のグラフィックアクセラレーションを SNA から UXA に切り替えると良いでしょう。ただし UXA に切り替えるとパフォーマンスが落ちます。

Broadcom ワイヤレスの接続問題

ドライバーをインストールして再起動した後に wifi-menuiwlist scan が動作しなくなった場合、BIOS で "Wireless Switch" のコントロールを無効化してみてください。

KDE の rfkill 問題

新しいバージョンのカーネル (4.4 以上) では、rfkill スイッチは問題なく動作します。KDE デスクトップでは、rfkill スイッチを最初に使ったときにマウスポインタがフリーズする場合があります。他の仮想端末に切り替えてから戻すことでフリーズは解除できます。

EFISTUB が起動しない

バージョン A07 現在、BIOS はカーネルにブートパラメータを渡しません。別の UEFI ブートローダーを使って下さい。systemd-boot が最新のカーネルで動作します。

キーのリピートの問題

BIOS A07 で問題が解決するはずです。

起動時にランダムでカーネルがハングアップする

こちら を見て下さい。この問題はタッチスクリーンが搭載された機種のみで影響するようです。/etc/mkinitcpio.conf の HOOKS から "keyboard" を消して、代わりに MODULES="atkbd usbhid hid-generic" を使用します。設定後 root で mkinitcpio -p linux を実行してください。

カーネル 4.4 以上にアップグレードした後に音が鳴らない

音を鳴らすにはコールドブートを2回する必要があります (再起動ではなく完全に電源オフにしてから立ち上げてください)。標準の Linux カーネル 4.4 で I2S のサポートが有効になりますが、サウンドチップのモードが変わったことを XPS 13 に組み込まれているコントローラが認識するにはコールドブートが2回必要です。

詳しくは上のオーディオセクションや BBS のスレッドFS#47989 を見てください。

起動時や音楽の再生時に大きなノイズが発生する

一部のユーザーは音声の出力がおかしいと報告しています [12]HDA モードを使用している場合は Advanced Linux Sound Architecture/トラブルシューティング#再生を開始・停止するとポップノイズが鳴るに書かれているように省電力機能を無効にすることで解決する場合があります。しかしながら、I2S モードで問題を解決する方法はまだわかりません。詳しくは [13] を見てください。

Xrandr で外部ディスプレイを操作すると表示がフリーズしたり消える

(HiDPI#マルチディスプレイの設定をするためなどで) xrandr コマンドを実行すると journalctl や Xorg のエラーログを何も吐かずに画面がフリーズすることがあります。バージョン 4.3.x 以上のカーネルで QHD モデルを使っている場合に発生すると報告されています [14]i915.preliminary_hw_support=0 カーネルパラメータを設定することで問題を減らしたりなくすことができます。Intel Graphics#Skylake サポートを見てください。

GNOME でログインしたときにフリーズが発生する場合、最新の BIOS がインストールされていることや C ステート機能が無効になっていることを確認してください。

参照

一般:

Project Sputnik: