コアダンプ

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コアダンプとは突然プロセスが終了したときのプロセスのアドレス空間 (メモリ) を記録するファイルです。コアダンプは終了時に自動的に生成されるだけでなく、(デバッガなどによって) 必要に応じて生成される場合もあります。コアダンプはプログラムのクラッシュに対する反応としてカーネルによって引き起こされ、(systemd-coredump などの) ヘルパープログラムに渡されて処理されます。コアダンプは普通のユーザーにとってはあまり意味をなしませんが、開発者がユーザーにコアダンプの提出を要求することがあります。問題を再現することが難しいような場合、クラッシュ時のプログラムの状態を検死する手段としてコアダンプは有用です。

警告: コアダンプには機密データ(パスワードや暗号キーなど)が含まれている可能性があるため、信頼できる相手としか共有しないでください。

自動的なコアダンプの無効化

コアダンプの自動生成を無効化する理由としては以下のようなことが考えられます:

  • パフォーマンス: メモリの消費が激しいプロセスのコアダンプを生成するとき、システムリソースが浪費され、メモリの消去が遅延します。
  • ディスク容量: 圧縮されない場合、コアダンプはメモリの使用量と同じ分だけ、あるいはそれ以上のディスク容量を消費します。
  • セキュリティ: コアダンプは基本的に root しか読みことができないものですが、クラッシュの後にディスクに書き込まれた機密情報 (パスワードや暗号鍵など) が含まれている可能性があります。

sysctl を使う

sysctl を使って kernel.core_pattern を設定することでコアダンプを無効化できます。以下のファイルを作成してください:

/etc/sysctl.d/50-coredump.conf
kernel.core_pattern=/dev/null

設定を今すぐ適用するには、sysctl を使用してください:

# sysctl -p /etc/sysctl.d/50-coredump.conf

systemd を使う

systemd はデフォルトで全てのプロセスのコアダンプを /var/lib/systemd/coredump に生成します。/etc/systemd/coredump.conf.d/ ディレクトリに以下の内容で設定スニペットを作成することで生成しないようにすることが可能です。 (こちらを参照 coredump.conf(5) § DESCRIPTION, [1]):

/etc/systemd/coredump.conf.d/custom.conf
[Coredump]
Storage=none
ProcessSizeMax=0
ノート: [Coredump] セクション名を忘れずに含めてください。そうしないと、このオプションは無視されます。

それから systemd の設定をリロードしてください:

# systemctl daemon-reload

参照 systemd-coredump(8) § Disabling coredump processing

PAM limits を使う

PAM でログインしたユーザーの最大コアダンプサイズは limits.conf によって強制されます。これをゼロにすると、コアダンプが完全に無効になります。[2]

/etc/security/limits.conf
* hard core 0

ulimit を使う

コアダンプの上限容量は ulimit によって決まります。ulimit をゼロに設定すればコアダンプは完全に無効化されます [3]:

/etc/security/limits.conf
* hard core 0

コアダンプの作成

任意のプロセスでコアダンプを生成したい場合は、まず gdb パッケージをインストールしてください。そして実行しているプロセスの PID を確認してください。例えば pgrep を使って:

$ pgrep -f firefox
2071 firefox

確認されたプロセスにアタッチ:

$ gdb -p 2071

そして (gdb) プロンプトで以下を実行:

(gdb) generate-core-file
Saved corefile core.2071
(gdb) quit

上記の例では core.2071 という名前のコアダンプファイルが生成されています。

コアダンプの保存場所

sysctlkernel.core_pattern は自動的に生成されたコアダンプの保存場所を決定します:

$ cat /proc/sys/kernel/core_pattern 
|/usr/lib/systemd/systemd-coredump %p %u %g %s %t %e

/usr/lib/sysctl.d/50-coredump.conf のデフォルト設定では、コアダンプはシステムログとして journald に全て送信されます。

ノート: 完全なディスク暗号化をしていない場合、上記したことはプログラムのメモリがディスクにそのまま書き出されるということを意味します。たとえスワップを暗号化していてもコアダンプから情報が漏洩してしまう可能性があります。

journal からコアダンプを取得する方法は coredumpctl(1) を見てください。

コアダンプの確認

coredumpctl を使用して、対応するダンプを見つけます。通常のユーザーは、プロセスのコアダンプを管理するための特別な権限がなくても coredumpctl を実行できることに注意してください。

# coredumpctl list

コアダンプファイルのクリーンアップ

/var/lib/systemd/coredump/ に保存されているコアダンプファイルは、systemd-tmpfiles --clean によって自動的にクリーンアップされます。これは、systemd-tmpfiles-clean.timer によって毎日トリガーされます。コアダンプは少なくとも 3 日間保持されるように設定されています。systemd-tmpfiles --cat-config を参照してください。

コアダンプの分析

まず、関連するダンプを一意に特定する必要があります。これはPID、実行ファイル名、実行ファイルへのパス、journalctl 述語を指定することで可能です (詳細は coredumpctl(1)journalctl(1) を参照) コアダンプの詳細を見るには

# coredumpctl info match

クラッシュの原因を特定するのに役立つ "Signal" 行に注目してください。分析では、通常、デバッガー (デフォルトでは gdb(1)) を使用してバックトレースを検査します。

# coredumpctl debug match

gdb が開始されたら、bt コマンドを使用してバックトレースを出力します。

(gdb) bt

多くの場合、出力には、欠落しているデバッグ シンボルのプレースホルダーとして疑問符が含まれます。トレースの取得方法については、デバッグ/トレースを取得 を参照してください。

参照